ア ハ バ ル ・ カ シ オ ン ６月・７月の予定 国別事業実施計画 【事務所休日】なし 【会議等】 6 月 19 日(木)活動報告会（15 時∼） 7 月 17 日(木)活動報告会（15 時∼） 【調査団】 クネイトラ病院機材整備計画 基本設計調査 5 月 22 日∼6 月 14 日 【専門家・ボランティアの動き】 『帰任』 6 月 28 日 荻荘幸信 7 月 2 日 佐藤孝広 7 月 9 日 市川優子、菊川誠士、高橋 克彰、吉村明日香 ７月 12 日 高橋強 『着任』 6 月上旬 中村真実 6 月 4 日 佐野峰清美 7 月 13 日 野島直人（体育） 、中村文 江（音楽） 『一時帰国』 伊藤和久 5 月 18 日∼6 月 12 日 片山克己 6 月 1 日∼7 月 16 日 『健康管理旅行』 染矢武彦 7 月 8 日∼7 月 23 日 吉谷川泰 6 月 9 日∼7 月 9 日 村松正孝 6 月 12 日∼6 月 21 日 「国別事業実施計画」とはそれぞれ の国の開発ニーズに基づいて JICA が 協力する課題の優先順位を見極め､5 年 間にわたる事業計画を定めたものです。 JICA は 2000 年１月から国別・課題別 アプローチと称してこの計画に沿った 事業を実施してきております。この特 徴はさまざまな協力スキーム（無償資 金協力､専門家派遣､JOCV 派遣､研修 員受入などの事業形態）を組み合わせ て、開発課題に対する最も効果的な事 業を計画・実施することです。これま でとかくスキームに捕らわれ､その壁 を乗り越えることができないという状 況がありましたが、この度、ボランテ ィア事業もこの計画の中に盛り込んで いく方針が出されたことで、JICA は本 来目指す課題別アプローチの推進に向 けて歩みだしました。 JICA に対してより計画的な事業､よ 【事務所員の動き】 『健康管理旅行』 平川調整員 5 月 14 日∼6 月 11 日 『一時帰国』 武市企画調査員 5 月 24 日∼6 月 23 日 『帰任』 中山所員 6 月 25 日 事務所例会・年間スケジュール： ☆全体会合 3 月、8 月 ☆活動報告会 毎月第 3 木曜日 ☆分科会 適宜 国別事業実施計画の内容ですが、 １）当該国における開発の方向性、 ２）開発課題と事業計画、３）JICA 協力上の留意点、の 3 つの章から構 成されています。 改訂する際に特に知恵を出さなけ ればならないのが第２章の開発課題 と事業計画の整合性を図るところで す。当該国の優先度の高い開発課題 に効果的にアプローチするために、 シリア政府の開発計画、他ドナーの JICA シリア事務所だより 2003 年 6 月 第6号 大幅改訂中 り効果的な事業の実施が求められる背景には 今年１０月から「独立行政法人国際協力機構」 として３年から５年の中長期的な計画定め､ 事業を実施することが求められていることも あげられます。 ３月に本部から山下専門員（専門員：JICA 技 術顧問）に来てもらい、事務所スタッフのみ ならず､大使館経済協力担当書記官、UNDP スタッフもオブザーバーとして参加を求め、 さまざまな側面から検討を加えて改訂いたし ました。また､その内容については先方窓口機 関 SPC にも説明し、おおむね了解を得ること ができました。 皆様の協力は次の４つの柱の中に位置付け られることとなります。なお、最終版は６月の 予定です。 対シリア協力の４本柱 水資源管理と有効利用 ・総合的水資源管理の推進 ・農業における水利用の効率 化 社会サービスの拡充 ・保健・医療ｻｰﾋﾞｽの格差解消 ・基礎教育の拡充 ・技術者教育の向上 ・障害者福祉の充実 援助動向などを調査し､日本あるい は JICA として協力する意義を見極 めます。そして JICA の実施するプ ログラムと投入（事業計画）を定め るという順序で作業を進め、計画を 策定しました。 さて、現在シリアでは就学前教育 の分野で幼稚園教諭、保育士の JOCV 隊員が重要な活動をしていま すが、その活動を国別事業実施計画 に位置付ける際の例を、ドラフトの 段階ですが右に掲げました。 First Page 経済・社会システムの近代化 ・農業技術の近代化 ・畜産技術の近代化 ・工業近代化 ・観光振興 ・電力の安定供給 ・農村開発 重点分野 開発課題 環境保全 ・環境行政能力の向上 ・都市環境の改善 重点分野：社会ｻｰﾋﾞｽの拡充 開発課題：基礎教育の拡充 JICA 協力ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾑ：就学前教育の改善 JICA 協力名：就学前教育改善ﾌﾟﾛｼﾞｪｸﾄ 期間：2002∼2006 目標：創造性､感性、知性を養う幼児教育 への改善 達成すべき成果： ―幼児教育環境の整備（壁面装飾、遊具） ―幼児教育に携わる職員の研修 ―年齢に応じた教育カリキュラムの設定 ―家庭教育の重要性の啓蒙 投入/活動： ―JOCV の派遣（幼稚園教諭､保育士） ―教育環境、遊具整備（草の根、機材供与） ―日本の幼稚園教育の研修（本邦研修） ―シリア国内での職員研修（現地国内研修） 教授法に高い関心を示す ようになった。また隊員間 の情報交換によりそれぞれ の配属先における問題点 を再認識するとともに、問 題解決のヒントを見つけ出 すなど、様々な面でグルー プで活動することによる相 同左 佃秀子隊員 乗効果が得られている。 具体例をあげよう。平成 １５年２月ハマ市で幼稚園教諭と保育士隊員により婦人連盟の現 地教員を対象にしたセミナーが開催された。このセミナーは、これ まで幼児の創造力を伸ばす手法についての知識を持たなかった 現地教員のために、日本の幼稚園や保育園で実施されている「お りがみ」や音楽のリズムに合わせた「体操」、新聞や紙パック廃材を 利用した「玩具の製作」などの紹介を通じて、より効果的な幼児教 育とは何か、そのための人材育成をどうすればよいか、幼児の能 力や個性を引き出すための教材や遊具の開発とはどういうものか 考えるきっかけを提供することを目的として開催された。 セミナーに参加した現地教員は、自分達のこれまでの幼児教育 に対する姿勢や考え方を振り返り、改めて幼児教育について深く 考えるきっかけになったようである。 シリア幼児教育分野へ協力隊のグループ派遣 - 相乗効果の高い協力を目指して シリアでは平成８年より保育士と幼稚園教諭隊員を各１名ず つ派遣し効果的な幼児教育のための協力を行なってきたが、協 力活動の具体的な目標設定が不十分であったため、また個々の 活動がピンポイント的協力であったために、配属先へのインパクト が弱かった。 そこで、個別派遣からグループ派遣に移行して、各任地で同職 種隊員が協力することができるようになって、共同で授業の進め方 に関するセミナーや研修会等のイベントを実施する機会、新しく教 材の開発を進める機会を 増やすことができた。ピン ポイントの活動ではなか なか配属先に伝えること の難しかった隊員の持っ ている手法をグループで 示すことにより、よりはっき りとした形で配属先に伝 えることができるようにな った。 ハマでの現地職員を対象とした これらが配属先に与え 講習会 平川夕美江隊員 る印象は強く、日本側の ◇◇◇ ◇◇◇ 新人職員紹介 ◇◇◇ (訳中山) ら厳しい表情、専門家が出たり入ったり、全体の雰囲気か らここが私の働きたい職場だと思いました。 以前から JICA の活動については聞いていました。さまざ まな分野で先行的な調査が行われていて、そこには JICA の名前が入っていました。そこで、職員採用の広告を新聞 で見たとき、ためらわずに応募しました。 幸い採用試験に合格し、JICA の協力スキームの幅や活動 の広さを知り、それがシリアの人々のために実施されてい るのだということに気付き始めました。さらに、JICA のプ ロジェクトサイトやシリア政府機関を訪問すると、決まっ て先方が日本の人々への尊敬、多大なる感謝の気持ちを持 って接していると感じています。私は直ぐに JICA の行って いる仕事は本当にシリアの繁栄と幸福をもたらしてくれて いるのだと気づきました。 私はこのチームの一員となったことに誇りを感じていま す。そして日本とシリアの人々を結び付ける私達の使命を 実現するため最大限の努力をしたいと思います。 今年３月より採用となりましたシリア事務所の現地職員を 紹介します。 氏名：アンマール ワッカフ 出身：ダマスカス 専攻：土木工学 趣味：読書、スポーツ鑑賞（サッカー）､映画鑑賞 抱負：事務所の 採用試験のため に JICA 事務所に 踏み込んだとき、 この事務所は何 かが違うと気づ きました。スタ ッフの楽しそう に働く様子、フ レンドリーなが ◇◇◇ 氏名：サケル メイフブ ムリシ 出身：ダマスカス 専攻：電気工学、コンピュータ工学 趣味：水泳、ジョギング 抱負：私の JICA でのキャリアはほぼ３ヶ月前に始まりました。 それまで私はロシアのサンクトペテルスブルグ大学でコンピ ュータ工学を学んでいました。６年以上シリアの公務員とし て働いていたこともあります。その間私はさまざまな仕事に 携わりました。主に､電力省、地方自治省、EU の出資した技 術プロジェクトなどです。また、NGO で働いたこともありま す。たとえば SCS（Syrian Computer Society）では、主に広 報委員会（Public Relations Committee）を通じて、毎年行 われる IT 工業展示会の SHAM1997 から SHAM2002 までを運営し ました。 これらの経験や知 識、日本人の仕事の 仕方を学びたいとい う大きな希望をもっ て、私は精一杯 JICA シリア事務所のスタ ッフと協力し、最良 の結果が得られるよ う、つまり、私の JICA の印象−より良くよ り実りある世界を求 め、われわれに幸せをもたらすべく状況を変化させようと挑 戦している−を実現できるように頑張りたいと思います。 ミニ連絡 ６月末に事務所を移転します。場所は日本大使館前の Al Mahdi Bin Barakeh 通りと Abou Rommaneh 通りの交差点の北西角か ら３件目の１階です。 Second Page 活動報告 活動報告書などから編集者の目にとまった興味深い報告を一部抜粋して紹介するコーナー。 殺虫剤の見事な配合 ∼活動報告書（２）から∼ ダマスカス地方は分析の結果大体の様子はわかってきまし た。これから他の流域の検査になりますが,ダマスカス地方の 検査結果を見て気になることがありました。 それは先進国の間では仕様が認められていない殺虫剤がほ とんど検出されており、検出量そのものは小さいですが（ppb レベル）見事に混合されたものだと感心しているところです。 少し具体的にいいますと、クロルピリホス、リンダン、ア ダマスカスの水源 フィジェ泉（左） ◇◇◇ 氏名：阿野貢（SV） 指導科目：水質検査 配属先：灌漑省 分析機器の指導を行っています。 パキスタンやタイで技術指導の経験有。 ルドリン、デルドリン、DDT といった具合にこれらがみな検 出され、誰かが注意深く配合したとしか考えられない見事な 配合でどれひとつ突出したものがない配合で 1 地点でこれらの合計でも 1ppb を超えない。 これ が山からの湧き水にも深さ５０m の井戸水から も又川の水からも皆一様に検出されているので かなりの驚きを持ってこのデータを見ていると ころです。 この水を利用している地域の生物すべてに影 響がある趣旨のコメントをつけてそのデータを 提出しました。この問題は 1 個人では変えるこ とができません。強制力のある機関でこのこと に関心を持つよう提言しました。 バラダ湖（右） ◇◇◇ ◇◇◇ シリアのインターネット革命 氏名：佐野峯清美（JOCV） ∼５号報告書から∼ 指導科目：システムエンジニア ２年間 SE として活動するなか、コンピューターならびに 配属先：青年同盟 IT に関する情報が一般の人々に普及し始めいていることを感 システムエンジニアとして青年同盟 じている。配属先には「イスラエルを支援している国から輸 のホームページ立ち上げに尽力。６月 入した技術」だと、一切受け付けない人もいる。しかし,通勤 ４日シリア再上陸の予定。 バスの中などで､ダマスカス市民の会話を聞き取る限り､人々 の関心と期待は特に雇用創出の面における役割に集まってい い。電話以外においても､電気､道路や下水道の整備状況も良 る。（中略） いとはいえない。これらの地域の貧しい家庭を訪問しつづけ コンピューターの普及率についていえば､２年前と比較す ているというシスターから聞いた話であるが、多くの住居が､ るとインターネットが利用できるようになったことで､急速 市の許可なしに建設され、入居したという理由で､市が撤去の に伸びていると思う。しかし、PC は価格が抑えられてきたと 対象にしていると聞いた。そのためだろうか､インフラ整備状 はいえ 500 ドルでは平均月収が 100 ドル前後の公務員にはま 況も取り残された状態になっている。普及し始めの段階から だ手が出せない。また更なる普及のためにはインフラの面で すでに格差があり、富める者がインターネットにより親しみ､ も問題があり､ダマスカスには電話回線を引けない地区があ 貧しいものはいつまでもコンピューターにさえ触れる機会が る。具体的にダマスカスの郊外に近い、Barxeh、Jaramanah、 ないという状況が懸念される。 Dweiraeh 地区は地方からの移住者の地域で､貧しい家庭が多 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ 世界的な観光市 シリアの観光資源の評価 氏名：佐竹眞一 場において他の ∼専門家業務完了報告書∼ 指導科目：観光行政 観光デスティネ 観光資源に恵まれ､多数の歴史的・文化的遺跡､四季の変化 配属先：観光省 ーションを差別 に富んだ温和な気候､地中海沿岸の緑地帯や山岳地帯､乾燥草 本邦では日本航空（株）の所属。 化できる潜在的 原から砂漠に至る地形など､高い多様性がある。発見されてい 可能性がある。 るだけでも 3000 以 この国の魅力の最上位に挙げるべきは、Syrian Hospitality 上の考古学的遺跡が であろう。これまでのほかの調査でも明らかになっているが、 あり、キリスト教や この国を訪れたツーリストに深い感銘を与えてきており、再 イスラーム教の多数 度、再々度訪問と繰り返す動機の一つとなっている。こうし の聖地､ローマ時代 た Repeater は､観光産業発展の最も基礎的な資産であり、 の遺跡群など、歴史 Syrian Hospitality はこの国の最大の観光資源である､と考え 的・文化的遺産に際 られよう。 立った特色があり、 ＜タルトゥースの海岸＞ ミニ連絡 事務所の勤務時間帯を変更しました。午前 8:30∼午後 4:30 です。現地職員も同様です。なお、昼休みを午後 2:00∼午後 3:00 までとっております。待ち時間節約のため事務所にお越しの際にはアポイントメントを取られることをお勧めします。 Third Page ボランティアによる効果的な援助現場をプロデュースす るためには､現場主義に徹する必要があるのは論を待た ず、このためには自分自身をプロデューサーとして位置 付けるのが重要であり、今回の調整員業務の実施にあた っては、プロデューサー意識を重視してきた。 援助現場とプロデューサー意識（調整員論） 事業費 合計 328.844 金額（百万円） 300 250 200 150 131.075 129.569 114.542 100 109.522 92.161 130.368 77.377 50 0 1995 1996 1997 1998 1999 予算年度 図2 2002年度科目別支出状況 0% 0% 0% 18% 0% 2000 2001 2002 （款）管理費 （項）海外技術協力事業費 3% 12% （項）青年海外協力隊派遣 事業費 （項）技術協力専門家等福 利厚生費 （項）人材養成確保費 （項）国民参加協力推進費 （項）開発調査事業費 （項）無償資金協力事業費 23% 44% （項）援助効率促進費 We are on the WEB. See us on www.jica.go.jp お知らせ 本ニュースレターは日本の方々にもメールにて毎月配信しております。配信ご希望の方は当事務所まで、 氏名、メールアドレス、JICA との関係をご連絡ください。 編集後記：JICA のさまざまな協力内容をお知らせしたくて、専門家やボランティアの報告書から（編集者に とって）興味深い内容を抜粋しています。もっともっと載せたい報告書があるのですが紙面の都合でここまで となりました。こんな情報を知りたいなどありましたらご意見をお寄せください。また紙面の感想をお寄せく ださい。今後の紙面づくりの参考とさせていただきます。 （NY） Last Page 平成 15 年 6 月 1 日発行（月刊） [email protected] 管理費 350 6 月号 JICA Syria 0ffice PO BOX10012, Damascus, SYRIA E-Mail 図1 シリア事務所支出額推移 JICA シリア事務所だより るわけですが、局所的にシリア事務所の予算に限って見てみ るとどうでしょうか。 図１を見てください。これは過去 8 年間の事務所支出経費 の推移です。合計額について 2002 年度が突出していますが、 その他の年を見るとおおよそ 8 千万円から 1 億 3 千万円の幅 で推移しています。管理費とあるのは事務所や事務所員にか かる経費、事業費とは技プロやボランティア事業など実際の 活動に使われる経費を指します。管理費は年度による変動が 少ないことから、主に事業量の増減によって、支出額の合計 が変動しているといえます。 なお、JICA 本部から直接個人に支払われる在外勤務手当 などの諸手当はこの中には含まれておりません。 図 2 を見てください。2002 年度の科目別支出状況です。 管理費は全体の 12％程度(約 3,900 万円)、残り 88％(約 2 億 9 千万円)が事業費です。事業費の半分を占めるのが海外技術 協力事業費(1 億 4700 万円)で、うち約 9 千万円が昨年度から 始まった技術プロジェクト「水資源情報センター整備計画」 の経費です。また専門家や SV の一時帰国や健康管理旅行な どのための技術協力専門家等福利厚生費として 18％(約 5,900 万円)、そのうち約 5,200 万円がイラク戦争時の退避用 チケット代です。2002 年度の支出額の合計が過去 8 年間で 突出したのは、昨年度までにはなかったこれらの経費による 影響を大きく受けています。 その他、ボランティア事業のための青年海外協力隊派遣事 業費は全体の 23％(約 7500 万円)、企画調査員やプロジェク ト形成調査のための援助効率促進費として 3％(約 850 万円) アハバルカシオン 木川浩史ボランティア調整員 過去 2 回ネパールとインドネシアで協力隊調整員を経験し たが、当時から現場主義に徹したいとの意識は持っていた。 しかし必ずしも満足の行く現場主義であったとは言いがたい ボランティア対応上の留意点 反省がある。満足の行く現場主義でなかった要因として､自分 自身の意識に問題があったのではないかと考えている。ボラ 一見すると、赴任当初は手厚すぎると思われるような ンティア調整員の仕事は「現地で活動するボランティア活動 サポートをしており､隊員の自立を阻害するのではない を支援する」と表現されているが、 「支援」という言葉から黒 かという意見もあるが､事実は全く逆で赴任当初のサポ 子というイメージを持ってしまったのが現場主義に徹し切れ ートが手厚いほど、隊員の自立は早いと実証されている。 なかった原因の一つであると自己分析した。 過去の事務所の体制に不平不満ばかりを言い、本来隊員 ボランティアとはその言葉があらわすように積極的な姿勢 が行わなければならないことも事務所にやらせようとす を持っているのが前提で、調整員はボランティアの積極性を る風潮（正確には事務所にやらせないと気が済まない風 尊重した形での支援を行うのが本筋であるといわれている。 潮）があった。逆に赴任当初のサポートをしっかりやっ しかし、現実にはボランティアは積極性はあっても関係者に た隊員は「何でも事務所に頼るのは悪い」と思うのか、 対し､的確にアプローチをする技術を持ち合わせていない場 とにかく自分の力で切り抜けていこうとする。 （略）以上 合が多く、積極性が空回りする、あるいは空回りしすぎて疲 は人間の本質を考えた場合に十分説明のつく現象である れ果て消極的姿勢へ変換してしまう場合がある。このような と思われる。逃げ場を持っている人間は安易にその場所 状況において､調整員が「自分は黒子である」という意識が強 に逃げず、逃げ場を持たない人間は逃げ場を探すことに すぎると､ボランティア任せになり､アプローチ等の問題でボ 集中しがちになる。例えば、 （略）貯金という逃げ場を持 ランティアが消極的姿勢へ転換した場合、的確な指導ができ つ人は困難が生じても安易に貯金を切り崩すことはせず、 なくなる危険性がある。ボランティアが積極的な姿勢を保ち 貯金に手を出すまで努力に努力を重ねる。しかしながら、 続け、効果的な援助を実施していくためには調整員はボラン 貯金がなく常に借金をする人は借金を返済するために借 ティアのリーディングパーソンになる必要があるのではなか 金をし､首が回らなくなり悪循環に陥る傾向にある。（以 ろうか。この視点からも調整員は黒子ではなく､ボランティア 下略） による援助現場のプロデューサーと考えるほうが自然である。 ∼調整員業務報告書から抜粋∼ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ がそれぞれ支出されました。 （なお、図の中の 0％は、1％ お金で見るシリア事務所の事業 中山泰徳所員 未満の意味で、支出額はあります。） 近年、ODA 予算は削減され、JICA の予算も減少傾向にあ
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