- 1 MnI2・4H2O 製品安全データシート 整理番号:MNH13XAM 会社名:株式会社高純度化学研究所 住 所:〒350-0284 埼玉県坂戸市千代田5-1-28 電話番号:0492(84)1511 FAX番号:0492(84)1351 担当部門:本社 品質管理部 作 成:平成 8年 3月25日 西川 廣継 REV.01 平成11年 1月26日 西川 廣継 1 製品情報 製品名:沃化マンガン(有水塩) 純度 形状 カタログ#: MNH13XA 99.9%(3N) 固体 【特定化学物質】 Manganese(Ⅱ) iodide, hydrous 備考 2 物質の特定 化学名:沃化マンガン(Ⅱ)四水和物 別 名:二沃化マンガン四水和物 沃化第一マンガン四水和物 化学式:MnI2・4H2O 官報公示整理番号:・安衛法(労基法の有害物) 国連分類:(非危険物) 輸出統計:2827.60-0005 CAS#:(無水物:7790-33-2) TSCA: 単一製品,混合物の区分:単一製品 Manganese(Ⅱ) iodide tetrahydrate Manganese diiodide tetrahydrate Manganous iodide tetrahydrate 組 成:100 % ・ 化審法 新規化学物質 国連番号:- 輸入統計:2827.60-0005 RTECS#: EINECS:2322016(無水物) 3 危険有害性の分類 分類の名称:・ その他の有害性物質 危険性:・ 燃えない。 有害性:・ 吸い込んだり飲み下したりすると有害である。 ・ 粉塵は鼻、喉、気管、気管支等の粘膜を刺激し、炎症を起こすことがある。 ・ 火災等の加熱により、有毒なガスを発生する。 環境影響:・ 消火水や希釈水の流出によって汚染を引き起こすことがある。 4 応急措置 目に入った場合:・ 清浄な水で最低15分間眼を洗浄した後、直ちに眼科医の手当を受ける。 ・ 洗眼の際、瞼を指でよく開いて、眼球・瞼のすみずみまで水がよく行きわたるように 洗浄する。 皮膚に着いた場合:・ 物質に触れた部分を多量の水を流しながら、石鹸を使ってよく落とす。 ・ 外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、直ちに医療処置を受ける手配をする。 吸入した場合:・ 直ちに被災者を空気の新鮮な所に移し、医療処置を受けさせる。 ・ 鼻をかませ、うがいをさせる。 飲み込んだ場合:・ 直ちに医療処置を受ける手配をする。 ・ 水でよく口の中をうがいをさせる。 5 火災時の措置: 一般的注意:・ 関係者以外は安全な場所に退去させる。 - 2 MnI2・4H2O ・ ・ 消火方法:・ 消火設備:・ 消火の際には必ず保護具を着用する。 速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、容器及び周囲に散水し て冷却する。 消火に対する制約はほとんどない。他の危険物の消火条件に従う。 非危険物である(不燃性~難燃性)。 6 漏出時の措置 一般的注意:・ 粉塵を吸い込んだり、懸濁水が流れ出さないように注意する。 ・ 不必要にこぼれた物に触れないようにする。 処理作業者に対する注意: ・ 屋内の場合、処理が終わるまで充分に換気する。 ・ 作業の際には保護具(防塵マスク,保護メガネ,保護手袋)を着用し、飛沫等が皮膚 に付着したり、粉塵やガス等を吸入しないようにする。 環境影響に対する注意:・ もれ出た物質や大量の希釈水が河川等に排出され、環境への影響を起 こさないように注意する。 もれ出た物の処理に対する注意:・ 飛散した物を速やかに掃き集めて、密閉できる空容器に回収 し、残りは大量の水で洗い流す。 7 取り扱い及び保管上の注意 取扱上の注意 *一般的注意: ・ 特定化学物質等により汚染されたぼろ,紙屑等については、ふた又は栓をした不浸透 性の容器に納めておく等の措置を講じること。 ・ 容器又は包装の見やすい箇所に物質の名称,取扱上の注意事項を表示すること。 ・ 特定化学物質等や使用容器等の保管は、一定の場所を定めておくこと。 ・ 特定化学物質等に使用した容器や包装は、その物質が発散しないような措置を講じて おくこと。 ・ 特定化学物質等作業主任者を選任すること。 *作業者の暴露防止: ・ 適切な排気装置等を利用し、作業者に物質が触れないようにする。 ・ 作業形態や物質に適応した保護具を選び、必ず着用すること。 ・ 取り扱い場所には、関係者以外の立ち入りを禁止する。 ・ 皮膚,粘膜,着衣に触れたり、眼に入ったりしないようにする。 ・ 発散した蒸気や粉塵を吸い込まないようにする。 ・ 取り扱いは、換気の良い場所で行う。 *火災や爆発の防止:・ 辺りに可燃物がある場所では火気使用を制限する。 保管上の注意 *一般的注意:・ 密閉、遮光して保管する 1)。 *混合貯蔵等:・ 危険物貯蔵所や毒劇物保管庫に保管しない。 8 暴露防止措置 管理濃度:・ 作業環境評価基準 1 Mn-mg/m3 25゚C,1atm,空気中 許容濃度:・ 日本産業衛生学会勧告値(1995) 無機マンガン化合物 0.3 Mn mg/m3 (吸入性粒子 ≦7μm) ・ ACGIH 勧告値(1997) マンガン無機化合物 TLV-TWA 0.2 Mn mg/m3 ・ OSHA(1993) マンガン化合物 PEL-上限値 5 Mn mg/m3 - 3 MnI2・4H2O 設備対策:・ 洗眼,身体洗浄,うがいを行うための設備を設けなければならない。 ・ 常時製造又は取り扱う場合は、作業場以外の場所に休憩室を設けなければならない。 ・ 濾過除塵方式,電気除塵方式 又は 粉塵粒径が 5μm 以上の場合、スクラバによる除 塵方式,20μm 以上の場合、処理風量が 20 m3/min以内毎に1つのサイクロンを設け たマルチサイクロンによる除塵方式で除塵すること。 ・ 作業場の空気中の物質濃度が常態として有害な程度になるおそれがないと物質取扱事 業場の所在地を管轄する労働基準監督署長が認定した場合を除き、下記の設備を設け ること。 ○ ガス,蒸気,粉塵が発散する屋内作業場については、発散源を密閉する設備 若 しくは 局所排気設備を設けなければならない。このことが著しく困難なときあ るいは臨時の作業を行うときは、全体換気装置を設けるか、物質を湿潤な状態に する等労働者の健康障害を予防するため必要な措置をとらなければならない。 保護具 :・ 防塵マスク,保護眼鏡,保護手袋 その他: * 特殊健康診断: ※ 雇入れの際、当該業務へ配置替えの際、その後6月以内毎に1回 ・ 業務の経歴の調査 ・ 自覚症状及び他覚症状の検査と既往歴の有無の調査 (咳、痰、手指の震顫、歩行障害、仮面様顔貌、膏顔、流涎、発汗異常、書字拙劣、 不随意性運動障害、発語異常、痙笑、痙泣、睡眠障害、記憶障害、性欲減退等のパ ーキンソン症候群様症状) ・ 検査と既往検査値の調査:握力の測定 ※ 臨時: ・ 健康診断の結果、他覚症状が認められる者・自覚症状を訴える者・その他異常の疑い がある者で、医師が必要と認める者については、次の項目について医師による健康診 断を行わなければならない。 ○ 作業条件の調査 ○ 呼吸器に係る他覚症状又は自覚症状がある場合は、胸部理学的検査、胸部のX線直 接撮影による検査 ○ パーキンソン症候群様症状に関する神経医学的検査 ○ 医師が必要と認めるとき 尿中/血液中のマンガンの量の測定 9 物理化学的性質 注)指数以外の右肩付数は温度(゚C) 外 観 等:・ 赤色,単斜晶系結晶,潮解性 2) 5) 化 学 式: MnI2・4H2O 式 量: 380.8081(無水物:308.747) 5) 融 点: 分解 密 度: 無水物:5.04 g/cm3 6) 溶 解 性 *水 : 冷水に可溶,熱水に易溶 5),分解 1) (水溶液はわずかに酸性を示す) *可 溶: エタノール 1) 2) 6) そ の 他:・ 空気中光が当たると沃素を遊離して、褐色となる 1)。 10 危険性情報 危険性の指標:・ 揮発性 可燃性:・ 燃えない。 酸化性:・ なし なし(蒸気圧38<196 kPa) 1) - 4 MnI2・4H2O 反応性: *混触危険:・ 強酸 安定性:・ 空気中光が当たると沃素を遊離して、褐色となる 1) 。 11 有害性情報 有害性の指標(致死量,中毒量,刺激度): 参考 ・ MnCl2・4H2O 経口 マウス LD50= 1,484 mg/kg 8) ・ MnCl2 皮下 マウス LDL0= 210 mg/kg 4) 皮膚腐食性:・ 現在の所知見なし。 刺激性:・ 粉塵は粘膜及び上気道を刺激する。 感作性:・ マンガン化合物は、金属アレルギーを起こすことがある。 ・ ヨード剤はショック,多発性動脈炎,水疱性発疹等のアレルギー症状を起こす 9)。 急性中毒:・ 現在の所知見なし。 慢性中毒:・ 沃化物を長く吸収すると、沃素中毒を起こし、発疹、鼻だれ、頭痛の症状が現れる。 症状が重たくなると、吹き出物、ねぶと、赤み、青黒い斑点、蕁麻疹、水ぶくれが肌 に起こる。衰弱、貧血、体重減少、倦怠が生じることもある 3)。 ・ マンガン化合物の蒸気や粉末を吸入することにより、中枢神経や呼吸器系に損傷を与える。 マンガンの慢性毒性により、普通倦怠感や眠気といった症状が現れる。それに引き続き 足が衰え、更にぼんやり症、仮面様顔貌、ゆっくりとした単調な声で話す、といった 症状となる。次に筋肉がひきつり、手の震えが細かいものから粗いものへと変化し、 腕や足、そして胴がリズミカルに震えてくる。それとほぼ同時に夜間性痙直が両足に 起こる。腱反射がわずかに増大し、足首・膝蓋間代、典型的なパーキンソン症候群、 多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性レンズ核変性(ウイルソン病)が現れ る 3)。 ・ マンガン化合物による療養補償すべき業務上の疾病(労働基準法): 頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、言語障害、歩行障害、振せん等の神経障害 癌原性:・ 日本産業衛生学会(1995),IARC(1993),NTP(1994),OSHA(1996), 労働基準法による発癌物質 に記載がない。 変異原性:・変異原性が認められた既存化学物質等(平成4年7月1日現在) に該当しない。 生殖毒性:・現在の所知見なし。 催奇形性:・現在の所知見なし。 12 環境影響情報 分解性:・ 容易に分解して自然物になる。 蓄積性:・Mn 存在比 植物/土壌 = 0.01 , 人/土壌 = 0.000003 海洋生物/海水 = 25000 ・Mn 濃縮係数 定着性藻類 = 20- 20000, 植物プランクトン等 = 300- 7000 貝類 = 3000- 60000, 食植性プランクトン = 21- 4000 イカ = 1000 , 食肉性プランクトン = 270- 1600 魚 ≒ 95- 100000, ちりめんキャベツ(土壌)= 17 ・Mn 生物学的半減期 17 day, ・ 吸収率 経口= 0.1, 経気道= 0.3 ・I 存在比 植物/土壌 = 2~20 , 人/土壌 ≒ 0.04 海洋生物/海水 = 33 ・I 濃縮係数 定着性藻類= 160- 100000, 貝類 = 4070 魚 = 10 , 淡水産植物32種平均 = 370 ・I 生物学的半減期 138 day, ・ 吸収率 経口= 1.0 , 経気道= 0.75 7) 7) 7) 7) 7) 7) - 5 MnI2・4H2O 魚毒性:・現在の所知見なし。 オゾン層:・ フロン,ハロンでない。 海洋汚染:・ 海洋汚染物質に該当しない。 13 廃棄上の注意 廃棄方法:・ 専門の業者に委託する。 ・ 多量にあれば、資源回収に資する。 ・ 水溶液に消石灰を加えてアルカリ性とし沈澱を生成させ、これを濾過する。濾渣をセ メントを用いて固化し、埋立処分する。 特別管理産業廃棄物:・ 該当しない。 14 輸送上の注意 注意事項: ・ 運搬中の温度,湿度,圧力等の変化で破損や漏洩等の恐れがない容器に、輸送中の破 損等が起こらないように収納する。 15 適用法令 ◆規制条項 ・ 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律:◆新規化学物質 ・ 労働基準法:◆ 業務療養補償をすべき疾病を起こす化学物質等(マンガン化合物) ・ 労働安全衛生法:◆特定化学物質 第二類物質 ・ 毒物及び劇物取締法:◇普通物 ・ 消防法:◇非危険物(非届出物質) ・ 道路法:◇非危険物 ・ 船舶安全法:◇非危険物 ・ 港則法:◇非危険物 ・ 航空法:◇非危険物 ・ 外国為替及び外国貿易管理法 * 輸入貿易管理令:◇自由化品目 * 輸出貿易管理令:◇自由品目 ・ 環境基本法:環境基準 ◆大気(浮遊粒子物質) ◇水質(-) ◇土壌(-) ・ 大気汚染防止法: ◆煤煙 ・ 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律:◇特定物質でない。 ・ 悪臭防止法: ◇悪臭物質に該当しない。 ・ 下水道法: ◆可溶性マンガン含有量 ・ 水質汚濁防止法: ◆排水基準(溶解性マンガン含有量,浮遊物質量) ◇地下浸透規制(-) ・ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律:◇特別管理産業廃棄物に該当しない。 ◇有害物質(-) ・ 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律:◇海洋汚染物質に該当しない。 16 その他 参考文献: 1) Susan Budavari, et al.;The Merck Index 11th Ed. 2) 化学大辞典;共立出版 3) N.Irving Sax et. al.,Hazardous Chemicals Desk Reference: 藤原 鎮男 監訳;ザックス 有害物質データブック;丸善 4) 後藤 稠ら,産業中毒便覧;医歯薬出版株式会社 - 6 MnI2・4H2O 5) 6) 7) 8) 9) 注意事項: ・ 日本化学会編,化学便覧 基礎編 改訂 4版;丸善 David R. Lide,CRC Handbook of Chemistry and Physics 76th Ed.;CRC Press Inc. 山県 登;微量元素;産業図書 R.E.Lenga; The Sigma-Aldrich Library of Chemical Safety Data 池見酉次郎,吾郷晋浩 編著,アレルギーの話;NHKブックス 本情報は製品に対しての品質保証や安全保証をするものでなく、製品の危険,有害性 等に関する情報を提供するものです。また、注意事項は通常の取り扱いを対象とした ものであって、特別な取り扱いをする場合は、用途・用法に適した安全対策をお願い いたします。
© Copyright 2024 ExpyDoc