3 協会の活動・看護関連ニュース Vo l. 552 2013.7.15 会議で発表する西條さん 第 14 回「看護職賠償責任保険制度」特別講演会 世界の山々をめざして∼夢を実現させるために∼ 宮城県の認定看護師 震災時の活動を 国際会議で報告 唆を得た参加者からはスタンディン グオベーションによる拍手が起き、 演者の 2 人と共に会議へ参加した宮 城県の認定看護師らへ激励の言葉と 貴重な情報提供への感謝が述べられ た。 杉浦地域医療助成・同振興賞 看護職は2氏に助成 7 月 4 日、杉浦地域医療振興助成・ 同振興賞の授与式が帝国ホテル(東 京・千代田区)で行われた。杉浦地 域医療振興財団が、よりよい社会シ ステム構築のため地域医療連携の構 築や推進に関する優れた活動・研究 を助成し、実践を評価した。 医師・看護師などの選考委員に よって助成 12 件、振興賞3編が選 ばれ、記念品などが授与された。本 会からは、井伊久美子専務理事が選 考委員となり、授与式に出席した。 地域拠点病院 111 床 看護職員数合計 72 人(うち助産師数 7 人) 産婦人科医師数 2 人 看護配置 10:1 年間分娩件数 111 件(2012 年度) 群馬県北西部にある西吾妻福祉病院は、吾妻 郡の長野原町、嬬恋村、草津町、中之条町の4 町村が開設した公設民営病院。へき地医療の充 実を目的に設立された地域医療振興協会が指定 管理者として運営する。 「助産師として、視野が広がった」 同院の産科は内科との混合病棟(37 床)だ が、LDR(陣痛・分娩・回復を同じ部屋で過 ごせる個室)が2室あり、個室・母子同室が基 本だ。産科医は伊藤雄二院長と6年目の医師の 2人。助産師は常勤3人、非常勤1人、そして 自治医科大学附属病院からの出向助産師が3人 の合計7人。2002年の開設時から、自治医科大 学と地域医療振興協会とで協定書を締結し、こ れまで、延べ 25 人の助産師が平均1年程度の 期間で出向している。出向元の自治医大病院で は、同院との出向システムを、正常分娩を中心 とした分娩介助を経験できる機会として位置付 けている。 出向する助産師は時期をずらし配属される。 看護職としては、 次の2人が研究・実 践に向けた助成を受 けた。 ▼西尾市民病院 地 域医療連携室室長 小嶋佳代子氏「西尾 幡豆地域のシームレ スな医療、介護、福 祉の連携」▼日本て・ あーて TE・ARTE 推進協会 川嶋 みどり氏「地域密着完結型ケア拠点 助産師歴 5 年目の吉田愛さんは昨年9月、同じ く5年目の渡部睦美さんは今年の4月に着任し た。「正常な妊娠、分娩にかかわることができ、 視野が広がった」と吉田さん。3年目の高橋綾 佳さんは7月に着任したばかり。「出産に対し て妊産婦さんが主体的。助産師のかかわりが深 いからかも」と印象を語る。3人とも地域医療 に興味があり、出向システムをチャンスととら え希望した。処遇や、先輩からの「安心して働 ける環境」という事前情報が整っていたことが 大きいと口をそろえる。休日には温泉巡りや、 軽井沢での買い物を楽しんでいる。 「地域のお産を守っている」という自負 周辺の病院の産科病棟は相次いで閉鎖し、現 在は同院が吾妻郡で唯一の分娩取扱施設だ。2 人目を出産したばかりの 20 代のお母さんは「上 の子の時もお世話になりました。今回は(2人 目なので、陣痛から分娩までの時間が)早かっ たから、ここがなかったら、途中で生まれちゃっ たかも」と笑う。地元の友人たちも皆、同院で 出産しているそうだ。 「地域のお産を守っているという自負はあり ます」と看護介護部長の山本恵美子さんは胸を 張る。「混合病棟ゆえの葛藤もありますが、業 務のバランスを考え、チームとして連携してい ます」。同院では陣痛から分娩、退院後の1カ 月健診時までを1人の助産師が担当する。出向 助産師を対象に実施したアンケート調査では 「正常分娩を中心に分娩技術が向上した」「お産 全体を通して、妊産婦にかかわれた」と評価す る声が大半だった。 助成・振興賞を授与された 皆さん 6 月 8 ∼ 10 日、アメリカ・フォー トローダーデールで米国感染管理・ 疫学専門家協会(APIC)年次大会・ 国際会議が開催された。日本からの 企画が採用され「災害時の感染対策」 セッションが最終日に設定された。 座長は、日本看護協会の洪愛子常任 理事。演者として、2012 年 10 月に アメリカ東海岸に上陸したスーパー ストーム「サンディ」の被災施設か らスティーブン・ボックさん、石巻 赤十字病院に勤務する感染管理認定 看護師の西條美恵さんが参加した。 西條さんは、宮城県下の認定看護 師の専門性を生かした活動の実際に ついて、石巻赤十字病院内と石巻地 域での取り組みを中心に「東日本大 震災被災地からのレポート」として 報告した。 参加者は約 500 人。セッションは、 基調講演と共に選ばれて世界に中継 配信され、約 2 万 5,000 人が視聴し た。大規模災害への対策について示 第 14 回特別講演会を、登山家の田部井淳子さんを講師に迎えて開催 します。女性として世界で初めてエベレストに登頂し、1992 年には女 性で世界初の 7 大陸最高峰登頂者となった田部井さんに、女性の生き方 や夢の実現方法などを聞きます。 【日時】9 月 29 日(日)13:30∼15:00(開場 13:00) 【会場】名古屋市立大学病院病棟・中央診療棟 3 階大ホール 【定員】300 人(参加費無料) 【申込期間】7 月 16 日(火)∼8 月 30 日(金) 【 申 込 方 法 】 ① ∼ ⑦ を 明 記 の 上、FAX 03 5778 5787 ま た は メ ー ル [email protected] までお申し込みください。定員となりしだい締め切 り、参加決定者には参加証を送付します。①件名:第 14 回特別講演会 参加申込②氏名(フリガナ)③郵便番号④住所⑤連絡先(電話番号)⑥ 本会会員番号⑦職種(保助看准) 【問い合わせ】「看護職賠償責任保険制度」サービス推進室特別講演会事 務局 ☎ 03 5778 5968(受付時間 平日 10:00∼17:00) 『ハウス・て・あーて東松島』の創 設と活動支援」 自治医科大学病院から出向中の助産師 3 人組。 左から吉田さん、高橋さん、渡部さん 伊藤院長は「へき地の総合病院は、人材も医 療資源も乏しいが、施設の特徴を生かし大学病 院と連携を密に保つことで、充実した助産師教 育は可能」と、ALSO(周産期救急に対する 教育コース)による助産師教育の普及・啓発に も取り組む。 「混合病棟での看護業務も経験のうち。大学 院で学びを深めることも考えたい」と吉田さん。 「地域の病院で経験を積むのもいいと思う」と 渡部さん。助産師としての成長を糧に、着実に キャリアアップの階段を踏みしめている。 助産師出向システムとは 現在の勤務先の身分を持ちながら、他施設 で助産業務を行うもの。助産師としてのキャ リアアップ、就業先の偏在是正など、大き な期待が寄せられています。 ★当連載は隔月掲載です。次回は9月号になり ます。
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