消費税引上げ実務最終チェック

消費税率引上げに伴う実務と
誤りやすい点・注意すべき点の最終チェック
【消費税率5%→8%編】
税理士法人名南経営
本資料は平成26年3月12日現在の情報に基づき作成しています。
今後の法令通達により内容が変わる可能性がありますのでご注意ください。
第1部 消費税率引上げと資金繰り
(出典)国税庁「消費税のあらまし(平成25年6月)」
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2
Q1.「利益」はどこへ消えた?
税率5%のときに10,500円で販売していた商品が、税率8%のときには10,800円になるように、消費
税の価格への転嫁が適切に行われていれば、消費税率引上げがあっても「税抜価格」は変わりません。
しかし、価格転嫁が適切に行えない場合には、実質値引きとなり、結果として利益が減少します。
【税率8%】価格転嫁した場合
【税率5%】
売上額
(税込)
10,800円
売上額
(税込)
11,000円
売上額
(税抜)
10,000円
売上額
(税抜)
10,000円
消費税額
売上額
(税込)
10,500円
売上額
(税抜)
10,000円
消費税額
売上高1億円
消費税額
1,000円
【税率10%】価格を据え置いた場合
売上額
(税込)
10,500円
売上額
(税込)
10,500円
売上額
(税抜)
9,722円
売上額
(税抜)
9,545円
消費税額
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800円
【税率8%】価格を据え置いた場合
500円
【税率10%】価格転嫁した場合
778円
売上高9,722万円
(利益▲278万円)
消費税額
955円
売上高9,545万円
(利益▲455万円)
3
Q2.そのお金は、本当に「運転資金」?
新たに発生した税金の滞納全体に占める「消費税」の滞納の割合は、50%を超えています。
消費税を滞納した場合の延滞税は年利9.2%(当初2か月は年利2.9%。26年中)です。
現預金 1,000
仮払消費税 800
仮受消費税 1,000
納税資金
200
(未払消費税 200)
納税資金
100
未払法人税等100
納税・納付資金
200
運転資金
500
預り金
200
・源泉所得税、住民税
・社会保険料
仕入代金
経費支払
借入金返済 等
□ 毎月の未払消費税の金額は把握できていますか?(納税用通帳の検討)
□ 26年4月以降、取引先の与信管理がいっそう重要になる点を営業担当者等に周知しましたか?
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4
Q3.消費税率引上げ時に納税資金は「何倍」に増える?
税率5%から8%になると、消費税の納税資金が増加します。納付時に今までよりも多額の納税資金が必
要となるため、毎月確実に貯める必要があります。
ケース① 3月決算で年1回中間納付あり
<26年3月決算>
<27年3月決算>
27年5月末
ケース② 3月決算で年3回中間納付あり
<26年3月決算>
<27年3月決算>
年間1,600万円
年間320万円
220万円
年間1,000万円
1.6倍
850万円
納付
確定
年間200万円
1.6倍
27年5月末
確定
納付
約100万円
(中間納付)
約750万円
(中間納付)
□ 消費税率引上げ後の消費税の負担を試算しましたか?
□ 消費税の納税を考慮した資金繰り計画を立てていますか?
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5
(参考1)消費税の中間申告(中間納付)の回数
消費税率が引き上げられるにつれて、中間申告(中間納付)の回数が今後、増える可能性があります。
中間申告の回数は、直前の課税期間(通常は、法人であれば前事業年度、個人であれば前年)の確定
消費税額(国税部分のみ)で判定します。
直前の課税期間の確定消費税額
(国税部分)
中間申告(中間納付)の回数
4,800万円超
年11回
400万円超
年3回
48万円超
年1回
48万円以下
中間申告義務なし
(任意の中間申告を行うことも可)
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6
(参考2)税率10%時代も想定した利益確保策とは?
税率10%時
はさらに2%
(出典)日本商工会議所「消費税率引上げ対策早わかりハンドブック」
□ 税率10%時代も想定した利益確保策の検討をはじめましたか?
□ 設備投資や人材投資を行った場合の減税制度や補助金制度の活用を検討しましたか?
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7
中長期的な「資金繰り対策」のために
消費税率引上げ時に、すべての商製品・サービスの価格を上げることは難しい場合もある
と考えられます。また、仮に価格転嫁できたとしても、納税資金の増加が資金繰りを圧迫す
ることも想定されます。
そこで、効果的な価格戦略やコスト削減を実行し、利益を確保していくためには、明確な
目標設定と、その管理が重要になります。同時に多額の納税に備えるため、資金繰りを中
長期的に把握することも重要です。
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第2部 消費税率引上げと経理実務
テーマ
注意すべき主な勘定科目
□
テーマ1:商品・製品の販売
商品売上高、製品売上高、売上戻り高、
売上値引高、売上割戻高、貸倒損失
■ 商品仕入高、原材料仕入高、仕入戻し高、
仕入値引高、仕入割戻高
テーマ2:資産の貸付け
□
■
テーマ3:サービスの提供
□ 売上高
■ 管理諸費・保守費、支払手数料
テーマ4:工事の請負等
□
■
完成工事高
完成工事原価、未成工事支出金
■
旅費交通費、水道光熱費、通信運搬費、
租税公課(印紙税)
テーマ5:経費
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受取賃貸収入
賃借料、地代家賃、リース料
9
適用すべき税率の基本ルール
原 則
経過措置
26年4月1日以後は税率8%
26年4月1日以後なのに税率5%(強制)
≪参考資料≫
□ 経過措置QA:平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する
経過措置の取扱いQ&A(国税庁:26年4月公表)
□ 適用税率QA:消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A(国税庁:26年1月公表)
【誤りやすい点】 経過措置は「選択」ではありません!
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テーマ1:商品・製品の販売
1−1.商品・製品の販売の原則
【事例①】売上側と仕入側の計上基準が異なる場合
【事例②】4月25日〆の請求書
【事例③】税率5%のときに仕入れた商品を販売した場合
1−2.長期割賦販売
1−3.所有権移転外リース取引
1−4.返品・値引き・割戻し処理
1−5.貸倒れ処理
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1−1.商品・製品の販売の原則
経過措置QA 1
26年3月31日以前に商品や製品を販売した場合には、原則として税率5%となります。
一方、26年4月1日以後に商品や製品を販売した場合には、原則として税率8%となります。
H26.4/1
原 則
︻当 社 ︼
3/15販売
5%
︻相手先︼
8%
5%
商品
A
8%
商品
A
商品
A
3/15仕入
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4/10販売
商品
A
4/10仕入
12
【事例①】売上側と仕入側の計上基準が異なる場合
仕入側
適用税率QA 1
仕入側についても、原則として、26年4月1日以後に仕入れた商品・原材料は、税率8%です。
しかし、相手先(売上側)が「出荷基準」を採用し、当社(仕入側)は「検収基準」を採用しているような場合
には、売上側の税率にあわせます。
原 則
︻相手先︼
3/31販売
(出荷基準)
5%
H26.4/1
【請求書】
1,000,000
+消費税50,000
商品
B
︻当 社 ︼
5%
商品
B
3/31仕入
(出荷基準)
5%
商品
B
4/2仕入
(検収基準)
□ 4月以降、相手先から来る請求書等に記載された消費税額や税率を個別に確認しましたか?
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【事例②】4月25日〆の請求書
「どの税率を適用するか」と「締め日」や「請求日」は関係ありません。例えば4月25日締め、4月末日請求
のときには、3月26日∼3月31日分が税率5%、4月1日∼4月25日分が税率8%となるため、4月分の
請求書の発行に注意が必要です。また、仕入側も請求書の記載をよく確認しましょう。
4/25〆
H26.4/1
原 則
︻当 社 ︼
3/26∼3/31販売
商品
A
商品
A
5%
商品
A
4/1∼4/25販売
商品
A
商品
A
8%
4/末 請求
商品
A
請求書
︻相手先︼
5%
商品
商品
商品
A
A
A
3/26∼3/31仕入
8%
商品
商品
商品
A
A
A
4/1∼4/25仕入
□ 請求書発行システム等を踏まえて次のような方法を検討しましたか?
案1)1枚の請求書に税率5%と8%の請求内容をそれぞれ記載する
案2)「税率5%の請求書」と「税率8%の請求書」の2枚に分ける
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【事例③】税率5%のときに仕入れた商品を販売した場合
経過措置QA 2
26年4月1日以後に販売した場合には、「税率5%のときに仕入れた商品」を販売したとしても、税率8%
となります。
︻仕入先︼
3/30販売
商品
A
5%
H26.4/1
5%
︻当 社 ︼
原 則
3/30仕入
1,000,000
+消費税50,000
商品
A
8%
商品
A
4/10販売
1,100,000
+消費税88,000
︻相手先︼
8%
商品
A
4/10仕入
□ 原則として「販売の時期」で税率5%か8%かを判断することが周知されていますか?
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1−2.長期割賦販売
経過措置QA 53
長期割賦販売(3回以上分割払い、回収期間2年以上、販売価格の2/3超の割賦)を行う場合、原則と
して販売時点の税率となりますが、法人税・所得税の特例(延払基準の方法)によって売掛金回収の都度
収益計上している場合には、経過措置により、26年4月1日以後の回収についても税率5%となります。
原 則
3/15販売
売上
420
経過措置
延払基準の方法
により経理
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5%
H27.10/1
H26.4/1
売掛金回収
売掛金回収
売掛金回収
売掛金回収
105
105
105
105
売掛金回収
売掛金回収
売掛金回収
売掛金回収
売上計上 5% 売上計上 5% 売上計上 5% 売上計上 5%
105
105
105
105
16
1−3−1.所有権移転外リース取引(貸し手)
経過措置QA 36,57
所有権移転外リース取引(20年4月1日以後の契約)を行う場合にも、原則として販売時点の税率となり
ます。法人税・所得税の特例(延払基準の方法)によってリース料の受領の都度収益計上している場合に
は、経過措置により、26年4月1日以後のリース料の売上についても税率5%となります。
原 則
3/15リース
売上
420
経過措置
延払基準の方法
により経理
5%
H27.10/1
H26.4/1
リース料
リース料
リース料
リース料
105
105
105
105
リース料
売上計上
リース料
売上計上
リース料
売上計上
リース料
売上計上
105
5%
105
5%
105
5%
5%
105
「長期割賦販売」と同じ取扱いです。
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1−3−2.所有権移転外リース取引(借り手)
仕入側
適用税率QA 4
所有権移転外リース取引(20年4月1日以後の契約)を行う場合にも、原則として引渡しを受けた時点
の税率となります。そのため、資産計上をしないでリース料の支払の都度費用計上している場合(分割控
除)であっても、26年4月1日以後のリース料の費用についても税率5%となります。
原 則
3/15リース
資産
420
原則(簡便法)
分割控除
5%
H27.10/1
H26.4/1
リース料
リース料
リース料
リース料
105
105
105
105
リース料
費用計上
リース料
費用計上
リース料
費用計上
リース料
費用計上
105
5%
105
5%
105
5%
5%
105
□ 所有権移転外リース取引に該当するか、改めて確認しましたか?
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18
(参考)所有権移転外リース取引とは?
リース取引
ファイナンス・
リース取引以外
①中途解約不能要件
②フルペイアウト要件
ファイナンス・リース取引
オペレーティング・リース取引
【テーマ1:商品・製品の販売(資産の譲渡)】
【テーマ2:資産の貸付け】
所有権移転リース
割安購入選択権付リース
特別仕様物件リース
所有権移転リース取引
所有権移転
リース取引以外
所有権移転外リース取引
一般的にはリース取引の多くが所有権移転外リース取引に該当しますが、個々のリース取引によっ
て判断が異なるため、リース会社や顧問税理士等にご確認ください。
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19
1−4−1.返品・値引き・割戻し処理
経過措置QA 5
26年3月31日までに販売した商品は、税率5%となります。
26年4月1日以後にその商品の返品を受けたり、値引き・割戻しをしたとしても、経過措置により税率5%
となります。
H26.4/1
4/20返品
経過措置
︻当 社 ︼
3/5販売
5%
商品
A
商品
A
︻相手先︼
5%
商品
A
3/5仕入
5%
5%
商品
A
4/20返品
□ 26年3月31日時点の売掛金元帳(得意先元帳)等はいつでも確認できますか?
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20
1−4−2.返品・値引き・割戻し処理(簡便法)
経過措置QA 5
26年4月中に返品を受けたり値引き・割戻しをした商品について、3月中の販売に対応するものとして処
理しているなど、事業者が合理的な方法によって継続して返品等の処理を行っている場合には、税率5%
で計算することができます。
経過措置(簡便法)
H26.4/1
︻当 社 ︼
3月中の販売
商品
A
商品
A
5%
4月中の販売
商品
A
商品
A
8%
商品
A
︻相手先︼
5%
4/20
3月中の販売に
対するものとして処理
商品
A
8%
5%
商品
A
5%
商品
商品
A
A
4月中の仕入
商品
商品
A
A
4/20
返品
□ この方法を採用する場合には、返品等の請求書等に5%の税率を明記して、相手側も5%で処理
する必要がある点を周知しましたか?
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商品
A
商品
商品
A
A
3月中の仕入
21
1−5.貸倒れ処理
26年3月31日までに販売した商品は、税率5%となります。
26年4月1日以後にその商品に係る売掛金等が相手先の事情により貸倒れになったとしても、経過措置
により税率5%で貸倒れ処理を行います。
H26.4/1
経過措置
︻当 社 ︼
3/5販売
商品
A
︻相手先︼
3/5仕入
H29.2/15
5%
売掛金
5%
商品
A
H27.10/1
(未回収)
5%
貸倒処理
貸倒事由発生
再生計画認可
の決定による
債権の切捨て
□ 26年3月31日時点の売掛金元帳(得意先元帳)等はいつでも確認できますか?
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22
テーマ2:資産の貸付け
2−1.資産の貸付けの原則
【事例④】「当月分前月払い」と「当月分翌月払い」
2−2.資産の貸付けの経過措置
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23
2−1.資産の貸付けの原則
経過措置QA 1
26年3月31日以前に資産の貸付けをした場合には、原則として税率5%となります。
一方、26年4月1日以後に資産の貸付けをした場合には、原則として税率8%となります。
事務所や店舗の賃貸、物品のレンタルやオペレーティング・リース取引が想定されます。
原 則
【当月分当月払い】
H26.4/1
5%
3/31
3月分
8%
4/1
4/30
4月分
家賃受領
家賃受領
【誤りやすい点】 「土地の賃貸」や「居住用不動産(例:アパート・マンション、社宅)の賃貸」は
非課税売上げとなります。
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24
【事例④】「当月分前月払い」と「当月分翌月払い」
適用税率QA 6
当月分(1日から末日まで)の賃貸料の支払期日を前月○日としている賃貸借契約で、26年4月分の賃
貸料を26年3月に受領する場合であっても、あくまで26年4月分の賃貸料となるため、原則どおり税率
8%となります。また、26年3月分を26年4月に受領する場合であっても、原則どおり税率5%となります。
8%
【当月分前月払い】
H26.4/1
4/1
3/31
原 則
4/30
26年4月分
家賃受領
【当月分翌月払い】
原 則
H26.3/1
3/31
5%
4/30
26年3月分
家賃受領
【誤りやすい点】 「家賃受領時期」で税率は判断しないことが、26年1月に国税庁から適用税率QA
の公表により明確化されました。
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25
2−2.資産の貸付けの経過措置
経過措置QA 35,42
25年9月30日までに締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、26年3月31日から引き続きその契約
に係る資産の貸付けを行っている場合において、その契約の内容が次のイ及びロに掲げる要件に該当す
るときは、税率5%となります。
経過措置
【要件】
イ その契約に係る資産の貸付期間
とその期間中の対価の額が定めら
れていること。
ロ 事業者が事情の変更その他の理
由により対価の額の変更を求める
ことができる旨の定めがないこと。
H25.9/30
契約
H26.4/1
5%
5%
・・・
第三者との不動産賃貸契約は「賃料が経済事情の変動、公租公課の増額、近隣の同種物件の
賃料との比較等によって著しく不相当となったときには、協議の上、賃料を改定することが
できる」旨があることが多く、ロの要件を満たさないため、経過措置の対象外です。
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26
テーマ3:サービスの提供
3−1.サービスの提供の原則
3−2.毎月完了の保守サービス(毎月請求の場合)
3−3.毎月完了の保守サービス(1年分前受けの場合)
【事例⑤】毎月完了の保守サービス(1年分前払いの場合)
【事例⑥】3%の差額分を別途請求された場合
3−4.1年単位で完了する保守サービス
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27
3−1.サービスの提供の原則
適用税率QA 2
26年3月31日以前にサービスの提供をした場合には、原則として税率5%となります。
一方、26年4月1日以後にサービスの提供をした場合には、原則として税率8%となります。
H26.4/1
原 則
︻当 社 ︼
3/15修理
5%
4/10修理
︻相手先︼
5%
3/15修理
8%
8%
4/10修理
【サービスの提供の具体例:国税庁HP】
土木工事、加工、修繕、清掃、クリ-ニング、運送、通信、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、
情報の提供、便益、出演、著述、税理士・弁護士等の専門的知識、技能に基づくサ-ビスの提供など
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28
3−2.毎月完了の保守サービス(毎月請求の場合)
適用税率QA 2
当社は、事務機器の保守サービスを行っており、年間契約(月額○○円)を締結しています。この保守
サービスは、20日締めで月ごとに作業報告書を作成し、保守料金を請求しています。この場合、当社が
適用すべき税率はどうなりますか?
原 則
5%
3/20
2/21
H26.4/1
4/20
3/21
1か月単位
8%
8%
4/21
1か月単位
1か月単位
完了⇒受領
5/20
完了⇒受領
完了⇒受領
(※)1か月分の料金を日割り計算する等により、3/21∼3/31の期間に相当する金額を
算出することも可能ですが、本事例のように毎月20日締めとしている1か月分の計算
期間が一の取引単位と認められるため、その取引単位ごとに同じ税率が適用されます。
【事例】 コピー機器では、毎月出力枚数を確認した上で基本料金と出力枚数に応じた料金を合わせて
請求しているため、カウンター検針日ごとに税率を判断しているものもあります。
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3−3.毎月完了の保守サービス(1年分前受けの場合)
適用税率QA 3
当社は、事務機器の保守サービスを行っており、年間契約(月額○○円)を締結しています。この保守料
金を一括して受領して前受金として経理し、保守サービスの完了の都度、収益計上しています。中途解
約があった場合には、未経過期間分の保守料金を返還することとしています。この場合、当社が適用す
べき税率はどうなりますか?
H26.4/1
原 則
5%
3/20
1か月単位
完了
8%
4/20
1か月単位
完了
8%
8%
H27.2/20
5/20
1か月単位
完了
・・・
1か月単位
完了
1年分前受け
□ 既に5%の金額で1年分を前受けてしている場合には、差額の3%部分について別途、
請求するか検討しましたか?
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30
【事例⑤】毎月完了の保守サービス(1年分前払いの場合)
仕入側
適用税率QA 9
当社(3月決算)は、26年3月に年間契約(月額1万円・税抜)の事務機器の保守サービスを締結し、この
保守料金を一括して支払いました。26年3月分は税率5%、26年4月∼27年2月分は税率8%となって
います。当社は、短期前払費用の特例により、1年分を26年3月決算において費用計上しています。この
場合、当社はどのように処理すればよいですか?
≪1≫仮払金方式
① 26年3月決算
税率8%で計算することができないため、26年3月分のみ税率5%で仕入税額控除を行い、
26年4月∼27年2月分の消費税相当は仮払金として翌期に繰り越します。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
管理諸費
仮払金
税率
5%
―
―
―
金額
勘定科目
10,000 普通預金
500
110,000
8,800
税率
―
金額
129,300
② 27年3月決算
26年4月∼27年2月分について税率8%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
仮払消費税
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税率
―
金額
勘定科目
8,800 仮払金
税率
―
金額
8,800
31
【事例⑤】毎月完了の保守サービス(1年分前払いの場合)
仕入側
≪2≫仕入返還方式
① 26年3月決算
税率8%で計算することができないため、 1年分を税率5%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
管理諸費
仮払消費税
税率
5%
―
5%
―
金額
勘定科目
10,000 普通預金
500
113,143
5,657
税率
―
金額
129,300
② 27年3月決算
26年4月∼27年2月分は税率5%で仕入返還を行い、改めて税率8%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
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税率
8%
―
金額
勘定科目
110,000 管理諸費
8,800 仮払消費税
税率
5%
―
金額
113,143
5,657
32
(参考)事例⑤で短期前払費用の特例を適用しない場合
仕入側
当社(3月決算)は、26年3月に年間契約(月額1万円・税抜)の事務機器の保守サービスを締結し、この
保守料金を一括して支払いました。26年3月分は税率5%、26年4月∼27年2月分は税率8%となって
います。当社は、各月ごとに費用計上しています。この場合、当社はどのように処理すればよいですか?
① 26年3月決算
26年3月分のみ税率5%で仕入税額控除を行います。
26年4月∼27年2月分の費用は前払費用として翌期に繰り越します。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
前払費用
税率
5%
―
―
金額
勘定科目
10,000 普通預金
500
118,800
税率
―
金額
129,300
② 27年3月決算
26年4月∼27年2月分について税率8%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
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税率
8%
―
金額
勘定科目
110,000 前払費用
8,800
税率
―
金額
118,800
33
【事例⑥】3%の差額分を別途請求された場合
仕入側
適用税率QA 9
当社(3月決算)は、26年3月に年間契約(月額1万円・税抜)の事務機器の保守サービスを締結し、この
保守料金を1年分、税率5%の計算で一括して支払い、短期前払費用の特例を適用しました。しかし、26
年4月になってから、26年4月∼27年2月分について税率8%との差額3%を別途請求されました。この
場合、当社はどのように処理すればよいですか?
≪仕入返還方式≫
① 26年3月決算
1年分を税率5%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
管理諸費
仮払消費税
税率
5%
―
5%
―
金額
勘定科目
10,000 普通預金
500
110,000
5,500
税率
―
金額
126,000
② 27年3月決算
26年4月∼27年2月分は税率5%で仕入返還を行い、改めて税率8%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
税率
金額
勘定科目
税率
金額
管理諸費
8%
110,000 管理諸費
5%
110,000
仮払消費税
―
8,800 仮払消費税
―
5,500
普通預金
―
3,300
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34
(参考)事例⑥で短期前払費用の特例を適用しない場合
仕入側
当社(3月決算)は、26年3月に年間契約(月額1万円・税抜)の事務機器の保守サービスを締結し、この
保守料金を1年分、税率5%の計算で一括して支払いました。しかし、26年4月になってから、26年4月∼
27年2月分について税率8%との差額3%を別途請求されました。当社は、各月ごとに費用計上していま
す。この場合、当社はどのように処理すればよいですか?
① 26年3月決算
26年3月分のみ税率5%で仕入税額控除を行います。
26年4月∼27年2月分の費用は前払費用として翌期に繰り越します。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
前払費用
税率
5%
―
―
金額
勘定科目
10,000 普通預金
500
115,500
税率
―
金額
126,000
② 27年3月決算
差額3%も含めて26年4月∼27年2月分について税率8%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
Copyright© All Right Reserved
税率
8%
―
金額
勘定科目
110,000 前払費用
8,800 普通預金
税率
―
―
金額
115,500
3,300
35
(参考)26年4月決算以後の短期前払費用の取扱い
仕入側
当社(4月決算)は、26年3月に年間契約(月額1万円・税抜)の事務機器の保守サービスを締結し、この
保守料金を一括して支払いました。26年3月分は税率5%、26年4月∼27年2月分は税率8%となって
います。当社は、短期前払費用の特例により、1年分を26年4月決算において費用計上しています。この
場合、当社はどのように処理すればよいですか?
≪短期前払費用の取扱い≫
26年4月決算以後は、26年3月分は税率5%、26年4月∼27年2月分は税率8%でそれぞれ
分けて仕入税額控除を行います。
勘定科目
管理諸費
仮払消費税
管理諸費
仮払消費税
税率
5%
―
8%
―
金額
勘定科目
10,000 普通預金
500
110,000
8,800
税率
―
金額
129,300
26年4月決算以後については、5%と8%が併存するため、仮払金方式や仕入返還方式
のような処理は不要です。
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36
3−4.1年単位で完了する保守サービス
経過措置QA 4
当社(3月決算)は、事務機器の保守サービスを行っており、年間契約(年額○○円)を締結しています。
26年3月1日に1年間(26年3月1日∼27年2月28日)の保守サービスを締結し、1年分の保守料金を
3月10日に受領しています。この場合、当社はどのように処理すればよいですか?
原 則 : 役務の全部を完了する日(27年2月28日)の税率8%
例 外 : 契約または慣行により、1年分の対価を収受し、事業者が継続してその対価を収受した場合に
収益に計上しているときには、26年3月31日までに収益計上したものについて税率5%として
差し支えないとされています(例:中途解約があっても未経過期間分の料金を返還しない取引)。
H26.4/1
8%
原 則
H26.3/1
H27.2/28
1年単位
完了
例 外
H26.3/1
1年分前受け 【収益計上】
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5%
H27.2/28
1年単位
完了
37
テーマ4:工事の請負等
4−1.工事の請負等の原則と経過措置
4−2.長期大規模工事(工事進行基準)
【事例⑦】工期遅延により4月1日以後に引渡しをした場合
【事例⑧】契約金額の増額があった場合
【事例⑨】部分完成基準
【事例⑩】元請業者と出来高検収書
【事例⑪】未成工事支出金
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38
4−1.工事の請負等の原則と経過措置
経過措置QA 17,20
26年3月31日までに引渡しをした場合には、税率5%となります。
一方、26年4月1日以後に引渡しをした場合には、原則として税率8%となりますが、25年9月30日まで
に締結された工事請負契約に基づくものは、経過措置により引渡しの時期にかかわらず税率5%となりま
す。なお、契約日で判断するため、工事の着手日や工事代金の受領日がいつであるかは問いません。
H25.9/30
H26.4/1
3/15引渡し
原 則
5%
4/10引渡し
8%
10/20
契約
経過措置
9/20
契約
4/10引渡し
5%
□ 4月以降の請求書発行時に、契約書・発注書等で契約日を再確認しましたか?
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39
(参考)工事の請負等の経過措置の対象
経過措置QA 18-20,24,34
工事の請負等の経過措置の適用を受けようとする場合には、契約書その他の書類を作成しているかどう
かは要件となっていませんが、経過措置の適用があることを明らかにするためには、契約の締結時期や
工事内容が要件を満たすことについて契約書その他の書類によって明らかにしておく必要があります。
また、取引の相手方に対して請求書等に経過措置の適用の受けた旨を表示するなど通知が必要です。
≪工事の請負等の範囲≫
工事又は製造の請負に係る契約以外に、次の契約が対象となります。
具体的に例示された契約
測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理、
設計、映画の制作、ソフトウエアの開発
その他の請負に係る契約
修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、技術援助、情報の提供に係る
契約 等
委任その他の請負に
類する契約
検査、検定等の事務処理の委託に関する契約、市場調査その他の
調査に係る契約 等
目的物の引渡しを要しない請負等の契約であっても、運送、設計、
仕事の目的物の引渡しが
測量などで、その約した役務の全部の完了が一括して行われるもの
一括して行われるもの
(※月極めの警備保障や期間極めのメンテナンス契約は対象外)
相手方の注文が付されて 船舶、車両、機械、家具等の製作、洋服の仕立て、広告宣伝用資産
いるもの
の製作、建物・機械の修繕など修理や加工等を目的とする請負契約
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40
4−2.長期大規模工事(工事進行基準)
経過措置QA 54
25年10月1日から26年3月31日までの間に長期大規模工事の請負契約等について、長期大規模工事
の規定の適用を受けるときは、工事着手日から26年3月31日までの期間に対応する部分の金額は、税
率5%となります。
H25.9/30
原 則
H26.4/1
4/10引渡し
8%
10/20
契約
経過措置(工事の請負等)
5%
H30 2/10引渡し
9/20
契約
経過措置(長期大規模工事)
H30 3/10引渡し
10/20
契約
5%
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※引渡し時点の税率
41
【事例⑦】工期遅延により4月1日以後に引渡しをした場合
経過措置QA 17,20
当社では、3月までの駆け込み需要による資材不足等により、3月完了予定の建設工事のうち、既に工期
が遅延している建設工事があります。例えば、既に840万円(税率5%で計算)を領収している工事があ
りますが、26年4月1日以後の引渡しになっても税率5%で消費税の申告をしても良いでしょうか?
25年9月30日以前に契約 ⇒
の場合、税率5%
25年10月1日以後に契約 ⇒
の場合、税率8%
本体価格800,000円
消費税40,000円(税率5%)
税込価格840,000円
経過措置
追加請求○
本体価格800,000円
消費税64,000円(税率8%)
税込価格864,000円
追加請求×
本体価格777,778円
消費税62,222円(税率8%)
税込価格840,000円
原 則
□ 工期遅延によって税率8%になるものがないか再度確認しましたか?
□ 仕入側となる場合にも適用税率が正しいか確認しましたか?
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42
【事例⑧】契約金額の増額があった場合
経過措置QA 17,32
25年9月30日までに締結された工事請負契約に基づくもので26年4月1日以後に引き渡されるものに
ついては、経過措置により税率5%となります。しかし、25年10月1日以後に追加工事などによりその契
約の金額が増額された場合には、増額部分については引渡し時期で判定するため、この場合には、原則
どおり税率8%となります。
H25.9/30
H26.4/1
経過措置
4/10引渡し
請求書
9/20
契約
2,000万円
原 則
12/20
追加工事
+100万円
5%
2,000万円部分
8%
100万円部分
□ 追加工事などにより税率8%になる部分がないか再度確認しましたか?
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43
【事例⑨】部分完成基準
適用税率QA 5
建設工事について、「部分完成基準による資産の譲渡等の時期の特例」により、建設工事の全部が終わ
らない場合であっても、その期間内に引き渡した建設工事の量又は完成した部分に対応する工事代金
は引渡しを行った日に消費税の申告をすることになります。このような場合、原則どおり、26年3月31日
までの部分引渡しについては税率5%、26年4月1日以後の部分引渡しについては税率8%となります。
H25.9/30
原 則
10/20
6棟の建物
の建設工事
の請負契約
(経過措置対象外)
H26.4/1
▲
部分完成
による引渡し
▲
部分完成
による引渡し
5%
▲
引渡し
(全部の引渡し完了)
8%
8%
(参考)部分完成基準の適用例
① 1つの契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨
の特約又は慣習がある場合
② 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡したつどその割合に
応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
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44
【事例⑩】元請業者と出来高検収書
仕入側
適用税率QA 10
当社(3月決算)は、出来高検収書を作成し、下請業者に記載事項の確認を受けることにより、その出来
高検収書に基づいて課税仕入れを計上して消費税の申告を行っています。25年10月1日以後に請負
契約を締結し、26年4月1日以後に下請業者に外注した基礎工事について目的物の引渡しを受ける場
合(請負工事の経過措置の対象外)には、どのような処理になりますか? 26年4月1日以後に引き渡さ
れるので、税率8%で計算した工事代金10,800千円を26年3月31日に支払う予定です。
≪仕入返還方式≫
26年3月決算
3月決算では、税率8%とすることができないため、一旦、税率5%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
外注費
仮払消費税
税率
5%
―
金額
勘定科目
10,286 普通預金
514
税率
―
金額
10,800
27年3月決算
税率5%で仕入返還を行い、改めて税率8%で仕入税額控除を行います。
原 則
勘定科目
外注費
仮払消費税
Copyright© All Right Reserved
税率
8%
―
金額
勘定科目
10,000 外注費
800 仮払消費税
税率
5%
―
金額
10,286
514
45
【事例⑪】未成工事支出金
仕入側
適用税率QA 7
当社(3月決算)は、建物工事に係る目的物の完成前に行った課税仕入れ等について、未成工事支出金
として経理した場合も①課税仕入れ等をした期間に仕入税額控除を行っていますが、②目的物の引渡し
をした期間に仕入税額控除を行うことも継続適用を条件として認められています。①と②のケースで、そ
れぞれどのような処理をすればいいでしょうか?
≪未成工事支出金≫
①のケース 26年3月決算 原則どおり税率5%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
税率
金額
勘定科目
税率
原 則
未成工事支出金 5%
10,000 普通預金
―
仮払消費税
―
500
金額
10,500
②のケース 26年3月決算(完成前)
勘定科目
原 則
未成工事支出金
税率
―
金額
勘定科目
10,500 普通預金
税率
―
27年3月決算(引渡し) 税率5%で仕入税額控除を行います。
勘定科目
税率
金額
勘定科目
税率
材料仕入高
5%
10,000 未成工事支出金
―
仮払消費税
―
500
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金額
10,500
金額
10,500
46
テーマ5:経費(仕入側の留意点を中心に)
5−1.旅費交通費
5−2.水道光熱費
5−3.通信運搬費
5−4.租税公課(印紙税)
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47
5−1.旅費交通費
経過措置QA 6-8
原則として、電車、バス、船舶、航空機などの旅客運賃については、26年4月1日から税率8%になります。
ただし、26年3月31日までに定期券、回数券、前売指定席券などを購入(チケットレスサービスによる購
入含む)している場合には、26年4月1日以後に利用しても税率5%になります。
原 則
3/20購入
H26.4/1
8%
5%
乗車
乗車
経過措置
5/10購入
3/28購入
5%
6か月定期券
26.3/28∼26.9/27(6か月間乗車可)
26.4/4∼26.10/3(6か月間乗車可)
□ 運賃見直しに伴い、電車・バス通勤者に対する通勤手当の変更を周知・準備しましたか?
□ 26年3月31日時点で一旦、経費精算を徹底することを検討しましたか?
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48
(参考)交通機関各社の対応
経過措置QA 7
≪電車・バス≫
運賃改定時期
運賃の改定単位
定期券
JR東海、名鉄、名鉄バス、
近鉄、愛知環状鉄道など
JR東日本、東京メトロ、
都営地下鉄、西武鉄道、
東武鉄道、東急、京浜など
10円単位
名古屋臨海高速鉄道
(あおなみ線)
ICカード購入:1円単位
切符購入:10円単位
26年4月1日∼
10円単位
JR西日本、阪急、南海、
大阪市営地下鉄など
名古屋市営地下鉄・市バス
普通運賃
26年9月1日∼
10円単位
未定
(26年3月12日時点)
【誤りやすい点】 ICカードへのチャージを26年3月31日までに行っても経過措置の対象とならない
ため、利用した日の料金となります。
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49
5−2.水道光熱費
経過措置QA 11-13
電気料金、ガス料金、水道料金についても、原則として26年4月1日以後は税率8%となります。
ただし、電気料金、ガス料金、水道料金で26年3月31日以前から継続して提供され、26年4月1日から
26年4月30日までの間に検針等で確定した料金で一定のものについては、経過措置により税率5%と
なります。
5%
原 則
2/17
(1か月)
8%
H26.4/1
3/16 3/20
請求
4/17
(1か月)
検針
5/16 5/20
請求
検針
5%
経過措置
3/17
(1か月)
4/16 4/20
請求
検針
□ 4月以後に来る請求書で経過措置の対象となるものについて税率を5%にしましたか?
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50
5−3.通信運搬費
経過措置QA 11,14-15
通信料金についても、原則として26年4月1日以後は税率8%となります。
ただし、電話料金やインターネット通信料金等で26年3月31日以前から継続して提供され、26年4月1
日から26年4月30日までの間に確定した料金で一定のものについては、経過措置により税率5%となり
ます。なお、インターネット通信料金で使用料に関係のない定額料金は対象となりません。
5%
原 則
2/16
8%
H26.4/1
4/1
請求
3/15
(1か月)
4/16
5/15
(1か月)
確定
6/1
請求
確定
5%
経過措置
3/16
4/15
(1か月)
5/1
請求
確定
□ 4月以後に来る請求書で経過措置の対象となるものについて税率を5%にしましたか?
□ 経過措置の対象にならないものの税率を間違えて5%にしていませんか?
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51
(参考)郵便料金(日本郵便HPより)
券
種
普通切手
郵便ハガキ
郵便書簡
レターパック
(特定封筒)
種
類
発行年月日
2円、52円、82円、92円、205円、280円、310円
52円(通常ハガキ)、104円(往復ハガキ)
26年3月3日
62円
510円(レターパックプラス)、360円(レターパックライト)
26年3月24日
手持ちの切手、はがき、郵便書簡及びレターパックは、26年4月1日の郵便料金変更後も使用できます
か?(日本郵便HPのQ&Aより抜粋)
26年4月1日の郵便料金変更後も、お手持ちの切手は使用できます。お手持ちのはがき、郵便書簡及び
レターパックについては、郵便料金値上げ後は、差額分の切手を貼付して、又は差額をお支払いいただく
ことで使用することが可能です。
□
ゆうパックも含めて26年4月1日から新料金となるため、社内・院内のルールの変更
や郵便切手等の切替えの準備をしましたか?
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52
5−4.租税公課(領収証等と印紙税)
領収証・領収書・受取書・レシートなど(金銭又は有価証券の受取書)については、記載された受取金額が
3万円未満のものが非課税とされていましたが、消費税率引上げに伴い、26年4月1日以後に作成され
るものについては、5万円未満のものが非課税となり、印紙を貼る必要がありません。
H26.4/1
領収証
26年3月28日
商品A 本体価格40,000円
消費税
2,000円
□
□
印紙
必要
領収証
26年4月2日
商品A 本体価格40,000円
消費税
3,200円
印紙
不要
消費税の金額が容易に判断できる領収証等は、その消費税を含めずに税抜金額で5万円
未満かどうかを判定できる点も含め、従業員教育を徹底しましたか?
不動産譲渡契約書や建設工事請負契約書についても26年4月1日以後に作成されるも
のから印紙税が変更となる点について周知しましたか?
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53
【まとめ】4月1日前後のイベントカレンダー
月
火
水
木
金
土
日
3/10
11
12警備料支払い 13
14給与計算
15
16
17
18リース契約
19
20 売上〆日
21
22電気検針日
23
24
25 給与支払日
26
27
28
29
30
4/1
2
3 東京出張
4
5
6
31
請求書発行
家賃支払い
入社式
春分の日
7
8
9
10
11
12
13
14給与計算
15
16
17
18
19
20
21売上〆日
22電気検針日
23
24水道検針日
25 給与支払日
26
27
28
29 昭和の日
30 請求書発行
5/1
2
3 憲法記念日
4 みどりの日
家賃支払い
□ 4月1日前後にある取引で、消費税率引上げの影響があるものを洗い出しましたか?
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54
最新情報について
本資料の追加情報・正誤等がある場合や、今後の税制改正等の最新情報については、随時、弊法人の
ホームページ(http://www.meinan-tax.or.jp/)の「コラム・レポート」にて掲載する予定ですので、ご確認
ください。
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