資料2-8(1) 一般国道12号 みねのぶ 峰延道路 再評価原案準備書説明資料 平成23年度 北海道開発局 目 次 1.事業の概要 ············································· 1 2.事業の必要性等 ········································· 7 3.事業の進捗の見込み ···································· 27 4.関係する地方公共団体等の意見 ·························· 28 5.対応方針(案) ·········································· 29 1.事業の概要 (1)目的 一般国道12号は、札幌市を起点とし旭川市へ至る延長約 145kmの幹線道路です。 このうち峰延道路は、交通混雑の緩和、交通事故の低減に よる道路交通の定時性、安全性の向上を目的とした、岩見沢 市岡山町から美唄市進徳町に至る延長6.3kmの4車線拡 幅事業です。 1 ■位置図 凡 例 高速自動車国道 供 用 区 間 地域高規格道路 供 整 一 主 ■事業概要図 2 用 備 般 要 区 区 国 道 間 間 道 道 (2)計画の概要 ほっかいどう い わ み ざ わ ① 起点 ‥‥北海道岩見沢市岡山町 ほっかいどう び ば い 終点 おかやま しんとく ‥‥北海道美唄市進徳町 ② 計画延長 ‥‥6.3km ③ 幅員 ‥‥26.75m ④ 構造規格 ‥‥3種1級 ⑤ 設計速度 ‥‥80km/h ⑥ 車線 ‥‥4車線 ⑦ 事業主体 ‥‥北海道開発局 ■標準横断図 4車線 (単位:m) 3 (3)経緯 平成19年度 事業化 平成20年度 用地補償着手 平成23年度 工事着手 4 (4)事業化以降の周辺環境の変化 [周辺道路の整備状況] ・平成22年12月 道央圏連絡道路 新千歳空港関連 全線供用(新千歳空港ランプ~中央ランプ) 9.2km ・平成23年 3月 道央圏連絡道路 美原道路 全線供用(豊栄ランプ~蕨岱ランプ) 8.0km ・平成23年度 一般国道12号美唄拡幅 全線供用予定 6.9km ■周辺環境の変化 平成23年度 全線供用予定 一般国道12号 美唄拡幅 写真:札幌開発建設部 平成23年 3 月 全線供用 道央圏連絡道路 美原道路 写真:札幌開発建設部 平成22年12月 全線供用 道央圏連絡道路 新千歳空港関連 写真:札幌開発建設部 5 (5)事業の進捗状況 当該事業は、平成23年度末見込みで、用地進捗率37%、 事業進捗率13%です。 用地進捗率 37% 事業進捗率 13% ※用地進捗率は用地補償費投入ベース ※事業進捗率は事業費投入ベース 平成23年度末見込み 6 2.事業の必要性等 (1)事業の投資効果 1) 全体事業費の変更 平成19年度の事業化以降、現時点においては、事業費 の変更を要する新たな事象が確認されておらず、全体事業 費に変更はありません。 引き続き、コスト縮減に取り組んでいきます。 全体事業費 (H19新規事業採択) 全体事業費 (H23再評価) 増減額 99億円 99億円 0億円 7 2)費用便益分析 費用便益分析の結果(事業全体) 計画交通量 全体事業費 車線数 (台/日) 99億円 4 22,400~24,300 ①費用 事 基 単 準 純 業 費 維持管理費 年 合 合 計 平成23年度 計 95億円 54億円 149億円 79億円 17億円 96億円 基準年における 現在価値(C) 注)事業費の単純合計値は全体事業費から消費税相当額等を控除した値である。 ②便益 走行時間 短縮便益 基 準 走行経費 減少便益 年 交通事故 減少便益 合 計 平成23年度 単 年 便 益 (初年度便益) 6.7億円 0.66億円 0.30億円 7.7億円 基準年における 現在価値(B) 100億円 11億円 4.2億円 115億円 ③結果 1.2 費用便益比(B/C) 注)費用及び便益の合計は、表示桁数の関係で計算値と一致しないことがある。 8 費用便益分析の結果(残事業) ①費用 事 基 単 準 純 業 費 維持管理費 年 合 合 計 平成23年度 計 基準年における 現在価値(C) 82億円 54億円 136億円 66億円 17億円 83億円 ②便益 走行時間 短縮便益 基 準 走行経費 減少便益 年 交通事故 減少便益 合 計 平成23年度 単 年 便 益 (初年度便益) 6.7億円 0.66億円 0.30億円 7.7億円 基準年における 現在価値(B) 100億円 11億円 4.2億円 115億円 ③結果 1.4 費用便益比(B/C) 注)費用及び便益の合計は、表示桁数の関係で計算値と一致しないことがある。 ④感度分析(残事業を対象) 変動要因 交通量 事業費 事業期間 基準値 22,400~ 24,300 82億円 8年 9 変動ケース 費用便益比(B/C) ±10% 1.1~1.8 ±10% 1.3~1.5 ± 1.3~1.5 2年 (2)地域の特殊性を考慮した便益の検討 北海道開発局事業審議委員会(平成21年6月開催)では、 「道路事業の事業評価において、3便益以外に地域の特殊性 等を考慮した多様な便益についても適切に反映できるよう 検討し、事業評価を充実されたい。」とのご意見をいただい ているところです。 今回、試算としてではありますが、現段階での知見に基づ き便益算出の検討を行いました。 美唄市の救急医療は、岩見沢市や札幌市の医療施設への依 存度が高いことから、道路整備による救急医療へのアクセス 向上効果について試算しております。 また、道路の整備により移動時の所要時間の変動(ばらつ き)が減少し、時間に遅れないために見込む余裕時間の短縮 効果についても試算しております。 10 1)救急医療改善効果 ①効果算定の考え方 生死に係る患者の傷病発生から手当てが施されるまでの 経過時間が生存率に大きく影響します。道路整備によって 救急医療へのアクセスが向上することで、生死に係る傷病 の発生から救命処置が施されるまでの経過時間が短縮し、 救命数が増加するものと考えられます。 そこで、 「九州地方を対象とした救急医療改善効果の研究 成果」を参考とし、救われる人命価値を道路整備による効 果として試算しました。 【概念図】 医療施設へのアクセス向上と生存率の増加、道路整備による改善効果の関係 救急車 救急車 入電 病院 (高次医療施設) 救急現場 (自宅など) 消防署 覚知~現場発時間控除 算定対象 搬送時間 疾患別の搬送時間と生存率の関係 →y(生存率)=0 の場合のX(分) 覚知~現場発 時間 を控除 効果算定範囲 → 72.2 - (7.4+10.9) = 53.9分 →216.9 - (7.3+11.9) =197.7分 → 95.5 - (7.7+10.7) = 77.1分 → 77.4 - (7.5+15.4) = 54.5分 ※Y:生存率、x:搬送時間(分) 資料:「道路整備による救急医療便益」(交通工学 Vol.45 No5 2010) 道路整備による搬送時間短縮・生存率の向上によって 救われる 人命価値 (円) 【例】脳梗塞では、 道路整備による便益 ※新たに算定する便益 ◎道路整備により、搬送時間が15分短縮 すると、救急患者の生存率が7.2%向 上します。 整備なし 整備あり 11 ②改善効果算定のフローと算定式 改善効果は、道路の整備による搬送時間短縮に伴う生存 者増加数の貨幣評価値より試算しました。 各市町村役場と急性期対応病院間 効果の計測対象の設定 の最短経路を設定 (1)対象とする地域・人口 の設定 (2)疾患別の搬送患者発 生率 (3)疾患別の急性期対応 病院への搬送率 搬送時間の設定 疾患別の急性期対応病院への搬送患者数 (4)疾患別の搬送時間短 縮1分あたりの救命率 搬送時間短縮による救急患者の生存者 増加数の算出 (5)人命価値 削減される社会的損失の算出 (救命する人命価値) ◎救急医療改善効果(円/年) (搬送時間短縮により救命される人命数の貨幣評価値(円/年)) = P Ai Bi C Di E i Σ P× Ai× Bi× C× Di× E :改善効果対象地域・地区の受益人口(万人) :疾患別の搬送患者発生率(人/万人) :疾患別の収容施設への搬送率(%) :地区と収容施設間の搬送短縮時間(分) :疾患別の搬送短縮時間1分あたりの救命率 :人命価値(2.26 億円/人) :疾患別(疾患:急性心筋梗塞、脳梗塞、多発外傷、大動脈乖離) 12 ③改善効果の算定 当該事業において試算した救急医療改善効果は現段階で の知見に基づき、傷病発生から救急車が現場に到着し病院 へ搬送し救命措置が施されるケースについて、搬送時間短 縮に伴う生存者増加数に着目し試算を行った結果です。 a)改善効果試算の設定、条件等 項目 地域・地区区分 改善効果算 定対象 収容施設 設定等 当該区間の整備により最寄りの高 次施設(急性期対応病院)への搬 送時間が短縮する市町村 岩見沢市び砂川市内の急性期病院 ①急性心筋梗塞:血管外科を併設する循 環器急性期医療機関、循環器科のある 救急医療機関 ②脳梗塞:脳卒中急性期医療機関 ③多発性外傷:救命救急センター、上記 ①かつ②と同じ ④大動脈乖離:上記①と同じ 備考 総務省統計局「H17 国勢調査」 「傷病者の搬送及び受入れの 実施に関する基準」 北海道(H23,3 施行)より 急性心筋梗塞 収容施設へ 脳梗塞 の搬送率 多発外傷 3次メッシュ(1kmメッシュ) の各ゾーンから、最短時間でアク セス可能な急性期病院へ搬送 - 大動脈乖離 急性心筋梗塞 2.62 人/万人 搬送患者発 脳梗塞 11.98 人/万人 生率 多発外傷 0.56 人/万人 大動脈乖離 1.95 人/万人 「道路整備による救急医療便 益」交通工学 Vol45 No5 2010 覚知~現場発(各市町村)までの 時間 「道路整備による救急医療便 益」交通工学 Vol45 No5 2010 3次メッシュの各ゾーンから 最寄りの急性期病院までの所 各市町村から最寄りの急性期病院 要時間を交通量推計結果に基 までの所要時間。 づく走行速度から算出し、ゾー ンの人口加重により市町村の 平均所要時間を算出。 搬送時間 搬送時間短 縮 1 分あた りの救命率 人命の価値 急性心筋梗塞 0.0160/分 脳梗塞 0.0048/分 多発外傷 0.0119/分 大動脈乖離 0.0112/分 2.26 億円/人 13 「道路整備による救急医療便 益」交通工学 Vol45 No5 2010 資料「公共事業評価の費用便益 分析に関する技術指針(共通 編)平成 20 年 6 月」 b)改善効果の試算結果 Ⅰ.救急医療改善効果(急性心筋梗塞) 救命する人命数 峰延道路 救急医療改善効果 (億円/年) 事業全体 0.1215 0.2745 残事業 0.1215 0.2745 Ⅱ.救急医療改善効果(脳梗塞) 救命する人命数 峰延道路 救急医療改善効果 (億円/年) 事業全体 0.1666 0.3766 残事業 0.1666 0.3766 Ⅲ.救急医療改善効果(多発外傷) 救命する人命数 峰延道路 救急医療改善効果 (億円/年) 事業全体 0.0193 0.0436 残事業 0.0193 0.0436 Ⅳ.救急医療改善効果(大動脈乖離) 救命する人命数 峰延道路 救急医療改善効果 (億円/年) 事業全体 0.0633 0.1430 残事業 0.0633 0.1430 Ⅴ.効果表 基準年 平成23年度 事業全体 残事業 単年効果 0.84 億円 0.84 億円 基準年における現在価値※ 13.15 億円 13.15 億円 (※)は、供用後50年間の効果額として試算した値(参考値) 峰延道路の整備により、峰延道路周辺地域の住民にとっ て岩見沢市や砂川市内の急性期病院へのアクセスが、最大 で約1分短縮し、年間0.4人の患者が救命され、約13 億円の効果が発現すると試算されました。 14 2)余裕時間の短縮による効果 ①便益算定の考え方 道路整備により、平均的な所要時間が短縮するだけでな く、所要時間の変動(ばらつき)が減少し、到着予定時刻 に遅刻しないために見込む余裕時間も短縮すると考えられ ます。余裕時間が短縮すると、道路利用者は出発時刻を以 前より遅くすることができ、遅くした時間は他の有効な活 動に利用できることから、この出発時刻を遅らせることが できる効果を余裕時間の短縮による走行時間短縮便益とし て試算することとしました。 【概念図】 余裕時間の短縮による走行時間短縮便益の概念 平均所要時間 整備前 30分 ある確率で約束時間内に 到着するために見込む所要時間 20分 平均時間短縮:10分 余裕時間短縮: 5分 整備後 20分 今回の試算対象 15分 ※ 15 従来の時間短縮便益 所要時間は参考値 ②便益算定のフローと算定式 余裕時間の短縮による便益は、以下の手順及び算定式よ り試算しました。 ① 道路区間毎に余裕時間を算出 する。 ② 対象道路網の総余裕時間を算 出する。 ③ 車種別時間価値、余裕時間の 短縮による便益を享受する交 通量割合より、対象道路網の 余裕時間短縮による走行時間 費用を算定する。 ④ ①~③の算定を整備前後で行 い、その差が「余裕時間の短 縮による走行時間短縮便益」 となる。 余裕時間の短縮による走行時間短縮便益 : BTR = BTRo-BTRw 余裕時間の短縮を考慮した走行時間費用 : BTRi = Σ(βj×BTRijr) ここで、 BTRi : 整備 i の場合の走行時間費用 BTRijr : 整備 i、車種 j の余裕時間費用(円/年) また、時間費用は次式で表される。 BTRijr = γj×Σ(Qijl×TRijl×αj)×365 Qijl : 整備 i の場合のリンク l における車種 j の交通量(台/日) TRijl : 整備 i の場合のリンク l における車種 j の余裕時間(分) αj : 車種 j の時間価値原単位(円/分・台) βj : 車種 j の余裕時間短縮による便益を享受する移動者の割合 γj : トリップ長分布を考慮して総余裕時間を算定する換算係数 i: 整備有の場合 W 、なしの場合 O 、j: 車種、l: リンク 16 ③便益の算定例 余裕時間が同じように短縮しても、移動目的や例えば物 流事業者のような時間指定の有無等の移動者の特性によっ て余裕時間の短縮による走行時間短縮便益は異なります。 当該事業において算定した余裕時間の短縮効果は、 「①到 着時刻の指定があり」 、かつ指定時刻に早く着いてしまった 場合に「②指定の時刻まで待機した移動者」のみを対象に 算定した結果であり、 「③到着時刻の指定がない移動者」や、 指定時刻に早く着いてしまった場合に「④早めに目的の活 動を始める、または別の活動をして時間を有効活用した移 動者」は、便益算定の対象とはしていません。 a)便益算定の設定、条件等 Ⅰ.日平均旅行速度と非遅刻確率余裕時間の関係 実測データ(プローブカー調査)及びアンケート調査により設定 非遅刻確率余裕時間(単位:分/km) 自動車専用道路 平均旅行速度 40km/h 45km/h 50km/h 乗用車類 1.679 1.210 0.872 貨物車類 1.640 1.182 0.852 55km/h 0.628 0.614 65km/h 0.326 0.319 70km/h 0.235 0.230 75km/h 80km/h 85km/h 90km/h 95km/h 0.169 0.122 0.088 0.063 0.046 0.165 0.119 0.086 0.062 0.045 一般道2車線 平均旅行速度 乗用車類 貨物車類 5km/h 10km/h 15km/h 5.614 3.817 2.595 5.483 3.727 2.534 20km/h 25km/h 30km/h 1.764 1.199 0.815 1.723 1.171 0.796 35km/h 0.554 0.541 40km/h 45km/h 50km/h 55km/h 0.377 0.256 0.174 0.118 0.368 0.250 0.170 0.116 一般道多車線、DID外 平均旅行速度 5km/h 10km/h 15km/h 乗用車類 8.431 5.947 4.195 貨物車類 8.233 5.807 4.096 20km/h 25km/h 30km/h 2.959 2.087 1.472 2.889 2.038 1.438 35km/h 1.038 1.014 40km/h 45km/h 50km/h 55km/h 0.732 0.517 0.364 0.257 0.715 0.505 0.356 0.251 一般道多車線、DID内 平均旅行速度 5km/h 10km/h 15km/h 乗用車類 10.152 7.194 5.098 貨物車類 9.914 7.026 4.979 20km/h 25km/h 30km/h 3.613 2.560 1.814 3.528 2.500 1.772 35km/h 1.286 1.256 40km/h 45km/h 50km/h 55km/h 0.911 0.646 0.458 0.324 0.890 0.631 0.447 0.317 60km/h 0.453 0.442 条件:所要時間の確率分布は、狭義には旅行時間の日々の変動を観測して得られる結果(出発時刻を 固定し、1台の車両が同一の路線を複数日走行して得られる観測結果)であるが、本試算においては、 既存調査結果※を用いたことから、所要時間の日々の変動を現したものではない。 (※)は札幌開発建設部管内における道路交通実測データ(プローブカー)による調査結果。 17 Ⅱ.トリップ長分布を考慮して総余裕時間を算定するための換算係数(γ) 実測データ(プローブカー調査)により設定 表 重み付け平均換算係数(γ) 乗用車類 自動車専用道路 0.608 一般道路 0.631 小型貨物 0.698 0.787 普通貨物 0.536 0.566 Ⅲ.余裕時間短縮による便益を享受する交通量割合(β) アンケート調査により設定 表 余裕時間短縮による便益享受交通量割合 車種 β 乗用車類 10.4% 小型貨物 27.6% 普通貨物 27.6% Ⅳ.車種別の時間価値原単位 費用便益分析マニュアルより 表 車種別時間時間価値原単位 車種 時間価値原単位 乗用車類 45.78 小型貨物 47.91 普通貨物 64.18 単位:円/分・台(平成20年価格) b)便益の試算結果 Ⅰ.余裕時間の短縮による走行時間短縮便益(H42) 峰延道路 事業全体 残事業 走行時間費用(余裕時間) (億円/年) ①整備あり ②整備なし 1,361.28 1,361.48 1,361.28 1,361.48 余裕時間短縮便益 (億円/年) 0.20 0.20 Ⅱ.便益表 基準年 平成23年度 事業全体 残事業 単年便益(H30) 0.20 億円 0.20 億円 基準年における現在価値※ 3.04 億円 3.04 億円 (※)は、供用後50年間の便益額として試算した値(参考値) 峰延道路の整備により、所要時間の変動(ばらつき)が減少 し、到着予定時刻に遅刻しないために見込む余裕時間が短縮す る効果として、約3億円の便益が試算されました。 18 (3)定性的な効果 交通混雑の緩和が期待されます。 当該路線は、札幌市と旭川市を連絡する主要幹線道路ですが、 事業区間の前後は4車線となっており、当区間では混雑が発生 し、旅行速度が低下しています。また、冬期間における交通障 害発生時には、さらに激しい混雑となります。 当該道路の整備によって、混雑が緩和されることで定時性の 確保や利便性の向上が期待されます。 ■当該路線の混雑状況 ●旅行速度と渋滞の状況 渋滞多発箇所 最大渋滞長 冬期 15.5km 通過時間 107 分 速度 8.7km/h ※観測日時 H19.11.22 下り)砂川方向:癸巳交差点 最大渋滞長 冬期:20.1km 通過時間 174 分 速度 6.9km/h ※観測日時 H19.11.22 上り)札幌方向:本町交差点 資料:冬期渋滞長及び速度 ●峰延道路の混雑状況 ●峰延道路における混雑度の変化 【夏期混雑状況】 2.0 1.64 札幌開発建設部調べ 【冬期混雑状況】 1.56 1.5 【混雑度】 1.0 1.0 0.5 0.0 H17 H23 資料:H17 道路交通センサス、H23 札幌開発建設部 ■地域の声(バス事業者) ・国道12号では、特に4車線から2車線になる場所が混雑します。さらに冬の高速道路が通行止 めになった時には、30分~1時間の遅れが発生しています。 ・峰延道路が完成した際には、滝川市まで4車線になるので、ぜひ早期の整備をお願いします。 19 走行環境の安全性向上が期待されます。 当該事業区間は、死傷事故率が100件/億台キロを上回る地 点が7地点、交通事故ゼロプランとして重点的に事故対策に講 じていく事故危険区間が3箇所存在するなど、追突が主な事故 の原因となる交通事故の多発区間となっています。 一方、隣接する4車線拡幅整備済み区間では、交通事故発生 件数が大幅に減少しています。 当該道路の整備により、走行環境の安全性の向上が期待され ます。 ■当該事業区間の事故発生状況 ●死傷交通事故発生箇所 【交通事故発生状況】 市道3号川線交差点 事故率:219件/億台キロ ●死傷事故率(100件/億台キロ)を上回る地点:7地点 ●交通事故ゼロプランによる事故危険区間:3箇所 ●類型別の事故発生割合 峰延道路 6.1 3.7 追突 69.5 0% 6.1 9.8 4.9 20% 正面衝突 40% 追突 ●隣接する4車線拡幅整備済み区間の 交通事故件数の変化 (件) 60 44 40 追突 49.0 全道 5.6 5.9 人対車両 追突事故 約7割 資料:ITARDA データ(H18~21) 、事故ゼロプラン 13.9 13.4 整備の進捗により 交通事故が減少 26 12.2 20 60% 出合頭 80% 右左折時 100% その他 資料:ITARDA データ(H18~21) 0 H8-11 1 H18-21 2 資料:ITARDA データ ■地域の声(運送事業者) ・車線が減少する場所で、後続車に車間を詰められ追従されるなど、危険を感じます。 20 救急搬送の安定性向上が期待されます。 当該事業周辺地域の救急搬送は、主に市立美唄病院へ搬送さ れていますが、高度な治療が必要となる脳・心疾患や常勤医が 不在の産婦人科系の疾患などは、美唄市内では対応が不可能な ため、岩見沢市や札幌市などの高次医療施設へ搬送されていま す。 岩見沢市内の高次医療施設への救急搬送は、主に国道12号 を利用していますが、片側1車線のため、混雑時の追い越しが 困難など迅速性に課題があります。 当該道路の整備により、交通混雑が緩和されるとともに、追 い越しが容易になるなど、救急搬送の速達性及び安定性向上が 期待されます。 ■当該路線周辺における救急搬送の状況 ●美唄市から岩見沢市への搬送件数 ●美唄市からの救急搬送先 (件) 120 【市立美唄病院】 ■診療科目数:7科 ■病 床 数:98床 100 80 100 107 98 97 90 72 60 40 20 8 9 0 約 10 0件 の 搬 送 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 資料:美唄市消防署ヒアリング ●美唄市から岩見沢市への搬送における 国道12号の利用割合(H22) 年 間 □診療科目:内科、小児科、 外科、整形外科、産婦人科、 脳神経外科、泌尿器科、精神 神経科、眼科、皮膚科、 咽喉科、形成外科、麻酔科、 放射線科 102 87 □診療科目:内科、小児科、 外科、整形外科、産婦人科、 耳鼻咽喉科、眼科 資料:市立美唄病院HP 【岩見沢市立総合病院】 ■診療科目数:14科 ■病 床 数:484床 年間約100件の搬送 脳外科 廃止! 産婦人科 94% 0% 資料:岩見沢市立総合病院 HP 20% 40% 国道12号利用 6% 60% 80% 100% 高速道路利用 資料:美唄市消防署ヒアリング 【第2次救急医療機関】 岩見沢市夜間急病センター 岩見沢市立総合病院 岩見沢脳神経外科 北海道中央労災病院 岩見沢市立栗沢病院 資料:「救急医療体制」北海道救急医療・ 広域災害情報システムHP(H22.11.1 現在)、 美唄市消防署ヒアリング ■地域の声(美唄市消防本部) ・岩見沢市や砂川市への搬送は、主に国道12号を利用しています。特に岩見沢市への搬送は、美唄労 災病院の脳外科と産婦人科の廃止などがあり、平成15年以降、急激に増加しました。 ・4車線になると追い越しが容易になるなど搬送時の安全性が高まるので、早期の整備をお願いします。 21 農産品の流通利便性の向上が図られます。 北海道は全国でも上位の水稲収穫量を誇り、当該路線周辺の 空知・上川振興局での収穫量は、約44万トンと道内の7割を占 めています。 また、近年北海道米の人気は全国的に高まっており、苫小牧 港から本州方面へ出荷されています。JAびばいからの出荷量 は、ほぼ全量が本州方面へ出荷されており、安定した輸送ルー トの確保が求められています。 当該道路の整備により、交通混雑が緩和され生産地と苫小牧 港のアクセスが向上し、米の輸送における利便性向上が期待さ れます。 ■水稲収穫量の状況 ●水稲収穫量 全国上位10都道府県 ●道内振興局別 水稲収穫量(H22) 700 600 618 602 収 穫 量 500 後志 26千t 4% 北海道は全国2位 489 446 石狩 42千t 7% 407 406 400 ( 千 400 t 300 343 333 313 道内 水稲収穫量 602 千 t ) 上川 165千t 27% 岩手 千葉 栃木 宮城 茨城 山形 福島 秋田 北海道 新潟 200 その他 93千t 16% 空知 275千t 46% 資料:平成 22 年産水陸稲の市町村別収穫量 (北海道農政事務所) 資料:平成 22 年産水陸稲の収穫量(農林水産省) ■米の輸送ルート 約44万トン 道内の約7割 ●本州でも人気の北海道米 JA新すながわ 出荷量:約9千トン JAびばい 出荷量:約1万2千トン 【札幌方面への出荷割合】 JAみねのぶ :18% JA新すながわ:16% JAみねのぶ 出荷量:約1万1千トン 札幌方面 【本州への出荷割合】 JAびばい :98% JAみねのぶ :82% JA新すながわ:84% 苫小牧港から 本州へ 資料:北のごはん倶楽部 VOL.8 資料:JA びばい、JA みねのぶ、 JA 新すながわヒアリング 平成 22 年産水陸稲の市町村別収穫量 22 (ホクレンパンフレット) ■地域の声(JAびばい) ・主要農産物である米・小麦・大豆な どを札幌や本州へ出荷しています。 ・苫小牧港へは国道を利用しており、 4車線整備されればよりスムーズに 輸送されると思います。 日常活動圏中心都市への利便性向上が期待されます。 当該事業周辺の市町村では、岩見沢市への買い物依存度が約 4割、通院依存度が約3割等、日常生活において大きく依存し ています。また、当該事業区間では、美唄市街および峰延や光 珠内の各地区と岩見沢市を結ぶ路線バスが計24便/日運行さ れており、日常生活において重要な役割を果たす道路となって います。 当該道路の整備により、混雑が緩和されることで交通の円滑 化や定時性確保など、日常活動圏中心都市への利便性向上が期 待されます。 ■事業区間における日常生活行動の状況 ●岩見沢市への 買物依存度の状況(買い回り品) ●美唄市等から岩見沢市への 買い物や通院の状況 約4割 その他 57% 美唄・ 岩見沢市 奈井江 区域内人口 43% 33,266 人 資料:H21 年度北海道広域商圏動向調査 【通院患者数】 ◆美唄市等→岩見沢市へ 2,127 人/月 【買い物客数】 ◆美唄市等→岩見沢市へ 約 14,300 人 当該区間を運行する路線バス ●岩見沢市への通院状況 路線バス 岩見沢~美唄 24便/日 約3割 その他 66.6% 至 旭川 岩見沢市 以北から 市外から 33.4% 岩見沢市へ 6,370 人 〔内訳〕 美唄市、奈井江町 滝川市、砂川市 赤平市、上砂川町 資料:2011 全国大型小売店舗総覧、北海道中央バス路線図 H18 国民健康保険患者受療動向調査 ※通院数は、平成 18 年 6 月の 1 ヶ月間の人数 資料:H18 年国民健康保険患者受療動向調査 ■地域の声(地域住民、バス事業者) ・以前は美唄市内で完結していましたが、近年は岩見沢市や札幌市に出かける機会が増え、医療や生活 の中心は岩見沢市に向いています。(地域住民) ・国道12号の、特に4車線から2車線になるところが混雑し、高速道路が吹雪によって通行止めにな った場合には、さらに30分から1時間程度の遅れが発生します。(バス事業者) ・4車線に整備された際には、渋滞が少なくなりバスの遅延も無くなると思います。(地域住民) 23 自動車からのCO2排出量の削減が見込まれます。 CO2排出量は、整備無しでは、3,922,828(t-C O2/年)ですが、当該道路の整備により、3,922,355 (t-CO2/年)となり、整備されない場合に比べ、472. 6(t-CO2/年)の削減が見込まれます。 CO2削減量 森林換算 約45ha (札幌ドーム約8個分に相当) 472.6t-CO2/年 ※対象地域:石狩振興局、空知総合振興局 ※平成 42 年将来交通量推計を基に算出 ※森林のCO2排出量は10.6t-CO2/ha・年として試算 出典:『土地利用、土地利用変化及び林業に関するグッド・プラクティス・ガイダンス(優良手法指針)』 ※札幌ドーム面積は建築面積5.5haを使用し換算 24 3.事業の進捗の見込み 当該事業は、平成19年度に事業化し、平成23年度に工事着 手となっています。 引き続き、早期供用に向けて事業を進めます。 25 4.関係する地方公共団体等の意見 地方自治体等で構成する団体が、事業促進の要望を行っていま す。 期成会名称 会 長 主な構成メンバー 要望内容 北海道空知地 岩見沢市長 方総合開発期 成会 岩見沢市、芦別市、 長沼町、雨竜町、奈 井江町、浦臼町、南 幌町、歌志内市、美 唄市、栗山町、北竜 町、月形町、幌加内 町、砂川市、妹背牛 町、三笠市、由仁町、 沼田町、夕張市、上 砂川町、秩父別町、 新十津川町、深川 市、赤平市、滝川市 一般国道12号を含む道央地域の交 通ネットワークは、広域分散型地域を 形成する道央地域においては、主要都 市・空港・港湾など人流・物流拠点の アクセスを確立し、経済や文化はもと より、地域医療の確保など、安全・安 心な暮らしを確保し、地域再生につな げる重要な社会資本ですので、本路線 の整備を要望します。 (平成22年度要望有) 北海道中空知 (理事長) 広域市町村圏 滝川市長 組合 滝川市、赤平市、上 砂川町、芦別市、砂 川市、歌志内市、奈 井江町、浦臼町、新 十津川町、雨竜町 住民の生活にとって、道路は人や物 の移動・連絡はもとより、地域経済・ 社会活動を支える最も重要な社会基盤 であり、地域医療の充実を図る面でも 重要な役割を担っています。 このような中、中空知広域圏内にお いても道路網の形状や交通渋滞、交通 事故、冬期の交通障害など様々な課題 を抱える道路の現状を改善するため、 道路整備を一層推進していくことが必 要です。 よって、今後とも着実な道路整備等 の推進を図るため、一般国道12号の 2次改築の促進を要望します。 (平成22年度要望有) 26 5.対応方針(案) 峰延道路は、交通混雑の緩和、走行環境の安全性向上による 道路交通の定時性、安全性の向上を図り、物流の効率化の支援 や円滑なモビリティの確保に寄与する事業と考えられる。 以上のことを勘案すれば、事業の必要性、重要性に変化なく、 費用対効果等の投資効果も確保されているため、事業継続とす る。 内容 項目 費用便益比(B/C) 地域の特殊性を 考慮した便益の検討 細目 事業全体 残事業 3便益によるB/C ・走行時間短縮 ・走行経費減少 ・交通事故減少 B/C=1.2 B/C=1.4 救急医療の改善効果 B=13.0億円(※) B=13.0億円(※) 余裕時間の短縮による効果 B=3.0億円(※) B=3.0億円(※) 便益試算値を考慮したB/C B/C=1.4(※) B/C=1.6(※) 活力 交通混雑の緩和 ・交通混雑の緩和による、定時性の確保や利便性の向上が期待される。 農産品の流通利便性向上 ・空知、上川振興局管内で生産された水稲の流通利便性向上が期待される。 日常活動圏中心都市への利便性 向上 ・日常活動圏中心都市である岩見沢市への利便性向上が期待される。 定性的な効果 事業の進捗状況・見込 み 暮らし 救急搬送の安定性向上 ・高次医療施設への救急搬送の安定性向上が期待される。 安全 走行環境の安全性向上 ・走行環境の改善により、交通の安全性向上が期待される。 環境 CO2 排出量の削減 ・自動車からの CO2 排出量473(t-CO2/年)の削減が期待される。 事業の進捗状況 ・平成23年度末見込みで、用地進捗率37%、事業進捗率13%。 (※)は、供用後50年間の便益額として試算した参考値。 27
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