ELSD:蒸発型光散乱検出器-紫外光吸収の巻 - エムエス機器

HPLC Tech-Info(20)
ELSD:蒸発型光散乱検出器-紫外光吸収の巻
昨今、蒸発型光散乱検出器(ELSD)は、HPLCの一検出器として使用者に広く認知されるようになってきました。しかし、
現在HPLCにおいて最も使用されている検出器はUV(-Vis)検出器です。UV(-Vis)検出器は、光吸収のある物質であれば検
出できる、汎用性の高い検出器です。ELSDもまた、検出対象物質が検出途中で気化しなければ、ほとんどの物質を検出できる、
汎用性の高い検出器です。ELSDは、UV検出器と比べてシグナルが小さいと言われていますが、UV(-Vis)検出器のように検出
波長によってシグナルの大きさに影響を受けないため、検出器の選択波長によってはELSDに利点がある場合もあります。それ
故、ELSDの1つの使い方として、UV(-Vis)検出器とELSDを直列につなぐことがあります。より多くの情報があるクロマトグラ
ムを得ることが出来るからです。ここでは、検出波長ごとによるUV(-Vis)検出器とELSDの違いについて記載します。
190
吸収波長(nm)
物質名
・フルクトース
・グルコース
・スクロース
構造式
272
吸収波長(nm)
物質名
・ニコチン酸
・テオフィリン
・カフェイン
構造式
210
230
・クエン酸
・アラントイン
・琥珀酸
・p-フェノールスル
・ピログルタミン酸 ホン酸亜鉛
254
・ウラシル
・グリチルリチン酸
300
・インドメタシン
Gilson 社 HPLC 用ポンプ 321 と
SofTA 社 ELSD モデル 300S
HPLC Tech-Info(20)
ELSD と UV-Vis:絶対量と検出波長(短波長領域)
(検出波長:190nm
フルクトース、グルコース、スクロース : ELSD が向いている場合)
分離条件:
ELSD
移動相 ACN/水=80/20
流速 1.0ml/min,、T=40℃
Shodex
AsahipaK NH2P 4.6X150mm
SC/DT=30/60、各 1μg 注入
UV 検出器では、移動相に吸収があるような分
UV
インジェクション
析系の場合、インジェクションショックなどが
ショック
クロマトグラムにそのまま影響します。ELSD
では、S/N 比が良好で感度もよく、また、吸光
係数のような化合物特有の性質の影響を受け
ることが少ないため、その応答性も均一です。
(検出波長:210nm
クエン酸、琥珀酸、ピログルタミン酸:ELSD が向いている場合)
分離条件:
移動相 0.1%蟻酸(pH 2.8)
ELSD
流速:0.3mL/min、T=40℃
インタクト社 Unison UK-C18 3x75mmL
SC/DT=25℃/50℃,
各 1μg 注入
有機酸を UV 検出器で測定する場合、210nm とい
う短波長を使用するので、サンプルの応答性の違
インジェクション
UV
いが問題となります。一方、他社 ELSD では、揮
発性緩衝液を移動相に用いても、ベースラインノ
ショック
イズが問題となることがあります。しかし、SofTA
社 ELSD では、揮発性緩衝液を移動相として使用
できる機構を持っています。また、サンプルは同
量であるにもかかわらず、210nm の検出では応答
に大きく差が出ていますが、ELSD ではそのよう
なことはありません。
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〒532-0005
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TEL:06-6396- 0501/ FAX:06-6395-2588
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大阪市淀川区三国本町 2 丁目 12 番 4 号
福 岡 市 東 区 馬 出 1 丁 目 2 番 23 号
TEL:092-631-1012 / FAX:092-641-1285
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ELSD と UV-Vis:絶対量と検出波長(230~254nm)
(検出波長:230nm:アラントイン:ELSD と UV がほぼ同等感度の場合)
ELSD
分離条件:
アラントイン
p-フェノールス
移動相 0.1%蟻酸(pH 2.8)
ルホン酸亜鉛
流速:0.3mL/min、T=40℃
UV では見えて
インタクト社 Unison UK-C18 3x75mmL
いない不純物
SC/DT=25℃/50℃
アラントイン:1μg 注入
p-フェノールスルホン酸亜鉛:2μg 注入
UV
p-フェノールス
ルホン酸亜鉛
S/N 比により、アラントインのピークを p-フェ
ノールスルホン酸亜鉛は、230nm での吸光係
数が大きく、UV 検出器で高感度に検出するこ
アラントイン
とが出来ます。それとは対照的に、アラントイ
ンで比較すると、ELSD と UV ではさほど感度
に違いはありません。UV 検出器は吸光係数に
依存しますが、ELSD では物質によらず注入絶
対量と ELSD 条件に依存したピークの大きさ
が得られます。
(検出波長:254nm
ウラシル、グリチルリチン酸:UV が ELSD よりも感度が良い場合)
分離条件:
ELSD
ELSD
移動相 水/メタノール/蟻酸=30/70/0.1
流速:0.3mL/min、T=40℃
インタクト社 Unison UK-C18 3x75mmL
SC/DT=25℃/50℃, 各 1μg 注入
UV
UV
UV 検出器でよく用いられるサンプルは、この
250~280nm あたりに吸収があるものが多く、
この波長範囲での感度比較で、UV が数 ng に
対して、ELSD が数十 ng といわれています。
左クロマトからもそのことが見て取れます。
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ELSD と UV-Vis:絶対量と検出波長(272~300nm)
(検出波長:272nm:ニコチン酸、テオフィリン、カフェイン:UV が ELSD よりも感度が良い場合)
分離条件:
ELSD
ELSD
移動相 水/メタノール/蟻酸=30/70/0.1
流速:0.3mL/min、T=40℃
インタクト社 Unison UK-C18 3x75mmL
SC/DT=28℃/55℃、各 1μg 注入
吸収極大がより長波長側へシフトした場合、一
UV
UV
般的にはより吸光係数が大きくなる傾向があ
りますので、UV 検出器の感度がより上昇しま
す。それに対し、ELSD は物質によらず注入絶
対量と ELSD 条件に依存したピークの大きさ
となります。
当システムについてのお問い合せは、エムエス機器株式会社にお願い致します。
( 検 出 波 長 : 300nm : イ ン ド メ タ シ ン : UV が ELSD よ り も 感 度 が 良 い 場 合 )
分離条件:
ELSD
移動相 水/メタノール/蟻酸=50/50/0.1
流速:0.3mL/min、T=40℃
インタクト社 Cadenza CD-C18 2x75mmL
SC/DT=25℃/60℃、各 1μg 注入
300nm 位から可視光領域となります。このあ
たりからより長波長の吸収を持つものは、その
UV
水溶液に色が付き出します。インドメタシンの
場合、その水溶液は若干ですが薄い黄色です。
もちろん UV-Vis 検出器で非常に感度よく検出
できますが、ELSD でも検出できています。
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