鳥羽市生活排水対策推進計画 計 画 書 平成23年4月 鳥 羽 市 はじめに 鳥羽市は、東は太平洋、南は的矢湾、北は伊勢湾に囲まれた風光明媚で、漁業資源、 観光資源に恵まれたまちである。しかし、公共下水道の整備、合併処理浄化槽の普及等 の遅れから鳥羽湾、加茂川の水質が改善されず、将来に渡り漁業資源や観光資源への影 響が懸念される。 「生活排水対策推進計画」は、鳥羽市の水環境に大きな影響を与えていると考えられ る家庭から排出される生活排水や、事業者から排出される雑排水の処理を適正化するこ とにより、生活環境の保全を目指すものである。 なお、策定に当っては汚染の状況を把握するとともに、住民の水環境に対する考えを 尊重しながら、効果的な対策を講じていくものとする。 目 次 第1章 生活排水対策推進計画の改定...................................................................1 1. 関連法令の整備と改定の意義 ...................................................................1 2. 前推進計画の目標値の達成状況................................................................3 3. 計画基点と新たな目標値..........................................................................4 第2章 市の概況 ................................................................................................7 1. 本市の現況 .............................................................................................7 2. 公共水域と汚染の状況........................................................................... 22 3. 住民意識調査(アンケート)の実施と前推進計画のアンケート結果との比較. 33 第3章 生活排水対策推進の目標 ....................................................................... 35 1. 生活排水対策の基本理念........................................................................ 35 2. 推進計画の目標..................................................................................... 36 3. 生活排水対策の基本施策........................................................................ 37 第4章 汚濁負荷量の予測 ................................................................................. 39 1. 将来人口の推計..................................................................................... 40 2. 生活排水処理施設整備による負荷削減効果の把握と将来負荷量の推計 ...... 43 3. モデル地区の設定とその効果 ................................................................. 47 第5章 生活排水対策に関わる啓発活動.............................................................. 53 1. 啓発活動の推進に関する基本方針等の検討 ............................................. 53 2. 普及啓発活動 ........................................................................................ 54 3. 環境への理解を深める........................................................................... 60 4. 地域の水環境を守る行動をする.............................................................. 61 第6章 生活排水処理施設の整備 ....................................................................... 62 1. 生活排水処理施設の整備に関する基本方針 ............................................. 62 2. 生活排水処理施設の整備計画 ................................................................. 66 3. 生活排水処理施設別の建設費の比較 ....................................................... 72 4. 河川浄化施設の設置検討........................................................................ 74 第7章 計画の推進に関する事項 ....................................................................... 78 1. 計画の推進 ........................................................................................... 78 2. 関係部局間の連携 ................................................................................. 79 3. 関係市町村・関係行政機関との連携......................................................... 80 4. 関係する他の計画との調整 .................................................................... 80 水環境用語集 ................................................................................................ 81 資料編 1.数値の算出根拠等..........................................................................................1 2.生活排水に関するアンケート調査結果...........................................................38 第1章 生活排水対策推進計画の改定 1.関連法令の整備と改定の意義 2.前推進計画の目標値の達成状況 3.計画基点と新たな目標値 第1章 生活排水対策推進計画の改定 1.関連法令の整備と改定の意義 鳥羽市(以下「本市」という。)では、「下水道法」 、「廃棄物処理法」、「廃棄物処理 法施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正す る政令」等により公共下水道の整備、し尿処理施設の整備、合併処理浄化槽の普 及に努めてきた。また、平成 8 年 3 月には「水質汚濁防止法第 14 条の 9」の規 定に基づき「鳥羽市生活排水対策推進計画書」を策定し、生活排水対策を推進して きた。 しかし、計画策定から約 8 年が経過し、生活排水を取り巻く状況や法体系も変 わってきたことから見直しが必要となり、本計画を改定するものである。 現在の生活排水に係る法体系は次のとおりである。 環境基本法 水質汚濁防止法 生活排水対策推進計画策定 下水道法 公共下水道、特定環境保全公共下水道の整備 浄化槽法 漁業集落排水事業、合併処理浄化槽の整備 廃棄物処理法 海洋汚染及び海上災害の防止 に関する法律 図 1-1 生活排水に係る法体系(主要な法律) し尿処理施設等の整備 海洋投入の禁止 また、法令の改正のあゆみ(歴史)は次のとおりで、水質汚濁防止法の 5 次に渡 る大きな改正で、公共用水域への排水規制が強化された。 表 1-1 生活排水に係る法令の改正のあゆみ(歴史) 項目 イギリスで産業革命が起こる 足尾銅山鉱毒事件 水俣病の顕在化(水俣湾) イタイイタイ病(神通川流域)の顕在化 第 2 水俣病(阿賀野川流域)の顕在化 高度成長時代 公共用水域の水質の保全に関する法律、工場排水等 の規制に関する法律、下水道法制定 公害対策基本法制定 水質汚濁防止法制定、海洋汚染防止法制制定 環境庁発足 瀬戸内海環境保全臨時措置法制定 水質汚濁防止法の改正(水質総量規制が制度化) 瀬戸内海、東京湾、伊勢湾での水質総量規制の実施 三重県生活排水対策推進要綱の制定 湖沼水質保全特別措置法 第 2 次総量規制の実施 水質汚濁防止法の改正(地下水汚染の未然防止等を制度化) 水質汚濁防止法の改正(生活排水対策の制度化) 三重県環境保全基金の創設 第 3 次総量規制の実施 環境基本法制定 環境基本計画閣議決定 特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水 質の保全に関する特別措置法制定 三重県環境基本条例の制定 水質汚濁防止法の改正(地下水汚染浄化対策、事故 時の油による汚染対策を制度化) 第 4 次総量規制の実施 水質汚濁防止法施行令の改正(ほう素,ふっ素,硝酸 性窒素等が新たに規制物質に追加) 第 5 次伊勢湾水質総量規制 水質汚濁防止法施行令の改正(窒素及びりんの水質総量規制) 第 5 次水質総量規制実施(東京都、瀬戸内海を含め全 国で 3 地域及び湖沼) 年代 1770 年代後半 1870 年頃(明治初期) 1955 年頃 1955 年頃 1965 年頃 1950 年代後半 環境省関連浄化槽法施行規則の一部を改正する省令施行 2006 年 2 月 1958 年 1967 年 1970 年 1971 年 1972 年 1978 年 1979 年 1983 年 1984 年 1986 年 1989 年 1990 年 1990 年 1991 年 1993 年 1994 年 1994 年 1995 年 1996 年 1996 年 2001 年 6 月 2001 年 11 月 2001 年 12 月 2002 年 10 月 2.前推進計画の目標値の達成状況 平成 8 年に策定された計画書(前推進計画)では、加茂川と的矢湾を計画基点と して、平成 15 年度の環境目標値を設定した。本年度はちょうどその目標年次に 当たるため、その目標値の達成状況を表 1-2 に示す。ただし、現況の値は平成 14 年度までのデータが取りまとめられているため、平成 14 年度のものとする。 的矢湾に面する相差・畔蛸地域は特定環境保全公共下水道が平成 9 年度に整備 されたことから、公共用水域に排出される排水の汚濁は前推進計画時よりも減少 したものと考えられる。 しかし、他地域からの汚濁の流れ込みがあるため、的矢湾そのものの汚濁負荷 量は減少していない。 以下は前推進計画の目標値(平成 15 年度の予測値)と、現況(平成 14 年度)の比較 である。前推進計画と汚濁物質濃度や汚濁負荷原単位の条件を同一にしたため、 BOD 発生量を見ると市全域及び加茂川の汚濁負荷量も前推進計画よりも減少し たように見える。しかしこれは、単に人口や生産高の減少に伴って計算上汚濁負 荷量も減少したためであり、水質分析結果を見ると加茂川の汚濁は改善されてい ない。(P.23 図 2-15 以下を参照) 表 1-2 前推進計画の目標値と達成状況 計画基点 市全域 加茂川 的矢湾 (本市流入分) 対象物質 BOD COD T-N T-P BOD COD T-N T-P BOD COD T-N T-P 平成 14 年度 (現況) 765.607kg/日 1,388.940kg/日 740.779kg/日 101.535kg/日 121.873kg/日 439.954kg/日 240.122kg/日 33.316kg/日 13.392kg/日 26.891kg/日 11.052kg/日 1.322kg/日 前推進計画目標値 (平成 15 年度) 806.146kg/日 1,405.706kg/日 721.063kg/日 99.775kg/日 131.642kg/日 405.269kg/日 195.980kg/日 27.798kg/日 16.737kg/日 30.706kg/日 12.114kg/日 1.500kg/日 注:全域及び加茂川では畜産系の牛が、前推進計画の平成 15 年度予測値より増加しているため、 平成 14 年度現在の COD、T-N、T-P の濃度が高くなっている。 本表の数値は流達負荷量を示す。 3.計画基点と新たな目標値 的矢湾は公共下水道の整備により水質が改善されると考えられるため、本計画 では計画基点からはずすこととする。しかし、最近特に汚濁が進んでいると考え られる「妙慶川(普通河川)」を新たに計画基点に加え、加茂川上流とともに環境目 標値を設定する。また、本計画の中間目標年次を 8 年後の平成 22 年、また計画 目標年次を 15 年後の平成 29 年とする。 特に妙慶川への流入区域は、生活排水対策のモデル地区として、その対策の達 成度合いにより河川の汚濁がどう改善するかをシミュレーションする。 本計画では計画基点を妙慶川及び加茂川(杉ケ瀬橋)とする。中間目標年次(平成 22 年度)及び目標年次(平成 29 年度)の必要削減量(BOD)を以下の表の値とし、環 境保全に努めることとする。(必要削減量及び環境目標値の算出方法は資料編参 照) 表 1-3 必要削減量 (BOD) 項 (単位:㎏/日) 市 全 域 目 対策なし 対策後 必要削減量 実績値(H14) 中間目標年度(H22) 目標年度(H29) 1,730.1 1,593.5 1,475.5 1,360.9 994.6 232.6 480.9 加 茂 川 対策なし 対策後 必要削減量 425.8 413.9 390.6 23.3 404.7 362.6 42.1 妙 慶 川 対策なし 対策後 必要削減量 106.9 73.1 67.1 6.0 47.7 39.2 8.5 また、上記の削減を行ったときの環境目標値は次のとおりである。 表 1-4 環境目標値 (BOD) 計画基点 (単位:mg/L) 平成 14 年度 (現況) 平成 22 年度 (実績) 加茂川 1.4mg/L 1.4mg/L 妙慶川 24.4mg/L 4.7mg/L 注:括弧内の数値は何も対策を施さなかった場合の数値 平成 29 年度 (目標年次) 1.1mg/L (1.3mg/L) 4.0mg/L 2 級河川 その他の河川 図 1-2 主要な河川と海域と計画基点 第2章 市の概況 1.本市の現況 2.公共水域と汚染の状況 3.住民意識調査(アンケート)の実施とアンケート結果の計画策定事との比較 第2章 市の概況 1.本市の現況 1) 本市の位置・沿革 鳥羽市は、三重県の東端部、伊勢湾口に位置し志摩半島の先端部を占める観光都市 である。 南西は志摩市、西は伊勢市に各々接しており、市域は東西 19.25 ㎞、南北 19.50 ㎞ の内陸部と大小さまざまな島で構成され、市の総面積は 107.99 ㎞ 2 である。 昭和 29 年 11 月、旧鳥羽町と加茂・長岡・鏡浦・桃取・答志・菅島・神島の七ヶ村 が合併して市制を施行し、鳥羽市となった。 三重県 明和町 多気町 玉城町 伊勢市 鳥羽市 度会町 志摩市 南伊勢町 図 2-1 本市の位置(境界線の太線表記は鳥羽志勢広域連合の構成町) 2) 自然環境 市域の 70%を山林が占めているが、沿岸部は変化に富んだリアス式海岸が形成さ れるなど、美しく豊かな自然環境に恵まれている。このようにきれいな海や緑豊かな 山林をはじめとする自然環境は、観光都市である本市にとって貴重な観光資源である と同時に、市民生活にとっても潤いと安らぎを与える源となっている。 こうしたすぐれた自然環境を保存していくため、「自然公園法」や「鳥羽市民の環 境と自然を守る条例」などに基づきその保全に努めている。 市民アンケート調査(第 4 次総合計画参照)でも、約 6 割の人がまちづくりの重点課題 として「環境保護」を掲げているほか、将来の都市像として約 5 割の人が「自然があ ふれる環境の良いまち」を望んでいるなど、環境に対する市民の意識は非常に高いと いう結果が得られた。今後は、環境保全に対する市民の意識を尊重しながら、人づく りの観点も視野に入れた自然とのふれあいの場や機会を創出していくことも重要で ある。 また、国際観光文化都市として今後とも積極的な交流活動が期待されていることか ら、観光客や周辺地域にも協力を呼びかけながら、自然環境の保全・活用に取り組ん でいく必要がある。 3) 河川・海域 市内を流れる主な河川としては、二級河川の加茂川、堀通川、紙漉川、大吉川など がある。加茂川は、烏羽市松尾町の標高約 200m の浅間山に源を発し、途中鈴串川、 白木川、鳥羽河内川、落口川の支川を合流し伊勢湾に至る。 志摩半島の北端に位置していることから、東、南、北の概ね三方は海域となってお り、東は太平洋、南は的矢湾、北は伊勢湾に接している。 4) 本市の人口の推移 本市の人口は昭和 25 年から昭和 40 年頃がピークで 3 万人を超えていたが、その後 徐々に減少し平成 17 年度末現在では、23,067 人である。また、世帯数は増加傾向で あり、その結果世帯当たり人員は減少し平成 12 年度には 3 人を下回った。 年次別世帯・人口・1 世帯当り人員の推移 年 次 各年 10 月 1 日現在 人 世 帯 数 総 数 口 男 1世帯当り 人員数 女 大正 14 年 4,598 23,891 12,319 11,572 5.20 昭和 5年 4,417 23,632 11,951 11,681 5.35 10 年 4,565 24,205 12,067 12,138 5.30 15 年 4,553 24,488 12,296 12,192 5.38 22 年 5,823 28,931 13,739 15,192 4.97 25 年 5,651 30,222 14,708 15,514 5.35 30 年 5,761 30,121 14,609 15,512 5.23 35 年 6,007 30,521 14,688 15,833 5.08 40 年 6,297 30,098 14,365 15,733 4.78 45 年 6,603 29,462 14,156 15,306 4.46 50 年 7,011 29,346 14,149 15,197 4.19 55 年 7,683 28,812 13,915 14,897 3.75 60 年 7,865 28,363 13,636 14,727 3.61 2年 7,961 27,320 13,038 14,282 3.43 7年 8,566 26,806 12,753 14,053 3.13 12 年 8,413 24,945 11,783 13,162 2.97 17 年 8,167 23,067 10,855 12,212 2.82 平成 資料:数字でみる鳥羽 人口及び世帯数の推移 5) 産業 (1) 産業の概要 第一次産業や第二次産業の比率が徐々に減少し、結果的に第三次産業の比率が高くなっ ている。第一次産業や第二次産業の人口が減少するのは全国的な傾向であり、本市でも今 後続くと思われる。一般的に第三次産業が増加傾向を示すが、本市では一時期増加したが 概ね横這い状態である。 産業別就業者数(15 才以上) 区 平成 12 年 分 総 数 総数 男 12,855 17 年 女 総数 男 女 7,075 5,780 11,974 6,480 5,494 第一次産業 農 業 145 80 65 190 110 80 林 業 25 25 - 1 1 - 漁 業 1,780 1,115 665 1,599 987 612 1,950 1,220 730 1,790 1,098 692 業 40 30 10 32 28 4 計 第二次産業 鉱 建 設 業 850 715 135 737 637 100 製 造 業 1,665 1,080 585 1,354 905 449 2,555 1,825 730 2,123 1,570 553 電気・ガス・熱供給・水道業 25 25 - 27 23 4 情報通信業 35 15 20 37 23 14 運輸業 575 490 85 446 390 56 卸売・小売業 2,035 860 1,175 1,954 807 1,147 金融・保険業 170 45 125 136 46 90 不動産業 40 30 10 68 47 21 2,570 1,030 1,540 2,265 956 1,309 医療・福祉 465 90 375 666 131 535 教育・学習支援業 460 260 200 397 189 208 複合サービス事業 255 170 85 236 141 95 1,220 625 595 1,249 629 620 445 365 80 387 317 70 8,295 4,005 4,290 7,868 3,699 4,169 55 25 30 193 113 80 計 第三次産業 飲食店・宿泊業 サービス業(他に分類されないも の) 公務(他に分類されないもの) 計 分類不能の産業 資料:数字でみる鳥羽 産業の大分類の従業者割合 (2) 商業 近年、所得水準の向上や自由時間の増大とあいまって、消費者ニーズは高度化・多様化し ている。また、郊外地域で大規模なディスカウントストアや複合ショッピングセンターなどの新た な業態の進出・拡大がみられるなど、商業を取り巻く情勢は大きく変化している。 商業は、まちの発展に大きく貢献してきたが、長引く不況の影響による観光客の減少や、郊 外地域への大型店の進出の影響を受け、商店数、従業者数、年間販売額とも減少している。 市街地である鳥羽駅周辺には、飲食店や土産物店が多く集中しているが、日常生活に必 要な生活用品などが購入できる店舗は少ない。 商店数・従業者数・年間商品販売額 年 次 商店数(件) 従業者数(人) 年間商品販売額(百万円) 昭和 60 年 587 2,048 37,144 63 年 602 2,222 40,556 3年 675 2,514 52,420 6年 635 2,630 53,796 9年 592 2,511 50,248 11 年 566 2,284 40,788 14 年 480 1,868 30,822 16 年 445 1,875 32,597 19 年 440 2,009 30,589 資料:数字でみる鳥羽 年間販売額、商店数、従業員数の推移 (3) 観光業 昭和 21 年に伊勢志摩国立公園の指定を受けて以来、有数の観光地として順調に発展を遂 げてきた。 昭和 52 年には、国際観光文化都市に指定され、内外から高い評価を得るとともに、昭和 63 年には総合保養地域整備法による国際リゾート「三重サンベルトゾーン」構想の重点整備地区 として承認を受け、伊勢志摩地域の拠点として発展し、平成 11 年には 515 万人の観光客を受 け入れている。宿泊施設の状況は、平成 12 年 1 月で約 2 万 1 千人の収容規模を有し、伊勢 志摩地域の中心的存在となっている。 しかしながら、近年景気の低迷や周辺地域などでの新たな観光開発により、また自由時間 の増加やレジャー・余暇生活の重視など、人々の生活の価値観・行動様式なども多様化して きていることなどから、本市の観光客数は減少傾向にある。 観光客数及び宿泊者数の推移 年 次 各年 12 月 31 日現在 観光客数(人) 宿泊客数(人) 推定消費額(千円) 平成 14 年 4,851,382 1,907,860 62,861,068 15 年 5,080,877 2,094,633 68,436,589 16 年 4,948,783 2,064,212 68,092,367 17 年 4,881,587 1,985,337 67,797,465 18 年 5,034,203 2,108,147 79,865,319 19 年 5,134,960 2,128,192 76,526,593 20 年 4,672,479 2,164,334 - 21 年 4,296,618 1,941,362 - ※平成 20 年全国観光統計基準に完全移行のため宿泊数の算定基礎を入湯税に変更。 資料:数字でみる鳥羽 推定消費額、観光客数、宿泊客数の推移 (4) 工業 これからの工業は、新しい時代のライフスタイルや価値観にもこたえうる新規成長産業分野 の育成・誘導など、一層高度なモノづくりを推進していくことが求められている。 このような状況に対応するため、技術力、情報力、独創性、弾力性など企業特性の発揮や 高付加価値化が必要になっている。また、地球規模で環境・エネルギー問題が深刻化するな かで、環境に配慮した生産活動も重要視されている。 本市の工業は、中小企業による電気機械器具や一般機械器具製造などが主体となってい るが、平成 19 年の製造品出荷額等は、平成 4 年のピーク時に比べると半減しており、事業所 数、従業者数とも減少している。 事業所数・従業者数・製造品出荷額等 事業 所数(件) 年 次 対前年 増減率 (%) 各年 12 月 31 日現在 従業者数 (人) 対前年 増減率 (%) 製造品 出荷額等 (万円) 対前年 増減率 (%) 平成 3 年 93 △ 13.1 1,360 △ 7.3 2,321,090 12.0 4年 90 △ 3.2 1,342 △ 1.3 2,544,887 9.6 5年 96 6.7 1,307 △ 2.6 2,288,227 △ 10.1 6年 86 △ 10.4 1,247 △ 4.6 2,088,024 △ 8.7 7年 90 4.7 1,228 △ 1.5 1,988,298 △ 4.8 8年 80 △ 11.1 1,151 △ 6.2 1,971,577 △ 0.8 9年 82 2.5 1,137 △ 1.2 1,871,288 △ 5.1 10 年 82 0.0 1,035 △ 9.0 1,698,484 △ 9.2 11 年 72 △ 12.2 880 △ 15.0 1,410,284 △ 17.0 12 年 72 0.0 889 1.0 1,213,914 △ 13.9 13 年 62 △ 13.9 684 △ 23.1 860,086 △ 62.9 14 年 62 0.0 699 2.2 1,096,284 27.5 15 年 69 11.3 741 6.0 998,498 △ 8.2 16 年 60 △ 13.0 693 △ 6.5 1,003,440 4.9 17 年 64 6.7 750 8.2 1,117,081 11.3 18 年 60 △ 6.3 730 △ 2.7 1,076,737 △ 3.6 19 年 60 0.0 756 3.6 1,091,665 1.4 ※ 従業者 3 人以下の事業所は除く。 資料:数字でみる鳥羽 製造品出荷額等、事業者数、従業者数の推移 (5) 水産業 漁業経営のほとんどが個人経営で、伊勢湾や湾口部を漁場として海女、一本釣、刺網漁業、 養殖漁業が生産の基盤になっている。湾口部には、大小の天然礁と人工礁があり、回遊魚の 好漁場を形成しているが、県内外の漁業者や遊漁者との間で漁場の競合によるトラブルをは じめ、夜間には密漁船による底びき網の被害も発生している。 また、春から夏にかけ伊勢湾全域に発生する低酸素状態や赤潮も問題になっている。 漁獲量をみると、マダイ、ナマコなどは種苗放流などにより一定の水準で推移しているが、アワ ビについては、種苗放流とともに資源管理を行っているにもかかわらず、減少に歯止めがかか らない状況になっている。近年では天然岩ガキが注目されるようになり、養殖が開始された。 一方、漁業経営の面では、消費の低迷で安値が続いていることから厳しい状況にあるうえ、 後継者不足や漁業従事者の高齢化などの深刻な課題を抱えている。 このような状況のもとで、獲る漁業からつくり育てる漁業へと経営の転換を図り、人工種苗、 中間育成施設を充実し生息水域へ有効に放流するなど、漁業者を中心とした資源管理を推 進している。 漁港については、漁業基地及び避難港としての機能のほか、地域の社会的、経済的基盤 を支える施設として整備している。また、離島地区の漁港は、島の玄関口としての重要な役割 も果たしていることから、今後とも整備に努めるとともに、漁村の環境整備を図っていく必要が ある。 専業兼業別漁業家数・世帯員数 各年 11 月 1 日現在 専業兼業別個人経営体数(戸) 年 次 昭和 平成 総 数 世帯員数(人) 兼 業 専 業 漁業が主 漁業が従 総 数 男 女 58 年 1,550 312 642 596 7,702 3,830 3,872 63 年 1,464 329 592 543 7,129 3,559 3,570 5年 1,412 421 425 566 6,555 3,302 3,253 10 年 1,294 419 359 516 5,813 2,904 2,909 15 年 1,192 407 351 434 5,113 2,550 2,563 経営体数、世帯数の推移 資料:数字で見る鳥羽 (6) 農業 農業経営は稲作が主体で、小規模な自給的農業として営まれてきたが、農産物の輸入自 由化が進むなかで、農家数の減少、農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加 など、さまざまな課題を抱えている。 畜産については、採卵鶏・肉用牛の生産が主であり、経営の資質向上を図るため、飼育技 術の改善や消費拡大に努める必要がある。 専業・兼業別農家数 年 次 平成 単位:戸 総農家数 専業農家 第 1 種兼業農家 第 2 種兼業農家 2年 984 33 25 926 7年 856 33 21 802 12 年 422 24 11 387 17 年 318 16 2 300 総農家数の推移 資料:数字でみる鳥羽 6) 土地利用 本市は三重県の東端部に位置しており、4 つの有人離島をはじめリアス式海岸など の豊かな自然景観を有している。市域面積は 107.99km2 で、70%以上が森林で占めら れ、その多くは急峻な山地になっている。平地は海岸線沿いに分布しているが、その ほとんどが市街地及び集落地として利用されている。また、山間部や加茂川流域の平 地には農地が分布している。 市街地は、幹線道路などの都市基盤施設や商業施設、工業施設、住宅用地などに利 用されている。古くからある市街地は住宅が密集しており、道路が狭く駐車場も不足 しているため、住工混在型の土地利用の課題を抱えている。このような状況のなかで、 ゆとりと秩序のある土地利用を図るために、用途の目的に応じた地域への誘導や計画 的な道路の整備などが求められている。 農地は、温暖な気候や立地条件を活かした水稲の生産が中心になっている。近年、 農業を取り巻く環境は、農作物の輸入自由化や後継者不足など厳しいものがあるが、 食料供給の重要な役割を担っている農業の振興を図るため、優良農地の確保と保全に 努める必要がある。 地目別土地面積 地 ― 1 月 1 日現在 ― 単位:㎡ 総 地 積 目 平成 20 年 21 年 22 年 宅地 田 5,233,880 5,248,989 5,272,483 畑 3,414,813 3,444,755 3,425,418 住宅用地 1,868,889 1,899,975 1,882,012 商業地等 1,739,436 1,743,497 1,761,104 公用地等 644,885 651,852 589,944 沼 38,514 38,514 38,514 一般山林 59,019,086 59,100,677 59,256,113 池 雑種地 牧 場 0 0 0 原 野 477,276 476,189 468,154 ゴルフ場の用地 549,223 549,223 549,223 鉄 軌 道 用 地 286,113 286,113 286,113 その他の雑種地 3,005,273 3,005,273 2,953,813 11,709,337 11,742,405 12,060,184 そ の 他 合 計 87,957,472 88,187,462 88,543,075 資料:数字でみる鳥羽 地目の指定状況 行政区域の内訳 都市計画区域 (用途地域) 280.2ha 3% 都市計画区域 (無指定地域) 1861.8ha 17% 都市計画 区域外 8928ha 80% 都市計画区域(用途地域)の内訳 工業地域 24.9ha 8.9% 準工業地域 11.3ha 4.0% 第一種低層住 居専用地域 34.8ha 12.4% 第一種中高層 住居専用地域 28.5ha 10.2% 商業地域 32.2ha 11.5% 近隣商業地域 12.8ha 4.6% 準住居地域 15.9ha 5.7% 第二種低層住 居専用地域 13.8ha 4.9% 第二種住居地 域 50.6ha 18.1% 第二種中高層 住居専用地域 19.9ha 7.1% 第一種住居地 域 35.5ha 12.7% 注:個々の項目ごとに百分率を算出しているた め合計が 100%とならない。 図 2-10 都市計画区域の指定状況 出典:建設課資料(平成 11 年度) 次ページ以降、「用途地域指定状況図」及び「都市計画区域と農業振興区域」 を示す。 図 2-11 用途地域指定状況図(平成 11 年 11 月 16 日現在) 図 2-12 都市計画区域と農業振興区域(別紙) 7) 気象状況 本市は外帯地域※東側の海岸地帯に属しており、黒潮の影響で温暖な気候である。 また、過去 5 年間の年間降水量の平均値が約 2250mm と日本の平均的な降水量の 1700 ~1800mm を大きく上回っている。降水量の一年間の変化を見ると、7、8 月が比較的 少なく、9 月に最大値となっている。 (※:三重県は、中央を流れる櫛田川に沿った中央構造線によって、大きく北側の内帯地域と南側 の外帯地域に分けられる。) 気象概況 調査地点:鳥羽地域気象観測所 気温(℃) 年月 平成 平均 降水量(mm) 最高 (平均) 最低 (平均) 合計 日最大 風速(m/s) 平均 最大 風向 14 年 15.5 19.5 11.9 2,149 135 2.1 11 北北西 15 年 15.4 19.2 11.9 2,826 189 2.2 11 北 16 年 16.5 20.6 12.6 2,810 140 2.2 14 南南東 17 年 15.4 19.5 11.5 1,276 103 2.1 12 北北西 18 年 15.3 19.2 11.7 2,444 158 2.0 12 北 19 年 15.9 20.0 12.2 1,924 170 2.1 12 北北西 20 年 15.6 19.7 11.8 2,795 206.5 2.2 11 北北西 資料:数字でみる鳥羽 2.公共水域と汚染の状況 1)水質の調査地点と汚濁の状況 水質の調査地点は P.5 図 1-2 に示す 4 地点(加茂川(杉ヶ瀬橋)、鳥羽湾 ST-1、鳥羽 湾 ST-2、的矢湾 ST-2)である。 これらの地点では、三重県が毎年 BOD 等の調査を行っている。BOD 及び COD の 75%値※の推移を見ると、加茂川は水質基準を下回っているとはいえ水質の汚濁が進 行していると考えられる。また海域では水質基準を超えたり下回ったりを繰り返して いるが、ここ 15 年の傾向を見ると汚濁が進んでいることがわかる。 的矢湾では平成 9 年度に相差・畔蛸地域で特定環境保全公共下水道が整備されたが、 沿岸の町村からの生活排水の流入もあり、湾内の水質はあまり改善されているとはい えない。今後とも的矢湾に関わる近隣自治体で構成する協議会において、湾内の汚濁 について引き続き協議する必要がある。 的矢湾を除く 3 点はいずれも加茂川による影響が考えられる地点であり、公共下水 道や漁業集落排水施設の整備や、合併処理浄化槽の普及が進まないことが汚濁の進行 の大きな原因と考えられる。 一方、本計画のモデル地区である妙慶川は、水質の定点観測地点になっていないた め、水質汚濁に関するデータはない。また、流量が少ない川でありながら、多くの生 活雑排水が直接流れ込んでおり、夏場には悪臭が発生し、地元住民や観光客の苦情の 原因となっていることから、今後は水質を監視していく必要がある。 ※:75%値とは、例えば 100 個の測定値を数値の低い方から高い方に順に並べたとき、低い方から数え て第 75 番目の測定値である。河川における有機物による水質汚濁の指標である生物化学的酸素要求 量(BOD)、又は海域における有機物による水質汚濁の指標である化学的酸素要求量(COD)の年 間測定結果が、環境基準に適合しているどうかを評価する際に用いられる年間統計値である。 調査地点での汚濁の推移は次のとおりである。 表 2-1 水質環境基準の類型 水域名 加茂川 かんり橋 (杉ケ瀬橋) 類型 A pH BOD SS DO 大腸菌群数 6.5 以上 2mg 25mg 7.5mg 8.5 以下 /L 以下 /L 以下 /L 以上 1,000MPN/ 100ml 以下 出典:三重県環境白書(本白書では杉ケ瀬橋をかんり橋と呼称している。) 水域名 類型 鳥羽湾 ST-1 AⅡ 鳥羽湾 ST-2 AⅡ 的矢湾 ST-1 AⅡ 大腸菌 群数 pH COD DO 7.8 以上 2mg/L 7.5mg/L 8.3 以下 以下 以上 7.8 以上 2mg/L 7.5mg/L 8.3 以下 以下 以上 7.8 以上 2mg/L 7.5mg/L 8.3 以下 以下 以上 1,000MP N/100ml 以下 1,000MP N/100ml 以下 1,000MP N/100ml 以下 n-ヘキ サン抽 出物質 全窒素 全 燐 検出され 0.3mg 0.03mg/ ないこと /L 以下 L 以下 検出され 0.3mg 0.03mg/ ないこと /L 以下 L 以下 検出され 0.3mg 0.03mg/ ないこと /L 以下 L 以下 出典:三重県環境白書 加茂川(かんり橋) 環境基準A BOD(75%値) BOD(平均値) BOD環境基準 2.5 2 1.5 1 0.5 0 S47 S52 S57 S62 H4 図 2-15 加茂川(BOD75% H9 H14 H19 A 類型)の推移 出典:三重県環境白書 鳥羽湾St-1 COD環境基準A COD(75%値) COD(平均値) COD環境基準 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 S47 S52 S57 図 2-16 S62 鳥羽湾(ST-1 H4 COD75% H9 H14 H19 AⅡ類型)の推移 出典:三重県環境白書 鳥羽湾St-2 COD環境基準A COD(75%値) COD(平均値) COD環境基準 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 S47 S52 図 2-17 S57 S62 H4 鳥羽湾(ST-2 COD75% H9 H14 H19 AⅡ類型)の推移 出典:三重県環境白書 的矢湾St-1 COD環境基準A COD(75%値) COD(平均値) COD環境基準 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 S47 S52 S57 S62 H4 H9 H14 H19 図 2-18 的矢湾(ST-1 COD75% AⅡ類型)の推移 出典:三重県環境白書 2)生活排水処理施設等の整備状況 本市における生活排水(生活雑排水、し尿)を処理する施設は、相差・畔蛸地域の特 定環境保全公共下水道と、個々の家庭に設置する浄化槽である。 一般家庭における生活排水処理方法は、以下の図のようにほとんどが単独処理浄化 槽やくみ取りとなっており、し尿以外の生活雑排水の多くは未処理で河川や海域に流 入している。 くみ取り人 口, 6189人, 25% 特定環境保 全公共下水 道人口, 1747人, 7% 合併処理浄 化槽人口, 3559人, 14% 単独処理浄 化槽人口, 13345人, 54% 図 2-19 一般家庭における生活排水処理方法(平成 14 年度) 出典:鳥羽市環境課資料 (1) 公共下水道の整備状況 特定環境保全公共下水道・相差浄化センターが平成 9 年度から供用開始し、相差・畔蛸 地区の各家庭への接続が始まった。接続人口及び接続率の推移は次のとおりである。 特定環境保全公共下水道 区 分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 下水処理区域状況 区域内の面積(ha) 累計区域内の面積(ha) 0 0 0 0 0 53.4 53.4 53.4 53.4 53.4 排水設備接続済人口 累計排水設備接続済人口 34 30 25 18 13 1,771 1,762 1,717 1,698 1,696 10 9 8 5 4 487 496 504 509 513 314,128 334,887 336,227 345,093 330,015 92.0 92.4 93.1 93.3 93.7 排水設備接続済戸数 累計排水設備接続戸数 放流水量(m) 下水道による水洗化率(%) 資料:数字でみる鳥羽 下水道接続人口及び水洗化率の推移 また、相差浄化センターの概要は次のとおりである。 表 2-2 下水処理施設の概要 施設の名称 所在地 処理区名 処理対象 整備面積 処理対象人口 処理水質 計画水質 用地面積 建築面積 延床面積 建物構造 鳥羽市相差浄化センター 三重県鳥羽市相差町千鳥ヶ浜 相差・畔蛸処理区 生活排水 53.4ha 7,100 人(観光人口含む) 2,900m3/日 BOD 250mg/L 流入 SS 200mg/L BOD 10mg/L COD 20mg/L 放流 T-N 30mg/L T-P 3mg/L SS 10mg/L 3,750m2 1,206m2 2,242m2 合棟式鉄筋コンクリート造 出典:鳥羽市相差浄化センターパンフレット 鳥羽市相差 浄化センター 特定環境保全 公共下水道区 図 2-21 処理施設の所在地及び下水道地区 (2) 浄化槽の整備状況 平成 7 年 8 月厚生省水道環境部長の私的研究会である「単独処理浄化槽に関する検討 会」は、「おおむね 3 年後には単独処理浄化槽の新設を廃止し、さらに 21 世紀初頭には既設 の単独処理浄化槽もすべて合併処理浄化槽等に転換すること」との報告書を提出した。そし て、平成 12 年 6 月には浄化槽法が改正され、平成 13 年 4 月から単独処理浄化槽の生産及 び新設が禁止された。 しかし、公共用水域の汚染の原因と考えられる単独処理浄化槽が多く残っており、それらの 合併処理浄化槽への転換が大きな課題となっている。 合併処理浄化槽人口、単独処理浄化槽人口及びくみ取り人口の推移は次のとおりである。 合併処理浄化槽人口 単独処理浄化槽人口 くみ取り人口 合併処理浄化槽設置率 行政区域内人口 単位:人 16.0 単位:% 30,000 26,053 25,395 25,605 14.3 25,000 25,139 24,840 10.0 8.7 7.9 14,006 14,084 13,448 8.0 13,345 14,248 6.0 9,044 10,000 7,694 5,000 2,065 2,239 6,794 2,856 6,707 3,247 6,189 3,559 0 単位:人 12.0 11.2 20,000 15,000 14.0 12.9 4.0 2.0 0.0 平成10年 11年 出典:鳥羽市環境課資料 図 2-22 合併処理浄化槽人口等の推移 12年 13年 14年 単位:% (3) 処理形態別人口の推移 下水道人口、合併処理浄化槽人口や他の処理方式の形態別人口の推移は次のとおりであ る。 生活排水の排出状況(実績) 区 分 計画処理区域面積(k ㎡) 人 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 107.93 107.93 107.98 107.99 107.99 8,378 8,352 8,382 8,445 8,427 23,761 23,343 22,954 22,646 22,249 23,761 23,343 22,954 22,646 22,249 6,215 5,638 5,080 4,518 3,892 計画収集人口 6,215 5,638 5,080 4,518 3,892 自家処理人口 0 0 0 0 0 17,546 17,705 17,874 18,128 18,357 公共下水道人口 1,771 1,762 1,717 1,698 1,696 し尿浄化槽人口 15,775 15,943 16,157 16,430 16,661 計画処理区域内世帯数 総 平成 17 年度 口(各年度末現在) 計画処理区域内人口 非水洗化人口 内訳 内 訳 水洗化人口 内訳 資料:数字でみる鳥羽 3)し尿処理の状況 本市で発生するし尿及び浄化槽汚泥は、収集車で収集後、船舶で海洋へ投入してい る。 しかし、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の 防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」により平成 19 年 2 月より海洋投入 が禁止されたため、一市七町で構成している鳥羽志勢広域連合によりし尿処理施設が 整備された。 し尿・浄化槽汚泥の年間収集量の推移は次のとおりである。 し尿処理量 年 平成 単位:キロリットル 度 し 尿 し尿浄化槽汚泥 計 自家処理量 14 年度 4,113 5,294 9,407 0 15 年度 3,945 5,296 9,241 0 16 年度 3,611 4,975 8,586 0 17 年度 3,486 5,119 8,605 0 18 年度 3,518 5,317 8,835 0 19 年度 3,554 5,598 9,152 0 20 年度 3,508 5,779 9,287 0 21 年度 3,359 6,095 9,454 0 資料:数字でみる鳥羽 し尿・浄化槽汚泥の年間収集量の推移 4)発生源別汚濁負荷量の状況 行政区域内全域、加茂川上流、妙慶川への流入区域の汚濁負荷量の発生源別、汚染 物質別は次のとおりである。(汚濁負荷量の算出方法は資料編参照) 特に生活系から発生する汚濁が大きな割合を示しており、その中の単独処理浄化槽 人口による汚濁負荷が大きい。 表 2-4 行政区域内全域の発生源別汚濁負荷量(平成 14 年度) 発生源 生活系 観光系 産業系 畜産系 自然系 合 計 BOD 1,354.0 76.9 3.2 293.8 2.2 1,730.1 COD 608.9 118.1 2.9 243.3 2.8 976.0 単位:kg/日 T-N T-P 297.4 46.3 82.3 9.8 2.6 0.7 173.5 25.7 0.9 0.0 556.7 82.5 表 2-5 行政区域内全域の一般家庭における汚濁負荷量(平成 14 年度) 単位:kg/日 発生源 BOD COD T-N T-P 特定環境保全 12.2 12.6 14.0 2.3 公共下水道 合併処理浄化槽 24.9 25.6 28.5 4.6 単独処理浄化槽 920.8 411.0 212.2 30.7 くみ取り 396.1 159.7 42.7 8.7 合 計 1,354.0 608.9 297.4 46.3 表 2-6 加茂川上流地域の発生源別汚濁負荷量(平成 14 年度) 単位:kg/日 発生源 BOD COD T-N T-P 生活系 131.2 60.2 30.3 4.8 観光系 0.0 0.0 0.0 0.0 産業系 0.0 0.0 0.0 0.0 畜産系 293.8 243.3 173.5 25.7 自然系 0.8 1.1 0.3 0.0 合 計 425.8 304.6 204.1 30.5 表 2-7 加茂川上流地域の一般家庭における汚濁負荷量(平成 14 年度) 単位:kg/日 発生源 BOD COD T-N T-P 特定環境保全 0.0 0.0 0.0 0.0 公共下水道 合併処理浄化槽 6.7 6.8 7.6 1.2 単独処理浄化槽 75.3 33.6 17.4 2.5 くみ取り 49.2 19.8 5.3 1.1 合 計 131.2 60.2 30.3 4.8 表 2-8 妙慶川への流入区域の発生源別汚濁負荷量(平成 14 年度) 単位:kg/日 発生源 BOD COD T-N T-P 生活系 101.2 44.6 19.9 3.2 観光系 5.5 8.4 5.8 0.7 産業系 0.2 0.2 0.2 0.1 畜産系 0.0 0.0 0.0 0.0 自然系 0.0 0.0 0.0 0.0 合 計 106.9 53.2 25.9 4.0 表 2-9 妙慶川への流入区域の一般家庭における汚濁負荷量(平成 14 年度) 単位:kg/日 発生源 BOD COD T-N T-P 特定環境保全 0.0 0.0 0.0 0.0 公共下水道 合併処理浄化槽 2.0 2.1 2.3 0.4 単独処理浄化槽 56.6 25.3 13.0 1.9 くみ取り 42.6 17.2 4.6 0.9 合 計 101.2 44.6 19.9 3.2 5)啓発活動と住民活動の状況 市及び住民が公共用水域の保全に関する活動が行なわれている。 ① 市の活動として ・「石けんづくり」をテーマとした研修会、講習会を婦人会、鳥羽市生活学 校等の市民団体で行っており、市は資材の提供や職員の派遣をし、住民の 意識の高揚を図っている。 ・広報誌やパンフレットを配布し、廃油やごみを台所の排水口に流さないよ うに、また洗剤を適正に使用するように指導している。 ② 住民の活動として ・「鳥羽清港会」では、毎年潜水による海底や海岸の清掃を行っており、漁 協の協力を得ながら各漁港や海浜の清掃作業を行っている。 ・きれいな伊勢志摩づくり連絡会議では、海洋の漂着物を調査し、クリーン アップキャンペーンを行っている。 ・各町内会及び諸団体において、市内の河川や浜辺のごみ拾い、各町内の草 刈り、排水溝の掃除を行っている。 ・中学生がボランティアにより、市民運動会やひだまりフェア(福祉施設)等 のイベント時にごみの分別等の指導をしている。 3.住民意識調査(アンケート)の実施と前推進計画のアンケート結果との比較 平成 15 年 12 月のおよそ1ヶ月の期間で市内在住者 406 名に対して行ったアン ケート調査結果は以下のとおりである。(詳しい調査結果は巻末の参考資料参照) 1) アンケート調査の解説 ・鳥羽 1 丁目から神島町までまんべんなく回収できた。(問 1) ・男性が 56%と女性をやや上回っている。(問 2) ・年齢は 40~50 歳代で全体の 60%程度を占めた。(問 3) ・市内在住年数は 21 年以上が全体の 86%を占めた。(問 4) ・水環境に関する意識では、およそ 70%の人が汚れてきていると感じている。(問 5) ・その汚れの原因は、一般家庭、宿泊施設、飲食店の順であると考えている。(問 6) ・9 割以上の人が家庭排水が環境に影響していると考えている。(問 7) ・家庭での排水処理では半数近くが単独処理浄化槽である。(問 8) ・保守点検は専門の業者に依頼している人が 74%である。(問 9) ・好きな場所は、加茂川が 18 名、河内川が 16 名、石鏡が 9 名である。(問 10) ・嫌いな場所は、妙慶川が 74 名、加茂川が 22 名である。(問 11) 加茂川が好きな場所、嫌いな場所で数が多いのは上流と下流に別れているも のと考えられる。妙慶川の 74 名は全体の 18%と非常に多い数で、理由のほとん どは臭いや汚れである。(妙慶川の名前を知らなかった人もいるので、それらの 人の回答を集計すると 20%を超えるものと考えられる。) ・生活排水対策の要望では公共下水道の要望が 35%と多く、次いで合併処理浄化 槽の 25%である。(問 12) ・水環境のあり方では、自然を取り戻してほしいという意見が半数を超えた。(問 13) ・水環境を保全する市民の行動では、三角コーナーに水切り袋をつけている人が 63%、てんぷら油を吸収させごみとして処理している人が 55%であった。また、 風呂の残り水を植木にまいたりする人は 40%であった。(問 14) 2) 前推進計画の結果と今回調査の比較 前推進計画のアンケート調査結果との比較は以下のとおりである。 ・公共用水域が汚れていると感じている人が、前推進計画、今回調査とも 70%で あった。 ・前推進計画では、家庭の排水が環境にどの程度影響しているかの問いに関して、 影響しているとしている人は 91%であったが、今回調査では 95%に上がった。 ・河川等の汚れの原因で家庭からの排水をあげる人が、前推進計画では 83%であ ったが、今回調査では 63%となった。今回調査では宿泊施設、飲食店をあげる人 が 52%と多かった。(今回調査は複数回答) ・前推進計画では単独処理浄化槽やくみ取りトイレを使用している人は 80%程度 だったが、今回調査では 57%となった。 ・前推進計画では浄化槽の清掃や保守点検を専門業者に依頼したり法定検査を検査 機関で受けている人は 72%だったが、今回調査では 74%であった。 ・前推進計画ではてんぷら油を吸収させごみとして処理している人が 66%であっ たが、今回調査では 55%であった。 3) 総評 前推進計画と今回調査では、水環境に関する意識はやや向上している。 合併処理浄化槽の設置率は上昇しているが、浄化槽の管理を専門業者に依頼したり 法定検査を受ける割合が前推進計画時に比べあまり増加していない。 こうしたことから、行政が積極的に水環境の保全のための啓発を行うことが、大切 であると考えられる。 第3章 生活排水対策推進の目標 1.生活排水対策の基本理念 2.推進計画の目標 3.生活排水対策の基本施策 第3章 生活排水対策推進の目標 1.生活排水対策の基本理念 人間を含め、全ての生き物にとって水は不可欠なものである。しかし、その大 切な水も生活様式の高度化・多様化により日常生活にともなって排出される生活 排水の負荷が高まり、その多くが未処理のまま放流されることから、生活排水に よる河川・海域の水質汚濁が各地で問題となっている。 伊勢湾や的矢湾、加茂川をはじめとする水域は、その美しい自然景観が人々に 心の安らぎを与えてくれるばかりでなく、海の幸をもたらせてくれる生産の場で もある。 本市では特定環境保全公共下水道の整備や合併処理浄化槽整備の推進を行い、 漁業集落排水施設などの生活排水処理施設の整備を計画している。 今後、水質汚濁の改善、自然環境の保全は重要な課題であり、本計画の推進に より生活排水処理施設の整備を進め、併せて家庭での発生源対策などの普及啓発 を積極的に推進する。 2.推進計画の目標 1) 目標 この計画の目標は次のとおりとする。 緑と海と太陽の輝くまち 市民一人一人が行動するとともに、行政と一体となって生活排水対策を推進するも のとする。 2) 目標年度 この計画は、平成 14 年度(2002 年)を現況として、目標年度を平成 29 年度(2017 年) とする。また、中間目標年度を平成 22 年度(2010 年)として、対策の効果の検証を行 い、その後の方針や施策等の見直しを図る。 現 況 年 度 中 間目標 年度 目 標 年 度 :平成 14 年度(2002 年) :平成 22 年度(2010 年) :平成 29 年度(2017 年) 3) 目標負荷削減量 烏羽湾の水質は水質環境基準値を超え、徐々に悪化する傾向にある。また、鳥羽湾 に流れ込む加茂川は水質環境基準値を下回っているが、徐々に汚濁化傾向にあり、今 回モデル地区に指定した妙慶川も鳥羽湾に流れ込んでいる。本計画では施設整備や発 生源対策の推進を行い、市全域、加茂川流域及び妙慶川への流入区域の汚濁の削減目 標を以下のように設定する。(算出方法は資料編参照) 表 3-1 必要削減量 (BOD) 項 市 全 域 加 茂 川 妙 慶 川 目 対策なし 対策後 必要削減量 対策なし 対策後 必要削減量 対策なし 対策後 必要削減量 (単位:㎏/日) 実績値(H14) 中間目標年度(H22) 目標年度(H29) 1,730.1 1,593.5 1,475.5 1,360.9 994.6 232.6 480.9 425.8 413.9 404.7 390.6 362.6 23.3 42.1 106.9 73.1 47.7 67.1 39.2 6.0 8.5 3.生活排水対策の基本施策 本計画は、生活排水処理施設の整備と、家庭でできる生活排水対策の普及啓発 活動を生活排水対策の 2 本の大きな柱とし、地域の状況に応じて適切に組み合わ せながら総合的に推進するものである。 生活排水対策推進計画の基本的施策は次のとおりである。 鳥羽市生活排水対策推進計画 公共下水道の整備※ 生活排水処理施 設の整備 特定環境保全公共下水道の維 持管理 (ハード対策) 漁業集落排水処理施設の整備 合併処理浄化槽の設置促進 台所等での発生源対策 普及啓発活動 合併処理浄化槽の普及 PR (ソフト対策) 浄化槽の適正な管理 環境に対する意識の高揚 環境教育の推進 図 3-1 鳥羽市生活排水対策推進計画の基本的施策 ※:本来は公共下水道事業による集中処理が望ましいが、事業の推進には多大な経費と長い年 数が必要なことから、当面は合併処理浄化槽など他の整備手法により生活排水対策を推進 する。 第4章 汚濁負荷量の予測 1.将来人口の推計 2. 生活排水処理施設整備による負荷削減効果の把握と将来負荷量の推計 3.モデル地区の設定とその効果 第4章 汚濁負荷量の予測 人口や製造品出荷額等とその原単位から汚濁負荷量が求められる。これらの 汚濁負荷量は、一定の施策により削減され、さらに自然の分解、吸収等を経て 公共用水域に流れ込む。また加茂川流域、妙慶川への流入区域では、その流達 負荷量と河川流量から河川の汚濁濃度を予測する。 Σ(数量(人口等) × 原単位(一人一日平均排出量等)) 汚濁負荷量(kg/日) 施設整備による削減(kg/日) 発生源対策による削減(kg/日) 汚濁負荷量の目標値(kg/日) 自然の分解・吸収等 (流達率を乗ずる) 流達負荷量(kg/日) 河川流量の算出(m3/年) 汚濁濃度(mg/L) 図 4-1 汚濁負荷量算出の概念図 (河川流域の場合) 1.将来人口の推計 (1) 予測方法及び計算式 将来人口は、地区ごとの過去 10 年間の年次データ(各年度末 3 月 31 日現在の住民基本台 帳)を回帰式にあてはめ推計し、その合算値を本市全体の将来人口とする。回帰式は、「ごみ 処理施設構造指針解説」(厚生省水道環境部監修)に示される式を基本として以下の 6 式とす る。 個々の年次データに特殊な事情がある場合、そのまま使用すると将来の推計に影響し、本 来あるべき予測値と大きな乖離が生じてしまうため、実績値を補正することもある。 ② 分数式 y ax b y a/ xb ③ 対数式 y a log x b ④ 指数式 y ab x ⑤ 二次関数式 y a bx cx 2 y k /(1 a e bx ) ① 直線式 ⑥ ロジスティック式 y 理論値(予測結果) a, b, c 定数(実績値より算出) x 時間係数(年度の変化) k 上限値 e 2.718282 (2) 市内の主要な地区 市内は大きく分けて以下の主要な地区となる。 ・鳥羽地区(鳥羽 1 丁目~5 丁目、鳥羽町、小浜町、堅神町、池上町、屋内町) ・加茂地区 (上流:若杉町、岩倉町、河内町、松尾町、白木町) (下流:安楽島町、高丘町、大明東町、大明西町、幸丘、船津町) ・長岡地区(相差町、国崎町、畔蛸町、千賀町、堅子町) ・鏡浦地区(石鏡町、浦村町) ・離島地区(桃取町、答志町、菅島町、神島町、坂手町) このうち加茂地区は非常に広い地区でかつ、計画基点である加茂川の杉ケ瀬橋の上流と 下流に分けて考える必要があるため、加茂地区上流と加茂地区下流とする。 離島地区 離島地区 鳥羽地区 加茂川下流地区 鏡浦地区 加茂川上流地区 長岡地区 図 4-2 市内の主要な地区と主要河川 (3) 将来人口の推計結果 加茂川下流地区を除き全体的に減少傾向である。特に鳥羽地区の減少が大きく、その結 果行政区域内人口も減少傾向を示している。 単位:人 単位:人 8,000 30,000 鳥羽地区 行政区域内人口(右目盛り) 加茂川下流地区 7,000 25,000 6,000 離島地区 20,000 5,000 加茂川上流地区 4,000 15,000 3,000 10,000 2,000 長岡地区 鏡浦地区 5,000 1,000 0 平成5年 8年 11年 14年 17年 20年 23年 26年 0 29年 図 4-3 地区別人口の実績と予測 また、処理形態別の人口の推計値は以下のとおりである。 表 4-1 処理形態別人口の実績と予測 項 目 1.計画処理区域内人口 2.水洗化、生活雑排水処理人口 ①合併処理浄化槽 ②特定環境保全公共下水道 ③漁業集落排水施設 3.水洗化、生活雑排水未処理人口 (単独処理浄化槽) 4.非水洗化(くみ取り)人口 5.自家処理人口 6.計画処理区域外人口 出典:鳥羽志勢広域連合資料 単位:人 平成 14 年度 平成 22 年度 平成 29 年度 (現況) (実績) (目標年次) 24,840 22,695 20,680 5,306 8,129 12,294 3,559 6,311 8,673 1,747 1,818 1,923 0 0 1,698 13,345 10,771 5,386 6,189 0 0 3,795 0 0 3,000 0 0 2.生活排水処理施設整備による負荷削減効果の把握と将来負荷量の推計 1) 何も対策を施さなかった場合(以下「BAU※」という。)と、生活排水処理施設の整 備計画や他の施策を見直した場合の将来負荷量の比較を行い新たな施策の効果を 把握する。 ※:Business As Usual (現行の施策の場合または対策をまったく 行わなかった場合の将来の予測値、通常業務という意味) 2) 汚濁削減効果 生活排水処理施設の整備を推進し、また住民に対して発生源対策を促し、およそ 70%の住民が 25%の汚濁を削減した場合、BAU に比べ以下のように汚濁(BOD)が削 減される。(平成 22 年度の中間目標年次では 50%住民が協力し 10%削減されるもの とする。) 発生源対策は、浄化槽の適正管理、三角コーナーや排水口に水切り袋を設置するな ど台所の排水と共にごみを流さないこととし、これらは広報等で周知させる。 これらの対策により流達負荷量を削減させることができる。 表 4-2 全市の流達負荷量 (kg/日) 中間目標年次 (平成 22 年度実績) 現状 生活系 観光系 汚 濁 産業系 負荷量 畜産系 自然系 全 体 必 要 生活系 削減量 全 体 削減率 生活系 (%) 全 体 流達負荷量 1,354.0 76.9 3.2 293.8 2.2 1,730.1 1,141.9 目標年次 (平成 29 年度) 対策なし 施設整備 発生源対策 対策なし 施設整備 発生源対策 1,043.0 74.0 3.0 211.2 2.4 1,333.6 1,147.3 1,020.4 93.7 1.8 293.8 2.2 1,411.9 181.6 181.6 15.1 11.4 1,016.6 644.0 101.8 1.1 293.8 2.2 1,042.9 432.6 432.6 40.2 29.3 834.3 969.4 93.7 1.8 293.8 2.2 1,360.9 232.6 232.6 19.4 14.6 979.8 1,000.0 70.0 1.1 200.0 2.2 1,273.3 1,180.4 595.7 101.8 1.1 293.8 2.2 994.6 480.9 480.9 44.7 32.6 795.7 現況(H14) 対策なし(H22) 施設整備(H22) 発生源対策(H22) 対策なし(H29) 施設整備(H29) 発生源対策(H29) 230 240 250 260 BOD流達負荷量(kg/日) 図 4-4 全市の将来負荷量の推計 270 280 290 3) 河川流量の算出 三重県では観測所を設置し、加茂川の河川データを取っている。観測所は河内、新 河内、岩倉、松尾の 4 ヵ所である。これらは水質調査地点(杉ケ瀬橋)よりいずれも上 流にあり、かつ 2 つの河川に分かれているため、ここでは杉ケ瀬橋にできる限り近く にある観測所 2 ヶ所(2 水系、河内観測所、岩倉観測所)の河川流量の合算値を杉ケ瀬 橋地点の河川流量とした。 観測所では毎日の河川流速(m3/秒)等を計測しているが、河川流量を計測している わけではない。よって、以下の考え方で年間の河川流量を求める。 S1=q1×t+q2×t+…. q365×t (うるう年は q366 まで計算) = n 365 n 1 qn t S2=r1×t+r 2×t+…. r 365×t (うるう年は r 366 まで計算) = n 365 n 1 鳥羽湾 rn t 加茂川 S=S1+S2 S:杉ケ瀬橋地点の年間流量(m3) 杉ケ瀬橋 新河内観測所 河内観測所 S1:河内観測所の年間流量(m3) S2:岩倉観測所の年間流量(m3) 岩倉観測所 鳥羽河内川 q1,q2:河内観測所での毎日の流速(m3/年) 松尾観測所 白木川 r 1, r 2:岩倉観測所での毎日の流速(m3/年) t:1 日の秒数 86400 秒(60×60×24) 鈴串川 図 4-5 加茂川の概要 4) BOD 負荷量の算出 三重県では、杉ケ瀬橋地点で BOD 濃度の計測を毎年行っている。この BOD 濃度 に河川流量を乗じたものが年間の BOD 負荷量となる。平成 8 年から平成 13 年の加茂 川杉ケ瀬橋地点での流量及び BOD 負荷量は以下のとおりである。また、河川流量は 降水量により大きく影響を受けるため、年間降水量も示す。 これによると、平成 10 年は、年間降水量が 3600mm を超えたため河川水量が大幅 に増加した。また BOD 濃度も上昇したため、結果的に BOD 負荷量も大きくなった。 この平成 10 年を除くと、BOD 負荷量は BOD 濃度とともに微増していることがわ かる。 表 4-3 加茂川(杉ケ瀬橋)における河川流量、BOD 濃度の推移 単位 河川流量 BOD 濃度 BOD 年間 負荷量 BOD 日 負荷量 降水量 3 H8 H9 H10 H11 H12 H13 m /年 45,372,960 86,957,280 145,078,560 69,911,424 69,366,240 73,101,312 mg/L 1.0 0.8 1.4 1.1 1.6 1.3 kg/年 45,373 69,566 203,110 76,903 110,986 95,032 kg/日 124.3 190.6 556.5 210.7 304.1 260.4 1,950.0 2,435.0 3,609.0 2,364.0 2,207.0 2,568.0 mm 5 平成8年を1とした指数 4 流水量 BOD濃度 BOD負荷量 降水量 3 2 1 0 H8 H9 H10 H11 H12 H13 図 4-6 加茂川(杉ケ瀬橋)における河川流量、BOD 濃度の推移(指数) 5) 流達率の算出 平成 10 年を除く平成 8 年から平成 13 年の平均 BOD 負荷量は 218.02kg/日である 一方 BOD 排出量は平成 14 年度において 330.423kg/日である。流達率は BOD 負 荷量÷BOD 排出量で求められるため、218.02kg/日÷330.423kg/日=0.66→66%と なる。 6) 汚濁排出量及び汚濁負荷量 加茂川上流における現在また目標年次における汚濁排出量及び汚濁負荷量は次の とおりである。ここでは、BAU と生活排水処理施設の整備を推進した場合、さらに 住民に対して発生源対策を促した場合を示す。 BAU では、流達負荷量が将来に渡り増加してしまうが、施設整備や発生源対策に より大幅に減少させることができる。 表 4-4 加茂川流域の流達負荷量 (kg/日) 中間目標年次 (平成 22 年度実績) 現状 対策なし 生活系 観光系 汚 濁 産業系 負荷量 畜産系 自然系 全 体 必 要 生活系 削減量 全 体 削減率 生活系 (%) 全 体 流達負荷量 131.2 0.0 0.0 293.8 0.8 425.8 281.0 目標年次 (平成 29 年度) 施設整備 発生源対策 対策なし 107.2 0.0 0.0 211.2 0.8 319.2 281.5 101.0 0.0 0.0 293.8 0.8 395.6 18.3 18.3 15.3 4.4 269.0 96.0 0.0 0.0 293.8 0.8 390.6 23.3 23.3 19.5 5.6 265.6 施設整備 発生源対策 100.0 0.0 0.0 200.0 0.8 300.8 283.3 73.5 0.0 0.0 293.8 0.8 368.1 36.6 36.6 33.2 9.0 257.7 68.0 0.0 0.0 293.8 0.8 362.6 42.1 42.1 38.2 10.4 253.8 現況(H14) 対策なし(H22) 施設整備(H22) 発生源対策(H22) 対策なし(H29) 施設整備(H29) 発生源対策(H29) 230 240 250 260 270 280 290 BOD流達負荷量(kg/日) 図 4-7 加茂川上流の汚濁削減効果 表 4-5 加茂川の汚濁濃度の推移(対策後) 現状 河川流量 流達負荷量 汚濁濃度 m3/年 t/年 mg/L 注:※1 平成 8 年から平成 13 年の平均値 ※2 実績値 81,600,000※1 102,575 1.4※2 中間目標年度 81,600,000 96,947 1.2 目標年度 81,600,000 92,644 1.1 3.モデル地区の設定とその効果 妙慶川への流入区域をモデル地区とし、BAUと合併処理浄化槽の普及等の新 たな施策を講じた場合についてシミュレーションし、汚濁負荷量の低減量を把握 する。 1) 妙慶川への流入区域の設定 妙慶川への流入区域は下図のような範囲となる。本計画ではこれらの流域を含む鳥 羽 1 丁目、鳥羽 2 丁目、鳥羽 3 丁目を妙慶川への流入区域と設定し人口や汚濁負荷量 等の算出をする。 図 4-8 妙慶川への流入区域図(参考図) 2) 人口の予測 妙慶川への流入区域(鳥羽 1 丁目、鳥羽 2 丁目、鳥羽 3 丁目)の人口の推計結果は以 下のとおりである。妙慶川への流入区域は鳥羽地区に含まれている。鳥羽地区人口は 減少傾向を示しており、同様に妙慶川への流入区域人口も減少傾向を示している。(予 測方法は前出 P.40 の人口予測と同様とする。) 単位:人 8000 7000 6000 5000 4000 鳥羽地区人口 3000 2000 1000 0 平成5年 妙慶川への流入区域人口 8年 11年 14年 17年 20年 23年 26年 図 4-9 妙慶川への流入区域人口の予測 3) 妙慶川汚濁負荷の予測 排出負荷量に流達率を乗じて汚濁負荷量を算出するが、妙慶川では汚濁負荷量を分 析していないため流達率を算出することができない。今後は毎年数回の水質分析を行 い、BOD、SS 等の汚濁物質の負荷量を把握し、排出負荷量と併せて流達率を算出す る必要がある。本計画では流達率を a として流達負荷量を予測する。 流達率は通常 0.2~0.7 の範囲をとることが多く、 本計画では加茂川での流達率の同 値である 66%を使用する。ただし、将来的に流達率が増加し目標年次には 100%に達 すると想定する。 また、年間河川流量については 流域面積×年間降水量(2600mm)×表面流出率 29年 として算出した。表面流出率とは降水量に対して河川に流れ込む量を示す。一般的に アスファルト舗装された市街地は 1.0、未開発値は 0.5~0.6 といわれている。 妙慶川への流入区域の面積は 0.45km2、市街地の面積は 0.15km2(未開発値は 0.30km2、 市街化率は 34%)であるため、表面流出率を 0.7 とする。((0.15×1.0+0.30×0.5)/0.45 =0.67→0.7) よって水質汚濁(mg/L)は 年間汚濁排出量(t/年)÷年間河川流量(kg) で表される。 BAU では、流達汚濁負荷量が平成 22 年まで増加するが、その後は人口の減少等に より排出汚濁量そのものが減り、水質汚濁が減少するものと考えられる。 しかしながら、平成 14 年度~平成 22 年度にかけての水質の悪化は、次ページに示 す汚染の進んだ他地域の河川と比べても大きなものと考えられる。 表 4-6 水質汚濁(mg/L)の推移(BAU) 項 目 妙慶川への流入区域人口 流達負荷量 年間河川流量(降水量から) 家庭からの年間排水量 その他の年間排水量 年間河川流量 河川流量 水質汚濁(BOD) 単位 人 kg m3 m3 m3 m3 m3/s mg/L 平成 14 年度 1,773 25,752 819,000 232,325 2,544 1,053,869 0.033 24.4 平成 22 年度 1,260 25,881 819,000 165,104 1,137 985,241 0.031 26.3 平成 29 年度 900 17,411 819,000 117,932 539 937,471 0.030 18.6 備考 359L/d 妙慶川の汚濁負荷量の算出結果が通常の汚染された河川の負荷量から大きく離れ ていないかを検証するため、全国のワースト 5 の汚濁負荷量(BOD)と比較する。 過去 5 年間のワースト 5 の河川(1級河川を除く)は次のとおりである。 表 4-7 全国のあてはめ水域の河川の汚染 年度 順位 あてはめ水域名 都道府県 年間平均値 (mg/L) 1 春木川 千葉県 18 2 弁天川 香川県 17 3 樫井川下流 大阪府 15 4 国分川 千葉県 14 4 見出川 大阪府 14 4 西除川 大阪府 14 平 1 弁天川 香川県 19 成 2 国分川 千葉県 17 12 3 不老川 埼玉県 16 年 4 春木川 千葉県 16 度 5 東除川 大阪府 16 平 成 13 年 度 1 弁天川 香川県 22 平 2 樫井川下流 大阪府 20 成 3 谷八木川 兵庫県 18 11 3 大門川 和歌山県 18 年 5 南浅川 東京都 17 度 5 東除川 大阪府 17 5 報得川 沖縄県 17 平 1 樫井川下流 大阪府 32 成 2 弁天川 香川県 24 10 3 谷八木川 兵庫県 18 年 4 鴨川 埼玉県 17 度 5 国分川 千葉県 16 1 弁天川 香川県 31 2 関山川 茨城県 22 3 不老川 埼玉県 22 4 谷八木川 兵庫県 21 5 汐川 愛知県 20 5 南部川(古川) 和歌山県 20 平 成 9 年 度 あてはめ水域:環境基準の類型のあてはめがなされている水域をいう。 これらのデータ一つ一つを 1 サンプルとしてプロットしたものが下図である。 この図から、全国のワースト 5 は BOD 負荷量が概ね 15~25 mg/L であることが分 かる。妙慶川もこの辺りの負荷量であることが予測される。 BOD(mg/L) 35 ワースト 5 河川の汚濁負荷範 30 25 20 15 10 5 0 1 3 5 7 9 11 13 15 17 サンプル 19 21 23 25 27 29 図 4-10 あてはめ水域(河川)のワースト 5 の汚染度数 4) 汚濁削減効果 合併処理浄化槽等の生活排水処理施設の整備を推進し、また住民に対して発生源対 策を促し、およそ 70%の住民が 25%の汚濁を削減した場合(平成 22 年度の中間目標 年次では 50%住民が協力し 10%削減されるものとする。)、何も対策を講じない場合 に比べ汚濁(BOD)が削減される。(P.52 表 4-8~9 を参照) 発生源対策は、浄化槽の適正管理、三角コーナーや排水口に水切り袋を設置するな ど台所の排水と共にごみを流さないこととし、これらの方法は広報等で周知する。 5) 水質改善の効果 施設整備や発生源対策により流達負荷量が大きく減少し、水質は改善されるものと 考えられる。 表 4-8 妙慶川への流入区域の発生源別流達負荷量 現状 中間目標年次 (平成 22 年度実績) 対策なし 生活系 観光系 汚 濁 産業系 負荷量 畜産系 自然系 全 体 必 要 生活系 削減量 全 体 削減率 生活系 (%) 全 体 流達負荷量 101.2 5.5 0.2 0.0 0.0 106.9 70.6 目標年次 (平成 29 年度) 施設整備 発生源対策 対策なし 83.2 5.2 0.1 0.0 0.0 88.5 70.9 65.0 5.2 0.1 0.0 0.0 70.3 2.8 2.8 4.1 3.8 68.2 61.8 5.2 0.1 0.0 0.0 67.1 6.0 6.0 8.8 8.2 65.1 施設整備 発生源対策 43.3 4.4 0.0 0.0 0.0 47.7 47.7 37.6 4.4 0.0 0.0 0.0 42.0 5.7 5.7 13.2 11.9 42.0 34.8 4.4 0.0 0.0 0.0 39.2 8.5 8.5 19.6 17.8 39.2 現況(H14) 対策なし(H22) 施設整備(H22) 発生源対策(H22) 対策なし(H29) 施設整備(H29) 発生源対策(H29) 0 10 20 30 40 50 BOD流達負荷量(kg/日) 60 70 80 図 4-11 妙慶川への流入区域の汚濁削減効果 表 4-9 妙慶川の汚濁濃度の推移(対策後) 現状 河川流量 流達負荷量 汚濁濃度 m3/年 t/年 mg/L 1,053,869 25,752 24.4 中間目標年度 985,241 23,757 24.1 目標年度 937,471 14,308 15.3 第5章 生活排水対策に関わる啓発活動 1. 啓発活動の推進に関する基本方針等の検討 2. 普及啓発活動 3. 環境への理解を深める 4. 地域の水環境を守る行動をする 第5章 生活排水対策に関わる啓発活動 本市の水環境を保全するためには、まず一人一人の環境に対する意識を高め ることが必要である。本計画ではアンケート調査の結果を踏まえ、住民の環境 に対する意識を考慮し、効果的な対策を検討する。 1.啓発活動の推進に関する基本方針等の検討 アンケート調査結果を踏まえ、新たな啓発活動について検討する。 今回調査では公共用水域の環境に関して意識は高いものの、具体的な個人個人 の行動は前推進計画時に比べ停滞している。合併処理浄化槽の設置は引き続き推 進していくが、浄化槽の清掃や保守点検を専門業者に依頼したり、法定点検を行 う人があまり増加していないことから、浄化槽の清掃の徹底と保守点検の実施や 法定検査の受検を市民に働きかける。 また、排水口からごみを流さないよう水切り袋や三角コーナーを設置する人が 減少していることから、これらの行動を促すよう広報等に掲載する。 2.普及啓発活動 1) 普及啓発活動に関する考え方 現在のところ、本市における生活排水の集合処理施設は、相差・畔蛸地区の特定環 境保全公共下水道のみであり、その他の地域の生活排水は一部の家庭に設置された合 併処理浄化槽により処理されている。そのため、大部分の家庭から生じる生活排水は、 未処理のまま河川や海域へ放流されている。 本市では、特定環境保全公共下水道の接続率の改善、漁業集落排水処理施設及び合 併処理浄化槽などの生活排水処理施設の整備推進により、汚水衛生処理率※の向上を めざしている。 ※:住民基本台帳人口と外国人登録人口の合計に対して、汚水が衛生 的に処理されている人口の割合のこと しかし、生活排水処理施設の整備には多額の費用と長い年月を要することから、市 民の生活様式の向上・多様化に伴う生活系の負荷の増大により、本市内の河川及び沿 岸海域等の水質の悪化が懸念される。 このことから、生活排水処理施設が整備されるまでの間、市民一人一人が環境への 理解を深め、地域の水環境を守るために環境に対する負荷の少ない生活スタイルを築 くことが重要である。 <基本的な考え方> ○市民・地区・行政など多くの人々とともに推進する。 ○事業から運動へと展開させる方策を工夫しながら進める。 ○環境教育を関係機関と連携をとりながら積極的に進める。 ○環境全般に目を向けた施策に取り組む 2) 啓発活動の基本方針 三重県における生活排水対策の啓発普及活動は、生活排水対策教室の開催や、水質 チェックウーマン事業など、いわゆる官民一体型で実施されている。 本市においても、このように市民と行政とが一体となって普及啓発活動を推進する ものとし、その基本方針は次のとおりとする。 ①本市レベルでの施策 自治会連合会、婦人会、鳥羽磯部漁協、観光協会、商工会議所など既存の市民団体 と行政とで普及啓発活動を推進する。 具体的には、各地区で地区ぐるみの取り組みを行うとともに、わかりやすく、取り組 みやすい啓発活動の推進により、市民全員が何らかの形で生活排水対策を実践できる ようにする。 ②関係市町レベルでの施策 本市は、国際リゾート「三重サンベルトゾーン」構想の重点整備地区に指定され、 豊かな自然環境を生かした快適な滞在・周遊型のリゾート地づくりが進められて来た。 このような状況の中、生活排水対策についてはごみ処理などと同様、近隣市町村にも 共通する課題であり、効率的な生活排水対策の推進のためには、地域住民の理解と協 力はもとより、共通課題を協議し、解決するための協調体制が重要である。 このことから、生活排水対策の推進に関し、鳥羽市と志摩市で組織する「英虞湾的 矢湾生活排水処理対策推進協議会」をより一層活用し、家庭でできる生活排水対策に ついて広域的な普及啓発を行うものとする。 ③普及啓発活動の対象となる地区 家庭でできる生活排水対策の普及啓発活動は、市内全域を対象として実施する。 さらに、今後の生活排水処理施設が整備されることにより、生活排水を適正に処理 する世帯の割合が増加し、また処理施設が整備された地区においても台所等での発生 源対策を実施することで、終末処理場や浄化槽へ流入する汚濁負荷量や沿岸海域への 汚濁負荷量の削減に有効である。 処理施設整備後も引き続き家庭でできる生活排水対策の普及啓発を行う。 3) 普及啓発活動の推進 (1) 家庭でできる生活排水対策 ①家庭でできる生活排水対策のメニュー 家庭でできる生活排水対策のメニューは表に示すとおりであり、これらの実践に対 し市民の理解と協力を得るために普及啓発活動を実施する。 表 5-1 家庭でできる生活排水対策(職員WGで検討) ①台所対策 (汚れた食器・洗剤) ・食器を洗うときは洗い桶を使用し、洗剤は適量を水で薄めて使う。 ・調理用具や食器類の汚れはゴムヘら・古新聞等で取り除いてから洗う。 ・食洗器を活用する。 (三角コーナー・排水口のごみ) ・三角コーナーや流しのストレーナーに水切りネット等をつけ、調理くずや食べ残し などを流さない。 ・三角コーナーや排水口にごみをためずにこまめに捨てる。 (天ぷら油) ・使い古しの油を流さない。 ・残った油は継ぎ足して使ったり、炒めものに使うなど、できるだけ捨てないように 努力する。やむをえず捨てる際は新聞紙などに吸わせてから捨てる。 ・調理器具や食器類に付いた油は、ボロきれや古新聞やなどで拭き取ってから洗う。 ・廃油を利用し石けんをつくる。 ・サラダ油からごま油に変える。 (米のとぎ汁) ・米のとぎ汁は植木などに散水する。養分を含んでいるので、よい肥料になる。 ・無洗米を利用する。 ・白米から玄米にする。 (米のとぎ汁でない)。 (酒・ビール) ・酒、ビールは流さない。 ・残さないようにする。 ・残したら料理などに利用する。 (調理くず・生ごみ) ・調理くずや生ごみは、生ごみ処理機やひなたぼっこ(コンポスト)などで堆肥にす る。 (汁物) ・食事や飲み物は必要な分だけつくり、飲み物は飲みきれる分だけ注ぐ。 ・煮汁、味噌汁などは流さない(残らないように作る)。 ・できるだけ使いきる工夫など料理法を考える。 ②洗濯対策 ・洗剤は、計量カップで正しく計って使用する。 ・粉石けんを使用する。 ・洗濯槽の掃除を定期的に行う。 ③風呂・洗面所対策 ・髪の毛などは排水口に目の細かいネットを張ってキャッチする。 ・シャンプー・リンスは適量を守る。 ・風呂の残り湯は洗濯などに再利用する。温水なので汚れ落ちがよくなる。 ・歯みがきの水はコップで、洗顔には洗面器を使う。 ④トイレ・浄化槽対策 ・トイレは使用後にちょこちょこっと掃除しましょう。そうすれば、洗剤を使ってゴ シゴシ掃除する回数はグーンと少なくてすむ。 ・定期的に専門業者に点検してもらう。定期点検は専門業者に依頼し、清掃を年 1 回 実施し、法定検査を受検する。 ・便器の掃除はぬるま湯で行い、塩酸などの薬品や洗浄剤、洗剤などは使わない。 ・合併浄化槽の設置を推進する。 ⑤その他の対策 ・合成洗剤ではなく、石けんを利用する。 ・省エネ製品を導入する。 ・水辺の環境を保全する。 ・地域ぐるみで側溝、河川、海岸を定期的に清掃する。 ②普及啓発のための施策 表 5-1 に示した家庭における生活排水対策の実践について、市民の理解と協力を得 るために次の啓発活動を行う。 <広報、パンフレット、ポスターによる PR> 市民が水質汚濁の状況について認識を深め、市民自ら家庭での生活排水対策実践の 重要性を知ってもらうため、定期的に市の広報により水質の状況や、生活排水対策に ついて PR を行う。 また、家庭でできる生活排水対策についてのパンフレット・ポスターを作成し、広 く市民に呼びかけを行う。 <学習会等の開催> 合併処理浄化槽の浄化能力・維持管理の重要性など合併処理浄化槽に関する知識の 普及や、身近な水環境の問題について学習会等を開催し、正しい知識・情報の普及を 図る。 <地域ぐるみの身近な水路や側溝の清掃> 地域の身近な水質の状況について市民に認識してもらい、市民による河川美化活動 主体の形成を目的として、定期的に市民に呼びかけることにより地域ぐるみで身近な 水路、側溝及び河川・海岸の清掃を行う。 <河川浄化施設の設置検討> 生活排水の影響により水質の汚濁が進んでいる河川において、汚れた水を直接浄化 する河川浄化施設の設置について検討を行う。 4) 合併処理浄化槽の普及 し尿と台所、風呂などの生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽は、処理性能 が高いこと、設置に要する期間が短いことなどから生活排水対策の手段としては極め て有効な施設である。しかしながら、公共下水道等の集合処理施設と違い、その設置 主体はほとんどが市民個人であるため、合併処理浄化槽の普及促進については市民へ の PR を積極的に行う必要がある。 PR の手段として、市広報誌・パンフレットの配布や、学習会・健康づくりフェア など市主催のイベント時におけるパネル展示などがあり、合併処理浄化槽の浄化能 力・利点、設置方法等を市民に PR する。 (1) 合併処理浄化槽の設置の手続き 本市では、浄化槽設置に関する補助金申請の手続きを定めており、基準に合った合併処 理浄化槽(高度処理型浄化槽を含む)に対して補助金を交付している。ただし、補助金の交付 の制度等は今後浄化槽の効率的な普及及び効果的な清掃、点検等を勘案し見直す必要が ある。 次頁に現在の補助金申請の主な流れを示す。 設置する浄化槽の種類を決定 浄化槽施工業者の決定 新築住宅の場合 改造設置の場合 法定検査の申込み ○ 都市計画区域または都市 計画区域外で特殊な条件 の建物 ○ 建築確認申請書を提出す る場合 ○ 都市計画区域内外 「浄化槽設置届出書」を提出 ○ 都市計画区域内において 増改築を行う場合 「浄化槽調書」を提出 ○ 都市計画区域外で特殊な 条件に該当しない建物 「浄化槽調書」を提出 「浄化槽設置届」を提出 「補助金交付申請書」の提出 浄化槽設置工事着工 保守点検・清掃業者との契約 工事の完成 「実績報告書」の提出 現地確認 補助金の交付 図 5-1 合併処理浄化槽の設置と補助申請の流れ 3.環境への理解を深める 本市は全国の市町村に先がけ、恵まれた自然と良好な生活環境を確保するため、 昭和 48 年に「鳥羽市民の環境と自然を守る条例」を制定し、自然・環境の保全 に努めている。 一方、三重県においては全国に先がけて「総合保養地域整備法」に基づく国際 リゾート「三重サンベルトゾーン」の地域指定を受け、特に本市は「鳥羽重点整 備地区」「南鳥羽磯部重点整備地区」のゾーンに位置し、民間活力による滞在型の リゾート地づくりが進められてきた。 このような状況の中で、本市の優れた自然環境の保護・保全を図るためには、 市民一人一人が自然環境の持つ役割を認識するとともに、自然とのふれあい意識 の向上に努め、自然環境と都市の進展の調和を図り、優れた自然環境を後世に引 き継ぐことが必要である。 このことから、水環境を含めた環境全般への理解を深めるために、次の施策に より「人」づくりを図る。 ・学校教育の中で環境学習を進める ・社会学習の中で環境学習を進める ・環境学習の場を作る ① 学校教育の中で環境学習を進める <環境学習のための副読本の作成と活用> 授業の中で環境を守ることの大切さや、そのための具体的な方法について、問題提起 し、子供たちに考えてもらうための教材として副読本を作成し、この活用により環境への 理解を深める。 なお、副読本の作成を本市単独で行うことは難しいため、三重県及び志摩地域全域と 連携をとって行う。 <教職員研修における環境への取り組みの充実> 市内の各小・中学校における教職員研修の中で、環境学習の取り組みの重要性とそ の推進について理解と協力を求める。 ② 社会学習の中で環境学習を進める 婦人学級などで身近な環境問題について考えてもらうことによって環境への関心を 高め、家庭での生活排水対策の必要性について考えてもらう。 ③ 環境学習の場を作る 公共施設等に常設の環境資料展示コーナーを設け、環境についての情報の普及、知 識の浸透を図る。 4.地域の水環境を守る行動をする 特定環境保全公共下水道、漁業集落排水処理施設及び合併処理浄化槽の処理水 は有効な水資源であることから、中水利用などできるだけ有効利用を図る。 また、本市の約 70%を占め、木材生産のほか水源涵養、自然環境・生活環境の 保全などの機能を有する森林地域については、各種規制の適正な運用と、市全体 の土地利用計画との調整を図り、可能な限り森林の保全に努める。特に、加茂川 流域の森林については、水資源を保護するためその保全を強化する。 第6章 生活排水処理施設の整備 1.生活排水処理施設の整備に関する基本方針 2.生活排水処理施設の整備計画 3.生活排水処理施設別の建設費の比較 4.河川浄化施設の設置検討 第6章 生活排水処理施設の整備 環境を保全するためには、住民や事業者が排出源である台所や風呂などの排水の汚 濁負荷量を積極的に抑えることや、生活排水処理施設を整備し適正な処理をすること が必要である。 本章では、市の生活排水処理施設の整備に関する事項を記述する。 1.生活排水処理施設の整備に関する基本方針 1) 生活排水処理施設の選定 主要な生活排水処理施設の整備事業としては、現在のところ次ページの表に示すも のがあげられる。 本市においては、地域の人口や土地利用の指定状況など、地域の特性を考慮するこ とにより、これらの整備事業の中から地域ごとに推進する生活排水処理施設整備事業 を選定する。 表 6-1 主要な生活排水処理施設整備事業 処 理 施 設 の 種 類 下 水 道 流 域 下 水 道 公 共 下 水 道 対 象 排 水 所 管 事 業 体 都道府県 し尿 生活雑排水 工場排水 雨水等 国 土 交通省 市町村 特 定 環 境 保 全 下 水 道 簡 易 下 水 道 市町村 浄 化 槽 設 置 整 備 事 業 個人等 個 別 処 理 し尿 生活雑排水 浄 整 化 備 槽 推 市 進 町 事 環境省 村 業 市町村 個 別 排 水 処 理 施 設 し尿 生活雑排水 コミ ュニテ ィ・ プ ラン ト し尿 生活雑排水 し尿・浄化槽汚泥高度処理施 設 し尿 浄化槽汚泥 総務省 環境省 市町村 国庫補助等 処理場 国 2/3 管渠 国 5/10 計画人口 (第 1 種)15 万人以上 当分の間は 10 万人以 上 (第 2 種)3 万人以上 15 万人未満 処理場 国 5.5/10 1 万人以上 地方債 4.05/10(45%交付 税措置) 管渠 特に制限なし 国 5/10 地方債 4.5/10(45% 交付税措置) 国 1/3 自治体 2/3 (いずれも全体事 特に制限なし 業費の 4 割程度に 対して) 国 1/3 下水道事業債 17/30 20 戸以上 (50%付税措置) 設置者 1/10 地方債 30%(100% 単年度当たり 20 戸未 交付税措置) 満(水源法地域は 10 地方債 60%(45%交 戸以上 20 戸未満) 付税措置) 集 合 処 理 市町村 国 1/3※2 市町村 国 1/3※2 特に制限なし 国 1/3※2 特に制限なし 汚泥再生処理センター し尿・浄化槽汚泥、厨 芥類、家畜・ペットの 糞尿、魚屋のあら等 市町村 農 業 集 落 排 水 施 設 し尿 生活雑排水 市町村 土地改良 区 101 人~3 万人未満 1,000 人程度以下 ※1 国 5/10 (100 人以上) 地方債 4.5/10(45% 1,000 人程度以下 交付税措置) 市町村 (100 人以上) 林 業 集 落 排 水 施 設 森林組合 1,000 人程度以下 等 地方債 30%a(100% し尿 交付税措置) 小規模集合排水処理施設 総務省 市町村 10 戸以上 20 戸未満 生活雑排水 地方債 60%(45%交 付税措置) 国 5/10 し尿 農 林 簡 易 排 水 施 設 市町村 地方債 4.25/10 3 戸以上 20 戸未満 生活雑排水 水産省 分担金 0.75/10 参考:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第 6 条第 1 項の規定に基づく生活排水処理基本計画の策定に当たっての指針につ いて (衛環第 200 号 平成 2 年 10 月)」他 ※1 離島・沖縄 75/100、奄美 6/10 ※2 公防地域等は 1/2 ※3 計画・設計要領につい ては、「汚泥再生処理センター等施設整備の計画・設計要領」〔平成 13 年 9 月(社)全国都市清掃会議〕による。 漁 業 集 落 排 水 施 設 し尿 生活雑排水 し尿 生活雑排水 雨水、汚泥 農 林 水産省 市町村 対 象 区 域 構 造 基 準 2 以上の市町 村区 下水道設計 指針 主として市街 地 市街化区域 地域自然公園 区域 農山漁村 特定地域生活 排水処理事業 の対象地域等 特に制限なし 河川の両岸、国道等に幹線を敷設し、 幹線や終末処理場に近い都市から面 整備を進める。 都市の市街地、団地、住宅地等の人口 密集地区において面整備を進める。 備 考 ・規模の大きい河川や湖沼の流域に都市が発達し ている地域 ・公共下水道を建設していない都市が近接してい る地域 ・既成都市の中心部 ・都市の宅地等の開発が進められている地域 ・流域下水道幹線が敷設されている都市 小規模下水道計画 設計指針 自然公園、水源地等農山漁村の集落 の面整備を行う。 ・河川や山の斜面に沿って集落が発達している地 し尿浄化槽 構造基準 新規に開発される団地、新築建物等に 設置する。また、既存の住宅、建物の 汲み取り便所、単独処理浄化槽を敷設 替えする。各戸別の小規模なものから 大規模なものまで設置者の事情に合わ せて選択できる。 ・新規に団地等が開発される地域 ・増改築が行われる建物等 ・地域或いは集落毎にもしくは各戸別に生活排水 市町村が設置主体となって個別合併 処理浄化槽の面的整備を行う。 ・生活排水対策の緊急性が高い小規模集落 新規に開発される団地や住宅地、農山 漁村の既存の小集落等の面整備を行 う。 し尿等の海洋投入禁止処分に伴い、 適正な陸上処理を行うための施設整備 に限る。 廃棄物の循環型社会基盤構築の柱と して、し尿・浄化槽汚泥及び有機性廃 棄物のリサイクルを推進する。 ・新規に団地等が開発される地域 ・地域或いは集落ごとに生活排水を処理すること 農業振興地域の集落の面整備を行う。 ・農業振興地域に集落が発達している地域 漁業集落の面整備を行う。 ・漁港法により指定された漁港の背後集落 下水道区域を 除く地域 浄化槽による 汚水処理が経 済的と認めら れた地域等 事 業 の 進 め 方 の 特 徴 - コミュニティ・プラント 性能指針※3 特に制限なし 汚泥再生処理センタ ー性能指針※3 特に制限なし 汚泥再生処理センタ ー性能指針※3 域 を処理することが適当な地域 ・住民参加による生活排水処理の推進が進められ ている地域 が適当な地域 - ・ 林業地域総合整備事業 漁港の 背後集落 農業集落排水 施設設計指針 農業集落排水施設 設計指針に準じる 森林整備市町 村等 農業集落排水施設 設計指針に準じる 山村地域の生活環境基盤の整備を促 進する ・林業地域総合整備事業 - 市町村が汚水等を集合的に処理する 施設である。 ・農業振興地域に限定されていたが、平成 7 年度 実施要領等 山村等の中山間地域において食料供 給機能等の多面的機能の強化等のた め推進する。 農業振興地域 内の農業集落 特に制限なし 山村振興法に 指定された地 域等 からは限定なし (農)で対処 あり 農業振興地域 農業集落排 水事業計画 の有無 100 人以下 の集落 なし 概ね 100~ 1000 人の集 落 合併浄化槽設置整 備事業又は雑排水 対策実施 NO YES (農)(地)(生) で対処 YES (特)(地)(生) で対処 (農)(地)( 生)の採択 NO 概ね 1000 人以上の集 落 (特)(地)( 生)の採択 100 人以下 の集落 対象地域 NO その他の地域 100~1000 人の集落 土地利 用計画 合併浄化槽設置整 備事業又は雑排水 対策実施 (地)(生 )の採択 YES (地)(生)(合)で対 処 NO 1000 人以上 の集落 (特)(地)( 生)の採択 YES (特)(地)(生)(合) で対処 農業振興地域 なし 概ね市街化区域 都市計画区域 下水道計 画の有無 下水道との 二重投資の 可能性 小 大 あり 合併浄化槽設置整 備事業又は雑排水 対策実施 公共下水道 で対処 なし 市街化調整区 100 人以下 の集落 100~1000 人の集落 NO (地)(生) の採択 NO (注)フロー中の(特)(農)(地)(生)(合)はそれぞれ次のとおり。 (特):特定環境保全公共下水道事業 (農):農業集落排水事業(漁業集落排水事業も同じ) (地):地域し尿処理施設整備事業 (生):生活排水処理施設整備事業 (合):合併浄化槽設置整備事業 図 6-1 方式の選定フロー(参考資料) 1000 人以上 の集落 合併浄化槽設置整 備事業又は雑排水 対策実施 (特) (地)(生) の採択 YES (地)(生)(合) で対処 YES (特) (地)(生)(合) で対処 2.生活排水処理施設の整備計画 1) 合併処理浄化槽整備事業 台所や風呂などの生活雑排水の処理については、し尿と一緒に処理をする合併処理 浄化槽の設置が望ましい。しかし、過去に設置されたし尿のみを処理する単独処理浄 化槽が現在も多数稼働し、生活雑排水は未処理で水路等に排水されている。また、く み取りの場合もし尿は収集されているものの、生活雑排水は未処理である。生活雑排 水は、家庭から出る汚濁負荷量の約 7 割を占めており、国等による処理の義務化が望 まれるところであるが、現在のところ国民の責務・努力目標にとどまっている。 このような状況において、国では市町村が事業主体となり合併処理浄化槽を設置し 維持管理まで行う「浄化槽市町村整備推進事業」を推進している。本市も現在の個人 設置型の「浄化槽設置整備事業」を見直し「浄化槽市町村整備推進事業」に移行する ことを検討する。特に、妙慶川周辺については合併処理浄化槽整備重点地区としてそ の整備に努める。 (1) 合併処理浄化槽の設置計画 合併処理浄化槽の設置基数は近年徐々に増加しており、ここ数年は年間 50 基を超えている 合併処理浄化槽の普及啓発活動の推進及び補助制度の見直し等により今後も年間 70 基程 度の普及を見込むものとする。 平成6年度 からの累計(基) 2000 年間設置基数(基) 140 120 1500 100 80 1000 60 40 500 20 0 平成6年度 0 9年度 12年度 図 6-2 合併処理浄化槽の設置計画 15年度 18年度 21年度 24年度 2) 公共下水道事業及び集落排水施設整備事業 公共下水道は、生活環境の改善のほか、河川、海洋などの公共水域の水質保全など 自然環境を保全していくためにも重要な役割を果たしており、快適な都市生活を営む うえで必要不可欠な都市基幹施設となっている。また、集落排水施設も、公共下水道 が整備できない地域における生活排水処理の重要な役割を果たしている。 (1) 公共下水道整備事業 平成 2 年度から、相差・畔蛸地区内で特定環境保全公共下水道事業に着手し、平成 10 年 度に全域が供用開始となった。今後は、適切な維持管理を継続して行っていくものとする。ま た、他の地域については、公共下水道事業の推進には多大な経費と長い年数が必要なことか ら、当面は合併処理浄化槽などの整備手法により生活排水対策を推進する。 (2) 集落排水施設整備事業 漁業集落における生活環境・海洋環境を保全するため、漁業集落排水施設の整備を検討 する。現在離島及び本土の 7 地区(桃取町、菅島町、答志町、神島町、浦村町(本浦)、石鏡 町、国崎町)が対象となっているが、事業の推進には多大な経費と長い年数が必要なことから、 当面は合併処理浄化槽などの整備手法により生活排水対策を推進する。 表 6-2 漁業集落排水施設整備計画の予定 地 区 現況(平成21年度末) 世帯数 整備計画期間 人口 桃取町 257 菅島町 223 763 答志町 502 1,890 神島町 184 463 浦村町(本浦) 193 625 石鏡町 234 611 国崎町 131 430 1,724 5,586 合 計 804 平成 27 年度以降予定 3) 生活排水処理施設整備の目標 以上の生活排水処理施設の整備を推進することにより、目標年次の平成 29 年度ま でに汚水衛生処理率※50%以上とする。現在の処理率と目標年次の処理率は以下のと おりである。 今後は合併処理浄化槽の普及や漁業集落排水事業の整備により処理率の向上を図る 計画である。 単位:人 30,000 25,000 20,000 15,000 59.4% 10,000 5,000 くみ取り人口 単独処理浄化槽人口 合併処理浄化槽人口 漁業集落排水処理人口 特定環境保全公共下水道人口 36.6% 21.4% 0 平成14年度 平成22年度 平成29年度 図 6-3 汚水衛生処理率の推移 ※:住民基本台帳人口と外国人登録人口の合計に対して、汚水が衛生的に処理されている人口の割合の ことをさす。ただし、本計画では処理人口には外国人登録人口を含めずに計算する。 4) 生活排水処理施設整備計画区域 生活排水処理施設の整備計画区域は次のとおりである。 図 6-3 生活排水処理施設整備計画区域図(別紙) 3.生活排水処理施設別の建設費の比較 妙慶川への流入区域には、くみ取り人口や単独処理浄化槽人口が多く存在して おり、台所等から排出される生活雑排水は未処理で妙慶川に流れ込んでいる。妙 慶川の流量は非常に小さいため、排出された汚濁は希釈されず分解しないまま海 域に流れ込んで、悪臭を発していると考えられる。 これらの対策として、個別に小型合併処理浄化槽を設置する方法と、集合処理 として公共下水道やコミュニティプラントを整備する方法がある。また、これら の施設はその補助制度、設置場所等により細かく分類されるため、本計画ではこ の流域に採用できる技術として ・浄化槽市町村整備推進事業 ・特定環境保全公共下水道事業 ・コミュニティプラント整備事業 の 3 つの方式による建設費、維持管理費等の比較を行う。 建設費(ここでは試算式に当てはめ算出した結果とした。)を比べると特定環境 保全公共下水道、コミュニティプラント、小型合併処理浄化槽の順で安くなるが、 維持管理費を見ると小型合併処理浄化槽とコミュニティプラントがほぼ同等で 特定環境保全公共下水道が高いことが分かる。採用に当たっては用地、補助金を 含めた建設費また長期に渡る維持管理等を勘案し決定する必要がある。 表 6-3 生活排水処理施設別の建設費、維持管理費等の比較 (試算) 項 目 浄化槽市町村整備推進事業 設置対象を小型合併処理 浄化槽(高度処理型も含む) とし、設置者及び管理者を 本市とする。ただし、事業 事 業 の 概 者が設置する浄化槽はす 要 べて事業者の負担とする。 特定環境保全公共下水道 管理棟を含む終末処理施 設(沈砂池、反応槽、最終 沈殿池等)及び管渠を本市 で建設する。ただし、主管 から各戸までの枝管は住 民が負担する。また、維持 管理費の負担金額は住 民・事業者が支払うものと し、その金額は相差地区に 準ずる。 コミュニティプラント 基本的には公共下水道と 同じだが、処理施設の構成 を簡略化する。(管理棟を 除き、ばっ気槽、沈殿槽等) 管渠の建設費及び維持管 理費の分担金は公共下水 道に準ずる。 項 目 対象人口 浄化槽市町村整備推進事業 3373 人 (住民 1773 人(791 世帯)、事業所 1000 人(鳥羽地区の就業者数か ら人口比で妙慶川への流入区域 の就業者数を割り出した)、観光 人口 600 人(地区別の宿泊施設の 収容人員と観光人口の割合から 鳥羽地区の観光人口を割り出 し、人口比率から妙慶川への流 入区域の観光人口を算出))事業 者が設置する浄化槽は事業者の 負担とする。 特定環境保全公共下水道 コミュニティプラント 3373 人 3373 人 (住民 1773 人、事業所 1000 人、 観光人口 600 人) (住民 1773 人、事業所 1000 人、 観光人口 600 人) 867 基 計画設置 基数 計画処理量 (うち 727 基(791 基が設置される が 64 基は既に設置されているも のとする)は市民が設置、また、 事業者が設置する浄化槽は上記 以外に 89 基必要(140 基数のうち 51 基数が既設)) 1000m3/日 (平均 800m3/日) (平均処理量は住民 1 人 1 日当た り 250L、就業者 200L、観光人口 200L とした。) - 3000m 管渠延長 処理場敷 地面積 対象面積 建設費 維持管理費 国庫補助等 - (主要な道路の地下のみとした。 また、ポンプ施設は考慮してい ない。) → - およそ 4~5000m2 およそ 3~4000m2 45ha 安 安 → 高 高 → 中 安 ●浄化槽設置(試算値) 国庫補助 1/3 起債 57%(交付税措置 50%) 住民負担 10% 設置基数 算出根拠 727 基 (うち5人槽 582 基,7人槽 145 基)(8:2 とする) 1 人当たり汚泥引抜汚泥量 (合併処理浄化槽) 0.84kL/年 収集汚泥の収集運搬処理費 30000 円/kL(民間事業者による 処理費とした) ●終末処理施設(試算値) 建設費の 55% 起債 45%(交付税措置 45%) 市の分担金 5% ●管渠(試算値) 建設費の 50% 起債 40.5%(交付税措置 45%) 市の分担金 4.5% 日最大処理量 2000m3 日平均処理量 1800m3 (人口当たり 250L/日、従業員 200 L/日、観光人口当たり 250L /日) 管渠延長 3000m 敷地面積は、440 m3 の処理施設 施設 2000 m2、2300 m3 の処理施 設施設 8300 m2 から概算で求め た。(実績ベース) 住民分担金 基本料金 1000 円/月 使用料金 100 円/m3 世帯数 791 世帯 事業所数 140 箇所(1 事業所当た りの平均人員 7 とする。) ●処理施設及び管渠(試算値) 国庫補助 1/3 起債 57%(交付税措置 45%) 市単独分 10% 処理施設は公共下水道より多少 小さいものとした。 住民分担金 基本料金 1000 円/月 使用料金 100 円/m3 世帯数 791 世帯 事業所数 140 箇所 4.河川浄化施設の設置検討 生活排水の影響により水質の汚濁が進んでいる河川・水路等において、河川・ 水路等の汚れた水を直接浄化する河川浄化施設の設置について検討を行う。 河川浄化施設とは、汚濁物質の沈殿、ろ過のほか、微生物や植物の働きを単独 にまたは組み合わせて河川水を浄化するための施設である。汚濁成分を直接取り れき 除くことから河川直接浄化施設ともいう。代表的なものに礫間接触酸化法を用い た「礫間接触酸化施設」や水生植物を利用した「植生浄化施設」などがある。 検討に当たっては、設置場所、設置場所の汚濁の状況、浄化方法の選定、処理 量の設定、コスト比較、汚濁負荷の軽減効果等を検討する必要がある。 1) 礫間接触酸化施設 (1) 礫間接触酸化法とは 水辺の岩や石の表面には微生物(バクテリア)が付着して薄い膜をつくっている。この微生 物は水質汚濁の原因の1つでもある有機性物質などを食べて生きている。つまり自然の海岸 線ではこうした微生物たちが有機性物質を分解することによって、海水を浄化している。礫間 接触酸化法はこの自然の浄化作用を人工的に作り出し、水質を浄化する方法である。 この方法のもう1つの特徴は、発生した微生物を原生動物が食べ、それをもう少し大きな付 着生物が食べ、さらにそれを魚介類が食べるという、自然な食物連鎖が生まれ、海の生態系 が甦ることを期待できることである。また、この方法を整備された施設は国土交通省の補助事 業となる。 資料:国土交通省 四国地方整備局 港湾空港部資料(資料では海洋の浄化を説明しているが、一般的 に河川浄化に利用されている技術である) (2) 設計諸元の一例 ここでは多摩川における 4 つの浄化施設の設計諸元を一例としてあげる。 表 6-4 浄化施設の設計諸元(参考) 項目 河口からの距離 A 浄化施設 B 浄化施設 C 浄化施設 D 浄化施設 左岸 18km 付近 右岸 18km 付近 右岸 43km 付近 右岸 38km 付近 1983 年 1989 年 1992 年 1996 年 完成年度 流入 計画水質 放流 目標除去率 BOD 13mg/L 20mg/L 15.0mg/L 11.0mg/L SS 16mg/L 20mg/L 15.0mg/L 20.0mg/L BOD 3.25mg/L 5.00mg/L 3.75mg/L 2.8mg/L SS 2.40mg/L 3.00mg/L 2.25mg/L 3.0m//L BOD 75% 75% 75% 75% SS 85% 85% 85% 85% 浄化方式 礫間接触酸化法 礫間接触酸化法 礫間接触酸化法 礫間接触酸化法 全槽面積 13,600m2 28,800m2 5,200m2 9,700m2 礫容量 21,600m3 45,800m3 13,500m3 22,300m3 2.45m 1.95m 2.76m 0.7m 本川への浄化効果(BOD) 0.5~1.0mg/L 1.0~1.5mg/L 0.5~1.0mg/L 0.5~1.0mg/L 施設規模 取水堰高 資料:国土交通省 関東地方整備局 京浜河川事務所資料 (3) 礫間接触酸化施設の構造例 礫間接触酸化施設の構造例を示す。また、礫間接触酸化施設は河川等の流量を全量処理 する方法と、河川の一部をバイパスさせ処理する方法がある。 資料:国土交通省 関東地方整備局 荒川上流河川事務所資料 2) 植生浄化施設 (1) 植生浄化法とは 植生浄化法とは、水耕生物濾過という自然のエコシステムで水質の浄化を図る手法をいう。 クレソンやセリなどの水生植物の水中に広がった根にすむ多くの微小動物がプランクトンを食 べ、その動物の排泄物や死がいがバクテリアなどによって分解されて植物の肥料となる。この ように植物を栽培することで、汚濁の原因のプランクトンや肥料分を取り除いて水を浄化する のがこの浄化のシステムである。 (2) メカニズム 植生浄化法のメカニズムは以下のとおりである。上図の○で囲まれた部分の詳細を下図に 示す。 湖水にある窒素やリンを含む SS 郡が水性植物の根にぶつかり沈 むとともに、サカマキガイなどの 微小動物が植物プランクトンを食 べ成長する。 ヤゴやドジョウ、カワエビなどの 小動物が微小動物を食べ成長 するとともに、その排泄物・死が いがバクテリアの栄養分となる。 栄養分として窒素やリンを吸収し た水性植物を収穫し、系外に取 り出すことで、栄養塩減少・透視 度上昇を図り、処理水と して放 流する。 資料:国土交通省 関東地方整備局 霞ヶ浦河川事務所資料 (3) 植生浄化施設の設計例 植生浄化施設の設計例を示す。一般的には以下のように河川の一部を植生に接触させ浄 化させる。 資料:国土交通省 中国地方整備局 弥栄ダム管理所資料 第7章 計画の推進に関する事項 1.計画の推進 2.関係部局間の連携 3.関係市町村・関係行政機関との連携 4.関係する他の計画との調整 第7章 計画の推進に関する事項 1.計画の推進 生活排水対策の施策は、生活排水処理施設の整備と、家庭でできる生活排水対 策の実践が 2 つの大きな柱である。 家庭でできる生活排水対策の実践については、当事者である住民の理解と協力 が不可欠であることはもちろんであるが、特定環境保全公共下水道や、漁業集落 排水処理施設等の生活排水処理施設の整備についても、住民の理解と協力なしに 推進することは困難である。 また、自然環境と歴史的伝統を重んじ、自治会・町内会等地域の生活圏を生か しながら、市民の連帯感、豊かな人間性に基づく近隣愛と共同奉仕を深め、心の ふれあう住みよい地域社会の形成に努めて行く。 これらのことから、庁内においては関係各課で構成する「鳥羽市生活排水対策 推進連絡会」において計画の推進を図り、生活排水対策を組織的かつ継続的に推 進するものとする。 生活排水対策の推進体制を図に示す。 鳥羽市生活排水対策推進連絡会 ・企画財政課 ・農水商工課 ・建設課 ・水道課 ・環境課 図 7-1 鳥羽市生活排水対策推進連絡会の体制 2.関係部局間の連携 生活排水対策の推進は、特定環境保全公共下水道や、漁業集落排水施設などの 生活排水処理施設の整備から、家庭でできる生活排水対策の実践のための普及啓 発活動、環境教育など、多種・多様の施策がある。 このため、関係各課で構成する「鳥羽市生活排水対策推進連絡会」により庁内 の連絡・調整を図り、生活排水対策を総合的かつ効果的に推進するものとする。 生活排水対策関係課及び関係各課の取組むべき事項は、次のとおりである。 表 7-1 生活排水対策関係課と取組むべき事項 課 企画財政課 農水商工課 建設課 水道課 環境課 名 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 取組むべき事項 市の総合計画に関すること 畜産排水に関すること 漁業集落排水施設の整備に関すること 漁場環境の保全に関すること 河川整備、護岸整備、水辺環境の整備等に関すること 都市計画に関すること ・ ・ 公共下水道整備事業に関すること 公共下水道の維持管理に関すること ・ ・ 生活排水対策の総合的な推進に関すること 市民に対する生活排水の適正な処理に関すること 合併処理浄化槽の設置促進に関すること 既設浄化槽の適正管理の指導に関すること ・ 3.関係市町村・関係行政機関との連携 鳥羽湾及び的矢湾、ならびにこれらを含む伊勢湾の水質を保全するためには、 本市だけでなく鳥羽志勢広域連合構成市町、また伊勢湾に臨むすべての市町村と 県、さらに国が共通する課題として、協議し、処理し、また解決するための協調 体制を確立することが必要である。 4.関係する他の計画との調整 本計画は、中間目標年度(平成 22 年)において、対策の効果の検証を行い、その 後の方針や施策等の見直しを図る。 ただし、中間目標年度までに、本計画の根幹となる鳥羽市総合計画等関連する 上位計画に大幅な見直しが生じた場合、本計画の見直しについては「鳥羽市生活 排水対策推進連絡会」において協議する。 水環境用語集 ページ 用 語 はじめに 生活排水 2 総量規制 2 公共用水域 3 3 BOD(生物 化学 的酸素要求量) COD(化学的酸 素要求量) 3 T-N(全窒素) 3 T-P(全リン) 3 特定環境保全 公共下水道 4 BAU (Business as Usual) 22 23 23 25 25 26 用語の意味 飲み水、炊事、洗擢、風呂、トイレなど日常生活で流されている 水をいう。 工場等排出源の汚濁物質の濃度規制を補完するものとして、汚 濁物質の総量(汚濁負荷量)を規制する規制する方式。 瀬戸内海、東京湾、伊勢湾のような広域的な閉鎖性水域の水質 改善を図るため導入された。 河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及 びこれに接続する公共溝渠、かんがい用水路その他公共の用に 供される水路をいう。 汚濁の程度を示すもので、水中の有機物が微生物の働きによっ て分解されるときに消費される酸素の量をいう。 BOD と同様に汚濁の程度を示すもので、水中の有機物を酸化 剤で化学的に分解したときに消費される酸素の量をいう。 汚濁の程度を示すもので、有機性窒素化合物及び無機性窒素化 合物(アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素)に含有される 窒素の全量をいう。 汚濁の程度を示すもので、正燐酸、ピロ燐酸などの種々の燐化合 物中に含有される燐の全量をいう。 自然公園内や市街化区域外における農村部の生活環境の改 善、あるいは湖沼等の自然環境の保全を目的とする公共下水道 をいう。 現行の施策の場合または対策をまったく行わなかった場合の将 来の予測値をいう。ベースライン(排出量算出の基準)とも呼ばれ る。 漁業集落排水 漁業集落内の生活排水を処理する施設をいう。 施設 水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境の保全に関する基準 については、河川、湖沼、海域毎に利水目的等に応じた類型別 水質環境基準 の基準を定めている。各公共用水域については、類型のあては の類型 めを行うことにより当該水域の環境基準が具体的に示されること になる。 n-ヘキサン抽出 汚濁の程度を示すもので、主として、無機性及び有機性の油分 物質(油分) による汚染の指標をいう。 合 併 処 理 浄 化 生活排水のうち、し尿(トイレ汚水)と雑排水(台所や風呂、洗濯 槽 などからの排水)を併せて処理することができる浄化槽をいう。 生活排水のうち、し尿(トイレ汚水)を処理することができる浄化槽 単 独 処 理 浄 化 をいう。 槽 浄化槽法の改正により単独処理浄化槽の新設は実質的に禁 止されている。 汚濁の程度を示すもので、水中に浮遊する小粒状物質で懸濁 SS(浮遊物質量) 物質の量をいう。 ページ 29 30 39 45 48 60 71 73 用 語 用語の意味 水洗化されていない便所の汲み取り処理された「し尿」や「浄化 し尿処理施設 槽汚泥」をバキュームカー等で収集したものを処理する施設をい う。 BOD 等で表される汚濁物質が水環境に排出される量のことをい 汚濁負荷量 い、汚濁物質の濃度とこれを含む排水量との積で表される。 汚濁負荷量に流達率を乗じたもの。 流達負荷量 排出源の汚濁負荷量ではなく公共用水域に流れ出た負荷量を 示す。 汚濁物質が対象とする水域へ到達する割合をいう。 発生源から排出された汚濁物質は、対象とする水域に流入する 流達率 までには、水の移動にともない、自然的・人為的な種々の経路を たどって到達しその間分解される。 雨水等の降水は地上に到達すると、地下に浸透する水と、地上 表面流出率 を流れる水に分かれる。そのうち地上を流れ河川等に流れ込む 量の比率を示す。 森林などにより、水を蓄えたり、洪水を防止したり、水質を浄化す ることをいう。 森林に降った雨はすぐに川に流れ込まず、地中にしみこみ、ゆ 水源涵養 っくりと川に流れ込む。このため、森林は「緑のダム」とも呼ばれて いる。また、雨水が森林の土壌を通過することにより、水が浄化さ れる。 コミュニティプラ 公的機関や民間開発者の開発行為による住宅団地等において ント し尿、生活排水を処理する施設をいう。 河川浄化施設のひとつで、汚濁物質の沈殿、ろ過のほか、微生 礫間接触酸化 物や植物の働きを単独にまたは組み合わせて河川水を浄化 施設 するための施設。植生浄化施設も同様の働きをする。 都市計画区域(用途地域) 都市計画区域(無指定地域) 農業振興区域 図 2-12 都市計画区域と農業振興区域 19 神島町 答志町 桃取町 菅島町 小浜町 坂手町 堅神町 安楽島町 石鏡町 船津町 河内町 浦村町(本浦) 岩倉町 松尾町 国崎町 白木町 畔蛸町 堅子町 千賀町 凡 例: 合併処理浄化槽設置促進区域 漁業集落排水処理施設整備計画区域 公共下水道区域 特定環境保全公共下水道区域 図 6-4 生活排水処理施設整備計画区域図 相差町 69
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