ソフトパワーで日本の回生をめざせ - 日本ユニシス

1999
No.455
3
ソフトパワーで日本の回生をめざせ
株式会社電通総研副主任研究員
袖川 芳之氏
●3つのソフトパワーで復活したアメリカ
ソフトパワーとは、周囲の環境を自分の都合
の良いようにコントロールするために、無理や
り相手を押さえつけて服従させるのではなく、
相手が自ら納得して従ってくるように、自らの
魅力を発揮する力である。
アメリカは情報技術、ドル、英語という3つの
ソフトパワーを発揮し、世界を魅了している。
情報技術は世界を1つの巨大な市場として結び
付け、そこに効率性とスピードの論理を導入し
た。そこでは情報技術を持つものと持たざるも
のとの格差が回復不可能なほどに圧倒的なもの
となる。また、情報技術は規模の経済性を最大
限に発揮するので、圧倒的な寡占状況を作り出
し、後発企業にあせりを感じさせる。このよう
な情報化の持つ魅力によって、好むと好まざる
とにかかわらず、我々は情報化を受け入れざる
を得なくなっている。
ドルはアメリカの第2のソフトパワーである。
ドルは世界中で取引されているため、アメリカ
企業は世界のどこであっても、為替リスクを負
わない。中小規模の経済国は、国際的価値を維
持するために自国通貨をドルと連動させている。
それでも維持できないときにはアルゼンチンの
ようにドルをそのまま国内通貨としてしまう。
このような国では、自国の経済がアメリカ国内
の経済状況によって影響されてしまい、アメリ
カ経済とある程度一体化してしまう。
アメリカの第3のソフトパワーは英語である。
アジアでも国際的なビジネス言語は英語である。
日本に学びにくる留学生は1994、5年に5万5千人
に近づいたのをピークに減少し、特にアジアの
学生は英語圏への留学に魅力を高めている。彼
らは日本語よりも英語を学ぶほうが、自分のキ
ャリアに有利になると考えている。留学生は、
主
な
記
事
◆ユーザ事例
*豊田合成−会計情報システム再構築への取り組み
(4面)
*スリープロ−Tiny Call Centerの導入で業務効率25%
向上
(5面)
*野村総合研究所−MERCATORを活用しグループ企
本国に戻ってから政府の要職、経営者、大学の
教師になる人が多い。彼らが自国で展開するの
は、自分が学んだ欧米流の管理手法や知識であ
る。このようにして、アジアの政治、経済、教
育は欧米化し、日本的なやり方に対して排他的
になっていく。
●ソフトパワーの衰退が日本の不調の原因
アメリカは情報技術、ドル、英語という3つの
ソフトパワーによって経済・社会の活力を回復し
たのである。その陰で、かつては国際的評価を
受けた日本型経営、ジャパン・マネー、東洋の奇
跡と呼ばれる経済成長を達成した誇りや他国か
らの尊敬など、日本のソフトパワーは衰える一
方である。このように見てくると、90年代に日
本が急速に活力を失ったのは、日本経済の停滞
によるよりも、実は日本のソフトパワーの先行
きに自信を失ってしまったことが原因ではない
かと思えてくる。
●文明史から見た日本の回生への道
文明の衰亡するパターンには2つある。1つは
世界的な覇権を達成した古代の帝国の衰亡で、
これはローマ帝国のように、長い時間をかけて
滅亡への道を歩んでいく。もう1つは近代から現
代の中規模国家の盛衰で、何度も衰亡と繁栄を
繰り返す。イギリスは後者の例で、ビクトリア
朝以来10回の盛衰を経験し、現在は11回目の繁
栄期を迎えている。
「大国の興亡」の著者であるポール・ケネディ教
授は、国家が回生するためには、リーダーが登
場しなければならないという。しかし、日本人
からリーダーが現われるだろうか。集団的な日
本人としての力の発揮や合意による決断は得意
でも、1人の人間として判断し、行動するスキル
に欠けている。
これは戦後50年にわたって平和の中で暮らし、
業の資金管理を効率化
(6面)
*高知新聞社−広告局業務支援システム稼働 (9面)
*フォルクスワーゲン グループ ジャパン−ユニア
デックスのヘルプデスク・サービスを活用 (10面)
*筑邦銀行−新システムセンター竣工
(11面)
*大畑建設−電子メールとWWWによる既存情報資
長い成長を経験した負の遺産である。今、日本
の緊急の課題は、欧米人と1対1で対峙できる日
本人を作り上げることである。
●人間への投資でヒューマン・フロンティアを拓く
そのために必要なのが、「人間への投資」であ
る。20世紀には経済成長のために、設備や公共
事業により多く投資が行われた。しかし、21世
紀には人間に投資することによって、能力のあ
る個人を育て、個性が活き活きと輝いている社
会を目指さねばならない。リーダーとはそのよ
うな中からしか生まれないからである。
具体的には、日本人の中でのみ競争せず、広
く世界のレベルと渡り合い、日本一であるより
は世界一、人間一となるよう、高いハードルを
設定することである。これは、現在生きている
人間のフロンティアを開拓する作業でもある。
このヒューマン・フロンティアを開拓する精神力
が、リーダーシップにつながっていく。
●10年先は予測できない
日本には、資源や国土に乏しいがゆえに突出
してきたマイクロ技術や環境技術がある。今後
の省資源を余儀なくされる世界において、資源、
エネルギーを浪費する経済のあり方は、根本的
に競争力と魅力を失うだろう。日本のソフトパ
ワーが再び脚光を浴び、世界のスタンダードに
なる可能性は少なくない。
文明史が教えるように、文明の盛衰は連続的
な変化では進まない。50年前は日本人の誰一人
として世界第2位の経済国になることは予想して
いなかっただろう。10年前には成長に翳りの見
える欧米を尻目にアジアの成長が輝いていた。
未来を現状の延長でのみ捉えて悲観せず、人間
の持つ創造力で新たな未来を描くことが求めら
れている。
産照会システムの統合化
(14面)
*科研製薬−クライアント/サーバ型の「新会計シス
テム」を構築
(16面)
◆ IT最前線
*EDIを実現するためのデータ・マッピングツール
「MERCATOR」
(7面)
*Terminal ServerPlus「シンクライアント・ソリュー
ション−HMP NX/LX」
(8面)
*「電子帳簿保存法」の概要と企業の対応
(12面)
*「システム監査Q&A110」について
(13面)
◆News From Unisys
*連結会計システム「DivaSystem」提供開始ほか (15面)
特集:新情報システムの構築
−フロント・オフィス、バック・オフィス革新の新しい波
◆日本ユニシスのホームページ=http://www.unisys.co.jp/users/unisys news/index.html(ユニシス・ニュース全文を公開)
特
集
新情報システムの構築
−フロント・オフィス、バックオフィス革新の新しい波
ナレッジ・マネジメントによる付加価値創造への挑戦
日本ユニシス株式会社
クロスマーケット営業本部 営業開発室長
企業の知的資産の有効利用を図る
ナレッジ・マネジメント
木村 勉
年最優秀企業に選ばれたバックマン・ラボラトリー
設したのは、多様化、高度化する市場の要求に対応
ズ社のCEO、ロバート・バックマン氏は「ナレッジ・
するためであるのは勿論だが、他方これは先に述べ
マネジメント・システムの構築に終わりはない。…
たナレッジ・マネジメントへの日本ユニシスとして
1位:ルーセント・テクノロジーズ社、2位:イン
…ナレッジ・マネジメントへの取り組みは、(情報化
取り組みの一環でもある。
テル社、3位:モンサント社。いずれも米国の優良
に続く)世界経済の『第四の波』になるだろう」(日
取り扱い商品でもあるVantiveによるSFA(Sales
企業であるが、一体何のランキング順位かお分かり
本経済新聞、99年2月8日)と述べており、ナレッジ・
Force Automation)システム「INTIMAX」を当本部内全
だろうか?
マネジメントは今後の企業経営にとって見落とせな
員および関連の企画部門、マーケティング部門、サ
い視点の1つとなっている。
ービス部門にも導入、製品情報、技術情報、提案書、
実はこれは、英国の調査会社テレオスがフォーチ
ュン500社を対象に実施したナレッジ・マネジメント
導入度調査の1998年ランキング上位3社であり、以
下、アーンスト・アンド・ヤング社、ゼロックス社、
顧客情報、セールス状況などを一括管理、共有して
新組織、ITを最大限に活用し
ナレッジ・マネジメント実現を目指す
アーサー・アンダーセン社と続く。
ガートナー・グループによればナレッジ・マネジメ
いるが、これはSFAシステムであるとともにナレッ
ジ・マネジメント支援システムでもある。このよう
にITを最大限に活用してナレッジ・マネジメントを
ところで日本ユニシスは昨年の4月、従来からの
実現、日本ユニシスとしての新しい価値を創造して
ントとは、「企業の情報資産を把握、獲得、検索、
業種別体制に加え、業種共通、横断分野を担当する
お客様に提供するのが当クロスマーケット営業本部
共有、評価するための統合アプローチ」であり、こ
専門部隊としてクロスマーケット営業本部を新設し
に与えられたミッションである。
れにより「企業の知的資産の有効活用が図られ、新
た。従来からの業種別体制の中で、金融、社会公共、
しい価値の創造と付加価値ビジネスの実現ができ
製造・流通などの業種を経験した営業職、システム
去る1月20∼22日の3日間、当社本社において、ク
る」としている。
職総勢約80名が集められ、ERP(Enterprise Resource
ロスマーケット営業本部設立後9カ月間の活動の成
ここでいう「企業の情報資産」には、データベース
◇
Planning)、CRM(Customer Relationship Management)、
果の一端をご報告すべく、新春ソリューション・フ
のコンテンツ、ドキュメント、ポリシー、プロシー
I-Commerce(インターネット・コマース)など、業種
ェアを開催した。(施設の関係で一部のお客様のお
ジャから、従業員個々の手帳のメモ(業務に関する
共通・横断分野を担当している。約80名の要員は数
申し込みをお断りせざるを得なかったことをこの紙
記述)や頭脳に蓄積された専門知識、技能、経験も
名程度のチームで活動しているが、それぞれのチー
面をお借りしてお詫びいたします)
含む。また、ナレッジ・シェアリングについては、
ムは各業種経験者が1名以上いるように編成されて
「ナレッジ・シェアリングは個々のアクションであ
おり、日々の活動の最小単位であるチーム内でも業
り、それだけでは単なる情報交換に過ぎず、ナレッ
種を跨る議論ができるようにしている。
ジ・マネジメントという全体を統合する概念と結び
ついて初めて新しい価値を創造できる」としている。
冒頭に紹介した調査の「経営者の関与」部門で1998
さらにERP、CRM、I-Commerceそれぞれの担当
本号ではセッションの一部を紙上で再現した。
クロスマーケット営業本部は99年度に向けさらに
陣容を強化する予定であり、ナレッジ・マネジメン
トのより高いレベルでの実現を図り、そこから創造
チームが混在するように営業部を編成、業種経験と
される新しい価値をもって、
“Solution Creators ”
専門知識の共有を図っている。このような組織を新
ユニシスの一翼を担う所存である。
1980年代後半、「国際競争力低下の危機」に見舞
ていくことができる。
製品・サービス・顧客・組織体単位の収益性を
把握し間接費の削減を可能にする
われた米国企業がビジネス改革を進める際、ABC
顧客コストを明らかにすることで顧客ごとの
が大いに役立ったと評価され、米国ではかなり
収益性分析や、顧客の選択・集中の意思決定に役
ABC(活動基準原価計算)
ABM(活動基準管理)
普及している。
立てることができる。
●企業内「活動」のコスト情報を意思決定、業績評
我が国でもABCを導入済みの企業も多く、製造
商品・サービスのコストを算出することで、よ
業、銀行、商社などでも導入準備を進めており、
り正確な商品コストが把握でき(原価計算)、商品
産業界全般での導入が加速すると見られている。
価格の決定の指標とすることができる。
●活動コストを明らかにし顧客/商品・サービス別
●ABC/ABMのフレームワーク
価・改善に活かす
コストを算出
日本ユニシスは、世界的に著名なABC/ABMソ
ABCの目的は、①活動のコストを知り、分析や
フトウェア・パッケージ「Oros/EasyABC」のベンダ
改善活動につなげる、②顧客や商品・サービス別
①一般会計システム(損益計算書、総勘定元帳な
である米国ABC Technologies社から認定を受けた
のコストを知り、分析や意思決定に有用な情報
ど)から財務データを、業務システム(人事、生
コンサルタントによるABC/ABMコンサルティン
を提供する点にある。
産、販売などのシステム)その他から業務デー
グ・サービスを提供している。
ABCとは、企業活動のためのコストを洗い出し、
ABC/ABMのフレームワークは以下のとおりで
活動コストを明らかにすることで、どのよう
な業務にどのくらいコストがかかっているかが
ある。
タを抽出しABCモデルに対する入力情報とす
る。
顧客、商品、販売チャネルなどの原価管理対象
分かり、より顧客満足の高い活動や、より競合
②これらをABCモデルに蓄積し、ABCパッケー
別に、より正確な間接費の把握を可能にしたコ
に勝てるような活動、効率のよい活動に改善し
ジ・ソフト(Oros/EasyABCなど)によりABC計算
スト計算手法である。
(コスト計算)を行う。
ABC/ABMの目的
また、ABM(活動基準管理)とは、ABCによって
③ABCモデルから出力されたコスト分析情報をも
顧客コストを
明らかにする
得られたコスト情報を意思決定、業績評価・改善
とに意思決定や業績評価・改善に利用する
のために管理、利用し、経営管理に役立てるこ
(ABM)。
とである。
このように、ABCから得られた正確なコスト情
ABC/ABMに対するニーズが高まってきた背景
活動を明らか
にする
活動コストを
明らかにする
報を経営者や現場の人々が、さまざまな意思決
には、①従来の原価計算の限界と正しい原価把
握の必要性、②販売費、一般管理費などの間接費
管理の必要性、③業務プロセス見直しと業績管
理の仕組みの必要性などが挙げられる。
2
1999年3月1日第455号
定に利用し、ABCで明らかにされた業務プロセス
製品・サービス
コストを明らか
にする
や活動を分析することにより、業務革新や改善
を行うことが可能になる。
UN
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
新連結時代のグループ経営
日本ユニシス株式会社
常勤監査役
藤田 敬司
2000年から新連結時代が到来
意思決定機関ごとの実質基準
約20年振りの連結決算制度の改訂により、新連結
意思決定機関
時代が到来する。最大の改訂点は、実質基準導入に
①株主総会
(法的支配)
②取締役会
(法的支配)
③経営会議・常務会 等
(経済的支配)
よる連結範囲の拡大により、子会社管理が一層重要
になることである。もう1つの特色は、連結決算制
度実施と同時に時価会計、企業年金会計も連結ベー
スでの開示がスタートすることである。
関連会社
子会社
議決権の実質過半数支配
(下記1−A−イ、1−B)
取締役の過半数派遣
(下記1−A−ロ)
重要な財務営業方針を支配
(下記1−A−ハニホ)
実質15−20%保有
(下記2−A、2−B)
代表取締役等派遣
(下記2−A−イ)
財務・営業方針に重要な影響力
(2−A−イロハニホ)
新連結時代への即応体制が不可欠
関連会社の実質影響力基準
子会社の実質支配基準
このため、会社の組織と人事制度などを含めて、
新連結時代への即応体制を整備する必要がある。
組織では、経営課題が広がるので分権化(事業部
制)を図るべきである。さらに権限と責任を徹底さ
せた上で分社化や持ち株会社化が次の課題となろ
う。人事制度では子会社と親会社の間を自由に行き
来できる出向制度や転籍制度が求められる。
分権化が進み、子会社が勝手に動かないよう、子
1−A 自己計算による50−40%保有の場合
イ) 自己計算保有プラス緊密者、同意者保有分を併せて過半数
ロ) 取締役会構成員の過半数派遣
(OB、非常勤を含む)
ハ) 重要契約等の存在
ニ) 資金調達の過半につき融資、保証、担保差入れ
(緊密者分を含む)
ホ) その他支配が推定される事実の存在
1−B 自己計算保有40%未満であっても緊密者・同意者分を併せて
過半数の場合
上記ロ・ハ・ニ・ホのいずれかに該当するとき
2−A 自己の計算において15−20%保有する場合
イ) 代表取締役等派遣
ロ) 重要な融資
ハ) 重要な技術提供
ニ) 重要な仕入・販売・事業上の取引
ホ) その他重要な影響を与えると推定される事実の存在
2−B 自己計算保有15%未満であっても緊密者・同意者保有分を
併せて20%以上となる場合
上記2−A−イ・ロ・ハ・ニ・ホのいずれかに該当するとき
会社社長を親会社の執行役員のメンバーに入れる執
行役員制度や子会社の社員や幹部にもストック・オ
覚悟しなければならない。この期間に売上高が
プションを適用するなどして企業グループとしての
小さい、赤字子会社だからといった理由で除外
意識醸成を図ることも重要となる。
しておくと連結対象に加えるタイミングを失す
また、会計実務面では、海外を含めて企業グルー
プ内の会計処理を統一すべきである。連結・単独の
ることになる。
③重要性にかかわる監査上の判断基準として3∼5%
グループ内取引/グループ外取引の優先先
グループ内取引、グループ外取引のどちらを優先
すべきかは、各社の事情によって異なろう。グルー
プ内の売上高を増やすにはグループ外取引、子会社
同時公表となるので、統一フォーマットを定め、そ
が実務上の参考として示されている。しかし、
を通じた取引が利益が大きくなるのであればグルー
れを基に現場でインプットし、本部でリアルタイム
決算が終わってからこの限度内に除外影響割合
プ内取引の方がよい。決め手はARM'S LENGTHプ
に集計して、スピード対応が図れるシステムの構築
が収まっていたかどうかを検証しなければなら
ライス(独立企業間価格)になる。
が求められる。
ず、これが連結実務への配慮になっているか疑
問である。
実質基準導入により連結範囲が拡大
今回の改訂制度の眼目は、連結範囲に実質基準が
入る点である。どのような連結範囲になるかは、昨
捉え、すべて対象にしてしまった方がよい。できる
事業部門の連結業績の捉え方は、税引き後利益が
だけ管理会計と制度会計の対象は一致させるべきで
中心になる。持分法(税引き後)が適用されるからで
ある。
ある。したがって、「親会社内事業部の税引き後利
年12月8日に日本公認会計士協会から実務指針が公
表された。それを筆者が「意思決定機関ごとの実質
業績評価基準は税引き後利益が決め手
したがって管理会計上は、最初から極力包括的に
益+関係会社税後利益×事業部持分」が正しい評価
実質基準導入による投資活動の変化
基準」「子会社の実質支配基準」「関連会社の実質影響
基準となろう。
また、制度会計上も情報開示がますます求められ
(図参照)
実質基準の導入による投資活動は、当然、事業性
るので、製品・商品別情報+地域別・顧客別情報、顧
詳しい言葉の定義などについては同協会公表の実
の高い子会社には、人、モノ、カネ、技術などの経
客別+機能別情報を加えたクロス・セッション情報
営資源を投入し、業績の悪い会社には控えるという
やセグメント情報が必要となってくる。
力基準」として整理した。
務指針を参照いただきたい。
連結範囲の最終決定者は企業経営者
構造になろう。今後、さらに支配力、影響力を強め
ただ、「製品別にアメリカ地域では、これだけの
るべき投資先には持ち株比率を高め、役員派遣を強
売上と利益が出た」となると移転価格税制上の問題
化する。逆にポートフォリオとしての投資に転換す
が出てくる。
その連結範囲の最終決定は、「基本的に実態を一
るところからは派遣役員を引き上げるなどが必要と
番良く知っている企業の経営者が、その責任におい
なる。支配力・影響力を行使すべき投資と単なるキ
て実態を踏まえて判断する」ことになる。また、こ
ャピタルゲイン狙いの投資を峻別する必要がある。
れから公表される監査上の取り扱いに基づく会計監
査人の職責判断に委ねられることになる。
子会社の業績評価
子会社の業績は、売上高、経常利益、税後利益で
量から質への転換−赤字会社の撲滅
見るかはそれぞれ一長一短ある。これまでは子会社
からの受取配当金が関心事であったが、今後は連結
連結範囲は極力包括的に捉える
形式基準から実質基準への変更により、19%出資
業績への貢献額(子会社の税引利益)から事業部が最
先でも実質基準の対象になると、これが黒字か赤字
低限期待する株式投資運用益を差し引いた残余利
かによって連結の最終業績が変わってくる。当然な
益、これがプラスかどうかで業績判定し、今後の経
験から言えるのは次の3点である。
がら、
“量”から“質”への転換が必要となる。将
営資源配分の指標とすべきだろう。
①業績の悪い子会社を連結対象外にする場合、一定
来、黒字に転換する可能性のある赤字会社と、黒字
のルールを作る必要がある。それがないと「入れ
に転換しそうにない赤字体質の会社がある。この赤
る、入れない」の非生産的な論争に長時間を費さ
字体質の会社は撲滅すべきである。いつまでも執行
その対応を容易にする連結会計システム
れることになる。
猶予を許していると大きな連結損を抱えてしまう結
「DivaSystem」の提供を開始している。詳細は本紙15
果になるからである。
面を参照下さい。
では連結範囲をどう捉えればよいか。私の実務体
②創立間もない製造子会社は、通常3∼5年の赤字を
◆
なお、日本ユニシスでは、新連結時代に向けて、
UN
3
特
集
新情報システムの構築
−フロント・オフィス、バックオフィス革新の新しい波
豊田合成
会計情報システム再構築への取り組み
高分子系自動車部品の総合メーカーである豊田合
善):仕訳データの一元管理(データベース整備)、
成では、日本ユニシスが提供するERPパッケージ
②フェーズ2(個別集計業務の改善):売掛、買掛、
「Oracle Applications」(以下Oracle Ap)を導入して会
原価系などの日次計上、③フェーズ3(データ収集の
計情報システムを再構築した。その再構築への取り
早期化):データ発生部署からの産地直送化の3段階
組みについて紹介する。
に分けて開発が進められた。
96年 度 に Oracle Apの 一 般 会 計 モ ジ ュ ー ル
会計情報の質とスピードの向上を目指して
OracleAp10.6SC(GL)を導入して決算システムを稼働
させ、続いて蓄積した会計データベースから業績評
新システム構築の狙いについて情報システム部第
価できる仕組みを構築。97年後半から売掛、買掛、
1システム推進室グループリーダー 植田 浩氏は、
原価系のシステム開発に取り組み、個別計上処理の
「旧会計システムは30年来のもので、特に決算処理
改善を進めた。98年度からデータ収集の早期化に向
の仕組みは、ほとんど変わっておらず時代の変化に
けて取り組んでいる。
仕訳入力画面
即応できなくなってきた。そこで、決算期間の短縮
(8日間から4日へ半減)を大前提に“タイムリーな経
新決算システムの構成と概要
導入効果と将来展望
営判断を行うための会計情報を一元化して多面的解
析”の実現を目指して会計情報システムを再構築す
新決算システムは、Oracle Apサーバ「US1000U」と
従来、決算期間は、データの収集に2日間、1次締
クライアントPC(Windows95、経理部約50台、その
∼修正∼2次締に4日間、決算電算処理に2日間の計8
具体的には、会計データベースを中核として、
他約10台)、ファイル・サーバ(WindowsNT)などで構
日間要していたが、新システムにより5日間で可能
①海外関連会社・主要仕入先からの収益情報の受け
成されており、その概要は図2に示すとおりである。
となった。詳細は下記のとおりである。
入れ、②購入単価・受注情報・販売単価の受け入れ、
既存システムから売上、仕入、出来高計上などの
ることになった」と語る。
◆月次決算業務の改善
ならびに工場・物流部門からの製造原価・製造実績・
仕訳データ(3万件/月)をOracle Ap サーバに取り込
GLを核とする決算システムの構築により、経理
出荷実績の受け入れ、③それらの情報をデータベー
み、GL(会計データベース)を形成し、GUI画面開発
部での確認・修正が容易に行え、業績評価や財務諸
ス化して経理部での財務会計・連結決算・業績解析のデ
ツールOracle Developer2000 Forms、帳票開発ツール
表が自動作成できるようになった。これにより決算
ータ処理、
④情報公開により、
経営者や利用部門での
Oracle Developer2000 Reportsを使って、会計データ
電算処理が2日から1日に短縮できた。
情報利活用の実現などを目指すことにした。
(図1参照)
の照会および財務諸表の作成を実現した。
◆個別集計業務の改善
図1 会計システムのコンセプト
海外
関連会社
主要
仕入先
購入単価
購買
受注情報
データ処理
収益情報
受
入
れ
管
理
会計DB
デ
ー
タ
収益情報
活
用
受入れ
製造原価
各工場
製造実績
物流
出荷実績
販売単価
営業
経理
財務会計
連結決算
業績解析
経営者
情報公開
一方、管理会計機能強化のために、既存システム
出荷、購入、入庫などの実績を日々取り込み、デ
から明細を取り込む明細テーブルを作成した。その
ータチェックと修正結果がそのままデータベースに
理由は明細が300万件/月もあり、そのまま格納した
自動登録されるため、2次締が不要となり、個別計
場合、検索に長時間要することが判明した。そこで、
上業務が4日から2日に短縮できた。
品番ベースの明細(15万件/月)を別個保有した。メ
◆データ収集の早期化
ニューはOracle Apの中に組み込み、ユーザはどち
会計関連データは112種ある。21種類はオンライ
らを使っているかわからない形で、仕訳・明細の検
ン収集(140万件/月)を実現していたが、現場から伝
索を可能にしている。
票で収集するものが91種類(20万件/月)あった。こ
利用部門
利用部門
EUC
早期グローバル対応のため「Oracle Ap」を採用
①短期間での開発、②海外連結を睨んだシステム
化、③システム開発・保守などの費用削減の観点か
ら世界共通の統合パッケージ(統合会計システム)を
採用することにした。その選定では、数社の製品の
れを効率化するためデータの産地直送化(発生部署
図2 決算システムの概要
〈既存システム〉
での入力)と伝票の統廃合を進め、データ収集の早
OracleAP 10.6SC(GL)
売上計上
仕入計上
GL
有償支給計上
I/F
外注加工
出来高計上
仕訳
振替出来高計上 (3万件/月)
原材料払出計上
内製工機出来高
売上原価計上
支払依頼
出張旅費
従業員預金
明細
・
(15万件/月)
・
GL
・照会
・Excel
F or m s
R epor ts
テムなど既存システムとの連動を図り、当初目標の
財務諸表
明細
Forms
・照会
・Excel
中から他システムとの連携性とデータベース活用に
絞って検討され、カストマイズの容易性とコストの
期化を図った。今後は電子帳票化や、部材調達シス
決算期間4日間を目指す。
パッケージや業務に熟知したSIベンダ選択の重要性
植田 浩氏は、ERPパッケージ導入のポイントに
ついて、「早い時期に外部教育を受けて知識を身に
外付け開発によるユーザニーズの反映
面からOracle Apの導入が決定された。
つけてから導入するのが望ましい。また、この種の
システムはDB構造もさることながら業務をどれだ
96年春に経理部、情報システム部、日本ユニシス
ユーザニーズに応えるため、Oracle Apの標準機
け理解しているか、その知識がないと良い設計はで
をメンバーに次の開発プロジェクト体制が組まれ
能の活用に加えオープン・インタフェースを経由し
きない。その点、業務知識やパッケージに熟知して
た。①システム検討グループ=システム企画、業務
た外付け開発を行った。
いた日本ユニシスをパートナーに選んだことは成功
分析、業務プロセス設計、業務運用計画、パッケー
◆仕訳入力画面(画面参照)
だった。今後は海外との連結を実現させ、世界共通
ジ導入、ユーザ教育、②システム開発グループ=外
既存の伝票イメージに近い仕訳入力画面を開発、
付けシステムのプログラム設計と開発、③基盤整備
またOracle Apの相互検証用のチェック・ロジックを
グループ=システム基盤検討、ハード/ソフトの導
組み込み入力効率を高める工夫をした。
入、運用管理、データベース管理。この3グループに
◆バッチ処理の外付け
対し日本ユニシスが全般的に支援する体制をとった。
当初、GLからリアルタイム検索を行う照会画面
を作成したが、貸借対照表照会に約30分かかった。
3フェーズ・アプローチにより新システムを構築
そのため、照会用テーブルを作成するバッチの仕組
みを作り、標準機能のコンカレントに登録し、照会で
業務改革を伴うため、①フェーズ1(決算業務の改
4
1999年3月1日第455号
きるようにした。その結果、3秒で照会可能となった。
尺度での分析・評価を目指したい」と語っている。 UN
■豊田合成株式会社
◆自動車など各種輸送機器用、農業・建設・工作機械用
等々のゴム・プラスチック・ウレタン製品/半導体を利
用する表示・標識器具/電気・電子部品/接着剤などのメ
ーカー。
◆所在地=愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1
◆代表者=堀篭 登喜雄社長
◆売上高=2,204億円(97年度)
◆従業員数=6,237人(98年4月)
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
スリープロ
Tiny Call Centerの導入で業務効率25%向上
個人向けPCヘルプデスク・サービスを事業化
を要件として掲
Tiny Call Centerを活用した新コールセンターの概要図
げた。
スリープロは、パソコン購入先のメーカーや量販
そこで、各種
店などから委託を受け、個人向けにパソコンのヘル
製品選定の検討
プデスク・サービス代行業務などを行っている。サ
を行った結果、
ービス内容は、インストール、操作支援、トラブル
これらの条件を
の解決、インターネット接続、製品動作検証などコ
すべて満たす
ールセンターで対応している。
CTIシステムは
コールセンターに特化した事業を軌道に乗せた要
Tiny Call Center
因は、顧客チャネルの整備、休日・夜間サービス、
が最適と判断し
そして質の高いサービスを低コストで運営している
た。導入決定の
点にある。
ポイントとし
顧客獲得のチャネルは、メーカー、全国の家電量
て、以下の点を
販店、生協などパソコン購入店に、また運営の核と
挙げている。
なるオペレータには大学のパソコン同好会メンバー
①コールフロー自
やSOHOワーカーなど約6,000人を確保することで24
動生成機能で
時間/365日のサービス展開を可能にしている。
短期開発・早
インバウンド
自動表示
①コミュニケータの
業務、稼働状態など
によって、電話の自
動振分、時間外は
IVRによる対応
お客様
IVR
③顧客との電話接続
Tiny
Call
Center
②電話転送
イン・アウト
バウンド
音声応答装置
導入メリット
インバウンド:顧客に対して担当すべきコミュニケータに効率的な自動振分けと素早い顧客認識
アウトバウンド:顧客への迅速で確実なTEL掛け(コミュニケータはPC端末上のTELかけボタンを押すだけ)
転送:他のコミュニケータに電話転送とともに入力済のデータも転送(顧客への聞き返し不要)
稼働管理:コミュニケータの稼働管理が容易なため、最適なシフト勤務が組める
を自動生成する
話しても誰も出てこない、②ヒューマン・リソース
期間を大幅に短縮でき、導入の最大要件であるスピ
に頼った運営のために担当者でないと分からない、
ーディな立ち上げをクリアできる。
専務取締役
野 研氏は、「今までの小規模なコ
ールセンターでは人海戦術である程度対応できた
③情報転送
①コミュニケータのPC端末から
他のコミュニケータへ転送指示
ためのツール(GUIジェネレータ)を活用して、開発
らない、といった問題点があった。
転送
アウトバウンド
が限られたタイムシフトのため昼休みに会社から電
③コールが特定の回線に集中し話し中ばかりで繋が
稼働管理
②コミュニケータの
PC端末からTELかけ
指示
CTI
のコールフロー
これまで運営してきたコールセンターは、①時間
①顧客情報確認
ACD
期稼働が可能
CTI導入でコスト削減、顧客満足度向上を目指す
②顧客の電話を
PC端末に通知
アウトバウンド
インバウンド
ヘルプデスク用APサーバ
識ができる。
*アウトバウンドでは、オペレータはPC端末上の
TELかけボタンを押すだけで通話でき、顧客への
一般的にCTIの開発期間は半年から1年といわれ
る中で、同社の場合、98年10月末導入後約1カ月で開
発を完了し12月1日から本番稼働を開始している。
②充実したCTI機能
迅速・確実なTELかけが可能になった。
*他のオペレータに電話転送する際に、入力済みの
データも転送でき、顧客への聞き直しが不要と
なった。
が、30∼50回線に増
コールセンターに必要なPBX(構内交換機
加してくると対応で
能)/ACD(自動呼配分機能)/IVR(音声応答機能)/CTI
きなくなる。また、
を1台のWindowsNTパソコンに搭載し、機能面が充
メーカー、家電量販
実している。
ペレータの人数を増やさずに対応できており25%の
店などのクライアン
③低コストで高いコストパフォーマンス
業務効率向上を達成している。また、即答率の向上、
*オペレータの稼働管理が容易なため、最適なシフ
トを組める。
野氏は、「全体の業務量が増大したのに対しオ
トからのサービス内
従来のUNIXマシンとPBXを組み合わせたシステ
音声応答、24時間対応などで顧客満足度も向上して
容変更に自社スタッ
ムで同じ機能を構築する場合と比較して約3分の1か
いる。こうした効果をテコに今年度は売上倍増を目
フで迅速に対応する
ら5分の1のコストで本格的なCTIを構築でき、同社
指している」と語っている。
には限界がある。こ
のため、業務の効率
のように50席以内の規模のシステムでは高いコスト
野 研氏
化、回線制御の自動化、コスト削減と顧客満足度の
向上を図るにはCTI導入が不可欠と判断した」と語
っている。
パフォーマンスを引き出せる。
④クライアントの変更要求にも迅速に対応可能
Tiny Call Centerの仕組みを活かした
コールセンター・ビジネスの展開を
カスタマイズ性に優れており、IVR/PBXのアプリ
同社ではTiny Call Centerの導入でコールセンタ
ケーション(コールフロー)を自社開発できる。この
ー・ビジネスの基盤が強化されたことで、今後は
野氏は、コールセンター・ビジネスを成功に導
ため、新製品の発表やキャンペーンなどに伴うクラ
Tiny Call Centerの仕組みを活かしたビジネス戦略を
くためにはCTIの機能を活用して次のような点を実
イアントからのサービス内容変更要求に対して迅速
展開していく。
現すべきと指摘している。
に対応でき、社内対応でコスト削減効果も得られる。
*IVR(音声応答機能)により、音声のガイダンスで
⑤既存データベースと容易な連携が可能
目的の処理にたどりつけるようにし、24時間無人
対応やオペレータの負荷を軽減する。
*顧客データベースと密接に連携しヒューマン・リ
ソースに頼った運営からの脱皮を図る。
WindowsOSのアプリケーション連携機能である
り込んで修理や操作支援するリモートコントロー
DDE(Dynamic Data Exchange)により、すでに開発
ル・サービス、さらに企業向けのバーチャル・コール
した顧客データベースを容易に取り込むことができ
センター・サービスなどの展開を計画している。 UN
る。
*ACD(自動呼配分機能)で着信呼を最適なオペレー
タに送信することによって、処理能力の向上と
コールセンター基盤強化で売上倍増を目指す
顧客満足度の向上を図る。
新コールセンターの規模は20席、98年12月稼働開
Tiny Call Centerで低コスト早期立ち上げを実現
始以後、大きな効果を上げている。
同社は導入後のメリットとして次の点を指摘して
CTIシステムの導入に当たって、①スピーディな
例えば、SOHOワーカーの在宅によるサポート業
務の展開、インターネットを使って顧客のPCに入
いる。
(図参照)
立ち上げ、②優れたCTI機能、③低コスト、④カス
*インバウンドでは、顧客に対して担当すべきオペ
タマイズ性、⑤既存データベース連携の容易性など
レータに効率的な自動振り分けと素早い顧客認
■スリープロ株式会社
◆パソコンの修理出張サービス、ヘルプデスク代行業
務を手がけ、電話ヘルプデスク、24時間/365日PCサ
ポート、PCインフォメーションセンター、個人向け
出張サービス、PC修理オンサイト・サービスなどを
業務としている。
◆所在地=東京都新宿区矢来町112
◆代表者=竹中 正雄社長
◆売上高=約3億円(98年)
◆設立=1996年4月
◆事業所=支社・サポートセンター含め5拠点
◆従業員数=12人
◆オペレータ=約6,000人
5
特
集
新情報システムの構築
−フロント・オフィス、バックオフィス革新の新しい波
野村総合研究所
MERCATORを活用しグループ企業の資金管理を効率化
GCMS(グループ・キャッシュ・マネジメント・システム)と既存システムをシームレスに接続
グループ内銀行とGCMS
取引の結果として発生した債権債務を一定
図2 MERCATORの活用イメージ
期間積み上げて、そのネット金額だけを精
資本関係を中心としたグループ企業における、グ
算するネッティング機能とグループ企業と
ループ全体としての資金効率改善に向けた抜本的な
グループ外企業間の取引の結果に関し、グ
施策として、野村総合研究所(NRI)ではグループ内
ループ内銀行が決済を代行する支払回収代
銀行モデルを提唱している。これは一言でいえば企
行を含んでいる。精算の方法としては銀行
業グループ内に仮想的な銀行を構築し、それを核と
に振替指示を出すか、あるいはグループ内
してグループ資金管理業務を再構築する業務革新モ
銀行とグループ企業間の貸借勘定付替えで
デルである。97年初頃から総合商社や大手メーカー
処理することも可能である。
を中心として同モデルを適用した業務革新の事例が
「集中為替リスク管理機能」とは、グルー
相次いでいる。NRIでは業務革新モデルに加え、さ
プ全体の外為管理を集中して行うセンター
らにその実現をサポートするGCMS(グループ・キャ
機能のことである。グループ企業との関係
ッシュ・マネジメント・システム)を提供している。
において為替予約の相対となることにより、
このシステムはグループ内銀行におけるグループ資
グループ企業の為替エクスポージャを引き
金管理関連業務を支援するものである。
受け、その結果として外為管理センターに
グループ内銀行
基幹系
システム
コンピュータ・センター
VAN
公衆回線網など
データ変換
GCMSサーバ
グループ企業
基幹系
システム
データ変換
サーバ
(MERCATOR)
データ変換
集中された為替エクスポージャをヘッジツ
グループ内銀行の役割
ールなどを用いながらコントロールする。
グループ内銀行の機能としてさまざまな要素を盛
り込むことが可能であろうが、ここでは簡明さを重
外為管理を一元化することのメリットは為替コスト
を達成しようとする考えがグループ内銀行の考えと
の削減に加え、一貫したリスク管理ポリシーの適用
合致しているのである。
が容易であるという点が挙げられる。
視して、「資金集中管理機能」「資金集中決済機能」
きな要因であると考えられる。それは情報技術、と
グループ内銀行導入の背景
「集中為替リスク管理機能」の3機能からなるモデル
(図1)
を考える。
第3の要因は恐らく3つの中で最もインパクトの大
りわけネットワーク関連技術の進展により、企業間
の情報交換にかかるコストが急激に低下してきたこ
「資金集中管理機能」とはグループ全体の資金フロ
グループ内銀行によりグループ全体としての資金
とである。グループ内銀行をコアにしてグループの
ーをコントロールする機能である。資金余剰の企業
効率改善を追求する動きを加速する要因は大きく3
資金効率改善を実現する際、グループ企業間あるい
から余資を吸い上げ、資金不足の企業に対しては資
つ存在する。
はグループ内銀行と各企業間の情報交換は非常に密
金を貸し出し、結果としてグループ全体の資金過不
第1に、この十数年来の金融自由化により間接金
に行われる必要がある。場合によってはインターネ
足を平準化し、連結ベースで見たB/Sを圧縮するの
融から直接金融へのシフトが着実に進み、事業会社
ットの利用も可能となっており、費用対効果は大き
が目的である。また、グループ内の資金集中の結果
としての資金調達の選択肢が増えてきたことがあ
く改善されてきている。
として集められた余剰資金を金融市場で運用した
る。グループ内銀行として資金供給力の維持は最も
り、グループ全体として発生した不足資金を一括し
重要な要件の1つであるが、その実現に向けた市場
て金融市場から調達することにより、規模の効果に
環境が揃いつつあるといえる。
よる効率的な運用や、親企業の信用力を背景とした
第2に、事業持ち株会社解禁の動きと併行して、
GCMS導入におけるMERCATOR活用
システム導入において最も重要なポイントはグル
有利な調達が期待できる。資金移動の手段としては
グループ経営への意識が高まってきていることが挙
ープ内の各企業における基幹系システムとGCMS間
銀行が提供する資金移動機能を伴ったFB(ファーム
げられる。昨今、事業ドメインごとに分社化を進め、
あるいは銀行決済ネットワークとGCMS間のシーム
バンキング)などを活用することも考えられる。
各企業の競争力を高めながら、グループ全体として
レスなデータ接続である。グループの各企業は業態
「資金集中決済機能」とは、グループ企業による取
の経営効率を追求する戦略が注目を集めている。そ
が必ずしも同一でなく、また使用している基幹系シ
引の決済を決済センターに集中し、決済コストある
の分社化の過程で必然的に発生する経理部門などの
ステムも異なるケースが多い。このような場合に基
いは事務コストの削減を実現する。グループ企業間
オーバーヘッドをさらに集中して分社化し、効率化
幹系システムやGCMSに追加的に手を加えることな
く、システム間を接続するにはMERCATORのよう
図1 グループ内銀行モデル
(多国籍)企業グループ内に銀行機能の一部を取り込むことにより、グループ全体として資金管理の効率化を追求することが可能となる。
に柔軟でユーザ・インタフェースに優れたデータ変
換ソフトの活用が有効である。
図2にMERCATORの活用例を示している。グルー
金融マーケット
プ企業の買掛/売掛管理システムや支払/回収システ
グループ内銀行が担う機能
売掛債権流動化
資金調達・資金運用
ムなどからダウンロードされた支払/請求データを
MERCATORで変換した上でGCMSへ渡し、反対に
①資金集中管理
・プーリング
・余資運用・資金調達の一元化
②資金集中決済
・ネッティング
・資金回収・支払の一元化
③集中為替リスク管理
GCMSから出力されたネッティング結果などのデー
リスク管理操作
回収・支払代行
グループ内
銀行
タを変換した上で基幹系システムへ戻すといった運
用が可能となる。またFBとの接続でもGCMSから
の出力を全銀/SWIFTフォーマットへ変換したり、
ネッティング
逆に全銀/SWIFTフォーマットのファイルを変換し
プーリング
てGCMSに取り込むなどの作業が容易である。
資金管理や経理面ばかりでなく、企業のグループ
企業グループ
経営指向は今後さまざまな業務分野へ及んでいくも
のと思われるが、個性あるグループ各企業間の連携
銀行決済ネットワーク
グループ外企業
をシステム的に実現していくには、MERCATORの
ようなGlueWare(グルーウェア=糊のようなソフト)
の存在がより重要になっていくと考えられる。
6
1999年3月1日第455号
UN
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
IT最前線
What's EC/CALS ?(17)
EDIを実現するための
データ・マッピングツール「MERCATOR」
日本ユニシス株式会社
ソフトウェア事業企画部 ソフトウェア企画室 課長
MERCATOR(マーケィタ)は米国TSI International Software社が開発した
柴田 伸一
図3
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)を実現するためのデータ・マッ
From
ピングツールです。企業間や社内システム間のデータ交換など、各種システム間
To
# 2 Xref File(File Data)
#1 CMSrec(Record Data)
におけるデータ交換をスムーズに構築することができます。
#1 MYrec(Record Data)
CMSrec
Model# Field
Description Field
UnitPrice Field
Quantity Field
Store# Field
通常、電子データ交換は共通データ・フォーマット(あるいは標準データ・フォー
マット)を使用してデータの交換を行います。この際、データ送信側は自システム
で使用しているデータ・フォーマットを共通フォーマットに変換してから送る必要
があります。また、受信側は受け取ったデータに対して送信側と逆の処理(共通デ
Output
Rule
MYrec
="CMS Business Systems"
=Store# Field:CMSrec
=LOOKUP(InternalItem# Field::Xref File
=Quantity Field:CMSrec
=UnitPrice Field:CMSrec
=ROUND(UnitPrice Field:CMSrec※
Customer Field
Division Field
Item# Field
Quantity Field
UnitPrice Field
ExtendedPrice Field
Rec'dDate Field
ータ・フォーマットから自システムで使用のデータ・フォーマットへの変換)を実施
してやる必要があります。
2 Cards
=CURRENTDATE0
1 Card
このような共通データ・フォーマットは日本国内標準のCII標準、国際標準の
UN/EDIFACTや業界標準などがありますが、標準ではない固有のフォーマットで
エンジンにはコマンドで起動するコマ
トフォームである。MERCATORがサ
のデータ交換を行っているケースが数多くあります。いずれにしても自システム
ンド・エンジンや自動起動できるラン
ポートするプラットフォームの中から
内で使用しているデータ・フォーマットとデータ交換を行う相手との間で使用する
チャー・エンジンなどがある。マップ情
弊社でサポート可能なプラットフォー
共通フォーマットとのデータ変換が必要となります。MERCATORはGUIによる簡
報を使用して入力データを変換して出
ムという観点で絞り込んでいる。
易な操作でデータ変換の仕様を設定することが可能です。
力データとする。実際のシステムとし
◆Authoring System環境
てはMERCATORの提供するAdapterを
MERCATORの機能概要
MERCATORは、核となるAuthoring
使用してDatabase、Messaging Software、
たものである。GUIベースの簡易な操
DWHと連携するような形になる。
HP-UX / Sun Solaris
作で定義することができる。(図2参照)
製品体系
Windows95 / WindowsNT
System、変換を行うEngine、
なお、
MERCATORにはUN/EDIFACT、
MERCATORと他のプロダクト間のイ
X.12、SWIFTといった標準のタイプツ
ンタフェースの役割を担う各種
リーが用意されている製品がある。ま
SAP R/3とのインタフェース機能を
Adapter、ImporterおよびMERCATOR
た、CIIのタイプツリーについても対
提供する製品
の統合管理を行うSystem Editorなど
応する予定。
MERCATORを使用したシステムを構
データ変換の定義
築するためのさまざまな機能で構成さ
Windows95/NT
ンポーネントで構成されるかを定義し
れており、その全体像は図1のとおり。
◆MERCATOR for R/3
適用範囲
MERCATORの適用範囲としては、
企業・組織の壁を超えたビジネスデー
◆MERCATOR Open Edition
タイプツリーを作成後、そのツリー
◆実行環境
タの交換(EDI)はもちろんのこと、
市販
MERCATORの基本製品。EDIFACT、
パッケージと自社開発システムとを融合
X.12などのタイプツリーを提供
したシステムの開発などが可能となる。
◆MERCATOR Open Edition-S.W.I.F.T
これは、MERCATORの提供するさ
MERCATORは、データ構造の定義
を使用して変換ルールを作成する。こ
→データ変換の定義というステップで
れには、MERCATORのマップエディ
International Financial Telecommunication:
ースをとるためのAdapterによって実
エンジンがデータ変換を実行する際に
タ機能を使用する。
国際銀行間通信協会)で定められたデ
現できる。例えば、MERCATORでは
使用するマップ情報を作成する。
マッピングの定義はドラッグ&ドロ
SWIFT(Society for Worldwide
まざまな他プロダクトとのインタフェ
ータ交換に対応。SWIFTで使用される
MQSeries、MSMQ for Windows NTな
この際、それぞれの作業を行うのに
ップ、コピー・カット&ペーストとい
タイプツリーを提供
どのMessaging SystemやORACLE、
Authoring Systemの機能であるタイプ
った操作で行うことができ、複雑な変
◆MERCATOR Desktop
MS SQL Server、
DB2といったDatabase、
エディタ(Type Editor)とマップエディ
換処理についてもマップエディタが提
PC用MERCATOR基本製品
SAP R/3などに対するAdapterが提供さ
タ(Map Editor)を使用する。
供する約80種類の関数群により容易に
◆MERCATOR Desktop-S.W.I.F.T
れており、これらのプロダクトと
データ構造の定義
定義することができる。
MERCATORのタイプエディタ機能
を使用して入出力データのタイプツリ
ーを作成する。タイプツリーとは、入
換の定義の仕方を図3に示した。
実行
力データ、出力データがどのようなコ
Importer
IDoc
DMI
COBOL Copybook
DXOB
System Editor
Authoring System
Type Editor
Map Editor
Command Execution Engine
Type Tree Maker
Launcher Engine
対応プラットフォーム
E-Mail(SMTP/MAPI/Exchange)
Database
FTP
Batch Command,Shell Script
NFS
MQ Series
Communications
ALE
TypeTree Collections
ANSI,X.12,EDIFACT,HL7,S.W.I.F.T.
また、新システムへのデータ移行ツ
ールというような使用が可能。新シス
ップ情報を作成する環境(Authoring
テム構築時にそれまで使用していたデ
System稼動環境)とデータ変換を実際
ータを移行する場合、新システムで使
に行う環境(実行環境)で、それぞれ対
用するプロダクトやデータベースによ
MERCATOR
応プラットフォームが規定されている。
っては、ある種のデータ・コンバージ
で提供される
下記は、弊社がサポートするプラッ
ョンが必要となることがある。このよ
うな場合においてもMERCATORを使
図2
Input Recod Data
Last Name Field
Data
Field
Company
Name
First
FullName
Last
Middle
InputRecode
OutputRecode
用することができる。
◇
Component
First Name Field
Middle Name Field
Company Field
MERCATORの具体的な概況として
は、BOLEROの実証実験に採用、
CitibankでSAPとの提携により標準R/3
Banking InterfaceをMERCATORで提供
(MERCATORはSAP R/3のALEとして
Output Recod Data
Component
FullName Name Field
EC Editor
築が可能である。
MERCATORは、タイプツリーやマ
Type Tree TEST. MTT
Adapter
MERCATORを融合させたシステム構
実行になる。
マップ情報の作成が終われば、後は
図1 MERCATOR全体像
Database Editor
PC用のSWIFT対応製品
FromからToウィンドウにデータ変
Company Field
最初に認証されている)している。
この記事がでる頃には弊社でも取り
扱いができるようになっていることと
UN
思う。
7
IT 最前線
What's EC CALS?
Terminal ServerPlus
「シンクライアント・ソリューション−HMP NX/LX」
日本ユニシス株式会社
プログラムマーケティング部 ビジネス企画室 課長代理
村上 努
Terminal ServerPlusシリーズでは、今後いくつかのシンクライアント・ソリュー
られる。しかしNTは分散処理である
間や受付カウンタなどに適用すること
ションを発表する計画である。まず今回は先頭を切って2月に発表したHMP
ため、集中化されたメインフレームの
ができる。またモータなど故障の原因
NX/LX版について紹介する。
管理体制に組み込むことが難しい。シ
となる部品を一切使用していないた
ンクライアント・ソリューションはNT
め、低い故障率と環境に強い製品を提
シンクライアント・ソリューション−HMP NX/LXとは
の集中化を実現することにより、すで
供することができる。したがって工場
にLAN/WAN化がなされているメイン
や倉庫などの劣悪な環境に隣接するオ
このシンクライアント・ソリューシ
タや装置を直接接続することができ
フレームのネットワーク環境でも、
フィスでも安心して使用することがで
ョンは、「UNISYS Aquantaサーバ シリ
る。WAN環境などにおけるパフォー
ほとんどの場合、最小限の変更でネッ
きる。
ーズ」にTCO削減ツールとして最近話
マンスもこの製品を追加することで向
トワークを再利用することができる。
⑤アプリケーション管理
題になっているWindows Terminal
上する。またこの製品には追加オプシ
またこれから新たにネットワークの近
シンクライアント・ソリューション
Server(WTS)をオペレーティング・シス
ョンとしてロードバランス機能と暗号
代化を目指すメインフレームのユーザ
はクライアント・アプリケーションを
テムとして搭載することにより、NT
認証機能も用意されている。
にとってもローコストなネットワーク
単一サーバに導入することで、すべて
サーバ上にマルチユーザ環境を構築す
ロードバランス機能は、複数のサー
環境の構築により、メインフレームと
のユーザが同じように利用することが
ることができる。ここでいうマルチユ
バを1つにグループ化してサーバファ
NTの共存環境を実現することができ
できる。これまでのクライアント/サ
ーザ環境とは、複数のThin-Clientから
ームを形成する。サーバファームは
る。
ーバ・システムのようにクライアント
の入力情報に基づきサーバ側でクライ
CPUごとに負荷分散が行われ、全体の
③クライアント環境の統一
に対してソフトウェアの配布を行う必
アント・アプリケーションを実行し、
サーバを効率良く利用することができ
セクションごとにアプリケーション
要がないため、アプリケーションの導
結果を画面情報として各Thin-Clientに
る。また1サーバでサポートしきれな
(WordやExcelなど)のバージョンが違
入/変更に対し速やかに対応すること
(図1)
い多くのクライアントをサポートする
うため、情報交換には必ず変換プログ
ができる。
ことが可能になる。
ラムを使用している。こういった問題
例えば、2000年問題にまだ着手して
戻し表示させることである。
したがってPCもエミュレータによ
りこの仕組みを利用してWTSに接続
暗号認証機能は、ユーザがログオン
も、WTSに接続することで全員が同
いないユーザは、ソフトウェアの変更
した場合、Thin-Clientということにな
する時のアカウントやパスワードを暗
じ環境を得られるため、自由な情報交
を行うことに注目しがちだが、システ
る。またJavaStationやNetwork
号化し、外部に漏洩しないような仕組
換が可能になる。
ム全体に変更したソフトウェアを配布
ComputerのことをThin-Clientと呼ぶこ
みをサポートしている。このソリュー
④環境への適応性
しクライアントごと作動確認をするこ
とがあるが、ここではアプリケーショ
ションにおけるオプション機能の具体
WBTと液晶ディスプレイを組み合
とが、隠れたもう1つの大きな作業で
ンをローカルで実行するこれらのクラ
的な運用は次のフェーズで明らかにし
わせることで一切の騒音をなくし、省
ある。シンクライアント・ソリューシ
イアントはThin-Clientとは見なさない。
ていきたい。
設置スペースの端末を提供することが
ョンは、これらの作業を大幅に軽減す
できるため、都会での狭いオフィス空
ることができる。
WTSサーバにミドルウェアである
メインフレーム端末として利用する
MetaFrame1.0を追加することで、クラ
ために、今回のフェーズでは「UNISYS
イアントのローカル・ポートにプリン
INFOConnect 5.0 for WTS-ET Emulator」
を用意した。
図1 マルチユーザ環境
2
1
キーボードやマウ
スの入力情報をサ
ーバに転送
入力情報により
アプリケーション
を実行
WTS
WBT
画面情報のみをク
ライアントに戻す
3
図2 シンクライアント・ソリューションのシステム構成
HMP NX/LX
NTサーバ
WTS
MetaFrame
MFエミュレータ
LAN
WAN
WBT
構内からLANによる
接続が可能
WBT
各拠点からWANによる
接続が可能
シンクライアント・ソリューション
HMP NX/LXが提供する製品群
〈ソフトウェア〉
-WTS:
Microsoft Windows NT Server.
Terminal Server Edition
-MetaFrame:
Citrix MetaFrame Application
Server for Windows Ver.1.0
-MFエミュレータ:
INFOConnect for WTS ET Emulator
〈ハードウェア〉
-NTサーバ:
AQUANTA QS/2U,DS/2BU
-WBT:(Windows Based Terminal)
WBT(WiNT)
ガートナーグループは、LANにおけ
利用することでサーバの集中化がなさ
これを導入す
るWTS+WBTとWindows95を搭載した
れるため、センター側に大型サーバを
ることにより
PCのTCO(Total Cost of Ownership)を比
用意することで、拠点側にNTサーバ
Thin-Clientを
較した。その結果WTS+WBTは管理の
と管理者を置く必要がなくなる。
HMP NX/LX
集中化により30%のTCOの削減が期待
仮にセンターと10拠点にサーバ11台
端末の新たな
できることを発表した。またこのレポ
(1台400万円)と管理者11人(1人当たり
選択肢として
ートの中で現在PCの年間TCOはその
120万円の教育費)を用意したとして、
利用すること
ハードウェアコストの3倍に匹敵し、
5,720万円もの初期投資が必要になる。
ができる。
平均120万円であるとされている。
これをWTSで実現した場合、大型サ
Thin-Clientに
仮に50台のクライアントを5年間で
は、入出力に
償却するとして、PCは3億円ものTCO
円)で1,120万円の初期投資で済み、
特 化 し た
が掛かり、WTS+WBTはその30%の9千
4,600万円もの初期投資コストを削減
Windows-based
万円のTCOを削減できることになる。
できることになる。これらの例はあく
Terminal「WBT
またガートナーグループの比較は、
ーバ1台(1千万円)と管理者1人(120万
までも試算であり、必ずしもこういっ
(WiNT)」を
あくまでもLAN環境における予想結果
た結果につながるとは限らないが、こ
WTSの専用端
であり、現状のC/SSではNT環境を利
のソリューションの特徴をつかむこと
末として使用
用しようとした場合、各拠点にNTサ
はできたと思う。
(図2)
ーバと管理者が必要になる。WTSを
する。
シンクライアント・ソリューションの目的
①メインフレーム端末の近代化
シンクライアント・ソリューションの効果
シンクライアント・ソリューションの適用
シンクライアント・ソリューション
を構築するまでユーザのサポートをす
業務をそのまま移行するためにThin-
を構築するにあたり、WTSサーバや
る「シンクライアント・ソリューション
これまでユーザにはメインフレーム
Clientが必要になる。機能を固定化で
ネットワークの構成がシステムを設計
適用サービス」を用意した。また各ソ
端末の代わりとしてPCにエミュレー
きるため、ユーザは業務に専念するこ
する上で最も重要であり、専門知識を
フトウェアの教育コースも別途用意し
タを搭載したものを提供してきた。し
とができる。
持ったエンジニアのコンサルテーショ
ている。こうしたサービスや教育コー
かしこれがユーザの管理コストの増大
②ネットワークの近代化
ンが必要になる。シンクライアント・
スによりWindows NTに精通してこられ
を招く結果となっている。そこで管理
メインフレームのネットワークの近
ソリューションはこういったコンサル
なかったユーザも、
安心してこのソリ
コストの増大を防ぎメインフレームの
代化に伴い、NTとの共存環境が求め
テーションの窓口と、実際にシステム
ューションを利用していただきたい。UN
8
1999年3月1日第455号
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
うな点を挙げている。
*掲載日前に裏付けのある売上状況を
リアルタイムに把握でき、割付担当
者以外の、すべての関連部門担当者
社会公共情報システム
が紙面編成状況(日、面数ごとなど
の割付状況)をリアルタイムに把握で
き、円滑な業務遂行が可能になった。
*紙面の面・版建て予定を管理するこ
とで、紙面調整の円滑化、申し込み
入力ミスの防止を徹底できる。
高知新聞社東雲センター全景
広告局業務支援システムを稼働
情報共有化で業務革新を図る
*掲載申し込みは代理店、支社の営業
編成部では割付端末機によって広告
担当者自ら行い掲載モレの防止、問
割付の日付ごとの広告スペース、各面
い合わせに対する迅速な対応が可能
の面種(文化欄、スポーツ欄、総合欄
など)と予定段数など3カ月先の予定表
高知新聞社
を作成する。
子送稿システム「EDI(Electronic Data
②広告申し込み受付
Interchange)」の受け皿としてのイン
広告代理店および支社の営業担当者
高知新聞社では、支社 広告代理店をオンライン化し、頁建ての決定から広
は営業端末から申し込み情報(広告の
告申し込み∼紙面編成∼売上確定までを支援する「広告局業務支援システム」
種類、広告主、業種、掲載年月日、ス
を構築し、運用を開始した。
ペース、料金など)を入力・送信する。
編成部門、関連部署の情報共有
化を目指す
高知新聞社では、これまで広告の売
上管理、請求書発行、入金管理などの
業務は事務処理系ホストで処理してき
た。一方、編成業務など広告局業務の
システム化は手つかずのまま推移して
フラを整備できた。
③紙面編成
新システムは、広告局、支社、整理(編集)部門、広告代理店での情報共有化
整理本部では割付端末機で予定表を
を実現し、割付業務の効率化、リアルタイムな売上把握などを可能にしている。
■株式会社高知新聞社
◆1904年(明治37年)創刊以来、発行部
数は着実に伸び続け、現在約23万
5,000部と他紙を凌駕し、またシェア
は80%を超え、地方紙として全国ト
ップの占有率、普及率は4世帯中3世
帯と県民への浸透度は群を抜いている。
◆所在地=高知市本町3-2-15
になった。
*今後予想される文字・画像原稿の電
もとに、毎月20日に翌月分の紙面編成
を行う。
◆代表者=岩井 寿夫社長
◆支社=3支社
◆発行部数=朝刊約23万5,000部/夕刊約
14万7,000部(99年1月)
◆従業員数=386人(同)
◆使用機種=エンタープライズ・サーバ
「A4T」、UNIXサーバ「USファミリ120」×2
④紙面割付の確定
村田 俊彦氏
編成部では掲載申し込み情報に基づ
村田 俊彦氏は、「当社の場合、面建
き、スペースや記事と広告の内容を勘
て(紙面構成)が直前になって変わるケ
案して、どの面にどの広告を掲載する
ースもあり、これには面建て・広告割
かを決定する。以後、支社、代理店、
付の変更が伴う。新システムでは、こ
た、この分野での実績などを考慮し、
編集部門との調整を行い、掲載日前日
うした変更、特に移動に伴う調整作業、
日本ユニシスに全面的にシステム構築
に最終確定する。
変更後の確認が端末を介して確実に行
を委託し、98年4月から運用を開始し
⑤売上データの作成
え、面建て変更への柔軟な対応が可能
た」と語っている。
本社関連部門、支社、広告代理
店とをネットワーク化
新システムは、サーバと広告局各部、
掲載日3カ月前からの申し込みデー
になった。また、電子化による情報共
タをもとにサーバで売上予定データが
有の効果は極めて大きく、特に社員の
作成され、割付終了後、当日分の売上
意識改革に寄与する点が大きい。今後
データをサーバから抽出し事務処理系
は、売上予測精度の向上、個々の営業
ホストに送信し、請求書発行と経理処
担当者のデータ加工・分析支援などを
整理本部、関連会社の高知広告センタ
理に活用する。
期待している。また請求書発行処理も
これまで、広告局業務の中核となる
ーの端末および基幹ホストとをLAN
新システムに取り込み、広告業務は新
編成業務(申し込み受付∼紙面編成∼
で、また各支社、県内広告代理店の端
割付決定など)は、代理店が手書きで
末とを通信回線で接続する形態をとっ
割付状況、売上実績をリアルタ
イムに把握
記入した調定カード(代理店名、スポ
ている。
システム化による効果として次のよ
ンサー名、料金、掲載希望日、サイズ
これまで手書きのカードに
などを記載)をベースに手作業で行っ
記入され、FAXで送られてきた
てきた。
申し込みデータは、広告代理
このため、確実な紙面編成作業、関
店および東京・大阪・高松の各
連部署の確認・調整などはすべて紙ベ
支社で営業端末から入力・送信
ースで行われ、しかも売上状況は割付
する。広告代理店は高知広告
完了後にならないと把握できなかった。
センター以外に県内12社ある
そこで、調定カードの内容をすべて
が営業端末は現在2社に設置、
電子化し、編成部門、関連部署が情報
今後順次拡充される予定で、
共有しながら業務を進める仕組みづく
最終的には申し込みデータはす
りを目指して広告局業務システムの導
べて電子化されることになる。
入を決めた。
広告局広告部副部長 村田 俊彦氏は、
広告局業務支援システム・ネットワーク図
東雲センター
サーバ機2台
編成部(割付担当部署)
割付端末2台
営業端末
県内広告代理店
高知広告センター
営業端末
営業端末4台
…
プリンタ
U S 120 U S120
プリンタ
営業端末
プリンタ2台
各支社
東京・大阪・高松
営業端末
計 4台
送信されてくる申し込み情
プリンタ
報をもとに、紙面編成、紙面
「広告の紙面編成業務のシステム化ニ
割付の確定、売上データが作
ーズは以前からあったが、具体的に導
成される。売上データはホス
入検討に入ったのは4年前からである。
トに送信し、ホスト側で請求
システム化に当たっては、各社で稼働
書発行、経理データ処理を行
中のパッケージの活用状況を綿密に調
っている。
査し、システムの経済性、機能性、操
システムですべて完結できるようにし
UN
たい」と語っている。
…
きた。
(図参照)
新システムの基本的な仕組
作の容易性から種々検討し、既設の事
みは次のようになっている。
務処理系ホストとの親和性が高く、ま
①予定表の作成
本社
整理本部
割付端末
ホスト
コンピュータ
A 4T
1台
プリンタ
広告 部
企画部
営業端 末
2台
プリンタ
2台
システム開発部
営業端末
営業端末
1台
1台
プリンタ
9
流通情報システム
ユニアデックスのヘルプデスク・サービスを活用
情報システム部門の運用管理負荷軽減
ユーザの円滑な運用を支援
Audi A4
ゴルフGTI
され、顧客満足度を高めている。
高品質なヘルプデスク・サービスで
円滑なPC活用を支援
フォルクスワーゲン グループジャパン
現在のコール受付数は月間約100件。
アプリケーション別では、Exchange5.0、
ユニアデックスが提供するヘルプデ
Windows95、Access95、Excel95に関す
スク・サービスは、ハードウェア/ソフ
る質問が多い。サービス時間帯は通常
フォルクスワーゲン グループ ジャパンでは、早くからPC1人一台体制によ
トウェアに対する技術的質問や操作方
9時から5時までだが、同社の要請に応
り本社部門の情報共有化を進めてきたが、情報システム部門の負荷軽減、運
法に関する問い合わせへの回答であ
えて、7時まで延長されている。ピー
用管理の効率化、ユーザの運用操作の支援とスキル向上を目指してユニアデ
る。またクライアントPCのメモリや
ク時間帯は午前10時∼11時、午後2時
ックスのヘルプデスク・サービスを導入した。
OSの管理、ソフトウェアのバージョ
∼4時、5時∼6時となっている。
ン管理、さらにメーカーが定めている
■フォルクスワーゲン グループ ジャパ
ン株式会社
◆世界有数の伝統を持つ自動車メーカ
ー、フォルクスワーゲン、アウディの
日 本 法 人 。“ CUSTOMER COMES
FIRST”―常にお客様の満足を最優先
に考え、人に一番心地よいサービスの
提供にビジネスの基本を置くリーディ
ング・インポーター。
◆所在地=愛知県豊橋市明海町5-10
PC1人一台体制をいち早く確立
情報共有化を積極的に推進
◆代表者=ウド・シュルケ代表取締役
◆設立=1983年7月
◆売上高=約1,500億円(98年)
◆登録実績台数=フォルクスワーゲン4
万9,340台、アウディ1万790台(97年
JAIA出典)
◆正規販売店=245店
◆従業員数=360人(98年1月)
ユニアデックスのヘルプデスク・サ
保証期間や保守契約の管理なども行っ
ービス導入による効果について、
ている。対象は豊橋の本社部門、東京
氏は次のような点を挙げている。
事務所および関連会社に設置の計390
橋
「ヘルプデスク・サービス導入以後、
台のPC、30台のプリンタおよびマイ
ユーザからのクレームもなく、好評と
クロソフト社の各種ソフトウェアで、
評価している。ピーク時にも確実につ
サービスは昨年2月に開始された。
ながる、女性エンジニアによるソフト
東京CSC(カストマ・サービス・セン
できめ細かい応対も好評の要因の1つ
ター)に待機している約50人のIT専門
になっているようだ。ユニアデックス
への切り替
スタッフは、この分野で長い経験と高
から毎月、コールの日時、部署名、氏
えを機にPC
いスキルと技術力を持っており、ユー
名、問い合わせ/回答内容を収録した
運用操作の
ザからの問い合わせに的確に対応して
レポートの提出があるため、サービス
フォルクスワーゲン グループ ジャ
ヘルプデス
いる。また、頻繁に寄せられる質問事
状況がすべて把握できる。情報リテラ
パンでは、94年頃からPC1人一台体制
ク・サービ
項とその回答内容をデータベース化し
シーのスキルも着実に向上していくも
を確立し、情報共有化を進めてきた。
スをアウト
た「FAQ」(Frequent Asked Question)デ
のと期待している。単にトラブルや、
現在、390台(うち関連会社に40台)の
ソーシング
ータベースも整備されている。
分からないのでコールするのではな
PCを全社に配備し、OAシステム・PC
することと
環境はマイクロソフト社製品に統一し
した。これ
ている。
こうした体制によって、通常80%と
く、さらに業務効率向上のためにサー
いわれる1次回答率が95∼90%と、ほ
ビスを活用してほしいと思う」と語っ
によって、運用管理負荷を軽減し、生
とんどその場で回答されている。また、
ている。
橋 真一氏
社員は、これらの製品を活用して上
産性の高い業務に専念できる体制を築
回線の確保など電話受付インフラの整
現在のアウトソーシングはMS-Office
司や関連部署の了解を得ながら業務上
き上げることができ、また高技術者集
備により、ヘルプデスク・サービスに
系の分野だけだが、今後はサーバ系を
の着想・企画から判断までを迅速かつ
団による応対でユーザのスキル向上も
ありがちな電話コールに対するビジー
円滑に遂行している。
期待できる」と語っている。
状態(お話し中・つながらない)が回避
含めたアウトソーシングも検討してい
UN
くという。
アウトソーシングで情報システ
ム部門の負荷を軽減
ナー選定に当たっては、コスト、サポ
こうしたPCの活用が進む一方、運
用管理面における情報システム部門の
アウトソーシングを委託するパート
ート体制、サービス時間帯を要件とし
て、数社を調査・検討した。
社であるユニアデックス(日本ユニシ
氏は「ユーザからの運用操作に関わる
ス・グループ)が提供する分散システム
さまざまな質問への対応、機器の保守
運用管理・利用者支援サービス
契約、ソフトウェアごとのサポート契
「HelpMAN」に注目し、ヘルプデスク・
約、またPCをより高度に使いこなす
サービスを導入した。
ためのユーザ教育など、運用管理業務
が増大してきた。
ベンダ数社の中からユニアデックス
を選定した理由として、技術者が直接
特にPC運用操作に関わるユーザか
電話を受けて、その場でトラブルの原
らの質問に対しては、情報システム課
因を特定して対応し、しかも初心者レ
の運用チーム(5人)のスタッフのうち2
ベルから上級者レベルまでの質問にも
∼3人が交替で対応し、ヘルプデスク
適切に対応するなど、分散システム運
業務の作業負荷は7割近くを占めてい
用管理・利用者支援サービス分野での
た。
豊富な実績を挙げている。
そこで、MS-MailからMS-Exchange
1999年3月1日第455号
東京
WindowsNT Server
その結果、ネットワークからC/Sシ
橋 真一
10
WindowsNT Server
ステムまでトータル・サービス専門会
負荷も増大してきた。
情報システム課 課長代理
ヘルプデスク・サービス概要
マイクロソフト社製品を対象としたヘルプデスクのアウトソーシング
豊橋
WAN
サポート時間帯 9:00−19:00
フリーダイアルによる
MS製品に関する操作上の質問
電話による即答
もしくはFAX、E-Mail
によるご質問への回答
電話による即答
もしくはFAX、E-Mail
によるご質問への回答
対象ソフトウェア
対象機器台数
マイクロソフト社製品全般
Windows3.1
Windows95
WindowsNT xx
MS-OFFICE9x
マカフィー(VirusScan)
etc
PCクライアント 390台
(IBM&DELL)
プリンタ 30台
ユニアデックス
カストマ・サービス・センター
ヘルプデスク
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
*将来に向けての24時間365日安
定稼働、つまりノーダウン/ノ
金融情報システム
ンストップを可能とする施設
*FISCなど行政面から求められて
いる安全性や信頼性をクリアで
きる施設
*科学的な考えに基づいた施設運
用管理
などの実現を狙いとした。このた
め、次のような機能を盛り込んだ
新システムセンター竣工
新システムセンター(合川パークビル)
日本ユニシスが設計・監理および設備施工を担当
筑邦銀行
筑邦銀行では、このほど新システムセンター(合川パークビル)を竣工させた。
日本ユニシスが新センターの設計・監理および設備施工を担当し、コンピ
ュータビルとしての設備はもとより、セキュリティや災害対策に万全を期し
た最新のインテリジェントビルを実現させた。
■株式会社筑邦銀行
◆久留米市を中心に福岡県南部を基盤と
する地方銀行。創立以来「地域社会へ
の奉仕」を経営理念とし地域の発展に
貢献できる銀行を目指してきた。自由
競争時代を迎え、自己責任原則に基づ
く経営が求められているが、第7次中
期経営計画「Gross Review45」をスタ
ートさせ、収益力の強化、リテール営
業基盤の拡大、経営の効率化などに重
点的に取り組んでいる。
◆本店=久留米市諏訪野町2456-1
◆代表者=前川 博頭取
◆預金量(譲渡性預金含む)=4,362億円
(98年3月)
◆店舗数=44店、1代理店(同)
◆従業員数=664人(同)
◆使用機種=「UNISYS2200/400」シリー
ズほか
進展する金融自由化に耐えうる
システム対応が必須
取締役総務部長 佐藤 智秋氏は、新
センターが必要とされてきた背景につ
設)の老朽化の問題に加え、今のよう
な金融自由化が進展する中で、勝ち残
いる。
*受電設備=3φ3W6.6KV 60Hz2回線
(本線、予備)引込み、トランス容量
1,600KV
家用発電装置750KVA(ガスタービン)・
*自家用発電設備=ガスタービン発電
機
容量 750KVA1台、6.6KV、燃料 A
重油
るなど設備の二重化を図り、非常時対
*無停電電源設備=UPS100KVA3台
*蓄電池設備=小型シール型据置鉛蓄
電池
*電算用空調設備=空冷式15馬力6台
(予備機含む)
*ITV設備=監視カメラ7カ所
*入退出管理設備=15ゲート
佐藤智秋氏
西原 毅氏
るためには銀行業務の多様化・複雑化
安全基準を満たす必要がある。その点、
に耐えうるシステム対応が必須となっ
ユニシスはFISCのメンバーであり、
てきた。その対応のため2000年度には
◆二重のバックアップ施設
電気引き込み系統の二重化、電話回
線の二重化、UPS(無停電電源装
置)100KVA×3台(将来4台)のほか、自
地下燃料タンク8000リットルを装備す
策を施している。
◆総合監視システムの採用
コンピュータや付帯設備などの障害
信号を中央監視盤へ伝送して集中監視
する監視システムを採用している。
◆防災・防火対策
地震に強いスリット工法はもとよ
り、正方形のバランスの良い建物形状
についても地域社会の発展を考慮し、
とし耐震性を強化した。河川からの水
地元の有力な建設会社5社による建設
害対策として電気設備やシステムセン
共同企業体を組織して建設に取り組ん
ター機能を2階以上のフロアに設置。
でいただいた」(佐藤取締役)。
また、消火設備として久留米市内では
最少の投資で最大の効果を発揮
する新センターを完成
初めてというFM200代替ハロンガスを
同行では、現在の厳しい経営環境の
いて、「現システムセンター(1975年建
インテリジェントビルを実現して
■新システムセンターの概要
*名称=合川パークビル
*所在地=久留米市合川町1490-9
*延床面積=2,902.06㎡(877.87坪)
*構造=鉄筋コンクリート造、地上3階、
塔屋1階
採用した。
◆万全なセキュリティ・システム
コンピュータ室、電気室、機械室、
中で新システムセンターの建設に当た
事務室など全般にわたりFISCのセキ
って、最少の投資で最大の効果を出す
ュリティ管理基準を上回る管理体制を
方針で挑んだ。
適用した。システム関係部署のほか
「FISCの安全対策基準を遵守し地震・
一部関係会社も同居するためIDカード
その安全基準に則ったセンターの施工
水害などの災害対策、監視・防犯のた
を使用した個人ごとの入退館システ
ホスト・コンピュータを最新鋭機に入
を数多く手がけた実績を有している。
めの設備はもとより、入退館システム、
ム、入居エリアごとの警備システム、
れ替える予定である。
その実績を買うとともに当行の希望す
自家発電装置などの設備を含めて、低
防犯ビデオカメラも施設内各所に配置
特に金融機関のオンライン・システ
る条件を最も経済的・効果的に満たし
コストで最新のインテリジェントビル
するなど細心の注意を払っている。
ムは経済活動や個人の生活に深く関わ
てくれるものと判断した結果である」
が建設できたことは大きな成果だと思
◆OA化対応
り、高い公共性と社会的重要性を持っ
(総務部部長代理 西原 毅氏)と語って
っている。今後は、この施設を地域へ
コンピュータ室の耐震フリーアクセ
ているだけに、そのトラブルは社会的
いる。
の情報発信の基地として、地元と一緒
スはもとより事務所のほとんどにOA
にも大きな影響を与える。したがって、
新センターの建設で地域経済の
活性化を促進
になって活性化の道を探っていきた
床を採用し、コンピュータ機器の増
い」(西原総務部部長代理)。
設・移設が容易にできるよう対応して
新システムセンターの特色
いる。また、近い将来の電話回線の光
システムセンターはコンピュータ・シ
ステムの安定稼働と的確な安全対策が
不可欠である。銀行運営の柱としてど
同行は地域産業界の中核銀行であ
のような事態に遭遇しても対処できる
り、長引く不況の中で同センターの建
センターを目指して今回、新センター
設を通して地域経済の活性化を支援す
の竣工に至ったものである」と語って
る意図もあった。
いる。
UN
ケーブル対応も準備している。
新システムセンターは、
同行が本拠地とする久留米市ではソ
日本ユニシスを設計監理者に選定
フトウェア・ハウスなどハイテク関連
の事業所を誘致し、次世代産業の開発
新システムセンターは建物の性格を
拠点とする合川ハイテク・パークの造
重視して、日本ユニシスが設計・監理
成計画を打ち出し、同行にも進出の打
および設備施工を担当した。
診があった。「近くに河川があり、水
その理由について、「当行は長年に
害の懸念もされたが、設計上で解決可
わたりユニシスのホスト・コンピュー
能と判断し、
“地域社会への奉仕”を
タを使用しており、当行の業務内容に
第一義として、95年4月に久留米市開
精通している。また、新センターは当
発公社から、用地を購入し建設に踏み
然FISC(金融情報システムセンター)の
切ることにした。また、建物本体工事
コンピュータ室
受変電設備
FM200代替
ハロンガス
無停電
電源装置
11
サービス
アドバンスト・コンサルティング・サービス(20)
「電子帳簿保存法」の概要と企業の対応
日本ユニシス株式会社
アドバンストコンサルティンググループ シニアコンサルタント
電子帳簿保存法については、この制定に関わられた公認会計士 和貝 享介氏によ
山本 正雄
ど)を保存することが義務づけられた。
務であり、保存電子データに対する可
る紹介が、本紙1998年10月号ですでになされている。ここでは、制度概要に加え
電子帳簿保存が申請による任意である
視性の要件とほぼ同様のものが要求さ
て、企業での取り組み、対応について述べることとしたい。
のに対して、電子取引記録の保存は義
れていることに注意が必要である。
企業における取り組みの視点
制度改正の背景
(1)直接的なコスト削減が期待可能
昨年7月より「電子帳簿保存法」が施
界の要望がようやく実ったものである。
のEC/EDI化はこれを契機に大きく進
紙の出力、整理・収納、スペース確
展する可能性がある。
(3)経理システムのみの問題ではない
行された。この法律は従来、紙による
国税関係帳簿・書類を紙で保存(青色
保などのコスト削減が期待できる。削
保存が義務づけられていた国税関係帳
申告法人で7年間)することによる企業
減効果と、要件を満たすためのシステ
会計情報は基幹業務(販売、購買な
簿・書類について、電磁的記録による
の負担は大きく、大手小売店では年間
ム対応コストとを見定めた対応作業プ
ど)の第一線で発生して最終的に経理
保存に替えることを認めたものであ
1億円以上のコストがかかるといわれ
ランの立案が必要である。
システムにおいて記帳処理されてい
る。制度改正の背景として、規制緩和
ており、電子的保存に対する期待は大
(2)ペーパーレス、EC/EDI進展の大き
る。電子帳簿保存法は「自己が一貫し
の促進、デジタル化・ペーパーレスな
きい。
どの情報化の進展があり、長年の経済
新制度の概要
従来は、紙で保存された帳簿(仕訳
帳、総勘定元帳、補助帳)と書類(決算
大手企業ではすでに電子帳簿保存の
おける「真実性」を要求している。すな
申請を行った企業もある。こうした大
わち基幹システムも含めた広義の会計
手企業、先進中堅企業では企業間取引
情報処理での真実性が求められている
が依然として紙ベースで行われている
のである。
したがって基幹システムをも
つまり、紙と同等の見読性を要求さ
状況をなんとかしたいと考えている。
含めた広い範囲での要件を満たしてい
企業内のペーパーレス化、企業間取引
るかどうかの調査・検討が必要となる。
れているのである。
査が行われていた。今回、所轄税務署
*さらに、勘定科目などの必要なキー
合には、これらの帳簿・書類の全部ま
て電子計算機で処理」するシステムに
ならない。
書類、伝票などの証憑)を基に国税調
に申請し一定の要件を満たしている場
な契機
での検索が可能でなければならない。
(3)情報システムに対する要件
実現へのアプローチ(戦略的経営管理実現に向けて)
このように考えてみると、今回の電
ように考えるべきである。
(1)会計を中心とした情報システムの現
たは一部の保存を電子データ(磁気テ
従来、情報システムは国税調査にお
子帳簿保存法に対応するスタンスとし
ープ、CDなど媒体は任意)による保存
いては、いわばブラックボックスであ
て近視眼的にコスト削減のみを目的と
状評価
(図1)
った。紙のみによる調査であったから
して捉えるのでは不十分であるという
ビジネス戦略との適合性、情報シス
(1)自己が一貫して電子計算機を使用し
である。しかし、電子データは改竄し
ことがわかる。多くの企業では、現場
テムとしての有用性、会計としての真
てもその痕跡が残らないという特性が
のニーズを満たすべく発生ベースで経
実性、さらには基幹システムとの整合
*紙をスキャナーなどで電子化すれば
あることから、電子データを作成する
理システムをはじめとする、さまざま
性など、さまざまな観点での評価が必
いいという話ではない。処理の最初
情報システムに対して次のような要件
なシステムが構築されてきた。統合
要である。
からコンピュータで作成したものに
を満たすことが求められている。
的・戦略的な観点でビジネス全体を見
(2)実現プランの策定と実行
限るということである。
*真実性の確保
通した情報戦略は策定されてはいなか
ビジネスと情報システムのあるべき
に替えることが認められた。
て作成した帳簿・書類であること
*したがって取引相手から貰う請求
訂正・追加・削除の履歴が残るシステ
った。そのために、さまざまな歪みと
姿を構想し、その中核として会計シス
書、領収書などは対象外である。自
ムであること。また、帳簿間の関連性
不具合がビジネスとシステムに現れて
テムを据えるべきである。財務会計/
己がコンピュータで作成した帳簿と
(転記・集約などによる関連性=監査証
きている。
管理会計として会計システムを捉える
伝票(相手に渡した請求書、領収書
跡を追跡できること)を確保している
などの控えなど)とに限られる。
こと。
を契機に、まずは情報システムの現状
カネ)の統合的管理および業績管理シ
*システム・ドキュメントの備え付け
評価を行い、問題点を整理することが
ステムとして把握し、実現のための課
必要である。その上で電子帳簿保存の
題・方策の整理と計画策定、実行がい
具体的な実現プランを策定するべきと
ま、求められているのである。
(2)電子帳簿・書類の可視性確保
*国税調査時に速やかにディスプレ
イ、プリンタに出力可能でなければ
基本設計書、
その他のドキュメントを整
備し、
備え付けていなければならない。
したがって、今回の電子帳簿保存法
(図2)
(E-MAIL:[email protected])
また、国際会計基準対応も含めた戦
UN
考える。
電子取引記録保存の義務づけ
だけではなく、経営資源(ヒト、モノ、
略的経営管理システムの実現を以下の
EDI取引(いわゆるインターネット取
引を含む)の記録(見積書、注文書な
図2 実現へのアプローチ
図1 電子帳簿保存制度の概要(従来と対比して)
従来の制度
証票
情報システム
情報システム
の現状評価
電子帳簿書類保存制度
電子証票
単独対応?
・会計を中心とした情報システムの現状評価
ビジネスに対する有用性、利便性、システムの正当性、真実性
・基幹システムとの整合性、体系性、統合性の評価
・電子帳簿保存効果/コストの見定め
電子帳簿保存のみを単独で対応
(システム対応、ドキュメント/運用整備)
情報システム
データ
データ
実現プランの策定
・あるべきビジネスと情報システムの姿の構想
・会計システムのあるべき姿の構想
・実現のための課題整理と方策の立案
実現プランの実行
・戦略的会計システムの実現(含む電子帳簿保存)
・企業革新、業務改革の実現
電子帳簿
ブラックボックス
帳簿
12
1999年3月1日第455号
真実性の確保
・訂正削除履歴の確保
・追加入力履歴の確保
・帳簿間関連性の確保
可視性の確保
・検索機能
・出力機能
システム・ドキュメントの備え付け
運用要件
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
IT 最前線
「システム監査Q&A110」について
日本ユニシス株式会社
監査室長
システム監査学会 理事
日本セキュリティマネジメント学会 理事
「システム監査Q&A110」の構成
情報システムの拡大とシステム監査
監査対象から独立かつ客観的立場の
較して、まだまだ低い状況にある。シ
システム監査人が、情報システムを総
ステム監査学会と(財)日本情報処理開
合的に点検評価し、組織体の長に助言
発協会が共同で実施したシステム監査
および勧告するシステム監査は、情報
普及状況調査(1997年調査)において
システムの量的、質的拡大と、ネット
も、システム監査の実施率は、回答企
ワーク化、オープン化とともに、ます
業の32.6%と低い。システム監査の未
ますその重要性を増している。
実施の理由としては、同調査によると、
喜入 博
(32項目)
Ⅰ. システム監査の基本的事項
(15項目) Ⅴ.運用業務の監査
1.コンピュータセンターの設備
1.システム監査とは何か
2.運用管理
2.システム監査をめぐる人、組織、制度
3.EUC
3.システム監査基準の基本的理解
4.システム環境の変化とシステム監査の
対応
Ⅱ. システム監査の準備・計画
(11項目)
5.ネットワーク管理
1.システム監査の導入準備
Ⅵ.保守業務の監査
(4項目)
2.監査計画
Ⅶ. 共通業務の監査
(17項目)
3.監査実施
1.ドキュメント管理
2.進捗管理
Ⅲ. 企画業務の監査
(12項目)
3.要員管理
4.外部委託
Ⅳ. 開発業務の監査
(12項目)
5.災害対策
Ⅷ.システム監査報告書
(7項目)
特に最近では、西暦2000年問題への
「システム監査の実施よりもシステム
情報システムの対応状況、および社内
化推進そのものに力点がある」「実施の
外に構築されたネットワークと個人単
ためのコンセンサスが育っていない」
位に導入されているパソコンを背景と
「システム監査を実施するための担当
した企業の情報システムのセキュリテ
者(部門)の確保が難しい」などが挙げ
ィ対策の実施状況の点検、評価をシス
られている。システム監査の必要性は
テム監査として実施している例が多く
認識しているものの、企業活動にシス
なっている。
テム監査を効果的に導入、定着させる
企画業務に関しては、システム監査
年の情報システムの利用形態、運用形
には、多くの課題があるのが現状であ
基準に準じて、情報戦略の監査、およ
態の変化に対応し、クライアント/サ
る。
び情報戦略の有効性の監査のポイント
ーバ・システムや分散処理などの新し
システム監査Q&A110の概要
が紹介されている点が注目される。
いシステム形態、電子メールや電子商
また、システム化効果とクライアン
取引等の新アプリケーションなどに対
このような状況を背景に、日本情報
監査普及状況調査の回答、システム監
ト/サーバ・システムにおける費用対効
応したシステム監査の方法、着眼点な
処理開発協会では、システム監査を導
査学会や関係組織に寄せられた質問を
果の監査の解説もあり、情報システム
どが解説されている。
入、定着、推進させるための手順、方
ベースに、編集関係者が整理してまと
の効果に関する監査の目的、手法の説
⑥保守業務の監査
法を質問形式でまとめた「システム監
めたものある。質問は、初めてシステ
明が多くなっている。
査Q&A110」を発行した。この「システ
ム監査に取り組む企業における体制の
④開発業務の監査
ム監査Q&A110」は、87年9月に初版が
構築、システム監査人の養成方法から、
発行されたが、その後の情報システム
環境の変化、および96年1月のシステ
しかしながら、我が国におけるシス
テム監査の実施率は、欧米諸外国に比
③企画業務の監査
とシステム間の対応」の分野では、近
情報システムの保守作業が、徐々に
増加してきている。本項では、小規模
情報システムの開発業務では、品質
保守の監査、新システムへの移行、シ
情報システム構築の各段階におけるシ
向上、大規模開発のプロジェクト管理
ステム改善要求への対応状況、EUCの
ステム監査のポイント、さらにシステ
などが、依然として問題となっている。
保守に対して、効果的な監査の実施方
ム監査基準の改訂に伴い、内容の全面
ム監査実施後の報告書の作成から講評
また、近年のオープン化とともに、エ
法が説明されている。
改訂を実施したものである。この編集
会の開催の留意点まで、幅広く質問と
ンドユーザ・コンピューティング
⑦共通業務の監査
に携わった者として、その内容などを
回答がまとめられている。また、シス
(EUC)により構築されるシステムを、
紹介したい。
テム監査の各局面におけるシステム監
どのように監査するかも監査人にとっ
に関わる課題として、ドキュメント管
本書は、各企業がシステム監査を行
査人の着眼点に関しても、例示をあげ
て、大きな課題となっている。本書で
理、進捗管理、要員管理、外部委託、
うに当たって、準備、実施する際のさ
て解説がなされており、監査を実施す
は、開発業務に関わる12の質問を想定
災害対策の状況をシステム監査人が監
まざまな問題、課題、疑問点を質問と
る監査部門の要員に対してのみなら
し、現在の開発形態に合わせた効果的
査する場合の着眼点が、現在の情報シ
その回答の形式でまとめたものであ
ず、
システム監査を受ける立場である情
なシステム監査の手順に関して説明さ
ステム環境に合わせた内容で紹介され
り、110ケースのQ&Aとなっている。
報システム部門およびエンドユーザ部
れている。
ている。
門の関係者にも参考となるものである。
⑤運用業務の監査
⑧システム監査報告書
質問の内容は、これまでのシステム
システム監査Q&A110の内容
運用業務の現在の最大の関心事は、
情報システムのライフサイクル全体
システム監査では、監査結果をどの
オープン環境の下でネットワーク化さ
ように監査報告書としてまとめるかが
システム監査Q&A110は、情報シス
A110も、新システム監査基準の内容を
れた情報システムの管理・運用と、情
非常に重要である。報告書自体の構成
テムの構築・運用の各段階、およびシ
反映し、経営におけるシステム監査の
報セキュリティ確保への対応といえよ
もさることながら、報告書をまとめる
ステム監査の実施の各段階を単位とし
重要性を唱えている。
う。これらの課題への対応を中心に、
までの被監査部門との意見交換、報告
て構成されており、各章の概要は、次
②システム監査の準備・計画
コンピュータセンターの管理、運用管
書提出後のフォローアップなど、シス
のとおりである。
①システム監査の基本的事項
システム監査を初めて実施する場
理、EUC、システム環境の変化とシス
テム監査人として熟慮する事項であ
合、および実施後に社内に定着させる
テム監査の対応、ネットワーク管理の
る。本項では、効果的な監査とするた
めの留意点が整理されている。
システム監査の基本的事項として、
場合に、その実施体制、定着のための
5分野に対して、32の質問から構成さ
経営との関連、システム監査の目的、
施策で悩んでいる企業は多い。それら
れている。特に「システム環境の変化
実施ステップ、およびシステム監査体
の企業に対して、社内での受け入れ体
制構築時のシステム監査人の確保、組
制の整備方法、システム監査実施規定
織、社内制度確立のポイントが述べら
の策定のポイント、システム監査人の
本書は、110問のシステム監査に関
己の状況に合わせた実施体制、着眼点
れている。96年に改訂されたシステム
養成方法などに関しての質問が11問設
するノウハウが項目を明確にして記載
を作成することが有効である。変遷す
監査基準では、情報戦略が経営戦略に
定され、解説がなされている。システ
されている。これからシステム監査を
る情報システムに対し、どのような深
整合しているかの評価と、情報戦略自
ム監査の実施による成功の鍵は、体制
導入しようとする企業、あるいは情報
さでシステム監査を実施することが妥
体の有効性の評価の実施状況を、新た
作りと社内意識の向上であるといわれ
システムの新たな分野に対しシステム
当であるかのヒントが得られるものと
にシステム監査の監査ポイントしして
ている。この11問の回答が、成功の鍵
監査を実施しようとする企業は、それ
確信する。
策定している。このシステム監査Q&
に対するヒントである。
ぞれの項目から当該項目を選択し、自
システム監査Q&A110の活用
UN
13
IT 最前線
サーバの動向
大畑建設
電子メールとWWWによる既存情報資産照会システムの統合化
大畑建設株式会社
総務部システム開発課 課長
日本ユニシス株式会社
商品企画部HMP-NX企画室 課長代理
白川 徹氏
久野 芳克
大畑建設(株)は、島根県益田市を中心に山陰地方全般で幅広く土木建築工事一般
て、当時「MailPlus!」
を行っている。ジョイント・ベンチャーや約10社に及ぶ関係会社をとりまとめて
で計画中のOutlookフ
公園、建物など地域の公共インフラ拡充のための工事を数多く手がけている。そ
ォームからの使用と
れらを円滑に管理するためにも現場担当者やバック・オフィスの管理部門からの照
いう機能をヒント
会要求にタイムリに応えられるシステムが必須で、従来よりSDF(MCP/AS環境の
に 、 Active Server
画面作成ファシリティ)で作成した業務処理画面をベースとした照会システムを運
Pagesで作成した画
営していた。しかし、電子メールによって容易にホスト連携を可能とする
面からの要求入力に
「MailPlus!」の発表を受け、全社WWWによる照会システム統合の一環としてこれ
よって、業務システ
を検討、ASP(Active Server Pages)で独自開発したユーザ・インタフェースを使っ
ムの有無にとらわれ
て、WWWブラウザからの「MailPlus!」活用による照会業務の統合化を管理部門か
ないWWWからの照
ら構築、98年8月より使用開始した。
会系システムが容易に構築可能と判断
れないケースもあり、またExcel連携
し、導入を決定した。
を未導入のためTextファイルからの変
ASPで作成された
「MailPlus!」メニュー画面
今回稼働のシステムではメニュー数
「MailPlus!」の概要
照会画面の例
換に手間がかかるという声もある。
を約40と8倍に拡大し、管理部門で発
導入後の利用状況を総括してシステ
「MailPlus!」は、MCP/AS環境下のア
生する工事関係の係数、ジョイント・ベ
ム開発課の白川課長は、「システム構
プリケーションに電子メール送受信機
ンチャーにおける係数や税務処理とい
築は個別の対応のみならず全体構想が
能を実現する基盤ソフトウェアであ
ったほとんどの要求に応じられるもの
大事である。その点当社では、全業務
り、電子メール・エンジンとしてはマ
となっている。関係会社を含めた将来
のWWWによる統合を前提にシステム
イクロソフト社のExchange Serverを採
のエクストラネット化をにらみ、「ユー
化を進めており、「MailPlus!」導入は照
用している。着信メールはメールIDに
ザ・インタフェースはWWWで統合する
会系の一歩前進と評価している。今後
よりMCP/AS環境のCOMSプログラム
白川課長(右)とシステム開発課のメンバー
ことが最適」との判断より、通常の電
の課題として利用状況に応じたメニュ
やWFLジョブ、UNIAREX(汎用データ
信内容をFAXに出力する機能であり、
子メールによる送受信やフォームの使
ーの見直しは勿論のことであるが、大
ベース検索ツール)などに自由に経路
WAN/LAN対応のできていない事業所
用による利便性の向上を目指すのでは
きな目標としては現在主に管理用に使
付けでき、送信メールでは「メール・ス
などへ送付するものである。
なく、当初からOutlook Web Accessに
用しているシステムの工事部門への拡
ホスト情報活用基盤の統合化に向けて
よる入力画面の作成を採用した。照会
大がある。原価管理に基づいた予実績
方法も年月や各種コードをキーとし、
情報を提供し、残高のリアルタイムで
オープン化の進展やインターネット
絞り込み検索や広い範囲からの検索に
の把握が工事担当者に可能となるよう
ケジューラ」または専用API(ライブラ
リ入り口点)によって電子メールをデ
ータ送受信媒体として扱える。
「MailPlus!」の主な機能としては、業
の普及といったコンピュータ利用形態
よるエンドユーザ主体の二次加工な
にしたい。そのためには公開用データ
務処理連携のためのさまざまな形態で
の変化に応じて、大畑建設ではエンド
ど、利用者のExcelのスキルに応じた
ベースの構造やアクセス権の設定など
の電子メール送受信、ホスト・データ
ユーザ環境のWWWによる統合化を検
使い分けができるように工夫している。
の問題がある。リモート・アクセスの
ベース内容を電子メールで照会するた
討、その第一歩としてブラウザによる
建設省による資格審査のインターネ
仕掛けを変更することも利便性の向上
めのUNIAREX連携、そして導入後す
照会業務の一本化を図った今回のシス
ットによる申請の採用や建設EDI構想
につながる。利用者のスキルやコンピ
ぐに効果を発揮する帳票イメージを
テム運用を開始した。
などオープン化の進展している業界の
ュータの理解も進んできたので、
HTMLファイルとしてメール送信する
従来は、SDFで作成した業務処理単
中でも、大畑建設はLAN化、電子メー
「MailPlus!」にDASDL(DMSⅡのデータ
ユーティリティ、指示されたファイル
位に照会プログラムを作成し、エンド
ルの導入や社内外向けホームページの
記述言語)を直接指定してWizard方式
を添付ファイルとして送信するユーテ
ユーザがTextデータとして各端末に取
公開など先行して情報処理基盤の整備
で検索する機能が付加されれば、より
ィリティなどが標準で提供される。
り込み、Excelに変換して二次加工す
を進めてきており、今回の電子メール
簡易的なツールとして使いこなすこと
るという形で処理していた。この方式
基盤とWWWブラウザによるシステム
ができると思われる」とシステムの拡
インターネット・メール・クライアント
では、業務処理の画面があることが照
化にもこれら長年にわたって蓄積して
張や商品への要求を貪欲に語っている。
だけであり、携帯電話への通知なども
会系システムとしての基準となること
きたノウハウが十分に活かされている。
可能となる。また、Outlook98クライ
による対象業務の制限や、少ない要員
アントの場合には、「MailPlus!」用の専
で全社基幹システムを開発しなくては
用フォームが添付されているので、よ
ならないことによって照会専用のシス
り容易にシステムの導入が行える。
利用者側に必要なソフトウェアは、
システム化の効果と将来計画
また、「全社的な課題としては、公
共事業を中心とした総合土木工事では
複数の企業の協力が不可欠。単なるネ
エンドユーザの評価としては、業務
ットワークの統合やサーバの導入では
テム開発までなかなか手が回らない、
処理で入力したデータの照会は10年近
なく、エクストラネットとしての完成
最新版の「MailPlus!4.1」ではエージェ
などの制約があった。「MailPlus!」によ
く前からシステム化しており、Excelに
度の高いシステム構築が必要と考えて
ント機能とFAXサーバ連携機能を実現
る市販電子メール・ソフトウェアと
よる加工も行っていたが、「 M a i l
いる」と社内のみならず、グループ企
している。エージェント機能は、「欠
Aシリーズのダイレクトな連携に加え
Plus!」の導入によりメニューに幅がで
業を網羅する広範な情報処理、ネット
き項目の指定
ワークの統合を睨んださらなる展開を
も柔軟になっ
検討している。
品商品が入荷次第自分宛メールで知ら
「MailPlus!」概要−電子メールを業務システムに活用(非同期処理)
せる」といったコンピュータ上では複
数のプログラムにまたがる作業を、
電
CLEARPATHサーバHMP NXシリーズ
オを記述することで簡単に実現する。
WindowsNT環境
MCP/AS
子メール内にVBscriptライクなシナリ
インターネット
メール他
既存業務
新規業務
UNIAREX
さらにDRB(Distribution Request
Broker:基幹システム上の情報をさま
ざまな形で配布するリクエスト・ブロ
MS-Exchange
メール
送受信
メール
送受信
メール
送受信
ーカ)製品と連携すれば、WindowsNT
側の作業も組み合わせて指示すること
ができる。FAXサーバ連携機能は、送
14
1999年3月1日第455号
メールエンジン
Exchange
メール
が向上したと
積極的に活用
されている。
しかし電子メ
FAX出力
ールがベース
のソフトウェ
電子メール基盤MailPlus!
UN
て、使い勝手
アであり、急
ぐ時に待ちき
■大畑建設株式会社
◆益田市で最大手の一般土木建築工事業
社。山陰地方に6つの支店、営業所を
持ち、公共建築物や公園など地域に密
着した生活基盤インフラ構築を中心に
土木工事全般を幅広く手がけている。
◆所在地=島根県益田市大谷町36-3
◆代表者=大畑 清美代表取締役社長
◆従業員数=155人
◆売上高=79億円(97年4月期)
◆使用機種=オープン・エンタープライ
ズ・サーバ「A14シリーズ」ほか
ユニシス・ニュース
1999年3月1日第455号
日本ユニシス
西暦2000年対応ソリューション
UNISYSユーザの皆様へ
2000年問題
今すぐ点検を始めてください
西暦2000年問題は、すべての情報
システム、プログラムのチェックが必要
です。2000年まで10カ月を残すのみとなりま
した。日本ユニシスの情報提供をもとに、今す
ぐ点検・対応を始めてください。詳しく
は下記ホームページをご覧ください。
http://www.unisys.co.jp/year2000/
連結会計システム
「DivaSystem」の提供を開始
日本ユニシスは、2000年の連結会計
保持することができる。
まで手つかずであった広範囲な住宅業
グレーション・ビジネスのマーケット
界(ハウスビルダー、工務店、設計事
リーダーとなるべく、業務提携を決断
務所など)を対象とした新規マーケッ
したものである。
トへのセールス展開を検討する中で、
これにより、4、5年は先行している
パートナービジネスを模索してきた。
といわれる米国コールセンター分野の
このたび『DigiD』の間接販売を開
最新動向を把握し、日本の顧客に投資
制度改正に向けて、その対応を容易に
会社別・所在地セグメント別・事業種
始するのは、CADサポートで国内でも
効率の良いコールセンター構築の提案
実現できる(株)ディーバ製の連結会計シ
類別・事業部別・製品種類別など、多様
最多の実績を有する企業の1つである
が可能となる。
ステム「DivaSystem」の提供を開始した。
なセグメント概念にも対応可能であ
トランスコスモス(株)、埼玉県内にお
る。
いてトップクラスの住宅CAD販売実績
◆ダイナミックな多次元分析機能
を持つ埼玉リコー(株)をはじめ、セリ
この「DivaSystem」は、①各グループ
会社の会計システムと直接つなぎ、②
米ユニシス社、
98年業績を発表
グループ会社間の情報共有を可能と
収集した情報を無駄なく活用するた
オ(株)、(株)ランベックス・ジャパン、
売上高前年比8.6%増の72億840万ドル
し、③蓄積した情報を徹底的に使いこ
めに多次元(OLAP)ツールとして
(株)ハウズプラン、キャリアネット(株)、
財務改善にはずみをつけ
なせる利用環境を提供するといったコ
Business Objectsを採用。この機能によ
宮城ゼロックス(株)の7社である。
事業戦略のさらなる拡大を目指す
ンセプトのもとに設計・構築された連
り、標準レポートの照会・印刷はもち
これらは、
『DigiD』の販売だけでな
結会計システムである。
ろん、多次元分析機能を活用したレポ
く、システムサポートも行う「ビジネ
ート作成まで自由にできる。
ス・パートナー」としての位置づけであ
「DivaSystem」を導入することによ
米ユニシス社は1988年(1月∼12月)の
業績を発表した。
これによると、売上高は前年比
り、①制度改正へ対応した連結会計シ
レポートをHTML形式で保持できる
り、この技術的基盤に基づき、ハウス
8.6%増の72億840万ドルを記録した。
ステムを構築でき、②グループ会計情
ため、連結決算結果をインターネット
ビルダー、工務店、設計事務所を中心
営業利益は8億1,020万ドル、純利益3億
報を財務会計だけでなく管理会計にも
上で開示することも可能。
に、ハウスメーカーをも対象としたセ
8,700万ドル、普通株式1株当たり利益
活用でき、③子会社・親会社双方の情
◆グループ間の情報共有活用機能
ールスを展開する。
は1ドル6セントとなっている。
報収集負荷を軽減できる、といった効
親会社の関係部署はもとより、グル
なお、「ビジネス・パートナー」を全
前年に8億8,360万ドルの営業権償却
ープ会社間の情報共有活用を実現する
国レベルで充実させていく一方、「ビ
など約11億7,950万ドルの特別負担があ
ため徹底したデータ中心主義で設計。
ジネス・パートナー」の効果を見ながら
ったが、その影響を除外すれば、それ
り。
データベースには高度な情報活用に十
販売のみを行う「セールス・パートナ
ぞれ前年比32.0%増、94.5%増、130.4%
◆グループ会社情報収集機能
分対応でき、今後の拡張にも柔軟に対
ー」にまで間接販売を拡大するととも
増となる。
応できるORACLEを採用。
に、間接販売会社へのサポートのみを
◆キャッシュフロー・税効果などへの
担当する「サポート・パートナー」を充
果が得られる。
「DivaSystem」の主な機能は次のとお
グループ会社の会計システムと連携
し、主要なERPの会計システムはもと
ワインバック会長兼最高経営責任者
(CEO)は次のように語っている。
対応
実させていく計画である。
情報を収集することが可能である。ま
税効果会計やキャッシュフロー表作
http://www.unisys.co.jp/DIGID/
事業は引き続き業績を改善し、2桁増
た、インターネット技術を利用した
成など主要な連結会計制度への対応も
E-mail:[email protected]
収を維持しながら営業利益率も大きく
Web入力画面(標準装備)により効率的
完了している。
より、会計専用ソフトウェアから直接
な情報収集環境を整えることもできる。
◆連結財務諸表作成機能
連結会計の基礎情報を収集後、外貨
換算、連結消去仕訳などを自動実行し、
各種レポートを短期間で作成すること
ができる。また、今後の制度変更に対
して柔軟に対応できる高度な保守性を
新・住宅設計システム
「DigiD(デジド)」
間接販売を開始
7社のビジネス・パートナーが始動
MCIワールドコムと業務提携
「IS(インフォメーション・サービス)
改善できた。またCS(コンピュータ・シ
ステムズ)事業は、ClearPathエンター
最高水準のCTI(Computer Telephony
プライズ・サーバに対する需要が相変
Integration)サービスを目指す
わらず堅調であるため、非常に好調だ
った。当社では財務改善に加えて、サ
日本ユニシスでは、今般、インハウ
ービス事業のリーダーを目指して戦略
ス・コールセンター構築、運営を含む
的な努力を加速させようとしている。
日本ユニシスは、98年3月に発表し
支援を期待する顧客の増加傾向を鑑
健全で拡大中の受注残と、劇的に改善
た新・住宅設計システム『DigiD』に関
み、この分野で圧倒的な知名度と実績
した財務状況と、熱意に満ちた社員達
また、予算・実績管理や複数会計基
し、98年10月からの同社による直接販
を誇るMCIワールドコムとの業務提携
とともに1999年に突入した。1999年の
準、月次連結などをベースとした処理
売に加え、このたびビジネス・パート
を行った。
が可能であり、それらの結果を同時に
ナーによる間接販売ルートを開設し、
実現している。
新刊紹介
ビジネス・アプリケーションのための
オブジェクト指向モデリング
著 者:妻木 俊彦/岩田 祐道
(日本ユニシス情報技術部)
発行所:日刊工業新聞社
価 格:1,500円
モデリング技
法を理解するた
めに必須な概念
からオブジェク
ト指向システム
開発のプロセス、
日本ユニシスが
使用のモデリン
グ技法(BOAD法)
をベースとした
オブジェクト分
析と設計などを
適用事例をもと
に紹介している。
当面、提供するサービスは、
目標は、財務改善にはずみをつけ、
“サービス&ソリューション・プロバイ
*FP(施設構築支援コンサルティング)
ダ”としての当社の能力や可能性を引
『DigiD』は、住宅設計の概略仕様
*QMC(品質管理コンサルティング)
き続き拡大することである」。
の中で顧客ニーズに応える提案が求め
*WFD(人材開発コンサルティング)
られる「営業段階」、および発注・施工
*TAC(技術システム・コンサルティング)
に向けて詳細仕様の確定と精度が要求
*CGM(新設/統合化支援コンサルティ
今月よりセールスを開始した。
される「詳細設計段階」という2つの工
程を連携させることにより、統合的に
ング)
の5つとなる。
「コラボレーション&
ナレッジ・マネジメント」展
◇日時:98年3月23日(火)
◇場所:東京国際フォーラム(有楽町)
住宅業務を支援する。また、従来の
日本ユニシスは、従来販売している
UNIXからWindowsNTに環境を移行
コールセンター/CTI関連製品の有効
◇展示/ワークショップ
し、価格的にも、運用的にも導入が容
活用ならびにコールセンター全体のデ
*ワークフロー(Staffware)とドキュメ
易になっている。
ザイン・アーキテクチャーを打ち出す
ント・マネジメント・システム
日本ユニシスでは『DigiD』の発表
ためのコンサルテーションをMCIワー
を受けて、大手ハウスメーカーの、よ
ルドコムと共同で行うほか、新型需要
り前線に位置する営業部門、設計およ
に積極的に対応することで、予想され
び生産技術部門への拡販に加え、現在
る数百億円のコールセンター・インテ
◇主催:日本経済新聞社
(DocOpen)関連
*Knowledge Managementの業務適用
15
など多面的に評価し、その組み合わせ
を設定した「オープン・ソフトウェア・
製造工業情報システム
プロダクトセット」を提供しており、
これに基づいた最適な製品の組み合わ
せを提案した。
その結果、サーバにAquanta DS/6と
ELS(共にWindowsNT Server4.0)、クラ
イアントはWindowsNT Workstation搭
載機とし、データベース・ソフトは
Oracle7.3、ビジュアル開発ツールは
クライアント/サーバ型の「新会計システム」を構築
ユニシスとの緊密な連携で短期開発を実現
科研製薬
開発に当たった情報システム部の方々(右から
3人目が長尾部長、2人目が西川次長)
PowerBuilder5.0をそれぞれ採用した。
⑤法人カード導入に対応
また、ネットワークは各拠点ごとに
⑥現金勘定を通した擬制仕訳の廃止
LANを構築し、本社との間はINS64で
⑦第一摘要の全社共通化
接続するLAN-WAN環境を構築した。
⑧MRの仮払金を行動費貸付金と販売
短期開発を至上命題とし見事
実現
*データ量増加への対応と処理時間
促進費仮払金一本化精算
短縮
科研製薬では、これまで汎用機で処理していた会計システムをオープン環
97年2月にシステム再構築基本構想
従来の3倍のデータ量を処理できる
境のC/SS形態に再構築した。新会計システムの構築は本社・支店・工場・研究
を固め、本番稼働開始を98年4月と命
容量とスピードの確保、操作性、視認
所など各拠点を含め全社共通のシステムとしデータ共有化を図るとともに、
題としたが、実際の開発作業に着手し
性の向上、Windowsに準拠した操作方
機器の老朽化、会計処理変更に対処することを狙いに開発したものである。
たのが97年5月、本番までわずか実質1
法を採用している。
年弱の開発期間であった。
*ユーザによるデータの抽出・加工
■科研製薬株式会社
◆1948年以来、営業基盤拡大、研究領
域絞り込みによる研究開発力向上を柱
として企業基盤を築いてきた。現在、
医薬品、医薬部外品、動物用医薬品、
飲料添加物の製造、販売を事業とし、
時代のニーズに即応する優れた医薬品
づくりに力を注いでいる。
全社共通の会計システムに再構築
◆所在地=東京都文京区本駒込2-28-8
◆代表者=脇山 好晴社長
◆従業員数=1,867人(98年3月)
◆売上高=635億円(同)
◆事業所=国内9支店(50営業所)、2事務
センター、2研究所、2工場
全般の技術支援を依頼した。
データベース設計、仕様書作成を担
表計算ソフト(Excel)にデータを取り
当した情報システム部課長 小宮 雅幸
込めるようにしユーザ側は自由にデー
氏は、「システム開発方法が汎用機の
タ加工できる基盤を提供している。
ウォーターフォール型と異なり当初は
*全社一貫性あるシステム
戸惑ったが、
“会計システム構築の核
各拠点ごとにデータ収集・管理がで
は仕訳にある”という日本ユニシスか
き、付け替えデータは各拠点に送信す
らの助言で開眼し、後はスムーズなデ
ることで拠点ごとに実績把握ができる。
ータベース設計ができた。また、
*システム保守/メンテナンス容易性
開発に先立って、関係部署に対して
PowerBuilderについても日本ユニシス
プログラム変更にも各拠点にファイ
会計システム再構築の狙いについ
はアンケートを実施し、従来の仕組み
のコンサルティングを受けながらクリ
ル送信でき、業務の遅滞を回避できる。
て、情報システム部次長 西川 信一氏
の不具合、要望などをシステムに反映
アし、新年度4月本番開始という目標
*データの機密管理
は、次のように語っている。
した。
を達成できた」と語っている。
プロダクト選定をユニシスの「オープン・
ソフトウェア・プロダクトセット」に準拠
ユーザ部門のニーズに応えた
システムを実現
「当社の会計システムは、88年から
本社、支店、工場、研究所向けに順次
開発・運用されてきた。このため、経
端末、会計システムそれぞれにアク
セスできる人を個人ごとに登録してあ
り、パスワードと従業員番号を入力し
ないと使用できないようにしている。
年による老朽化が進み業務停止が懸念
新システムはオープン・システムで
こうした経緯を経て開発された新会
されるようなってきた。さらに、改正
構築することとしたが、プロダクト選
計システムによって、次のような点を
消費税法による支払先の明確化、領収
定に当たっては、目的に合った最適な
実現している。
書など1件ごとの帳簿記載が義務づけ
製品を確実に選択するため、日本ユニ
*会計処理の変更に対処
うな点を挙げている。
られ、システムの大幅改造が必要とな
シスのノウハウに依存した。
①原始データを証憑1件ごとに入力
*データの有効活用、コミュニケーシ
り、機器、システムの全面見直しを行
うこととした」。
新システムは、本社、支店、研究所
など全社共通の一貫性のあるものにす
日本ユニシスでは、さまざまな
新システムによる効果として次のよ
②改正消費税の仕入れ税額控除の要件
C/SSモデルに対し、どのようなプロ
を満たす入力
ダクトの組み合わせを推奨できるか、
③支払い、入金条件の入力の簡素化
実績、品質、効率、将来性、利用技術
④資金繰り集計の完全自動化
*システム運用・保守が容易になった。
浦安(駒込)
グローバルサーバ
UPS
UPS
HUB
Pサーバ
Pサーバ
HUB
LR460ルータ
〈サーバ〉
左:メインサーバ
右:部門サーバ
×8回線
〈クライアント〉
デスクトップ
128KB
ルータ
担当者)の経費精算に関わるところが
た「会計システム再構築基本構想委員
会」を設置し、基本方針を決定し、「会
計システム再構築プロジェクト」で詳
×7
INS64
事務センター
(東京・大阪)
支店
(札幌、仙台、名古屋、広島、福岡)
DSU(NTT)
ルータ
HUB
ファームバンキング
PC設置拠点
研究所
(静岡、京都)
DSU(NTT)
UPS
ルータ
HUB
UPS
Pサーバ
×2
Pサーバ 〈プリンタ〉
DSU(NTT)
UPS
実作業を行うという3段階の開発体制
確化した。また、日本ユニシスに構築
DSU
(NTT)
×2
細を決定、経理部・情報システム部で
を取り入れ、それぞれの役割分担も明
スピードアップが可能になった。
ネットワーク図
基幹LAN(既設)
大きい。そこで、営業本部を中心にし
成などにデータを活用できる。
*日々の支払い行為や支店でのファー
ムバンキング利用による出納処理の
とした。
同社の会計システムはMR(医薬情報
ョンの円滑化が図れるようになった。
*全拠点で時系列に実績把握や予算編
ることを前提として開発を進めること
利用部門の声を集め、使い勝手
の向上を図る
使いやすさを増した新会計システム
*従来のホスト用の会計パッケージを
PC版に切り替えたことで、年間保
守料を約10分の1に節減できた。
理事 情報システム部長 長尾 耕三氏
は、「今回の新会計システム構築で培
ったオープン・システムの技術力を既
存のシステムやネットワーク分野にも
活かしていく。現在、支店では販売系
と会計系の2系列システムが稼働して
いるが、販売系もC/SS化し、両システ
Pサーバ
×1(サーバ)
ムの統合も考えている」と語っている。
×2
UN
発行 日本ユニシス株式会社 広報部 広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人 山下 宗久 編集人 武井 浩 制作 ピー・アールセブン 発行日 1999年3月1日 ISSN 0915-051X
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1999年3月1日 第455号
*社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。
*本紙記載の社名、製品名、およびシステム名は各開発会社の登録商標または、商標です。