DN148 - 低歪みの低消費高速オペアンプ - リニアテクノロジー

低歪みの低消費高速オペアンプ
デザインノート 148
George Feliz
表1. LT1351/LT1352/LT1353の主な性能上の特長
はじめに
LT®1351/LT1352/LT1353低消費電力オペアンプ・ファ
ミリは、200V/µsのスルーレートと1アンプ当たり250µA
の低消費電流を特徴としています。入力ステージと出力ス
テージはどちらも優れた直線性が得られるように最適化さ
れており、最小の消費電流で卓越した性能を達成します。
このアンプは、L T 1 3 5 1 シングル・アンプ用の超小型
MSOPパッケージなど、各種パッケージでシングル、デュ
アル、およびクワッド・バージョンが供給されます。主な
仕様の概要を表1に示します。
電源範囲
±2.5V∼±15V
電源電流(1アンプ当たり)
250µA
シャットダウン電流(LT1351)
10µA
スルーレート(±15V電源)
(±5V電源)
200V/µs
50V/µs
利得帯域幅
3MHz
C-LoadTMアンプ安定
あらゆる容量性負荷
最大入力オフセット電圧
600µV
データ収集システムのバッファリング
最大入力バイアス電流
50nA
LT1351をバッファとして使用する低消費電力データ収集
システムを図1に示します。LTC ® 1274は、12ビット、
2mA、100ksps、±2.048Vフルスケール入力ADCです。
ピン1の入力は、45pFのサンプリング・コンデンサに接続
された200 Ωスイッチとしてモデル化することができま
す。このような軽い負荷はLT1351にとって問題にはなら
ず、最大40kHzのフルスケール、12ビット高精度信号を通
最小DC利得、RL=2k
30V/mV
–––
14nV/ √Hz
5V
+
0.01µF
7
0.1µF
4
–
5
0.01µF
10µF
Q1
2N3906
1
2
– 5V
3
4
10k
5
6
10k
– 5V
7
8
9
10
11
12
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
C-Loadはリニアテクノロジー社の商標です。
– 5V
10µF
10µF
0.1µF
0.1µF
LTC1274
AIN
VCC
VREF
VSS
AGND
BUSY
D11 (MSB)
CS
D10
RD
D9
CONVST
D8
SLEEP
D7
REFRDY
D6
D0
D5
D1
D4
D2
DGND
D3
24
23
22
21
20
19
18*
PROCESSOR
I/O COMMAND
LINES
17
16
15
14
*SLEEP SHUTS
DOWN CIRCUIT
TO 19µA
13
DN148 F01
DATA BITS
D0 TO D11
図1. LTC1274 100ksps ADC用バッファとしてのLT1351
02/97/148
LT1351
LT1351、LT1352
LT1353
6
LT1351
2
パッケージ:8ピンMSOP
8ピンSO、PDIP
14ピンSO
TOTAL HARMONIC DISTORTION + NOISE (%)
ANALOG 3
INPUT
5V
入力ノイズ電圧
0.1
0.01
0.001
0.1
1
10
FREQUENCY (kHz)
50
DN148 F02
図2. LT1351 AV=1、±5V電源、
VOUT=4VP-P、RL=10k
過させます。図2に、±5V電源、10kΩで4VP-Pをドライブ
するユニティゲイン・バッファとして構成されたLT1351
の全高調波歪み+ノイズを示します。バッファは4Vステッ
プに対し1mV以下まで1.5µs以内に安定するので、2µs以内
でのデータ収集が保証されます。さらに、この回路は
LT1351のシャットダウン機能を利用して、ピン18を
“L”
にしたときに全電源電流を19µAに低減します。ピン17は
内部ADC電圧リファレンスが有効であることを通知しま
す。このピンが“H ”のとき、アンプは変換可能な状態で
す。トランジスタQ1は、ピン17がLT1351のシャットダウ
ン・ピンを制御できるようにレベル・シフトを提供しま
す。トランジスタQ1は、ピン5がVEEになると(ピン17が
“L”
)
ターンオフし、ピン5がVEEより2V以上高くなると
(ピ
ン17が“H”)ターンオンします。
2個のオペアンプを用いた計装アンプ
図5に示す2個のオペアンプで構成される計装アンプは、
102の利得と30kHzの帯域幅を持っています。この回路は
反転と加算の組合せを使用して、2つの入力で同相成分を
キャンセルします。微分利得は、他方の入力を接地し、各
入力からの利得を計算しその利得を加えることによって分
析できます。図6は各種出力レベルの全高調波歪み+ノイ
ズのプロットです。この構成のノイズは、出力に80kHz測
定用フィルタを使用した場合、370µVRMSと低い値になり
ます。2.5VP-P(884mVRMS)以下の出力レベルでは、ノイ
ズが性能の制限要因になります。このような優れたノイズ
性能と帯域幅を兼ね備えたアンプは、この電力レベルでは
他にありません。
フィルタ
大信号の場合、
LT1352アンプはスルーレートが高いので、
わず
かな電源電流でも信号を歪みなしで通過させます。
図3に示す
20kHz、
4次バターワース・フィルタがこの大信号性能の一例で
す。
この構成は標準テキストブック・フィルタですが、
図4の大
信号歪みは20VP-P信号がパスバンド全域でTHDが0.02%以下
のままであることを示します。
この回路が500µAの消費電流し
か流さないことを考えると、
この測定値は並外れています。
4.64k
5.49k
470pF
R1
50k
R2
5k
–
1/2
LT1352
–
VIN
2200pF
1/2
LT1352
5.49k
+
11.3k
1/2
LT1352
1/2
LT1352
VOUT
+
GAIN = [R4/R3][1 + (1/2)(R2/R1 + R3/R4) + (R2 + R3)/R5] = 102
TRIM R5 FOR GAIN
TRIM R1 FOR COMMON MODE REJECTION
BW = 30kHz
DN148 F05
図5. 計装アンプ
VOUT
+
DN148 F03
図3. 20kHz、4次バターワース・フィルタ
TOTAL HARMONIC DISTORTION + NOISE (%)
–
+
–
4700pF
R3
5k
VIN
TOTAL HARMONIC DISTORTION + NOISE (%)
13.3k
R4
50k
+
–
220pF
4.64k
R5
1.1k
0.1
0.01
1
0.1
1.25VP-P
2.5VP-P
5VP-P
0.01
10VP-P
20VP-P
0.001
0.02
0.1
1
FREQUENCY (kHz)
10 20
DN148 F06
図6. LT1352 2アンプ、AV=100、
計装アンプ、各種出力レベル
0.001
0.0001
まとめ
0.1
1
FREQUENCY (kHz)
10
20
DN148 F04
図4. LT1352、20kHz 4次バターワース・
フィルタ、±15V電源、20VP-P信号
要約すると、LT1351/LT1352/LT1353アンプ・ファミリ
は、低歪み、低ノイズ・アプリケーションに対して、低消
費電力ソリューションを提供します。消費電流は1アンプ
当たりわずか250µAですが、卓越した大信号性能を達成し
ています。
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 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1997