ハート薬局北越谷店 舟橋麻奈美先生 - 埼玉県薬剤師会

薬剤師災害派遣ボランティア活動報告
郡山市
ビッグパレットふくしま(4月28,29日)
埼玉県越谷市
ハート薬局北越谷店
舟橋
麻奈美
2011 年 4 月 28、29 日の 2 日間、福島県郡山市のビッグパレットふくしま(以下 BPF)にて活
動してきました。
まず、郡山南インターをおりて感じたのは、郡山市内はところどころに震災の爪あとが残ってい
るものの、ほぼ日常に戻っているということです。私が到着した時間帯が、ちょうど子供の通学
時間帯に重なったため、全員マスクをして通学している様子を見ることができました。
4月 28 日
8:00 BPF 到着
8:10 ミーティングに参加。当日の役割分担などを決める。
9:00~10:30 看護師さん、広島チームの薬剤師さんについて一緒にラウンド。
10:30~ BPF 内を案内してもらった。
11:30 救護所に戻り、調剤業務。
12:00~13:00 お昼休憩
13:00~17:00 救護所にて調剤業務。
17:00 全体ミーティングと薬剤師ミーティング後、終了。
4 月 29 日(診療は休日体制)
8:30 薬剤師ミーティングで、当日の役割分担を決める。私は診療所の調剤業務。
9:00~診療所にて調剤業務。
12:00~13:30 お昼休憩
13:30~ 午後は診療がないため、午前中のラウンドの続きがある人はラウンドへ。
残りの人で、残置薬の整理や薬局内の整理。
16:30ころ~ Dr が数名を診察。
18:00 保健師さんから、症状の重い方の薬の配達を依頼される。
18:30 業務終了。
・薬剤師業務について
ラウンドに関しては、看護師さんが血圧を測ったり、具合を聞いたりしながら、薬剤師がお薬手
帳を確認して、服用している薬の確認や残薬を確認して、薬の整理をしたり、薬の相談を受けた
りするものでした。薬剤師が単独でラウンドをすると、すでに医師、看護師が廻ったところ等は
話がダブったりすることがあるので複数の職種で班を組んでまわっているそうです。普段、調剤
薬局で勤務しているとほかの職種の方と一緒に行動して話を聞いたりする機会がないので、貴重
な体験だったと思います。
調剤業務ですが、すでに急性疾患などの短期処方は BPF 内で、
慢性疾患の長期処方に関しては、
市内のクオール薬局に依頼し中 1 日あけてお渡しする、という形が出来上がっていました。小
児科は BPF 外の病院に受診に行っているようで 2 日間で 1 件もありませんでした。医師の診察
が、薬局の目の前でされていて、処方がまわってきてから何か疑義があれば医師に直接聞きにい
くことができました。医師の診察を目の前で見ることができるというのは普段なかなかない機会
だと思います。
薬局内
薬品棚
OTC 在庫
薬局待合室(?)
長期処方はクオール薬局さん依頼のため、中 1 日空いてしまうのは仕方のないことなのですが、
患者さんの中には受診したことすら忘れている方、また BPF 内で受診、処方受付後、すぐに外
部の病院でまた受診し、そちらからすでに薬をもらって飲んでいるため薬が BPF 内で出ている
ことすら知らなかったという方がいらして、残置薬がかなりありました。取りに来てもらうよう
声がけをすることによって、残置薬は減らすことができました。
ラウンドや、残置薬の声がけの際に実際に飲んでいる薬を見せてもらう機会がありましたが、飲
み方が間違っている方や、きちんと飲んでいない方がすごく多いと感じました。必要な方には 1
包化をしましたが、BPF 内には分包機がないので、人の手でやらなければなりません。小さな
ユニパックに 1 回分ずつ薬をヒートごと切って入れて、袋に「あさ」とか「よる」とかを色分
けして書きました。数人で手分けしてやりましたが、みんなで「機械って本当に便利なんだね」
と言いながら、普段なら当たり前に使っていたものに感謝しました。
ただ、診療所も今後規模を縮小していくということで、外部の病院に受診に行っていただくとい
う形を増やしていくそうです。外部の病院へは無料のバスが BPF から出ているので、それに乗
っていき、受診できるとのことです。私が郡山に入る少し前まで腸炎が流行っていたそうですが、
28 日にはすでに終息していて、私がそのような処方を見ることは 1 度もありませんでした。た
だ、29 日にはインフルエンザが流行の兆しということで、注意を促す張り紙を看護師さんが作
っていました。
・ 避難所と非難されている方の様子
私がお話させていただいた方に関して言えば、思ったよりもどんより暗い人があまりいないとい
う印象を受けました。それでも、プライバシーのない避難生活はつらいものだと思いますが、ダ
ンボールの仕切りに絵を描いたり貼ったりしている人や、励ましのメッセージなどを自分のスペ
ースの仕切りのダンボールに貼っている方もおられました。ときどき、ボランティアの炊き出し
があったり、歌手のライブなどがあったりと催し物も時折ありました。
同じ BPF 内でも場所によって居住環境が大きく違うと思いました。大人の背丈より高めの紙管
による骨組が組まれ、布で仕切られている部屋、テレビでよく見かけるダンボールで仕切られた
部屋、ほぼ仕切りのない部屋、もともとカーペットの部屋や通路などのタイルの上にダンボール、
毛布などをひいて生活する人などさまざまでした。
布と紙管で仕切られている
通路も生活スペース
食事は 1 日 3 回、配給の時間が決められていて、パン、おにぎり、フルーツなどが配られてい
ました。必要な方には、医師の判断によりおかゆ券というのが配布されて、おかゆをもらえるそ
うです。
一方、避難生活が始まってから、老人の認知症がひどくなったり、新たに認知症の症状が出てい
る人がいるそうです。それと、意外と避難所での隣近所の方々をあまり知らない人が多かったで
す。名前ぐらいしかわからないとか、名前すら知らないという方もいました。
毎日、単調な生活を送っているためか、日にちの感覚のない方も多いようです。
正直言って、2 日間では不完全燃焼感は否めません。しかし、たった 2 日間ですが、得られるも
の、学べたことは多かったと思います。
少しでも多くの薬剤師の皆さんにボランティアに参加していただければと思います。