LTC3205 - マルチディスプレイLEDコントローラ - リニアテクノロジー

製品速報
最終電気的仕様
LTC3205
マルチディスプレイ
LEDコントローラ
2003年8月
特長
概要
■
LTC®3205は高度に集積化されたマルチ・ディスプレイ
LEDコントローラです。このデバイスには高効率、低ノ
イズのフラクショナル昇圧/降圧チャージポンプが内蔵
されており、メインとサブの白色LEDディスプレイおよ
びRGBカラーLEDディスプレイに電力を供給します。
LTC3205は、完全な3パネル用LED電源と電流コント
ローラを構成するのに、4個の小型セラミック・コンデ
ンサと2個の抵抗しか必要としません。
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
昇圧/降圧フラクショナル・チャージポンプにより最
大92%の効率
1∼ 4LEDの メ イ ン ・ デ ィ ス プ レ イ 、 1∼ 2LEDの サ
ブ・ディスプレイおよびRGB LEDのディスプレイ用
の独立した電流/調光コントロール
3線シリアル・インタフェースを使ってプログラム可
能なLED電流
±0.7%のLED電流のマッチング
低ノイズ固定周波数動作*
最少の外付け部品点数
自動ソフトスタートによる突入電流制限
メイン・ディスプレイとサブ・ディスプレイ用の4つ
のプログラム可能な調光レベル
RGBディスプレイ用に最大4096色の組み合わせ
低いシャットダウン電流:ICC < 1µA
小型24ピン(4mm × 4mm)QFNパッケージ
LTC3205のチャージポンプはVINとLEDの順方向電圧の
状態に基づいて効率を最適化します。このデバイスは降
圧モードで起動しますが、イネーブルされているLEDの
電流源のどれかがドロップアウト状態になり始めると自
動的に昇圧モードに切り替わります。内部回路が、起動
時とモード切り替え時の突入電流と過度の入力ノイズを
防ぎます。
アプリケーション
■
■
■
メイン、サブ、RGBの各ディスプレイの最大電流は1本
の抵抗を使って独立に設定されます。各LEDの電流は内
部の電流源によって制御されます。すべてのディスプレ
イ の 調 光 と ON/OFFの 制 御 は 3線 の シ リ ア ル ・ イ ン タ
フェースを通しておこないます。メインとサブのディス
プレイには4つの調光レベルがあり、赤、緑、青のLED
には内部のPWMにより16の調光レベルが利用できるの
で、結果的に4096とおりの色の組み合わせになります。
携帯電話
ワイヤレスPDA
マルチディスプレイのハンドヘルド機器
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
*米国特許6,411,531
LTC3205は24ピン(4mm × 4mm)QFNパッケージで供給
されます。
標準的応用例
4-LEDメイン・パネルの効率
と入力電圧
1µF
1µF
100
90
MAIN DISPLAY
VIN
SUB DISPLAY
RGB ILLUMINATOR
CPO
1µF
1µF
LTC3205
MAIN1-4
SUB1-2
SERIAL
INTERFACE
3
RGB
SERIAL PORT
IRGB
IMS
4
RED
GREEN BLUE
2
3
3205 TA01a
EFFICIENCY (PLED/PIN) (%)
VIN
2.8V TO
4.5V
80
70
60
50
40
30
20
10
FOUR LEDs AT 15mA/LED
(TYP VF AT 15mA = 3.2V)
TA = 25°C
0
3.0
3.3
3.6
3.9
INPUT VOLTAGE (V)
4.2
3205 TA01b
3205i
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、
その使用に関する責務は一切
負いません。
また、
ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。
なお、
日本語の資料はあくまで
も参考資料です。
訂正、
変更、
改版に追従していない場合があります。
最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
1
LTC3205
絶対最大定格
パッケージ/発注情報
(Note 1)
ORDER PART
NUMBER
GREEN
BLUE
SUB2
SUB1
MAIN3
MAIN4
TOP VIEW
VIN、DVCC、CPOからGND ......................... −0.3V∼6V
DIN、SCLK、LD、STEPUP、
ENRGB ...................................... −0.3V∼(DVCC+0.3V)
ICPO (Note 4) ........................................................ 250mA
IMAIN1∼4、ISUB1、2 (Note 4) ..................................... 50mA
IRED、GREEN、BLUE (Note 4) ................................... 100mA
IMS、IRGB (Note 4) ................................................... 1mA
CPO短絡時間 ........................................................ 無期限
動作温度範囲 (Note 2) .............................. −40℃∼85℃
保存温度範囲 .......................................... −65℃∼125℃
24 23 22 21 20 19
MAIN2 1
18 RED
MAIN1 2
17 SGND
C2– 3
16 VIN
25
C1– 4
15 CPO
9 10 11 12
UF PART
MARKING
DVCC
8
STEPUP
7
LD
13 IRGB
DIN
14 IMS
C2+ 6
SCLK
C1+ 5
ENRGB
LTC3205EUF
3205
UF PACKAGE
24-LEAD (4mm × 4mm) PLASTIC QFN
TJMAX = 150°C, θJA = 37°C/W, θJC = 2°C/W
EXPOSED PAD IS PGND (PIN 25)
MUST BE SOLDERED TO PCB
より広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社へお問い合わせ
ください。
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA=25℃での値。注記がない限り、VIN = 3.6V、DVCC = 1.8V。
SYMBOL PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
MAX
UNITS
入力電源
VIN Operating Voltage
●
2.8
4.5
V
DVCC Operating Voltage
●
1.5
5.5
V
ICC Operating Current
ICPO = 0, Step-Down Mode
ICPO = 0, Step-Up Mode
50
4.2
µA
mA
VIN Shutdown Current
1
µA
DVCC Shutdown Current
1
µA
V
V
白色LED電流 (MAIN1∼MAIN4、SUB1、SUB2)
IMS Servo Voltage
25µA < IMS < 75µA
●
1.193
1.175
1.223
1.223
1.253
1.271
400
432
Full-Scale LED Current Ratio (ILED/IMS)
MAIN1-MAIN4, SUB1, SUB2 Voltage = 1V
●
368
Half-Scale LED Current Ratio (ILED/IMS)
MAIN1-MAIN4, SUB1, SUB2 Voltage = 1V
●
184
200
216
mA/mA
Quarter-Scale LED Current Ratio (ILED/IMS) MAIN1-MAIN4, SUB1, SUB2 Voltage = 1V
●
92
100
108
mA/mA
LED Current Matching
Any Two MAIN or SUB Outputs
0.7
mA/mA
%
RGB LED電流 (RED、GREEN、BLUE)
IRGB Servo Voltage
25µA < IRGB < 75µA
●
LED Current Ratio (ILED/IRGB)
RED, GREEN, BLUE Voltage = 1V
1.193
1.175
1.223
1.223
1.253
1.271
360
400
440
V
V
mA/mA
RGB PWM周波数
RGB LED Switching Frequency
RGB PWM (Duty Factor) Range
3.5
0/15
kHz
15/15
%
3205i
2
LTC3205
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA=25℃での値。注記がない限り、VIN = 3.6V、DVCC = 1.8V。
SYMBOL PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
MAX
UNITS
チャージポンプ(CPO)
1:1 Mode Output Impedance
0.8
Ω
2:3 Mode Output Impedance
VIN = 3V, VCPO = 4.2V (Note 3)
2.5
Ω
CPO Regulation Voltage
ICPO = 20mA, 2:3 Mode
4.7
V
CLK Frequency
0.6
0.8
1.1
MHz
DIN、SCLK、LD、STEPUP、ENRGB
VIL
Low Level Input Voltage
●
0.15 • DVCC
V
VIH
High Level Input Voltage
● 0.85 • DVCC
IIH
Input Current
DIN, SCLK, LD, STEPUP, ENRGB = DVCC
●
–1
1
µA
IIL
Input Current
DIN, SCLK, LD, STEPUP, ENRGB = 0V
●
–1
1
µA
V
シリアル・ポートのタイミング
tDS
DIN Valid to SCLK Setup
35
ns
tDH
DIN Valid to SCLK Hold
35
ns
tL
SCLK Low Time
35
ns
tH
SCLK High Time
35
ns
tLW
LD Pulse Width
35
ns
tCL
SCLK to LD
35
ns
tLC
LD to SCLK
0
ns
Note 1: 絶対最大定格はそれを超えるとデバイスの寿命に影響を及ぼす値。
Note 3: 2:3モードの出力インピーダンスは(1.5VIN−VCPO)/IOUTと定義される。
Note 2: LTC3205Eは、0℃∼70℃の温度範囲で性能仕様に適合することが保証
されている。−40℃∼85℃の動作温度範囲での仕様は設計、特性評価および統
計学的なプロセス・コントロールとの相関で確認されている。
Note 4: 長期電流密度制限に基づく。
標準的性能特性
入力と出力のチャージポンプ・
ノイズ
LEDピンのシンク電流と電圧
4-LEDメイン・パネルの効率と
入力電圧
100
90
ILED
3mA/DIV
(100%
SETTING)
EFFICIENCY (PLED/PIN) (%)
VIN
AC COUPLED
(20mV/DIV)
VOUT
AC COUPLED
(50mV/DIV)
0mA
200mV/DIV
3205 G01
ICPO = 150mA
VIN = 3.6V
CIN = CCPO = 1µF
500ns/DIV
80
70
60
50
40
30
20
3205 G02
10
FOUR LEDs AT 15mA/LED
(TYP VF AT 15mA = 3.2V)
TA = 25°C
0
3.0
3.3
3.6
3.9
INPUT VOLTAGE (V)
4.2
3205 TA01b
3205i
3
LTC3205
標準的性能特性
2:3モードのチャージポンプの
開ループ出力抵抗と温度
(3/2VIN−VCPO)/ICPO
1:1モードのスイッチ抵抗と
温度
3.2
3.0
OUTPUT RESISTANCE (Ω)
SWITCH RESISTANCE (Ω)
VIN = 3.3V
0.9
VIN = 3.6V
VIN = 3.9V
0.8
0.7
4.8
VIN = 3V
VCPO = 4.2V
CIN = CCPO = CFLY1 = CFLY2 = 1µF
ICPO = 100mA
TA = 25°C
4.7
VIN = 3.6V VIN = 3.5V
4.6
CPO VOLTAGE (V)
1.0
2:3モードのCPO電圧と
負荷電流
2.8
2.6
2.4
4.5
4.4
4.3
VIN = 3.1V
4.2
VIN = 3.2V
4.1
VIN = 3.3V
4.0
2.2
VIN = 3.4V
3.9
0.6
–40
–15
35
10
TEMPERATURE (°C)
60
2.0
–40
85
–15
10
35
TEMPERATURE (°C)
3.8
85
60
VIN = 3.0V
VINシャットダウン電流と
入力電圧
0.5
1000
1.0
800
TA = 85°C
700
600
2.7
3.0
4.2
3.3
3.6
3.9
VIN SUPPLY VOLTAGE (V)
0.4
0.3
TA = 25°C
TA = –40°C
0.2
TA = 85°C
0.1
0
4.5
DVCC = VIN
2.7
3.3
3.6
3.9
DVCC VOLTAGE (V)
3.0
3205 G07
4.5
TA = 25°C
TA = –40°C
0.6
TA = 85°C
0.4
0.2
0
2.7
3.0
4.2
3.3
3.6
3.9
VIN INPUT VOLTAGE (V)
4.5
3205 G09
2:3モードの電源電流と
ICPO(IIN−3/2ICPO)
RGB LEDのオン/オフ特性
10
TA = 25°C
IMS = IRGB = 0µA
VIN = 3.6V
9 TA = 25°C
8
80
SUPPLY CURRENT (mA)
SUPPLY CURRENT (µA)
4.2
0.8
3205 G08
1:1モードの無負荷電源電流と
VIN
90
VIN SHUTDOWN CURRENT (µA)
FREQUENCY (kHz)
DVCC SHUTDOWN CURRENT (µA)
VIN = DVCC
TA = 25°C
250
3205 G06
DVCCシャットダウン電流と
入力電圧
発振器周波数と電源電圧
TA = –40°C
150
200
100
LOAD CURRENT (mA)
3205 G05
3205 G04
900
50
0
70
60
7
ILED
3mA/DIV
6
5
4
3
0mA
2
5µs/DIV
1
50
2.7
3
3.3
3.6
3.9
INPUT VOLTAGE (V)
4.2
4.5
3205 G12
3205 G011
0
0
100
50
150
LOAD CURRRENT (mA)
200
3205 G10
3205i
4
LTC3205
ピン機能
MAIN1∼MAIN4 (ピン2、1、24、23):メイン・ディス
プレイの白色LED用電流源出力。メイン・ディスプレイ
の電流はIMSピンの抵抗によって制御されます。メイ
ン・ディスプレイのLEDは、プログラムされたフルス
ケール電流の100%、50%、25%または 0%に、ソフト
ウェアによる制御で設定することができます。表1と表2
を参照してください。
C1+、C1−、C2+、C2− (ピン5、4、6、3):チャージポ
ンプのフライング・コンデンサのピン。X5Rあるいは
X7Rの1µFセラミック・コンデンサをC1+ からC1− へ、
さらにC2+からC2−へ接続します。
DIN (ピン7):16ビットのシリアル・ポートの入力デー
タ。シリアル・データはクロックごとに1ビットづつシ
フトされて入力され、LTC3205を制御します(表1を参
照)。DINのロジック・レベルはDVCCを基準にします。
SCLK (ピン8):16ビットのシリアル・ポートのクロック
入力(図3を参照)。SCLKのロジック・レベルはDVCCを
基準にします。
LD (ピン9):16ビットのシリアル・ポートのロード入
力。LDの立下りエッジでコマンド・データがコマン
ド・ラッチにロードされます(図3を参照)。LDのロジッ
ク・レベルはDVCCを基準にします。
ENRGB (ピン10):このピンは、赤、緑、青の各電流源
をイネーブルまたはディスエーブルするのに使います。
ENRGBを“H”にすると、LTC3205は、シリアル・ポート
を通して前もってプログラムされている色の組み合わせ
にしたがって、RGBディスプレイを照明します。メイ
ンとサブのディスプレイがオフで、ENRGBが“L”だと、
LTC3205はシャットダウンされます。ENRGBのロジッ
ク・レベルはDVCCを基準にします。
STEPUP (ピン11):このピンをロジック“H”にすると、
LTC3205のチャージポンプを2:3の昇圧モード動作に強
制するので、デバイスが重要な通信をおこなっている間
に1:1モードから2:3モードに切り替わる可能性を排除し
ます。STEPUPのロジック・レベルはDVCCを基準にしま
す。
DVCC (ピン12):このピンはLTC3205のロジックの基準
レベルを設定します。
IRGB (ピン13):このピンはRED、GREEN、BLUEの各
LEDピンのLED電流の大きさをコントロールします。グ
ランドへの抵抗があれば、IRGBピンは1.223Vにサーボ制
御されます。RED、GREEN、BLUEの各LEDの電流は、
フルスケールにプログラムされているとき、IRGBピンの
電流の400倍になります。(表1と表3を参照して下さい)
IMS (ピン14):このピンはメインとサブの両方のLED
ディスプレイのLED電流の最大量をコントロールしま
す。グランドへの抵抗があれば、IMSピンは1.223Vに
サーボ制御されます。メインとサブのディスプレイの
LEDの電流は、シリアル・ポートからどの設定が選択さ
れているかにしたがって、IMSピンの電流の100倍、200
倍、または400倍になります。
CPO (ピン15):チャージポンプの出力。この出力を
使って、白色、青色、および「真の」緑色の各LEDに電源
を供給します。赤色LEDにはVINまたはCPOから電力を
供給することができます。X5RあるいはX7Rの低イン
ピーダンスの(セラミック)1µF電荷保存コンデンサが
CPOに必要です。
VIN (ピン16):チャージポンプの電源電圧。VINピンは直
接バッテリに接続し、1µFのX5RまたはX7Rのセラミッ
ク・コンデンサを使ってバイパスします。
SGND (ピン17):コントロール・ロジックのグランド。
このピンは低インピーダンスのグランド・プレーンに直
接接続します。
RED、GREEN、BLUE (ピン18、19、20):RGB照明用
LEDの電流源出力。RGB LEDの電流はIRGBピンの抵抗に
よって制御されます。RGB LEDはソフトウェアによる
コ ン ト ロ ー ル に よ っ て 0/15∼ 15/15の 任 意 の デ ュ ー
ティ・サイクルに独立に設定することができるので、
LEDごとに16色、全体では4096色をイルミネータに与え
ることができます。表1と表3を参照してください。
RGB LEDはチャージポンプ発振器の速度の1/240で変調
されます。
SUB1、SUB2 (ピン22、21):サブ・ディスプレイの白
色LED用電流源出力。サブ・ディスプレイの電流はIMS
ピンの抵抗によって制御されます。サブ・ディスプレイ
のLEDは、フルスケールの100%、50%、25%または0%
に、ソフトウェアによる制御で設定することができま
す。表1と表2を参照してください。
PGND (ピン25、露出パッド):チャージポンプの電源グ
ランド。このピンは低インピーダンスのグランド・プ
レーンに直接接続します。
3205i
5
LTC3205
ブロック図
C1+
C1–
C2+
C2–
5
4
6
3
800kHz
OSCILLATOR
25 PGND
15 CPO
VIN 16
1:1 AND 2:3 CHARGE PUMP
–
+
ENABLECP
+
2 MAIN1
–
1 MAIN2
24 MAIN3
IMS 14
23 MAIN4
+
–
22 SUB1
2
21 SUB2
2
IRGB 13
SGND 17
18 RED
DVCC 12
STEPUP 11
ENRGB 10
LD 9
19 GREEN
CONTROL
LOGIC
2
PWM
2
4
4
20 BLUE
4
COMMAND LATCH
16
DIN 7
SCLK 8
SHIFT REGISTER
3205 BD
3205i
6
LTC3205
動作
パワー・マネジメント
効率を最適化するため、LTC3205のパワー・マネジメン
ト・セクションにはCPOピンに電力を供給する2つの方
法が備わっています。1:1直接接続モードと2:3昇圧モー
ドです。LTC3205のメイン・ディスプレイとサブ・ディ
スプレイのどちらかがイネーブルされていると、パ
ワー・マネジメント・システムは低インピーダンス・ス
イッチを使ってCPOピンをVINに直接接続します。VINに
印加される電圧が十分高くてすべてのLEDにプログラム
された適切な電流が供給されていると、システムはこの
「直接接続」モードにとどまり、最大効率が得られます。
内部回路がMAINとSUBのすべての電流源を監視し、こ
れらの電流源がプログラムされている電流をもはや供給
できない「ドロップアウト」の開始点を検出します。バッ
テリ電圧が低下するにつれ、順方向電圧が最大のLEDが
最初に「ドロップアウト」スレッショルドに達します。メ
イン・ディスプレイの4個のLEDまたはサブ・ディスプ
レイの2個のLEDのどれかがドロップアウト・スレッ
ショルドに達すると、LTC3205は昇圧モードに切り替わ
り、自動的に2:3チャージポンプをソフトスタートさせ
ます。固定周波数チャージポンプはVIN電源に生じるノ
イズ量を最小に抑えるように設計されています。
つかの要因に依存します。ただし、与えられたROLに対
し、利用可能な電流量はアドバンテージ電圧(1.5VIN−
VCPO)に直接比例します。3.1Vの電源で白色LEDをドラ
イブする例について考えてみましょう。LEDの順方向電
圧が3.8Vで、電流源が100mVを必要とする場合、アドバ
ンテージ電圧は3.1V • 1.5−3.8V−0.1V、つまりわずか
750mVです。入力電圧が3.2Vに上がると、アドバンテー
ジ電圧は900mVへジャンプし、利用可能な強度が20%向
上することに注意してください。
図1から、利用可能な電流は次式で与えられます。
IOUT =
1.5VIN – VCPO
ROL
温度の関数としての標準的ROL値を図2に示します。
ROL
+
–
+
1.5VIN
CPO
–
3205 F01
図1.等価開ループ回路
2:3昇圧チャージポンプには特許を取得した固定周波数
アーキテクチャが使われており、低いノイズ・レベルで
高い効率と大きな電力を両立させています。
ソフトスタート機能
昇圧モードに切り替わるときの過度の突入電流と電源の
垂下を防ぐため、LTC3205にはチャージポンプのソフト
スタート機能が採用されています。CPOピンで使える電
流は1.2msの期間にわたって直線的に増加します。
チャージポンプの強度
LTC3205が2:3昇圧モードで動作するとき、チャージポ
ンプをテブナンの等価回路としてモデル化して、利用可
能な電流量を実効入力電圧(1.5VIN)と実効開ループ出力
抵抗(ROL)から求めることができます(図1)。
ROLはスイッチング項(1/(2fOSC • CFLY ))、内部スイッチ抵
抗、スイッチング回路の重なり合わない期間などのいく
3.0
OUTPUT RESISTANCE (Ω)
赤、緑、または青のLEDがどんなデューティ・サイクル
で点灯するようにプログラムされている場合でも、
チャージポンプは連続的に動作します。
3.2
VIN = 3V
VCPO = 4.2V
CIN = CCPO = CFLY1 = CFLY2 = 1µF
2.8
2.6
2.4
2.2
2.0
–40
–15
10
35
TEMPERATURE (°C)
60
85
3205 F02
図2.標準的ROLと温度
ゼロ・シャットダウン電流
LTC3205はシャットダウン電流が非常に低くなるように
設計されてはいますが、シャットダウン時にVINに約
400nA流れます。シャットダウン電流をゼロにする必要
のあるアプリケーションでは、DVCCピンをグランドに
することができます。こうすると、VIN電流がゼロ近く
まで減少します。
3205i
7
LTC3205
動作
内部ロジックにより、DVCCがグランドになるとLTC3205
はシャットダウンします。ただし、DVCCを基準にしてい
るすべてのロジック信号(DIN、SCLK、LD、ENRGBおよ
びSTEPUP)は、これらのピンの絶対最大定格に違反しな
(つまり、グランド)
に
いように、DVCCまたはそれより下
する必要があることに注意してください。
シリアル・ポート
マイクロコントローラ互換のシリアル・ポートには、
LTC3205のすべてのコマンド入力とコントロール入力が
備わっています。DIN入力のデータはSCLKの立上りエッ
ジでロードされます。D15が最初にロードされ、D0が最
後にロードされます。すべてのビットがクロックによっ
てシフトレジスタに入力されると、LDを“L”にすること
により、コマンド・データはコマンド・レジスタにロー
ドされます。このとき、コマンド・レジスタがラッチさ
れ、LTC3205は新しいコマンド・セットにしたがって動作
を開始します。シリアル・ポートはスタティック・ロジッ
ク・レジスタを使用するので、動作可能な最小速度はあり
ません。シリアル・ポートの動作を図3に示します。
シリアル・ポートのビットと多様なディスプレイの動作
との対応関係を表1に示します。ビットD15とビットD14
はメイン・ディスプレイの4個のLEDの輝度をコントロー
ルします。ビットD13とビットD12はサブ・ディスプレイ
の2個のLEDの輝度をコントロールします。赤、緑、青の
各LEDには4つのビットが割り当てられており、各LEDに
16の輝度レベルのリニアな範囲が与えられます。
メインとサブの両方のディスプレイの電流レベルはIMS
ピンの電流の倍数を正確にミラーリングしてコントロー
ルします。
メインとサブのディスプレイのLED電流は次の関係にし
たがいます。
IMAIN/SUB = N
ここで、Nはどの電流設定が選択されているかにした
が っ て 、 400、 200、 100ま た は 0に 等 し く な り ま す 。
RMAIN/SUBはIMSピンの抵抗値です。スケール係数は人間
の眼の視覚に合わせて擬似対数で間隔が設定されていま
す(ゼロはシャットダウン時に必要な特別の場合です)。
LTC3205は最大6個の白色LED(メイン・ディスプレイ用
に4個、サブ・ディスプレイ用に2個)に電力を供給でき
ますが、どのアプリケーションでも6個揃える必要があ
るということではありません。メインLED用の4つの出
力とサブLED用の2つの出力のどれでも、未使用の出力
をCPOに接続してディスエーブルすることができます。
表2.メインとサブのディスプレイの電流レベル
D15
D13
0
0
1
1
MAIN LED電流とSUB LED電流のプログラミング
メインとサブのディスプレイのコントロール・ビットの
デコード方式を表2に示します。
tLC
tDS
1.223V
RMAIN/SUB
tDH
tH
FRACTION OF
FULL-SCALE
CURRENT (%)
0
25
50
100
D14
D12
0
1
0
1
tL
tCL
tLW
SCLK
DIN
X
D15
D14
D2
D1
D0
X
LD
3205 F03
図3.シリアル・ポートのタイミング図
表1.シリアル・ポートのマッピング
Table 1. Serial Port Mapping
D15
D14
MAIN1MAIN4
Current
Level
(Table 2)
D13
D12
SUB1SUB2
Current
Level
(Table 2)
D11
D10
D9
Blue LED Duty Cycle
(Table 3)
D8
D7
D6
D5
D4
Green LED Duty Cycle
(Table 3)
D3
D2
D1
D0
Red LED Duty Cycle
(Table 3)
3205i
8
LTC3205
動作
メインまたはサブのディスプレイの未使用のLEDピン
6本 の 白 色 LEDピ ン( MAIN1∼ MAIN4、 SUB1お よ び
SUB2)の ど れ で も 電 圧 が ド ロ ッ プ ア ウ ト す る と 、
LTC3205は1:1モードから2:3チャージポンプ・モードに
切り替わります。未使用のLEDピンが未接続のままだ
と、または接地されていると、そのピンは自動的にド
ロップアウトするので、LTC3205はチャージポンプ・
モードに強制されます。この問題を避けるため、MAIN
とSUBのディスプレイの未使用のLEDピンはCPOに接続
します。ただし、この構成でも電力は浪費されません。
LEDピンの電圧がCPOの約1V以内のとき、そのLED電
流はスイッチ・オフされ、20µAの微小テスト電流だけ
が残ります。MAINとSUBの各LEDピンのブロック図を
図4に示します。RED、GREENおよびBLUEの各ピンは
チャージポンプの状態に影響を与えることはないので、
使用しない場合、フロートさせても、あるいは接地して
もかまいません。
CPO
1V
+
–+
MAIN1-MAIN4
SUB1, SUB2
–
ENABLE
20µA
ILED
3205 F04
表3.RGBのデューティ・サイクル
D11
D7
D3
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
1
1
1
1
D10
D6
D2
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
0
0
1
1
1
1
D9
D5
D1
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
1
1
D8
D4
D0
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
HEX
CODE
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
A
B
C
D
E
F
DUTY
CYCLE (%)
0/15
1/15
2/15
3/15
4/15
5/15
6/15
7/15
8/15
9/15
10/15
11/15
12/15
13/15
14/15
15/15
赤、緑、青のLEDのデコード方式を表3に示します。
赤、緑、青のLEDのフルスケール電流は、メイン・パネ
ルとサブ・パネルの場合と同様に、IRGBピンの電流に
よってコントロールされます。IRGBピンは1.223Vに安定
化されており、LED電流は正確にIRGB電流の倍数です。
図4.MAINパネルとSUBパネルのLEDをディスエーブルする内部回路
RGBイルミネータ・ドライバ
赤、緑、青のLEDのデューティ・サイクルは、1/15刻み
で0/15( オフ)∼15/15( 完全にオン)の範囲で個別に設定
することができます。可能な16の輝度レベルの組み合わ
せにより、全部で4096色のRGBインジケータLEDを実現
できます。
RGBパネルのLED電流は次の関係にしたがいます。
= 400
IRED,GREENBLUE
,
1.223V
RRGB
ここで、RRGBはIRGBピンの抵抗の値です。
アプリケーション情報
マイクロコントローラへのインタフェース
LTC3205のシリアル・ポートはMC68HC11タイプのマイ
クロコントローラのシリアル・ポートに直接接続するこ
とができます。マイクロコントローラはマスタ・デバイ
スとして構成設定し、そのクロックのアイドル状態は
“H”
(MC68HC11ファミリーの場合、MSTR = 1、CPOL =
1およびCPHA = 1)に設定します。推奨する構成設定と
データ・フローの方向を図5に示します。
LTC3205
µCONTROLLER
MOSI
SCK
GPIO
DIN
SCLK
LD
3205 F05
図5.マイクロコントローラとのインタフェース
3205i
9
LTC3205
アプリケーション情報
データがデバイスの中にシフトされた後、そのデータを
ロードするのに、LD信号のための別のI/Oラインが必要
であることに注意してください。LD信号の立下りエッ
ジでコマンド・データがコマンド・レジスタにラッチさ
れます。LDが“L”になると、LTC3205は直ちに新しいコ
マンド・データに従って動作を開始します。マイクロコ
ントローラにこの機能が予め備わっていない場合、マイ
クロコントローラの任意の汎用I/Oラインを構成設定し
て、LDピンをコントロールすることができます。
VIN、CPOコンデンサの選択
LTC3205と一緒に使われるコンデンサの種類と容量によ
り、レギュレータ制御ループの安定性、出力リップル、
チャージポンプの強度など、いくつかの重要なパラメー
タが定まります。ノイズやリップルを減らすには、VIN
とCPOの両方に等価直列抵抗(ESR)の小さな多層セラ
ミック・コンデンサを使用することを推奨します。タン
タル・コンデンサやアルミ・コンデンサはESRが大きい
ので推奨できません。CPOのコンデンサの値により、与
えられた負荷電流に対する出力リップルの大きさが直接
支配されます。このコンデンサのサイズを大きくする
と、出力リップルが小さくなります。ピーク・トゥ・
ピーク出力リップルはおよそ次式で与えられます。
VRIPPLEP-P ≅
IOUT
3fOSC • COUT
は一般に例外的にすぐれたESR特性をもっています。密
な基板レイアウトとMLCCを組み合わせると非常にすぐ
れた安定性が得られます。COUTの値により出力リップ
ルの大きさが支配されるのと同様、CINの値により入力
ピン(VIN)に現れるリップルの大きさが支配されます。
チャージポンプが入力充電フェーズあるいは出力充電
フェーズのどちらにあってもLTC3205への入力電流は比
較的一定ですが、クロックの非重複期間中はゼロに下が
ります。非重複時間は短いので(約25ns)、これらの欠け
た部分「切れ込み」は入力電源ラインをわずかに乱すだけ
です。タンタルのようなESRが大きいコンデンサでは、
入力電流変化とESRの積による入力ノイズが大きくなる
ことに注意してください。したがって、セラミック・コ
ンデンサはESR特性が並外れて優れているので再度推奨
します。図6に示されているように、非常に小さな直列
インダクタを通してLTC3205に電力を供給することによ
り、入力ノイズをさらに減らすことができます。10nH
のインダクタにより高速電流ノッチが除去されるので、
入力電源への電流負荷がほぼ一定になります。コストを
下げるため、約1cm(0.4インチ)のPC基板のトレースを
使って、10nHのインダクタをPC基板上に作ることがで
きます。
10nH
VIN
VIN
0.1µF
1µF
LTC3205
GND
3205 F06
こ こ で 、 fOSCは LTC3205の 発 振 器 周 波 数( 標 準 1MHz)
で、COUTはCPOの電荷保存用出力コンデンサです。出
力コンデンサの種類と値の両方がLTC3205の安定性に大
きく影響することがあります。LTC3205はリニア制御
ループを使ってチャージポンプの強度を調節し、出力に
必要な電流とつり合わせます。このループの誤差信号は
電荷保存用出力コンデンサに直接保存されます。この電
荷保存用コンデンサは制御ループの支配的ポールを形成
するのにも寄与します。リンギングや不安定性を防ぐに
は、出力コンデンサがすべての状態で少なくとも0.6µF
の容量を保つことが重要です。同様に、出力コンデンサ
のESRが大きすぎると、LTC3205のループ安定性を低下
させる傾向があります。LTC3205の閉ループ出力抵抗は
0.6Ω に な る よ う に 設 計 さ れ て い ま す 。 負 荷 電 流 が
100mA変化すると、出力電圧は約60mVだけ変化しま
す。出力コンデンサのESRが0.6Ω以上あると、閉ルー
プ周波数応答は単純な1ポールの場合のようにはロール
オフしなくなり、負荷過渡応答が劣化して不安定になる
ことがあります。多層セラミック・チップ・コンデンサ
10
図6.10nHのインダクタ(約1cmの配線)を使った
入力ノイズの低減
フライング・コンデンサの選択
注意:フライング・コンデンサの電圧はLTC3205の起
動時に反転することがあるので、フライング・コンデン
サにはタンタルあるいはアルミのような有極性コンデン
サは決して使わないでください。フライング・コンデン
サには必ずセラミック・コンデンサを使ってください。
フライング・コンデンサはチャージポンプの強度を支配
します。定格出力電流を達成するために、各フライン
グ・コンデンサには少なくとも0.7µFの容量が必要で
す。コンデンサは材質が異なると、温度や電圧が上がる
につれて異なった率で容量を失います。たとえば、X7R
の素材で作られたコンデンサは−40℃∼85℃で容量のほ
とんどを維持しますが、Z5UあるいはY5Vタイプのコン
デンサは同じ範囲でかなりの容量を失います。
3205i
LTC3205
アプリケーション情報
Z5UおよびY5Vのコンデンサは電圧係数も非常に劣り、
定格電圧が印加されると60%以上の容量を失うことがあ
ります。したがって、異なったコンデンサを比較すると
き、規定容量値を比較するより、与えられたケース寸法
に対して得られる容量を比較する方が多くの場合適切で
す。たとえば、定格電圧および定格温度の全条件にわ
た っ て 、 0603ケ ー ス に 入 っ た 、 1µF、 10Vの Y5Vセ ラ
ミック・コンデンサは、同じケースで供給される
0.22µF、10VのX7Rよりも大きな容量を与えるとはかぎ
りません。最小容量を全温度および全電圧にわたって確
保するにはどの値のコンデンサが必要かを決定するに
は、コンデンサの製造元のデータシートを調べる必要が
あります。セラミック・コンデンサの製造元とその連絡
先を図4に示します。
表4.コンデンサの推奨メーカー
AVX
www.avxcorp.com
Kemet
www.kemet.com
Murata
www.murata.com
Taiyo Yuden
www.t-yuden.com
Vishay
www.vishay.com
負荷が非常に軽いアプリケーションでは、スペースやコ
ストを節約するため、フライング・コンデンサを小さく
することができます。2:3フラクショナル・チャージポ
ンプの最小出力抵抗の理論値は次式で与えられます。
1.5VIN – VOUT
1
=
ROL(MIN) ≡
2fOSCCFLY
IOUT
ここで、fOSCはスイッチング周波数(800kHz標準)で、
CFLYはフライング・コンデンサの値です。スイッチ抵抗
がさらに加わるため、チャージポンプは理論上の限界よ
りも通常弱いことに注意してください。ただし、負荷が
非常に軽いアプリケーションでは、最初にコンデンサ値
を決定するときのガイドラインとして上式を使うことが
できます。
レイアウトの検討事項とノイズ
LTC3205によって高いスイッチング周波数と過渡電流が
生じるので、基板のレイアウトには注意が必要です。適
正なグランド・プレーンを与え、すべてのコンデンサへ
の配線を短くすれば性能が向上し、あらゆる条件で十分
なレギュレーションが得られます。推奨レイアウト構成
を図7に示します。
フライング・コンデンサのC1+、C2+、C1−、C2−の各
ピンにはエッジ・レートの非常に高い波形が現われま
す。これらのピンのdv/dtが大きいと隣接するプリント
配線との間にエネルギーの容量性結合を生じることがあ
ります。フライング・コンデンサがLTC3205の近くに配
置されていないと(つまり、ループで囲まれた面積が大
きいと)、磁界が発生することがあります。容量性のエ
ネルギー転移を防ぐには、ファラデー・シールドを使う
ことができます。これは、敏感なノードとLTC3205のピ
ンの間に置かれた、接地されたプリント配線です。高品
質のACグランドを確保するには、それをLTC3205まで
連続して伸びた切れ目の無いグランド・プレーンに戻し
ます。
電力効率
白色LEDドライバ・チップの電力効率(η)を計算するに
は、LEDの電力を入力電力と比較します。これら2つの
数値の差は、チャージポンプの中であれ、電流源の中で
あれ、失われた電力を表します。数学的に述べると、電
力効率は次式で与えられます。
η≡
PLED
PIN
GND
PIN 1
VIN
CPO
3205 F07
図7.単層PCBの最適レイアウト
3205i
11
LTC3205
アプリケーション情報
LTC3205の効率は実際に使われている動作モードに依存
します。LTC3205はパス・スイッチとして動作し、メイ
ンまたはサブのディスプレイのLEDのひとつがドロップ
アウトするまではVINをCPOに接続することを思い出し
てください。この機能により、与えられた入力電圧と
LEDの順方向電圧に対して可能な最適効率が与えられま
す。スイッチとして動作しているとき、効率は次のよう
に近似されます。
η≡
輝度コントロール
LTC3205にはメインとサブのディスプレイ用に対数的に
間隔をとった3つの輝度設定が用意されていますが、別
の手段で輝度をコントロールすることもできます。外部
の電圧源を使って電流をIMSピンまたはIRGBピンに注入
して輝度をコントロールする方法の一例を図8に示しま
す 。 た と え ば 、 R1と R2が 50kだ と 、 VCNTRLを 0Vか ら
2.5Vに掃引するにつれ、LED電流は20mAから0mAの範
囲で変化するでしょう。
PLED VLED • ILED VLED
=
≅
PIN
VIN • IIN
VIN
これは入力電流がLED電流に非常に近くなるためです。
中程度の出力電力から高い出力電力では、LTC3205の消
費電流は無視できるので、上式は有効です。たとえば、
VIN = 3.9V、IOUT = 20mA • 6個のLED、VLED = 3.6Vのと
き、測定された効率は92.2%ですが、これは理論的計算
値の92.3%に非常に近い値です。
LEDがどれかドロップアウトすると、LTC3205は昇圧
モードに切り替わります。2:3の分数比のチャージポン
プを採用しているので、LTC3205は倍電圧のチャージポ
ンプによって達成されるよりも高い効率を実現します。
2:3昇圧モードの効率は、実効入力電圧が実際の入力電
圧の1.5倍あるリニア・レギュレータの電力効率に似て
います。こうなるのは、2:3フラクショナル・チャージ
ポンプの入力電流は負荷電流の約1.5倍だからです。理
想的な2:3チャージポンプでは、電力効率は次式で与え
られるでしょう。
ηIDEAL ≡
PLED VLED • ILED
V
=
≅ LED
3
PIN V • I
1.5VIN
IN
LED
2
熱管理
入力電圧が高く、出力電流が最大の場合、LTC3205内の
電力消費がかなり大きくなることがあります。接合部温
度が約160℃を超えると、サーマル・シャットダウン回
路が自動的に出力を停止します。最大接合部温度を下げ
るには、PC基板への十分な熱接続をおこなってくださ
い。PGNDピン(中央の露出パッド)をグランド・プレー
ンへ接続し、デバイスの下に隙間なく連続したグラン
ド・プレーンを確保すると、パッケージとPC基板の熱
抵抗を大きく減らすことができます。
(
V
ILED = 400 1.223V – CNTRL
R2
R1||R2
LTC3205
IMS
IRGB
)
R2
14
VCNTRL
13
R1
24.9k
3205 F08
図8.別のリニアな輝度コントロール
代りに、デジタル出力しか利用できない場合、設定の数
は単にVCNTRLをデジタル信号に接続することにより、3
から6へと2倍にすることができます。1.8Vのロジック電
源の場合、図9に示されている回路のLED電流の設定は
2.5mA、 5mA、 7.5mA、 10mA、 15mAお よ び 20mAで
す。このトポロジーを任意のビット数にまで拡張して、
RGBパネルに適用することもできます。
LTC3205
IMS
IRGB
71.5k
14
13
VDIG
0V TO 1.3V
OR HIGHER
38.3k
24.9k
3205 F09
図9.代わりのデジタル輝度コントロール
最後に、PWM輝度コントロールは、図10に示されてい
るように、PWM信号をIMSプログラミング抵抗に与える
ことにより実現することもできます。この信号は0V(完
全にオン)から1.3Vを超す任意の電圧(完全にオフ)の範
囲にします。
LTC3205
IMS
IRGB
14 24.9k
13 24.9k
PWM SIGNAL
0V TO 1.3V OR HIGHER
BRIGHTNESS = 1 – D
3205 F10
図10.メインとサブのディスプレイのPWM輝度コントロール
3205i
12
LTC3205
標準的応用例
超低輝度のメインとサブのディスプレイ
LTC3205
IMS
IRGB
PWM SIGNAL
0V TO 1.3V OR HIGHER
50Hz TO 15kHz
BRIGHTNESS = 1 – D
487k
14
13
24.9k
24.9k
BRIGHT DIM
3205 TA08
すべてチャージポンプのメイン、サブ、RGB、およびカメラ・ライトのコントローラ
SUB PANEL
(DUTY CYCLE = 50%)
CAMERA LIGHT
CPO
ILLUMINATOR
15
1µF
LTC3205
IRGB
MAIN1
MAIN2
MAIN3
MAIN4
SUB1
SUB2
RED
GREEN
BLUE
IMS
2
1
24
23
22
21
18
19
20
13
14
24.9k
12.4k
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
ILED = 40mA
1µF
8
10
1
D1
BLUE
ILED = 20mA
7 9
6
MAIN PANEL
1µF
LTC3202
D0
GREEN
1µF
C1+ C1– C2+ C2–
3
4
VIN
VOUT
1µF
RED
FB
GND
2
5, 11
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
30Ω
30Ω
30Ω
30Ω
3205 TA02
3205i
13
LTC3205
標準的応用例
メイン、サブ、およびキーパッドのイルミネーション
MAIN PANEL
CPO
SUB PANEL
KEYPAD
15
1µF
LTC3205
MAIN1
MAIN2
MAIN3
MAIN4
SUB1
SUB2
RED
GREEN
BLUE
IMS
IRGB
2
1
24
23
22
21
18
19
20
13
14
16.6k
24.9k
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
BLUE
BLUE
BLUE
BLUE
BLUE
BLUE
39Ω
39Ω
39Ω
39Ω
39Ω
39Ω
3205 TA03
高効率20mA×6LEDのカメラ・ライト
100
15
90
1µF
LTC3205
MAIN1
MAIN2
MAIN3
MAIN4
SUB1
SUB2
2
1
24
23
22
21
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
PLED/PVIN EFFICIENCY (%)
CPO
効率と入力電圧
VLED = 3.3V
6 × 20mA
80
70
60
50
40
30
20
10
0
IMS
3.0
3.3
14
3.6
VIN (V)
3.9
24.9k
4.2
3205 TA04b
3205 TA04a
8LEDのスタンドアローン型カメラ・ライト
CPO
15
1µF
LTC3205
MAIN1
MAIN2
MAIN3
MAIN4
SUB1
SUB2
RED
GREEN
IRGB
2
1
24
23
22
21
18
19
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
3205 TA05
IMS
13
14
24.9k
24.9k
3205i
14
LTC3205
標準的応用例
4LEDの160mAスタンドアローン型カメラ・ライト
160mA CAMERA LIGHT
CPO
15
1µF
LTC3205
MAIN1
MAIN2
MAIN3
MAIN4
SUB1
SUB2
RED
GREEN
BLUE
IMS
IRGB
2
1
24
23
22
21
18
19
20
13
14
24.9k
24.9k
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
3205 TA06
パッケージ寸法
UFパッケージ
24ピン・プラスチックQFN (4mm×4mm)
(Reference LTC DWG # 05-08-1692)
0.70 ±0.05
4.50 ± 0.05
2.45 ± 0.05
3.10 ± 0.05 (4 SIDES)
PACKAGE OUTLINE
0.25 ±0.05
0.50 BSC
RECOMMENDED
SOLDER PAD PITCH AND DIMENSIONS
推奨する半田パッドのピッチと寸法
4.00 ± 0.10
(4 SIDES)
露出パッドの底面
BOTTOM
VIEW—EXPOSED PAD
0.23 TYP
R = 0.115
(4 SIDES)
TYP
23 24
0.75 ± 0.05
PIN 1
TOP MARK
(NOTE 5)
0.38 ± 0.10
1
2
2.45 ± 0.10
(4-SIDES)
(UF24) QFN 0603
0.200 REF
0.00 – 0.05
0.25 ± 0.05
0.50 BSC
NOTE:
NOTE:
1. DRAWING
PROPOSED TO BE MADE A JEDEC PACKAGE OUTLINE MO-220 VARIATION (WGGD-X)—TO BE APPROVED (承認待ち)
1.
図はJEDECパッケージ外形MO-220のバリエーション(WGGD-X)にするよう提案されている
2. ALL
DIMENSIONS ARE IN MILLIMETERS
2.
すべての寸法はミリメートル
3. DIMENSIONS OF EXPOSED PAD ON BOTTOM OF PACKAGE DO NOT INCLUDE
3. MOLD
パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。モールドのバリは
(もしあれ
FLASH. MOLD FLASH, IF PRESENT, SHALL NOT EXCEED 0.15mm ON ANY SIDE, IF PRESENT
ば)各サイドで0.15mmを超えないこと
4. EXPOSED
PAD SHALL BE SOLDER PLATED
5.
SHADED
AREA
IS
ONLY
A
REFERENCE
FOR
PIN
1
LOCATION
4. 露出パッドは半田メッキとする
THE TOP AND BOTTOM OF PACKAGE
5. ON
網掛けの領域はパッケージのトップとボトムのピン1の位置の参考に過ぎない
6. DRAWING NOT TO SCALE
6. 図は実寸とは異なる
3205i
15
LTC3205
標準的応用例
RGBディスプレイのカメラ・ライトとしての使用
L1
2.2µH
Li-Ion
4
1µF
1µF
5
1
VIN
SW
SHDN
2.2µF
LT1930A
VRGB = 6V
IRGB = 300mA TOTAL
D1
38.3k
FB
3
10k
GND
5
4
C1+ C1–
6
3
1µF
16
C2 + C2 –
VIN
CPO
10µF
2
15
1µF
10
12
FROM
MICROCONTROLLER
7
8
9
MAIN1
ENRGB
MAIN2
DVCC
DIN
MAIN3
MAIN4
LTC3205
SCLK
SUB1
LD
SUB2
RED
GREEN
BLUE
2
WHITE
WHITE
WHITE
WHITE
1
WHITE
WHITE
RED
GREEN
BLUE
ILED = 20mA
24
23
22
21
18
19
20
3205 TA07
SGND STEPUP IMS
17
11
IRGB
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Si1406DH
IFLASH = 100mA PER R, G, B, LED
FLASH
関連製品
製品番号
説明
LT®1618
定電流、定電圧、1.4MHz高効率昇圧レギュレータ 最大16個の白色LED、VIN:1.6V∼18V、VOUT(MAX):34V、IQ:1.8mA、
ISD:≤1µA、10ピンMS
注釈
LTC1911-1.5 250mA
(IOUT)
、
1.5MHz、
高効率降圧チャージポンプ 75%の効率、VIN:2.7V∼5.5V、VOUT(MIN):1.5V/1.8V、IQ:180µA、
ISD:≤10µA、MS8
LT1932
定電流、1.2MHz高効率白色LED昇圧レギュレータ 最大8個の白色LED、VIN:1V∼10V、VOUT(MAX):34V、IQ:1.2mA、
ISD:≤1µA、ThinSOTTM
LT1937
定電流、1.2MHz高効率白色LED昇圧レギュレータ 最大4個の白色LED、VIN:2.5V∼10V、VOUT(MAX):34V、IQ:1.9mA、
ISD:≤1µA、ThinSOT、SC70
LTC3200-5 低ノイズ、2MHz、安定化されたチャージポンプ
白色LEDドライバ
最大6個の白色LED、VIN:2.7V∼4.5V、
VOUT(MAX):5V、IQ:8mA、
ISD:≤1µA、ThinSOT
LTC3201
低ノイズ、1.7MHz、安定化されたチャージポンプ 最大6個の白色LED、VIN:2.7V∼4.5V、VOUT(MAX):5V、IQ:6.5mA、
白色LEDドライバ
ISD:≤1µA、10ピンMS
LTC3202
低ノイズ、1.5MHz、安定化されたチャージポンプ 最大8個の白色LED、VIN:2.7V∼4.5V、
VOUT(MAX):5V、IQ:5mA、
白色LEDドライバ
ISD:≤1µA、10ピンMS
LTC3251
500mA(IOUT)、1MHz∼1.6MHz、
拡散スペクトラム 85%の効率、VIN:3.1V∼5.5V、VOUT(MIN):0.9V∼1.6V、IQ:9µA、
降圧チャージポンプ
ISD:≤1µA、10ピンMS
LTC3405/ 300mA (IOUT)、
1.5MHz同期式降圧DC/DCコンバータ 95%の効率、VIN:2.7V∼6V、VOUT(MIN):0.8V、IQ:20µA、ISD:≤1µA、
LTC3405A
ThinSOT
LTC3406/
LTC3406B
600mA (IOUT)、
1.5MHz同期式降圧DC/DCコンバータ 95%の効率、VIN:2.5V∼5.5V、VOUT(MIN):0.6V、IQ:20µA、ISD:≤1µA、
ThinSOT
LTC3440
600mA (IOUT)、
2MHz同期式昇降圧DC/DCコンバータ 95%の効率、VIN:2.5V∼5.5V、VOUT(MIN):2.5V、IQ:25µA、ISD:≤1µA、
10ピンMS
LT3465/
LT3465A
ショットキ内蔵1.2MHz/2.7MHz
最大6個の白色LED、VIN:12.7V∼16V、VOUT(MAX):34V、IQ:1.9mA、
ISD:<1µA、ThinSOT
ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。
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リニアテクノロジー株式会社
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0803 0.2K • PRINTED IN JAPAN
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2003