資料4-1(民営化手法の比較検討) - 仙台市ガス局

資料 4-1
民営化手法の比較検討
これまで検討してきた仙台市ガス事業民営化に係るあるべき姿の実現及び民営化に
当たっての課題の解決という観点で各民営化手法の比較検討を行った。
1.あるべき姿の実現
(1)「民営化の前提となること」をクリアできるか
z 現行ガス料金の維持・関連事業者との連携
各手法とも対応可能であり手法
による差異はない。
z 公益性の継承
ガス事業法に基づき事業運営がなされるため各手法とも保安
水準、安定供給が保障され、手法による差異はない。
z 円滑な事業引継ぎ
各手法とも対応可能であるが、職員技能の継承の観点で
は、市が出資する「株式会社化方式」及び「長野方式」は市職員の派遣が可能で
あり優位である。「NTT方式」は現職員が移籍するため確実に技能が継承される
が個別法の制定が必要である。
z 経営の外部チェック
各手法とも対応可能である。
z 市の行財政改革
各手法とも対応可能であるが、官民の役割分担の見直しの
観点では、「長野方式」「事業譲渡方式」以外は、市の影響力が大きく官から民へ
移行する効果が小さい。
市財政への貢献の観点では、市税収入や道路占用料収入が発生する「株式
会社化方式」「NTT方式」「長野方式」「事業譲渡方式」が優位であり、加えて「株
式会社化方式」「NTT方式」は将来的には株式売却収入が、「長野方式」「事業
譲渡方式」は、資産の譲渡収入が見込まれる。
z ガス局職員の処遇考慮
各手法とも対応可能であるが、「NTT方式」は職員を
新会社へ移籍するための個別法の制定が必要である。
▼ 各手法とも民営化の前提となる条件をクリアできる。
▼ 円滑な事業引継ぎの観点で優位な「株式会社化方式」「NTT方式」及び「長野方
式」は、市財政への貢献の観点でも優位である。
▼ 官民の役割分担の観点では「長野方式」「事業譲渡方式」が優位である。
▼ なお、「NTT方式」は個別法の制定が実現の絶対条件となり、課題として大きい。
(2)「民営化により期待されるメリット」が大きいか
z 地元企業の創設による民間の雇用シフト
「株式会社化方式」「NTT方式」
「長野方式」は地元企業が創設される。
z 事業領域拡大・サービス向上・地域経済の活性化
「株式会社化方式」「NTT
方式」「長野方式」「事業譲渡方式」は、事業領域の拡大などによるサービスの向
上、地元企業との取引機会の拡大が見込まれるが、「業務運営委託方式」「フラン
チャイズ方式」は、市の基本方針の範囲内で事業運営がなされるので事業領域は
限定的となる。
z 効率的で弾力的な経営
効率的で弾力的な経営という観点では、市の影響力
が小さい「事業譲渡方式」や「長野方式」が、民間の優れたノウハウを生かした経
営が期待される。
z ガス料金の引き下げ
「株式会社化方式」「NTT方式」「長野方式」「事業譲渡
方式」は、料金の引き下げ余地が相対的に大きいと見込まれる。
z 資金調達力強化による経営の安定化
新会社が設立される「株式会社化方
式」「NTT方式」「長野方式」及び既存の会社が受け皿となる「事業譲渡方式」は、
株式の上場により資金調達力の強化が期待できる。
▼ 市の影響力が大きい「業務運営委託方式」「フランチャイズ方式」は、公営事業者
に準じた制約を受け、民営化によるメリットが相対的に小さい。
▼ 残る「株式会社化方式」「NTT方式」「長野方式」「事業譲渡方式」は、いずれも事
業領域の拡大によるサービスの向上、料金引き下げなどが見込まれ、中でも市の影
響力が小さい「事業譲渡方式」や「長野方式」は、民間の創意工夫による経営も期待
できる。
2. 民営化に当たっての課題の解決
z 企業債の取り扱い
資産の譲渡収入を償還原資とできる「長野方式」「事業譲
渡方式」は課題をクリアする。「フランチャイズ方式」は、18 年度決算において約
824 億円となっている企業債残高の償還原資の手当が必要であり、単年度のフラ
ンチャイズ収入でこれを確保することは困難である。「株式会社化方式」は、将来
的には株式の売却収入を償還原資に充てることが可能だが、株式の売却までの
間、償還原資の手当が別途必要となり、現実的に困難と見込まれる。公営企業と
して存続する「業務運営委託方式」と債権債務が新会社へ承継される「NTT方
式」は一括償還の問題は生じない。
z 職員の取り扱い
ガス局には 19 年度当初で約 450 人の職員が従事している
が、必要な知識や技術を持つ職員を新会社が一気に確保することは困難と見込
まれる。市が出資する「株式会社化方式」及び「長野方式」は市職員の派遣が可
能であり、段階的に職員を確保していくことが可能であり、「NTT方式」は現職員
が移籍するため職員確保の問題が生じない。円滑な事業引継ぎについては 1.
(1)のとおり。
▼ 企業債及び職員の取り扱いの2つの課題をともにクリアできるのは、「長野方式」
「NTT方式」だが、前述のとおり「NTT方式」は個別法の制定が絶対条件となる。