議事録 (342KB) - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

研究評価委員会
第1回「ナノメタル技術」
(事後評価)分科会 議事録
日 時:平成19年11月23日(金:祝) 10:00~19:00
場 所:東京商工会議所ビル 4F 401-403号室
出席者(敬称略、順不同)
<分科会委員>
分科会長
中嶋 英雄
分科会長代理
委員
委員
委員
委員
委員
津崎 兼彰
小関 敏彦
田中 敏宏
中西 栄三郎
新田 明人
東 健司
大阪大学 産業科学研究所 新産業創造物質基盤技術研究センター
高次制御材料科学研究部門 金属材料プロセス研究分野 センター長 教授
物質・材料研究機構 新構造材料センター
センター長
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 教授
教授
大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻
教授
日産自動車株式会社 テクニカルセンター材料技術部金属材料グループ 主担
電力中央研究所 材料科学研究所
所長
大阪府立大学 大学院工学研究科 マテリアル工学分野
教授
<経済産業省>
オブザーバ
小柳 淳也
経済産業省 産業技術環境局 研究開発課ナノテクノロジー・材料技術担当官
<推進部門>
推進者
同
同
同
同
同
寺本
山口
真部
八尾
國谷
安井
NEDO ナノテクノロジー・材料技術開発部
同
PM
同
主任研究員
同
主査
同
主任
同
職員
<実施部門>
実施者
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
同
井上 明久
安彦 兼次
高木 清一
鉄井 利光
新田 広行
角山 浩三
佐藤 馨
中井 泰弘
武本 敏彦
石黒 徹
鎌田 政智
西田 泰裕
金子 輝雄
柏木 亨
石田 清仁
里 達雄
伊藤 和博
竹内 章
細谷 佳弘
山下 孝子
福田 憲男
結城 典夫
衛藤 雅俊
大西 隆
片岡 公太
中津 英司
博信
智彦
高明
秀樹
昌浩
あい
統括研究員
東北大学 総長/PL
東北大学 金属材料研究所
客員教授ユニットL
東北大学 金属材料研究所
客員准教授WG-L
東北大学 金属材料研究所
客員准教授WG-L
東北大学 金属材料研究所
客員助教
JFE テクノリサーチ(株)
顧問WG-L
JFE スチール(株) スチール研究所 分析・物性研究部 部長
神鋼電機(株) 開発本部 研究部担当部長
日新製鋼(株) 技術研究所
担当部長
(株)日本製鋼所 鉄鋼事業部 技師長
三菱重工業(株) 技術本部 長崎研究所 材料・溶接研究室長
(財)大阪科学技術センター
理事
(財)大阪科学技術センター 付属ニューマテリアルセンター 総括マネージャー
(財)大阪科学技術センター 付属ニューマテリアルセンター 調査役
東北大学 大学院 工学研究科 教授ユニットL
東京工業大学 大学院 理工学研究科
教授
京都大学 大学院 工学研究科 准教授
東北大学 金属材料研究所
准教授
JFE スチール(株) 主席研究員
JFE スチール(株) 主任研究員
ヤマハメタニクス(株) 技術部長
日鉱金属(株)
主席技師
日鉱金属(株)
主任技師
(株)神戸製鋼所
主任研究員
日立金属(株) 冶金研究所
日立金属(株) 冶金研究所 主任研究員
1
<NEDO 企画担当>
NEDO 企画担当 樋口 貞雄
NEDO 企画調整部
<事務局>
事務局
同
同
同
同
同
同
同
NEDO 研究評価部 統括主幹
同
主幹
同
調整主査
同
主査
同
主査
NEDO 新エネルギー技術開発部 主査
(株)三菱化学テクノリサーチ シニアコンサルタント
同
営業企画部 部長
竹下
高松
志賀
福山
山田
宮田
松永
三縄
満
秀章
英俊
雅久
武俊
真人
俊樹
和雄
課長代理
<一般傍聴者> 4名
議事次第
1.開会、分科会の設置、資料の確認
2.分科会の公開について
3.評価の実施方法
4.評価報告書の構成について
5.プロジェクトの概要説明
6.プロジェクトの詳細説明
(1) 超高純度金属材料分野ナノメタル技術開発について
(2) 実用金属材料分野ナノメタル技術開発について
(3)実用化の見通しについて
7.全体を通しての質疑
8.まとめ・講評
9.今後の予定、その他
10.閉会
議題1.開会、分科会の設置、資料の確認
事務局より本分科会設置についての説明があり、予めNEDO技術開発機構理事長より指名された中嶋分科会
長が紹介された。中嶋分科会長の挨拶の後、分科会委員、プロジェクトの推進・実施部門、評価事務局の出席者
が紹介された。事務局から配布資料の確認が行われた。
議題2.分科会の公開について
事務局より資料 2-1~2-4 に基づき説明し、議題6「プロジェクトの詳細説明 (3)実用化の見通しについて」
および議題7「全体を通しての質疑」を非公開とすることが了承された。
議題3および4.評価実施方法および評価報告書の構成について
事務局より、資料 3-1~3-5 及び資料4に基づき、評価の実施方法と評価報告書の構成に係わる提案について説
明が行われた。事務局からの提案内容を基本に本評価を進めることが了承された。
議題5.プロジェクトの概要説明
推進・実施者より資料 5-3 に基づき説明が行われた後、引き続き質疑応答がなされた。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。ただ今、NEDO の方から事業の位置付けと研究開発マネジメントについ
て、また、プロジェクトリーダーの井上先生の方からは研究開発成果と事業化の見通しについて、この
プロジェクト全体の概略についてご説明をいただきましたが、この技術の詳細については、次の議題6
で議論しますので、ここでは主に研究の必要性とか、マネジメントについてのご質問、ご意見を皆様に
お願いいたしたいと思いますが、如何でしょうか。何か。どうぞ。
(津崎分科会長代理) どうもありがとうございます。大変膨大な研究内容を、これを見ますと、比較的適切な予算
でやられていると思います。まず、NEDO さんの方にお聞きしたいのですが、事業の目的・位置づけで、
もちろん科学技術基本計画に則った上でこの様なプロジェクトを遂行されている。その始点になる平成
13 年には、この科学技術基本計画自身、また、初期の目標自身が、将来を見越した上での目標設定であ
ったと思います。それを今の視点から見るとどの様になっているのか、非常に良い企画であったという
2
ようなことが考えられようかと思います。対象になさったのが、ナノ領域の組織、構造、界面という課
題、そういう方法論で日本の産業を支える材料の根幹を、特性を上げていこうということですが、私、
今、見ますと、昨今、資源が非常に枯渇して、国民の殆ど全ての方が資源問題ということに関して理解
が得られる状況になっているということから見ると、その資源を如何に有効に使っていくかということ
にまさに合致したようなプロジェクトであったと思います。推進、実施者としては、そこら辺のところ
は、現時点で、本事業の目的を見てどの様に感じておられるのでしょうか。
(中嶋分科会長) そこは NEDO の方ですかね、質問は。
(津崎分科会長代理) どの方にお答えいただいたらいいですか。
(事務局) プログラムとしての、スタートした時のプロジェクトの目的・意義といったものが、現時点において
どうだったのか、どの様にこの事業がフィードバックしたのか、多分、実際に合っているであろうとは
思いますが、推進された NEDO としてどうだったのかということだと思われるので、大変恐縮ですが、ナ
ノテクノロジー部から、その点のご見解を、ご回答いただければと思います。
(NEDO・寺本) 元々、ナノテクノロジー・材料というのは、第2期の科学技術基本計画から重要4分野の1つと
いうことが定義されまして、我々としてもそのところは強くやっていかなきゃならないという考えでご
ざいました。経済産業省の方でご提示があったのは、ナノテクノロジー・プログラムの中の位置づけと
しても、マテリアル・プロセス技術ということで、どちらかというと、新材料を創るというよりは、そ
れのプロセス技術の方に力を入れて始めておりました。そこは、材料の歴史で、先生方の方がお詳しい
と存じますが、大体 90 年代に入ってからはプロセス技術が中心でございまして、そちらのところでナノ
を如何に利用出来るかという観点から、このプロジェクトが始まりました。その内に、合金材料の偏在
の問題とか、中国が資源を囲い込みするとか、そういう話が後追いで出てきて、逆に、このプロジェク
トは、当初目指したところは操作技術だったのですが、それが資源問題の解決策として、出てきた。だ
から、当初は、そのプログラムにあります様に、資源問題はそう議論はされてはいなかったのですが、
現在は、議論されております。例えば、文科省、経済産業省の、私どもがやっているのですが、レアメ
タルの代替する技術開発とか、文科省さんは、科学技術として、元素戦略という形で、もっと基礎的な
ところで、沢山世の中にある元素を使って代替が出来ないかとか、そういう風が今、吹いています。我々
もやっていますが、このプログラムは、中間評価の時にもいただいたのは、どちらかというと日本の産
業競争力の強化というのを視点に、今までやってきたのですが、そちらの方にも応用展開が可能だなと
いうのが、正直なところでございます。ですから、5年前にそこを考えていたかということになると、
それほどでもなかったというのが実態でございます。
(津崎分科会長代理) そうすると、初期に考えられたより以上の波及効果があったと、むしろ。
(NEDO・寺本) 我々はそう認識しております。
(津崎分科会長代理) 多分、私もその様に思います。だから、NEDO さんがプロジェクトをマネジメントされる時
に、これだけ環境、外界が動くということもあるのだなということで、逆に言いますと、よくプロジェ
クト間のデマケの問題がありますけれども、どんどんその様にリンクしてくる可能性が出てくる、当初
の目標とは違ってどんどんリンクしてくることがあるのだなと思います。逆に、それをいい方向に持っ
ていっていただける様なことを是非していただければと思います。どうもありがとうございました。
(中嶋分科会長) ありがとうございます。それでは、東委員、お願いします。
(東委員) 私も、今、津崎さんが非常に良いポイントのことをお話しされたと思います。といいますのは、この
5年間、長いこのプロジェクトの中で、当初、これはちょうど平成 12 年度6月ぐらいのナノテクという
ようなことで、経済産業省の中でのこのプロジェクトの取り扱いが非常に大きくドラスティックに変わ
った年に立ち上がったプロジェクトだと思います。そういった意味では、当初のこういう目的設定等、
必ずしも当初のナノテクのそういうプログラムとの整合性からいくと、必ずしもこのプロジェクト、本
当にいいのかなということがありましたが、今日、この成果を聞かせていただいた時に、先ほど津崎さ
んがお話された様に、今、本当に問題になっている、元素戦略等を含めた元素の根幹に関わるそういう
高純度の問題とか、そして境界の非常に詳細なメカニズム等、こういう元素の有効性という様なことに
ついての成果を伺って、5年前にナノテクをやるのが日本のこういう金属分野の産業で本当に適切だっ
たかという様なことも含めて考えた時に、このプロジェクトは、災い転じて福となすと言っちゃいけな
いかもしれませんが、現状の中での評価としては本当にすばらしい成果を出されて、逆に、これから元
素戦略等を含めて何かをやるのではなくて、この研究そのものがある程度、そうした、今、問題になっ
ている部分のベースになり得る成果を出された。そういった意味で、今、寺本さんが「いやあ、それは
判っていたんだよ」と言うのかなと思ったら、とても謙遜に言われたので、ちょっとあれだったのです
けども。その時に先を見通してどうのこうのじゃなくて、結果的には、今タイムリーな成果を出された
ということで、逆に、そういったこの成果をさらにベースにして次の展開をしていくと。そういった意
味で、評価委員側からして、当初の設定に対して評価というよりは、本当はそれが適切だとは思います
が、そういった時代の流れ、あるいは、日本のこの産業界の流れ、世界のその流れという様なことを鑑
みながら、今回のこの成果を評価させていただく様なことが、可能であればそういった観点で、それに
3
よって、その視点によっては評価の具合もかなり変わっていくのではないかなという感じをいたしまし
た。ちょうど津崎さんの方からもそういったご発言がありましたので、私も、ちょっとそこのところを、
評価の側として、どの様に我々も対処すればいいかということについて、少しご議論いただけると、非
常にありがたい。評価する側としても、現状のこの出てきているデータの、今後の本当にまさしくタイ
ムリーな使い方として必要なのではないかなという気がしましたので、是非、ちょっとご配慮いただけ
ればということでございます。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。その他、委員の方でご質問とか。どうぞ。
(小関委員) ただ今のご説明を伺って、こういった様な金属系の新しい材料の開発を国が支援して進めるという
ことは非常に重要だと思いますし、また、お伺いした今の研究開発の中身についても、非常に重要なテ
ーマ、分野を含んで進められたというのは、非常によく理解出来ました。同時に、先ほどからお話があ
ります様に、このプロジェクトが進められた5~6年の間には、やはり内外で非常に多くの研究者によ
ってナノに関わる材料開発の研究は進められてきたわけです、このプロジェクト以外でも。そういった
中で、このプロジェクトの個々の位置づけというのは、多分、個々のテーマに関しては、これからのご
説明の中でご説明いただくと思いますが、プロジェクト全体として進めた場合、内外で非常に多くの研
究がなされているのと比較した時のプロジェクトの独自性といいますか、あるいは、色々なテーマを包
括した中で、それぞれのテーマの、プロジェクトで進めた時のシナジー効果とか、あるいは、それぞれ
の分野を横断する様な共通的な知見で、プロジェクトでやったことによって、非常にその分野を超える
様な、基盤、知見が進んだという様なことがあったら、簡単にご説明いただければありがたいのですが。
(中嶋分科会長) 井上先生の方から。
(東北大・井上) ありがとうございます。例えば、この前半の方の組成制御技術に関しましては、恐らくこれは
東北大金研の集中研がつくられて、産学連携といいますか、それで、特に、やはり分析技術も行いなが
ら、それに基づいて色々、方法というか、高純度化の技術を開発しながら、さらにトン単位の大型化も
行うということで、さらにクリープ強度でありということで、なかなか1大学、1研究者グループが出
来ない様な、そういうものが、文字どおり、この成果の中にシナジー効果を発揮して、川上から、川下
の、さらにこれで実際にこういうふうにさらに使われたというところがあれば、もっとよろしいのかも
しれないのですが、今、その一歩手前ということで、それなりのシナジー効果が発揮出来たのではない
かなというふうに思っております。それと、後半の方の実用金属材料におきましても、これは一見、分
かれている様ですが、非常に実用上、先ほどの資源問題もありましたが、鉄、銅、アルミで、工具鋼に
おいては、低級工具鋼が高級工具鋼を上回るといいますか、高価なタングステンだとか、文字どおり、
対象になっている様なそういう元素に対しても、資源がということで、恐らくこのグループにおきまし
ても、材料は違いますが、その根幹となすナノ組織制御、析出制御、それに基づくシミュレーション、
データベースという様なことは、各分野の、それぞれ、鉄、銅、アルミ、実用材料の専門家が、互いに
会議を開き、連携を密にして、こういう、あと、最近のナノテクノロジーの銅薄膜ですね、こういう様
なことも達成出来たのではないかなということで、恐らく銅なら銅グループだけ、あるいは鉄なら鉄グ
ループだけだと、なかなかここまで行かなかったのではないかと思います。この得られた総合的な知見
こそが、次の人が、各人の中でシナジー効果が発揮出来る様な、大変有用な知見が含まれて、あまり PL
がそれを言うとまずいのかもしれないのですが、という様な内容になっていると思っております。
(中嶋分科会長) よろしいでしょうか。じゃあ、次、田中委員の方から。
(田中委員) 今回の分科会が理解を深めるためにということを事務局が仰られて、ちょっと質問させていただき
たい。高純度の金属材料に私は非常に興味を持っておりまして、すばらしい成果だなと思っております。
この中でクロム-鉄合金にかなり特化されたところがありまして、先ほどのお話では、中間評価の結果
を受けて少し方針を転換された結果として集中された。ちょっとその辺の背景が、どういうふうな形だ
ったのか。というのは、高純度の話というのは恐らくどの金属にもかなり幅広く適用されるものであっ
て、もちろん鉄-クロム系のステンレスというところが重要な合金の1つですから、そこに特化という
のは分かりますが、かなり広いレンジの中でそこに特化されたという背景を少し、今日のこれからの議
論の参考になるためにお聞きしたいです。というのは、もう1つは、先ほど津崎先生と、それから東先
生がお話しされた様に、元素戦略といいますか、例えば、ニッケルなしで、こういうふうにしてずっと
展開されていくというのは、ものすごくいい結果につながってくるかと思っています。そうすると、先
ほどのお話の様に、当初それがどこまでか判らないですけど、平成 16 年の時点で、そういう先を見越さ
れようとする背景もあったのか、あるいは、それとはまた別に、それ以前の中間評価前のところで、高
純度の研究をなさる中で、やはりこの辺に特化するのが一番この成果を適用されやすいという様な成果
が出たのか、あるいは、やはりクロム-鉄合金が必要だったのかとか、色々あったかと思いますので、
今日の午後からのというか、これ以降の議論が多分そこに集中されるかと思いますが、その参考までに
ちょっとその背景をご紹介いただければと思います。
(東北大・安彦) 簡単に申し上げますと、1つは、中高温、まあ 300 度、400 度ぐらいで、応力腐食割れの起こり
にくい材料の開発ということが昨今急がれているというのが1つ、非常に大きなポイントでした。それ
4
と、もう1つは、今仰られた様に、ニッケルとか、そういう合金元素をもっと低減して、安いもので、
逆に言いますと、色々な、オーストナイト系、フェライト系ステンレスなんかがありますが、私たちの
超高純度を目指すものというのは、特性が非常によくなってくるということで、逆に、ニッケルとか、
クロムとか、減らすことができないのか。極端に言うと、先ほどの中高温のものでもニッケルがなくた
って出来るではないかという観点で、私たちはもう初めから頭の中にはそれを持っていました。ただし、
それが、時の流れで、そういうものがうまく浮上してきたことと、それから、それに則って進めてきた
ことが非常にうまくいった。それから、分析技術がかなり進んで、そういう、あっちゃいけない、いわ
ゆる不純物、それが何だったというのがだんだん解って、これは完全じゃないですけど、少しずつ解っ
てきました。そういうので、10 キロから 50 キロ、それから、思いきって2トンまでという、非常に大き
な仕事が出来たというので、私どもの方の流れというのは、最初からそれは、私、サブリーダーとして
は完全に頭の中にございました。これでよろしいでしょうか。
(田中委員) 結構です。ありがとうございます。
(中嶋分科会長) よろしいでしょうか。
(東北大・井上) あと、私が思うに、それと、BCC 金属がやはり高純化しづらかった、それでずっと長年の流れが
あって、不純物が特性にものすごく影響する、その辺りのきっかけを安彦先生等が見出されて、そうい
うことが引き金になり、こういう実用材料に結びつければ、新しい、そういう、非常に社会に貢献でき
そうなと、そこがポイントの1つであろうと。
(田中委員) わかりました。そうすると、ニーズと、ここでのご研究でスタートされた中間評価までの結果とが
うまくマッチしたということですね。判りました。ありがとうございます。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。その他、どうぞ。
(東委員) 1つ、ちょっと引っかかったので、少し質問させていただきたい。実は、
「ナノメタル」というこのタ
イトルというか、
「ナノメタル技術」プロジェクトですが、ちょっと「ナノメタル技術」というとよく判
らないのですけれども。その文章中、見ると、
「ナノメタラジー」と書いてあって、非常に判り易い。
「ナ
ノメタル」というのと「ナノメタラジー」というのと、どの様に違いを分けてお使いいただているのか、
ナノメタラジーだと何となく直観的に判るのですけども、その辺、少し判り易く説明していただきたい。
(東北大・安彦) これは、私が「ナノメタラジー」ということを国際会議で提唱して、非常に判り易いという評
価を受けました。
「ナノ」というのは常に小さいという認識だったのですが、そうじゃなくて、不純物の
数をナノに持っていくという、アボガドロ数との戦いだというので、ヨーロッパの国際会議の中で提唱
しましたら、これは非常に判り易くて、目標に掲げ易いというので、
「ナノメタラジー」というのが、国
際会議を通じて、超高純度の世界の人には定着しつつある。それで、生まれたものをメタルとしようと
いうので、それから、生まれた金属という意味で、経産省の非鉄金属課で担当の方が「ナノメタル」と
おつけになられた。そういうふうな経緯が、事実だと思います。
(東委員) わかりました。
(中嶋分科会長) よろしいでしょうか。私から1つだけ質問させていただきたいのですが、このナノメタル技術、
それ自体は基礎の、高純度化から始まって、実用金属材料のサイエンスと、それから応用というふうに
ありますが、もっとも高純度のところは鉄に特化している。それから、実用金属では鉄、アルミ、銅と
ありますが、なぜ、アルミと銅の高純度のところがここから外れているかというのは、元々そういう研
究はかなり行われているとか、我が国よりも他の国が先行しているとか、色々そういう何か理由がある
のでしょうか。その辺の経緯をご説明いただきたいと思います。
(東北大・安彦) 完全にあります。今、井上総長が仰った様に、BCC メタルの高純度化というのは非常に難しゅう
ございます。アルミニウム、銅というのは、今までの歴史的にも高純度化が進んでおりまして、大体そ
れで済んでいるという様に私たちは思っています。私自身も銅の超高純度化をいたしました。確かに性
質は変わってきます。だけど、実用化という意味では、そこまで持っていかなくたってかなり進むだろ
うと私どもは思っております。銅の高純度化、あるいは金の高純度化、それからアルミニウムというの
は、なかなかこれはそれ以上のものは難しゅうございます。
(中嶋分科会長) わかりました。その他、何かご質問、ございますか。
(東委員) 今の研究分野に関係する話、今の中嶋先生とも関連しますが、それぞれの超高純度金属とか、実用金
属材料分野、ここの部分に関してのストーリーというか、話というのはよく判るのですけども、その相
互間の、今、言われた、連携とか連動的な話、あるいは知財の共有化とか、そうしたことについて、今
回ご説明がなかった様ですが、これは、プロジェクトとしてそういう、個々のユニットというお話があ
ったと思うのですけれども、そういったことで棲み分けをしていて、このユニットⅠ、Ⅱ間の相互作用、
連携等、そういうところはあんまり重要視しないでやるという、こういう趣旨のプロジェクトというふ
うに理解させていただいてよろしいんでしょうか。
(東北大・安彦) 非常に単純に考えていただければいいと思いますが、私どもの超高純度といいますのは、既存
金属の2桁、ないし3桁、純度がいいというのを目標にしております。それで、現在、既存の方から攻
めるのと、今日少し話をさせていただこうと思っていますが、やはり相当大きな隔たりがありまして、
5
ファシリティー云々がそう単純に進まない。ですから、むしろ、そちらの方にエネルギーを使うよりは
分かれた方がいいということを、私が最初に承った、この研究分野の時に、2つに分かれてくださいと
いう話を承りましたものですから、それで、一番難しいところを総長にお願いして、仕上げをしていた
だいたというふうに、私は認識しております。
(東北大・石田) ちょっと補足説明をさせていただきます。特に実用化の方ですが、当初、東先生が仰る様に、
相互の関係、これは非常に大事ですから、知識を色々共有化するいわば知識の構造化といいますか、そ
ういうプロジェクトが、当初、前プロジェクトに入っていました。それで、我々の方も、鉄と銅とアル
ミのそれぞれの分野の人が、シミュレーションを通じて、そういう知識の構造化というか、お互いに情
報交換して、どうやってアプローチしていこうかということでやっていた。途中で、知識構造化のプロ
ジェクト本体が、ちょっと別の方向にといいますか、方向転換的がございましたので、我々の実用化の
方では、ずっとその計算グループと、いわば知識の構造化のメンバーが、鉄とアルミと銅と1つの会議
でお互いに討議をしたということで進めてまいりました。
(東委員) また、その関連性についてのご説明は午後からありますか。
(東北大・石田) 関連というのは、それぞれの計算分野で、鉄の中で計算した結果をこう、銅の中ではこうとい
う形の会議はずっと全体でやっておりますけども、今回の発表はそれぞれの成果ということで発表させ
ていただきます。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。それでは、今の、お互いの連携とか、その辺のことに関しましては、
全体を通しての質疑応答というのが最後にありますんで、またそこで続けさせていただきたいと思いま
す。まだ、ご質問とか、色々ご意見があると思いますが、以降の議事で引き続きお願いいたしたいと思
います。
議題6.プロジェクトの詳細説明
(1) 超高純度金属材料分野ナノメタル技術開発について
実施者により資料 6-1 に基づき説明が行われた後、質疑応答がなされた。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。ちょうど時間通り発表を進めていただきまして、ありがとうござい
ました。それでは、20 分ほどの時間を設けて質疑応答させていただきたいと思います。初めに、ちょっ
と私から質問があります。最後のところで、成果の発表件数というところがありましたね。例えば論文、
これは6年間のプロジェクトで発表論文が 26 件だということですが、今、色々内容を聞かせていただい
て、例えば、海水に入れた腐食試験ですか、こういうことをやって非常に画期的な成果を出していたら、
こういう研究成果だけでも数本ぐらい論文を書けるのではないか。色々な成果がありますので、そうし
たら、もっと学術論文というのは、特に金研というところが集中研究所になっていまして、非常に基礎
研究者も充実したところですので、もう少し発表件数があってもいいのではないのかなという気がしま
したけども、そこは如何でしょうか。
(東北大・安彦) 普通はそう思われるかもしれないのですが、まず、NEDO のもので、2つのことをちょっとお考
えいただきたい。1つは、まず、特許をどうしていきたいかということで、特許事務所とのやり取りが
あるのですが、なかなかそれも思う様に進まない、色々な理由があるのですが。それと、論文を提出し
て、例えば、シグマ相の時にも、これを端的に申し上げますと、シグマ相が出ませんという論文を書い
たわけです、鉄-クロム系でですね。そうすると、出ないメカニズムを書けというレフリーからの問い
合わせが沢山、項目分けで来ますが、出るメカニズムがまだ解っていないのに出ないメカニズムは解ら
ないと僕らは答えたのですが、ただ、こういうことにすれば、例えば、シグマ相は出るのか、出ないの
か。それで、我々のものは、1つ言いますと、シグマ相が出る、出ないの話は、普通の材料ですと、100
時間とか、それぐらいは大体出ますが、極端に純度の悪いものは、10 時間ぐらいで出るものもある。と
ころが、マックス1年ぐらい実行してみて、どの程度出ないという答えを出しなさいとか、そういう指
導が沢山あります。例えば、海水のことを今も仰られたのですが、じゃあ、ポテンシャルを測ると、あ
る程度のピッティングコロージョンの温度はここまで大丈夫ですという答えが出るのです。そうすると、
実社会ではどうなるかという質問が来るのですね。そうすると、今度、1年間ディップテストをしなき
ゃいけない。そういう非常に興味を持たれるが故に、そういうものが進んでいないということがあると
いうことをまず判っておいていただきたい。それで、1つは、その中でも、極端に言いますと、海水の
中に漬けただけではだめで、その海水と天日干しとの境にしなきゃいけないとか、そういう細かいご指
導がどんどん入ってくる。だから、そういうものがかなりこの材料はあります。もう1つ、申し上げま
すと、シャルピー試験で割れないというのは大変なことですが、なぜ割れないということは、割れるの
は割と楽ですね、色々な顕微鏡で見ればいいのですから。だから、想像はつきますが、それ以上のもの
がとてもとても書けないという問題があるということだけは判っておいてください。
(中嶋分科会長) 十分な成果があるということはよく判って、ただ、こういう研究グループを組んだ時に、安彦
先生が全てやるのではなくて、こういうそれぞれの分野の基礎研究者、そういう人とうまく連携をとっ
て、1つの現象に対してもう少し深く掘り下げていけば、それが論文の成果という形になるのかなとい
6
う気がしましたが。
(東北大・安彦) ご指摘のことは重く受けとめて、反省というか、しますけれども。ここで弁解するつもりはな
いのですが、要するに、2トン材までやりなさい、あるいは、こういうのをやりなさいという問題と、
どちらを取るのだということも、私たち、現場にいて色々なことをしなきゃいけないということをちょ
っとご勘案いただければと思います。
(中嶋分科会長) 判りました。それでは、どうぞ。
(田中委員) 幾つか技術的な話で質問させていただきます。先ほどから出ています2トン材というのを、先生が
実験室レベルで、コールドクルーシブルで 10 のマイナス 10 乗 Torr ということを仰られて、これを達成
されるに当たって、いわゆる製鉄所で一番キーポイントになった要素技術というのは何でしょうか。
(東北大・安彦) まず、るつぼとか雰囲気から入らないということですね。要するに、不純物のピックアップが
ない。
(田中委員) その時、具体的には、耐火物であるとか、あるいは、溶製の雰囲気というのはどの様にされたのが
一番良かったのですか。
(東北大・安彦) 1つは、2トン材用の耐火物を作っていただいたことです、特別なものを。それから、もう1
つは、雰囲気は、色々、バルブ云々をきっちりと作り直していただいた。
(田中委員) そうすると、耐火物の方がかなり大きな影響があるわけですね。あまり今日のお話ではそういう、
もちろん、今後、その実用化というところまでかなりされているので、実際にはもう実験室レベルから
離れていますから、恐らく耐火物の問題が一番大きくなってくるかと思いますが。
(東北大・安彦) 不純物の質と量が違います。だから、雰囲気というのは、この種のものというのは、窒素を、
単純にいきますと、数 10ppm、100ppm ぐらい簡単に入ります。それが、今の鉄鋼メーカーでお作りにな
られているのは大体 100ppm ですね、窒素とか、酸素とか、酸素はまあ脱酸します。それを、10ppm、あ
るいは、それ以下にするには如何に気密なチャンバーを作るか、だから、これは、どこどこの会社のお
持ちの装置でどういうふうにするかというのは、お邪魔して、
「申し訳ないけど、こうしてください」と
いう、もう何回もそこへ足を運んで、それはもう大変な、私たちだけじゃなくて、企業の皆さんの寛容
な気持ちで、時間はものすごく、お互いにかかりますが、やはりこの可能性というものを、ただそのま
まやるのも1つですが、時間とお金の問題とかがあって、うちの研究室全員が走り回ってここまでした
ということです。1つは、窒素の問題、それから、耐火物は、特にシリコンで、別の研究で、シグマの
出そうなのはその2つがどうも関与しているらしいということが少しずつ解って来ていますが、その定
量的なデータというのはなかなか、先ほど申し上げました様に、1,000 時間実行して出なかったら、じゃ
あ、それは論文を書けるのかという、まだ、やっていますけどね。そういう問題が、メカニズムだとか、
そういう問題が、今、書かないで、データ、出しっぱなしじゃないかという論文のご批判いただくのが
返ってきたりします。極端に言いますと、こういうふうな熱をかけた、結晶粒がこの様に縦に並びまし
た、こういうふうに熱伝播しますと、それで、冷えたものを見ますと、純鉄なんかは縦に結晶粒がつく。
そういう問題を、論文を書いたのですが、その論文は、90 度写真がずれているのでないかとか、そうい
うのですったもんだするんです。だから、それぐらい、なかなか受けとめていただけないというのが実
はありまして、ちょっと余談ですが。
(田中委員) ありがとうございます。ということは、チャンバーと耐火物ということですね。
(東北大・安彦) 両方です。
(田中委員) わかりました。もう2~3、よろしいですか。あと、60 数元素というのは素晴らしいと思いますが、
分析で、達成出来なかったのが酸素と、窒素と、サルファーとおっしゃられましたが。
(東北大・安彦) サルファーは出来ます。
(田中委員) サルファーは可能ですか。
(東北大・安彦) これは出来た。ただ、そのサルファーというのは、どうも大気中で試験片が吸うのです。自動
車の排ガスか何かでですね。
(田中委員) 酸素、窒素というのは、空気中でどうしても、幾ら真空にしようとしても難しい、あるいは吸着し
ているとか、それは考えられますが、サルファーがというのがちょっとぴんと来ない。
(東北大・安彦) サルファーというのは、もちろん、分析感度、普通の燃焼法でやるのはもう出来ません、これ
は。世界の趨勢で、若い研究員がやっと見つけてくれたのは、ICP-MS をうまく使うという方法があるの
ですが、それも、非常に前処理から丁寧にやっていくと、何とかこう、何回も日を別にしても出来る様
になったというので、かなり頑張った成果です。ですが、これは昔、私は経験があるのですが、金属材
料研究所で、だるまストーブで石炭か何かくべているところに試験片があって、10ppm ぐらいになること
があるのですね。大気中から拾うよという問題とか、色々ありまして、もっと言うと、分析装置の中に
入っている鉄からも拾える。サルファーというのは非常に結合力が強いですから、そういうことが1ppm
を切るとものすごく起こるということが解って来ました。
(津崎分科会長代理) そこに関係して、ちょっとだけいいですか。分析に関してですけど、これは全体の目標は
達成されている。それはいいと思いますが、ただ、重要元素で幾つか目標値に行かなかった、そういう
7
ことは当然あると思うのです。ただ、こういうプロジェクトでやった時には、なぜそれが出来なかった
ことが判れば、それはもう技術の体系や技術の伝承に繋がるわけなので、是非そういう観点でやってい
ただければ大変いいかと思います。
(東北大・安彦) 酸素はとにかく酸化被膜の問題で、スパッタしたら出来た。それから、窒素は、どうしても燃
焼法では出来なかった。それは、色々なところのものとやるとそうなったということだけは確かです。
(津崎分科会長代理) そういうことも一緒に公開していただければ、非常にありがたいですね。
(中嶋分科会長) その他。どうぞ。
(小関委員) 高純度化の効果を色々お示しになられて、非常に多くの成果が出ているのがよく解りましたが、こ
こに色々お示しになられているデータが、高純度化によって達成されている部分と、もう1つは、組成
によって達成されている部分があると思います。例えば、耐食性なんかを示す時に、クロムレベルが違
うとか、多分、我々に解り易い様にそういうデータをお出しになられていると思いますけれども、本来
は、高純度化の効果をもっとクリアに出すためには、通常の同じ組成で、なおかつ高純度化が出来てな
い様なところと比べていただくとか、そういったデータを出していただくと、まさにその高純度化によ
って、耐食性や、その他の特性が上がっているのだということがクリアになるのかなという様な感じを
1つ持ちました。それで、先ほど仰られた、シグマ相が出ないということに関しても、釈迦に説法かも
しれませんけれども、従来のステンレスでシグマ脆化については非常に多くの研究がなされていて、そ
の中で、例えば、シリコンの有害性ですとか、あるいは、炭化物を基点にしてシグマ相が出るとか、多
くの報告があるので、高純度化によってそういう元素が下がることで、例えば、キネティクスが遅れる
とか、そういう様なことをお示しになられると、ますます高純度化の効果が解り易くていいのかなとい
う様な印象を持ちました。それと、もう1つ、実用化に至る過程ですけれども、確かに、例えば、重油
焚きですとか、非常に高温の環境での構造材に使う場合、耐食性は厳しくなりますが、一方で、現実的
にニッケル基なんかが使われている背景は、やっぱり高温強度とか、その他のトレードオフというか、
バランスで使っている部分もあると思いますので、多分、実用化の中では、耐食性と同時に色々な特性
のバランスというのが要求されてくるのかなということで、今後、実用化に向けてはそういうところの
ご検討も必要なんじゃないかという様な印象を持ちました。
(東北大・安彦) まさに仰ること、その通りで、私たちも全てが出来なかったということは、ちょっと心残りが
あります。シグマ相に関しては、この前の JST のレポートで結構詳しくやりました。ただし、すぐ、5,000
時間とか、そういう時効で、どれがニュークリアを使っているのが、非常に判り難い問題とかがありま
して、その辺はこのもので出ていないということだけ、ちょっとつけ加えさせていただきたいと思いま
す。それから、ポテンシャルを掛けて、耐食性なんかを見ているのがありますが、比較的、あの方法と
いうのは、通常のものは、通常のものをスキャンさせていくのでは、鈍感なものがあったりする。だか
ら、ピッティングゴロージョンなんかというのは、ぽーんと電流が流れるところとかというのはとらま
えたりしていますが、そういう論文で、とにかくコロージョンというのは実社会に置きなさいと。それ
と、私たちが一番注目したのは、このプロジェクトが、学術的に我々はもうちょっと興味のところをや
りたかったのですが、中嶋先生のお話にも関与するのですが、工業化ですね、実用化を念頭にやりなさ
いという、1.0 という非常に厳しい評価をいただきまして。それで、そういう問題をやっていくと、出来
るだけ頑張ってやれるところというものを少し進めたという観点があるのが、少し心残りでございまし
て。高クロム合金というのは、先ほども仰った通り、強度の問題と靱性の問題と、そういう特性の問題、
表面の問題というのは、もう少しバランスをやるところが積み残しということかと思っております。
(中嶋分科会長) よろしいでしょうか。どうぞ。
(新田委員) 今の安彦先生の、最後のお話にも少し絡みますが、私も中間評価に参加させていただきまして、NEDO
のプロジェクトというのは、出口を明確にしろということで、実用化の見通しがああいう辛い点になっ
たというのは、そういう背景があるのですが、個人的には、これも革新的シーズを狙った研究というこ
とですので、必ずしも出口が明確でなくても、基盤技術で他の追随を許さない様な技術レベルを確保す
るというのも、国策、国益に繋がるかなというふうには思います。それで、中間評価の結果を受けて、
見直ししていただいて、16 年度の F/S をやっていただいていますが、今回の評価の対象にその F/S も入
るのですか。
(東北大・安彦) はい。
(新田委員) 判りました。それで、2トンのインゴットをつくるとか、大分、軌道修正といいますか、舵取りを
変えていただいています。F/S の中で、電力会社ですとか、色々アドバイザーの様な形で入っておられま
して、出口といいますか、実用化という意味で、色々なことをおやりになったということをご説明いた
だいたのですが、その辺で具体的な出口のイメージというのが、ご説明の端々で色々と出て来てはいる
のですけども、かなり明確な出口イメージというのが F/S の中では得られたのでしょうか。
(東北大・安彦) 全て実社会に暴露試験するところまで行きませんので、だから、F/S の仮説というのは、SUS316L
に匹敵するもので、ニッケルレスで出来るのか、できないのかということを目標としてやらせてもらっ
て。それで、強度も、靱性も、水が中心なものですから、とにかく0℃は確保しなさいとか、そういう
8
問題で行きますと、耐久性以外は全てオーケーということに結論出来ると私は思います。ただし、実社
会にどうするかという問題は、今日の後半の実用化のところでお話しさせていただきますけれども、要
素技術的にはオーケーだけど、これからどういうふうな場所で、どういうふうに暴露試験をして達成す
るかということは、新しいプロジェクトの方で進めさせていただく。そういうふうな観点で進めさせて
もらっています。
(新田委員) ありがとうございます。あと、細かな点2つ。ブレードを創っていらっしゃいますが、あのサイズ
はどれぐらいなのかという、20 センチぐらいですか。
(東北大・安彦) 持ってきていますから、見てください。
(新田委員) そうですか、じゃあ、後ほど。それから、クリープ強度がかなり、目標達成するいい強度が出てい
るということですが、ダクティリティーの方はどうだったのでしょうか。
(東北大・安彦) 0℃というのはちょっときついですけれど、100 度とか、まあ。
(新田委員) このクリープ破断の場合の、クリープ破断延性はどうですか。
(東北大・安彦) まだ、割れないものが、試験片になっておりまして、時間が来て、3月になったものですから。
(新田委員) 1本も切れてないということですか。そうですか、解りました。
(東北大・安彦) 数本、まだ残っているものですから。その後、どうするかという問題がちょっとありまして。
(中嶋分科会長) 他の委員の方、何か。
(田中委員) 標準化と、それからラウンドロビンの試験のことで、ちょっと私は十分に理解しきれなかったもの
ですから。ラウンドロビンの試験は、先生が創ってらっしゃった高純度の試験片を他の研究機関に送っ
て、それで、一応、具体的にどれぐらいのレベルであったというのを、お互いに確認しあったと。次に、
標準化ですけれども、ここの目的は、こういう創り方をすればここまでそのレベルのものが出来ますと
いうことに対しての標準化なのか、あるいは、この試料はこういう濃度を持っているので、今後それを
何か分析の時の標準試料とする、その分析のための基礎試料となるという意味なのか、この標準化とい
うのはどこら辺を目的にされているのでしょうか。
(東北大・安彦) はっきり言いまして、私の目標は、これが鉄ですと。学術の世界におる人間ですから、色々な
論文がありますので、鉄の研究をなさる人と共通認識を持つために、これが超高純度の鉄ですよ、必要
であればみんなで供与しましょうよという考え方を、大学の人間としては持っております。もう1つは、
分析という手法がやっとこれで確立してきたので、その分析手法に対しても標準化が出来ますとか、色々
な、BAM と NIST の人とか、話を聞いていますと、その標準物質を創って、そういうものを分析していく
という行為、あるいは、いわゆる検量線のものも標準化が出来ると。だから、色々な標準化が出来る。
(田中委員) ということは、非常に低いものでしたら、それが分析出来るぐらいの機器が、使ってらっしゃると
ころが、それだけの分析精度を持っているかどうかのチェックにも使えるとか、あるいは、少し高くし
て、コントロールが出来るわけですから、そういう検量線を引くための試料としても将来提供出来る可
能性があるというふうに解釈したらよろしいわけですね。
(東北大・安彦) その通りです。ものとしても、本当はメートル原器的な、これが鉄ですと。そういう話も、ド
イツの BAM の方からは出来るのではないのかと提唱していただいたり、今後、これは、そういう標準化
というのはちょっと時間がかかる様に聞いておりますけれども、恐らく今日の後半にそんな話が出てく
ると思います。
(田中委員) ありがとうございます。
(中西委員) すみません、一言。
(中嶋分科会長) どうぞ。
(中西委員) ちょっと話が戻ってしまいますが、先ほどから、評価の、例えば、暴露の仕方でも、ある評価をす
れば、またこういう別の評価も必要なんですよ、色々な要求があったと。ただ、これぐらい画期的な目
標を据えたこのプロジェクトにおいては、そういうものを追求していくと、もう際限がないというふう
な話になってくると思いますし、産業として使う側の立場で言えば、そういうところを広げるというの
は、むしろ、こういうフェーズでは必要ないのではないかなと思ういます。むしろ、メカニズムである
とか、高純度化というところのしきい値、どの辺りから現象ががらっと変わってくるのかという、その
大どころが理解できているということが、実は、次の実用化を考えた時に最も重要なことではないかな
というふうに思っています。すぐに使いたいという様な、そういう気持ちでいると、あれやこれや要求
というものは出てくるとは思いますが、本プロジェクトの立場で言うと、むしろ、限定して、絞って、
現象自体がどうなのかという、そこに絞るべきというふうには思います。
(東北大・安彦) ありがとうございます。私も、NEDO プロジェクトとしてはそうすべきだと判断して、特に後半、
不純物の効果というのは、どの程度のところから起こってくるのかということをやったつもりです。そ
れは、なかなか分析をするのにも大変な材料ですので、溶解してから、もう溶解したからすぐ試験片に
なりますよ、それじゃあ、引っ張り試験しましょうというわけにとてもいかない。やはりある程度のも
のをしていかないといけないという、高純度をやられた方じゃないと判らないところが沢山あります。
先ほど言っていただいた通り、このメカニズム云々というのは、やっぱり大学の責任として、私はきっ
9
ちりと、しかも、ドクターの学生にやってもらいたいという気持ちがありまして、総長もご存じの通り、
今、研究推進室の方に、大学に作っていただいて、出来るだけそういう方々に入っていただいて、きっ
ちりしたものを、試験片もあり、分析したきっちりしたもの、特に、私たちの論文というのは、実験し
た後も分析しますから、汚してないかとか、そこまでして、本当に最初創った人間の責任として、1回
分析したらそれで終わりでなくて、例えば、ポテンシャルをかけたやつを、もう1回分析して、汚して
ないという様な、特に、それは実用化するためには非常に大事なポイントだろうということで、このプ
ロジェクトは、実用化ということに非常に重きを置かせていただいたということだけは判っていただき
たいと思います。もっと足りないことは沢山あります。ですから、出来るだけああいうサンプルも作っ
て、説明、私ども受けていただければ、させていただきたいと思いますし、今後、こういうところが足
りないよとか、こういうものは実社会のここに入れろ、そういう話なんかをいただければ、恐らく NEDO
のサンプル提供の場もありますので、喜んでご一緒させていただきたいと思っております。
(中嶋分科会長) 今の中西委員のコメントは非常に重要なところだと思いますね。たしか、新田委員もいらっし
ゃっいましたが、中間評価の段階では、基盤研究として評価するか、これを実用化研究としてどの程度
期待したものとして重きを置いて評価するかというところにかなり議論があったのですが、その時点で
は、やはり基盤研究であるという認識で、その後も進んでいきまして、そういう形で今回も評価してい
くつもりではおります。そこを、委員の方、十分ご理解いただきたいと思います。
(東北大・安彦) 釈迦に説法かもしれませんけども、今のポイントで、一言だけ言わせていただければ、やはり
世の中にある材料というのは、溶鉱炉ができて 300 年かけて、やっと世の中で本当に認識されて、使わ
れたのですが、私たちのものは、創った人間の責任として、まだ 10 年経っていない、極端に言えばです
ね。そういう問題も沢山ありまして、量産することは随分出来る様になってきましたが、そういうこと
をちょっとお考えいただきたい。
(中嶋分科会長) それでは、東委員、どうぞ。
(東委員) 時間がないので。今、非常にそういう省元素化等を含めた、色々な、そういう資源問題を絡めた中で、
新しくもう一度、合金設計というアプローチ等、見直していくという様なことで、その計算科学等で、
MD、あるいは第一原理計算等を用いた、非常に理想的な、神様だったらこんなふうな合金設計だよねと
いう様なことが、ある程度解って来た段階において、そういったことは、実際に材料を創って、色々な
元素を入れた時に、結局それがうまく形として出てこない最大の原因が、今、先生が取り組んでおられ
ている高純度化ということに目を向けないといけない。これは、世界的にそういった認識で材料設計の
方は見てきていることは事実だと思っています。そういった意味で、私は、今、先生のお話を聞きなが
ら、非常にうらやましいなと思ったことは事実です。それで、こうした時代のそういう流れ等に左右さ
れず、ご自分が信念を持って、高純度化にずっと取り組んでこられて、それを最後まで達成出来たとい
う様なことで、今日お話を聞かせていただきながら、色々な問題、精度的な問題というのはまた別とし
まして、そうした一個人の研究者としてやってこられた研究に対して非常に感銘いたしました。それだ
け申し上げたいと思いまして。ありがとうございます。
(東北大・安彦)ありがとうございます。
(中嶋分科会長) ありがとうございます。まだご質問もあろうかと思いますが、だいぶ時間も過ぎてしまいまし
たので、ここで午前中の部は終わらせていただきたいと思います。
(2) 実用金属材料分野ナノメタル技術開発について
(2)-1.鉄系材料
実施者により、資料 6-2-1 に基づき説明がなされた後、引き続き質疑応答があった。
(中嶋分科会長) ありがとうございます。それでは、ただ今のご説明に対しまして、ご質問やご意見をお願いし
たいと思いますが、如何でしょうか。どうぞ。
(津崎分科会長代理) どうもありがとうございます。スライドだと2枚目になろうかと思いますが、この中間評
価におかれて、問題点、改善すべき点があって、それに対応されたということで、その対応、そこで示
された目標値をほぼ達成されたというふうに見させていただいたのですが、その目標の中身のところで、
析出カッパー平均粒子径が 50 ナノメートル以下というのがありますが、技術的にそこの難しさ、その意
味というところが少し判りません。と申しますのは、例えば鉄-カッパー2元系であれば容易に数ナノ
のものが析出、均一分散可能なわけで、ある条件のもとで 50 ナノ以下を達成したいというふうにお考え
だと思いますが、そこのところ結局こうしてみますと、25 ナノと、多いのが 15 ページ目の鉄-カーボン
系にカッパーを入れられた材料でしょうか。それで dp25 ナノメートルというふうに記述されている様に
見受けられますが、今、申し上げました様な 50 ナノメートルという目標値は、どういう条件で達成しよ
うとされていたのかをお教えいただければ、評価が非常にしやすいかと思います。
(JFE スチール・細谷) 実際にカッパー析出鋼というのは従来からございます。それで、実際の強度特性を予測し
た時に、その特性が厳しい条件か、甘い条件だったかというのは議論があろうかと思いますが、当時は、
1つのターゲットに 50 ナノ以下を安定してつくると。工業的に、母相をマルテンサイトにするとか、そ
10
ういう、従来フェライト中の析出とまた違ったこともやっておりますので、むしろ当時のターゲットは、
強度×延びが出口の最大の目標でございました。それを出すために、カッパーがどれぐらいのサイズの
目標値を置くべきかというところは、ある意味では、えいやと入れたと言われれば、確かにその通りで
ございます。
(津崎分科会長代理) これは、逆に言えば、強度、延性のバランスを上げることがより重要な目標であるけれど
も、例えば粗大なものがあれば、何か他の要因で問題が出てくるので、その制限として、使える制限を
自らつけられて、その中で何かご苦労なさったというふうに読むのかなと思ったのですが。
(JFE スチール・細谷) そう言っていただけるとありがたいのですけれども。実際、指導原理として、こういうカ
ッパーの析出が幾らでないといけない。昔、例えば先ほどバナジウム-カーバイド、硬質析出の場合や、
それから、こういう軟質分散相の場合に、幾らがターゲットになるかというのは、実は、当時は解らな
かった。やはり色々な従来型の析出の状況を見ていると、カーバイド系でも 100 ナノとか 200 ナノぐら
いあります。ですから、50 ナノ以下にすると、それだけなりの分散強化は出るだろうという思いがあっ
たということです。
(津崎分科会長代理) ありがとうございます。
(中嶋分科会長) その他、何かございませんか。どうぞ。
(田中委員) 計算科学と技術の体系化というお話で、基本目標のところの達成度のところで、析出量が実験値と
10%以内に達成出来なかったというところをお話しいただきましたが、その後の成果のところを拝見し
ますと、計算手法を確立したり、あるいはそういう強化機構解明等でプラスの、うまくいったというと
ころの結果をここに書いてありますけど、この実験値との誤差が、10%にならなかったというところは、
どこに問題点が、今、残っているかというのは明らかにされているのでしょうか。要するに、この計算
と実験の組み合わせというのは重要な課題で、コンビネーションがうまくいったらいいかなと思うので
すね。これから、今の時点でなかなか難しいところがあると思いますが、将来、やはりそういう計算の
こういう手法を、こういう材料開発に役立てようと思うと、どんどん発展していくといいかと思います
けど。折角ですから、どこら辺までが、どこのモデルのどの辺りが一番問題になったかということは、
はっきりしていますでしょうか。要するに、この原因ですね。
(JFE スチール・細谷) 原因は、まだ研究途中でございますが、実は、このNモデル、数値解析モデルを使って、
逐次の最適化を行っていくわけですが、当然、核発生、サイトの問題、それからグロースの問題、色々
なファクターがあると思いますが、そこが計算科学でまだ詰めきれていないところがあるのではないか
と思っています。それで、要は実際の析出強化を議論するには、まずサイズがあると予想されるという
のが大事です、それが第一。それで、量に関しましては、多結晶体の場合、10 の 21 乗から 23 乗という
のと、19 乗から 20 乗という、その辺りの量のところが必ずしも合っていないというのは、厳しめで三角
にしていますけど、色々な現象として捉えられている強化の状況を見るとですね。それから、先ほどの
3次元アトムプローブとか、実際に電子顕微鏡で分析するとか、そういうことをやりますと、現象は解
釈出来る。ただ、そこの量のところはまだ計算機のシミュレーションのモデルの問題があるのかも解り
ませんけど、そこはちょっと。
(田中委員) まだ、モデルのどこら辺にというところまでは、十分には絞りきれていないようなところは残って
いると。判りました。ありがとうございます。
(JFE スチール・細谷) 本来、このあたりは榎本先生に。
(中嶋分科会長) 今の問題ですけど、析出の核生成、成長のこういうモデルを考えていった場合に、析出物のサ
イズと析出量というのは表裏一体なものじゃないですかね。それを分けて評価しているというのはどう
なのかな、両方が連動するもので。だから、析出サイズを目的値に合わせるためにそう設定しちゃうと、
析出量の方が大きなばらつきというか、出てくるとかですね。だから、両方が表裏一体なもので、無理
やり析出サイズを合わせなければ、析出量がもっと現実的な方に来るのかなという気もしますが。ただ
私、具体的なモデルを知らないので。
(JFE スチール・細谷) それは仰る通りだろうと思います。まだそこまでは。まさに、例えば第一原理計算を、ど
こまで多結晶体の中に取り込んで、こういうものと合わせていくかということは、まだまだ難しい面が
あると思います。それ以外にも、体積移動を使ったり、色々な手法は取り込んでいますが、まだ核心の
ところまで行き着けていないということで。ここは、ご理解いただければと思います。
(中嶋分科会長) その他。どうぞ。
(東委員) 今回、お話を聞かせていただいて、具体的な成果等についての結果をお示しいただいていますが、例
えばここで出てくる様な析出のカッパーの平均粒子径 50 ナノ以下とかという様なことが、強度延性バラ
ンス、強度を上げたり延性を上げたりすることにどの様に効くかといったことに関する学術的な指針と
か、メカニズムがこうなのだからこうなのだという様な、そういったお話がなかった様に思います。逆
に言うと、変な話ですけど、そういった学術的なデータなりベースがないのに、こういう目標値を、先
ほどえいやと決めたと、それしかないのではないかなという気がしたのですけれども。そういった部分
での、このプロジェクトにおけるそうした学術的成果はないのでしょうか。というか、やられていない
11
のでしょうか。
(JFE スチール・細谷) 実は、中間評価の前はファンダメンタルをやるということで、析出と多結晶で粒界という
のは、これは非常に重要なファクターでございまして、その接点に実は取り組んでおります。中間評価
段階で、絞りなさいというご指導もございまして析出に特化した。ですから、全体のマクロの特性を評
価する上では、それはまだ片手落ちかなと、私もそう思っています。ただ、実用鋼をやる時に、今度は
カーボンが入ってきます。析出をまず見る時には、実は、カーボンの極低炭素鋼をベースにして素過程
を理解している。実際に、例えば 120 キロ、1,200 メガパスカルぐらいで強度を出しなさいといいますと、
カッパーだけでは難しい。要するにカーボンを入れるわけですね。それで、一旦、マルテンサイト組織
にして、その下地で析出するというのは、ある意味ではマクロからのアプローチであるのは事実です。
実際、炭化物の析出形態の違いとか、実は、これも分析をしております。ただ、カッパーの実際析出す
るプロセスも、ある意味では BCC ライクのものが出て、実際のイプシロンに行くとか、その辺りの電顕
的にも、まだ明確に見きれていないというのが実はあります。非常に、実験手法的にもですね。一等最
初に実用化がありましたが、早くキャッチアップするという、そちらからスタートで、あと、本当の基
礎と出口と、そこで両方から詰めていったということでございまして、実際、先程、強度延性バランス
が出ました、達成しましたと言っておりますが、それも、実は、マルテンサイト下地がベースで、炭化
物析出形態が変わっていますので、それがカッパーの析出に効いたというプロセスが考えられます。当
然そうだと思っていますが、そこまでは、まだ明確に。
(津崎分科会長代理) ただですね、これはやっぱり達成度は三角についているので気になります。私の範囲でこ
れを見させていただくと、例えばフィッティングパラメータを使っていない。第一原理計算でクラスタ
ー形成エネルギーを出して、そこから界面エネルギーも全部第一原理で出して、それに基づいてやられ
たのであれば、こういう結果もあり得るかと思います。ですから、実際には不純物効果が何かあって、
界面エネルギーをもっと下げていたりして、沢山出るのに、そこがフィッティングパラメータをもし使
っていなかったとすれば、そういう条件であれば、なるほど、そういうこともあろうかなと思います。
(東委員) 計算、第一原理で例えば使える原子なんてたかだか 200 個ぐらいだと思います。
(津崎分科会長代理) そうなのですね。
(東委員) 変な話、カッパーのクラスターなんて作れないですよ。だから、そういう第一原理をやったとしても、
例えばダイマーとかトリマー辺りの。見ていないので判りませんが、その程度でもかなり厳しい計算条
件になるはずなので、ましてや鉄ベースなんていったらとんでもない時間がかかりますのでね。それを
考えると、実験と合わなくて当たり前で、合う方が不思議なぐらいです。
(JFE スチール・細谷) そういうコメントをいただくと非常に心強いのでございますが、あくまで数値目標を示し
たものですからそういう評価でございまして、研究レベルとしては、私自身は割といいと思っています。
(東委員) 計画の初期の段階で第一原理を使うということは、確かに美しい絵だと思いますが、やっぱり第一原
理をどこまで使える、使えないという議論があって、その中で古典的な理論をうまく使っていくとかと
いうのは、我々の世界では、マルチスケールを使わざるを得ない。機械の方のメカニクスで。そういう
モデルも取り入れられた中での基盤技術というのは今後必要なんじゃないかなという気がして、今の津
崎先生の質問等にも関係してくるのではないかなと思います。
(中嶋分科会長) その辺を今後ちょっとご検討いただきたいと思いますが。
(JFE スチール・細谷) 計算に関しましては、まさに私もその様な理解をしています。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。それでは、次に移らせていただきます。
(2)-2.ナノ銅バルク技術
実施者により、資料 6-2-2 に基づき説明がなされた後、引き続き質疑応答があった。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。それでは、今のご説明に対しまして、ご質問とかご意見とかをお願
いしたいと思います。如何でしょうか。
(新田委員) どうもありがとうございました。非常に難しい数値目標を立てられて、苦労されて、それに合った
かどうかというご説明をして、よく理解は出来ましたが、このプロジェクト全体でナノメタラジーを構
築する、確立するというものは、大きな目標というのでしょうか。何かそういうものはあったかと思う
いますが、そういう観点から、この銅系のバルク材料を見た場合に、銅系バルク材料のナノメタラジー
ということで技術的な確立という様な観点から見ると、どれぐらいのところまで達成したというふうに
考えたらよろしいでしょうか。
(東北大・石田) やはり最初は基盤技術を確立しましょうということで、かなり基礎研究に力を入れまして研究
をやりました。それから中間評価で、やっぱり実用化を充実しなさい、他のテーマについても同じ様な
ご指摘を受けまして、やはり実用化レベルでの、そういうナノレベルの解析が非常に必要であろうとい
うことで、今日、説明しましたカッパー-チタン合金であるとかコルソンであるとか、これは、もちろ
ん実際に製造されて使われておりますけれども、そういう意味での析出物なり結晶粒径とか、非常に微
細化する系統的な研究というのは、殆どされていないというのが、このプロジェクトが始まる段階です。
12
多分世界的にそういう状況ではなかったのかと思っております。鉄であるとかアルミの方は、よく1ミ
クロン以下の超微細結晶粒を作るにはどうしたらいいかというプロジェクトは、今までナノメタルも含
めて、その前のスーパーメタルであるとか色々ありましたけれども、銅を中心に取り上げたといいます
のは、多分、このプロジェクトが最初ではなかったかというふうに思います。従って、逆にそういう基
礎的なデータがない状態から始まりましたというのが正直なところであります。ですから、今日はご紹
介出来なかったのですが、最初はかなりチャレンジングなことを色々やりまして、例えば日鉱さんは急
速加熱、銅は非常に導電性がいいものですから。そういうことが、他の材料と違うのではないかという
ことで、そういう急速加熱の手法とか、それからヤマハさんは、非常に低圧化で処理する、例えばカッ
パー-チタン合金で、チタンの固溶度をなるべく下げるような、そのチタンのオキサイドを利用するで
あるとか、ボロンはちょっと別ですけれども、そういう非常にチャレンジ的なことを、もう大分研究を
行いました。そういう意味で、新しい取り組みをやって、それから中間の評価でもっと実用化に特化し
て研究を進めなさいということなので、今日、説明した様な状況になったというのが、一連の過程では
ないかなと思います。
(中嶋分科会長) よろしいですか。その他、何かございませんか。このデータベース構築では、例えば、先生の
ところで 10 何元素を組み合わせる様なこともやられましたけれども、実用合金として考えた場合、どの
ぐらいの組み合わせが必要になってくるのでしょうか。
(東北大・石田) これでも、まだ色々な合金元素が欲しいという企業からの要望がございます。今、データベー
スの中にはこの 11 元素がありますが、実は、この中で非常に大事な元素が抜けておりまして、マグネシ
ウムです。マグネシウムは、コルソンにしても非常に重要な、微量ですけれども、重要な元素なのです。
ただし、なぜ出来なかったかといいますと、実験データそのものが非常に少なくて、多分実験を含めて、
これからかなりの時間がかかるのではないかと思います。ただ、一生懸命やれば、それなりに、もう他
のデータは揃っておりますので、この中にマグネシウムを入れたデータベースを構築することは出来る
と思います。それから、実は導電性を下げるのであまり重要ではないと言われているマンガンですね。
マンガンを、ただ他の色々な特性、例えば形状記憶であるとか、そういうものが非常に重要なので、そ
ういうものを是非入れたいなと思っております。実は、このアルミもそうですけれども、一部、ちょっ
と計算は出来ますが、全部のデータベースに入れようとすると、全部の2元系と3元系の組み合わせを
解析しなくてはいけない。1つの件数をふやすごとに、膨大な時間と解析といいますか労力がかかりま
すので、すぐ簡単には出来ないのですが、多分近々、なるべくそういう方向で構築したいと思います。
(中嶋分科会長) その他、何かございませんか。
(田中委員) 今のここのお話で、3元系で 29 系ということですけれども。
(東北大・石田) これは、実はもっと増えています。ただ実際には、これはカッパーリッチの組み合わせです。
カッパーを含む系は必ず3元系をやらなくちゃいけない。ただしカッパーを含まない、例えばカーボン
-クロム-鉄とかは、それほどきちんとしたデータがなくても、カッパーリッチの方の計算には、それ
ほど大きな影響を及ぼさないということです。ただしカッパーXY 系、これは絶対やらなくちゃいけない。
(田中委員) 例えば4元系に展開する時というのは。
(東北大学・石田) 3元系がきちんとしていれば、4元系はかなりの精度で計算出来るというのが、この CALPHAD
法の非常にいい点だと思います。ですから逆に言うと、11 元系の計算も出来るわけです。
(田中委員) 3元系の場合は、その3元のパラメータも入っていますか。
(東北大・石田) はい。そういう意味です。
(田中委員) そうすると、4元系の時は、それと、あと2元系のパラメータの組み合わせで展開していく。
(東北大・石田) はい。それで殆どかなりの精度で計算出来ます。ただし4つの組み合わせで新しい化合物が出
てくる場合は、これはお手上げです。この場合には、また新しく解析をする必要があります。
(田中委員) もう1点、先ほどマグネシウムというお話がありましたけど、後の計算と実験の組み合わせでジル
コニウムの話が出てきて、ジルコニウムの可能性というのはあるのでしょうか。他は、難しいのでしょ
うね。
(東北大・石田) ジルコニウムも、一部計算は出来ます。ここには入れていないませんが。この組み合わせのど
んなものでも出来ますということなのですが、ジルコニウムもかなり解析しておりまして、通常の、例
えば今日、説明したカッパー-ジルコニウム-クロムであるとか、そういう代表的なカッパー合金は、
ジルコニウムを含んだ銅合金でございますけれども、それは、今、計算出来る様になっております。た
だし、データベースに載せるとなると全部解析しなくちゃいけませんので、そこまではちょっと進んで
いないということです。
(田中委員) 判りました。ありがとうございます。
(東委員)先生、確認ですけれども、先生が使われているのは、我々、自主目標というと自分で決めるので、それ
と、プロジェクトの最終目標とかというのとは違うのですか。
(東北大・石田) 最終目標は、前にありました様に析出物のサイズをどのぐらい以下にするとか、結晶粒径をど
のぐらいにするというのが最終目標です。ただし、それだけでは何か雲を掴む様なところもありますの
13
で、それと実際の、一番大事なのは強度と導電性のバランスということで、ちゃんと目標があった方が
よかろうということで、その目標を立てて研究を遂行したということです。
(東委員) わかりました。
(中嶋分科会長) どうもありがとうございました。それでは、次に移らせていただきます。
(2)-3.ナノ銅薄膜技術
実施者により、資料 6-2-3 に基づき説明がなされた後、引き続き質疑応答があった。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。それでは、ご質疑、ご意見等をお願いしたいと思います。如何でし
ょうか。初めに、中間評価の結果を受けて、メッキ法を終了し、高圧のリフローシステムを採用したと
ありますが、そこのメッキ法というのは、低コスト化というか、そういう製法としていいと思いますが、
なぜそこで、それを打ち切ったのでしょうか。
(京大・伊藤) 私、まだその時にはいなかったのですが、私が聞いているのは、実際にこのプロジェクト以外に、
もっと大きなプロジェクトが動いていて、そちらでメッキ等の研究が十分行われているから、こういう
ところでやっても仕方がないし、一緒になったらどうかという様な話もあったので、我々は我々として
の色々な持っているものを使って新しいものを創っていくということで、それならばメッキを止めて、
こういったドライなスパッタリングだけのものに特化しなさいということになったと聞いています。
(中嶋分科会長) むしろ、これはどちらかというと実用化に関しては、より近いところに実用化の目標を置いた
というプロジェクトですね。
(京大・伊藤) 後方技術ということですね。実際は、今の汎用ではメッキが使われていますけれども、我々が提
唱している、例えば2段で組み込んでいくということは実際のメッキでも使えますので、こういったナ
ノメタラジーを使って、かつ従来のメッキ法を使ってこういうものを作っていくということは可能だと
思うので、そういうことはデバイスメーカーも色々と我々にアプローチはされてきています。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。如何でしょうか。何かご質問は。どうぞ。
(小関委員) 熱処理中にカッパー-チタン合金のチタンを偏析させてバリア層を創るというのは、非常にうまい
やり方だなと思っています。加えて ITRS のロードマップの、さらにその線幅の狭いところも対応がつく
ということで、非常に成果を上げられていると思います。かなり実用化に近い様な感じがしています。
実際、TEG まで作られているので。これまで、さらに線幅が狭くなると問題になるであろうと言われてい
るカッパー配線の信頼性の評価はもうされているのですか。
(京大・伊藤) このプロジェクト内では、出来ていないですね。一応、抵抗の評価までになっていますので、ど
れぐらいの高い電流密度と温度をかけてやったところで破断するとか、そういう実験までにはまだ至っ
ていない。現状ではちょっと判らないので、今後は我々のプロジェクトのグループ以外のところからの、
デバイスメーカーも含めて検討してもらう様な感じで今はやっています。
(小関委員) ありがとうございました。
(中嶋分科会長) その他、何かございますか。どうぞ。
(津崎分科会長代理) ありがとうございます。実用化をちゃんと意識しながら、それぞれ想定される課題を順次、
非常にクリアに解決なさっていて、しかも最後は課題と解決方針まで示していただいて、なかなか聞き
ほれていましたが、カッパー-チタンがいいというのは、そういう合金系の設定から判っていますけど、
カッパー-チタンを見出されたのは、京都大学のシーズでやられたのですか。
(京都大学・伊藤) そういうふうに記憶しています。
(津崎分科会長代理) これはそういう日本にしっかりあったシーズをうまく実用化に見出した時に、もう1つプ
ロセスのシーズがあって、その2つがあって、それをうまく使うための実用を見据えた基礎課題をしっ
かりクリアしていったと理解してよろしいですよね。
(京都大学・伊藤) カッパー-チタンでは特許を取っていませんので、カッパー-チタンというのは新規ではな
いのですが、カッパー-チタンを使ってこういったものに使っていって、かつ色々な膜の構造なんかを
変えていくというのは、このプロジェクトの新規なものです。
(津崎分科会長代理) ありがとうございます。
(中嶋分科会長) 以前、配線材料はアルミでやっていて、その時のバリア層としてチタンというのは非常にポピ
ュラーなものだったのですよね。今回、それをカッパーに対しても使っているということですね。その
他、何かありませんか。1つ、実用化の観点から考えますと、この高圧アニールで 150 メガパスカルの
ものを使うというのは、非常に高価な装置じゃないかなという気がしますが、むしろ、そういう時に濡
れ性を改善するために、何かそこにある合金元素を添加するとか、そういう試みというのは不可能なの
ですか。
(京大・伊藤) それは、神戸製鋼でかなりやられていて、基板の上にあるものをつけるというよりは、あるいは
カッパー中に何かを入れてやって、そのカッパー自身の変形能をもう少し上げてやる。低温にしてやっ
たり、あるいは組織制御で微細粒にしてやったり。そのためにはどういったものを入れたらいいかとい
うのはわかっていますが、如何せん、そういうものを入れる、
「そういうもの」というのは、固溶限が大
14
体広い、そうすると、こういう手法を使ってやっても、最終的に求められている4マイクロオームセン
チメーターという様な抵抗値を、どれだけ頑張っても超えてしまうというところで、先ほど二律背反と
ありますけど、どうしてもそこは使えないところもあります。現状の解決策としては、それだけの努力
をされて色々なものが解っているので、それはまた違うところに使えるとは思いますが、これの最終的
な解決方法としては、一応、この形で解決したということです。
(中嶋分科会長) わかりました。どうもありがとうございました。次に移らせていただきます。
(2)-4.ナノアルミの計算科学
実施者により、資料 6-2-4 に基づき説明がなされた後、引き続き質疑応答があった。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問等をお願いしたいと思いますが、如何で
しょうか。どうぞ。
(東委員) 先生、非常に計算の方のお話、よく理解させていただいたと思います。今回、特に原子空孔間での相
互作用エネルギーに注目されたことが、ナノクラスター形成による析出強化機構ということは、非常に
アルミニウムにおける基本的な強化機構だという観点からされたのだろうと思いますが、例えば最近、
使い方の色々な問題等で、固溶体という様な形での、例えば応力腐食割れとか色々なことを考えた時に、
固溶体という様な形で考えた時に、例えば原子間のミスフィット等の様な、そうした部分のこととか、
さらには、モノマー、ダイマー、トリマーという様な固溶体範囲内におけるクラスター等の、ミスフィ
ットによる、そういう強化機構等の観点もあろうかと思いますが、巨大ひずみなんかで取り上げられて
いる話も、先生もよくご存じだと思うのですけど。そういった観点も含められて、今後、もしこの計算
科学という形での展開を考えられた場合には、どの様な展開が考えられるかということについて、もし
よろしければお話をいただきたいと思います。
(東工大・里) わかりました。我々、従来、こういうクラスターがあるだろうという想像はしていましたけれど
も、なかなか頭の中でしか想像出来てなかったということで、最近、アトムプローブで実験的にも色々
なものが見えてきたということと、計算も比較的こういうのが、パソコン程度でも出来る様になったと
いうことで、そういうところに新しく踏み込んでいけるというところが、特にアルミニウムの場合に、
析出強化は非常に大きい強化機構なものですから。そういうところに、今までは想像でしかなかったと
ころが、だんだんある確信を持って進んでいけるという状況が見えてきたのではないかと思っておりま
す。そういったことを考えますと、今日はちょっと時間の関係でお示ししなかったのですけれども、ア
ルミ-カッパーというのは非常にベーシックなものでありまして、アルミ-カッパーの場合に、こうい
うことを取り扱おうとすると、やっぱり原子のミスフィットといいますか、格子ひずみを考えないと、
うまい形態のものが。いわゆるディスク状のものが出来ないということで、我々は、これは3体とか4
体とか、そういうところに格子の、いわゆる原子間の間隔のミニマムなところをとっていきますと、ち
ゃんとひずみが出てまいります。そういうことを設定してやりますと、アルミニウムの中でディスク状
のものが 100 に出てくるということが見えてくるのではないかというふうに、今日はそこまで示してい
ないですけれども、見えております。
(東委員) そうすると、析出の基本的なメカニズムも解明出来るということですね。
(東工大・里) そうです。特にベーカンシーは拡散を助けているだけではなくて、ベーカンシーと溶質原子ある
いは微量元素が一緒になって、核生成を作るところまで関与しているというところが、ある意味でアル
ミの特徴じゃないかと思いますが、そういうベーカンシーを、これは大体 20 個ぐらい入れて、20 個とい
うのは大体 10 のマイナス4乗で、いわゆる過剰空孔と言われている量を見ているのですけれども、そう
いうものをやりますと、ベーカンシーは一体となって核生成に関与しているということが見えてきてお
ります。これは、陽電子消滅と一緒にやっているのですけれども、そういうことで新しい、先ほど先生
の仰ったナノメタラジーってどういうところかというふうなところ出来ますと、一歩踏み込んで、そう
いうところは合金設計に使える様になってきたのだろうというふうに思います。
(東委員) ありがとうございました。
(中嶋分科会長) どうぞ。
(小関委員) 細かい質問で恐縮ですけれども、モンテカルロ時間と実時間の対応をとられるというふうに最初に
仰られたんですけど、今日はお示しになられたのはモンテカルロステップだけで、予測性の点からいく
と、実時間とどれぐらい合っているのかなというのは関心がありますが。
(東工大・里) 実時間に関しましては、報告書に入れ、報告はしております。いわゆる熱平衡の量のベーカンシ
ーを使って、それで、いわゆる拡散のプロセスをシミュレートでやることが出来ます。そういうことを
使いますと、どれぐらい、いわゆるジャンプ頻度があるかというのが推測できまして、それを使いまし
て、いわゆる熱平衡の場合の実時間との対比をかなりうまくつきます。もう1つ課題なのは、今、ちょ
っと話が出ましたが、アルミの場合に、クエンチしますと過剰空孔が沢山入っていまして、それによっ
て拡散がどんどん起こって、しかも空孔は途中でどんどん抜けていくというところがあります。そこら
の評価は非常に難しいですけど、ある程度、空孔濃度がこういうふうに減衰していくだろうということ
15
を、えいやと入れてやりますと、大体1けたぐらいの精度では、実時間と合わせることが出来るという
結果を得ております。それは電気抵抗の変化ですとか、あるいはアトムプローブの形態と合わせますと、
大体そんな格好にいきまして、もっと合わせようとすると、空孔の挙動をもう少しきちんと評価しない
といけないという様な状況です。
(小関委員) ありがとうございます。
(津崎分科会長代理) ちょっと関連して。この先生の課題は、中間評価の時に実験の舞台が他のプロジェクトに
行きました。そうすると、計算で精緻にやられたものが実験とどういうふうに合致するのかというのが、
これは非常に重要なことだと思います。そこでまた課題が見つかって、ブラッシュアップして、次の計
算へ進む。ご苦労があったと思いますが、そういう情報交換というものは出来る形でおやりになられた
のでしょうか。途中、3次元アトムプローブの結果と、先生のところでやっておられるのだと思います
が。そこは如何でしょうか。
(東工大・里) そうですね。幸か不幸かといいますか、もう1つ、自動車軽量化の中のいわゆる板材の、いわゆ
るボディーシート材に使うということで高成形性のプロジェクトがありまして、そちらと我々のナノア
ルミのやっていた実験のグループが一緒になって、より成形性がよくて、しかもいわゆるベークハード
ニング性がいい材料をつくろうという形の、実用化に向けた取り組みの一環として一緒になったわけで
すね。それで我々の計算の方は、そういう意味では、基本的に同じグループで引き継いで出来る状況が
ございましたので、アトムプローブの結果ですとか、2段時効の結果とかというのを全てここに反映し
て。今日は、時間の関係で一部しかご紹介しなかったので、そういう意味では、実験と計算はいつも突
き合わせて進むことが出来ました。
(津崎分科会長代理) そういうことが、プロジェクトにおけるフォーメーションはそこで変わったけれども、そ
れぞれの目標を達成するための情報交換はしっかり行われるという形で行われたということですね。
(東工大・里) そうです。
(津崎分科会長代理) ありがとうございます。
(中嶋分科会長) その他、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。最後に移らせていただきます。
(2)-5.ナノメタル工具鋼
実施者により、資料 6-2-5 に基づき説明がなされた後、引き続き質疑応答があった。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見をお願いします。どうぞ。
(東委員) この工具鋼の実用化の検討で、マイクロ金型での実用化は非常に可能性が高いというお話だったと思
いますが、この金型等に使われる場合のサイズというのですか、その大きさというのは、今回、実験を
3種類ほどの固化成形技術でやられていい結果が出ているわけですけれども、その寸法で十分対応出来
るということでしょうか。
(日立金属・片岡) はい。今回は、この3種類の製法の中の押出し法で作製したものを使っておりますけれども、
このサイズで十分に対応出来るということで、ラボ試験ではなくて、あくまでも実型のサイズで評価を
しております。
(東委員) その 15 ミリ径で、マイクロ金型として用途は十分に対応が出来る。そのサイズでも、金型としての使
用に耐えるということがほぼ解ってきたと、そういうことですね。
(日立金属・片岡) はい、そうです。
(東委員) そういう観点の中で、最後に今後の課題ということで、量産におけるコスト削減という話だったので
すが、その量産における部分というのは、もう既にこのプロトタイプでやられた部分ではだめなのでし
ょうか。そこだけ、ちょっと聞かせていただければ。
(日立金属・片岡) この前にお示ししましたマイクロ金型のみに絞っていきますと、使用される数量がどれだけ
増えていくかにも寄りますけれども、現状でも、ある程度対応出来ます。
(東委員) そうすると、非常にいい成果が、今回、実をも睨んで、一部で適用とはいえ非常に成功したというふ
うに理解してよろしいですね。
(日立金属・片岡) はい。そうしていただいて結構です。
(東委員) わかりました。
(日立金属・片岡) ここで示しています量産製造プロセスを更に進めていきたいといいますのは、今、その他の
実用化を目指した用途を考えておりまして、ある程度大きさが必要な分野というものがありますので、
そこについては、
(東委員) それは、なかなか難しい。
(日立金属・片岡) はい。更に進めていく必要があると思います。
(東委員) 結構でございます。
(中嶋分科会長) どうぞ。
(津崎分科会長代理) そういうことでしたら、よく一点突破・全面展開とか言われますが、こういう新しい金属
組織、第2相を、安定なものを分散させて、これで非常に高強度、高靱性が得られる、高硬度に。これ
16
は、例えば他の分野にも広がりがある様に思うのですが、そういった点に、波及効果という意味でもお
考えがもしあったら教えていただきたいですけど。
(日立金属・片岡) そのご質問の意図としましては、工具鋼ではないもの。
(津崎分科会長代理) なくても。
(日立金属・片岡) 全く違う成分系ですとか、そういったもの。
(津崎分科会長代理) はい、そういうことです。こういう基本組織を基に。金属組織ですね。このナノメタル材
料技術のプロジェクトの中でもありそうに思いますが。
(日立金属・片岡) その点につきましては、私どもは単独企業でやっているということもありまして、あまり手
広く色々な成分系をということには至っておりませんけれども、ただ工具鋼の分野におきましても、成
分系の大分違うものはございまして。例えば、その他の機能特性で別のものが欲しいといった場合には、
当然、その成分設計もいじっていかなければいけないということは考えておりまして、一部着手してい
るところもあります。
(津崎分科会長代理) わかりました。期待したいと思います。あと、ちょっと細かいことで教えていただきたい
のですが、シャルピーの衝撃値指標を SKH51 で 100 として示されているので、その SKH51 の値を知りた
いんですが、10 ジュールぐらいですか。
(日立金属・片岡) 実は、これはハーフサイズでやっているということもありまして、値でいきますと、ちょっ
とここのところでは伏せさせていただいている部分がありまして。この公開用の資料におきましては、
絶対値よりも相対値で、そういうことで示しています。
(津崎分科会長代理) もちろんそれで結構ですけど。
(日立金属・片岡) 値として、ここで出していいのかどうか。
(中嶋分科会長) 実用化の、次のセッションでお話しいただくということでよろしいでしょうかね。
(日立金属・片岡) わかりました。
(中嶋分科会長) その他、何かございませんか。
(東委員) ちょっと確認ですが、この工具鋼のご発表に関してのみ、結晶粒径の前に「有効」とついているので
すが、これは何か意味があるのですか。
(日立金属・片岡) はい。通常の溶製材の組織といいますものが、マルテンサイトを利用しておりますが、その
場合に、マルテンサイトというのはラスであったりブロックであったり、パケット、旧ガンマ粒と色々
サイズがありますけれども、その中で強度ですとか、延性、靱性に寄与する粒径というものを、大体は
ブロック径で言われておりますけれども、それを有効結晶粒というふうに捉えています。
(東委員) わかりました。なるほど。ありがとうございました。
(中嶋分科会長) 何か質問はありますか。
(田中委員) 1点、よろしいでしょうか。研究開発成果と最初に示されたところで、高価な合金元素低減という
のは、非常に大きな成果だと私は思いますが、特に差し支えなければ、例えばどういう元素ですか。
(日立金属・片岡) 基本的には、ここで比較に出しておりますハイスに大量に使われております、例えばタング
ステン、モリブデン、バナジウムといった元素。それから、あとは最近、価格が非常に高騰しておりま
すニッケルですとか、そういったような合金元素を低減したということになっています。
(田中委員) そういうのは、今、複数のあれが出てきましたけど、軒並みというか、全体的に減らすことが出来
るのですか。
(日立金属・片岡) そうですね。
(田中委員) 合金によると思いますけどね。
(日立金属・片岡) はい。基本的には、今回、ベース組成は JIS の SKD61 を使っておりますので、ハイスの SKH51
とは明らかに、それらの合金元素量は違うと。全てにおいてです。
(田中委員) わかりました。ありがとうございます。
(中嶋分科会長) それでは時間となりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
(3)実用化の見通しについて
議題7.全体を通しての質疑
(非公開)
(非公開)
議題8.まとめ・講評
(中嶋分科会長) それでは、最後にまとめと講評に移らせていただきます。委員の方々、それぞれ短時間でご意
見・講評をいただければと思いますが、東先生の方から、お願いします。
(東委員) 今回、朝からずっと聞かせていただいて、本当に、最初、ナノテクという位置づけから始まりまして、
結果、流れも色々変わりながら、世の中も変わりながら、そして皆さん、一生懸命、研究をやられてこ
られて。そういった意味で、金属分野の持っている色々な問題点もその中から見えてきたと思いますし、
今後、金属の分野としてやるべき課題も、この研究をやられた結果、かなり見えてきているではないか
17
なと思います。そういった意味で、先ほど私、ちょっと発言させていただいた様なマルチスケールでの
見方を含めて、なおかつ金属分野で非常に未発達だった結合の方を含めた部分でのシミュレーション、
あるいは非常に精緻な分析、そういったところが今後非常に重要なことになるという様なことを再認識
させていただいて、私個人としても、こういう委員会に参加させていただいて非常にありがたかったな
と思いますし、私としては、かなりいい、まとまりのあるプロジェクトではなかったのかなというふう
にジャッジをいたしております。以上です。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。では、新田委員からお願いします。
(新田委員) 今日は、本当に長丁場で、聞く方も説明される方も大変だったかと思いますが、私、中間評価にも
参加させていただきまして、その時から、中間評価の結果を踏まえられまして、実用化ということをか
なりイメージされた様な展開をなさっているなというのは、今日痛感いたしました。そういう意味で、
限られた原資で時間も決まっておりますので、そういう意味では、そちらに舵を切られたということで
仕方ない面はあるかとは思いますが、今日お話を伺っても、本来の基盤技術といいますか、ベースのと
ころが少し弱まった様な印象も受けましたので、まだ色々プロジェクトは続く様ですので、その辺は、
是非ともさらに深めていただきたい。実用金属の方は、非公開で色々お話を伺いましたが、かなり実用
化のイメージじゃなくて、もう実用化の具体化という様なところが大分見えてきておりまして、そうい
う意味で、プロジェクトの成果として非常に大きな成果が得られているなといいますか、役に立つプロ
ジェクトであったのかなというふうに思います。ただ、NEDO さんの国のプロジェクトですので、メーカ
ーさん、ある特定のやる気のあるメーカーさんが実用化していただかないと、そういう技術の実用化と
いうのは無理だと思います。特定のメーカーさんだけの技術、特許も取れますし、そうなってしまうの
ですが、せっかくプロジェクトで色々貴重な成果が得られておりますので、日本全体の技術の底上げの
様な形で、特定のメーカーさんだけではなくて、幅広く日本の関連の技術が上がる様になればいいなと
思っております。材料の研究というのは、非常に時間のかかる、実用化まで時間のかかる大変な作業で
すが、これがまたいい次のプロジェクトに繋がる様な形で、是非発展をしていただければなというふう
に思っております。どうもありがとうございました。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。中西委員、お願いします。
(中西委員) 本日のこの成果ですが、今、自動車産業が資源問題に日々直面をしておりまして、色々なところに
非常に大きな影響が出ております。今現在の将来の色々な車の生産の計画を考えても、資源という問題
が常に出てくる。本プロジェクトのこの成果というのは、まさに省資源のベースとなる様な、大変すば
らしい、しかもタイムリーで、大変立派な成果だったと思います。そういう意味からしますと、このプ
ロジェクトの得られた成果、非常に大きな波及効果があると思います。是非、その材料のものづくりの
上流への波及効果も非常にあると思いますので、是非そういう点で、発展する様にうまく、さりとて、
実用化を加速しようと思いますと、メカニズムが解っているという部分が非常に重要な部分になってま
いります。そういう意味で、基礎と広がり、この両方を、是非同時に並行して進めていただきたいなと
いうふうに思っております。すばらしい成果、どうもありがとうございました。
(中嶋分科会長) ありがとうございました。田中委員、お願いします。
(田中委員) 私も、資源の話が出ましたけど、高純度金属という非常に大学でチャンピオンデータを狙うという
お立場から、それが実用的な材料として展開されているというところに非常に感銘を受けました。ただ、
今、中西様が仰られた様に、メカニズムの話を少しお聞きしましたが、まだ少し不明な点もある。ただ
し、それはここでなし遂げられなかったというよりは、新たなシーズを生み出したプロジェクトであっ
たというふうに捉えて、それはここで、このプロジェクトで初めて明らかになったのですから、答えが
出ることだけでなく、そういう、他の人の気がついていない様なものを見つけたというのは、形にはな
っていませんけど、非常に大きな成果だと思います。それを、今度、メカニズムを明らかにされるとい
うところに重点を置いて展開されて、ますます発展されるということを期待しております。以上でござ
います。
(中嶋分科会長) ありがとうございます。それでは小関委員、お願いします。
(小関委員) 今日は、1日、プロジェクトの成果をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。
非常に幅広い成果を伺いまして、また金属材料の新しい可能性というものを多く示唆されていると思い
ますし、国の支援を受けて進めるプロジェクトとしては、非常に適した、評価されるプロジェクトだと
思います。特に私が感銘を受けましたのは、鉄鋼材料、アルミ合金、銅合金、色々な材料をやられてい
るわけです、鉄鋼材料は、特に自動車用から工具鋼までやられているわけですけれども、その中で、今
まで鉄鋼材料に関して言えば、業界そのものも大きいですし、それをバックアップする学協会も非常に
しっかりしているということで、このナノに関わる様な多くのプロジェクトが今まで走っていると思い
18
ますけれども、相対的に、業界の大きさから言うと小さい銅合金なんかも巻き込んで、この中で進めら
れたというのは非常にいいことで、まさに国として、金属材料全般にサポートすべきことじゃないかな
と思います。特に、今までなかった計算状態図のデータを整備して、そこからナノの切り口で材料開発
をして、さらに非常に近いレベルで実用化もさまざま検討されているところで、非常に波及効果が大き
いのではないかなと思います。その意味では、このプロジェクト、非常にさまざまな成果を含んでいる
と思いますので、冒頭、石田先生も言及されました様に、知の構造化というか、色々な形で、このプロ
ジェクトの中だけじゃなくて、その外にも横展開される様な知識の活用が必要だと思いますので。むし
ろ、このプロジェクトの推進元の NEDO さんの方にお願いすべき課題だと思いますけれども、ポストプロ
ジェクトとして、そういったような知識の転用可能なデータベース化というか、構造化を是非お願いし
たいと思います。プロジェクトとしては、非常に多くの成果を含んだプロジェクトだと思います。どう
もありがとうございます。
(中嶋分科会長) ありがとうございます。それでは津崎委員、お願いします。
(津崎分科会長代理) 今日は、ありがとうございました。中間評価時に、実用化イメージ、出口イメージをしっ
かりするということで、一定の方針を少し修正しながらも、最終目標をしっかり到達されていると思い
ます。特に、実用化、出口イメージのところには、先ほどもありましたけれども、まさにすぐにでも出
てきそうなものがあって、それは、こういう材料のプロジェクトの中としては画期的だと思います。や
はり時間がかかるというのは当然ですから。さらに、時間のかかる許認可問題とかもあるでしょうが、
プロジェクトメーキングをされた井上先生をはじめ皆様が、その中から実用化に近いものも取り込んで
なされたからだと思います。この分野の研究を、また技術に関わっておられる方に大きな力を与えると
思います。一方で、ナノメタラジーという中で、新しい材料づくりに関わることもしっかり見出されて
いるというふうに感じました。ただし一方で、それを支えていくメカニズムの解明とか、そういうとこ
ろでまだ不足の点もあったように見受けまして、逆によかったなと、完璧なプロジェクトをやられます
と、後についていく者がちょっと大変でございまして、まだやることもあるのだなということで思った
次第でございます。冒頭に申し上げました様に、全体の印象としては、本当にまさにタイムリーなプロ
ジェクトだったと感じております。今日は、ありがとうございました。
(中嶋分科会長) ありがとうございます。最後に私から一言述べさせていただきますが、このプロジェクト、ナ
ノメタル技術は、ナノメタラジーの確立によりまして、この金属材料の分野における我が国の開発競争
力を高めるという目的で、総合科学技術で取り上げられました課題であります。今日、長い間、このプ
ロジェクトを皆さんからご説明いただきましたが、この中の多くは、世界に先駆けてとか、世界で初め
てという様な独創性に富むものが多数見受けられまして、最終目標がかなりの確度で達成できているな
という印象を持たせていただきました。また、このプロジェクトは単なる開発研究だけではなくて、先
ほどちょっと議論させていただきましたけれども、材料、高純度の標準化とか、そういう日本の、今、
弱い点、ISO に絡む、今後伸びなければいけない様なところも含んでおりますので、その開発研究以外に、
そういう点もさらに発展させていただきたいと思います。このプロジェクトは、平成 15 年の中間評価の
時点で色々議論がありましたが、基本的には、基盤研究を推進するということで、その時には合意が取
りつけてあります。ですが、成果の実用化とか事業化、それはシナリオとかシステムというのができれ
ば、それはベストでありますけれども、やはり基盤研究、基礎研究を中心としたもので、プラスアルフ
ァとして、今日ありました様に、実用化とか商品化の見通しですね、それが見渡せればいいということ
で、今日はたしかプレゼンテーションはそういう方向でやっていただいたと思っております。中間評価
の時点では、実は、ちょっと文言がありますので読ませていただきますと、
「構造材料の様に実用化まで
のリードタイムの長いものを拙速に実用化することは回避すべきであるが、エンドユーザーとの密接な
関係を一層高め、実用化、事業化に向けて克服すべき課題を明らかにしていくことが望ましい」という
のが、中間評価の段階だったのですが、今回、その線に沿って、後半、やっていただいたという様に感
じております。今後、私たち評価委員会としては、文書で各委員の皆様の意見を通りまとめて、またこ
の委員の方々、同じ材料でもそれぞれ立場、分野も違いますので、色々な意見があろうかと思いますが、
それを集約した上で、そちら、事業担当者、開発研究者のご意見を伺った上でまとめさせていただきた
いと思います。今日は、どうもありがとうございました。
議題9.今後の予定、その他
事務局より今後の予定について説明があった。
議題10.閉会
―――了―――
19
配布資料
資料 1-1
資料 1-2
資料 2-1
資料 2-2
資料 2-3
資料 2-4
資料 3-1
資料 3-2
資料 3-3
資料 3-4
資料 3-5
資料 4
資料 5-1
資料 5-2
資料 5-3
資料 6-1
資料 6-2
資料 6-3
資料 6-4
資料 7
資料 8
研究評価委員会分科会の設置について
NEDO技術委員・技術委員会等規程
研究評価委員会分科会の公開について(案)
研究評価委員会関係の公開について
研究評価委員会分科会における秘密情報の守秘について
研究評価委員会分科会における非公開資料の取り扱いについて
評価の実施方法と評価報告書の構成について
NEDOにおける研究評価について
技術評価実施規程
評価項目・評価基準
標準的評価項目・評価基準(参考)
評点法の実施について(案)
評価コメント及び評点票(案)
評価報告書の構成について(案)
事業原簿(公開版)
事業原簿(非公開版)
プロジェクトの概要説明資料(公開)
プロジェクトの詳細説明資料(公開)
1.超高純度金属材料分野ナノメタル技術開発
プロジェクトの詳細説明資料(公開)
2.実用金属材料分野ナノメタル技術開発
プロジェクトの詳細説明資料(非公開)
3.実用化の見通しについて 超高純度金属分野
プロジェクトの詳細説明資料(非公開)
4.実用化の見通しについて 実用金属金属分野
質問票
今後の予定
20