2 月消費者物価 - 大和総研

経済分析レポート
2014 年 3 月 28 日
全4頁
Indicators Update
2 月消費者物価
エネルギーの物価押し上げ圧力が弱まる一方で、価格上昇に広がりが見られる
経済調査部
エコノミスト 齋藤 勉
[要約]

2014 年 2 月の全国 CPI(除く生鮮食品、以下コア CPI)は前年比+1.3%と、市場コン
センサス(同+1.3%)通りの結果となり、上昇幅も前月と変わらなかった。市況要因
を除いた物価動向を表す CPI(食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合、以下コア
コア CPI)は前年比+0.8%と、上昇幅が前月から拡大した。

2014 年 3 月の東京都区部コア CPI は前年比+1.0%と、11 ヶ月連続の上昇となった。上
昇幅も前月(同+0.9%)から拡大しているが、「電気代」、「都市ガス代」等エネル
ギー価格の上昇が主因である。東京都区部コアコア CPI は同+0.4%と前月(同+0.5%)
から上昇幅が縮小している。東京都区部コア CPI を踏まえると、2014 年 3 月の全国コ
ア CPI は前年比+1.2%となる見込み。

先行きについては、コア CPI(消費税の影響除く)は当面前年比+1%台前半の推移が
続くとみられる。これまでコア CPI を押し上げてきたエネルギーに関しては、2013 年 5
月、9 月に行われた電力料金の値上げの効果が継続すること、燃料費調整制度による値
上げが続いていることにより、当面は「電気代」による押し上げが続く。ただし、為替
が足下の水準で落ち着いた場合、円安を背景とした輸入価格上昇による押し上げは徐々
に剥落していくこととなる。エネルギー全体の寄与は徐々に縮小していく見込みである。
一方、エネルギー以外の物価に関しては、景気回復による GDP ギャップの改善に沿う形
で、緩やかに上昇幅が拡大していく公算が大きい。なお、4 月の消費税率引き上げによ
り、4 月は 1.7%pt、5 月以降は 2.0%pt 程度コア CPI 上昇率が押し上げられる見込み
である。
図表 1:消費者物価指数の概況(前年比、%)
全国コアCPI
コンセンサス
DIR予想
全国コアコアCPI
東京都区部コアCPI
コアコアCPI
2013年
7月
0.7
8月
0.8
9月
0.7
10月
0.9
11月
1.2
12月
1.3
2014年
1月
1.3
▲ 0.1
0.3
▲ 0.4
▲ 0.1
0.4
▲ 0.4
0.0
0.2
▲ 0.4
0.3
0.3
▲ 0.2
0.6
0.6
0.2
0.7
0.7
0.3
0.7
0.7
0.3
2月
1.3
1.3
1.3
0.8
0.9
0.5
3月
1.0
0.4
(注1)コンセンサスはBloomberg。
(注2)コアCPIは生鮮食品を除く総合。コアコアCPIは食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合。
(出所)総務省統計より大和総研作成
株式会社大和総研 丸の内オフィス
〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー
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コア CPI は前年比+1.3%と、1%台前半の推移が続く
2014 年 2 月の全国 CPI(除く生鮮食品、以下コア CPI)は前年比+1.3%と、市場コンセンサ
ス(同+1.3%)通りの結果となり、上昇幅も前月と変わらなかった。市況要因を除いた物価動
向を表す CPI(食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合、以下コアコア CPI)は前年比+0.8%
と、上昇幅が前月から拡大した。
エネルギーの物価押し上げ圧力が弱まる一方で、価格上昇に広がりが見られる
2 月の全国コア CPI を財・サービス別に見ると、エネルギーによる物価の押し上げ圧力は、前
年の裏が出る形で縮小傾向にある(コア CPI に対する寄与度、1 月:同+0.62%pt→2 月:同+
0.53%pt)。一方で、耐久財は前年比+2.6%と 4 ヶ月連続で上昇し、上昇幅は前月から拡大し
た(コア CPI に対する寄与度、1 月:同+0.12%pt→2 月:同+0.15%pt)。「ルームエアコン」
や「パソコン(デスクトップ型)」など、消費税増税前で需要が高まっている財で価格上昇が
顕著である。半耐久財(コア CPI に対する寄与度、1 月:同+0.07%pt→2 月:同+0.09%pt)
やサービス(コア CPI に対する寄与度、1 月:同+0.27%pt→2 月:同+0.32%pt)でも上昇幅
が前月から拡大するなど、幅広い品目で価格上昇が見られている。今後の物価動向を見る上で
は、足下で見られる物価上昇の裾野の広がりが継続するか否か、という点に注目する必要があ
るだろう。
3 月東京コアは前年比+1.0%、3 月の全国コア CPI は前年比+1.2%となる見込み
2014 年 3 月の東京都区部コア CPI は前年比+1.0%と、11 ヶ月連続の上昇となった。上昇幅
も前月(同+0.9%)から拡大しているが、「電気代」、「都市ガス代」等エネルギー価格の上
昇が主因である。東京都区部コアコア CPI は同+0.4%と前月(同+0.5%)から上昇幅が縮小
している。東京都区部コア CPI を踏まえると、2014 年 3 月の全国コア CPI は前年比+1.2%とな
る見込み。
図表 2:全国コア CPI の内訳、水準の推移
全国CPIの水準(季節調整値)
コアCPIの財・サービス別寄与度
(2010年=100)
101.5
(前年比、%、%pt)
1.5
1.0
半耐久消費財
101.0
エネルギー
100.5
0.5
100.0
0.0
99.5
99.0
-0.5
コアCPI
-1.0
-1.5
-2.0
コアCPI
耐久消費財
98.0
サービス
非耐久消費財
(除く生鮮食品、エネルギー)
11
12
コアコアCPI
97.5
97.0
(月)
14
(年)
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 12
2010
98.5
13
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 12
2010
11
12
(注)コアCPIは生鮮食品を除く総合、コアコアCPIは食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合。
(出所)総務省統計より大和総研作成
13
(月)
14 (年)
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コア CPI は当面前年比+1%台前半の推移が続く
先行きについては、コア CPI(消費税の影響除く)は当面前年比+1%台前半の推移が続くと
みられる。これまでコア CPI を押し上げてきたエネルギーに関しては、2013 年 5 月、9 月に行
われた電力料金の値上げの効果が継続すること、燃料費調整制度による値上げが続いているこ
とにより、当面は「電気代」による押し上げが続く。ただし、為替が足下の水準で落ち着いた
場合、円安を背景とした輸入価格上昇による押し上げは徐々に剥落していくこととなる。エネ
ルギー全体の寄与は徐々に縮小していく見込みである。一方、エネルギー以外の物価に関して
は、景気回復による GDP ギャップの改善に沿う形で、緩やかに上昇幅が拡大していく公算が大
きい。
なお、4 月の消費税率引き上げにより、4 月は 1.7%pt、5 月以降は 2.0%pt 程度コア CPI 上
昇率が押し上げられる見込みである。
図表 3:GDP ギャップとコアコア CPI
(前年比、%)
1.0
(%)
4
2
0.5
0
0.0
-2
-0.5
-4
-1.0
-6
-1.5
-8
-2.0
-10
03
04
05
06
07
コアコアCPI
08
09
10
11
12
13
GDPギャップ(6ヶ月先行、右軸)
(出所)総務省、内閣府統計より大和総研作成
14
(年)
4/4
財・サービス別にみたコアCPIの動き
全国コアCPIの財・サービス別寄与度分解
耐久消費財
(前年比、%、%pt)
1.5
0.4
コアCPI
1.0
(コアCPIへの寄与度、%pt)
0.2
エネルギー
0.5
0.0
0.0
-0.2
-0.4
-0.5
耐久消費財
半耐久消費財
-1.0
-1.5
-0.8
非耐久消費財
(除く生鮮食品、エネルギー)
サービス
-2.0
10
-0.6
11
12
13
-1.0
10
14
(年)
(出所)総務省統計より大和総研作成
11
12
13
14
(年)
自動車
教養娯楽
家事用耐久財
冷暖房用器具
一般家具
室内装備品
その他
耐久消費財
半耐久消費財
非耐久消費財
(コアCPIへの寄与度、%pt)
0.4
0.15
(コアCPIへの寄与度、%pt)
0.3
0.10
0.2
0.05
0.1
0.00
0.0
-0.1
-0.05
-0.2
-0.10
-0.3
-0.4
-0.15
-0.5
-0.20
10
11
12
13
-0.6
14
10
(年)
家具・家事用品
保健医療
被服及び履物
自動車関連
その他
半耐久消費財
11
12
13
14
(年)
教養娯楽
身の回り品
(注)右図の非耐久消費財は、生鮮食品、エネルギーを除く。
(出所)総務省統計より大和総研作成
食料
家事用消耗品
保健医療
教養娯楽
たばこ
理美容用品
その他
非耐久消費財
一般サービス
公共サービス
(コアCPIへの寄与度、%pt)
0.20
0.3
0.15
0.2
0.10
(コアCPIへの寄与度、%pt)
0.1
0.05
0.0
0.00
-0.05
-0.1
-0.10
-0.2
-0.15
-0.3
-0.20
-0.4
-0.25
-0.5
-0.30
10
11
12
外食
持家の帰属家賃
通信・教養娯楽関連
医療・福祉関連
(出所)総務省統計より大和総研作成
13
民営家賃
教育関連
家事関連
一般サービス
14
(年)
10
11
12
13
公営・都市再生機構等
家事関連
医療・福祉関連
運輸・通信関連
教育関連
教養娯楽関連
公共サービス
14
(年)