表 5.臨床材料の分離培養法(検体の前処理法は表 3 参照)

表 5.臨床材料の分離培養法(検体の前処理法は表 3 参照)
培養期間注 2)
検査材料
培地の形状
接
種
培養温度注 1)
法
(~最長)
1.表皮, 斜面培地または
鱗屑や細切した材料の数片を,斜面培
25℃〜30℃また
3〜4 週間,
爪,毛髪
平板培地
地の 3-4 カ所に,材料の一部を培地に
は室温培養,
Malassezia spp.
(Malassezia spp.
埋め込むように点状に接種する.
Malassezia spp.が
が対象の場合
を検査対象とす
培地は 2-3 本使用する.
対象の場合は,
は,2〜3 週間
る場合は
Malassezia spp.を検査対象とする場合
32℃ が 望 ま し
Malassezia 用鑑
は,鱗屑の一部を培地に埋め込むよう
い.
別平板培地や
に点状に接種する.鱗屑を採取したテ
Dixon 平板培地
ープが試料の場合は,テープの粘着面
を使用)
を培地に接触させ,貼りつけたまま培
養する.
2. 組織
斜面培地(皮膚
細切した皮膚組織は,斜面培地の 3-4
Candida spp.,
皮膚糸状菌,
(生検,剖
組織)または平
カ所に材料の一部を埋め込むように
Aspergillus spp.,
Sporothorix
検)
板培地(他の組
点状に接種する.培地は 2-3 本使用す
および接合菌注
schenckii お よ
織)
る.
1)
び黒色菌:3〜
他の組織は,細切した数片を同様に培
他の真菌:25℃
4 週間
地に埋め込む接種と、平板培地上に強
〜30℃または室
Histoplasma
くスタンプし、白金耳で画線分離す
温培養
spp.:4~6 週間
3.血液
血液培養ボトル
,
る.綿棒で採取された材料は綿棒を培
注 2)
地の一部に塗り付けた後,白金耳で画
他の真菌:1〜
線分離する.
2 週間
1 症例あたり 2 セット使用する.
35℃
1 週間,
Histoplasma
Malassezia spp.は専用の培地を用いる.
糸状菌(Fusalium spp., Histoplasma spp.
spp.:4~6 週
など)は真菌専用のボトル(MYCO/F,
間注 2)
BacT/ALERT MB ボトル)を用いる.
4. 骨髄
平板培地
平板培地に画線分離する.
25℃〜30℃
1〜2 週間,
Histoplasma
spp.:4~6 週間
注 2)
5. 髄液,
液体培地および
液体培地に液性材料の各遠心沈渣を
Candida spp.,
その他の
平板培地
接種し増菌培養する.
Aspergillus spp.,
穿刺液
平板培地には各沈渣を接種し画線分
および接合菌注
(胸水,腹
離する.
1)
1〜2 週間
,
他の真菌:25℃
水など)
〜30℃または室
温培養
6.留置カ
液体培地および
液体培地にカテーテル洗浄液の沈渣
Candida spp.およ
1〜2 週間,
テーテル
平板培地
を接種し増菌培養する.
び Aspergillus
Malassezia
平板培地にはカテーテル洗浄液の沈
spp.注 1),
spp.:2〜3 週間
渣を接種し画線分離する.
Malassezia spp.が
定量培養は,洗浄液をそのまま 0.1ml
対象の場合は
平板培地に接種し塗り広げる.Maki
32℃が望まし
らの方法文 1)(半定量培養)は平板培地
い.
上でカテーテルを 5 回転がし,画線分
他の真菌:25℃
離する.
〜30℃または室
Malassezia spp.を疑う材料は,専用平板
温培養
培地上でカテーテルを転がす,または
洗浄液の遠心沈渣を接種して,いずれ
も画線分離する.
7. 喀 痰 ,
いずれも遠心した沈渣を 1 滴(30μl 程
Candida spp.,
気管支肺
度),平板培地に接種し,画線分離す
Aspergillus spp.,
胞洗浄液
る.
接合菌注 1),
平板培地
1〜2 週間
他の真菌:25℃
〜30℃または室
温培養
8. 舌 お よ
綿棒で採取された材料は,綿棒を培地
Candida spp.,接
び口腔,
の一部に塗り付けた後,いずれも画線
合菌注 1),
鼻腔,膣
分離する.
他の真菌:25℃
平板培地
1〜2 週間
〜30℃または室
分泌物
温培養
9. 膿 汁 ,
平板培地
液性材料はそのまま,綿棒で採取され
Candida spp.,
1〜2 週間
膿腫
た材料は,綿棒を培地の一部に塗り付
Aspergillus spp.,
けた後,いずれも画線分離する.
および接合菌注
1)
,
他の真菌:25℃
〜30℃または室
温培養
10.角膜,
平板培地
硝子体
可能であれば,ベッドサイドで平板培
Candida spp.,
地に接種する.
Aspergillus spp.,
検査室で接種する場合は,可及的速や
接合菌注 1).,
かに平板培地に接種し,画線分離す
他の真菌:25℃
る.
〜30℃または室
1〜2 週間
温培養
11.耳垢
平板培地
細切した耳垢を,平板培地の 3-4 カ所
Candida spp.,
に,材料の一部を培地に埋め込むよう
Aspergillus spp.注
に点状接種,あるいは画線分離する.
1)
大量の Aspergillus spp.が存在する材料
spp.が対象の場
は,点状接種の方が良い場合がある.
合は 32℃が望ま
綿棒で採取された材料は,綿棒を培地
しい.
の一部に塗り付けた後,画線分離す
他の真菌:25℃
る.
〜30℃または室
Malassezia spp.を疑う材料は,表皮に準
温培養
1〜2 週間
, Malassezia
じて接種する.
12.尿
平板培地
採取された尿を遠心せずに定量培養
Candida 注 1),
を行う.あわせて遠心した沈渣を一白
他の真菌:25℃
金耳量,平板培地に接種し,画線分離
〜30℃または室
する.
温培養
1〜2 週間
注 1)
Candida spp.,Aspergillus spp.および接合菌が検査対象の場合は,35℃で 1 日培養,その後 25℃〜30℃ま
たは室温培養すると集落形成が早い.
注 2)
いずれの材料でも Histoplasma spp.が疑われる場合は,4〜6 週間の培養が必要とされる.