PEN March - PENGIN

Public Engagement with Nanobased Emerging Technologies
N E W S L E T T E R
PEN March
PEN
ISSN 2185 - 3231
March 2011
Volume 1, Number 12
1
PEN March
Table of Contents
海外情報………………………………………………………………… 3
国内情報………………………………………………………………… 7
寄稿 nano tech 2011 における NBCI の活動ご紹介………………… 9
Column ケータイ……………………………………………………… 10
特集 第 4 期科学技術基本計画の施行を控えて…………………… 11
寄稿 常磁性金属内包フラーレン誘導体の電荷輸送特性………… 13
連載 環境規制 第 11 回…………………………………………… 14
Cutting-Edge Technologies
プレスリリースより………………………………………………… 16
豊蔵レポートより………………………………………………… 24
寄稿 国際シンポジウム 「ネオバイオミメティクス II :
ソフトマテリアルとやわらかいロボット」 開催…………………… 31
Column 旅する蝶 アサギマダラ……………………………………… 35
イベント案内…………………………………………………………… 36
News Pod …………………………………………………………… 38
編集後記 ……………………………………………………………… 39
Cover:コミミズク
湖や川の岸部に広がる開けた草地などに暮らす、全長 40cm 程度の
フクロウの仲間です。日本には越冬のために飛来します。頭頂部に
ある ” 羽角 ” と呼ばれる耳のような羽が、小さいことが名前の由来
です。夜行性ですが、夕方の比較的明るい時間帯にも狩りをするた
め、他のフクロウ類に比べて目に留まりやすいようです。
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PEN March
海外情報
【中国、成長戦略】
中 国、 研 究 開 発 費 支 出 の GDP 割 合 を 2.2 % ま で 高 め る
(2011.3.5)
中国網日本語版(チャイナネット)は、5 日午前 9 時に人
ルの金属酸化物の毒性を導き出す手法を開発した。研究
グループは、実験を元に信頼性の高いモデルを編み出し、
実際に 17 種類の金属酸化物ナノ粒子について信頼できる
データを得た。
http://icon.rice.edu/details.cfm?rid=48728
民大会堂で開幕した第 11 期全国人民代表大会第 4 回会議
を速報した。このなかで温家宝首相は
「第 12 次五カ年計画」
要綱の草案について報告を行ない、科学技術革新システム
と支援政策を完全なものにし、重要な科学技術の新たな進
展を力強く促すと述べた。また、研究開発費支出の GDP
に占める割合を 2.2%に高め、科学技術の成果の生産力へ
【EHS、医療応用】
統 計 解 析 手 法 を 利 用 し、 ナ ノ 粒 子 の 医 療 応 用 を 支 援
(2011.3.4)
英国のスウォンジー大学とカーディフ大学の研究者が、こ
のより円滑な転化を促進すると述べた。
れまでよく分かっていなかったナノ粒子の細胞での動態や
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0306&f=politi
細胞分裂時の分配について、ナノ粒子を付加したエンド
cs_0306_004.shtml
ソームを用いた試験の統計解析によって明らかにした。研
究グループは、細胞分裂時のナノ粒子の分配はランダムで、
【EHS、構造活性相関】
ナノ材料の毒性をシミュレーションで予測(2011.3.4)
化学物質の毒性試験には時間やコストがかかるため、シ
ミュレーションにより毒性や環境影響を予測する方法の
開発に期待がかかっている。米国ミシシッピ州のジャクソ
非対称であることから、細胞ターゲッティングは本質的に
不正確であるという。しかし、統計解析モデルによって治
療や毒性試験に必要なナノ粒子の量を算出できるとしてい
る。
http://icon.rice.edu/details.cfm?rid=48727
ン州立大学、ポーランドのグダニスク大学、イタリアの
Mario Negri 薬学研究所の研究者らが、定量的構造活性相
関(QSAR)を援用し、構造的に類似する様々なナノスケー
3
PEN March
【EHS】
し、しっかりしたリサイクルプロセスを構築すべきと主張
カモフラージュによってドラッグデリバリを妨げる免疫反
している。
応を回避(2011.3.1)
http://www.ap-foodtechnology.com/Packaging/Assess-risk-from-nano-
ナノテクノロジーの医療応用の課題の一つに、免疫システ
pollution-and-antimicrobials-in-packaging-IFST
ムがナノサイズの医薬品を異物と認識し、医薬品がター
ゲットの病変細胞や組織を外れてしまうことがある。コペ
【政策】
ンハーゲン大学、ブライトン大学、デンマーク工科大学の
フランスの NGO、ナノテクノロジー研究は適切な指針な
3 大学の共同研究チームは、ナノ粒子表面のコーティング
しに進んでいると批判(2011.2.24)
が免疫反応の活性化に大きな影響を及ぼしており、ナノ粒
子表面のデザインを工夫することが重要だとする研究結果
をまとめた。研究グループは、水溶性ポリマーでコーティ
ングしたナノ粒子では免疫反応が起こらないという試験結
果も得ている。
フランスの環境 NGO の 4 団体が、ナノテクノロジーの研
究開発が適切な方針が定められないまま進んでいると批判
している。4 団体は政府に対して、2009 年と 2010 年に
公開討論全国委員会(CNDP)が開催した公開討論会でな
された議論に対して早急に何らかの回答を出すように求め
http://news.ku.dk/all_news/2011/2011.3/researchprovidesnewfindingson
ている。また、ナノテクノロジー研究開発についての恒久
drugdelivery/
的な議論の場の設置も必要だとしている。
http://www.nanoforum.org/nf06~modul~showmore~folder~99999~scc~ne
ws~scid~4198~.html?action=longview&
【国際連携】
ナノテクノロジーによる途上国支援における課題
(2011.3.1)
国際食糧政策研究所(IFPRI)は、
「貧困層のためのナノテ
クノロジーの農業、食品、水への応用」と題するレポート
を公表した。どのような方法でナノテクノロジーが生産性
や食品の品質の向上、安全な水の確保、栄養状態の向上を
はかり、貧困層の支援に貢献できるのかについてまとめら
れている。重要な課題として IFPRI は、経済的に余裕のな
い国々にとってコストの高いナノテクノロジーが問題の解
決にとって有用な手段だとしても、実際には利用すること
ができない可能性を指摘している。
粒子サイズ分析のための世界初の認証標準物質公開
(2011.2.21)
欧州員会(EC)共同研究センター(JRC)の標準物質及
び計量技術研究所(IRMM)は、世界初となる認証された
ナノ標準物質を公開した。公開された標準物資は、直径
20nm のシリカナノ粒子で、欧州、米国、アジアの 11 カ
国 33 の研究機関が協力して作製したものである。IRMM
は、認証済の標準物質は、有害性評価研究の信頼性を高め
ることはもちろん、産業化の促進にもつながると期待して
http://www.nanotechia.org/global-news/nanotechnology-for-poor---ifpri-
いる。
evaluates
http://www.irmm.jrc.be/news/Pages/1102_nano_CRM.aspx
【EHS、食品】
4
【ナノ標準物質】
【EHS】
IFST、食品包装材の長期的なリスクを指摘(2011.3.1)
ニューヨーク州立大学、EHS 研究に乗り出す(2011.2.18)
英国の食品科学技術研究所(IFST)は、欧州食品安全機
米国ニューヨーク州立大学アルバニー校は、主として半導
関(EFSA)が 2011 年 1 月に公表した食品・飼料へのナ
体産業関連企業を連携相手とし、州都アルバニー郊外に
ノテクノロジー応用に関するガイドラインへのコメントと
10 年前から研究拠点を作ってきた。このほど半導体メー
して、食品用包装材から剥がれ落ちて環境に放出されるナ
カ SEMATECH と協力し、新たに環境・健康・安全の課題
ノ材料のリスクについて調査研究を深めるよう呼びかけて
(EHS)に取り組むセンターが拠点に設置された。5 年間で
いる。IFST は、食品包装材に用いられている低量の抗菌
1000 万ドルの予算を予定している。新センターは、労働
材料が、菌の抗菌剤への耐性を高め、より重要な医薬品応
衛生、EHS、省資源、プロアクティブな研究開発を柱とする。
用に悪影響があるのではないかと懸念している。また、ナ
http://newhavenindependent.org/index.php/archives/entry/ualbany_
ノサイズの銀粒子の環境中への蓄積の可能性について検討
launching_nanohealth_and_safety_center/
米 国 NGO、TSCA に ナ ノ 材 料 対 応 の 項 目 の 追 加 を 提 案
(2011.2.18)
【EHS、リスク管理、研究開発】
EPA、新規に 550 万ドルをリスク評価研究の支援に配分
(2011.2.17)
米国の NGO の 3 団体は、ナノテクノロジー研究開発の管
米国の環境保護庁(EPA)は、レギュラトリサイエンスに
理にかかわる米国の既存の法令について検討を加え、環境
関する 3 つのコンソーシアムに対して計 550 万ドルの研
保護庁(EPA)が所管する有害物質規制法(TSCA)について、
究予算を配分した。コンソーシアムには英国の研究機関も
ナノ材料を適切に管理するための修正を加えることを提案
参加している。本助成を受ける研究には、ナノ材料が製品
している。TSCA の問題点として、インベントリにある物
から分離する可能性や、環境や健康に有害な影響を与える
質と分子的に同一とみなされるとナノ材料であっても規制
のかを明らかにし、EPA が規制策を策定する際の科学的な
されないこと、新規重要利用規則が十分に活用されていな
拠り所となることが期待されている。
いこと、自主的報告制度がうまく機能していないことを挙
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/bd4379a92ceceeac852573590
げている。
0400c27/a9c35e55b54855a48525783a0066b29e!OpenDocument
PEN March
【リスク管理、政策】
http://www.nanotechia.org/global-news/three-musketeers-against-the-tsca
【政策、管理策】
【リスク管理】
ナノ材料の廃棄物管理策への適合性について(2011.2.18)
南アフリカ科学産業技術研究所(CSIR)の天然資源・環境
部門の研究者が、ナノ材料がライフサイクルの最終局面で
ある廃棄のステージにいたった際に起こりうる技術的、法
的な課題について検討を加え、問題の明確化のためにナノ
廃棄物の分類を試みている。また、既存の廃棄物管理策は、
ナノ廃棄物に対応しきれないと指摘している。
http://www.nanotechia.org/global-news/digging-through-nanowaste-issues
Nanowastes and the environment: Potential new waste
management paradigm, Environment International,
Volume 37, Issue 1, January 2011, Pages 112-128
ナ ノ 材 料 を 使 っ た 製 品 も EU の エ コ ラ ベ ル 認 可 対 象 に
(2011.2.15)
一定の基準を満たすと、ナノ材料を成分とする洗浄剤や潤
滑油も、環境に優しいことを示す欧州連合(EU)のエコ
ラベルを表示することが認められることとなった。EU の
エコラベル制度は、電子機器から家まで多くの製品を対
象としており、数年ごとに基準の見直しが行われる。2 月
11 日に最終版となった最新の基準で、ナノ材料が成分と
して含まれる洗剤、液体洗剤、潤滑油も一定の基準を満た
すとエコラベルを掲示することが許されるようになった。
エコラベル獲得には、REACH 規則で求められるものと同
一のデータを提出する必要がある。
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6V7X5119FWG-1&_user=10&_coverDate=01/31/2011&_rdoc=1&_
fmt=high&_orig=search&_origin=search&_sort=d&_docanchor=&view=c&_
acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=ded1a0f
4c8d5a83e7f2ab8f157fbbee3&searchtype=a
【政策】
米民主党政権、NNI 予算の確保を議会に要請(2011.2.17)
米国の民主党オバマ政権は、国家ナノテクノロジー戦略
(NNI)のための予算を盛り込んだ 2012 年度予算案を 2
月 14 日に議会に提出した。予算全体では 330 億ドルの削
http://www.rsc.org/chemistryworld/News/2011/February/15021102.asp
減が提案されているものの、NNI 予算として前年度より 2
億 1 千万ドル増えた 21 億ドルが盛り込まれている。科学
技術計画局(OSTP)によると、NNI 参加機関によってア
イコンとなる 3 つの取り組みの実施が予定されている。ま
た、環境・健康影響や倫理的課題等に配慮した責任ある研
究開発を進めることが再確認されている。
【EHS】
ナノ粒子の有害性を指摘(2011.2.15)
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 環 境 NGO で あ る Sustainability
Council の Stephanie Howard 氏は、地元紙 The Press に、
http://nanotech.lawbc.com/2011/02/articles/united-states/federal/
ナノテクノロジーの安全性に関する研究は製品化に大きく
president-obama-requests-additional-funding-for-nni/
後れをとっていると語った。また、ニュージーランドで
は、ナノ材料を成分とする多くの化粧品やトイレタリ製
5
PEN March
品類が流通しているが、成分表示は義務付けられておら
EPFL は、労働衛生、保険、EPFL の研究者、ナノ粒子の製造・
ず、適切な規制がされているとは言い難いとも述べてい
利用、政府の経済政策の専門家を集めて「ナノ安全チー
る。Howard 氏は、ニュージーランド政府にはナノテクノ
ム」を立ち上げた。チームはさらに外部の専門家の意見
ロジーを適切に管理するための政策と法制度を整備する
も入れて、研究施設向けのナノ材料取扱方法をまとめた。
国の先駆けとなるチャンスがあるにもかかわらず、その
EPFL の提案する方法では、研究施設は 3 段階のハザード
ような行動をしていないと批判している。
レベル分類され、各レベルに合った保護手法・保護具の
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-wire-
一覧を参考にして必要な対応をする。これらの対応を取っ
news/1360053484.html
たうえで、各施設は必要に応じ労働衛生の専門家の助言
を受けることも検討すべきとしている。
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=20118.php
【国際連携】
OECD、2006 年からの 5 年間の取り組みをまとめたレポー
ト公表(2011.2.14)
パリの経済協力開発機構(OECD)の工業ナノ材料作業部
会(WPMN)は、2006 年以降、加盟各国における適切
な工業ナノ材料の管理のための取り組みを支援している
が、このほど、2010 年までの 5 年間に実施された取り組
みをまとめたレポートを公表した。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20124.php
【政策】
NNI、2011 年度戦略を公表(2011.2.9)
米 国 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 戦 略 イ ニ シ ア チ ブ(NNI) は、
2011 年度のナノテクノロジー政策 2011 NNI Strategic
Plan を公表した。2007 年版で設けられた 4 つの国家目
標と 8 つのプログラムコンポーネント領域に変更はない。
ただし各目標で達成すべき詳細な項目が明示されている。
http://nanotech.lawbc.com/2011/02/articles/united-states/federal/nnireleases-2011-strategic-plan/
【リスク管理、ナノ材料リポジトリ】
EC、工業ナノ材料リポジトリの運用を開始(2011.2.14)
欧州委員会(EC)の共同研究センター(JRC)は、ナノ材
料データを体系的に収載する工業ナノ材料リポジトリの
運用を開始した。EC は、工業ナノ材料リポジトリは安全
性評価への取り組みを前進させ、製品化の支援と消費者
の保護に貢献するものと位置付けている。リポジトリに
は、カーボンナノチューブ、銀ナノ粒子、酸化亜鉛、二
酸化チタン、酸化セリウム、金など 25 種類の標準物質が
収載されている。
http://ec.europa.eu/dgs/jrc/downloads/jrc_20110214_newsrelease_
nanorepository_en.pdf
【リスク管理】
研究室での実際的なナノ材料の管理方法(2011.2.14)
スイスのローザンヌ工科大学(EPFL)は、大学の研究室
向けの実際的で使いやすいナノ材料管理方法を提案すべ
く、取り組んでいる。EPFL は、取り組みの背景を次のよ
うに説明している。現時点で入手できるナノ材料の有害
性データは、正確なリスク評価に基づく十分なものでは
ないが、ナノ材料によって健康に影響がある可能性が指
摘されているのは事実であり、その管理に予防的に取り
組む必要がある。また、伝統的なリスク評価手法はコス
トがかかりすぎ、既存のナノ材料管理方法は大規模研究
施設にはあまり向いていない。
6
PEN March
国内情報
政治主導の科学技術関連予算
行われた。
3 月 9 日付毎日新聞
「霞が関ウォッチャー」
は、
科学政策「壁」
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1302920.htm
崩す、と題して総合科学技術会議議員の相沢益男・元東京
工業大学長のコメントを取り上げた。この中で相沢議員は、
来年度予算策定において、総合科学技術会議が地球温暖化
国大協、不正行為の最大限の再発防止措置を宣言
と少子高齢化の 2 大課題を「アクションプラン」として設
社団法人国立大学協会は 3 月 2 日の総会で、京都大の前
定し、政治主導でこれらの予算が増額した実績を強調した。
期日程試験の入試問題がインターネット上に投稿されたこ
とについて、入試の公平性、信頼性を損なう由々しき問題
であると断じた。12 日以降に実施される後期日程試験に
人工視覚装置
向け、監督を強化するなど、各大学の実情に応じた現時点
3 月 9 日付日経産業新聞は、奈良先端科学技術大学院大学
での最大限の再発防止措置を講ずることを宣言した。
と眼科医療機器のニデックが、人工視覚装置を試作し、動
http://passnavi.evidus.com/teachers/topics/1103/0302.pdf
物実験で効果を確認したことを伝えた。
バイオサイエンスデータベースセンター設置へ
情報モラル教育の必要性強調
科学技術振興機構 (JST) はバイオインフォマティクスの発
3 月 4 日に行われた髙木義明文部科学大臣の定例記者会見
展とそれを基盤とした新しい生物科学の創造を目指し、当
において、記者からは京都大などの入試問題がインター
時の科学技術会議の答申に基づいて、平成 13 年度にバイ
ネットの質問サイトに投稿された事件が集中的に質問さ
オインフォマティクス推進センター(BIRD)を設置した。
れた。高木文部科学相は、今回の事案をネット社会の思い
バイオインフォマティクスの創造的な研究開発や、生命情
がけない大きな事件とし、
「科学技術の進歩が国民の安心、
報データベースの高度化や標準化を支援し、またこれに携
安全につながるようにしなければならない。教育の場でも
わる人材の育成を図るなど様々な事業を展開してきた。2
その辺をしっかり周知徹底したい」と語った。またこれに
月 16 日付日刊工業新聞によると、JST は 4 月 1 日「バイ
先立ち、3 月 3 日には鈴木寛文部科学副大臣の記者会見が
オサイエンスデータベースセンター」を設置、文部科学、
7
PEN March
経済産業、農林水産、厚生労働の4省が所管する関係機関
訃報:本多健一氏
などに分散している約 300 の関連データベースを統合的
3 月 4 日付新聞各紙は、東京大名誉教授で日本学士院会員
に利用できるようにする。
の本多健一氏が 2 月 26 日に 85 歳で逝去され、近親者で
http://www.prime-pco.com/7th-bird/
密葬が執り行われたことを報じた。氏は 1967 年、現東京
理科大学長藤嶋昭氏と共に、
「本多・藤嶋効果」と呼ばれ
ている二酸化チタン光触媒能を発見、今日様々な応用が展
炭素繊維は車体軽量素材の主力となりえるか
みずほ情報総研 CSE ニュース年 2 月 15 日付は、低炭素社
会実現に向けて開発が加速する自動車業界と題して炭素繊
維の応用展開を取り上げた。自動車業界の現状、炭素繊維
の現状、構造材への適用展望が簡潔にまとめられている。
また経済産業省審議会・研究会資料「自動車産業を巡る現
状と課題」、「炭素繊維協会資料」
、
「NEDO の自動車軽量化
炭素繊維強化複合材料の研究開発」といった付帯資料も充
実している。
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/2011/0215.html
国際水素・燃料電池展「FC EXPO2011」開催
3 月 3 ~ 5 日、東京ビッグサイトで FC EXPO2011 が開催
された。モバイル機器充電用の小型燃料電池、高電圧リチ
ウム電池、プラグイン・ハイブリッド電気自動車用リチウ
ムイオン電池など、注目のエネルギーデバイスが出典され
た。荷台にボンベを積載して燃料電池を稼働させる水素自
転車等の出典も注目を集めた。
http://www.fcexpo.jp/
コンペット CS-10A 情報処理技術遺産に
シャープが世界に先駆けて商品化した電子式卓上電卓「コ
ンペット CS-10A」が、日本の情報処理技術の発展を示す
歴史的文物として、一般社団法人情報処理学会より『情
報処理技術遺産』に認定された。1964 年発売時の価格は
535,000 円。当時の 1,300cc クラスの一般乗用車とほぼ
同等の高額な商品で、英国の大英科学博物館にも永久保存
されている。
コンペット CS-10A、シャープホームページより
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/110223-a.html
8
開しつつある。
ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI) 事務局
2011 年 2 月 16 日(水)~ 18 日(金)の 3 日間、
東京ビッ
シーズ&ニーズセミナー会場では国内外の厳選企業によ
グサイトにおいて「第 10 回国際ナノテクノロジー総合展・
るナノテクノロジー関連製品・技術紹介も行い、いずれ
技術会議(nano tech 2011)
」が開催され、同時開催展と
の会場も満席となる盛況ぶりでした。
PEN March
寄稿
nano tech 2011 における NBCI の活動ご紹介
合わせて 3 日間で国内外より約 46,000 名の来場者があ
りました。
なお、17 日の展示会終了後、nano tech 実行委員会およ
び NBCI 共催により、民主党ナノテク振興議員連盟、自由
ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)は、後援
民主党ナノテクノロジー推進議員連盟、内閣府、文部科
団体のひとつとして準備段階から参画するとともに、開
学省、経済産業省、海外出展国、国内出展企業などの代
催期間中の NBCI ブースでは、ナノテクノロジーが既に身
表の方々をご招待して、国内外のナノテクノロジー関係
近なところでいろいろ使用されていることを「見える化」
者が一同に会するナノビズ・ネットワーキングレセプショ
するため、住居の中のナノテクノロジーについて省エネ
ンを開催し、盛況の内に終了しました。
ルギー(照明・ディスプレイ系)
、蓄エネルギー、快適さ、
地球環境にやさしい、安心安全に分類してパネルを展示
本件についてのお問合せは下記 URL よりお願いいたしま
しました。さらに、この中からいくつかのナノテクノロ
す。
ジー材料とこの技術を用いた製品の実物も展示しました。
また、ナノテクノロジーの英語版ロードマップの展示も
一般社団法人 ナノテクノロジービジネス推進協議会
行い、ブースには VIP も含め多くの方々にお越しいただ
http://www.nbci.jp
きました。また、
メインシアターでは「見える化」の講演、
自由民主党ナノテクノロジー推進議員連盟会長
NBCI 高橋会長(昭和電工㈱代表取締役会長、中央)によ
谷垣禎一氏(左から2人目)NBCI を見学
るレセプションでの鏡開き
9
PEN March
Column
ケータイ
ケータイで撮影された情報がインターネットに転送され、それが反政府デモにつながり、中東やアフリカ
で次々に政変が起きている。その波及を恐れて、インターネット情報をコントロールしている国もある。
日本では今月初め、大学の入学試験でのケータイの不正使用が明らかになった。大学側の狼狽ぶりは、ハ
イテク不正への対応ができていないことを露呈していた。
携帯電話と呼ばなくなって久しい。
” ケータイ” である。我々の生活に不可欠の便利で身近なコミュニケー
ションツールとして広く浸透している反面、ケータイへの依存やケータイを使った犯罪といった形でその
負の影響も顕在化している。時代を写す文化としてみると、漢字、カタカナ、ひらがな、Roman に加えて、
ケータイは “顔文字” という新しい “LETTER “も創り出している。
ところで、今年も第一生命のサラリーマン川柳優秀作品の投票が開始された。第 24 回目を数える。これ
までのサラリーマン川柳の優秀作 100 選は、「テーマ別に見るサラ川優秀作品 」として整理されており、
そのなかに「パソコン・携帯電話編」というカテゴリーがある。2008 年まではまだ「携帯」という漢字
が使われているが、2009 年以降は「ケータイ」というカタカナ表記になっている。
今年も 100 選のなかに、ケータイがないと字が書けないとか、アイパッドを指舐めしてめくるとか、スマー
トフォンが上司より頼れるといった川柳が並んでいる。生活に広く浸透している高度な技術を悪戦苦闘し
ながら使っている人たちの本音が凝縮されていて、面白い。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/index.html
10
PEN March
特集
第 4 期科学技術基本計画の施行を控えて
変革への期待
第 4 期科学技術基本計画と継承するのではなく、全く新し
い新期科学技術が新政権から示されるのではないか、当時
来月 4 月 1 日から 2011 会計年度がはじまり、管首相を議
多くの人が日本再生へ向けた科学技術政策の改革に期待を
長とする内閣府の総合科学技術会議が策定した 2016 年度
持った。スタンフォード大から学位を受けた科学者であっ
までの 5 年間の第 4 期科学技術基本計画が施行される。
た当時の鳩山首相に対する期待は、小さくなかった。
政権が交代し民主党の鳩山内閣が発足したのは 2009 年 9
科学技術創造立国という考え方は、5 年ごとに策定される
月で、2006 年 4 月に施行された第 3 期科学技術基本計画
日本の科学技術基本計画の枠組みを定めた「科学技術基本
も 3 年半が過ぎ、ちょうど次期科学技術基本計画の策定に
法」に示されている。この基本法が施行されたのは 1995
向けた議論が本格化した頃だった。早くも 2 カ月後の 11
年 11 月 15 日である。その実践のために内閣府に総合科
月には、日本学術会議の日本の展望委員会が、
「第4期科
学技術会議が設置された 2001 年のはじめにこの法律は部
学技術基本計画への日本学術会議の提言」をまとめている
分的に改正され、今日に至っている。これまで 3 期 15 年
[1]。
にわたり、この法律に基づいて科学技術基本計画が施行さ
れてきた。科学と技術を一つにした「科学技術」の振興を
100 年に一度の深刻な経済危機とまで表現されたリーマン
国の発展の礎にしようとする考えは、時代のニーズに応じ
ショックから 1 年が経過した当時、日本の経済は大きく落
て特定の研究開発領域へ戦略的集中投資を行うといった具
ち込んでいた。2002 年から 07 年にかけていざなみ景気
体的な施策により、これまで一定の成果を上げてきた。
と呼ばれる経済の拡大期があったものの好景気の実感はな
く、中長期的にみると 1990 年代初頭のバブル経済の崩壊
ただ、21 世紀に入って 10 年が過ぎた今日、科学技術を取
から続いてきた経済不況は「失われた 10 年」をとっくに
り巻く状況は激変と言ってもよいほど大きく様変わりして
通り越し、「失われた 20 年」に近づきつつあったとみて
きているし、その変化はさらに加速してきている。先月号
よい。景気が後退局面に入りそれが長く続くと、1990 年
の本誌 PEN で示したように、経済だけではなく科学技術
頃までの東西冷戦の時代に右肩上がりの日本の高度経済成
もすでに米中 2 強時代に入ってきている。今月 5 日から
長を支えてきた価値観や社会の仕組みが通用しなくなり、
始まった中国の全国人民代表大会では、将来ビジョンが具
閉塞感が覆い始めた。多くの人がその閉塞感からの脱却を
体的に明示され、それに向けた施策が議論されている。中
望んだことを背景に発足した新政権には、当然のことなが
国の国際的立場の推移だけでも、日本を取り巻く状況の大
ら様々な変革への期待が寄せられた。
きな変化を説明するには充分であろう。問題は、日本を取
り巻く状況が大きく変わってきたことではない。その大き
厳しい状況にある日本経済を抜本的に立て直していく、そ
な変化に呼応して日本が自ら変わっていかない、そのこと
の最も重要な戦略課題としての新しい科学技術振興策が打
が本質的な問題である。
ち出されるのではないか、単に第 3 期を継承発展させて
11
PEN March
2001 年はじめの科学技術基本計画の改訂に際して、その
ているものの、
「今後もグリーン・イノベーションやライ
実行を目的に内閣府に設置された総合科学技術会議の機能
フ・イノベーションを支える基盤科学技術としてのナノテ
や役割も、今日の科学技術を取り巻く状況への迅速な対応
クノロジーの研究開発を継続的に支援していく」といった
が求められており、大幅な直しが必須とされている。10
明確な政策方針を読み取ることができない。決して「もう
年後 20 年後の日本のあるべき姿やビジョンを示しながら、
ナノテクノロジーは終わりで、これからはグリーン・イノ
新しく科学技術基本計画として日本の科学技術政策を仕切
ベーションでライフ・イノベーションの時代だ」といった
り直すためには、科学技術政策の公共性をどのようにして
ようなことではないはずである。イノベーションの実現に
高めていくのか、科学技術戦略とイノベーション戦略を互
は、中長期的視点で一貫性のある科学技術政策が必要なこ
いにどのように位置づけていくのかといった、これまで充
とは言うまでもない。これまで本誌で明らかにしてきたよ
分に議論されてこなかった新しい課題を正面から捉え、科
うに、10 年間の科学技術の研究開発支援策において、ナ
学技術基本法そのものを現状に合わせて大胆に見直してい
ノテクノロジーの研究開発は特にその初期の 2003 年頃に
く必要がある。
過剰なまでの盛り上がりを見せた。今後の科学技術基本計
画において、今度は逆にナノテクノロジーの研究開発があ
まりにも軽視されることになれば、その落差はこれまでの
第 4 期科学技術基本計画へ
研究開発成果の応用・実用化への発展的継承を妨げ、結果
的にこれまでの研究開発に投入された多大な資源の損失に
今 3 月末が、3 期 15 年におよぶ科学技術基本計画の区切
なるように思えてならない。
りである。結局、政府主導で抜本的に新しい科学技術基本
計画が仕切りなおされるといったようなことにはならず、
第 4 期科学技術基本計画でイノベーションが強く意識され
来月 4 月 1 日から施行されるのは、これまでの第 1 期か
ているのは結構なことなのだが、それを支える基盤的な研
ら 3 期までの科学技術基本計画を継承発展させた「第 4
究開発の継続的支援があって初めてイノベーションに結び
期科学技術基本計画」になった。その第 4 期科学技術基本
つくはずである。科学技術基本法が目指した日本の科学技
計画にも新しい側面はある。これまでの研究開発分野の括
術創造立国という選択肢は、基礎的な知識の探求とその応
りから、課題解決型の計画へシフトする。具体的には、こ
用・実用化の両方がリンクしてはじめて実現する。科学技
れまでのように「ナノテクノロジー・材料」といった研究
術政策だけでもイノベーション政策だけでもなく、その両
開発分野への戦略的研究開発投資ではなく、グリーン・イ
方がうまくリンクしていくことが大事である。具体的には、
ノベーション、ライフ・イノベーションといった実際の社
今後基本計画を実行していくなかで、各省庁や公的研究機
会の課題を解決していく姿勢が明確に示されているのが、
関、民間、市民団体を含めた広範な議論を進め、真に公共
次年度から施行される第 4 期科学技術基計画である。
政策としての科学技術政策を立案し、どのようにイノベー
ション政策と一体に進めていくかを考える必要がある。そ
地球規模の人類全体の存亡にかかわる課題への取り組みを
のような議論を積み重ねることで我々がめざす将来の社会
前面に押し出した科学技術政策は、日本だけの独創的な科
像が具体的に見えてきて、これからの社会を担う若い研究
学技術政策ではない。地球温暖化やエネルギー、水、食料
者・技術者が元気を出してその実現に向けて新しい科学技
といった地球的規模の課題への対応を図り、科学によるグ
術の研究開発に没頭できる環境が整う。今後の科学技術政
ランドチャレンジを経済の活性化に結び付けようとする科
策とイノベーション政策の司令塔として、総合科学技術会
学技術政策は、アメリカや欧州でも具体的なプログラムと
議の活動に期待する。
して進められるようになっており、その推進のための枠組
みつくりも進められている。ただ、第 4 期科学技術基本計
画と欧米の施策との間に、一つだけ大きく異なる点がある
ように思う。
比較論になって申し訳ないのだが、欧米の科学技術支援プ
ログラムでは、様々な地球的規模の課題に取り組むグラン
ドチャレンジを支えるための科学的基盤としてのナノサイ
エンスやナノテクノロジーの研究開発への継続的支援策が
明確に示されている。これに対して、日本の第 4 期科学技
12
術基本計画の原案には、イノベーションという言葉は溢れ
[1]http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t85-1.pdf
筑波大数理物質科学研究科 博士後期課程3年 佐藤 悟
大阪大学大学院工学研究科 教授 関 修平
分子科学研究所 教授 永瀬 茂
筑波大学生命領域学祭研究センター 教授 赤阪 健
PEN March
寄稿
常磁性金属内包フラーレン誘導体の電荷輸送特性
C60 に代表されるフラーレン類は、特異なπ電子構造に由
来する種々の興味深い物理的、化学的特性を有しており、
化学、物理、医薬、材料分野など多分野で研究が進められ
ている物質群として知られている。その中でも金属内包フ
ラーレンは球面の内側に金属原子を取り込んだ特異な構造
を持つ。
[1]代表的な金属内包フラーレン La@C82(@ は
内包を示す)は内包された La 原子からフラーレンケージ
へ電子が移動し、形式電荷 La3+@C823- と記述される電子
構造を有している。La@C82 は HOMO–LUMO のエネルギー
差が空フラーレンに比べて圧倒的に小さいことに起因して
酸化還元電位が低く、空フラーレンとは大きく異なる電子
特性を有する。しかしそのような魅力的な性質を有する一
方で、扱うことができる量が少なく、また配向制御が困難
であることから固体物性に関する研究例は少ない。そこ
で我々は La@C82 の高い電子授受能に着目し、化学修飾に
より剛直なアダマンチル基を導入した誘導体(La@C82Ad、
図 1)の合成および集積化を行い、これまで未解明であっ
た金属内包フラーレンの電荷輸送特性評価を試みた。
電 荷 輸 送 特 性 評 価 は Time-resolved microwave
conductivity(TRMC)法を用いて行った。
[2]TRMC 法
はパルスレーザー照射により生成したキャリアをマイクロ
波により定量する方法であり、電極を用いない非接触の測
定法であるため、電極界面の影響を受けず様々な形態の微
量サンプルを異方的に測定できる。この測定法を用いて
La@C82Ad の単結晶やナノロッドの電荷輸送特性を評価し
た。
La@C82Ad の単結晶およびナノロッドでは、TRMC 法に
より異方的な伝導度が観測され、電子移動度μ = 10cm2
V-1s-1 という値が見積もられた。
[3]この電子移動度はこ
れまでに報告された電子共役系有機材料の中でも格段に高
い値であり、配向制御された La@C82 誘導体が非常に優れ
た電荷輸送特性を有することを示す結果である。さらに
La@C82Ad 単結晶に対してキャリア濃度定量のため接触電
極を用いた電荷積算法により I-V 特性を評価したところ、
図 1. La@C82Ad
光照射によるキャリア生成を行っていない状態においても
電流を観測することができた。すなわちこれは La@C82Ad
単結晶が導体であることを示唆する結果である。そこで密
度汎関数を用いた理論計算により、La@C82Ad 単結晶のバ
ンド構造の計算を行った。その結果、バンドギャップが
5meV と非常に小さいエネルギー差であることが明らかと
なった。そのため La@C82Ad 単結晶は有機導体としての性
質を示したと考えられる。
金属内包フラーレンは内包金属種や、フラーレンケージを
構成する炭素数および対称性の違いにより、その電子状態
は大きく異なる。有機化学的アプローチによる金属内包フ
ラーレンの配向制御により、これまでほとんど未解明で
あった金属内包フラーレンの固体物性を明らかにすること
で、金属内包フラーレンを用いた新規有機材料の開拓が期
待できる。
参考文献
[1]Chemistry of Nanocarbons; Akasaka, T.; Wudl, F.;
Nagase, S. Eds.; Wiley-Blackwell, London, 2010.
[2]有機薄膜太陽電池の最新技術 II” 関修平、佐伯昭紀、
CMC 出版、2008.
[3]Sato, S.; Seki, S.: Honsho, Y.; Wang, L.; Nikawa, H.; Luo,
G.; Lu, J.; Haranaka, M.; Tsuchiya, T.; Nagase, S.; Akasaka T.
J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 2766–2771.
13
PEN March
連載:環境規制 第 11 回
タイ、製品認証に乗り出す
これまで欧州を中心に環境規制の現状を整理してきたが、
ングには、欧州や日本など先進的な管理策を構築してい
今号ではアジアに目を向け、タイの環境規制への取り組み
る国々の協力、連携を仰いでいる。タイは、欧州の RoHS
の現状について紹介する。
指令に対応するため、国立金属・材料技術研究センター、
タイ工業連盟、電気電子インスティチュートが連携して
タイの化学物質管理策
2004 年 9 月 に ThaiRoHS Alliance を 組 織 し た。2009 年
2 月には RoHS 指令の内容を反映させた国内標準を発行し
タイの化学物質管理策は周辺諸国に比べて進んでおり、国
ている。また、関係省庁が協力し REACH 規則に対応する
家戦略としての化学物質管理策が進められている。タイの
ための REACH Watch を立ち上げ、国内の関係者間の情報
化学物質管理戦略計画は、1997 年に始まり、現在 2007
共有を図っている。したがって、将来欧州で RoHS 指令や
年から 2011 年までの第 3 次戦略計画が実施されている。
REACH 規則の対象としてナノマテリアルが取り上げられ
次期 4 年間の戦略計画は 2012 年に開始される。化学物質
る場合には、タイにおいてもこれらの枠組みを利用して速
管理戦略計画は、
「化学物質を適切に管理し、持続的開発
やかに対応が図られるものと考えられる。
及び国際競争力獲得を実現する」ために、国際的な化学物
質管理に関する戦略的アプローチ(SAICM)に沿った体系
的な化学物質管理を実施する、関係者および関係省庁間の
第 4 次化学物質管理戦略とナノテクノロジー
連携の促進、専門家の育成すなわちキャパシティビルディ
ングをはかる、市民の化学物質管理プロセスへの参加を促
PEN No.11 の 海 外 情 報 で お 伝 え し た よ う に、 タ イ は、
すことを目標としている。
2012 年に始まる第 4 次国家化学物質管理戦略計画の一環
として、ナノテクノロジーの安全と倫理の課題に取り組む
タイでは、関係者が化学物質の毒性についての正しい知識
という方針を示した。
や適切な取扱いに関する知識を持っていないことが問題と
14
認識されており、このような状況に対処するためのキャパ
タイのナノテクノロジーの研究開発においては、国家科学
シティビルディングが重要な要素として化学物質管理戦略
技術開発庁(NSTDA)管轄下の国立研究所 NANOTEC が、
計画に盛り込まれている。なお、キャパシティビルディ
研究開発を行う公的研究機関、大学、企業等の間の連携の
そこで、包括的なナノテクノロジー管理策の一環として、
ロジーの安全と倫理に取り組むための戦略計画立案でも中
台湾で 2004 年に始められたナノテクノロジー製品認証
心的役割を果たしている。2011 年 1 月 12 日に首都バン
システム nannoMark のような、製品認証システムの運用
コクで全国保健評議会が開催され、包括的なナノテクノロ
が計画されている。NanoQ と名付けられたシステムは、
ジー管理策のための戦略計画について 3 つの戦略課題を中
2011 年中の実施が予定されており、台湾の nanoMark 同
心に審議がなされた。戦略課題として、
(1)データベース
様、まずは塗料、繊維製品、トイレタリなどの日用品を対
の整備などナノテクノロジーの安全性と倫理的課題に取り
象とするものとみられる。
組むための総合的なナレッジ・マネジメントシステムの構
なお、タイは 2 月に東京ビッグサイトで開催された nano
築、
(2)規制策の策定や製品ラベルなどのガバナンスメカ
tech 2011 に出展しており、ブースの一角に掲示されてい
ニズムの確立、そして(3)情報共有の仕組みづくりなど
た資料に NanoQ の文字がしっかりと書きこまれていたが、
パブリックエンゲージメントの促進と強化の 3 つの目標が
まだウェブサイトなどは用意されていないとのことであっ
掲げられている。この目標を実現し、包括的なナノテクノ
た。
PEN March
促進なども含め中心的な役割を果たしており、ナノテクノ
ロジーの管理策を構築するためには、関連する法律、有害
物質法、環境の維持と向上法そして労働者保護法やその他
台湾の nannoMark の仕組みにおいて、EHS や ELSI の課題
の規則の修正が必要となる。主要な関連法規において、ナ
への取り組みは、製品開発のプロセスの重要な一部と認識
ノマテリアルへの対応は次のように予定されている。
されている。タイの NanoQ も、包括的なナノテクノロジー
管理策の一環であるということを考えれば、当然このよう
・有害物質法:有害物質法では、管理のために有害物質を
な認識が共有されていると思われる。
4 つのカテゴリに分類している。ナノマテリアルは、その
これまで、本連載では欧米の規制策について紹介するとと
うち 3 つのカテゴリのいずれかに分類される(4 つ目のカ
もに、環境規制はビジネスルールと述べてきた。ルールで
テゴリ Type 4 は使用禁止物質)
。
あれば、それに積極的に対応することで新たなビジネスの
・環境の維持と向上法:ナノマテリアルの環境への影響を
好機とすることもできる。タイで予定されている包括的な
最小限に抑えるため、適切な汚染・廃棄基準を設定する。
管理の実施や製品認証システムの取り組みは、今後ますま
・労働者保護法:労働者を保護するために、ナノマテリア
す厳しさ増す環境規制のなかで、自国の産業を育成するだ
ル取扱いのためのガイドラインを策定する。
けでなく、その国際競争力を高めるための積極的な行動で
ある。
評議会では、必要な法律や規則の修正についても審議され
た。また、翌 1 月 13 日には、NANOTEC 主催で戦略計画
案についてのパブリックヒアリングが行われた。評議会で
References
の審議やパブリックヒアリングの内容を反映させた戦略計
NANOTEC
画案は 6 か月以内に政府に提出される予定である。
http://www.nanotec.or.th/en/
”Thailand develops nanosafety strategy”
http://www.nanoforum.org/nf06~modul~showmore~folder~99999~scc~ne
新たにナノテクノロジー製品表示も開始される
ws~scid~4180~.html?action=longview&
現在、タイ国内の市場では繊維製品、化粧品、食品包装材
http://www.nanoforum.org/nf06~modul~showmore~folder~99999~scc~ne
など 1,000 を超える種類のナノテクノロジー製品が流通
しているという。2006 年にタイ国王が在位 60 周年を迎
えた際には、市民が様々な種類の黄色いシャツを着て祝っ
たが、なかにはナノテクノロジーで防汚加工が施されたポ
ロシャツもあった。変わったところでは、化学的に着色し
”Thai nanosafety strategy continues”
ws~scid~4181~.html?action=longview
ThaiRoHS Alliance
http://www.thairohs.org/
REACH Watch
http://www.chemtrack.org/ReachWatch/
た宝石なども市場化に向けて開発が進められている。ただ
し、市場の実態は不明である。また、ナノテクノロジー製
品に適切な情報が付されていないため、消費者はナノテク
ノロジーについての正確な知識に乏しく、またナノテクノ
ロジーの安全や倫理の課題への関心もごく限られた人々に
とどまっている。
15
PEN March
CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES
プレスリリースより
1カ月間の国内の最先端技術を網羅して配信します。
【気候システムの化石中の証拠】
最古のエルニーニョ現象の証拠をフィリピン産化石サンゴ
【光伝送、高速通信】
に発見 (2011.3.10)
冷却不要の直接変調レーザーで毎秒 40 ギガビットの光伝
産総研
送に成功 従来と比べて消費電力を半分以下にし、次世代
将来の温暖化した地球環境に最も類似している時代である
高速光通信に向けて大きく前進 (2011.3.10)
鮮新世温暖期(約 460 万年前~約 300 万年前)において、
富士通(株)、(株)富士通研究所
気候システムの中で重要な役割を果たしているエルニー
クラウド・コンピューティングサービスや高精細画質の映
ニョ現象の存在に関する論争が盛んに行われている。産総
像配信サービスなど、ネットワークを流れるデータ量が急
研はフィリピンでこの温暖期に相当する地層から極めて保
速に増大していることに対応するため、データセンター内
存状態のよい化石サンゴを発見し、その化学組成解析から
では伝送速度 10Gbps を超える高速光通信の導入が始まっ
エルニーニョ現象の直接的な証拠としては最古となる水温
ており、環境負荷低減のために低消費電力の光通信が求め
の変動記録を得ることに成功した。この発見は、一連の論
られている。両社は、冷却不要の直接変調レーザーで毎秒
争に決着をつけるものであり、将来の温暖化におけるエル
40 ギガビット(Gbps)の光伝送に成功した。高速動作に
ニーニョ現象の挙動を予測するための重要な知見となる。
適した構造と、駆動電流を低減して高温動作を可能とする
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110310/
構造を組み合わせることで、従来の 40Gbps の伝送光源に
pr20110310.html
おいて消費電力の半分以上を占めていた温度調節素子を不
要にした。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2011/03/10-1.html
16
を示す。しかし、1958 年の発見以来、正確な結晶構造は
燃料電池スクーターで世界初となる「欧州統一型式認証」
分かっておらず、なぜ強誘電性や圧電性を示すのか理解で
を取得 (2011.3.9)
きていなかった。
スズキ(株)
今回、電子回折実験、収束電子回折実験、中性子回折実験、
同社が現在英国で実証実験を行っている燃料電池スクー
放射光 X 線回折実験、第一原理計算を駆使して、ニオブ
ター「バーグマン フューエルセル スクーター」が、二輪
酸銀の正確な結晶構造を世界で初めて解明、強誘電性と圧
車、四輪車の燃料電池を搭載した車両としては世界で初め
電性が生じるメカニズムを突き止めた。これによって原子
て「欧州統一型式認証:WVTA」
を取得した。燃料電池スクー
スケールでの材料デザインが可能になり、ニオブ酸銀系で、
ター「バーグマン フューエルセル スクーター」は、スズ
鉛を含む材料をしのぐ性能の圧電素子を作るための電子材
キが 2009 年 10 月の第 41 回東京モーターショーに出品
料や、光触媒の開発を促進すると期待される。
した、燃料電池システムを搭載した二輪車。スズキは英国
http://www.titech.ac.jp/file/110308_yashima.pdf
PEN March
【燃料電池、欧州認証】
の燃料電池システムの開発企業である「インテリジェント・
エナジー」社と共同で、英国の技術開発を促進する政府機
関(TSB)が主催する燃料電池車の実証実験に、2010 年
【テラヘルツカメラ】
2 月より参加している。実証実験は英国中部のラフバラ大
テラヘルツ波による危険ガスの遠隔検知に成功 火災現場
学を中心とした地域で行なわれており、スズキは「バーグ
での二次災害リスクの大幅な軽減に期待 (2011.3.8)
マン フューエルセル スクーター」1 台を使って実証実験
産総研、日本電信電話(株)、(有)スペクトルデザイン
中で、今後さらに台数を追加する予定。
共同研究チームはテラヘルツ波を用いた遠隔分光センシン
http://www.suzuki.co.jp/release/d/2010/0309/index.html
グシステムのプロトタイプを開発した。また、東京理科大
学、総合研究機構 火災科学研究センターにおいて本シス
テムの評価実験を行った結果、火災現場などで発生する危
【グリーン実用化開発】
険ガスの一種とされる、シアン化水素ガスの遠隔検知に有
「グリーン・イノベーション」による成長の実現へ イノ
効であることが検証された。本システムにより、火災現場
ベーション推進事業の助成先決定 (2011.3.9)
に足を踏み入れることなく危険ガスを検知できるようにな
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
ることから、火災現場で救助活動にあたる消防士の二次災
NEDO は、「グリーン・イノベーション」による成長の実
害リスクを大幅に軽減できることが期待される。
現に向け、民間企業などが実施する優れた技術の実用化
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110308/
開発を支援するイノベーション推進事業の助成先を決定し
pr20110308.html
た。対象は、リチウムイオン電池の金属異物を製造ライン
中で検査できる装置の実用化や、賞味期限切れで大量に廃
棄されている食品量の削減に貢献できるシステムの開発な
【テラヘルツカメラ】
ど、26 件。NEDO はこれらの事業を通じ、民間企業の優
火災現場におけるテラヘルツカメラの有効性を示す実証実
れた技術力を支援することで、我が国の経済成長の鍵を握
験に成功 テラヘルツ波の活用により、黒煙を透過して撮
る技術力の強化につながることを期待している。
像できることを実証 (2011.3.8)
http://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/CA/nedopresspla
日本電気(株)、東京大学、情報通信研究機構(NICT)
ce.2009-02-09.2910332142/nedopress.2011-03-04.8247485727/
黒煙が発生する火災現場では、目視による視認性が低下す
るため、煙を透過して現場の状況を把握できる撮像技術の
実用化が強く求められる。NEC は、火災環境下においてテ
【共有電材料、圧電材料】
ラヘルツ波による画像計測技術が、可視光および赤外線に
強誘電体ニオブ酸銀の結晶構造を解明 有害な鉛を使わな
よる計測技術に比べて優位性があることを実証した。NEC
い電子材料の開発を促進 (2011.3.9)
と NICT が共同開発した「高感度実時間非冷却テラヘルツ
東京工業大学、東北大学、静岡大学、高エネルギー加速器
カメラ」を用いて実証試験が行われ、テラヘルツ波を活用
研究機構
した画像計測技術によって、模擬火災現場の黒煙を透過し
共同研究チームは、有害な鉛を含まない電子材料や光触媒
て画像を撮影できることを確認したもの。テラヘルツ波は、
として注目されている強誘電体ニオブ酸銀(AgNbO3)の
赤外線と電波の中間に位置する電磁波で、計測や通信等に
結晶構造を世界で初めて解明することに成功した。ニオブ
おける新たな利用技術の研究が進められており、紙・プラ
酸銀は有害な鉛を含まない強誘電体であり、優れた圧電性
スティック・繊維・煙などを透過し、またテラヘルツ波を
17
PEN March
用いた画像計測はX線よりも安全であると考えられている
以上におよぶダストを含んだガスが秒速数百キロメートル
ため、次世代の非破壊検査技術として注目されている。
の銀河風として放出されていることが知られている。今回
http://www.nec.co.jp/press/ja/1103/0802.html
の観測によって、赤外線放射の分布を詳細に解析すること
ができるようになり、その結果、この銀河風は、1 つの星
団ではなく、複数の星団から吹き出したものが合わさって
【太陽電池関連投資】
ポーランドでの太陽電池用接着フィルムの生産を決定 グ
できていることが観測的に明確になった。
http://subarutelescope.org/Pressrelease/2011/03/07/j_index.html
ロ ー バ ル 生 産 供 給 体 制 整 備 に 向 け、52.5 億 円 の 投 資 (2011.3.7)
(株)ブリヂストン
【新型電池】
ブリヂストンは、太陽電池用接着封止膜として使用される
新型電池の開発に成功 完全不燃材料で構成、組電池の小
EVA フィルムの世界的な需要増加に対応するため、ポー
型化を実現 (2011.3.4)
ランドにある子会社ブリヂストン・ディバーシファイド・
住友電気工業(株)
プロダクツ・ポーランド・スプーカゾーに生産ラインを設
同社は世界初となる新型電池を開発した。今回開発に成功
け、新たにポーランドでの生産を決定致した。総投資額は
した新型電池は、電解液に溶融塩のみを使用した二次電池
52.5 億円で、2013 年上期からの生産開始を予定しており、
(溶融塩電解液電池)であり、290Wh/L という高エネルギー
生産能力は月産約 1,080 トンを見込んでいる。
密度を有するとともに、完全不燃性であり、組電池の小型
http://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2011030703.html
軽量化を実現する。今回開発した溶融塩電解液電池は、資
源豊富なナトリウム化合物からなる正極及び負極、溶融し
た NaFSA・KFSA 混合物の電解液で構成され、充電時にナ
【機器操作技術】
腕 を タ ッ プ し て 情 報 機 器 を 操 作 す る 技 術 を 開 発 (2011.3.7)
トリウムイオンが正極から出て負極に入り、放電時にはナ
トリウムイオンが負極から出て正極に入る。
http://www.sei.co.jp/news/press/11/prs894_s.html
日本電気(株)
NEC は腕を軽く叩く(タップする)ことで、情報機器の操
作を可能とする技術を開発した。この技術は、まずユーザ
【3 次元内部構造顕微鏡】
の両手首に加速度センサを取り付け、腕をスイッチに見立
素材内部の元素分布を 3 次元解析する新システムを確立 ててタップする。センサで検出する加速度の大きさが、タッ
工業材料内の介在物の形態観察や組成解析、破壊予測技術
プした腕の位置から両手首の加速度センサまでの距離に
に寄与 (2011.3.3)
よって変わることを利用して、タップ位置を特定し、位置
理化学研究所
ごとに割り当てた操作命令に基づいて機器を操作する。本
理研は、試料切断と光学顕微鏡観察を繰り返す従来の逐次
技術では、両腕の上腕、前腕上部、前腕下部へのタップと、
断面切削観察システムに X 線元素分析装置を搭載し、素材
手を叩く動作の計 7 通りの入力を可能とした。
内部の元素分布を 3 次元的に可視化する機能を持った「元
http://www.nec.co.jp/press/ja/1103/0706.html
素分析型 3 次元内部構造顕微鏡システム」を開発した。理
研はこれまで、耐熱性や耐食性に優れた立方晶窒化ホウ素
(cBN)焼結体による硬組織対応型の逐次断面切削観察シ
【爆発的星生成銀河】
18
ステムや、鏡面加工と撮影を高精度(1 μ m 以下)に制
すばる望遠鏡、爆発的星生成銀河 M82 の銀河風の起源を
御して、3 次元の画像処理までを完全に自動化した観察シ
解明 (2011.3.7)
ステムを開発してきた。今回、これらの特徴を持つ観察シ
国立天文台
ステムに、X 線照射ビームの直径が 10 μmという高分解
JAXA 宇宙科学研究所と京都大学は、大気圏外の赤外線望
能な X 線元素分析装置を搭載した。その結果、鏡面加工・
遠鏡に比べて口径の大きなすばる望遠鏡を用いることで、
観察・元素分析を多断面にわたって実施することが可能と
爆発的星生成銀河 M82 の赤外線放射を既存の望遠鏡で得
なり、世界で初めて、シリアルセクショニング法による元
られる最高の解像度でとらえることに成功した。この観測
素分析型 3 次元内部構造顕微鏡システムを開発することに
により、温められたダストからの赤外線放射について、こ
成功した。
れまででもっとも詳細な分布が描き出された。この銀河は
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110303/index.html
太陽系から 1200 万光年の距離にあり、銀河から1万光年
ルアップを段階的に進めながら磁石メーカーとの連携を行
縦 型 全 自 動 シ リ ア ル セ ク シ ョ ニ ン グ 3D 顕 微 鏡 ”
い、レアアースレス磁石・モーターの実用化検討を進める。
Genus_3D” の開発 (2011.3.3)
なお、このプロジェクトの参加機関は、東北大学、京都大学、
物質材料研究機構(NIMS)
千葉工業大学、倉敷芸術科学大学、戸田工業、帝人(株)、
NIMS は(株)中山電機と共同で、三次元(3D)組織像を
トヨタ自動車(株)、
(独)物質・材料研究機構、産総研、
(財)
観察する全自動シリアルセクショニング装置 ”Genus_3D”
電気磁気材料研究所の 10 機関。
の開発に成功した。本装置の開発によって、金属材料の断
http://www.todakogyo.co.jp/docs/news/menu110303.html
PEN March
【3 次元顕微鏡】
層写真を効率よく取得できるようになり、同時に小型卓上
型(総重量約 40kg)で湿式研磨法を採用していることから、
鉄鋼材料をはじめとする金属、無機材料などのセクショニ
【単分子メモリー】
ング像の取得が可能となる。
分子をくるりと回して磁石のオン・オフ制御 単分子磁
http://www.nims.go.jp/news/press/2011/03/p201103030.html
石を用いた単分子メモリー開発へ道 (2011.3.2)
東北大学、科学技術振興機構(JST)
JST の課題解決型基礎研究の一環として、東北大学は、1
【グラフェン、電子デバイス】
つの分子で 磁石の性質を示す単分子磁石を用いて、単分
絶縁体基板上のグラフェンの電子状態を理論的に解明 ポ
子の単位で磁石をオン・オフすることに成功した。本研究
ストシリコン材料の有力候補として期待 (2011.3.3)
では単分子磁石であるテルビウム・フタロシアニン錯体分
科学技術振興機構(JST)
、産総研、筑波大学
JST 課題解決型基礎研究の一環として、産総研と筑波大学
は、ポストシリコン材料として注目されている炭素原子の
シート「グラフェン」が絶縁体基板である酸化シリコン上
に吸着されると、その電子物性が基板との相互作用によ
り、狭小なバンドギャップを持つ半導体へと変わり、本来
備わっている金属的な性質が損なわれること、グラフェン
の高い電子移動度を応用した電子デバイスの設計に際して
は、絶縁体基板との相互作用の効果も含めた複合構造を考
慮することの重要性を明らかにした。また、絶縁体基板の
物質種・表面構造の制御によって、グラフェンの物性・機
能をデザインすることが可能になると考えられ、今後のグ
ラフェンデバイス実現・設計において重要な知見となる。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110303/index.html
【レアアース磁石】
世界初、レアアースレス磁石(強磁性窒化鉄)粉末の単相
分離・生成に成功 (2011.3.3)
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
、東
北大学 、戸田工業(株)
NEDO の「希少金属代替材料開発プロジェクト」に取り組
んでいる研究グループは、これまで粉末として単相を分離・
生成することができなかった強磁性窒化鉄を合成する手法
を世界で初めて確立した。強磁性窒化鉄は、現在最強の磁
石とされるネオジム - 鉄 - ボロン磁石の性能を凌駕する可
能性のある物質で、この成果によりレアアース(希土類)
を使用しない磁石の実現に大きく近づくことになる。今後、
強磁性窒化鉄の生成機構解明や微細ナノ構造制御などを検
討し、より高性能な磁石材料設計を行う予定で、またスケー
子を用いて、単分子の磁石をオン・オフさせることが可能
であることを示した。この分子は平面型のフタロシアニン
配位子2枚が互いに向き合うように重なって、1つのテル
ビウム金属原子を挟む構造をしている。今回、これに電流
を流して向かい合う配位子をくるりと回転させるという手
法を開発し、2枚の配位子の相対角度を制御することで分
子磁石をオン・オフさせることに成功した。 この成果は、
電流による分子の構造変化を利用した単一分子のスピン操
作手法を示したもので、今後、単一分子メモリーへの応用
が期待される。単分子磁石は、1分子が1個のメモリーと
して働くとすると、1モルで6x1023 ビットのメモリー(片
面1層 DVD ディスクの 15 兆倍)となり、究極の高密度
記録につながるものと期待される。 http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2011/03/press20110302-01.html
【有機太陽電池、フラーレン、基礎物性】
1 種類の有機半導体で太陽電池を可能に フラーレン(n
型)をp型にすることに成功 (2011.3.1)
分子科学研究所
分子研は、有機薄膜型の太陽電池の研究を進めているが、
これまでフラーレン分子(n 型)とフタロシアニン分子(p
型)の 2 種類の有機半導体を用いていた。今回、最も優
れた n 型有機半導体として知られるフラーレンに、モリブ
デン酸化物をドープすることにより、p 型にすることに成
功した。具体的には有機太陽電池に必ず用いられているフ
ラーレン分子と、モリブデン酸化物とを同時に蒸着する共
蒸着法によりモリブデン酸化物をドープしたフラーレンを
作製し、物性を調べた結果、p 型として働くことが世界で
初めて明らかになったもの。この方法によれば、1 種類の
19
PEN March
有機半導体のみを用いて n 型、p 型の両方を得ることがで
託して、企業化開発を進めていたもの。
き、電池の電圧の起源となる内蔵電界を得られる。このこ
http://www.jst.go.jp/pr/info/info788/index.html
とは、有機太陽電池もシリコン(無機系)太陽電池のよう
に、設計した性能のものを制御可能な方法で製造すること
ができることに基礎科学的な根拠を与えるものである。本
【超伝導、メカニズム】
成果は、科学技術振興機構の CREST 研究領域名「太陽光
新しい鉄系高温超伝導物質の意外な電子構造 高温超伝導
を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」の
物質の開発への光明 (2011.2.28)
一環として行われた。
分子科学研究所、中国復旦大学
http://www.ims.ac.jp/topics/2010/110301.html
共同研究グループは、分子科学研究所の極端紫外光研究施
設(UVSOR 施設)のシンクロトロン光源(UVSOR-II)を
用いて、超伝導を微視的に示した BCS 理論の予想よりも
【窒化ガリウム結晶成長】
高温で超伝導状態となる新規な鉄系超伝導物質について同
アモノサーマル法による高純度窒化ガリウムバルク単結晶
状態となる仕組みを解明した。研究グループは、UVSOR-II
育成に成功 (2011.3.1)
からのシンクロトロン光を使って、光電効果によって飛び
東北大学、原子分子材料科学高等研究機構
出してきた電子のエネルギーと運動量を観測する高分解能
両者は、超臨界アンモニアを用いる「アモノサーマル法」
3次元角度分解光電子分光法という手法を用いて、鉄系高
による窒化ガリウム(GaN)結晶成長において、酸性鉱化
温超伝導物質 A0.8Fe2Se2(A = K、Cs)の電子構造を詳細に
剤の気相合成法を開発し、育成結晶中の残留酸素濃度が従
調べた。その結果、現在盛んに議論されている理論ではな
来の 100 分の 1 以上低い窒化ガリウムバルク単結晶の高
く、従来の BCS 理論の枠組みで説明可能な電子構造であ
速育成に成功した。さらに、これを基板結晶として、歪み
ることが明らかになった。この成果は、BCS 理論の予想を
のない窒化ガリウム結晶や、原子層オーダーで平坦かつ急
超える高温で超伝導を示す物質がさらに開発できる可能性
峻な窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)と窒化ガリウム
を示しており、高い効率で電力供給が可能となることなど
のヘテロ接合のエピタキシャル成長にも成功し、ヘテロ界
が期待される。
面に形成される二次元電子ガスを観測した。
http://www.ims.ac.jp/topics/2010/110228.html
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2011/03/press20110301-01.html
【リチウムイオン電池用負極材】
【電子ブック】
GS カルテックス社とのリチウムイオン電池用負極材の合
電子ブックストアサービス「TSUTAYA GALAPAGOS」の
弁事業 (2011.2.28)
定期配信サービスに「スポニチ」を追加 (2011.3.1)
JX 日鉱日石エネルギー(株)
(株)TSUTAYA GALAPAGOS、シャープ(株)
同社と大韓民国ソウル市の GS カルテックス社は、リチウ
両 社 は、 電 子 ブ ッ ク ス ト ア サ ー ビ ス「TSUTAYA
ムイオン電池用負極材の合弁事業に関する契約を締結し
GALAPAGOS」 の 定 期 配 信 サ ー ビ ス に、
「スポニチ」を
た。両社は、大韓民国慶尚北道に合弁会社パワー ・ カーボ
追 加 す る。 月 額 は 税 込 み で 525 円。 な お TSUTAYA
ン ・ テクノロジー社を設立し、2010 年 4 月よりキャパシ
GALAPAGOS は電子ブックストアサービスをシャープ製ス
タ電極用炭素材の製造・販売を開始しているが、新たに、
マートフォン向けに 2 日より提供を開始する。
PCT 社においてリチウムイオン電池用負極材事業も展開す
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/110301-a.html
ることに合意したもの。
h t t p : / / w w w. n o e . j x - g r o u p . c o . j p / n e w s r e l e a
se/2010/20110228_01_0794529.html
【LED】
LED の光出力を大幅に向上する製造技術の開発に成功 (2011.3.1)
科学技術振興機構(JST)
JST は独創的シーズ展開事業・委託開発の開発課題「LDE
モスアイ構造製造技術」の開発結果を成功と認定した。こ
20
【水素ステーション】
「水素ステーション集中管理システム」を構築 水素社会
の実現に向け、将来のビジネスモデルの実証事業を開始 (2011.2.28)
の開発課題は、名古屋大学の研究成果をもとに、平成 19
水素供給・利用技術研究組合、富士通(株)
年 3 月から平成 22 年 9 月にかけてエルシード(株)に委
両者は共同で、水素ステーションにおける水素の在庫状況
術を適用している。新製品は、従来のシリコン素材の製品
走行情報などの実証データをトータルに管理する「水素ス
に比べ約 40%の低損失化を実現しており、機器の省電力
テーション集中管理システム」を構築した。
化に貢献する。
水素供給・利用技術研究組合は、東京都杉並区に杉並水素
http://japan.renesas.com/press/news/2011/news20110228.jsp
ステーション、東京都大田区に羽田水素ステーション、千
葉県成田市に成田水素ステーションを開設し、本システム
での運用を行っている。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2011/02/28-1.html
【コミュニケータチップ】
PEN March
や充填情報、水素ステーションの稼働情報、燃料電池車両
80Gbps データ転送を PCI Express とマルチコアで実現し
たコミュニケータチップを開発 組込み分野での省電力、
高信頼、高速ネットワーク通信が実現可能 (2011.2.24)
【有機ナノチューブ】
フラスコで簡単に合成できるナノチューブの作製に世界で
初めて成功 パーツの組み換えで性質のコントロールが可
能な新材料の開発 (2011.2.28)
京都大学、科学技術振興機構(JST)
、高輝度光科学研究セ
ンター(JASRI)
JST の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の
研究領域「ナノ界面技術の基盤構築」における研究課題「錯
体プロトニクスの創成と集積機能ナノ界面システムの開
発」の一環として、京都大学と JASRI の共同研究チームは
金属イオンや有機分子からなる金属錯体をパーツとして組
み上げるボトムアップ法に着目し、対角方向の直径がおよ
そ 1.5nm で形状が完全に揃ったナノチューブを室温下で
ルネサス エレクトロニクス(株)、筑波大学
両者は共同開発により、PCI Express インタフェースを 4
伝送路とマルチコアプロセッサ(8 個の CPU)を搭載した
高速ネットワーク通信向け SoC(System on Chip)
・コミュ
ニケータチップを開発し、業界最高レベルとなる 80Gbps
の転送能力を実現した。コミュニケータチップは、データ
量に応じたきめ細かい電力制御や、ネットワークの障害回
避を行うなど、組込み分野における低消費電力かつ高性能
な高信頼ネットワーク通信が可能になる。なお、本開発は、
(独)科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業(CREST)
の中の「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブ
ル・オペレーティングシステム」領域により実施したもの。
http://japan.renesas.com/press/news/2011/news20110224.jsp
合成することに世界で初めて成功した。このナノチューブ
は、内部に細孔を持っており、水やアルコールといった蒸
気を選択的に取り込む機能を持つことが分かった。さらに、
この物質は半導体的な性質を示し、構成要素を組み替える
ことによって、その電子的性質を幅広くコントロールでき
ることも分かった。
多孔性材料を用いた新しいセンサー材料や電子デバイスと
しての応用につながることが期待される。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110228/index.html
【フレキシブル色素増感太陽電池】
透明導電膜不要の「色素増感太陽電池」を開発 薄型、軽
量でフレキシブルを実現 (2011.2.23)
新日鐵化学(株)、九州工業大学
両者は、透明導電膜を用いない独自構造により、これまで
耐熱温度の問題から、技術的に困難とされてきた樹脂基板
による色素増感太陽電池の開発に成功。薄型、軽量でフレ
キシブルといった色素増感太陽電池の特長を最大限に活か
す性能を実現した。また、透明導電膜を用いない本製品で
【SiC パワー半導体】
SiC 採用により当社比約 40%の低損失化を実現したパワー
半導体の発売 エアコン、通信基地局、太陽光発電等、高
出力のエレクトロニクス機器における省電力化に貢献 は、電気抵抗を下げるための集電配線が不要となるため、
複数の発電色素と組み合わせることで、集電配線に邪魔さ
れないカラフルな絵画様の設計も可能となる。
http://www.nscc.co.jp/news/download/110223.pdf
(2011.2.28)
ルネサス エレクトロニクス(株)
同社は、エアコン、通信基地局や PC サーバ、太陽光発電
など高出力のエレクトロニクス機器向けに、次世代のパ
ワー半導体用材料として注目されている炭化ケイ素(SiC)
を用いたパワー半導体・ショットキーバリアダイオードを
開発した。本技術による第一弾の製品として 600V 耐圧の
「RJS6005TDPP」を 2011 年 3 月末よりサンプル出荷する。
本製品は、(株)日立製作所とルネサスが共同開発した技
【エコハウス、実証試験】
電気自動車の駆動用バッテリーを住宅用蓄電池として利用
できる「インテリジェントパワーコンディショナ」を開発
(2011.2.22)
シャープ㈱
シャープは、太陽光発電システム用パワーコンディショナ
の開発で培った電力制御技術を活用し、
「太陽電池」「蓄電
21
PEN March
池」が系統電力と連携して、安定した電力を供給する「イ
【発行材料、蛍光色素】
ンテリジェントパワーコンディショナ」を開発した。将
凝集すると発光する新タイプの有機系蛍光色素分子を開発
来の「DC 家電」の普及を見込み、
直流電力の供給も可能。
分子の集積を可視化し、毒性タンパク質の凝集現象を解
さらに、この技術を応用することで、今後普及が見込ま
明へ (2011.2.15)
れる電気自動車の駆動用バッテリーを住宅用蓄電池とし
理化学研究所
て活用が可能となる。実証実験では、市販の電気自動車
有機系蛍光色素は、溶液中や固体状態で使用する場合、色
をベースに、電気自動車の駆動用バッテリーから 8kW の
素分子同士が凝集して発光効率、発色性、光感受性や光増
電力供給に成功した。一般的な家庭で消費する電力が賄
感性などの機能が著しく低下し、色素本来の特性を制限し
え、「インテリジェントパワーコンディショナ」から電気
てしまうことが大きな問題となっていた。理研は、色素分
自動車の駆動用バッテリーに対し、4kWh のエネルギーを
子の凝集によって蛍光が増大する新しいタイプの有機系蛍
約 30 分で充電できた。
光性色素であるアミノベンゾピロキサンテン系色素を開発
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/110222-a.html
した。これは、理研と、岡山大学、大阪薬科大学、鈴鹿医
療科学大学、(株)日立ハイテクノロジーズおよび奈良先
端科学技術大学院大学との共同研究の成果。
【活性酸素中間体、大気汚染】
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110215/index.html
オゾンとエアロゾル粒子の反応における活性酸素中間体
を発見 大気汚染におけるアレルギー物質の生成に重要
な関与 (2011.2.21)
東京大学、マックスプランク化学研究所、ポールシェラー
研究所
【カーボンナノチューブ量産】
大量生産で単層カーボンナノチューブの研究開発を加速
(2011.2.14)
大気中に浮遊するエアロゾル粒子とオゾンの表面反応に
産総研
おいて、1分以上存在できる寿命の長い活性酸素中間体が
産総研は、平成 21 年度の経済産業省の補正事業により、
生成していることを発見した。この中間体は、がんやア
日本ゼオン株式会社の協力を得て、スーパーグロース法に
レルギーを引き起こす有害な大気汚染物質を生成し、重
よる高純度単層カーボンナノチューブの大量生産設備の開
大な健康影響を引き起こす。この長寿命中間体の発見に
発を進め、この度、1 日あたり 600 g の生産能力を実現し
より、10 年以上も謎とされてきた、オゾンの表面での吸
た。従来の実験室レベルの合成装置はバッチ式で、生産量
着時間に関する実験と理論値の間の 10 億倍ものズレの矛
は一日あたり 1 g 程度にとどまっていたが、飛躍的に生産
盾を解明した。
能力を向上させた。この設備の開発には、
(独)新エネル
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=274299&lindID=4
ギー産業技術総合開発機構(NEDO)
「カーボンナノチュー
ブキャパシタ開発プロジェクト」の成果が活用され、それ
を発展させることで実現したものである。得られた単層
【スーパーキャパシタ】
22
カーボンナノチューブの形状は、これまで研究開発設備で
高性能スーパーキャパシタの開発に成功 ナノポーラス金
製造した試料とほぼ同等であり、単層カーボンナノチュー
属と酸化物とのハイブリッド化 (2011.2.21)
ブの持つ優れた機能を最大限に発揮した透明導電膜、太陽
東北大学
電池、薄膜トランジスタ、キャパシタ等への応用に弾みが
東北大学は、3 次元ナノポーラス金属 / 酸化物ハイブリッ
つく。 この成果を活かし、産総研は、つくばイノベーショ
ド電極を用いた高性能電気化学キャパシタの開発に成功
ンアリーナ(TIA)のカーボンナノチューブ研究コアの活
した。これは高電力、高エネルギー貯蔵・供給に向けた
動の一環として技術研究組合 単層 CNT 融合新材料研究開
次世代スーパーキャパシタの開発において重要な成果で、
発機構(TASC)との協力の下、単層カーボンナノチュー
2 月 20 日発行の英国科学雑誌「Nature Nanotechnology」
ブの基盤研究を加速し、大量試料を必要とする用途研究開
のオンライン速報版に掲載された。
発を推進する計画である。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110214/
press_20110218_2.pdf
pr20110214.html
米・偏極陽子衝突型加速器「RHIC」で W 粒子を生成 陽子スピンの成り立ちを解く、直接的な測定法を確立 (2011.2.14)
理化学研究所
原子核を構成する陽子は、万物をつくる基本的な粒子で、
PEN March
【素粒子物理】
クォークと反クォーク、そして「強い相互作用」を媒介す
るグルーオンという素粒子から構成されている。クォーク
にはアップ(u)
、
ダウン(d)
、
ストレンジ(s)
、
チャーム(c)、
ボトム(b)、トップ(t)
、の 6 種類が存在するが、陽子は
2 個の u クォークと 1 個の d クォーク、およびそれらの反
クォークと、これら粒子を結びつけるグルーオンで構成さ
れていることが分かっている。一般に全ての粒子は、質量・
電荷・スピンといった固有の性質を持っているが、陽子の
スピンをその内部にあるクォークや反クォーク、グルー
オンのスピンで説明することは困難で、
「陽子スピンの謎」
と呼ばれてきた。
理研は、米国ブルックヘブン国立研究所と共同で建設した
偏極陽子衝突型加速器「RHIC」によって、スピンの向き
をそろえた陽子、偏極陽子同士を 250GeV の高エネルギー
で衝突させ、素粒子間の「弱い相互作用」の媒介粒子で
ある W 粒子を生成・測定することに世界で初めて成功し
た。RHIC の 2 大国際共同実験グループである PHENIX と
STAR が、偏極陽子の衝突による W 粒子の生成を同時に
確認し、このうち PHENIX による W 粒子の測定は、理研
BNL 研究センターが中心となって行った。理研仁科加速器
研究センターが中心となって BNL と進めてきた国際協力
研究「スピン物理研究」の節目となる大きな成果である。
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110214/index.html
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110214/index.html
23
PEN March
豊蔵レポートより
豊蔵信夫氏が個人的に収集・配信されている情報を PEN 読者の皆様にも共有させていただきます。
ナノ粒子(合成法、コバルト粒子)
ナノテク起業(英国、Southampton 大学)
Fundamental processes involved in nanoparticle synthesis
Optoelectronics researchers buy DPN 5000 for applied
still not fully understood
photonics and nanotechnology studies
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=20071.php
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-art icledisplay/8722944134/articles/small-times/nanotechmems/industrynews/2011/2/optoelectronics-researchers-buy-dpn-5000-for-photonics-
カンファレンス(ISSCC 2011、CEA-Leti)
and-nanot.html
CEA-Leti reports progress in computing, medical
electronics, communications, and other fields at ISSCC
2011
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20077.php
2012 年度大統領予算教書(論評)
House Panel to Take Second Bite Out of Science Budgets
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/02/house-panel-to-takesecond-bite.html 太陽電池(多結晶シリコン、大粒径化)
Research yields new way to create poly-silicon as
competitor for fossil fuel energy
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20073.php
欧州政策(EC、技術開発、FP-8)
Europe Asks Researchers for Funding Ideas
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/02/europe-asksresearchers-for-fund.html
太陽電池(人工光合成、発色団、CNT)
New Solar Cell Self-Repairs Like Natural Plant Systems
イベント(ARPA-E Energy Innovation Summit)
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/01/110104133909.htm
Arnold Schwarzenegger to Join Secretary Chu at ARPA-E
Energy Innovation Summit
http://www.energy.gov/news/10060.htm
電子デバイス(ナノ技術、programmable nanoprocessor)
Mitre Corp., Harvard University announce nanotech
breakthrough
メタ知識(科学への応用)
http://www.silobreaker.com/mitre-corp-harvard-university-announce-
Powerful new ways to electronically mine research may
nanotech-breakthrough-5_2264347523059548355
lead to scientific breakthroughs
http://www.bizjournals.com/washington/blog/2011/02/mitre-and-harvardannounce-nanotech.html?ana=RSS&s=article_search
電子デバイス(CNT 薄膜トランジスタ、順序論理回路、プ
ラスチック基板)
New CNT fab method enables high-quality, low-cost
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-02/uoc-pn021011.php
世界の情報総量
How much information is there in the world?
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-02/uosc-hmi020811.php
flexible electronics
http://electronics.tkk.fi/en/current/news/view/hiilen_nanoputket_
valmistettu_muovikalvolle/ 超ハロゲン(原子クラスター、magnetic superhalogens)
Researchers discover a new class of magic atomic clusters
ナノサイエンス(金属クラスター移動;グラフェン表面)
Graphene Tracks for Aluminum Trains: Nanomaterials
Engineering
http://www.materialsviews.com/details/news/1006181/Graphene_Tracks_
24
for_Aluminum_Trains_Nanomaterials_Engineering.html
called superhalogens
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20112.php
http://www.pv-tech.org/chip_shots_blog/clean_investment_solar_energy_
SOI Industry Consortium announces FD-SOI technology
gets_a_larger_slice_of_the_pie_in_obamas_new
offers substantial power advantages for next-generation
mobile and consumer applications
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41671
2012 年度大統領予算教書(解説)
President's Energy Budget Invests in Innovation, Clean
Energy, and National Security Priorities
イベント(ナノテクテクノロジー、持続的経済効果)
PEN March
コンソーシアム(FD-SOI 技術)
http://www.energy.gov/news/10064.htm
100 global leaders, one nanotechnologist
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41674
2012 年度大統領予算教書(解説)
熱電材料(Bismuth telluride、modify surface conduction)
UCLA advance with news nanomaterials good new
for next-generation electronic devices team controls
NSF Presents President's Fiscal Year 2012 Budget Request
of $ 7.76 Billion
http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_
id=118642&org=NSF&from=news
conduction, surface states in topological insulator
nanoribbons
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-wire-
ドイツのナノテクノロジー事情(ナノテクノロジー活動計
news/1358613507.html
画 2015、出展活動)
Germany Expands Nanotechnology Funding With New
高 度 研 究 施 設(Institut Laue-Langevin and the ISIS
Action Plan
http://www.prnewswire.co.uk/cgi/news/release?id=311854
neutron source)
Study of Volcanoes in the Outer Solar System Produces
Unexpected Bonus for Nanotechnology
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/02/110210141027.htm
ドイツのナノテクノロジー事情(政策)
Germany publishes nano action plan 2015
http://www.nanoforum.org/nf06~modul~showmore~folder~99999~scc~ne
ws~scid~4184~.html?action=longview&
人材(中国の学位取得者数)
中国 過去 30 年間で博士、修士、学士の 2100 万人
http://j1.people.com.cn/95952/7286982.html
ネットワーク(African Network for Solar Energ)
African Network for Solar Energy mini-symposium
http://www.icpc-nanonet.org/mos/Frontpage/Itemid,1/
2012 年度大統領予算教書(解説)
2012 年度米予算教書の骨子
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJS885273920110215
有機 EL(カネカのビジネス戦略)
カネカ,照明パネルを 2011 年春に販売へ
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110215/189573/?ST=PV
2012 年度大統領予算教書(概説)
The Budget for Fiscal Year 2012
http://www.whitehouse.gov/omb/overview
次世代通信技術(スタンフォード大学)
http://msnbcmedia.msn.com/i/MSNBC/Sections/NEWS/A_Politics/___
Stanford researchers develop wireless technology for
Politics_Today_Stories_Teases/budget.pdf
faster, more efficient communication networks
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110216/189585/
http://news.stanford.edu/news/2011/february/duplex-radio-
2012 年度大統領予算教書(解説)
transmission-021411.html
Clean investment: Solar energy gets a larger slice of the
pie in Obama’s new DOE budget plan
25
PEN March
医学(脱毛と前立腺癌発症の関係)
物理現象(Condensation)
20 歳のときに髪を失い始める男性は、晩年に前立腺癌を
Physicists create lightest condensate from substantial
より発症しやすい
particles
Losing hair at 20 is linked to increased risk of prostate
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20160.php
cancer in later life
http://www.physorg.com/news/2011-02-hair-linked-prostate-cancer-life.
html
カンファレンス(nanotechnology regulation)
ASU College of Law's national nanotechnology regulation
物性研究
(Andreev bound states、
超電導プローブ、
グラフェ
ン量子ドット)
conference to tackle big policy questions for the small
science
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41714
Physicists Isolate Bound States in GrapheneSuperconductor Junctions
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/02/110214142348.htm
発電(集光方式)
Super-Efficient Cells Key to Low-Cost Solar Power
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41706
政策(EC、ナノテクノロジー安全性、標準化)
European Repository Of Reference Nanomaterials Will
Improve Safety Assessment
http://www.medilexicon.com/medicalnews.php?newsid=216489
熱 電 材 料( 高 性 能 化 技 術、Rare-earth elements doping、
lattice modify) New Material Provides 25 Percent Greater Thermoelectric
Conversion Efficiency
グラフェン(ドーピング、ITO 代替)
http://www.ameslab.gov/news/news-releases/thermoelectric-conversion
Doped graphene electrodes for organic solar cells
http://iopscience.iop.org/0957-4484/21/50/505204
2012 年度大統領予算教書(Steven Chu DOE 長官のコメ
ント)
印刷技術(エレクトロニクス)
Printed electronics widens its scope
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=20143.php
グリーンビジネス(TSMC)
TSMC preps solar, LED lines
http://www.eetimes.com/electronics-news/4213169/TSMC-preps-solar-LED-lines
DOE's Chu Says Proposed House Cuts Could Trigger Brain
Drain
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/02/does-chu-saysproposed-house-cut.html?ref=hp
グラフェン(CVD 法、1cm 角)
名城ナノカーボン、ナノテク展に CVD 法で作製の 1cm 角
グラフェンを出展
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110217/189668/
2012 年度大統領予算教書(論評)
Will Obama's SunShot Initiative See the Light of Day?
ナノ現象(セレン化銅、ナノ粒子、表面反応)
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/02/will-obamas-sunshot-
Versatility of a new material makes for more efficient solar
initiative.html?ref=hp
cells
http://www1.eere.energy.gov/solar/sunshot/
http://www.physorg.com/news/2011-02-versatility-material-efficient-solarcells.html
26
安全性(食料、飲料水)
Carbon nanotube transistors could lead to inexpensive,
Agricultural, food, and water nanotechnologies for the
flexible electronics
poor
http://www.physorg.com/news/2011-02-carbon-nanotube-transistors-
http://www.ifpri.org/sites/default/files/publications/ifpridp01064.pdf
inexpensive-flexible.html
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20184.php
食品包装(銀ナノ粒子)
Silver nanoparticle coated 'killer paper' for food packaging
http://www.news-medical.net/news/20110217/Silver-nanoparticle-coated-
PEN March
電子デバイス(カーボンナノチューブ、ネットワーク)
イニシアティブ(Energy Research Initiative)
米 SRC、グリーン・エネルギー研究イニシアティブ始動
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110217/189687/?ST=energ
killer-paper-for-food-packaging.aspx
ytech
太陽電池(多結晶、ジョイントベンチャー、Samsung 、
コミュニケーション(研究者間の物理的な距離)
MEMC)
The Importance Of Physical Space
MEMC and Samsung Fine Chemicals to build polysilicon
研究者間の物理的な距離が重要な意味を持つという。
plant
クオリティ評価が最高レベルだった研究は、いずれも研究
http://www.pv-tech.org/news/memc_and_samsung_fine_chemicals_to_
者間の距離が 10 メートル以内だったのに対し、クオリティ
build_polysilicon_plant
評価が最低レベルだった研究は、研究者間の距離が 1km
かそれ以上離れている傾向にあった。また、執筆者の数が
4 人以下で、全員が同じ建物内にいる状況で書かれた研究
太陽電池(NREL, 多接合セル , 変換効率 41.4% )
論文は、執筆者が別々の建物にいた研究論文に比べ、引用
News feature: NREL confirms 41.4%-efficient Solar
数が平均で 45%多かったという。
Junction CPV cell; firm on DOE loan shortlist
http://www.wired.com/wiredscience/2011/02/the-importance-of-physical-
http://www.pv-tech.org/news/news_feature_nrel_confirms_41.4_efficient_
space/
solar_junction_cpv_cell_firm_on_d
医療(心臓発作、血清バイオマーカー)
リサイクル(半導体材料、SiC、懸濁液)
Detecting whether a heart attack has occurred
SiC Processing: Capital Injection for Asian Expansion
http://web.mit.edu/newsoffice/2011/cardiac-implant-0214.html
http://news.enf.cn/en/news/news_18483.html
カンファレンス(SNEC 2011、中国)
太陽電池(JA Solar、maple 技術、変換効率 18.2% )
SNEC 2011: China’s largest solar exibition set to get
JA Solar unveils high-power multicrystalline silicon solar
underway
cell with 18.2% conversion efficiency
http://www.pv-tech.org/news/snec_2011_chinas_largest_solar_exibition_
h t t p : / / i nve s t o r s . j a s o l a r. c o m / p h o e n i x . z h t m l ? c = 2 0 8 0 0 5 & p = i r o l -
set_to_get_underway
newsArticle&ID=1530012&highlight=
カンファレンス(SNEC 2011、Applied Materials)
物性(酸化物界面、界面制御、電子ガス)
SNEC 2011: Applied Materials unveils selective emitter,
Engineering Atomic Interfaces For New Electronics
wire saw innovations
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41724
http://www.pv-tech.org/news/snec_2011_applied_materials_unveils_
selective_emitter_wire_saw_innovations
27
PEN March
太陽電池(高効率化、有機分子、量子ドット)
バイオセンサ(ナノ孔制御)
New Technology for Cheaper, More Efficient Solar Cells
Controlling protein translocation through nanopores with
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/02/110220091834.htm
bio-inspired fluid walls
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/full/nnano.2011.12.
html
安全性(ナノテクノロジー)
Nanotechnology and safety: truths and misconceptions
http://www.southbendtribune.com/article/20110221/
カンファレンス(ISSCC、中国、科学技術イニシアティブ)
THRIVE/110229902/1256/THRIVE
ISSCC: China eyes petaflops, IBM hits 5 GHz
http://www.eetimes.com/electronics-news/4213365/ISSCC-China-eyespetaflops-IBM-hits-5-GHz
物性(ペンタフェニレン分子、サイズ効果)
Molecule orientation varies conductance at nanoscale in
ASU research
政策(米国、科学技術、予算教書)
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-art icle-
America's Economic Recovery Depends on Innovation
display/9273538421/articles/small-times/nanotechmems/research-
Investments
and_development/universities/2011/2/molecule-orientation-variesconductance-at-nanoscale-in-asu-rese.html
圧電素子(PZT、耐歪性、高効率化)
Breathe, and a nanogenerator will power your pacemaker
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=20192.php
http://news.aaas.org/2011_annual_meeting/0220holdren-plenary-talk.
shtml
政策(地球温暖化、即効性)
A Stopgap for Climate Change
http://green.blogs.nytimes.com/2011/02/22/a-stopgap-for-globalwarming/?ref=energy-environment
飲料水(ナノメンブレン、ブロック共重合体)
A nano-solution to global water problem: Nanomembranes
could filter bacteria
http://www.nanowerk.com/news/newsid=20228.php
医療(ナノ粒子、ワクチン送達)
MIT engineers design new nanoparticle that could lead to
vaccines for HIV, malaria, other diseases
http://www.bio-medicine.org/medicine-news-1/MIT-engineers-designnew-nanoparticle-that-could-lead-to-vaccines-for-HIV--malaria--other-
政策(欧州イノベーション・技術研究所、イノベーション・
diseases-79497-1/
コミュニティ、調整)
Europe’s innovation hub finally KICs off
http://www.nature.com/news/2011/110221/full/470450a.html
市場予測(ナノバイオ)
Global Nanobiotechnology Market to Reach US$4.4 Billion
by 2014, According to New Report by Global Industry
健康(ナノテクノロジー安全性、半導体、ニューヨーク州
立大学)
UAlbany Launching NanoHealth And Safety Center
Analysts, Inc.
http://www.benzinga.com/press-releases/11/02/p876562/globalnanobiotechnology-market-to-reach-us-4-4-billion-by-2014-accordi
http://www.strategyr.com/Nanobiotechnology_Market_Report.asp
http://www.newhavenindependent.org/index.php/archives/entry/ualbany_
launching_nanohealth_and_safety_center/id_33850#
起業(Crystal Solar 社、NREL、薄層結晶技術)
Silicon Solar Cells Ditch the Wafers
http://www.technologyreview.com/energy/32406/?nlid=4159
28
計測技術(ナノ粒子、3D 構造解析)
FEI and CEA-Leti Enter Joint Agreement to Characterize
3-D Nanoparticle in Atomic Resolution
Advanced Semiconductor Materials
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/02/110222122353.htm
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41766
安 全 性( 研 究 支 援、EPA、UK's Natural Environment
政策(EU、feed-in tariffs)
Research Council)
Feed-in Tariffs Needed After Grid Parity
EPA awards $5.5 Million for nanotechnology research
http://www.renewableenergyworld.com/rea/news/article/2011/02/feed-
http://www.packagingdigest.com/article/512852-EPA_awards_5_5_
in-tariffs-needed-after-grid-parity
Million_for_nanotechnology_research.php
評価技術(C-T、PES、aluminum-doped zinc oxide)
計測機器(医療、小型核磁気共鳴装置)
Defects in ZnO transparent conductors studied by
Cancer Diagnosis by Smart Phone
capacitance transients at ZnO/Si interface
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2011/02/cancer-diagnosis-by-
http://apl.aip.org/resource/1/applab/v98/i8/p082101_
smart-phone.html?ref=hp
PEN March
計測技術(FEI 、CEA-Leti、連携)
s1?isAuthorized=no
カンファレンス(ISSCC、エネルギー・ハーベスティング)
触媒(ナノ粒子設計)
エネルギー・ハーベスティングの発表は大盛況
R e s e a r c h e r s d i s c o ve r n e w w a y t o d e s i g n m e t a l
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110224/189865/
nanoparticle catalysts
http://scienceblog.com/42998/researchers-discover-new-way-todesign-metal-nanoparticle-catalysts/?utm_source=feedburner&utm_
中国革新都市評価報告
medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+scienceblogrssfeed+%28Science+
北京、中国革新都市ランキングで首位
Blog%29
センサー(タンパク質バイオマーカー、nanochannels、
簡易分析)
Novel nanosensor platform for direct detection of a
cancer biomarker in blood
http://j1.people.com.cn/95952/7298926.html
センサー(超高感度電子皮膚)
Stanford researcher's new stretchable solar cells will
power artificial electronic 'super skin'
http://news.stanford.edu/news/2011/february/bao-stretchable-
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=20257.php
solar-022211.html
カンファレンス(ISSCC、再構成可能トランシーバー、I
有機太陽電池(PPE-PPV 、polymer、fullerene)
MEC)
The latest developments in nanotechnology for solar
Imec and Renesas Electronics Announce Development of
energy
an Innovative SAW-Less Reconfigurable Transceiver
http://cordis.europa.eu/wire/index.cfm?fuseaction=article.
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41777
Detail&rcn=25809&rev=0
医療(ナノ粒子、乳がん)
量子ドット(製作技術、電子ビーム露光、エッチング)
"Engineered" Breast Aims to Improve Nanoparticle
E-beam litho, etch make identical quantum dots
Testings
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-art icle-
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41789
display/2359882263/articles/small-times/nanotechmems/research-and_
development/2011/2/e-beam-litho-etch-make-identical-quantum-dots.html
29
PEN March
Li イオン電池(高性能化技術)
Scientists Develop Advanced Lithium-Ion Battery Using
Nanostructured Anode
http://www.azonano.com/news.asp?newsID=21753
色素増感太陽電池(円筒型、高効率化)
新日鐵化学と九工大、耐久性の高い円筒形の色素増感太陽
情報誌 PEN 購読のご案内
電池を作製
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110223/189830/?ST=PV
http://www.nsc.co.jp/news/data/20110222171555_1.pdf
PEN の継続的な購読をご希望の方は、
ナノ粒子(金、Fingerprints)
Fingerprints of a gold cluster revealed
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=41808
医療(短いタンパク鎖、螺旋構造)
Simpler Way of Making Proteins Could Lead to New
Nanomedicine Agents
・お名前
・ご所属
・メールアドレス
をご記入の上、下記のメールアドレス
までご連絡ください。なお、PEN への
登録・配信は無料です。
[email protected]
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/02/110223092402.htm
PEN は原則月 1 回配信します。
コンファレンス(ISSCC)
Photo gallery: Eye on innovations at ISSCC
http://www.eetimes.com/electronics-news/4213523/Photo-gallery-Eye-oninnovations-at-ISSCC
これまでに発行した PEN と、
【AIST-
TOKYO ナノテク情報】
(PEN の前身)
は、産総研ナノシステム研究部門ホー
ムページにて公開しています。
http://unit.aist.go.jp/nri/nano-plan/index.html
グラフェン(成膜技術、高品質化、生産性)
Physicists develop scalable method for making graphene
http://www.physorg.com/news/2011-02-physicists-scalable-methodgraphene.html
不揮発性メモリ(graphene–ferroelectric FETs)
PEN は皆さまとの情報共有を目的とし
ています。お持ちの情報で共有すべき
ものがあれば、[email protected]
までお寄せ下さい。
Nonvolatile memory based on ferroelectric-graphene fieldeffect transistors is now a step closer to reality
http://www.physorg.com/news/2011-02-nonvolatile-memory-basedferroelectric-graphene-field-effect.html
*いただいた個人情報は産総研 個人情
報保護方針(プライバシーポリシー)
に基づき大切に管理し、情報誌 PEN の
運営と私達のイベントのご案内のみに
使用させていただきます。
30
PEN March
寄稿
国際シンポジウム「ネオバイオミメティクス II:
ソフトマテリアルとやわらかいロボット」開催
産総研ナノシステム研究部門 副研究部門長 山口智彦
バイオミメティクスや生体模倣材料に関する研究の近年
の展開には目を見張るものがありますが、その根底には
生物の仕組みや生物多様性に対する確かな理解があるよ
うです。2009 年、
(独)産業技術総合研究所(産総研)
と東北大学は連携を組んで、エンジニアリング・ネオバ
イオミメティクスに関する国際会議を開催し、バイオミ
メティクス研究の確かなポテンシャルと産業への応用に
ついて活発な議論を行いました。その際取り上げた項目
は以下のとおりです:
(1)ナノバイオ・自己組織・自己
集合、
(2)バイオミネラリゼーション、
(3)バイオメカ
ニクス、
(4)トライボロジー・フルイディクス、
(5)超
撥水、超親水、濡れ、
(6)センシング、
(7)フォトニクス・
オプティクス、
(8)バイオエナジェティクス、ネイチャー
テック。この国際シンポジウムは出席した生物学者、材
図 2. ポスターセッション(田中求氏(ワイシャツ姿)、高原淳氏(九
大、右端))
料科学者、産業界の研究者間の新たな人脈形成にも大き
く貢献しました。
この成功を受けて、第二回の国際シンポジウムが本年 2
月 25 日(金)~ 26 日(土)に茨城県つくば市の産総研
で開催されました(図1)
。今回は、産総研と 5 大学附置
研究所アライアンス(東北大学多元物質科学研究所(東
北大多元研)
、原子分子材料高等研究機構、北海道大学電
子科学研究所、東京工業大学資源化学研究所、大阪大学
図 3. ポスターセッション
産業科学研究所(阪大産研)、九州大学先導物質化学研究
所)、(独)物質・材料研究機構 (NIMS)、バイオミメティ
クス研究会の共催となりました。副題にもあるように、
今回は第一回の話題に加えて、「ソフトマテリアルとやわ
らかいロボット」を主題として取り上げました。アカデ
ミック・プログラムは 18 件の招待・依頼講演と 61 件の
ポスターセッション(図 2、3)から構成され、バンケッ
トでは、参加者の互選によるポスター賞の授与式も行わ
れ賞状と副賞として産総研土産の化石チョコレートが手
図 1. 集合写真(3 月 25 日)
渡されました(図 4)。
31
PEN March
トし、続いてバイオミメティクス研究会の議長である下
村政嗣東北大教授による本シンポジウム開催の経緯を交
えた挨拶がありました。個々の講演の概要は以下のとお
りですが、全体像をつかみやすいように、講演順ではな
く内容で大き括ってみました。
まず、学ばれる側の生物関連の講演を紹介します。
Marian PLOTKIN 氏(シンガポール大)は、スズメバチの
一種がクチクラ層の黄色い色素顆粒(Xanthopterin)を
利用して何らかの形で太陽光のエネルギーを利用してい
ることが示唆される、という興味深い講演を行いました。
図 4. ポスター賞受賞者3名 ( 左から山口、田中氏、Cheng 氏、青
柳氏、下村氏、八瀬氏)
ポスター賞受賞者は以下のとおりです:青柳裕子氏(産
総研)
、木村太郎氏(東工大)
、中西尚志氏(NIMS)、D.F.
Cheng 氏(産総研)
。また、授与式に先立ち、産総研の清
水敏美副研究統括(ナノテクノロジー・材料・製造分野)
からソフトマテリアル研究開発における日本の国際優位
性と今後のバイオミメティクス研究への期待をよせる挨
拶、NIMS 野田哲二理事からバイオミメティクス・データ
ベースに関連した東大通ハイウエイ構想を踏まえた挨拶
これはイスラエルで行われた学位論文の研究内容とのこ
とで、昨年度末に新聞でもセンセーショナルに報道され
たのでご記憶の方も多いことでしょう。奥田隆氏(農研
機構)は、アフリカに生息するネムリユスリカの幼虫の
クリプトバイオシスについて実演を交えて紹介しました。
一たび完全な乾燥状態になれば低温・高温・真空下やマ
イクロ波照射にも耐性を示し、水分を得れば元の(ような)
生命体に復活するというクリプトバイオシスは、生命と
物を行き来する物質系の驚くべき現象ということができ
ましょう(図 5)。
がありました。5 大学附置研究所アライアンスからは、議
長である東北大多元研の河村純一所長ならびに阪大産研
の山口明人所長のメッセージが、齊藤正男・東北大教授
により伝えられました。出席者は約 180 名(うち企業か
らの参加者 41 名、海外研究機関関係者 3 名、産総研関係
者 62 名)
、海外からの招待講演者は、英・米・独・仏・中・
韓・シンガポールから各 1 名です。
では本題に移りましょう。本シンポジウムがイメージし
た「やわらかいロボット」とはヒューマノイド型ロボッ
トではなく、われわれの生活環境の中に自然に溶け込む
昆虫のような小型ロボットで、しかもモーター駆動では
なくソフトアクチュエータのように柔らかく軽い部材で
構成されるものです。そのようなロボットはまだ実現し
ていませんが、すでに米国ではハチドリを模した 20 gに
満たない偵察用メカニック・ロボットが開発されていま
す。昆虫は哺乳類とは全く異なった進化を遂げた地球上
の成功者であり、神経系やセンシングの仕組み、飛翔す
る仕組み、体液循環の仕組みなども哺乳類とは大きく異
なるメカニズムを持っています。このような仕組みを学
んで活用してゆくことも、生物に学ぶというバイオミメ
ティクスの一つの姿であろうと思われます。
本シンポジウムはまず開催側議長である産総研の八瀬清
ナノシステム研究部門長のオープニングの挨拶でスター
32
図 5. 奥田氏によるデモ実験(ネムリユスリカの幼虫)
柳田敏雄氏(阪大)は「ゆらぎ」をキーワードに、分子
機能から脳機能に至る様々な研究事例に基づいた壮大な
階層的生命観「柳田ワールド」を紹介し、出席者をすっ
かり魅了しました(図 6)。
生物の機能を学び、ロボットなどに繋げてゆこうという
試みも大変興味深いものでした。神崎亮平氏(東大)は、
カイコガのフェロモンセンシング・メカニズムと、雌か
らの距離に応じてジグザグ行動から周回行動に至る一連
の行動の仕組みとそれを模したメカロボットの作成まで
を一気通貫する見事な講演を行いました。
UV 光照射による振動子や、ベルトにより回転するモー
ターなどへの応用例についても言及しました。
表面構造と接着や濡れの問題は、バイオミメティクスの
重要課題の一つであると同時に、微小生物を模倣しよう
PEN March
方の性質を兼ね備えた液晶エラストマーについて紹介し、
というやわらかいロボットとも不可分ではありません。
田中求氏(ハイデルベルグ大)は、細胞表層の機能に焦
点を当てた懐の深い研究紹介を行いました。細胞外マト
リックス等を通じて細胞のやわらかな表層がどのように
図 6. 柳田教授の講演風景
自己組織化されているかを学際的手法で解明してゆく研
究スタイルは欧州の懐の深さを感じさせるものでした。
Nicolas FRANCESCHINI 氏(CNRS、地中海大)はハエの
細田奈麻絵氏(NIMS)は、落葉などの生命現象との類似
視覚系の生理学的研究をもとにオプティカル・フローと
性を交えつつ、Al/SUS304 や Al/Al、IC パーツなどの接
呼ばれる動画像計測の手法を活用した独自の視覚センシ
着/脱着技術や甲虫の足先構造と個体表面凹凸と摩擦力
ングシステムを構成し、自動飛翔システムを構成する試
との興味深い研究成果を紹介しました。Hyuneui LIM 氏
みについて紹介しました(図 7)
。
(Korea Institute of Machinery and Materials)はコロイダ
ル・リソグラフィーやエレクトロスピニング法などの手
法を活用して如何に安価で優れた超撥水 / 撥油性表面を
創製するかという KIMM の試みを紹介しました。また、
ナミブ砂漠のキリアツメゴミダマムの背中の表面構造(撥
水 / 親水領域から構成される凸凹表面)を模倣した、大
気中から水を回収する表面の創製についても紹介されま
した。Zhong-Ze GU 氏(中国、南東大)は、昆虫の構造
色などで知られるフォトニック結晶の話題を論じ、構造
色を用いたフォトニック・ディスプレイやバイオアッセ
イ等のバイオ応用について紹介しました。昆虫などは構
造色と色素を巧みに組み合わせているというコメントも
図 7. FRANCESCHINI 氏
森島圭祐氏(東農工大)は、蛾の幼虫の心筋細胞で構成
した心筋細胞ゲルの拍動を利用するソフトアクチュエー
タについて紹介しました。昆虫の心筋細胞は培養寿命が
長いのが特色とのこと。また、クラゲのようなゲルも紹
介されました。馬籠信之氏(京大)は、配向性ナノファ
イバ―上に播種した心筋細胞の拍動挙動や、興奮性媒体
である心筋培養系にアゾベンゼン誘導体を共存させて拍
動リズムの時空間パターンを光で制御する試みについて
発表しました。拍動ゲルが化学エネルギーで駆動できる
と部材デザインの可能性が大きく広がります。原雄介氏
(産総研)はベローソフ・ジャボチン反応という振動反
応の化学エネルギーをゲルの体積変化に変換する N -イ
ソプロピルアクリルアミド-ルテニウム錯体共重合体を
ベースとする様々な高分子ゲルの調製とその特性につい
て紹介しました。Peter PALFFY-MUHORAY 氏(ケント州
立大)は、液晶と架橋されたポリマーとしての固体の両
大いに参考になるものでした。
ところで、私たちは、分子が持つ豊かな情報量をどれほ
ど享受し自家薬籠中のものとして使いこなしているので
しょうか?実は、この問題意識こそが、分子の自己組織
化にもつながるバイオミメティクスの一つの源流でもあ
るのです。小田玲子氏(ボルドー大)は、二つの四級ア
ンモニウムをブリッジした双頭型界面活性剤から成る超
分子組織体の構造制御について論じました。対アニオン
の分子種や他の陰イオンの存在等により、超分子組織体
はリボン状、ツイスト状、チューブ状などにダイナミッ
クにその構造を変換し、しかも相互変換が可能であるこ
とを示しました。Andrew PIKE 氏(ニューカッスル大)は、
DNA は導電性あるいは半導体性ナノワイヤと等価である
みなすことができるというナノテクノロジーの視点を背
景として、DNA- ポリピロール系高分子ハイブリッドから
金属ナノワイヤを構成する手法を紹介しました。前田瑞
夫氏(理研)は、金ナノ粒子やポリ(N -イソプロピル
アクリルアミド)のナノ核から 多数の一本鎖 DNA をコロ
33
PEN March
ナ状に伸長させた高分子コロイド(DNA ナノ粒子)を設
最後に、企画側からのメッセージが述べられました。著
計し、遺伝子診断などへの展開についての紹介を行いま
者は、軽量小型システムのエネルギー効率、階層論から
した。ところで、DNA 塩基対の相補的な認識能を遺伝情
見たゆらぎの起源などについて言及し、ソフトマテリア
報としてではなく、分子認識機能を持つ部材の一種とみ
ルとバイオミメティクスとナノテクノロジーと IT が融合
なしてその特性を突き詰めたものが、DNA タイリングや
する総合技術としての「やわからいロボット」という構
DNA 演算などではないでしょうか?村田智氏
(東北大)は、
想を紹介しました。最後に、下村教授がバイオミメティ
情報担体分子の持つ豊かな可能性、特に DNA 演算の観点
クス研究の進展と今後についてを鳥瞰するとともに(図
からその研究動向を詳細に論じた上で、分子ロボティク
8)、今後の展開を出席者に約束して閉会となりました。
スという新しい考え方を紹介されました。熱ゆらぎにさ
らされながら “ うごく ”、
ナノワールドの “ ロボット ” です。
M. Shimomura, Science and Technology Trends, 37, Oct 2010.
本シンポジウムの要旨集を無料で配布しています。
International Symposium on
Engineering Neo-Biomimetics II
–
Soft Nanomaterials and Soft Robotics –
2011
February 25th (Fri) - 26th (Sat)
Venue AIST Tsukuba Central 1 (Auditorium)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 1-1-1 Higashi, Tsukuba 305-8561, Japan
Photo: M. ATA
Organized by:
AIST
Tohoku University IMRAM & WPI-AIMR
Hokkaido University RIES
Kyushu University IMCE
Osaka University ISIR
Tokyo Institute of Technology CRL
NIMS
Neo-Biomimetics Forum
お問い合わせはメールで横嶋正子([email protected])まで。
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図 8. バイオミメティクスの潮流
PEN March
Column
旅する蝶 アサギマダラ
3 月に入り、PEN の表紙に登場したナベヅルやハクチョウたちもいよいよ北に向けて日本各地から旅
立ちはじめました。鳥よりははるかに小さく、強い風に吹かれたらどこまでもなすすべなく飛ばされ
てしまいそうなチョウの仲間にも、このような渡りをするものがいます。
昨年 7 月の PEN の表紙に登場したアサギマダラは翅を広げた大きさがおおよそ 10~12cm 程度です。
暖かな春の空のような淡く霞む薄緑色の半透明の斑紋を持つチョウです。この緑がかった薄い水色を
古語で浅葱と呼び、このチョウの名前はその模様の色に由来しています。ふわふわと踊るように飛ぶ
姿からは長距離を旅するようにはみえません。
しかし、このアサギマダラはかなりの距離を移動します。夏の間を本州の標高 1000m 程度の高原で
過ごし、秋になると避寒のために偏西風に逆らって九州や沖縄地方に南下します。少数ですが、沖縄
のさらにその先の台湾まで旅をしているものまで観察されています。
アサギマダラの旅とハクチョウやツルの旅とでは、一つだけ大きく違うことがあります。それは、北
から南に飛んだチョウと次の年に南から北に戻ってくるチョウは同じ個体ではない、ということです。
アサギマダラは世代を超えて旅をしているのです。
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PEN March
イベント案内
イベント案内へ掲載を希望される方は [email protected] までご一報ください。
【第 3 期科学技術基本計画】
概要:
「銅」を実験テーマに、酸化還元反応など高校で学
日本の代表的な研究者・有識者への大規模意識定点調査か
ぶ化学実験の内容を体験し、化学の面白さや大切さを楽し
らの警鐘とメッセージ
く学びます。定員 20 名。
― 第 3 期科学技術基本計画期間における日本の科学技術
http://www.t.hosei.ac.jp/~yyuki/pdf/chemical_exp2011_01.pdf
システムの変化をどうとらえるか ―
日時:2011 年 3 月 14 日 ( 月 ) 13:30 ~ 18:10
場所:政策研究大学院大学 会議室 1A ~ 1C
主催:文部科学省科学技術政策研究所 (NISTEP)
概要:本ワークショップでは、科学技術政策研究所が日本
の代表的な研究者・有識者約 1,400 名を対象に実施して
きた意識定点調査(定点調査)から、明らかになってきた
日本の科学技術システムの変化について、原因や対応策
について議論し、今後の科学技術イノベーション政策への
メッセージを見いだすことを目指しています。
http://www.nistep.go.jp/PDF/110314_teiten.pdf
【第 4 期科学技術基本計画】
国際フォーラム 新たな政策形成プロセスの構築に向けて
~科学技術イノベーション政策における「政策のための科
学」の推進~
日時:2011 年 3 月 15 日(火)13:00 ~ 17:00
(開場 12:30)
場所:ベルサール飯田橋
主催:文部科学省、文部科学省科学技術政策研究所、(独)
科学技術振興機構研究開発戦略センター・社会技術研究開
発センター
概要:文部科学省は、2011 年 4 月より、経済・社会等の
【世界化学年関連行事】
第 26 回固体飛跡検出器研究会 公開講演
『マリー・キュリーの考えたこと』
日時:2011 年 3 月 15 日(火)13:20 ~ 13:50
場所:神戸大学深江キャンパス 4 号館 4102 号教室
主催:固体飛跡検出器研究会
概要:本講演は第 26 回固体飛跡検出器研究会の中の公開
講演です。2011 年は、マリー・キュリーが 2 回目のノー
状況を多面的な視点から分析・把握したうえで、課題対応
等に向けた有効な政策を立案する「客観的根拠に基づく政
策形成」の実現に向け、「科学技術イノベーション政策に
おける『政策のための科学』推進事業」を開始します。本
フォーラムでは、その構想や取り組みの内容について紹介
するとともに、広く皆様の意見を伺います。日英同時通訳
がつきます。
http://www.hakushu-arts.co.jp/policy/
ベル賞を 受賞して 100 年目です。新しい元素ポロニウム
とラジウムを発見し、事象として、実体として、科学的概
【科学技術政策】
念としての放射能を発見し、核化学という新しい科学領域
科学技術シンポジウム「システム構築による重要課題の解
の創始を成し遂げたマリー・キュリーの足跡を、伝記、そ
決に向けて」
の時代の音楽、後年のハリウッド映画の映像などを含む豊
日時:2011 年 3 月 16 日(水)13:30 ~ 17:15 富な資料から辿ります。
(開場 13:00)
http://www.maritime.kobe-u.ac.jp/news/2010/20110222.html
場所:学士会館 2F 202 号室
主催:(独)科学技術振興機構 研究開発戦略センター
【世界化学年関連行事】
世界化学年行事 大人のための化学実験教室(第 1 回)
日時:2011 年 3 月 12 日(土)14:00 ~ 15:30
場所:法政大学 自然科学センター サイエンスルーム
主催:大人のための化学実験教室事務局
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概要:現代は、大規模で複雑なシステムにより成り立つ「シ
ステムの時代」であり、社会が期待する重要課題の解決は、
システム構築によって達成されることが多くなっていま
す。そこで、社会の期待に応えるシステム構築とは、ある
いはシステム構築を支えるシステム科学技術の推進方策に
必要ことは?という問いかけに応えるために、科学技術振
PEN March
興機構 研究開発戦略センターがまとめたシステム科学技
【コミュニケーション】
術の推進方策に関する戦略提言「システム構築による重要
科学コミュニケーション研究会 第 6 回関東支部勉強会
課題の解決に向けて」の内容について紹介し、今後の展開
日時:2011 年 3 月 24 日 ( 木 ) 18:30 ~ 20:30
について議論します。
場所:東京大学 本郷キャンパス 理学部 1 号館(予定)
http://crds.jst.go.jp/sympo/sys2011/
主催:科学コミュニケーション研究会 関東支部有志
概要:日本広報学会常任理事である和田仁氏を講師にお招
きし、パブリック・リレーションの視点を取り込んだ科学
【世界化学年関連行事】
コミュニケーションについて議論します。コミュニケー
理系白書シンポジウム ‐ 化学の力が世界を変える ‐
ションが難しい無関心層との対話をどのようにして活性化
日時:2011 年 3 月 17 日(木)13:30 ~ 17:00(開場
するかについて考察します。
13:00)
http://www.scicomsociety.jp/?page_id=25
場所:早稲田大学 大隈記念講堂
主催:毎日新聞社
概要:日本が世界に誇る化学分野での開発技術の原動力を
探ります。基調講演に 2010 年のノーベル化学賞受賞者で
ある根岸英一氏をお招きし、日本の化学研究の現状や今後
の展望についてお話いただきます。
入場は無料です。申込しめ切りは 3 月 14 日(月)です。
https://www.mainichi-ks.co.jp/form/rikei-1103/
【コミュニケーション】
サイエンス映像学会 第 4 回大会
日時:2011 年 3 月 27 日(日)・28 日(月)
場所:青山学院大学 青山キャンパス
総研ビル 11 階・12 階
主催:サイエンス映像学会
概要:サイエンス映像学会は、映像を通して自然や科学の
世界を理解すること、映像をアーカイブ化し、様々な年齢
層の教育に役立てることを目指しています。今大会では、
科学者、テレビ番組制作に携わる方々、映像クリエイター、
教師、学生等の多様な参加者の協働によって進めている、
サイエンス映像のアーカイブ化や活用するためのシステム
等について議論します。
http://gm.svsnet.jp/
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PEN March
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NEWS POD 著作権の関係で、記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています。詳しい内容に関しては各新聞
及び雑誌をご覧ください。
人工臓器
中国「11・5」計画期
TIA 関連
2011/03/09 日経産業新
2011/03/01 新華社ニュース
2011/02/21 化学工業日報
大河内記念賞
新発想
イタリアのナノテク
2011/03/07 日刊産業新聞
2011/03/01 日経サイエンス
2011/02/21 日刊工業新聞
カーボン
産総研ナノチューブ応用研究センター
学生科学賞
2011/03/07 化学工業日報
2011/03/01 日経産業新聞
2011/02/20 東京読売新聞
ナノ環境拠点
半導体百科事典
ナノテク拠点
2011/03/04 日刊工業新聞
2011/02/28 日本経済新聞
2011/02/19 朝日新聞
アスベスト高温無害化
ゲノム解読装置
2011/03/04 日刊工業新聞
2011/02/28 日本経済新聞
負極材料
BASF の投資
2011/03/04 日経産業新聞
2011/02/28 化学工業日報
炭素繊維
アメリカ研究開発予算
2011/03/03 化学工業日報
2011/02/25 科学新聞
軽元素顕微鏡
科学カフェ
2011/03/03 日刊工業新聞
2011/02/25 東京読売新聞
研究開発評価
青野氏インタビュー
2011/03/03 化学工業日報
2011/02/25 日刊工業新聞
DDS
環境経営
2011/03/02 産経新聞
2011/02/24 日経産業新聞
産総研ナノチューブ
粉体技術
2011/03/02 日経産業新聞
2011/02/23 化学工業日報
炭素繊維構造材
単層ナノチューブ
2011/03/02 朝日新聞
2011/02/23 環境新聞
キャパシタ
ナノテク拠点
2011/03/01 日経産業新聞
2011/02/22 日本経済新聞
ナノテクノロジー拠点
最小磁気センサー
2011/03/01 毎日新聞
2011/02/21 毎日新聞
昨年 4 月に第 1 号を発行した PEN も、今号でちょうど 1 周年
を迎えました。地域コンソーシアム、企業連合、企業、さらに
PEN March
編集後記
は個人と、購読の申し込みも毎月着実に増えてきています。
毎号、取り上げる内容はこれでいいのか、この表現で正しく伝
わるのか、どこまで踏み込んで書いていいのか、表紙をどうす
るか等々、すべてが試行錯誤の連続でした。編集室に届く読者
の皆様からの情報やコメントは、そのような試行錯誤のなかで
進める編集作業にとって、大変暖かい励ましであり、ありがた
いものでした。また、学会やシンポジウムなどに際して、主催
者や事務局の方々のご厚意により PEN を多くの参加者の皆様
にお渡しすることもできました。いろいろな形で多くの皆様と
関わり共に創りあげてきたからこそ、本日配信します第 12 号
にまで辿りつけたと思っています。
PEN は、皆様と産総研のコミュニケーションを橋渡しするツー
ルです。PEN が皆様の日々の研究開発や業務に役立てば幸い
ですし、私ども産総研も皆様の研究開発の状況や課題を理解す
るために役立てたいと思っています。今後も現状に満足せず、
読者の皆様と共に PEN の内容の充実と、その発展的な活用を
目指してまいります。
PEN 編集室 一同
2011 年 3 月 11 日
PEN 編集室
関谷瑞木、阿多誠文
独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門
〒 305-8565 つくば市東 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 5-1 4203a 室
Email:[email protected]
Tel:029-861-4433、Fax : 029-861-4433
http://unit.aist.go.jp/nri/nano-plan/index.html
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