サーバー仮想化環境におけるバックアップの考察 株式会社シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャ 浅野 百絵果 2008年11月21日 サーバー仮想化技術の普及 大規模環境において多くの利点がある • コストメリット – サーバー統合によるハードウェアコストの削減 • 管理 – 新規サーバーを容易に追加 • アジリティ – サーバーサービスがハードウェアに依存しない • フレキシビリティ – ハードウェアの互換性による問題を軽減 • ディザスタリカバリ – 別の場所・ハードウェアに迅速にリストア サーバー仮想化によるリソースの効率化 • システムリソースが効率的に利用できないケースがある • サーバー統合により、リソースを有効に活用する サーバー仮想環境に特有の課題 VMware環境のバックアップでは、物理環境とは 異なる課題が存在する – 容易にサーバーを追加できることにより、仮想マシンの増殖 が起きることがあり、設定や管理が大変になることがある – 仮想マシンの増殖により、ストレージの容量が増える – 「プロキシサーバー」およびハードウェア間での仮想マシン の移動により、バックアップ/リストアが複雑になる – バックアッププロセスはI/OおよびCPUリソースを多く必要と する処理のため、複数の仮想マシンのバックアップを同時に 実施することによりESXサーバーに対する負荷が増える 仮想化によるメリット 仮想化環境のバックアップには課題もあるが、 メリットもある: • VMwareのスナップショットテクノロジ (VCB)により、パフォーマンスの良い オフホストバックアップが可能になった • 別のハードウェア、別の場所へのディザ スタリカバリが容易 P V V V VMware ESX のアーキテクチャ 仮想マシンは、 Windows、 Linux、 Solaris x86等で動作 させることが可能 VMDKファイルは 仮想マシンそのもの ESX Service Console は RHELをベースにしている VM1 VM2 VM3 VM4 VMDK VMDK VMDK VMDK VMware ESX Server 仮想マシンと一概に言っても・・・ 仮想マシンのタイプ ミッションクリティカル • 固有のOSイメージ • 大量のデータ • SAN/NAS 接続 • アプリケーション整合性 部門の アプリケーション • 固有のOSイメージ • データセンター以外の 場所 • ローカルストレージ ファイル プリント • 標準的なOSイメージ • 大量のデータ • 個別のリカバリ コモディティ サーバー • 標準的なOSイメージ • 重要度の低いデータ • ベストエフォートのリカ バリが許容できる リモートオフィス • 地理的に離れている • 一部のクリティカルな アプリケーション • 個別のリカバリ データ保護とリカバリにおける考慮 • バックアップ:クライアントまたはオフホスト • リカバリ: 仮想マシン、ファイル、アプリケーション • ストレージ: DAS または SAN/NAS • DR: ローカルまたはリモートのリカバリ • 保護:データまたは仮想マシン + データ • 保管:レプリケーションまたはテープの移送 • 場所:静的または移動 従来からのバックアップ手法 • 仮想マシンのバックアップには様々な 課題がつきまとう – 仮想マシンをクライアントとしてバックアップ するのが良いのか? – VMDKファイルをバックアップするのが 良いのか? – VM上のDBをバックアップするには? • 考慮すべきこと – バックアップのプロセスには多くのI/Oリソースを要する – 仮想マシン上のバックアップが別の仮想マシンに影響を及ぼす恐れが ある • ベストなバックアップ手法は、それぞれの環境によって異なる 手法 ① 各ゲストOS上にNBUクライアントをインストール 各仮想マシン上に NetBackup クライアントを インストール VM1 VM2 VM3 VM4 手順としては 最も単純 VMDK VMDK VMDK VMDK = NetBackup クライアント VMware ESX Server 手法 ① メリット/デメリット • メリット – バックアップ/リストア手順が通常と同じ – ファイル単位でのバックアップ/リストアが可能 – フルバックアップ、差分バックアップが可能 – アプリケーションを意識したバックアップが可能 • デメリット – バックアップのためのI/O処理が別の仮想マシン に影響を与える 手法 ② Service Console 上に NBU クライアントをインストールし VMDK ファイルをバックアップ NetBackup クライアン トは ESX Service Console 上にインストール VM1 VM2 VM3 VM4 VMDK VMDK VMDK VMDK バックアップクライアン トは ESX Service Console を サポートする必要がある VMware ESX Server = NetBackup クライアント 手法 ② メリット/デメリット • メリット – ディザスタリカバリ対策が容易 – ファイルをバックアップする手順でシステム全体のバックアップ が可能 • デメリット – ファイル単位でのリストアはできない – 毎回 VMDK ファイル全体をバックアップする必要があるため、 差分/増分バックアップはできない – バックアップ処理はすべての仮想マシンに影響を与える – VMDK ファイルの整合性を保つため、静的な状態にする必要 がある (仮想マシンのシャットダウン/再起動が理想的) 手法 ③ VMware Consolidated Backup の活用 • VCB (VMware Consolidated Backup)とは・・・ – ESX 3.x で使用可能 – バックアップの実行前に仮想マシンのイメージのスナップショットを作 成し、そのイメージを別のマシンにマウント – 最低限の負荷でオンラインでのバックアップが可能 – Veritas NetBackup 6.5 はVCBをネイティブにサポート VM VM VM Proxy Driver VMware ESX VMDK VMDK Best of VMWorld Gold Award for Data Protection and Security 手法 ③ VMware Consolidated Backup の設定 VMDKファイルは 両方のシステムから アクセスできる ストレージに保存 VM1 SYNC ドライバー ESX Service Console VMDK VMware バックアッププロキシ NetBackup メディアサーバー (Windows Server 2003) SAN 手法 ③ VMware Consolidated Backup のプロセス NetBackupからSyncドライバに対して 以下のように指示 ディスクバッファの開放 ファイルシステムの静止点を作成 VMDKの書き込みを停止 REDOログを作成 VM1 SYNC ドライバ ESX Service Console REDO VMDK VMware バックアッププロキシ NetBackup メディアサーバー (Windows Server 2003) SAN 手法 ③ VMware Consolidated Backup のプロセス この時点で: VMDKファイルは静的な状態 VDKファイル内のデータには 一貫性がある VM1 SYNC ドライバ ESX Service Console REDO VMDK VMware バックアッププロキシ NetBackup メディアサーバー (Windows Server 2003) SAN 手法 ③ VMware Consolidated Backup のプロセス • VCBでは2通りのバックアップが可能になります。 • 1) ファイルレベル – OSのイメージがバックアッププロキシにマウントされる – バックアッププロキシには何もコピーされない (データ転送はバックアップ時に発生) – OS全体をリストアするには不向き • 2) 仮想マシン全体(VMDKレベル)のバックアップ – すべてのVMDKファイルがバックアッププロキシにコピーされる – OSレベルでのリストアに最適 – 個々のファイルのリストアはできない 手法 ③ VMware Consolidated Backup のプロセス 1) ファイルレベル vLUN ドライバが動作: VMDKブロックを読み込み、 個々のファイルに変換 バックアップ開始 VM1 SYNC ドライバ vLUN ドライバ ESX サービスコンソール REDO VMDK 仮想マシンのディスク はバックアッププロキ シにフォルダとしてマ ウントされる SAN 手法 ③ VMware Consolidated Backup のプロセス 2) 仮想マシン全体 VMDK ファイルはバックアッププロキシ にコピーされる • スナップショットはコピープロセスの 途中でのみ存在 • vLUN ドライバは使用されない VM1 SYNC ドライバ ESX サービスコンソール REDO VMDK VMDK ファイルが バックアッププロキシ にコピーされる SAN 手法 ③ Veritas NetBackup 6.5 でのVCBの活用 • VMware VCBテクノロジとNetBackupのGranular Recovery Technologyを利用 – リストアオプションの充実: 単一のバックアップから個々のファイルおよ びVMDKの両方のリストアが可能 – NetBackupによりプロセスを自動化: VCBにより仮想マシンを操作し、 一貫性を保証 – スクリプト不要: バックアップポリシーの中で設定が可能 – ホスト名のマッピング: 仮想マシンのホスト名を正しく認識、仮想マシ ン上にNetBackupクライアントは不要 – ファイルの操作: NetBackupでVMDKファイルをマッピングおよびカタ ログ化することにより、個々のファイルとVMDKリストアの両方が可能 – VMware Converterとの連携: OS全体のリストアを容易に 手法 ③ Veritas NetBackup 6.5 で可能な VMware Consolidated Backup 1) 個別のファイルのバックアップとリストア – 個別のファイルをバックアップおよびリストア – バックアッププロキシにはコピーされず、イメージがマウントされるのみ 2) 仮想マシン全体のバックアップとリストア – VMDKファイルのみのバックアップおよびリストア – 頻度の低いバックアップに向いている – 個別のファイルに対するインデックスは作成されない 3) 仮想マシン全体からの個別のファイルのリストア – VMDKファイルをバックアップ、個々のファイルまたはVMDKファイルをリストア – 単一のバックアップから個別のファイルと仮想マシン全体の両方のリストアが可能 手法 ④ Veritas NetBackup PureDisk を各ゲストOS上に インストール • NetBackup PureDiskは、サーバー仮想化環境のバックアップに最適! – Windows、Linux および Solaris ゲストOSをサポート – Microsoft Exchange & SQL Server アプリケーションをサポート – ゲストOSとアプリケーションの重複を激減 – 高速なゲストOSのフルバックアップ – データセンター内のNetBackup経由でテープにエクスポート可能 • CPUへの負荷を10倍以上軽減 VM • バックアップデータ量自体を激減 (1/50 – 1/500倍) VM VM VMware ESX PureDisk NetBackup ストレージ を利用してテープ プール にエクスポート 手法 ④ Veritas NetBackup PureDisk による グローバルな重複排除: 初回バックアップ メタベースサーバー + エンジン C:¥Documents and Settings¥AAA¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 05/05/2005 A B C 00101 00011 10101 D E コンテンツ 11001 11100 F G 00010 11111 H FP1 011 101011 A B C 00011 10101 D E コンテンツ 11001 11100 F G 00010 11111 FP1 C:¥Documents and Settings¥BBB¥My Documents¥ PureDisk_2006_Wim.xls 920 KB 06/10/2005 FP1 C:¥Documents and Settings¥CCC¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 06/20/2005 FP1 WAN C:¥Documents and Settings¥BBB¥My Documents¥ PureDisk_2006_Wim.xls 920 KB 06/10/2005 00101 C:¥Documents and Settings¥AAA¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 05/05/2005 FP1 H FP1 011 コンテンツルータ 101011 A B C D E F G H C:¥Documents and Settings¥CCC¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 06/20/2005 A B C 00101 00011 10101 D E F コンテンツ 11001 11100 00010 ソース上で保護されているデータ量: G 11111 H FP1 011 データ量の 削減 101011 2,760 KB 1,840 KB 920 KB 0 KB グローバルなデータ重複排除後のデータ保管量: 50% 75% 83% 0% 460 KB 0 KB 手法 ④ Veritas NetBackup PureDiskによる グローバルな重複排除: 2回目以降のバックアップ メタベースサーバー + エンジン C:¥Documents and Settings¥AAA¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 05/05/2005 コンテンツ C:¥Documents and Settings¥BBB¥My Documents¥ PureDisk_2006_Wim.xls PureDisk_2006_Wim_v2.xls 920 KB 970 KB 06/10/2005 06/21/2005 A B 00101 00011 O C D F G 更新されたコンテンツ 10101 コンテンツ 11001 01011 00010 11111 C:¥Documents and Settings¥AAA¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 05/05/2005 FP1 C:¥Documents and Settings¥BBB¥My Documents¥ PureDisk_2006_Wim.xls 920 KB 06/10/2005 FP1 C:¥Documents and Settings¥CCC¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 06/20/2005 FP1 C:¥Documents and Settings¥BBB¥My Documents¥ PureDisk_2006_Wim_v2.xls 970 KB 06/21/2005 FP2 WAN P 1101 コンテンツルータ FP1 FP2 011011 A B C D E F G H O C:¥Documents and Settings¥CCC¥My Documents¥ PureDiskBudget_2006.xls 920 KB 06/20/2005 データ量の 削減 コンテンツ ソース上で保護されているデータ量: 2,760 KB 4,650 KB 5,570 KB 3,680 KB 920 KB FP2 グローバルなデータ重複排除後のデータ保管量: 83% 87% 89% 0% P 460 KB 460 KB 588 KB 手法 ④ Veritas NetBackup PureDiskによる利点 • 帯域幅の削減 – ネットワーク経由でのバックアップデータ量が最大50分の1に削減 • ストレージ効率の向上 – 典型的な「週次フル/日次増分 バックアップ」と比較し、10分の1程度まで削減 • バックアップ処理時の必要なリソースの削減 – クライアント側で重複データを排除するため、バックアップに 要するI/Oリソースを大幅に削減 • 容易な管理 – CIFSインターフェースまたはWebブラウザ経由でのリストア – Webブラウザでの管理画面 • セキュリティの確保 – パスワードによる保護(Active Directoryなどとの連携も可能) – データの転送時およびストレージ上での保管時の暗号化 手法 ④ Veritas NetBackup PureDisk 日次でのデータ削減効果 業種 データの種類 重複排除率 削減係数 元データ (GB) 転送量 (GB) 官公庁 リモートのファイルサーバーで、 Office文書がWindows 2003 サーバーに存在 99.79% 476:1 714.04 1.50 製造業 リモートのファイルサーバーで、 Office文書がWindows と Unixファイルシステムに存在 99.21% 130:1 2683.54 20.72 金融業 Office文書、MS Exchange、 レジストリのバックアップ (20%)が混在 97.89% 47:1 1073.21 22.76 石油/ガス リモートのファイルサーバーで、 Office文書がWindows 2003 サーバーに存在 99.84% 744:1 848.33 1.14 官公庁 リモートオフィスとセントラルオ フィス 99.74% 386:1 4332.26 11.23 重複排除率:日次のバックアップ データのうち、PureDiskが重複データだと判断する割合(%) 削減係数:PureDiskと従来のバックアップ手法で転送されるデータ量の削減割合(元データ量/伝送量) 仮想マシンの保護に対するアプローチ 仮想マシン上のバックアップ(通常のNetBackupクライアントまたはPureDiskクライアント) 仮想マシン上のクライアントおよび アプリケーションエージェント バックアップサーバー およびストレージ C A C C ESX Server P P シンプル O 通常のクライアントの場合の負荷 DBエージェントを活用 P PDクライアントでは負荷が軽い VCBによるオフホストバックアップ(データ、またはデータおよびVMDK) バックアップサーバー およびストレージ A ESX Server 共有 ストレージ A アプリケーションエージェント C クライアント P P P P – ESX サーバーへの負荷を軽減 自動ディスカバリ 個々のファイルとVMDKファイルの両方 圧縮、重複排除 ゲスト上よりも重複排除率が低い 仮想マシンの保護に対する要件 ミッション Mission Critical, クリティカルな Departmental VMs 仮想マシン ファイル、プリント、 File and Print, リモート、コモディ Remote, and ティ仮想マシン Commodity VMs I/Oボトルネックの回避 P P 個別のファイルのリカバリ P P VM イメージリカバリ P O アプリケーションの整合性 P – 最低限の手順変更 P P 自動 VM ディスカバリ – – ハードウェアに依存しない – – 重複排除/圧縮 – P NetBackupソリューションとのマッピング ミッション クリティカルな 仮想マシン Enterprise Client および VCB/PDDO ファイル、プリント、 コモディティ、 リモート仮想マシン PureDisk Client I/Oボトルネックの回避 P P P P 個別のファイルのリカバリ P P P P VM イメージリカバリ P P O O アプリケーションの整合性 P – – – 最低限の手順変更 P – P P 自動 VM ディスカバリ – P – O ハードウェアに依存しない – P – P 重複排除/圧縮 – P P P 最適な VMware 環境の保護手法 • ゲストOS 上のバックアップクライアント ○ I/O 負荷の高いアプリケーションの保護に最適 × ハードウェアのリソースを多く消費する • ESX Service Console 上のバックアップクライアント ○ 仮想マシンのディザスタリカバリに最適 × ファイル単位でのリカバリは不可 • VMware Consolidated Backup の活用 ○ 容易なディザスタリカバリとファイル単位のリカバリを実現 × VCBのためのインフラ追加が必要 • ゲストOS 上に NetBackup PureDiskをインストール ○ 簡単な操作でリソースの節約とバックアップウィンドウの短縮が可 能に × PureDisk クライアントが必要 仮想化テクノロジによるサーバー統合を実施する際には、 バックアップについても設計に組み込むことが大切 NetBackup で実現するバックアップ ミッションクリティカル 部門の アプリケーション ファイル プリント コモディティ サーバー リモートオフィス リモートオフィス 標準的な クライアント バックアップ クライアント サイドの 重複排除 バックアップ 基幹 VMware クラスタ クライアントサイドの 重複排除 および レプリケーション VCB バックアップ バックアッププロキシ メディアサーバー バックアップイメージの レプリケーション PureDisk バックアップインフラ VMware GRT データセンター ボールト DRサイト ありがとうございました。 Symantec and Symantec Vision are registered trademarks of Symantec in the U.S. and in other countries. The other company names or products mentioned are or may be trademarks of their respective owners. このセッションに関連する詳細な情報は、こちらから・・・ • VMware対応ソリューション – www.symantec.com/jp/vmware • 仮想化がもたらしたバックアップのパラダイムシフト – www.symantec.com/ja/jp/business/library/article.jsp?aid=20080401_next_gen eration_data_protection • Veritas NetBackup、2007年VMWorldにおいて最優秀賞受賞 – www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20071009_01 • サーバーの仮想化:管理上の課題への対応 – www.symantec.com/content/ja/jp/enterprise/white_papers/dcm_wp_server_vir t.pdf • Veritas NetBackup 6.5~ストレージライフサイクルポリシーを使用したバック アップの設計と実装 ~ – www4.symantec.com/offer?a_id=64247 • データ重複排除を可能にするVeritas NetBackup PureDisk – www.symantec.com/jp/chofukuhaijo
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