核燃料サイクル施設シビアアクシデント研究WG の - 日本原子力学会

第9回 再処理・リサイクル部会セミナー
核燃料サイクル施設シビアアクシデント研究WG
の活動紹介
2013年6月3日
東京工業大学・原子炉工学研究所
池田泰久
核燃料サイクル施設シビアアクシデント研究WGの設置趣旨
我が国では、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて、原子力発電施設だ
けでなく、核燃料サイクル施設についてもシビアアクシデント(以下「SA」という)のリス
クを検討し、これに基づいて安全確保のあり方を見直し、一層の安全性向上につい
て検討することが、喫緊の課題となっている。
日本原子力学会再処理・リサイクル部会は、再処理施設等の建設,運転,安全評
価,研究開発,人材育成等に係わる多様な組織の研究者,技術者により構成される
部会である。この特性を活かして、部会員が有する最新の知見及び専門的経験に基
づいて、科学技術的観点から上記課題を検討し、科学合理性の高い安全確保及び
安全規制並びに社会への説明責任の達成に資するよう、その成果を社会に発信す
ることは、当部会の使命と認識する。
具体的には、核燃料サイクル施設における内的及び外的事象に起因するSAを科
学的・技術的観点から抽出し、その発生及び拡大防止に関する基本的考え方や有
効策等を調査・検討し、まとめるとともに、今後さらに検討すべき課題を抽出する。ま
た、現在進められている原子力発電所の類似の検討結果と比較しつつ、サイクル施
設に特徴的な課題と違いについて整理する。
以上の目的を達成するため、本WGを設置する。
委
員
主査:池田泰久(東工大)
副主査:村松 健(東京都市大)
幹事:浅沼徳子(東海大),阿部 仁(JAEA),深澤哲生(日立GE)
委員:青柳春樹(JNFL)
井上 正(部会長,電中研)
佐藤修彰(東北大)
澤田佳代(名大)
清水武範(JAEA)
竹内 努(東芝)
玉置等史(JAEA)
塚田毅志(電中研)
中島 健(京大)
平野光将(JNES)
眞部文聡(MHI)
丸茂俊二(電事連)
水田 仁(関電)
趣旨書に基づいたWGでの実施内容
1.核燃料サイクル施設のSAリスクの検討
−内的及び外的事象に起因するSAを科学的・技術的観点から抽出する。
2.安全確保のあり方の見直しと一層の安全性向上についての検討
−SAの発生及び拡大防止の基本的考え方や有効策等を調査・検討して
まとめる。
−上記検討に基づき、今後さらに検討すべき課題を抽出する。
3.軽水炉の類似検討結果との比較、サイクル施設に特徴的な課題と違いの
整理
4.検討成果の社会への発信
WGの進め方
1.核燃料サイクル施設のSAリスクの検討
−サイクル施設の事故例と日,英,仏ストレステスト対象事故の選定
−再処理工場の放射性物質形態と放射能量の把握
−事業指定申請時の事故選定の考え方
−国の検討進捗状況の把握と反映
−再処理SA対象事象の選定及び判断方法の検討
2.リスク対策の検討
−軽水炉新安全基準の安全強化策を再処理施設へ適用した場合の課題・対策
−必要なリスク対策案の検討
3.軽水炉とサイクル施設の違いに関する検討
−軽水炉と再処理工場SAのリスクの違いの把握
・国の核燃料施設等の新規制基準の策定スケジュールを勘案し、本WGでの検討
内容を提言できるように進める。
・再処理・リサイクル部会ホームページに議事要録版を掲載する。
検討対象となる再処理プロセスの概要
ウラン
プルトニウム
核分裂生成物
(高レベル放
射性廃棄物)
被覆管など
主要なプロセス 代表的な事象
・臨界
・臨界
・放射性物質の漏えい
・臨界
・閉じ込め
機能低下
・閉じ込め機能低下
・火災・爆発
・放射性物質
の漏えい
※高レベル放射性廃液の処理では臨界はない。
出典:核燃料施設等の新規制基準に関する検討チーム 第1回会合 資料2
「使用済燃料再処理施設の規制基準について」(平成25年4月15日)
これまでの取り組み(1)
第1回 WG会議(4月16日開催)
・設立趣旨の確認
・WGの進め方
−国の核燃料施設等の新規制基準の策定スケジュールを勘案し、本WGでの検討内容
を提言できるように進めることを確認。
第2回 WG会議(4月26日開催)
1.六ヶ所再処理工場の安全対策に関する検討
1)安全対策について
−安全対策としての崩壊熱除去,火災・爆発防止,臨界安全管理の検討
2)重大事故の選定方法と安全評価について
−「運転時の異常な過渡変化(AT :Anticipated Transient)* )」を超える事象(BAT: Beyond)
Anticipated Transient)の候補となる約500事象から代表事象となる事象の選定、及びそ
の選定法の妥当性の検討
3)潜在的リスクレベルの検討
−被ばく線量の発電用原子炉との比較検討(事故時ソースターム, 一般公衆被ばく線量)
−重大事故に至る時間に関する発電用原子炉との比較検討
AT:運転時の異常な過渡変化で通常の運転の変動範囲に収まる事象
これまでの取り組み(2)
第2回WG会議(4月26日開催)(続き)
2.核燃料施設の性能目標の検討
−日本の安全目標案, 海外の事例, 性能目標の策定手法の検討
−確率論的安全評価手法の整備(定量的基準の検討)
3.再処理施設の規制基準について
−核燃料施設等の新規制基準に関する検討チームの第1回会合の内容紹介
第3回WG会議(5月17日開催)
1.六ヶ所再処理施設における重大事故の選定検討
1)発電炉と再処理施設の放射性物質の分布・特徴及び必要な安全機能の比較検討
2)六ヶ所再処理工場の設計基準事象の選定手順の検討
−Hazard and Operability Study(HAZOP)*法による選定
−ATの拡大事象、機器・配管等の破損故障等による事象を「設計基準事故(DBA: Design
Basis Accident)」候補事象と選定することの妥当性検討
3)事象カテゴリー毎のDBA概要と重大事故選定フローの適用
−火災, 冷却機能喪失, 臨界について
* HAZOP(Hazard
and Operability Study):1970年代化学産業の大規模化に伴い安全対策の妥当性を、
系統的かつ網羅的に検討する手法として英国で開発され世界的に利用
これまでの取り組み(3)
第3回WG会議(5月17日開催)続き
2.核燃料サイクル施設における過去の事故例の調査
−臨界, 火災及び発熱反応, 放射性物質の漏えい
3.日, 仏, 英で公表された確率論的安全評価対象事象の調査
−高レベル濃縮廃液の沸騰事故, セル内有機溶媒火災
4.日, 仏, 英ストレステスト等の対象事故
第4回WG会議(6月14日開催 予定)