平成24年度会議概要 PDF(259KB) - 徳島県

徳島県立病院医療安全対策委員会
●開催日時:平成25年1月10日(木)午後7時から午後9時まで
●場
所:徳島県立中央病院 3階 講堂
●出 席 者:
(委 員)徳島大学
看護学教授
雄 西
徳島大学病院
安全管理対策室長
加 藤
徳島県薬剤師会 会営調剤薬局長
河 野
徳島赤十字病院 薬剤部 医薬品情報管理係長 組 橋
田中法律事務所 弁護士
田 中
徳島県医師会
常任理事
中 山
徳島県看護協会 常任理事
水 口
(病院局)
所 属
職 名
氏 名
病院事業管理者
片岡 善彦
病院局長
黒川 修平
課長
仁木 芳宏
副課長
来島 努
課長補佐(経営戦略担当)
板東 賢司
主事(経営戦略担当)
丹羽 知樹
医療安全センター長(医療局次長)
前川 正彦
事務局長
中瀬 敬一
病院局
病院局経営企画課
中央病院
医療安全センター副センター長(事務局次長) 森 繁生
医療安全センター副センター長(看護師長)
藤本 藤枝
院長
余喜多 史郎
副院長(医療安全センター長)
坂本 不二夫
事務局長
高田 浩
医療安全センター副センター長(看護師長)
長谷川 説子
院長
坂東 弘康
事務局長
竹田 伸也
医療安全センター副センター長(看護師長)
上田 憲子
三好病院
海部病院
-1-
智恵美
真 介
美 代
由 記
浩 三
孝 善
靖 美
●会議の概要
1
開会
2
片岡病院事業管理者あいさつ
委員の皆様方に改めてお礼申し上げたいと思います。お忙しいところ,し
かも,このような時間帯で寒い中,徳島県立病院医療安全対策委員会に御出
席いただきまして,本当にありがとうございます。心より感謝申し上げたい
と思います。
医療,さらに,病院経営におきましては,リスク管理が非常に重要になっ
てきているところでございまして,そのリスクがある中で,常に医療は理想
的には,インシデント・アクシデントゼロということを目標に進んでいかな
ければならないわけですが,やはり医療というのは御存じのように,常にリ
スクを背負うという一面もございます。そういうことで,このような委員会
の場において,いろいろな御意見を頂きまして,それを参考にして,次に繋
げていきたいと思います。
私もいろいろ感じていますのは,医療のインシデント・アクシデント等リ
スクを少なくするということは,まさに組織力を強化する以外に方法はない
と思っております。そういった中で,組織力が上がれば,それを構成する一
人一人の力も上がっていくという形で,その道以外にリスク管理はできない
のではないかと思っています。
今回の委員会で,委員の皆様方には忌憚ない自由な御意見を頂きまして,
我々にいろいろなアドバイスをしていただければありがたいと思います。よ
ろしくお願いしたいと思います。
3
議事
事務局
委員
事務局
それでは,新任期による初めての委員会ですので,徳島県立病
院医療安全対策委員会設置要綱に基づきまして,会長を御選出い
ただきたく存じます。
会長の選任は設置要綱第5条の規定により,委員の互選になっ
ておりますが,いかがいたしましょうか。
中山先生にお願いしてはいかがでしょうか。
引き続き,会長に中山先生をという御推薦ですが,いかがでし
ょうか。
-2-
(委員より「異議なし」の声あり)
事務局
事務局
御異議がないようですので,それでは,中山会長にはお手数で
すが会長席に御移動いただければと存じます。
早速で恐縮ですが,一言ごあいさつをお願いしたいと存じます。
会長
会長に御指名いただきましたので,力不足ですが,進行させて
いただきたいと思います。皆様,御協力よろしくお願いいたしま
す。
事務局
次に,副会長の選出でございますが,設置要綱によりまして,
副会長は会長の指名になっております。
中山会長,御指名をよろしくお願い申し上げます。
会長
水口委員にお願いしようと思いますが,よろしいでしょうか。
事務局
御異議ないようですので,水口副会長には席の移動をお願いい
たします。
事務局
以後の議事の進行につきましては,中山会長にお願いしたいと
存じます。
どうかよろしくお願いいたします。
会長
それでは,早速ですが議事を進行させていただきます。
議題の(2)について,お願いします。
事務局
「(2)徳島県立病院医療事故等公表基準の改正について」
(病院局経営企画課から説明)
会長
ありがとうございます。
公表基準を改正するということですが,現実的には今までと同
じ運用になるとのことですが,医療事故のうち不可抗力及び合併
症は公表しないということがメインということでしょうか。
事務局
はい。
会長
委員の先生方,御意見がありましたらお願いします。
委員
この取扱い自体は賛成ですが,過失の判断というのは,具体的
-3-
にどなたがどのようにされるのですか。
事務局
各病院の医療安全管理委員会というところで,臨時の会議を開
いて,その中で過失の判断をするようになります。
委員
言葉についてですが ,「不可抗力」という言葉をこういった所
で使うかなという感じがするのですが,いかがでしょうか。それ
から ,「人身事故」という言葉も,少なくとも国立大学の付属病
院の医療安全協議会の中では使いません。そこが最初に見せてい
ただいた時に少し気になった点です。
それから,
「3 医療事故等のレベル区分及び公表基準」に「等」
を入れていて,多分国立大学も「等」を入れていますが,ほかの
所でそういう文言があまりありません。
事務局
確かに「人身事故」という言葉自体は,なかなか他県のものを
見ても少ないのですが,これまで本県の公表基準はこのような表
現になっていましたので,今回は最低限の改正ということで案を
作成していたのですが,その辺りはまた整理させていただいて,
修正したものをお送りさせていただいた上で直したいと思いま
す。
会長
まず ,「人身事故」に関してはまた考えていただくということ
でいきましょうか。
委員 ,「不可抗力」の方については,何か表現についてアイデ
アとかありますでしょうか。
委員
英語で言いますと ,「 adverse event」(有害事象)をすべて含
むというのが,今の法曹界も含めての医療事故の考え方のようで
す。ですから,期待していないことが起こったということ,それ
は当然医療ですから,起こるのはすべて人身になりますよね。
それと,もう一つ「不可抗力」というのは,ある程度の頻度で
起こる合併症も含むのでしょうか。
委員
法的には「不可抗力」という言葉を使うのですが,ただ,病院
の医療事故を「不可抗力」としたときに,その言い方を世間が聞
いた時にどういう印象を持つかなというのは確かにあります。
委員
例えば,医療では,ある程度の頻度で望ましくない結果が出ま
す。それを事故が起こってしまったということを言うのか ,また,
-4-
医療の現場のどういうシチュエーションで「不可抗力」という言
葉が実際に使われるのかなという感じがするのですが。
委員
通常,天災とか大災害とかそういう人間の力が及ばないような
ことで起きた場合に,典型例として「不可抗力」と言っていると
思います。ですから,今,委員がおっしゃったようなこともあり
ますし,若干検討の余地はあるのかなという気がします。
事務局
持ち帰りまして整理した上で,また委員の皆様に見ていただき
たいと思います。
委員
私も不可抗力の判断をどうしているのかが一番気になったとこ
ろなのですが,委員会が決定したこと,それが絶対正しいという
ものではないと考えます。
委員
もう一つの個別公表の時ですが,患者さん側の同意という観点
があまりここにはないかなと思うのですが。
実は,私たちは患者さん側の同意というのは非常に取りづらい
と言いますか,イエスもノーも言っていただけない場合がしばし
ばあるのですが,患者さん,御家族側の同意は一応個別公表をす
る,しない,いずれにせよそういう事例がある場合には,必ずお
話をしている状況ですので,その具体的な手順があっても良いよ
うな気がします。
私たちは一応,公表に「同意します」,「同意しません」という
両方の同意書を作って,お渡ししています。実はそれが返ってく
ることはあまりないのですが,一応,形の上ではそういうふうに
やっています。
会長
資料には,患者及び家族への説明について記載がありますが,
具体的な運用では,そういう配慮もお願いしたいと思います。
そうしますと,この公表基準を改正する方向で進めていただき
たいと思います。また,今,指摘のありました委員の先生方の意
見も取り入れて,文章を少し作り直していただければと思います 。
会長
それでは,次の「平成23年度インシデント・アクシデント報
告」に移らせていただきます。
事務局
「( 3)平成23年度インシデント・アクシデント報告につい
て」
-5-
(病院局経営企画課から説明)
会長
御報告ありがとうございました。
委員の先生から御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお
願いします。
委員
(日本)医療機能評価機構に実際に報告された件数がどれくら
いあるか把握されていますでしょうか。
病院局
中央病院は報告しておりません。
委員
私たちはだいたいレベル3b(傷害の継続性が一過性で,傷害
の程度が高度のもの)以上だと半分くらい報告していると思いま
す。事務的に結構大変なのですが,幸い事務的な力はありますの
で。
月に3b以上として報告されて,検討するのが4~5件はある
のですが,半分くらいは報告しています。報告したからどうって
ことはないのですが,何かあった時に ,「きちんと第三者的なと
ころに報告していますよ」という態度を示すのに非常に良いかな
と。それと,事務の方がそういういろいろな事故を情報収集する
ということに慣れていただけるという両方のメリットがあって,
こまめに報告を送るようにしています。
病院局
その報告する案件とそうでない案件はどういうふうに分けてい
るのですか。
委員
毎月,病院長,副病院長等々を含んだ10人少々のリスクマネ
ジメント委員会というものが開かれて,そこで3b以上はすべて
報告しています。その際に,医療機能評価機構に報告するかどう
か,それから,損害補償の会社に報告するかどうかということを
一件一件検討して,そこで決定しています。
報告すると,医療機能評価機構の方から問い合わせはあります
が,最終的には,病院名などはすべて匿名化されて,厚生労働省
に報告されます。そちらの方からいろいろな情報が漏れるという
ことはまずないので,私たちは気軽に報告しています。
会長
医療機能評価機構の話がありましたが,県立病院は報告する対
象の施設になっていないのですか。
-6-
病院局
例えば,大学病院は医療機能評価機構に報告しなければならな
いということになっていたと思うのですが。
委員
そうですね。最初は特定機能病院は(報告しなければならない)
ということだったのですが,今は確かもっと広がっていると思い
ます。
病院局
県立病院は義務づけられてはいないので,出していないという
のが現状です。
委員
昨年の報告では,医師の報告件数が増えてきていたなという印
象があったのですが,今年はまた元に返ってしまって,看護師の
報告数が増えていて,インシデントを次に起こさないための意識
の高まりというところでは,報告を出してもらうことが一番必要
と思うのですが,医師の報告が減った理由は何かありますでしょ
うか。
病院局
中央病院の件数が一番多いので,中央病院の件数が関係してい
るのだろうと思います。
印象では,最近はみんなが出すような方向で考えてくれている
と感じておりましたが,実際に私もこの数字を見て少し驚きはし
たのですが,気軽に出そうというふうな形には院内ではなってお
ります。
委員
職場としてそういう雰囲気があれば,また報告が増えてくるか
と思いますので,期待しています。
会長
以前からの指摘のとおりなので,医師のインシデント報告は診
療していると毎日でも出るくらいのような気がしますので,また
よろしくお願いしたいと思います。
病院局
分かりました。
会長
インシデントからの注意の積み重ねでアクシデントを減らすこ
とができると思います。その点よろしくお願いいたします。
委員
県立3病院それぞれのデータが出ているのですが,その中で中
央病院のインシデント・アクシデントの報告が一番多いのです
が,これはきっと患者数とか医療従事者の人数とかが多いからだ
と思いますが,それぞれの病院で,患者数に対してどのくらいの
-7-
割合か,また,報告のあった医師が従事している医師の何%くら
いかという比較の仕方はされないのでしょうか。
会長
そうですね。当然,対象患者が多ければ,数が多くなると思い
ますがどうでしょうか。
病院局
現在,そういう分析はできていません。今後,検討していきた
いと思います。
会長
そうですね。中央病院,三好病院,海部病院それぞれが出して
いただければ,比較しやすいかなと思います。よろしくお願いし
たいと思います。
会長
事務局
会長
それでは,次の議題について御説明をお願いいたします。
「( 4)平成23年度県立病院における医療事故の包括公表に
ついて」
(病院局経営企画課から説明)
御報告ありがとうございました。
何か御意見がありましたら,よろしくお願いします。
委員
職種別のアクシデントで53件が挙げられていますが,アクシ
デントのレベルの分類と行為別を教えていただきたいのですが,
そのうちの10件がここに出てきていると考えればよろしいでし
ょうか。
事務局
アクシデント53件のうち,医療過誤は11件ございまして,
10件がここに出ておりまして,あと1件が先ほど申しましたレ
ベル4以上のケースでございます。それで,トータル11件とな
っています。
会長
分かりました。そうしますと,公表の同意が得られていれば1
1例ということで,すべてになるということですね。
委員
「3」の日本脳炎ワクチンの件ですが,全く似たようなことが
ありまして,3歳未満への接種のことですとか,間隔が適切に空
けられていないとか,そういったことがいくつかありました。
ワクチンは日本脳炎だけではないですので,それが一覧で分か
るようなものをきちんと作っておかなければ,こういうことがと
-8-
かく起こりがちだというのが私たちの印象です。
ですから,日本脳炎だけではなくて,ほかのワクチン,それか
ら,それぞれどのくらい間隔を空けなければいけないかとか,そ
ういったものを一覧にされていた方が良いと思います。
それと,その下の内視鏡の件ですが,再発防止策として処置前
にタイムアウトをするということですが,非常に良いことだなと
思います。私たちも手術ではできているのですが,内視鏡の処置
ではできていませんので,タイムアウトを導入するのは非常に良
いことだと思いますが,手術室はきちんとタイムアウトは導入さ
れていますか。
病院局
導入して,実行しています。
委員
私たちは最近国立大学付属病院間相互チェックで,タイムアウ
トの結果もきちんと残しておいたらどうでしょうかと指摘されま
した。タイムアウトをやりましたとか。入室の時のいろいろな状
況も含めて,残しておいたらどうでしょうかという御指摘でした
ので,対応しようかなと思っているところです。
病院局
今,残すと言われたのは,手術記録に記載して残すということ
ですか。
委員
そうですね。入室の時のチェック項目とかは,実際,チェック
項目を覚えてしまうとトラブルの原因になりますので,覚えない
ようにきちんと紙に書いてやりましょうということでやっていま
す。それを看護師さん側はラミネート加工してきれいにやってい
ますが,きちんとチェックしたかどうかということが分かるよう
に,一人一人が残していってはどうでしょうかという御提案を受
けました。その後私たちが別の病院に見に行った時には,紙媒体
に残していました。そうすることによって,何かあった時により
問題点がピックアップしやすいかなと思いました。
病院局
当院ではチェックシートではなくて,その書類をすべて全員の
前で見せて,そういうことをしたということを手術記録に記載す
るという形で今はやっています。
委員
それではそれで良いかと思います。
委員
原因のところとか内容のところで,当事者が誰だったのかとい
-9-
うことが,内容で大体分かるのですが,看護師が当事者なのか,
あるいは,医師と看護師のコミュニケーションのところで起きた
のか,その辺りが多分レポートの中には細かく書いてあると思い
ますが,そこが表の中にあると分かりやすいかなと思いました。
それと,実際に患者さんが事故になった事例に年齢とか病気と
が書かれていますが ,「10」については,年齢とかが書かれて
いません。
再発防止策として「ベッドアップは可能な限り2人で行う」と
対策が書かれていますが,例えば,高齢者の場合と認知レベルが
すごく低い人の場合だと,これは妥当かなと思いますが,そうで
はない人の場合に2人でいうことになると,マンパワーの問題と
かいろいろなことがありますので,その患者さんの状況がもう少
し分かるようになっていれば良いかなと思いました。
病院局
レポートの中では書かれています。
この患者さんはかなり高齢の方で,認知症があって寝たきり状
態で,普段より身体症状の訴えが乏しい患者さんでした。
昼食の介助時に,電動ベッドの頭部を挙上させている時に音が
鳴ったということで,ベッドアップを中断して確認すると,右上
肢がベッドとベッドの柵の間に挟まっていたような状況でした。
すぐに介助して,体位を戻すなどの処置をして,主治医がその時
は不在でしたので,整形外科医に報告して,診察を受けて,画像
診断の結果,右尺骨部に骨幹部骨折を認めて,ギプス固定をしま
した。その後,主治医が帰院したので,報告を行ったような状況
です。
委員
年齢とか認知レベルによって,随分対策が変わってくるかと思
います。
委員
「6」の指示の見落としという部分なのですが,資料を見る限
りでは,看護師さんの方で指示の確認の不足があって,そのチェ
ック体制をダブルチェックにしないといけないということのよう
ですが,補正中止の指示というのが具体的にどのような形でなさ
れているかというのはよく分からないのですが,そちらの指示の
側には全然問題がなかったということになっているのでしょう
か。
病院局
はい。
- 10 -
委員
病院局
委員
会長
病院局
どのような形で指示は出されているのでしょうか。
指示は「血糖測定毎食前は続行,補正は一旦中止」という形で
出ていました。きちんと指示はありましたから,指示の確認不足
です。
分かりました。
当然指示も電子カルテの中に書かれているということでしょう
か。
平成23年8月以降,電子カルテへの指示入力になっています 。
会長
ということは,継続的に投与する場合には何の指示もなく,継
続投与でずっといきなさいと,それで,中止する時など,変わっ
た時に初めて指示が出るというシステムなのですね。
病院局
そうです。中止の指示がなければ継続とみなします。中止の場
合は,補正中止と新規オーダーになります。新規指示オーダーが
出ましたら,画面上の患者氏名の上に電球マークが出ます。それ
を確認しております。
会長
逆に言えば,機械さえ故障しなければ,今の方がより確実に伝
わるというふうに考えますがどうですか。
病院局
最終的には,目視確認が最重要だと思います。
病院局
もちろん電子カルテにも書くのですが,コミュニケーションも
きちんと取って,両方でミスがないようにしています。
会長
「9」について,原因のところで,アラームの発生と思い,確
認が遅くなったというふうに書かれていますし,再発防止策のと
ころでは,人工呼吸器・生体モニターのアラームに注意するとい
うふうにあります。アラームのうちの一つを見落としたというこ
とでしょうか。
病院局
この時は患者さんにアラームが鳴る人工呼吸器と生体モニター
の両方が付いておりました。それで,患者さんからアラームが鳴
ったのですが,そのアラームは気管内に挿管しているために,バ
ッキングという状態になって,アラームが発生しているのではな
- 11 -
いかという判断があって,そのアラームへの確認が遅くなったと
いうことが一つの原因だということで,患者さんに付けているア
ラームに関しましては,その状態も観察しながらですが,アラー
ムが鳴った時には,やはりアラームが発生している機器の状況を
まず確認しようということで再発防止策には「アラームに注意す
る」と入れています。
会長
順序としては,人工呼吸器の酸素ボンベの残量がゼロになって ,
アラームが鳴って,次にSpO2(血中酸素飽和度)のアラーム
が鳴るという順序だったのでしょうか。
病院局
そこのところを当事者に聞いたところ,どちらが先というのが
なかなか鑑別できなかったので,その状態の方からアラームはS
pO2ではなくて,人工呼吸器の酸素ボンベから鳴っているのだ
というところにはいかなかったということですので,アラームが
鳴ってはいたのですが,音もそんなに大きくなく,また,その時
にいろいろほかの対応をしているところでしたので,そこまで聞
き取りができなかったということと,まずは状態からそのアラー
ムは患者さんのバッキングとかから出ていると判断を優先したと
いうことでした。
会長
この報告の中にもあるように,急患が重なって大変だったと思
うのですが。分かりました。
委員
この「アラームに注意する」だけよりも,アラームが鳴ったら
必ず原因を確認して,対処するとかということの方が良いのかな
と思います。アラームについては,思い込みはもう絶対まずいこ
とで,何か問題があるので,すぐに問題を確認し,対応するとい
うふうにされた方が良いのかなと思います。
会長
そのように私も思いますので,よろしくお願いいたします。
委員
「5」についてですが,糖尿病でない患者さんに誤ってインス
リン投与ということで,ダブルチェックという再発防止策が出て
いますが,朝の忙しい時間帯にインスリン注射というところで,
ダブルチェックも大変難しい話で,時間が限られているかなと思
うのですが,何かほかに対策が考えられないかなと思ったのです
が,いかがでしょうか。
- 12 -
病院局
インスリンに関しての患者間違いということですが,現在もダ
ブルチェックはしています。
深夜帯等ではどうするという御質問ですが,現在,一般病棟は,
深夜は3人で勤務しております。AとBの2チームに分かれてお
り,各1名のメイン看護師とフリー看護師1名で働いています。
メイン看護師とフリー看護師でダブルチェックを行っておりま
す。血糖測定患者一覧というグループワークシートを電子カルテ
から出力し,有効活用しているところです。
委員
今のインスリンのことに関係してですが,中央病院でのインス
リンのアクシデントが3件あって,特にインスリンが多いという
感じがしたのですが,看護師さんは大変お忙しそうな感じでして,
再発防止策がダブルチェックということで,人間同士ですので,
疲れていたりだとか,注意力が落ちていたりだとかで,チーズの
穴が繋がったみたいにたまたまスルーしてアクシデントが出てし
まうということが,人に頼っていると往々にしてあるのではない
かと思います。
例えば,最近でしたら,患者さんの手首にバーコードが付いて
いますよね。そのバーコードと注射薬にも患者さんのバーコード
が貼っていて,看護師さんが両方のバーコードを読んでいるとこ
ろを入院施設の方で見たことがあるのですが,そういうふうに特
にトラブルが多い医薬品の場合は,機械などに頼って,人間では
ないチェックをかけるという方法は取れないのでしょうか。
病院局
PDAと言われる器械を使用し,患者認証をしています。
一般注射に関してはすべてリストバンドと注射ラベルのバーコ
ードで確認して,実施しております。インスリン補正に関しての
注射用のラベルは現在のところ出力されておりません。血糖測定
による値で補正を行いますので,薬剤局からあがってくる注射ラ
ベルという形で動けない状況にあります。
また,ダブルチェックは人間がすることですから,やはり間違
いは起こるものですが,血糖測定患者一覧を活用し,赤でマーカ
ーを入れ,目視的なところでの注意喚起もしております。
会長
インスリンですが,この3人の患者さんがおいでるのですが,
俗に言う,意識障害があるとか,痴呆があるとか,そういう患者
さんではないですよね。
病院局
「5」の事例に関しては,糖尿病でない患者がなぜ間違って打
- 13 -
たれたのかというところで,認知症までではないのですが、自分
で判断できる方ではなかったというふうに聞いております。
会長
分かりました。委員もおっしゃられていましたが,看護師同士
のダブルチェックという方法も一つはあるのですが,患者さんに
一声かければ,例えば ,「インスリンはもう止めましたよ」とい
うことが伝わっていれば ,「インスリンに来ました」と言えば,
おかしいということで,そこでもう止まるような気がするのです
が。
病院局
それも対策としてはしております。
患者さんに,食事は届いたが注射がまだの時に ,「注射まだな
の」という声かけをお願いするとか,同姓者がいる時は ,「この
病棟に同姓の方がいらっしゃいます」というようなお声かけをさ
せていただくこともあります。
会長
言っておいた方が良いと思いますね。その患者さん自身がイン
シデント・アクシデントを防いでくれるときも大いにあると思い
ますので,よろしくお願いしたいと思います。
会長
大分話もしていただきましたので,意見として参考にしていた
だければありがたいと思います。
会長
それでは,引き続きまして,次の議題に移りたいと思います。
3病院の担当者の方に御説明をお願いしたいと思います。
事務局
「( 5)県立病院における医療安全対策の概要及び現在の取り
組みについて」
(各病院から説明)
会長
3病院の医療安全活動の御報告ありがとうございました。
委員の先生方,まとめまして御意見ありましたら,お願いした
いと思います。
委員
県立中央病院の医療安全に対する取り組みで転倒・転落が多い
ということで分析をされて,どういった取り組みをしているかと
いうところに注目したことは参考になりました。
それで,転落が多いかなと感じていたのですが,転倒が多いと
いうことで,工夫はされていると思います。その中で,抑制は少
- 14 -
ないとは思いますが,高齢者が多くなって,どうしてもベッド上
でいる期間が長いとか,尿留置の期間が長いとか,何かそういっ
た原因があるのではないかなと思いましたので,その辺りの分析
もしていただけたらと思います。
それと,最近は高齢者の方で不穏状態になって,手袋の抑制と
いうこともしばしば聞くようになっているのですが,手袋の抑制
の基準と言いますか,抑制の基準はどんなふうにされているでし
ょうか。教えていただけたらと思います。
病院局
抑制に関しましては,身体抑制ガイドラインという院内統一し
たガイドラインがあります。必ず同意書を取って,患者さんと家
族に説明した上で,サインをしていただき,抑制しております。
毎日,抑制の指示が継続なのか,解除なのかというところで,
医師と看護師がカンファレンスで検討することになっています
が,不確実な場合もあり,今後の検討課題です。
あと,ミトン(手袋)については,当院は抑制と見なさず,抑
制帯を使用している患者さんに対して抑制ということにしており
ます。
委員
毎日アセスメントをされているということで安心しました。あ
りがとうございました。
会長
それでは,時間も押し迫ってまいりましたので,これを持ちま
して,徳島県立病院医療安全対策委員会を終了させていただきた
いと思います。
皆さん,お忙しいところ大変だと思いますが,医療安全に対し
て万全を期していただきたいと思います。よろしくお願いいたし
ます。
事務局
以上で本会を終了させていただきたいと思います。委員の皆様
方,長時間誠にありがとうございました。
- 15 -