CMSニュースレター2008年度第2号を発行しました(pdf) - 九州工業大学

ニュースレター
九州工業大学 マイクロ化総合技術センター
Center for Microelectronic Systems (CMS), KIT
2008 年度第 2 号
今回は夏休みに CMS にて開催されたセミナーから pn 接合試作実習、
MOS トランジスタ関連の2つの実習、知的クラスター創生事業(第 II 期)
「安全を保障するインテリジェントセンサーLSI の研究開発」から MEMS
技術、について紹介します。
pn 接合試作実習
~ 大分県立工科短期大学校の学生を対象として ~
平成 20 年 9 月 16 日(火)と 19 日(金)に、九州工業大学と大分県と
の連携事業として、大分県立工科短期大学校 電子システム系 電子回路エン
ジニアコースの 2 年生 13 名の学生を対象とした「pn 接合試作実習」をマ
実験はマイクロ化総合技術センターの
材料作製室で行われました。
イクロ化総合技術センターにて行いました。
この試作実習では、
(1) 安全に関する講義で実習時における注意事項を学んだ後、
(2) 半導体工学に関する簡単な講義を受けることで pn 接合の基本特性を
復習します。
(3) その上で、実際に自らの手でプレーナーダイオードを作製し、
(4) 完成した素子を各自測定します。
(5) そして、得られた結果を参加者全員で検証することにより、
ダイオードの基本特性を修得できる講座となっています。この試作実習で
は、各参加者が講義や実習の説明に真剣に耳を傾け、熱心にメモをとる姿
が大変印象に残りました。
pn ダイオードの作製でもパターン合
わせのためアライナーを用いたリソグ
ラフィの作業を体験できます。
「セミナー受講者の声」
既成のダイオードを使っていただけでは知ることができなかった事を、
知識としてではなく、実体験として学べたことはとても貴重だった。
ダイオードの製作法を詳しく学べて、良い経験になった。
薬品を使用してダイオードを製作するということが初めてだったので、
楽しんで実習を受けることができた。
説明がわかりやすく、理解しやすかった。
今まで文章の上でしか知らなかった作業を実際に自分の手で行うこと
ができ、とても勉強になった。
実験や実習などで使っているダイオードをつくることは大変だったけ
れど、使用したことのない装置を使うことができ、とても貴重な体験
をすることができた。
作製したサンプルは最先端の測定機器
により電気測定されました。
いろいろな機材・薬品への知識が深まった。
同じような作り方をしているのに、特性に差があったことが面白かっ
た。
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夏休みのトランジスタ試作実習
~ 中核セミナーと集積回路演習 ~
この欄ではマイクロ化総合技術センターで今夏開催したセミナーの中から、ト
ランジスタの試作を含む実習・セミナーを紹介します。前ページで紹介しました
pn 接合に関する実習でも基本的な半導体の要素技術は体験することができますが、
トランジスタを試作する実習では4端子素子であるトランジスタのスイッチング
特性を実際に作製・評価し、またそれを用いたインバータ、NAND、NOR、リン
中核セミナーより:実習と組み合わせて、半
導体デバイスの様々な側面に関する講義も行
われました。
グオシレータなどの論理回路の特性を測定します。
製造中核人材育成事業セミナー(以下、中核セミナー、8月4日~8日)では、
社会人を対象に CMOS トランジスタとそれを用いた論理回路を作製し評価してい
ただきました。9名が参加されましたが、その方々の業種はデバイス、装置、材
料の開発や営業職など、種々に渡っています。全員にクリーンルームでの作業か
ら作製したデバイスの電気測定まで自身で作業いただきました。アンケートから
もセミナーは好評をいただいており、特に講義と実習がセットになったことでよ
り深く理解できる点を評価していただいたようです。半導体の試作を含むような
実習が企業の製造現場では難しくなっていることから、社会人の参加者の皆様に
とっても有意義な機会であったようです。
「セミナー受講者の声」
中核セミナーより:最先端の半導体プロセス
と同じようにステッパによるリソグラフィを
体験しました。
講義と実習がセットになっているため、全体的に理解できた。
LSI 作製プロセスを順を追って実習でき、理解しやすかった。
LSI 製造技術を自ら体験できる貴重な機会であった。
的を絞った講義がよかった。
大学で受けた講義がクリアになった。
LSI がより身近に感じられるようになった。
集積回路演習・MOSトランジスタ試作実習(9月1日~4日)は九工大学内の
学生を対象とした実習です。内容は CMOS よりもシンプルな構成である NMOS
トランジスタとそれを用いた論理回路を試作・評価しました。参加総数は11名、
飯塚キャンパスから5名、戸畑キャンパスから6名でした。大学院生が2名参加
したこと、研究対象が MOS トランジスタやその回路設計でない学生がいたこと
集積回路演習より:アライナーによりリソグ
ラフィします。作製したデバイスは顕微鏡で
目視し仕上がりを確認しました。
もあり、比較的広い範囲の専攻を持つ学生が参加してくれました。4班に分かれ
て試作したウェハはそれぞれ良好に動作し、自身で作製したウェハでトランジス
タの特性を体感しそれがどのように論理回路を構成するかを把握してもらえたよ
うです。
「セミナー受講者の声」
MOSFET の製造プロセスを実際に見ることができたのは貴重な体験だった。
デバイスに関する知識も3年時よりも深まった。楽しかったです。
犠牲酸化や素子分離のための酸化など、縮小化などに対し必要な措置をとる
ことがあることが分かってよかった。
戸畑のキャンパスには半導体デバイスを製作できるような設備がないので、
非常に貴重な体験ができたと思う。
集積回路演習より:デバイス測定後もその結
果の解釈をめぐり議論は白熱しました。
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MEMS 技術の紹介 ~ CMS における MEMS 作製機能
マイクロ化総合技術センターの試作ラインとして、平成 18 年度よりあらたに MEMS(Micro Electrical Mechanical
System:微小電気機械システム)機能が追加され、従来からの CMOS 作製機能に加え本機能が追加されたことで、当
センターにおいて CMOS・MEMS融合デバイスの研究開発が可能となっております。
MEMS とは LSI 微細加工技術を用いて作製された微小な電気機械素子です。MEMS の研究は 1980 年代サブミリオー
ダーの機械部品を作製することから始まりました。このため日本ではマイクロマシン、ヨーロッパでは MST (Micro
System Technology)と呼ばれることがあります。現在では、この分野を表す言葉として一般的に MEMS が用いられます。
また、この言葉には 2 つの意味があり、1 つは名前の由来通り“マイクロ領域における電気機械が統合されたシステ
ム”ということ、もう 1 つは“作製技
術”のことです。特に後者は MEMS 技
術と呼ばれることがあります。
微小機械部品の作製から始まった
MEMS 技術ですが、現在では応用分野が
多岐にわたり医療、バイオ、化学分析、
通信、ディスプレイさらには電子デバイ
スの高性能化(異種デバイスの融合、異
種 LSI の融合など)にも応用範囲が拡が
っております。このため MEMS 技術を
用いた特定の分野には名前が付いており、
例えば Bio-MEMS(バイオ関連を取り扱
う)、RF-MEMS(高周波機械スイッ
チ)、Optical-MEMS(光を取り扱う)な
どが挙げられます。今後もこの方向は変わらず、多種多様な分野へ拡がることが予想されます。
各分野へ急速に拡がっている MEMS 技術では適材適所が必要となり、LSI 微細加工技術を活かしうる Si 系の材料のみ
ならず各種有機膜、金属膜、絶縁膜、圧電材料など幅広く取り扱わなければなりません。あわせて、これら材料の成膜
技術や加工技術といった要素技術の開発ならびに要素技術を集めて 1 つのシステムにするためのプロセス技術の開発も
必要となります。材料や成膜・加工技術を駆使し、ある機能的なシステムを実現するためには無数の解の中から最適な
材料および方法を選んでいく必要があるため、MEMS
素子開発では“1品 1プロセス”が必須であります。
現在、マイクロ化総合技術センターでは MEMS 関連
の研究プロジェクトとして、知的クラスター創生事業
(第 II 期)「安全を保障するインテリジェントセンサ
ーLSI の研究開発」(研究代表者:有馬教授)を進め
ております。また、学内の先生方と連携を計り 9 研究
室との MEMS 関連共同研究・開発を進めております。
共同研究の内容は MEMS 技術が象徴しておりますよう
に多岐に渡りますが、その都度センターの設備を更新
し技術・知識の集積に日々つとめております。研究・
開発のご相談は随時承っておりますので、お気軽にお
声をお掛けください。
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開催したイベント
麻生渡・福岡県知事が当センターを視察されました。(2008年4月15日、写真1)
筑前高等学校の当センター見学会を行いました。(2008年6月12日、写真2)
須恵高等学校PTAの当センター見学会を行いました。(2008年6月27日)
大分県商工労働部長御一行が当センターを視察されました。(2008年6月30日)
中学生を対象にしたサイエンスチャレンジスクールの当センター見学会を行いまし
写真1:福岡県知事の視察
当センターの活動概要及び進行中の知的ク
ラスター事業の進捗状況をお聞きになりま
した。
た。(2008年7月30日、写真3)
平成20年度製造中核人材育成セミナー「半導体製造プロセス(前工程)」を開催
しました。(2008年8月4日~8日)
オープンキャンパスが開催され、当センターも公開しました。(2008年8月8日~9
日)
集積回路演習・MOSトランジスタ試作実習を実施いたしました。(2008年9月1日~
4日)
【大分県連携事業・大分県立工科短期大学校様向け】半導体ものづくり教育~ p‐n
接合ダイオード試作実習~を実施いたしました。(2008年9月16日、19日)
【学内向け】半導体ものづくり教育~ p‐n接合ダイオード試作実習~を実施いた
写真2:筑前高等学校の皆さん
LSI の設計・製造の基礎及び実用例を皆さんは勉強
しました。
しました。(2008年9月18日)
北九州学術研究都市・第8回産学連携フェアに当センターの紹介を出展しました。
(2008年10月8日~10日、写真4)
※ 当センター見学会は随時受け付けております。
当センターの利用について
当センターは国内の大学でも有数の半導体 LSI の設計・デバイス製造の一貫設備
を持っており、これらを活用した半導体 LSI の試作および共同研究・委託研究の受
け入れを行っています。まずは当センターの URL 内から所定のお問い合わせ様式で
発信するか、
写真3:サイエンスチャレンジスクー
ルの皆さん
クリーンルームの様子を目に焼き付けていま
す。
[email protected]
へ直接お送りください。窓口担当者が、ご相談・ご質問に対してお答えいたします。
当センターの保有設備などの詳しい説明は下記 URL に記載しています。また、本ニ
ュースレターに関するご質問・ご意見・ご感想もお待ちしております。
企画・編集・発行:九州工業大学マイクロ化総合技術センター
〒820-8502 福岡県飯塚市川津 680-4
TEL:0948-29-7585
FAX:0948-29-7586
e-mail: [email protected]
URL: http://www.cms.kyutech.ac.jp
写真4:産学連携フェアの様子
当センターの教育研究内容、保有設備、社会
人教育活動などを来場者の皆様に紹介しまし
た。
印刷:よしみ工産株式会社
〒812-0011 福岡市博多区博多駅前 1丁目 23 番 28 号
TEL:092-481-9559
FAX:092-481-9966