PDF 495360 bytes - 日本消化器外科学会

日消外会誌 2 4 ( 4 ) 1 1 0 4 2 ∼ 1 0 4 6 , 1 9 9 1 年
f etoprotein陽
肝転移巣 に alpha‐
性細胞を
認 めた多発進行 胃癌 の 1切 除例
京都大学医学部第 1 外 科
露木
茂
仁 尾 義 則
井 上 一知
戸 部 隆 吉
胃の 同時性多発進行癌 でおのおのが別 々の組織型 を示 し,か つ 片方 の肝転移巣 が alphafetoprotein
(AFP)産 生型腫瘍 で あ った症例 を報告す る。症4/1は
76歳男性 で,上 腹部痛,右 季肋部痛 を主訴 に来院
した。 胃透祝,内 視鏡検査 にて,噴 門部 に BormannI型
病変 を, 胃角上部 に Borrmann II型病変 を
て肝 S4領 域 に転移 を認めた.腫 瘍 マ ー カ ーで は,carcinoem‐
bryonic antigen(CEA)は 正常範 囲内であ ったが,AFPが 283ng/mlと 高値 で あ った。手術所見 は,
認 め,computed tomography(CT)に
Hl,PO,Sl,Nlで
胃全摘術 お よび R2郭 清,ROux‐en Y法 に よる再建 と肝 S4区 域切 除術 を施行 した。
病理所見 では,噴 門部腫瘍 は未分化癌類似 の リンパ球,形 質細胞浸潤 の著 明な低 分化型腺癌 で,胃 角
部腫瘍 は 中分化型腺癌 で あ り,多 発 胃癌 と考 え られた。肝転移巣 は 胃角部腫瘍 と同様 の 中分化型腺癌
で あ り,PAP法
に よ りAFP陽 性細胞 が検 出 されたが,原 発巣, リ ンパ 節転移巣 では検 出 され なか っ
(こ
亨
.
Key words:
alpha-fetoprotein,mutiple gastric cancer
1. は じめ `こ
Alpha‐
f e t o p r O t e i n ( A F P ) は, 肝 細胞癌 や胎生期 癌
の診 断や治療上, 不 可欠 な腫 瘍 マ ー カ ーで あ るが, 消
化器系悪性腫瘍 において も産生 され る1 ) 。
この うち, 胃
癌 にお ける報告 が最 も多 く, 本邦 で約 2 0 0 4 2 1 報
の告 が あ
力
る . 一 方, 多 発 胃癌 は比較 的 まれ な疾患 で あ るが, 近
年診 断技術 の 向上や臨床病理学 の進歩 と共 に, そ の頻
度 は増加 してお り, 2 . 7 ∼ 5 . 9 8 % と 報告 され てい るう。.
今 回われわれ は 同時性多発進行 胃癌 で, お のおの異
な った組織型 を示 し, か つ肝 転移巣 が A F P 産 生腫 瘍
Table I
Laboratory findings on admission
RBC:373×
Hb :
104/mm3
115g/dl
Ht i
35 0%
WBCi
4100/mm3
Plt :212× 104/mm3
CRP 1
AFP:
CD生 :
76 mg/dl
185 ng/ml
1l ng/ml
GOT 1 261U/L
CPT : 181U/L
LDH i257 1U/L
ALP :2141U/L
GTP: 361U/L
/―
TP :65g/dl
Alb i35g/dI↓
T Bll :04 mg/d]
CRE :08 mg/dI
BUN : 22 mg/dl
で あ り, 治 癒手術 を施行 した 1 例 を若子 の考察 を加 え
て報告す る。
家旅歴 : 父 , 食 道癌.
2 . 症 例
症例 :76歳,男 性.
主訴 i上 腹部痛,右 季肋部痛.
現病歴 1平 成元年 5月 下旬 に上 腹部痛,右 季肋部痛
が食事 とは無関係 に出現 し,近医 を受診 し精査 の結 果,
胃癌 を発見 され,当 科 へ 紹介入院 とな る。体重減 少,
嘔気 ,嘔 吐 ,黒 色便 な どには気 づ いて い ない。
既往歴 :67歳時,不 整脈 ,69歳 時,脳 血 栓.
入 院 時 現 症 i 身長1 5 7 c m , 体
重4 6 k g , 血圧9 2 / 5 0
mmHg,脈 拍 48/min(不整),貧 血 ,黄 痘 は な く,腹 部
に 異 常 所 見 は 認 め な か った。 Virchowリ ン パ 節,
Schnttzler転
移 は触知 しなか った。
検査所見 1胸 部 X線 写真 :特 に異常所見 を認 めず。
ECG t徐 脈 と心 房 性 お よび心 室 性期 外収縮 を認 めた.
血 液 学 的 ・生 化 学 的 検 査 ( T a b l e l )瘍
マー
!腫
ー
カ : 平 成 元 年 6 月 2 8 日A F P i 1 8 5 n g / m l , c a r _
<1990年 12月12日受理>別 刷請求先 : 露木 茂
〒606 京 都市左京 区聖護院川 原 町54 京都大学 医学
cinoembryonic antigen(CEA):1.lng/mlで
部第 1外 科
変化 なか った (Fig.1).
7月 28日 には AFP 283ng/mlに
あ った。
上昇 したが, CEAは
1991年4月
93(1043)
胃 X 線 写 真 ! 立 位 充 盈 像 で, 食 道 胃接 合部 約 2 c m
播 種 な し。腫 瘍 の 衆 膜 へ の 露 出 な し.リ ンパ 節 No.1,
下, 小 弯狽1 に長 さ約8 c m の 壁不整 と硬化 を認めた。 胃
No.3の 腫 脹 を認 めた (お の お の どち らの 胃癌 か らの 転
角 は開大 し, 胃 角 上部 に長 さ約6 c m の 壁不整, い わゆ
移 か は 不 明 で あ る が ,近 接 腫 瘍 よ りの 転 移 と し,Nl
る S c h a t t e n p l u s i m S c h a t t e n m i n 陰影欠損
usの
を認 め
(十)と 分 類 した )。ま た 肝 S4領 域 に,自 色 で 表 面 不 整 ,
た 。仰 臥位 二 重造影 では, 噴 門部小弯側 に表面不整 な
弾 性 硬 の35× 2 4cm大 の 腫 瘍 を認 め た 。 胃全 摘 術 お
隆起性病変 がみ られ, 胃角 上部 には境界 明瞭 な周堤 を
よび R2郭 清 ,肝 S4の 区域 切 除 術 を施 行 し,Roux‐en Y
有 し, 中心部 が不 整型 の陥凹性病変 を認 めた ( F i g 。2 ) .
胃内視鏡検査 : 噴 門部病変 は, な だ らか な隆 起 で辺
Fig。2 The FIndings of the upper gastrOintestinal
縁 明瞭, 表 面不整 な B o r r m a n n I 型 胃癌 で, 表 面 出血
series The left photograph shO、
vs an elevation at
も認 めた。胃角部病変 は B o r r m a n n I I 型胃癌 で全周性
の周堤 を形成 し, 潰 瘍 底 は凹凸不整, 不 均 一 な白苔 を
cardia The right photograph dhoM′
s a deep crater
M′
ith marginal elevation at the ange1 0f the1‐
sto■
ach
認 めた ( F i g 。3 ) .
C o m p u t e d t o m o g r a p h y ( C T ) : 肝 S 4 ゆ領域 に径3 c m
の堺 界やや不 明瞭 で 内部不均 一 な l o w d e n s i t y l e s i o n
を認 め, 造 影剤投与 で , 病 変周囲 に r i n g _ e n h a n c e m e n t
を認 めた ( F i g . 4 ) .
手術所 見 t 平 成元年 8 月 1 0 日手術 を施行 した。腹膜
Fig. l
The leve1 0f serum alpha‐
fetoprOtein
岳 200
冨l o o
Fig. 3 Endoscopicfindings, The right picture shows a lesion at the cardia, and
the left shows a lesion at the ansle.
肝転移巣 に alpha Fetoprotein陽 性細胞 を認めた多発進行 胃癌
94(1044)
Fig. 4 Computed tomography findings. A lesion
with low density is demonstratedin the 54 ses.
ment of the liver.
Fig. 5 Macroscopiccharacteristicsof the lesion.
The left lesion is a Borrmann type II cancer at
the angle and the right lesionis a Borrmann type
I cancer at the cardia.
日 消外会誌 24巻
4号
Fig. 6 Histological findings. The left picture
showspoorly differentiatedadenocarcinomacells
with diffuse infiltration of lymphocytes and
plasma cells in the lesion at the cardia (H.E.
stain, x200) and the right shows moderately
diffrentiated adenocarcinomacells in the lesion
at the angle (H.E stain, x200).
Fig. 7 The upper picture shows macroscopic
characteristicsof liver metastasisand the lower
picture shon'sAFP positive cells in liver metastasis.AFP was stainedby the peroxidaseantiperoxidase (PAP) stainning method (x200).
法 にて再建 した。 胃癌 取扱 い規約 的に よる 肉眼的 分類
ヤ
ま, C(Min), Sl, Nl(十
(Min), Sl, Nl(十
), P9, Hl, Stage IV, M
), PO, Hl, Stage IV, 0ヽ V(一 ),
AW(―
) , R 2 r e l a t i v e c u r a t i v e r e s e c t iあ
O nった
で 。
切 除標 本 の 肉眼 的 所 見 : 噴 門部 小 弯 側 に3 . 4 ×7 . 0
c m の B o r r m a n n I 型病変を, 胃 角上部小弯側 に5 6 ×
6 5 c m の B o r m a n n H 型 病変 を認 めた ( F i g . 5 ) ,
病理組織学的所 見 i 噴 門部腫瘍 は未 分化癌類似 の低
分化腺癌 で, 著 明 な リンパ球, 形 質細胞 の浸潤 を認め,
SSγ
, l y 2 , V l であ った。胃角部腫瘍 は 中分化型腺癌 で,
部 分的 に s h e e t 状の配列 を認め, s w , l y 2 , V l で あ った
( F i g . 6 ) . o w ( ― ) , a w ( 一 ) で N O . 1 , 3 の リンパ節
に転移 を認め, い ずれ も組織学的 には近接 す る原 発巣
と同 じ所見 で あ った。肝腫瘍 は 胃角部腫瘍 と同様 の 中
分化型腺癌 で あ った。組織学的進 行度 は, C ( M i n ) ,
SS9/, ly2, VI, nl(十), PO, Hl, stage IV, M(Min)
1991年4月
95(1045)
SSβ,ly2,Vl,nl(十 ),P。,Hぃ
AFPの
染 色 に は AFPの
stage IVであ った。
染 色 に は PAP法
(perOx,
i d a s e a n t i p e r o x i d e a s e用
)を
いた。肝転移巣 では細胞
家 の 報 告 が 一 致 して い な い .病 巣 の 結 合 せ は ,肉 眼 的
分類 で は 隆 起 型 同志 ,陥 凹型 同志 が 多 く,ま た 組 織 型
10,
も同様 な組 織 を示 し,分 化 型 同志 の 組 合 せ が 多 い 1の
体 内 に陽性 に染 まる顆 粒状物質 をふ くむ A F P 陽 性細
胞 が散在 していたが, 噴 門部 お よび 胃角部腫瘍 にはそ
本 症 例 は ,Borrmann II型
れぞれ 5 枚 ず つ の切 片で検索 したが A F P 陽 性細胞 を
認 め るの で 壁 内 転 移 の 可 能 性 も あ る が ,組 織 像 が 異
認 め なか った ( F せ。7 ) .
な って い る こ とよ り,多 発 癌 と考 え られ る。 この よ う
術 後 経過 : 切 除標 本 を用 いて制 癌 剤 感 受 性試 験 のゆ
を行 った ところ, ど の病変 も M M C , 5 F U に
対 して感
受性 が高 いため, そ れぞれ6 m g , 2 5 0 m g の 点滴 静と を
3 ク ール行 い, さ らに U F T ( 3 0 0 m g ) お
よび O K 4 3 2 の
と I型 の 異 な る肉眼 的形 態
を示 し,噴 門部 , 胃角 上 部 の 両 腫 瘍 と もに脈 管 侵 襲 を
な症 allはわ れ わ れ の 検 索 し うるか ぎ りで は 報 告 は な
く,初 の 報 告 例 と思 わ れ る。
以 上 AFP産
が ,血 清 AFP高
生 型 多 発 進 行 胃癌 の 1例 を 報 告 した
値 の 肝 腫 瘍 を発 見 して もす ぐに肝 細
内服投与 を行 った。A F P は 術後急減 し, 8 月 3 1 日には
胞 癌 と診 断 せ ず ,AFP産
1 2 n g / m l と正 常区域 内 に達 した ( F i g , 1 ) . 経 過 は良好
性 も念頭 にお い て 診 断 と治 療 に あ た る必要 性 が あ る.
で 9 月 1 3 日退院 し, 平 成 2 年 9 月 1 日 現在, 再 発 の徴
候 な く外来 にて免疫化学療 法 を継続 中 で あ る。
3 . 考 察
りが A F P 高 値 を示 す 胃癌 の肝
1 9 7 0 年に B o r r e l l i e ら
転移症f r l を
報告 して以来, A F P 産 生 胃痛 の全 胃癌 に 占
め る割 合 は3 . 5 ∼8 8 % と 報告 され てい る1 0 ) . A F P 産生
胃癌 の半」
定条件 として, 1 ) 術 前 よ り血清 A F P 値 が異
常 に 高 く胃癌 の 消長 と相 関す る。 2 ) P A P 法 で A F P
の局在 を証 明 で きる, 3 ) n u d e m o u s e に 移植 した腫瘍
に A F P を 確 認 で きる こ とがあげ られ る. 一 般 に b o r r ‐
m a n n I I , I H 型 に多 く, 高 分化腺癌 か ら低 分化型腺癌
.肝
に まで認め られ, 髄様構造 を示す ことが 多 い1 1 ) 1 2 )転
移 は6 3 . 6 ∼7 3 . 7 % と 高率であ る。原発巣 と肝転移巣 と
の A F P 染 色 の程 度 の差 はほ とん どない。A F P 値 は肝
細 胞 癌 で は1 , 0 0 0 n g / m l 以上 を 示 す こ とが 多 い が,
A F P 陽 性 胃癌 は比 較的低値 で, 1 , 0 0 0 n g / m l 以 下 の こ
とが多いl り
。本例 では, A F P 陽 性細胞 は肝転移巣 に認
め られ, 同 じ組 織型 の 胃角部腫瘍 には認め なか った。
そ の理 由 として, 1 ) A F P 産
生細胞 が選択的 に肝転移
す る, 2 ) 原 発巣 の組織 内 に A F P が 存在す るが, P A P
法 に よる描 出感度以下 で あ る, 3 ) 偶 然 に数枚 の切 片内
に A F P 陽 性細胞 が 含 まれ て い な い, な どの可能 性 が
考 え られてい る。本症7 1 1 で
興 味深 いのは, A F P 陽 性 胃
で
癌 あ る とともに, 異 な る組 織型 を もつ 多発進行 胃癌
で あ るこ とであ る。本邦 での多発 冒癌 の発生頻度 は早
期 胃癌 では6 3 ∼ 1 0 3 % , 進 行 胃癌 では2 8 3 ∼ 7 . 1 % と
1的
報 告 され て い るl 。
. 多 発 胃癌 の 判 定 規 準 と して,
1
の
M o e r t e l ら の, 1 ) 各 病巣 に組織学的 に悪性像 が証 明
され , 2 ) 各 病巣 が正常組織 を介 して隔離 され, 3 ) 一
生型 消化 器癌 の 肝 転 移 の 可 能
病理組織学的検討お よび AFP染 色に関 し,御 指導,御 尽
力頂 きま した京 都大学 医学部附属病院 中央病理検 査 部教
授,山 邊博彦博 士 に深甚 の謝意 を表す.
文 献
1)加 藤 清 ,赤 井貞彦,飛 田祐吉 ほか !ヘ パ トーマ●
f etoprotein陽
悪性奇形腫 以外 の alpha、
性癌 に つ
いての考察.癌 の臨 20i376-382,1974
2)上 原克 昌,宮本幸男,泉雄 勝 ほか !胃 癌 にお ける
AFPの 意義.癌 の臨 321887-893,1986
3)安 達秀雄,佐野弘行 :多 発性 胃癌 の組織像.癌 の臨
9 : 741--742, 1963
4)金 子芳男,龍村俊樹,中川正昭ほか :同 時性多発 胃
癌 の検討.外 科診療 22:436-440,1980
5)Couinaud c l LObes et segments hepatiqhes,
notes sur I'architechture anatomique et chirur‐
gicale du fole. Presse WIed 62 : 709--712, 1954
6 ) 胃 癌研究会 ! 外 科 ・
病理. 胃癌取扱 い規約. 第1 1 版.
金原 出版, 東 京, 1 9 8 5
7 ) 仁 尾義則, 稲本 俊 , 大垣和久 ほか : 制 癌剤感受性
試験 一D N A 合 成 ( 3 H _ T h y m i d i n e u p t a k e )害率
阻
よ りみた臨床例 の 検 討. 日 外 会誌 8 6 : 8 - 2 2 ,
1985
8 ) 仁 尾義則, 大垣和久, 稲本 俊 ほか : 副 作用予知 を
組合 せた新 しい制癌剤感受性試験。 日癌 治療会誌
191 8--18, 1984
9)Bourreille J,Metayer P,Sauger F et ali Exis‐
tence d'alphafoetoproteine au cours d'um can‐
cer ttcoudaire du foied'orgine gastrique Presse
Atted 78 1 1277--1278, 1970
10)Kitaoka H,Hattori N,Mukojima T et al!
Alpha―ferOprotein content
in tissues from
vith gastric cancer Tumor Res 8:
patients、
171--177, 1973
1 1 ) 大 田 大 作, 梶 原 義 史, 原 日 英 二 ほ か : A l p h a ,
方 の病巣 が他病巣 か らの局所進展 また は転移 でない,
Fetoprotein産
生 胃癌 に関す る臨床 的, 病 理 的検
の 3 条 件 が 多 く用 い られ る。発生部位 につ いては, 諸
討. 日 消外会誌 1 8 1 4 3 - 4 9 , 1 9 8 5
96(1046)
fetoprotein陽性細胞を認めた多発進行胃癌 日 消外会誌 24巻
肝転移巣に alpha‐
4号
12)広 瀬和郎,米 村 豊 ,沢 敏 治 ほか 1血 清 alpha_
Fetoprotein陽
性 胃癌 の臨床病理学的検討.日 消外
h/1oertel CG, Bargen JA, Soule EH et al:
会誌 19:2020-2026,1986
13)磯 松俊夫 :AFP.消 外 5'713-715,1982
14)高 見 宏 ,八木宏之,藤川正博 ほか 1多 発 胃癌 の検
1095--1130, 1957
馬場保 昌, 中村恭 一 , 菅野晴夫 ほか : 二 重複 胃癌 の
病理組織学的研究. 癌 の臨 1 9 ! 2 8 - 3 7 , 1 9 7 3
西 満 正, 中村 真 , 高木図夫 ほか ! 胃 の重複癌 に
ついて, 外 科 3 0 ! 工 1 5 - 1 1 2 5 , 1 9 6 8
討.日 臨外医会誌 12:1410-1420,1983
15)奉 間 賢 ,森脇昭介,森 田 稔 ほか :多 発早期 胃癌
の臨床病理学的検討.癌 の臨 27:633-637,1981
A Case of Multiple
Gastric Cancer with a Metastatic
Multiple gastric cancers Gastroenterology 32:
Liver Tumor
Producing
Alpha-fetoprotein
Shigeru Tsuyuki, Yoshinori Nio, Kazutomo Inoue and Takayoshi Tobe
First Department of Surgery, Kyoto University Faculty of Medicine
A patient with multiple gastric cancers was studied. The cancers were found to be histologically different and
one of them produced Alpha-fetoprotein (AFP). A 76-year-oldman was admitted, complaining of epigastralgia and
right hypochondralgia. The upper GI series and endoscopyexaminations revealed two kinds of lesions,one which
was a Borrmann type I lesion located at the cardia and another which was a Borrmann type II lesion located at the
angle of the stomach. A CT scan also showed a metastatic lesion in the 54 region of the liver. The serum level of
CEA was within normal limits, however the serum AFP level was elevated to 283 nglml. A total gastrectomy and
R2 removal of the regional nodes,reconstruction using the Roux-enY method, and segmentectomyof the liver were
performed. Histopathological examination revealed that the lesion at the cardia was poorly differentiated
adenocarcinomawith diffuse infiltration of lymphcytes and plasma cells and that the lesion at the angle was a
moderately differentiated adnocarcinoma.It was also suggestedthat the liver might have metastasizedfrom the
lesion at the angle, becauseit had the histological features as the lesion. Moreover AFP producing cells were
demonstratedin the metastatic liver tumor by the PAP staining method, but they were not found in either the
primary lesions or the involved lymph nodes.
Reprint requests:
Shgeru Tsuyuki First Department of Surgery, Kyoto University Faculty of Medicine
54 Shogoin-Kawara-cho,Sakyo-ku, Kyoto, 606JAPAN