CHEMOTHERAPY VOL.t4NO.5 381 喀痰 中に お け る抗 生 物 質 濃 度 に お よぼ す 各 種 喀痰 融 解 剤 の 影 響 大学 院学生 三 瀬 貞 博 熊 本大学 医学 部第一 内科学教室 (指導 河盛 勇造教援) (昭 和40年11月26日 第1章 緒 mg,ACユ2mg,SK40,000u,-SD10,000uを1日 言 感 染 症 に 対 す る 抗 生 物 質 療 法 は,長 個 々 の 抗 生 物 質 に つ い て は,そ は,原 因 菌 の 決 定,そ 足 の 進 歩 を 遂 げ, の発 見 と同時 に幾 多 の研 究 が 行 なわ れ て い る が,抗 生物 質 の臨 床 応 用 に際 して の 薬 剤 感 受 性 と共 に 病 巣 へ の 薬 剤 到 達 の 程 度 を 知 り,投 与量 及 び投 与 方式 に関 す る参 考 と され な け れ ば な らな いoこ の 際,一 般 に,投 中 濃 度 の高 さ 及 び そ の 時 間 的 経 過,あ 胆 汁 中 濃 度,臓 与 方 法,血 判定 に 際 し て,1つ 量 と し,3∼4回 に 分け て 投 与 した。こ れ を単 独 に1週 間 持 続 投 与 した 後 に,各 種 抗 生 剤 との 併 用投 与 を 行 な つ た0 4)喀 疾 中抗 生 物 質 濃 度 測 定 方 法 i)喀 疾処理 滅 菌 シ ヤ ー レ中に 蓄 疾 され た 喀疾 か ら,3∼5ccを る い は 尿 中 濃 度, 器 内 濃 度 な ど が 用 い られ て い る が,呼 器 感 染 症 に お い て は,さ 受 付) 吸 らに 喀疾 中濃 度 も抗生 剤 の効 果 の 指 標 と し て 重 要 で あ る と考 え られ る2)e 菌 ス ピ ッ ツグ ラ スに と り,10劣 の割 合 に5%パ 液 を 加 え,充 分 撹 拝 した 後,恒 温 槽 中 で45℃30分 滅 パイ ン 間加 温 して喀 疾 を パ パ イ ンで 消化 し,次 い で 沸 と う湯 中 で 100。C10分 間 加 熱 して パ パ イ ンの不 活 性 化 お よ び 殺 菌 を行 なつ た。次 い で遠 心 沈澱 を行 な い 上 清 を 測定 試 料 と 私 は,慣 した。 用 さ れ て い るErythromycin,Chl。rampheni- col,Tetracycline,Phenoxyethylpenicillinの4抗 物 質 に つ い て,喀 生 疾 申 濃 度 を 測 定 し,更 に,種 々 の喀 疾 ii)測 定方法 測 定 は 鳥 居 氏 の重 層 法1>を 用 い,試 験 菌 は 溶血 性 連 鎖 融解 剤が 抗生 剤 喀 疾 中 濃 度 に 与 え る影 響 につ い て も合 せ 球 菌S8株 て検 討 し た。 す る場 合,喀 疾 処 理 過 程 に記 した パ パ イ ンに よる 消化 お 第2章 1)使 よ び加 熱 処 理 で,抗 生 物 質 の 力価 の 低 下 が 考 え られ る の 研 究 方 法 用 した 抗 生 物 質 で,次 の予 備実 験 を 行 な つ た。 i)Erythromycin(EMと 略 記) ii)Chloramphenicol(CPと 各抗 生 物 質 につ い て,pH7.0の 略 記) iii)Tetracycline(TCと びpH7・0燐 略 記) 酸 緩衝 液 の混 合 液 で 同 様 の 稀 釈 系列 を作 つ て,喀 疾 処 理 と同 過程 を とつ て 加 温,加 熱 し,各 々標 用 した喀 疾 融 解 剤 i)Bromelain(BRと 準 曲線 を 作 製 した。結 材 は 図1に 示 す ご と く,ほ とん ど 略 記) 差 が み られ ず,力 価 の低 下 は 無 視 し得 る こ と を 証 明 し ii)Methylcysteinehydrochloride(MCと 略 記) 図1予 備 実験 における標 準 齢舘 cρTCE'・f iii)N-cyclohexy-N・methy1・(2-amino-3.5-dibromobenzyl)-ammoniumchloride(ACと 略 記) iv)Streptokinase-Stτeptodomase(SK-SDと 3)投 詳 略 記) 与方法 i)抗 生 物質 各 抗 生 物 質 は 全 て 経 ロ 投 与 で,EM300mg,CP500 mg,TC500mg 投 与 し,投 ,PE-PC400,000uを 与 後1時 検 材 料 と し た。血 燐 酸 緩 衝 液 で稀 釈 系 列 を作 り,こ れ と比 較す るも の と して,パ パ ィ ン液 お よ 略 記) iv)phenoxyethylpenicillin(PE-PCと 2)使 を使 用 した。抗 生 物 質 濃 度 を 生物 学 的 に測 定 間 か ら4時 早 朝7時 に1回 度 間 まで 蓄 疾 した喀 疾 を 被 清 は 抗 生 物 質 投 与2時 間 後 に採 血 し た。 疾融解剤 Aり 各 喀 疾 融 解 剤 は 全 て 経 口 的 に,BR80mg,MC600 0 ii)喀 51Q 阻 止 格 の長 ε 憩飢 CHEMOTHERAPY 382 SEPT」!966 と く,一 定 の 関 係 は み られ な いo た。従 つ て 本 測 定 に際 しては,各 抗 生 物質 をpHZOの 喀 疾 の 性 状 と抗 生 物 質 濃 度 の関 係 は,図4に 燐 酸 緩 衝 液 で 稀 釈 して,標 準 曲 線 を 作 製 した。 第3章 1)抗 研 究 成 績 生物質単独投与時の喀疲中濃度 i)投 図2杭 生物 質喀疾中濃度(単独投5時) 与 後1時 間 か ら4時 間 ま で の蓄 疾 につ い て の e22 .O 房 瀦 ご 測定 e1;.8 %ご 7 当 内科 お よび 関 係3療 養 所 に 入 院 中 の肺 結 核 お よ び 気 PE-PC各1回 6 仁9 4 喀 痕 中濃 度 管 支 拡 張 症 患 者26例 に つ い て 測 定 した。EM,CP,TC, 投 与 後 の 喀 疾 中 濃 度 は 表1に 示 した。各 抗 生 物 質 に つ い て の26例 示す ごと く,膿 性 喀 疾 に おい て高 濃 度 の も の が 多 く,特 にEM, の 平 均 値 は,EM1.68mcg/cc, CP1.44mcg/cc,Tco.18mcg/cc,PE--Pco.74u/ccで, o o o 0 お い て 高 値 を示 して い るが,図2に は0。8か ら2.5mcg/ccの 3 間 に 多 くの症 例が 2 O 0 9り く,EMで み られ る ご と 00 00 EMに れ ない も のが 多 く,時 に 高濃 度 を示 す も のが2,3み 1 ら れ る にす ぎない。 表1抗 例 EM3eeng77CseOmg(㈱ 示す ご 解AF-PC4tuma 内腺 生 物 質 単 独 投 与時 の略 擁 中 濃 度 性 年齢 体重 病 名 又 は 肺 結核病型 喀 疾性 状 翻 羅戴 器薦 銀趨 PE-PC 400,000u 内 服 3 4 0 1 5 4 8 8 9 4 2 FFF 偽 6 駒 F 鶏 0aOOO3,0aaaOOOOOOa 蜘 ら 8 F 雛 2 41322124548018 D 轍 800α0α0αqO,ααα000αLOOOLOLα-、 01 FOO7雛ーハ02000000001。00α000LOOOOOOOOαL 気 轟 O O O O O O O O O O2 畿 ハり 035433654333333444444333535 3 8LL-.L-.-,L-。LL4,aαOa20αOLLqO-。aa 7 644344423634446533434345562 8 4 5 8 7 7 42000226222408518869 4 0 ♀ 4 3 0 6 5 8 4 δ 8 1 6 ♀ 5 5 6 5 ♀ 8 7 5 ♀ 5 7 9 ♀ 5 2 9 3 5 1 3 ♀ 5 5 0 5 5 5 5 0 5 5 3 0 5 5 0 0 5 0 5 5 6 0 5 0 0 0111121111111112 7 7 3 性 性 性 性 性 性 性 性 性性 性 性 性 性 性 性 性 性 性 性 性 性 性性 性 性 1 9 お 液液液液液液液液液液液液液液 8 6 δ 粘粘膿膿膿粘粘粘膿膿膿膿膿粘粘膿粘粘膿粘粘粘粘粘膿膿 9 8 3 症123-31張 5 6 δ FF 0 0 δ ら 0 8 8 6 F 1 9 8 δ 畿 5 8 3 δ 偽 8 5 3 2 4 ♀ . . . ρ0 2 ● ● =り 2 ● ⋮ ∠¶ 2 ⋮ ワ臼 つり 2 つ一 6 -凸 2 ♀ ・ 。 ・ ー; ・ ・ ー1 ・ ・ 8 1 。 ・ 7 1 ー ﹁ ー ⋮ 1 ・ 6 1 ・ 5 1 ⋮ー; 馳 ♀ 4 1 ♂ ・ ・ ・ ・ 。 ・ . 3 1 IしlI ﹁し﹁,1 2 - ・ ・ Il 1 ー ・ 。 0 ユ ・ ⋮ 9 ・ 8 . 7 ・ ・ 6 6 ・ 5 ⋮ 4 δ ・ 3 ♀ ・ 2 K U Y Y I K S M H H U M Y Y N M M H S S M W H H H N H S T K Y M K T Y Y K S M M M K T S N H Y S H S T H 1 201 鷲1 o 3時 間 蓄 疾 量 と抗 生 物 質 濃 度 の関 係 は,図3に 症 §鮎 み られ る。こ れ に比 して,他 の 抗 生物 質 で は 全 く証 明 さ 渥 α 441。18 α68 工 f 値 均 平ーiI ー ー1 避 降 製 憂 "コ 寸 .一 寸㊤ .O N .H O .O 卜 .O ゆN .祠 o ooっ . 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Tota1 Nα1% 1.0 016 BR …8ii5・5・8…7・ MC 00ユ6635.2170011218.111 AC 0019525.020315.02016.615 SK-SDI・ ・ 醒 Q5 ゴ ミ. ユ51・6・2・6・6・6・512・5・3・3 騨 01醗}捧}擾2腸 表5喀 抗 物 生 質 ・ 飼後 疾 融 解 剤 の 併用 に よ つ て 抗生 物 質濃 度 が上 昇 した症 例 EM 300mg内 CP 500mg内 服 服 TC 500mg内 単 独 投 与 で も喀 疾 中 濃度 は あ る程度 PE-PC 400,000u内 服 服 認 め られ て い るが,喀 疾融 解 剤 の併用 で さ らに 濃 度 の 上 昇 す る例を あげ ると, 喀疾融 解 剤 響1例 5.5 % BR 庫葦後3鴉 No. 1 % 12.5 数 響ll例 数 瞥1例 11.1 118 2 0 218 47.0 0 数 2芝μ1徽 0 1 0 16 0 11TCを 18。1 2 616 5.2 % 8 117 0 011 15。0 40.0 2 6.6 AC No. 1 -SD %SK No. 20.0 3 219 8 320 1 020 6.6 6.2 315 3 016 1 1 0 3 2 除 い て は 全 て の喀 疾 融解 剤に上 昇 例 が み ら れ,特 にEMの 場 合は, MC,SK-SDに は 翼C・ 15ACで 23.0 015 mcg/ccま た は2u!cc以 上 上 昇 したも のと ,1∼2mcg/ccま た は ・1∼2uicc の上 昇 に と ど まつ た も のを あ げると, MC No. ご と くな る。 す な わ ち,単 独 投 与 に 比 較 して2 6.2 017 表5の 多 く,CPで ,TCで はACで,PE-PCで は、SK--SDで 多 く認 め られ た。 134種 の 喀 疾 融 解 剤 の 中 で,畷 醸 度 を 最 高 値 に した もの を選 んでみ ると 15.0%,SK-SDで6.6%の 上 昇 例 が み られ た。PE。PC 表6の ご と くな る。EMで はSK-SDの の 場 合 は,MCで18.1%,ACで6.6%,SK-SDで 濃 度 が 最 高 値 を示 した 例 が 多 く,CPで 15.3%の で は 同 じ くACに,PE-PCで 上 昇 例 が 認 め られ た。 併用 で 喀疾申 はACに,TC は、SK-SDに 最高値 を示 CHEMO[『HERAPY vOL.14NCL5 表6喀 抗 物 生 質 喀疾融 解 剤 BR 疾 融 解 剤 の 併用 に よつ て喀 疾 中濃 度 が 最 高 値 に な つ た 症 例 EM 300mg内 CP 500mg内 服 最高 値 服 最高値 Tota1 12・2・5・6 1{弐219 SK-SD 213.315 1327・2・ 163…2・ 163…2・ 第4章 最高値 142・ Tota1の 選 択 に つ い て の色 々の条 件 の中 に, 病 巣 へ の 薬 剤 到達 も1条 件 と して 加 え られ るべ ぎで,肺 感 染 症 の 場 合 に は そ …6 11の1つ 436.3 ・ の 指標 と して 喀 疾 中 薬 剤 濃度 が 考 え られ,河 盛2)も この 点 を指 摘 して15 2ユ3.3 16.615 13中 5'38.5 い る。し か し種 々の 薬 剤 に つ い て喀 疾 濃度 を測 定 した 報 告 は少 い 。 MAy3)ら 表7喀 喀疾性状 疾 性 状 と喀 疾 融 解 剤 の 関 係 膿 性 喀 疾 2<躍 μ ・-2躍 2<誰 Tota1 Nα1% Tota1 恥 【% よ る と,喀 疾 中濃 度 は 血 中濃 度 及 び 喀 疾 量 とは一 一定 の相 関 関係 は な く,喀 疾 性 状 との関 係 に 重 要 な点 を見 出 して い BR2472474227。313。727 る。即 ち,喀 疾 が 膿性 の場 合 は喀 疾 中37 8.1 MCIS2…25・2382・3・53 AC162・ に、 つ いてAmpicillin 喀 疾 中 濃 度 を測 定 して い るが,そ れ に μ ・-2躍 μ Ml% あ 慢 性 気 管 支 炎 を治 療 した際 に,27例 粘 液 性喀 疾 卸 は 半 合成Penicillinで るAmpicillinで " 喀疾融 解 剤 Nα1% 総 括 な らび に 考 按 感 染 症 の治 療 に 際 して は,抗 生 物 質 N・ ・)%e 423.517 0016 抗 生 剤 濃 度 の 上 昇 を 多 く示 した。 服 Tota1 N・ ・1% 1423・S・7 支 炎,気 管 支 拡 張 症 に おい て,喀 疾 中 PE-PC 400,000u内 服 最高 値 N・ ・1% i2m・8 AC TC 500mg内 Tota1 N・ ・1% 00ユ8 MC 389 ・44・4・228162・ 濃 度 は高 く,粘 液 性 の場 合 に は 低 い こ とを指 摘 し ,云 い か えれ ば 感 染 が 軽侠 28 ・44・4・2 SK-SD410.2410。239314.20 21し 0 て い くに つれ て喀 疾 中濃 度 の 低 下が み られ た と して い る。私 の 成 績 で も, 表8疾 疾 患 肺 結 核 Total ・ Mcl5・3・ ・3 AC Tota1 Nα1% Nα1% 12な 18 7・8381422・2… 611.147.454628.40 SK-SDOO310.329622.21 み られず,MAYら の指 摘 す る ご と く 薬 剤 が喀 疾 中に 排 泄 され る過 程 は,単 8.3 …657}・&3・ この 傾 向 が 強 か つ た。血 中 濃 度 との関 係 も同 様 で,相 関 関 係 が 2<欝cc・-2躍/cc Nα1% BR135・ EM,TCで 非結核性呼吸器疾患 2〈 誰/cc・-2躍/cc 喀疾融 解 剤 Nα1% 膿 性 喀 疾 で高 濃 度 の もの が 多 く,特 に 患 別 に み た喀 疾 融 解 剤 の 影 響 0 21テ 3.7 27も る拡 散 で は な く・ もつ と能 動 的 な も の と考 え られ る。 買 手4) は 抗 生 剤 の臓 器 内 濃 度 を ラ ヅ を用 い て 検 討 し ,血 漿 中濃 度 の 高 い のが 必 ず し も臓 器 内濃 度 が 高 い とは か ぎ らな い こ とを指 摘 し,肺 組 織 内 濃 した例 が 多 い。 恥 度 に 関 し て は,高 濃 度 の 順 に 抗 生 物 質 を 挙 げ る と,CP> EM>TC>PE-PC>TCと 喀 疾 性状 と喀 疾 融 解 剤 の関 係 喀 疾 の性 状 に よつ て,喀 疾 融 解 剤 の 効果 が 異 な る こ と な る こ とを 述 べ て い る が, 私 の 喀 疾 中 濃 度 の 成 績 で は,EM>CP>PE-・PC>TCの が考 え られ るの で,喀 疾 中 抗 生 剤 濃 度 に 関 して,そ の 効 順 な い し は,CP>EM>TC>PE-PCの 果を 比較 し表7に 示 した。BR,SK-SDは 粘液性喀疾 り,い にお いて わ ず か に効 果 が 優 れ て お り,MCは 膿性喀疾に に 際 し て 考 慮 さ れ て も よ い か と思 わ れ る。 おい て上 昇 例 が多 く,ACは い ず れ に お い て も同 率 で あ つたo つ れ もEM,CPが 順 に な つ て お 高 濃 度 で あ る点 は,臨 喀 疾 中 抗 生 剤 濃 度 の 時 間 的 経 過 に つ い て は,西 Kanamycin,Penicillin(以 iii)疾 愚 別 に み た 喀疾 融 解 剤 の影 響 racyclin・eに 肺結核 患 者 喀疾 と非結 核 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 の 喀 疾 につ れ に よ る と,Kanamycin19筋 い て,喀 疾 融解 剤 の影 響 を み る と表8に 示 す ご と く,ど 遡 は1時 の喀 疾融解 剤 も非 結 核 性 呼 吸 器 疾 患 ,す な わ ち慢 性 気 管 sE;25,1mcglccで 下,PCと 床投与 川5)が 略 記) ,Oxytet- つ い て 検 討 し た 成 績 を 報 告 し て い る が ,そ 間 後 が 平 均9・6mcg/cc,2時 肉 内注 射 後 の 喀 疾 中 濃 間後 が 最 高 で 平 そ の 後 は 減 少 し て い る。Pc200,000u CHEMO「rHERAPY 390 筋 肉 内注 射 後 の 喀 疾 中 濃 度 は1時 で 最 高 値 を 示 し,3時 は 胸 膜 炎 にSK-SDを 間 後 が 平 均o・8u/cc 間 後 は 平 均0.03u/ccと る。ま たOxytetracycline250mg静 SEPT.1966 なつてい 脈内注 射 後 の喀 使 用 し,血 液 凝 固 防 止 作 用及 び線 維性 滲 出 物 の 溶解 作 用 に よ り臨 床 効 果 が 優 れ て い る こと を報 告 して い る。 今 まで 述 べ た ご と く,BR,MC,AC,SK-SDの 疾 中濃 度 は,や は り1時 間 後 が 最 高 で 平 均13・1mcg/cc 臨床 とな つ て お り,以 後 は 漸 減 して い る。私 の 場 合,CP,TC, 方面 へ の応 用 が優 れ た効 果 を もた らす こ とは,種 々の研 PE-PCで 究 に よ り朗 らか で あ るが,抗 生 物 質 との 併用,特 に喀疾 は2時 間 後 が 最 高 値 を 示 し,1時 間 後 は,ほ ぼ 同値 を示 した。EMで 間 後 と3時 は3時 間 後 が最 高 値 を 示 して お り,抗 生 剤 及 び 投 与 方 法 を 異 に して は い る が, の で,私 は肺 感 染症 の治 療 に際 して 抗 生 剤 との併 用で相 乗的 に働 くか,ま た は拮 抗 す る か に つ い て,喀 疾 中薬剤 経 口投 与 で は濃 度 の上 昇 が 遅 れ る様 に 思 われ る。 酵 素 剤 を臨 床 的 に応 用 す る こ とは,以 前 か ら盛 ん に 行 なわ れ て お り,近 年 比 較 的 純 粋 な酵 素 製 剤 が 新 しい 分 野 に 利 用 され,そ 中濃 度 に 与 え る影 響 に 関 して は報 告 は 殆 ん どみ られ ない の有 用 性 が 認 識 され る様 に な つ た。蛋 白 濃 度 の 薗か ら検 討 した。 表3に み られ る ご と く,平 均 値 の 上 で は,EMの BR,MC,SK--SDの 分 解 酵 素 は,炎 症 や 浮 腫 を 主 症 状 とす る疾 患 に効 果 が あ 度 の 上 昇 が み られ て お り,CPで る と云 わ れ て お り,MARK6)は 用 で 上 昇 し,TCで 結 核 性 胸 膜 炎 に も有効 で あ る こ とをi報告 してい るoま たCOHEN7)ら,BEILER8) はBR,SK-SDを 場合 併 用 で 単独 投 与 に く らべ て喀 疾中濃 はACの はBR,MC,ACの 併 併 用 の場 合 に,PE-・PCで 併 用 した場 合 に上 昇 が み られ て いた。 らに よ る と,蛋 白分 解 酵 素 は 組 織 の 透 過 性 を た か め る こ また 他 の組 合 せ に お い て も表5に 示 され るご と く,個 々 と に よつ て浮 腫 を 抑 制 し,炎 症 を 緩 解 す る と報 告 して い の症 例 に つ い て は上 昇 した もの は み られ る。即 ち,EM るo とAC,CPとSK-SD、TCとSK・-SD,PE-PCとMC, BRは ハ ワイ産 バ イ ナ ツプ ルAnanascomosusvar. ACの cayenneの 茎 汁 か ら抽 出 さ れ た蛋 白 分解 酵 素 で,DiDI- SHE1M9)ら は、fibrin◎genelyticな 作 用 は 弱 く,fibrin。- 組 合 せ で も2mcg/cc,2u/ccな い しは それ 以上 の上 昇 を示 した も のが あ り,こ れ らの組 合 せ は不 適当 で あ る とは言 え な い様 で あ る。た だTCの 場 合 にはBR, 1yticな 作用 が 強 い こ とを 認 め て お り,MOSSlo)ら は犬 MCで に つ い て,脊 髄 液 へ のPCの 影響 疾 中濃 度 が 喀 疾 融 解 剤 の併 用 に よつ て 上 昇 した例 の中か を 検 討 し,PC単 浸達 に 及 ぼ すBRの 独 の場 合 よ り,BRとPCの 合 が,脊 髄 液 中 のPC濃 NEUBAUER11)に 併 用 の場 度 が 高 かつ た と報 告 して い る。 よ る と,炎 症 及 び浮 腫 を 主 症 状 とす る種 々の 疾 患 に,PC,CP,EMな ど の抗 生 物 質 とBRを 上 昇 を 示 した 症 例 は1例 ら0か ら2mcg/cc又 てみ る と,表4の ず,CPの も認 め られ な か つた。喀 は2ulcc以 ご と く,EMに 上 に な つ た例 を とつ お い て は1例 もみ られ 場 合 に はMC,ACで35.2%,25.O%eと く証 明 され,TC,PE-PCに 併 用 投 与 し,症 状 の軽 快,入 院 期 間 の短 縮 な ど の著 しい に お い てか か る症 例 が1例 効 果 を収 め た と報 告 し,抗 生 物 質 を適 用 す る場 合 に は 酵 Omcglccの 素 剤 を併 用 す べ き ことを 強 調 して い る。 め て い る こ とに よ る もの と考 え られ る。CPで PALMER12)ら は慢 性 気 管 支 炎 患 者 にMCを 投 与 し, 多 も僅 か に 認 め られ た。EM もみ られ ない のは,も ともと 症 例 が 少 く,単 独 投 与 でか な り高 濃 度を認 は単独投 与 で も喀 疾 中 に 高 濃 度 に 証 明 され,喀 疾 融 解 剤 の併用に 咳 漱,喀 疾 の減 少 が 著 明 で あつ た こ とを認 め,MANN18) よつ て,更 に 濃 度 上 昇 を きた した 例 が 多 い の で,EMと らも 同 じ く慢 性 気 管 支 炎 患 者 に 使 用 した 経 験 か ら,抗 生 共 に 肺 感 染 症 の 治療 に 際 し て は,有 剤 との併 用 投 与 が 有 効 で あ る と述 べ て い る。 る。TC,PE-・PCは ACは ア ル カPtイ ドVasicineを 基 礎 と して 開 発 さ れ た ベ ンチ ル ア ミ ン系 に属 す る と 化 合 物 で,ENGELHO・ RN14)ら ・ に よ る と優 れ た独 疾 作 用 と共 に,粘 液 融 解 作 用 が あ る こ とが報 告 さ れ て い る。 SK及 びSDは 物 質 で,SKは リ ンの 有 す る線 維 素 溶 解 物 質 を賦 活 す る触 媒 で あ り,SDは 酵 素 で あ る。柴 田15)ら は,SK-SDの リボ核 酸 分 解 膿汁固形物融解作 用,血 液 凝 固防 止 作 用,血 餅 融 解 作 用 を証 明 し,さ らに PCの 滲 透 性 抗 菌 力 に及 ぼ す 影 響 を重 層 法 を 用 い て検 討 し,SK-SDの 併 用 で 著 しい抗 菌 力 の増 大 を 認 め た と 報 告 して い る。MILLERI6)ら 融 解 剤 の 併 用 に よつ て も上 昇 の 程 度 が 少 い 様 で あ るが, 中セ こは高 濃 度 を 示 した 例 もあ るの で,症 例 を選 んで使用 す るな らば,喀 疾 中 濃 度 に 関 す るか ぎ り効 果 は あ るもの と思 わ れ る。 共 に β溶 血 性 連 鎖 球 菌 か ら産 生 され る 人 血 清 中 の オ ィ グ=ブ 利 な 薬 剤 と思わ れ 単 独 投 与 で喀 疾 中 濃 度 が 低 く,喀 疾 は 各 種 感 染 症 に,TILL,ET1η ら 抗 生物 質 と喀 疾 融 解 剤 の 併 用 に よつ て,喀 疾 中濃度が 最 高 に な つ た 例 を とつ て み る と,表6に 示 さ れ る 様に EMとSK-SD,CPとAC,TCとAC,PE-PCとSKSDの 組 合 せ に 多 くみ られ て い るが,他 の組 合 せ に も最 高 値 を示 した 例 は あ るの で,一 概 に は 断 定 出 来 ない。 喀 疾 中濃 度 に 関 す るか ぎ りで は,ど の 抗 生物 質 とどの 喀 疾 融 解 剤 の組 合せ が,優 れ て い る と断 定 は 出来 ず,ま た必 ず併 用 した 方が よい とは 言 い 得 な い が,或 る程度の VOL・14NO・5CHE∼IOTHERAPY391 5)喀 臨 床的 効果 の期 待 出 来 る例 が あ る と考 え る。 喀 疾融 解 剤は そ れ ぞ れ 作 用 機序 を異 に して お り,喀 疾 姓 状 との関係 は 差 が あ る もの と考 え られ る。表7で は喀 疾 融 解 剤 の併 用 で,喀 疾 中濃 度 が 上 昇 した例 が 証 明 され た。 6)喀 疾 融 解 剤 は,膿 性 喀 疾,粘 液 性 喀 疾 いず れ に お 疾 性状 に よ り濃 度 上 昇 の 違 い を み た も の で あ るが,AC い て も喀 疾 中濃 度 の上 昇 を きた した が,個 では膿性,粘 液 性 い つ れ の喀 疾 に お い て も,同 率 に 効 果 と喀 疾 融 解 剤 の組 合 せ に よ り,そ の 頻 度 に 多少 の差 が あ を示 してお り,MCは つ た。 思 われ る。ACは 膿 性 喀 疾 にお い て効 果 が あ る様 に 酵素 的 作用 よ りは,む しろ核 疾 作 用, 7)一 々の抗 生 物 質 般 に喀 疾 融 解 剤 に よ る喀 疾 中 濃 度上 昇 は,肺 結 気管支 拡 張作 用 に優 れ て お り,い つ れ の喀 疾 で も同 率 に 核 よ り も慢 性 気 管 支 炎,気 管 支 拡 張 症 に おい て よ り多 く 効果 を認 め た こ とは,こ の作 用 に よ る も の と考 え られ 認 め られ た。 る。MCは 膿 性 喀 疾 に お い て効 果 的 で あ るが,cysteine (本論 文 の要 旨 は第7回 が,損 傷 部組 織 に集 積 され 易 い こ と と考 え 合 せ て 理 解 さ 総 会 お よび第5回 れ るもの と思 う。BR,SK-SDは た。) 共 に蛋 白 融 解 酵 素 で あ り,膿 性 及 び粘 液 性喀 疾 の いつ れ に も効 果 が あ る もの と 考 え られ るが,僅 か に 粘 液性 喀 疾 に お い て 喀 疾 中濃 度 が 稿 を 終 るに あ た り,終 始 御 懇 切 な る御 指 導 な らび に 御 校 閲 を 賜 わ つ た恩 師 河 盛 勇 造 教授 に謝 意 を 表 し ます。 文 上昇 した 例 が多 か つ た。し か しこれ は 殆 ん ど差 が な い と 考 えるぺ きと思 う。 1)鳥 疾患 別 に喀 疾 融 解 剤 の影 響 を み る と,慢 性 気 管 支 炎, 気管支 拡張 症 な ど非結 核 性 呼 吸 器 疾 患 で 効果 が大 き い様 であ り,肺 絹 織 に 病巣 が あ る場 合 よ りも気管 支 に病 巣 の 大半を 占 め る疾患 で効 果 的 に 働 く こ とが考 え られ る。 今 さ らに症 例 を 増 し,他 の 抗 生物 質 に つ い て も,又 投 与 方法 な どを 変 え て検 討 す る必 要 が あ る が,呼 吸 器 の非 2)河 3) 4)買 5)西 6) 7) 8) 結核 性感 染 症 に対 す る抗 生 物 質療 法 の効 果 増 強 お よび そ の予測 に,こ の様 な喀 疾 中 濃 度 の観 察 並 びに 喀 疾 融 解 剤 9) 併用 の臨 床 的 意義 は,無 視 出 来 な い も の と考 え る。 第5章 1)パ 摘 10) 要 パ イ ンに よ る喀 疾 の 消化 な らび に 鳥 居 氏 の 重 層 11) 法 によ り,抗 生 物 質 喀 疾 中 濃度 を測 定 し うる こ とを 確 か め,EM,CP,TC,PE-PCに つ い て 喀 疾 中 濃 度 を 測定 し, 喀疾 融解 剤 に よ る影 響 も合 せ て検 討 した。 2)抗 生物 質 喀 疾 中濃 度 は血 中 濃 度 とは 相 関 関 係 は な く,膿 性 喀疾 にお い て高 濃 度 の も のが み られ た。 3)4抗 生 物 質 の 中で,EM,CPが 4)投 PCで 12) 13) 14) 喀疾中に高濃度に 15)柴 証 明 された。 与 後3時 間 ま で測 定 した 結 果 で は,TC,CP,PEは2時 間 後 が もつ と も高 値 で,EMで 、 が 最高 値を 示 した 。 は3時 間後 日本 化 学療 法学 会 西 日 本 支 部 日本 胸 部 疾 患学 会総 会 に おい て 発 表 し 16) 17) 献 居 敏 雄,他.J.Penicillin1(5):281,1948. 盛 勇 造,他.綜 合 臨牀14,229,1965. 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