廃油でつくるアロマキャンドル

材料工学科4年
・新田 淳
ABSTRUCT
・大友 頌子
・遠藤 友理
INTRODUCTION
以前までの炎色反応キャンドル(図1)では炎も大きく、半
固形物であったため実験後に持ち帰ることが困難だった。
そこで私たちは固形状でかつ廃油から作ることで環境にも
やさしく、「炎色反応」を身近に感じ、知ることのできる
アロマキャンドルを開発しようと考えた。
廃油は植物油でありバイオマス燃料のためカーボンニュー
トラル(ライフサイクル全体でみるとCO2の収支はゼロ)の
性質を持っている。またリサイクルにもつながり、環境に
配慮した教材開発に適していたため利用した。
図2
炎色反応の原理
図2のように熱エネルギーによって外
殻に励起した電子が基底状態へ戻ると
きに生じる発光のことを炎色反応とい
う。
主にアルカリ金属やアルカリ土類金属、
銅などの塩を炎の中に入れると各金属
元素特有の色を示す。
炎色反応は金属の定性分析や花火の着
色に利用されている。
今回の実験で使用する「ステアリン酸」とよばれる固形処理剤は
動物性・植物性の脂肪分の中にも多く含まれている飽和脂肪酸で
ある。これは常温では白い固体、高温では液体(油)となる。
「ステアリン酸」はろうそくのほかに石けんや金属石けん、界面
活性剤、研磨剤などに使われている。それに対して、サラダ油の
ような丌飽和脂肪酸は常温で液体(油)である。
図1 炎色反応キャンドル (ホウ酸、Na、Sr)
図3
RESULTS
DISCUSSION
and
DETAILED METHODS
1 , 70~80℃で濾過した廃油20mlにステアリン酸6gを溶かす。
*芯材の決定
表1
2 , 好きな色のクレヨン少量で着色する。
各芯材の実験結果
麻糸
紙糸
芯材として麻糸・紙
糸・たこ糸の3種類
を用いた。結果を表
1に示す。
たこ糸
炎の安定性
ぶれる
ぶれる
安定する
すすの排出量
少量
大量
ごく少量
再着火
時間がかかる
時間がかかる
即可能
たこ糸は油の浸透がよ
いため、優れた結果が
得られたといえる。
*芯の作成
表2
A , 金属塩水溶液をたこ糸にしみこませて乾か
す。
B , たこ糸をほどき、しみこませて撚り合わせ
る。
C , たこ糸のまわりに細い糸(縫い糸)を巻きつ
け、よくしみこませる。(巻きつけることで
液を逃がさずに糸の繊維までしっかり金属
塩を浸透させる効果を狙った)
金属塩が油中に逃げてしまうため、表2の
上記5項目は反応が微弱になってしまった。
芯の作成結果
作成方法
炎色反応の結果
A
なし
B
なし
C
下部のみ
A and B
下部のみ
A and C
下部のみ
B and C
中腹まで
A and B ,C
中腹まで
表3
キャンドルソース作成結果
a
粉末の状態
b
c
荒い
d
4 , 乳鉢で金属塩を細かくすりつぶしておく。
5 , 型のまわり(ふち)が少し固まってきたら細
かくしておいた金属塩を小さじすりきり1
杯と好きな香りのアロマオイル約10滴を
加えてよく撹拌する。
6 , 完全に固溶するまで氷水で冷やし、固ま
ったらゆっくり型からはずし、芯(たこ糸)
を2~3mm 程度ろうそく表面から出る
くらい埋め込む。
炎のまわりの着色(炎色反応)に成功し、
アロマオイルの香りも出すことができ
た。
細かい
添加時の油
の温度
120℃
75℃
120℃
75℃
炎色反応
なし
なし
なし
炎の中腹
まで
金属塩が沈殿した
芯が金属塩を
吸い上げない
ため
考察
3 , すべて溶けたら型に流し入れ、氷水で一気に冷やす。
SUMMARY
*キャンドルソースの作成
作成法
ステアリン酸の構造式
金属塩が沈澱した
実験で使用した金属塩は、塩化リチウ
ム・塩化ナトリウム・塩化ストロンチ
ウム六水和物・ホウ酸の4種類である。
それぞれの金属塩に対する炎色反応を
以下に示す。
図4
塩化リチウムの炎色反応
なし
炎が大きすぎるため炎全体の色が変わらないと考え、糸の突出
部を5mmから2mm弱に変更した。これにより、表2のB and
C及び表3のdの方法ともに炎全体を包むように反応を起こした。
またdのみの方法においても上記と同様の結果が得られたためこ
の方法を用いることにした。
表4
各金属塩の炎色反応
塩化リチウム
塩化ナトリウム
ホウ酸
塩化ストロンチウム
六水和物
深紅色
橙色
緑色
深赤色
国立仙台高専名取キャンパス