王≡忘喜芸豊玉=≡≡≡町 - 芸当嚢≡≡芸堅塁井川 警警 - 秋田大学

Akita University
八郎湖 の周辺地域 における濯概水利 の研究
伊
藤
あ ゆ 子
キーワ- ド:水田濯概 畑地濯慨 湖沼濯準
八郎湖周辺地域
概余剰水を、西部干拓第 1- 3工区揚水機 は地区内
Ⅰ はじめに
での濯概余剰水を反復利用 している。また、北部干
拓第 8、 9工区と西部干拓第 1- 3工区は、用水が
八郎湖の濯慨水利を取 り扱 った研究は、中央干拓
地のみに集中 し、周辺地域については竹内 (
1
9
8
0
)
パイプラインとなっている。
が 3市町を取 り上げているにとどまっている。
干拓地以外では、揚水機が共通 して設置されてい
そこで本研究では、湖沼濯概に関する従来の研究
る。その中で も、八郎潟調整池側の昭和町新関水利
1
9
8
0
)
、堀内 (
1
9
5
9
)
、田林 (
1
9
9
2
)を
である竹内 (
組合の揚水機 2台 と昭和町土地改良区の潟端揚水機
踏まえ、八郎湖の周辺地域の濯概水利を、次章であ
げる水管理組織、受益面積、水利施設、取水方法、
排水方法、水利慣行 と水管理、他の用水源、濯概水
利権、水利用の以上 9項 目を調査 し明 らかにする。
Ⅱ 八郎湖周辺地域の濯激水利
八郎湖の水域 は、東部承水路、八郎潟調整池、西
部承水路か ら成 る。その周囲を北は八竜町か ら南 は
天王町までの 1市 9町が取 り囲んでいる。また、八
郎潟干拓事業で、中央干拓地 とともに造成 された周
辺干拓地が東部承水路か ら八郎潟調整池の沿岸に存
賢
在する。
二′
腎
.
a
+
+
J
J
大
柳
.
象
a
ヽ
三
態
L
…
官
J
逮
.
_
I
糸
.
I
出
p
,
兎
I
r
丘
.
1
I
小
▼
坤1
川
'
t
P
I
◆
ヽ
r
◆
'
.
鶴望せ
葦
,
.
い/
ヽ.
∵
'
-
1
. 水管理組織
水管理組織 は、周辺干拓地では 7組織、干拓地以
外では、1
1
組織が存在 した。
2
. 受益面積
警
芸
警
当
嚢
≡
≡
璽
芸
堅
塁井
7
,
!
柳川
・
!
g
騨
一
膿
血
蓋
印 ≡
\
更
訂
忘
喜
芸
豊
玉
=
≡
≡
≡
町
三
的町一
\
\
-
受益面積 は、周辺干拓地で1
0
4
6
.
9
ha
、干拓地以外
で3
2
2
3
.
8
haが存在 した。
-
-.
-
r
r
f
,
3
. 水利施設
実
王
周辺干拓地では共通 して、干拓事業の際に造成 さ
つー■
一
一
一
-′ 平川
れた取水口と排水機場がある。 また、周辺干拓地 と
⑳
背後地水田との間に、用水路の役割を担 う高位部承
水路が設 けられている。また、北部干拓第 1- 7工
区と西部干拓第 1- 3工区には、揚水機が設置され
ている。設置場所 は、北部干拓第 1- 7工区が排水
触
篭 、\
、
.?
,
B
l
_
J
学
芸 \
一,
」
_
.
_
」
第 1図 研究対象地域
機場内、北部干拓第 8、 9工区が高位部承水路、西
部干拓第 1- 3工区が排水機場に隣接 した場所であ
る。北部干拓第 8、 9工区揚水機は背後地水田の港
- 1-
注 1) 図中内の範 囲 1,2,3は、 それ ぞれ第 2,4,5
図 に対応す る。
(国土地理院発行 1:5
0,
0
0
0地形 図 「羽後浜 田」「森岳」
船 川」 (
1
9
9
0
年修正測量) よ り作成)
「
五城 目」「
Akita University
第 1表
東部承水路を水源 とする地域の水管理組織
2
002
年)
と主要水利施設 (
市町村名 水管棚
周 八竜町
名
受益
u
ulp
杷 L
蒲
(
人)
L
2
:
.
川土地改良区
5
0.
0 7
0
先干拓土地改
81
_
51
3
5
過
琴丘町
区
描
千
号
水利施設名
水ネl
J
施設
C1 北鮮干拓第 7工区排水舶 排水繊 2台
C2 北部干拓第 7工区取水口
部承水路側に珊
U3
6 北部干
北都干拓第 6
8工区排水機場
工区取水口 兼静
C
F
水機水路側に設思
2台
C4
部泉水路側に鯉
C5
C6 北部干拓第 5工区取水口
C7
C8 北野干拓第 4I区取水口
C9 北部干拓第 3工区排水機壕
C1 北静干拓第 3I区取水口
地
備考
U2 北部干拓第 9工区揚水機 高位取 水路から蟻水
U1 北部干拓第 9工区排水機場 排水機 2台
U3 北離干
ヒ
部干拓第
拓第 8
9工区取水口 鵜川川右岸に設置
J
_
ヽ
U4
5 北部干拓第
]
8工区排水舶
工区揚水鴇 排水領
高位昏陣2水路から
ロ
揚水
E
水頒2
台 台、故常
ボ'中
プの銀水
ム
機鰍
1 水路側に社
、水中 、
/歴 1口
水棲 2台
鰍 水路側に
珊
ー
水塊2台、揚水機 1台
東部泉水終鰍 こ設置
C1
水中ノ
東部承水路伽に設恐
、
/ 1台
d1
l
l北鮮干
北部干拓第
拓第 2
1工区排水機鳩
工区排水舶
工区取水口
排水機
ポープ
2
C
2息
台、揚水機 1台、
台
C1 北評干拓第 1工区取水口
描
地
千
山谷南沢水利組
琴丘町 山谷村下水利組
八郎潟町 八郎潟土地改良
a
H
2
3
一
文
2
1
袋
高
酬
排
架
配
水
機
水
格
鳩
1
2.
8 2
7 M2山谷南沢穣水槻
l
l
.
3 1
2 Ml山谷村下揚水機
4
7
4
.
36
5
9 Hl兵坂排水職場
高位離承
揚水稚 1
水韓から
台
放水
揚水機
高位淋 1
水路から
台
揚水
揚水機 2台、排水機 2台
揚水機 2台.排水機 2台
以
注 1)受益面積 と農家数 は、各水管理組織の東部承水路を
水源 とす る地域での数値である。
注 2)表中の番号 は、第 2図 と対応 している。
(
2
0
0
2
年各水管理組織への聞 き取 り調査 より作成)
水
路
が行われている。北部干拓第
1-7工区では、 自然
傾斜 による取水が不能 になった場合 に揚水機を稼働
させ、動力 による取水を行 っている。
ている。
干拓地以外では、揚水機 による動力取水が行われ
5
. 排水方法
周辺干拓地では、排水機 による機械排水が行われ
第 2図
東部承水路を水源 とす る地域の受益地 と主
2
002
年)
要水利施設 (
注 1) この図の範囲は、第 1図の 1と対応する。
注 2)図中の番号 は、第 1表 と対応す る。
0
,
0
0
0
地形図 「羽後浜 田」「森
(
国土地理院発行 1:5
ている。各排水機場 には、干拓地用 と背後地用の 2
台が設 け られお り、干拓地 と背後地の港概余剰水を
合わせて排水 している。南部第干拓第 2工区排水機
場では、第 3工区用の排水機 も設置されているため、
岳 」「
五城 目」「船 川 」 (
1
9
9
0
年修正測量) および各水
管理組織への聞 き取 り調査 より作成)
背後地用 と合わせて計 6台が設 けられている。
:i
干拓地以外では、 自然傾斜 による排水が行われて
は、干拓事業の際の補償で設置 された1
)
。その他 に、
東部承水路側の八郎潟町では排水機場が、 また、西
部承水路側の八竜町と若美町の畑地濃蘭地区ではファー
.
(
.⊂
岳
一
一
a
周
辺
干
拓
ムポ ン ド2) が設 け られている。 なお、八郎潟町の排
地水田
水機場 も干拓事業の際の補償で設置 された。 また、
一
高位部承水路取水口
<
0
40m
水の,
流れ
八郎潟町 と若美町渡部土地改良区管内は、用水がパ
第 3図 北部干拓第 3工区断面図 (
2
002
年)
イプライ ンとな っている。
注 1)水平方向への縮尺 1:1
,
0
0
0
、垂直方向への縮尺 1
1
0
0。誇張率 1
0
倍。
(
2
0
0
2
年 5月の北部干拓第 3工区での測量 より作成)
4. 取水方法
周辺干拓地では、取水 口か ら自然傾斜 による取水
- 2-
Akita University
第 2表
村名
八郎潟調整池 を水源 とす る地域 の水管理組
織 と主要水利施設 (
2
0
0
2
年)
水管 卿
名
受O
益J鵜
井川町
川町土地改良区 1
3
7
」
)
飯田川
川町土地改良 1
2
4
.
7
区
昭和町
町土地改良区
天王町
男鹿市
若美町 欄
昭和町
良区
8
4
.
3
水手
雌 名 水利施設
備考
4
4
2 Ⅸ 1 文辞干拓第 5工区取水口1 馬場白川左岸に軌賢
D
K2 東部干拓第 5工区排水舶
排水t
鼓2台
Ⅰ
Ⅸ3 東捗干拓第 5工区取水口2 川右脚 こ投直
Ⅱ【
4 兼併干拓第4工区排水舶
F
水城2台
2
7
0
I
放
E
【
8
5 東部干拓第
東部干拓第4工区取水口2
工区取水口 1 飯
川
#J
左t
掛
l
右脚
こ紺こ設匿
Ⅰ
1 兼併干繍 3工区排水舶
排水機 2台
掛 目
左岸に設澄
Ⅰ
2 東部干拓第 3工区取水口
Ⅰ
3 東部干拓第 2工区排水舶
排水織 2台
4 東部干拓第 2工区取水口 妹川左岸に設世
Ⅰ
5 東部干拓第 1工区的 鵬
排水織 2台
Ⅰ
6 東和
1工区取水口
豊川左岸に投匝
I
2
2
8 S
8
2
1 南部干
南柑 拓第 4
4工区取水口
工区排水舶
4
4
2
.
3 1
1
4
5 T
T
2
l 甫紺
南柏
区土地改良
西部干拓地 1
26
.
3
胤合
こ
T
(
人)
T
g
.
:
r番号
1
4.
5
2
4
3
排水機 2台
1
1工区取水口
工区排水舶
排水織4台
T3
4
5 南辞干
南部干拓第
拓第 2
3工区取水口
工区排水舶
T
排水触 6台
t
t
2 紺
1工区排水舶
Hl西群干拓集 1工区取水口1 排
としたパイプライ
水機 2台、排水を
ン水源
用の
H3西部第 1工区取水口2
高位粁
姐水枕 2水路に設置
台
H4 赫 2工区排水舶
排
とし
水機2
たパイプラ
台、排水を水源
イン用 の
H5 西部第 2工区取水口
H6 西棟 3工区取水口
境水機
位取 2水路に投匿
台
高位部承水路に細
4
5 NZl 新職汲水鴇 1
銀水機ヽ■
1息 高位部泉水
NZ2 新開放水捜2
町土地改良区
町
7
0.
0
8
7
.
0
l
ー
土地改良区 9
第 4図 八郎潟調整池を水源 とす る地域 の受益地 と
主要水利施設 (
2
0
0
2
年)
注 1)この図の範囲は、第 1図の 2と対応する。
注 2)図中の番号は、第 2表と対応する。
5
0
,
0
0
0
地形図 「
羽後浜田」「森岳」
(
国土地理院発行 1:
「
五城目」「船 川」 (
1
9
9
0
年修正測量)および各水管理組織
への聞き取り調査より作成)
SJl
SJl
l
SJ
SJl
S J
S J
S J
S J
B J
S J
いる。一方、東部承水路側 の八郎潟町 は、排水機 に
l
1
l
l
l
l
S J
S
よる機械排水が行 われている。
揚水機 1鞍水
水路カb
台、
拓鵬
から揚水
高位鮮東水路から揚水
放水機 2台
放水織 1台
鏡水機 1台
境水根 1台
輪水枕 1台
淡水織 1台
妨水成 1台
…
1台
沸水機 1台
沖田浪水横
水蝕 1台
小分揚水推
t
B 台
上馴
水機 1台
干潟姐水披
.
水1
茂1台
持谷地地下水輸水機
揚水機 1台 地下水を揚水
境地
水蝕
娘水城 1台
帝沼…
妨水枕 1台
江川上谷地西 1号榊
放水機 1台
江川上谷地文 1号冷水塊 銀水領 1台
江川上谷地西 2号塊水挽 境水塊 1台
浦河地下水鎗水損
妨水t
k1台 地下水を揚水
帝沼尼払水塊
妨水機 1台 地下水を銀水
江川上谷蚊 2号放水機 披水t
B1台
1
3
3 S3 ㈱
水損
S4 白洲
9
9
2 S
Jl 野村地脚
SJ
2 野沢揚水機
SJ
3 羽立片山第 2境水槻
S
J
4 羽立片山姐水棲
S
JS 中羽立娘水枕
S
J
6 不軌台放水t
k
S
J
T 申分水鏡水披
S
J
8 沖田台抜水織
S
ag 雀口北野姐水枕
J2
S J
1
6
. 水利慣行 と水管理
注 1)受益面積と農家数は、各水管理組織の八郎潟調整池
を水源とする地域での数値である。
注 2)図中の番号は、第 4図と対応している。
(
2
0
0
2
年各水管理組織への聞き取り調査より作成)
周辺干拓地では、水利慣行 はとくにみ られない。
水管理 は、排水機場の管理人が行 っている。管理人
の仕事内容 は、水路の ゴ ミ揚 げと取水 口の開閉であ
り、排水機 に余分 な水が回 らないように努めている。
干拓地以外では、西部承水路側の八竜町の畑地港
地下水 と溜池か らの水 を用水源 と している地域がみ
概地区で、散水時間の輪番制が採 られている。 その
られた。天王町では、秋 田市 の新城川の水 を二 田水
他の地域では、水利慣行 はとくにみ られなか った。
路3) によ って導水 してお り、八郎湖 の水 と合 わせて
水管理 は、揚水機 の管理人が行 っている。管理人 の
使用 している。
仕事内容 は、水路のゴ ミ揚 げと揚水機の運転である。
8. 濯概水利権
7
. 他の用水源
周辺干拓地の取水施設の濯概水利権 は、すべて許
周辺干拓地では、八郎湖か らの水 の他 に、背後地
可水利権であ り、水利権所有者 は農林水産大臣であ
か らの濯概余剰水 を使用 している。
る。 また、施設管理 は、各水管理組織 に委託 されて
周辺干拓地では背後地か らの港概余剰水が主用水
いる。
源であ り、八郎湖か らの取水 は補助的な意味合 いが
干拓地以外の取水施設 は、西部承水路側 に位置す
強いとい う。
干拓地以外では、濯概余剰水 の反復利用の他 に、
る八竜町の畑地濯概地区第 1機場 と若美町の五明光
揚水機、福川揚水機 の 3つが許可水利権である。水
-3-
Akita University
第 3表
市町村名
八竜町
西部承水路を水源 とす る地域の水管理組織
2
0
0
2
年)
と主要水利施設 (
水管理組織名
浜口土地改良区
受益
(
h
i)
地 農家
(
人)
数 番号
」
施設
水利施設名 水寿1
備考
L
il 埋下揚水機
揚水機 1台
5
4
7
.
9 65
9
H2
3 畑地縦
畑地潜流地区第
地区第 2
1鴨場
地場 揚水機 3台
H4
5 畑地液耽地区第
畑地港概地区第 4
3機壕
牧場 らの送水はな
9
8
8年以降はく
範L
3
蓮沼から
機頓か
退泊開墾
若美町
9.
6 2
8
出
H
l
6
7
8
9
o 花谷地娘水塊
芦崎揚水機
畑地潜概地区第
畑地港概地区第
大谷地揚水機 6
5焼場
磯場
01 退泊開墾鏡水塊
8
9
0 666 Wl 五明光揚水機
若美町土地改良区 7 _
W3
W2
W4
W5
W6
W7
福川土地改良区
鹿部土地改良区
部
釜谷地揚水機
玉の池揚水機
宮沢揚水機
野石揚水機
土花揚水機
福米沢揚水機
水飴 1台
水格 1台
一ヽ
揚水機
蛤水塊 1台
p
放水機 1台
幾水機 2台
揚水機 1台
揚水機 1台
W1
W8
W
W9
1
l
5
4
3
2
0
7
6
l 第4
2
3
1領域
横磯
機場
プアームポンド
ファ
ームボンド 揚
-ムボンド
力
旺
水機
横堀
2台
1
6
2,
0 1
1
4 F1 福川揚水機場
陸水機 2台
1
4
6
_
0 2
7
3W
T 瀬端揚水機墳
揚水機 2台
注 1)受益面積 と農家数 は、各水管理組織 の西部承水路 を
水源 とす る地域での数値である。
注 2)図中の番号 は、第 5図 と対応 している。
(
2
0
0
2
年各水管理組織への聞 き取 り調査 よ り作成)
上 げる。
第 6図 は、琴丘町の A農家 の農作業暦 と北部干
拓第 1-7工区の取水実績である。取水量 は濯概期
1 1月了 !
rl1
3
1
男 了 月・rr
SiT 9
㌔
農仲条麿
(
水綴)
7月 了 月 l9月 l
ユ0A I1
1月 I
l
l
隼
雄層
第 5図
函
悪報
きえ
西部承水路を水源 とす る地域の受益地 と主
要水利施設 (
2
0
0
2
年)
冠水開始
代掻き期
注 1) この図の範囲 は、第 1図の 3と対応す る。
注 2)図中の番号 は、第 3表 と対応す る。
5
0
,
0
0
0
地形 図 「羽後浜 田」「
森岳」
(
E
g土地理 院発行 1:
「五城 目」「船 川」(
1
9
9
0
年修 正測量) および各水管理組織
への聞 き取 り調査 よ り作成)
0.
048
m%
間断冠水 落水
海淵期
0.
034m与
良
非満載期
0,
003m3
I
s
0
i
00,
00(
)
ZOO,
000
300,
000
400,
000
5
OO.
000
利権所有者 は、それぞれ、秋田県知事、若美町土地
GOO.
000
(
r
na
)
改良区、福川土地改良区である。施設管理 は、八竜
町畑地濯概地区第 1機場が秋田県知事 となってお り、
第 6図
あとの 2施設は各水管理組織が管理者になっている。
その他の取水施設 は慣行水利権であるが、農林事務
所の資料 に記載 されていない施設 もあった。
9. 水利用
周辺干拓地では琴丘町北部干拓地を、 また、干拓
地以外では八竜町の畑地潅概地区を事例 として取 り
- 4-
北部干拓第 7工区における農作業暦 と取水
量 (
2
0
0
2
年)
注 1)農作業暦 は、北部干拓第 7工区に農地 を もつ、琴 丘
町在住 A農家の2
0
0
2
年 の農作業である。
注 2)取水実績 は、北部干拓第 1-7工区の2
0
0
0
年度 の数
値である。
(
2
0
0
2
年 の農家への聞 き取 り調査および東北農政局西
奥羽土地改良調査事務所資料 :「平成 1
2
年度八郎潟干
拓地区取水量報告」 よ り作成)
Akita University
…
I
.l
A'
-2AJ・二 王 皿
.
(
メE
3
''
タ旭
'遠
品
収横
牲
棒
' ・叩
∵
∴ ∴
∴
∴
轟
定植
伏せ込み
& ・・
・
i
播種 定格
(
ミニトマト)
.
・○片 ・
'
04 rl
lAll
'4・
t
(
ダイコン)
0
.
3
8
瓜‡
3
1
8
収穫
〇一播種
1■
収穫
許可水畳
0
40,
000
80,
000
1
2
0
.
∝雌
1
6仇0q
1
80.
OOO
散水時間
第 7図 八竜町畑地潅概地区における農作業暦 と取
水量 (
2
0
02
年)
注 1)農作業暦 は、八竜町在住 の B農家の、2
0
0
2
年 の農
作業である。
注 2)取水実績 は、八竜町畑地濯概地区第 1機場の2
0
0
2
年
度の数値である。
注 3)散水時間の a
,b, C は、a:3日に 1回 1時間、b:
3日に 1回 1時間3
0
分、C:3日に 1回 1時間3
0
分、
を表す。
(
2
0
0
2
年の農家への聞 き取 り調査および山本農林事務所土
「
平成 1
4
年度八竜町浜 口
地改良課計画 ・指導班提供資料 :
三
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,
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第 8図 八竜町畑地港概地区第 3機場濯概範囲の土
2
0
02
年1
0月)
地利用 と水利施設 (
(
八竜町発行 「1:
5
,
0
0
0
八竜町管 内図」 および 2
0
0
2
年1
0
月の浜 口土地改良区への聞 き取 り調査、現地調査より作成)
土地改良区畑地濯概第 1揚水機取水量実績」 より作成)
作 を行 わない農家が多 いためであ ると考 え られ る
問の 5月か ら増加 し、 8月に最大 となる。 8月 は水
。
(
第 8図)
稲の間断冠水を行 っている時期であるため、取水量
は代掻 き期の 5月よりも少な くなるのが一般的であ
Ⅲ
まとめ
る。 しか し、①干拓地では、代掻 き期取水量 よりも
濯概期の滅水深が多 く見積 もられている。②背後地
以上、八郎湖周辺地域の濯概水利について考察 し
水田 も間断冠水を行 っているため、高位部承水路 に
た。結果、以下のことが明 らかになった。
る。 これ ら 2つの
流入する港概余剰水が減少 している。
1
. 水管理組織 は、周辺干拓地で 7組織、干拓地以
理由か ら、 8月の取水量が増加す るものと考え られ
1
組織存在 した。
外で1
2. 受益面積 は、周辺干拓地で1
0
46.
9
ha、干拓地以
第 7図は、八竜町のB農家の農作業 と畑地濯概地
区第 1機場の取水実績である。八竜町の基幹畑作物
2
3.
8
haであった。
外で32
3. 水利施設 は、周辺干拓地では干拓事業で造成 さ
は、 メロンとアスパ ラガスであ り、生産量 はともに
れた取水 口と排水機場が共通 して設置 されている。
県内第 1位である。その他 には、近年、 ミニ トマ ト
干拓地以外では揚水機があ り、西部承水路側では畑
の栽培が進め られている。 メロンの後作 にはお もに
地濯概施設 も存在する。
ダイコンが栽培 される。取水量をみると、 3月末か
4
. 取水方法 は、周辺干拓地では取水 口か ら自然傾
ら 9月末までの取水許可期間中、4月が最小であり、
斜 によって行われている。干拓地以外では、揚水機
6月が 1
5
万m
による動力取水が行われている。
3
とな り最大を記録 している。 これ は
メロンに加え、 アスパ ラガスが定植 され、濯概が開
5. 排水方法 は、周辺干拓地では排水機 による機械
始 されるためであると考え られる。 7月に入 るとメ
排水が行われている。干拓地以外では、八郎潟町を
0万m 3 に減少
ロンの収穫が始 まるため、取水量 は1
除いて、 自然排水である。
す る。 8、 9月の取水量 は約 8万m 3 とな り、 6月
6. 水利慣行 は、八竜町畑地濯概地区を除 き、両地
の半分 くらいになる。 これは、 メロンの収穫後、後
域 ともに水利慣行 はとくに存在 しない。水管理 は揚
- 5-
Akita University
水機 または排水機の管理人が行 っている。
濯概用水源である溜池の水位低下、湧水の枯渇が
7
. 他の用水源 は、周辺干拓地では背後地水 田か ら
お こった。そのため、当時の農林省 に、南部干拓
の濯概余剰水を使用 している。干拓地以外では、濯
第 4工区高位部承水路 に揚水機を設置 して もらっ
概余剰水の反復利用 に加え河川か らの導水、溜池 と
たとい う (
八郎潟干拓事務所編 (
1
9
6
9
)
,pp.
4
1
7
地下水の利用がみ られた。
および水管理組織への聞 き取 り調査 より)。
8. 濃蘭水利権 は、周辺干拓地の取水施設 において
2
) ファームポン ドとは、固場内あるいはその近傍
に設 ける小規模 な貯水槽のことである。
すべて許可水利権である。水利権所有者 は農林水産
大臣であ り、施設管理者 は各水管理組織 となってい
3
) 二田水路は、1
8
6
6
年 (
慶応 2)に二田祐蔵によっ
る。干拓地以外では、 3つの取水施設のみが許可水
て開削 され、新城川上流の秋田市五十丁か ら取水
利権を取得 している。水利権所有者 と施設管理者 は、
されている (
秋田県土地改良史編纂企画委員会編
1つの取水施設が両方 とも秋田県知事 となってお り、
(
1
9
8
5
)
,pp.
5
9
26
1
0より)0
あとの 2施設 はどち らも水管理組織 とな っている。
文
その他の取水施設 はすべで慣行水利権である。
献
9
. 水利用 は、干拓地では 8月 に最大取水量を記録
している。干拓地以外の八竜町の畑地濯瀧地区では、
1
9
8
5
):『秋田
秋田県土地改良史編纂企画委員会編 (
取水量 は 6月に最大 となっている。
県土地改良史』秋田県土地改良事業団体連合会,
1
0
9
7
p.
竹内常行 (
1
9
8
0
):『日本の稲作発展の基盤一溜池 と
本稿の作成 にあた り、秋田大学教育文化学部の肥
揚水機』古今書院,4
5
2
p.
田登先生か ら終始貴重な御助言をいただいた。また、
現地調査 にあたっては、各水管理組織、秋田県庁、
田林
J
A、農家 の皆様 に終始暖かい御助言 な らびに御協
明 (
1
9
9
2
):つ くば市 における湖沼潅概 シス
テムの統合化.地域調査報告,第 1
4
巻,6
57
4
.
力をいただいた。末筆なが ら、深 く感謝いた します。
八郎潟干拓事務所編 (
1
9
6
9
):『八郎潟干拓事業誌』
注
堀内義隆 (
1
9
5
9
):湖東平野 における逆水濯概の地
農業土木学会,8
1
5
p.
理学的研究.地理学評論,第3
2
巻,7
08
2
.
1
) 南部干拓第 4工区干陸の影響で、背後地水田の
-61