3大気環境 大気汚染物質は主に、工場等の産業施設及び自動車から排出される。 工場から排出される大気汚染物質については、大気汚染防止法、神奈川県生活 環境の保全等に関する条例等(*1)により、排出される大気汚染物質の種類ごと、 排出施設の種類・規模ごとに排出基準が定められており、濃度規制や総量規制に よって規制されている。 代表的な汚染物質として、硫黄酸化物、窒素酸化物(一酸化窒素・二酸化窒素)、 一酸化炭素、炭化水素、浮遊粒子状物質、これらの物質から光化学反応によって 生成される光化学オキシダント等の二次汚染物質があり、このうち硫黄酸化物、 一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダントについては環境 基準が設けられている。 大気汚染により直接的な影響が生じる例としては光化学スモッグがよく知られてい るが、近年、世界的な問題になっている酸性雨も大気汚染が原因であると考えられ ており、間接的な影響についても計り知れないものがある。大気汚染物質の環境基 準は、表Ⅰ-3のとおりである。 (1)町内の大気の状況 本町では、町内の大気環境を把握するため、大気調査を実施しており、平成2 0年度の大気調査結果は表Ⅰ-3-①のとおりである。 (*1)必要 な措置を事前に講じさせるために、ばい煙発生施設、VOC排出及び 特 定粉じん(アスベスト)発生施設を新たに設置および構造変更しようとする者、 また、特定粉じん排出作業を行おうとする者は、あらかじめ知事に届出ることと なっている。 -6 - 表Ⅰ-3 環境基本法で定める環境基準 物 質 二酸化硫黄(SO2) 環 境 上 の 条 件 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、か つ1時間値が0.1ppm以下であること 二酸化窒素(NO2) 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppm のゾーン内またはそれ以下であること 一酸化炭素(CO) 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ1 時間値の8時間平均値が20ppm以下であること 浮遊粒子状物質 1時間値の1日平均値が0.10㎎/m3以下であり、 (SPM) かつ1時間値が0.20㎎/m3以下であること 光化学オキシダント 1時間値が0.06ppm以下であること (OX) 備 考 1. 浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が 10ミクロン(0.01mm)以下のものをいう。 2. 光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他 の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素 を遊離するものに限り二酸化窒素を除く)をいう。 -7 - 表Ⅰ-3-① 大気調査結果 調査期間(夏季)平成 21 年 8 月 4 日(火)~8 月 10 日(月)(冬季)平成 22 年 1 月 30 日(土)~2 月 5 日(金) 二酸化硫黄(SO2)の測定結果(町役場屋上) ※環境基準:1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm 以下であり、かつ 1 時間値が 0.1ppm 以下であること 1 時間値が 0.1ppm を超 有効測 測定時 期間 1時間値の 日平均値の えた時間数とその割合 最高値 季節 定 間 平均値 最高値(ppm (ppm) 日数(日) (時間) (ppm) 時 間 % 夏季 冬季 7 7 日平均値が 0.04ppm を 超えた日数とその割合 時 間 % 168 168 0.005 0.005 0.013 0.008 0.008 0.006 0 0 0.0 0.0 0 0 0.0 0.0 168 0.004 0.012 0.006 0 0.0 0 0.0 (田端二本松交差点) 夏季 7 一酸化窒素(NO)の測定結果(町役場屋上) 季節 有効測定日数(日) 測定時間(時間) 期間平均値(ppm) 1時間値の最高値(ppm) 日平均値の最高値 (ppm) 夏季 冬季 7 7 168 168 0.006 0.022 0.031 0.165 0.007 0.035 7 168 0.014 0.065 0.026 (田端二本松交差点) 夏季 二酸化窒素(NO2)の測定結果(町役場屋上) ※環境基準:1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm のゾーン内またはそ れ以下であること 日平均値が 0.06ppm を超えた日数 測定時 有効測定 期間平均値 1時間値の 日平均値の とその割合 季節 間 日数(日) (ppm) 最高値(ppm) 最高値(ppm) (時間) 時 間 % 夏季 冬季 7 7 168 168 0.011 0.029 0.035 0.051 0.016 0.036 0 0 0.0 0.0 168 0.012 0.031 0.021 0 0.0 (田端二本松交差点) 夏季 7 窒素酸化物(N0x)の測定結果(町役場屋上) 季節 有効測定日数(日) 測定時間(時間) 期間平均値(ppm) 1時間値の最高値 (ppm) 日平均値の最高値 (ppm) 夏季 冬季 7 7 168 168 0.017 0.051 0.050 0.213 0.022 0.068 168 0.026 0.089 0.047 (田端二本松交差点) 夏季 7 一酸化炭素(CO)の測定結果(町役場屋上) ※環境基準:1 時間値の 1 日平均値が 10ppm 以下であり、かつ 1 時間値の 8 時間平均値が 20ppm 以下であること ※8 時間平均値:1~8 時、2~9 時、3~10 時、4~11 時・・・・16~23 時、17~24 時の1日 17 回の時間帯に区分された移動平均値 日平均値が 10ppm 8 時間平均値が 1時間値 日平均値 を 期間平均 有効測定 測定時間 の の 8 時間平均値 20ppm を超えた回数 超えた日数とその割 季節 値 とその割合 日数(日) (時間) 最高値 最高値 の最高値 合 (ppm) (ppm) (ppm) 回 % 日 % 夏季 7 冬季 7 (田端二本松交差 点) 夏季 7 168 0.2 0.5 0.3 0.4 0 0.0 0 0.0 168 0.5 1.2 0.6 0.9 0 0.0 0 0.0 168 0.2 0.7 0.3 0.5 0 0.0 0 0.0 -8 - 浮遊粒子状物質(SPM)の測定結果(町役場屋上) 0.20mg/㎥であること ※環境基準:1 時間値の 1 日平均値が 0.10mg/㎥以下であり、かつ 1 時間値が 1 時間値が 0.20mg/㎥ を超えた時間数とそ の割合 時 間 % 日平均値が 0.10mg/ ㎥を超えた時間数とそ の割合 時 間 % 季節 有効測定 日数(日) 測定時間 (時間) 期間平均 値(mg/㎥) 1時間値の 最高値 (mg/㎥) 日平均値 の 最高値 (mg/㎥) 夏季 冬季 7 7 168 168 0.017 0.021 0.046 0.048 0.024 0.026 0 0 0.0 0.0 0 0 0.0 0.0 168 0.020 0.049 0.024 0 0.0 0 0.0 (田端二本松交差点) 夏季 7 光化学オキシダントの測定結果(町役場屋上) ※環境基準:1 時間値が 0.06ppm 以下であること、※昼間時間帯:5~20 時 昼間の 1 時間値が 0.06ppm 昼間の日平均 昼間の期間 昼間の1時間値の を超えた時間数とその割合 値の最高値 最高値(ppm) 平均値(ppm) (ppm) 時 間 % 季節 昼間の測定 日数(日) 昼間の測定 時間(時間) 夏季 冬季 7 7 105 105 0.015 0.019 0.049 0.049 0.031 0.035 0 0 0.0 0.0 105 0.013 0.041 0.023 0 0.0 (田端二本松交差点) 夏季 7 有害大気汚染物質(ベンゼン等)の測定結果(町役場屋上) ※環境基準(ベンゼン):1 年平均値が 0.003mg/㎥以下であること ※(トリクロロエチレン):1 年平均値が 0.2mg/㎥以下であること ※(テトラクロロエチレン):1 年平均値が 0.2mg/㎥以下であること ベンゼン(mg/㎥) トリクロロエチレン(mg/㎥) テトラクロロエチレン(mg/㎥) 地 点 季 節 町役場屋上 田端二本松交差点 夏 季 冬 季 夏 季 0.00022 0.0020 0.00032 0.00005 未満 0.00073 0.00005 未満 ※調査期間(夏季)平成 21 年 8 月 4 日(火)~8 月 10 日(月) (冬季)平成 22 年 1 月 30 日(土)~2 月 5 日(金) -9 - 0.00008 未満 0.0011 0.00008 未満 (2)光化学スモッグ 光化学スモッグとは、自動車の排気ガスや工場のばい煙に含まれている炭化 水素や窒素酸化物が、大気中で太陽の強い紫外線を受けると光化学反応と呼ば れる現象により光化学オキシダントなどに変化する。この光化学オキシダント などが、気象条件により白くモヤがかかったように見える状態をいう。 また、光化学オキシダントは、ある濃度を超えると人の健康や植物などに悪 い影響を与えるといわれている。 神奈川県では、光化学スモッグによる被害発生を防止するため、昭和47年度か ら「神奈川県大気汚染緊急時措置要綱」を定め、毎年光化学スモッグの発生しやす い時期(4月から10月)に予報、注意報等を発令するなどの緊急時措置を実施す る体制をとっており、その発令基準は表Ⅰ-4、発令地域の区分は表Ⅰ-5のと おりで、発令時期の連絡体制を図Ⅰ-1に示した。 平成21年度の光化学スモッグ注意報の発令状況は表Ⅰ-6のとおりであり、県 下の発令日数は4日、被害の届出は5名、最初の発令日は4月11日で、8月22 日までであった。 (平成20年度は5月23日から9月17日まで、計11日発令) 一方、湘南地域の発令日数は2日で、20年度と比較して3日減少し、幸いにし て本町では被害の発生はない。発令日は4月11日から5月20日までであった。 ここ数年の発令状況と被害状況は表Ⅰ-7に示したとおりである。 なお、県では光化学スモッグ注意報等の情報をテレホンサービスやインター ネット(携帯電話・パソコン)により4月から10月まで提供している。 また、緊急時措置発令時には、県から主要ばい煙排出者に対し燃料使用量等 の削減措置を要請している。本町では、5事業所が対象になっている。 テレホンサービス:0463-24-3322 パソコンアドレス:http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/haturei/ 携帯電話アドレス:http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/i/ - 10 - 表Ⅰ-4 *光化学スモッグ予報・注意報などの発令基準: 種 類 前日予報 (前日午後5時) 当日予報 (当日午前10時) 注意報 警 報 重大警報 表Ⅰ-5 区 域 発 令 基 準 翌日の気象条件からみて、光化学オキシダント濃度が注意報の発令 基準の程度になると予測したとき 当日の気象条件からみて、光化学オキシダント濃度が注意報の発令 基準の程度になると予測したとき 光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上となり、気象条件か らみて、その状態が継続すると認められるとき 光化学オキシダント濃度の1時間値が0.24ppm以上となり、気象条件か らみて、その状態が継続すると認められるとき 光化学オキシダント濃度の1時間値が0.4ppm以上となり、気象条件か らみて、その状態が継続すると認められるとき 光化学スモッグ注意報発令地域区分 市 町 村 区 域 市 町 村 区 湘 小田原 市 県 域 市 町 村 横 浜 横 浜 市 西 央 秦 野 市 川 崎 川 崎 市 (2市8町) 南足柄 市( 6市 ) 厚 木 市 横 須 賀 横須賀 市 中 井 町 大 和 市 三 浦 三 浦 市 大 井 町 伊勢原 市 湘 南 平 塚 市 松 田 町 海老名 市 (5市4町) 鎌 倉 市 山 北 町 綾 瀬 市 藤 沢 市 開 成 町 北 茅ヶ崎 市 箱 根 町 (2市1町 座 間 市 逗 子 市 真 鶴 町 葉 山 町 湯河原 町 寒 川 町 大 磯 町 二 宮 町 - 11 - 相 相模原 市 1村) 愛 川 町 清 川 村 表Ⅰ-6 回数 年月 平成21年度光化学スモッグ注意報発令状況 発令地 発令時刻 解除時刻 ox 最高濃度 ox 最高濃度時刻 ox 最高濃度測定局 1 4/11 湘南 15:20 18:30 0.120 15:00 平塚市旭小学校 2 5/20 横浜 14:20 20:40 0.152 15:00 青葉区総合庁舎 川崎 15:20 20:10 0.148 16:00 麻生区弘法松公園 横須賀 14:20 20:10 0.129 18:00 横須賀市西行政センター 湘南 15:20 21:40 0.146 16:00 平塚市旭小学校 西湘 14:20 20:10 0.151 17:00 小田原市役所 県央 15:20 21:00 0.155 18:00 秦野市役所 北相 15:20 21:00 0.145 18:00 愛川町角田 横浜 15:20 17:10 0.153 16:00 都筑区総合庁舎 川崎 15:20 17:30 0.170 16:00 川崎市公害監視センター 県央 15:20 19:10 0.138 18:00 秦野市役所 北相 14:20 19:40 0.144 16:00 相模原市津久井 川崎 14:20 15:20 0.139 14:00 登戸小学校 3 4 7/16 8/22 - 12 - 表Ⅰ-7 光化学スモッグ注意報発令状況と被害状況の推移 発令状況(日数) 年度 県 下 町 被害状況(人) 内 県 下 町 内 4 14 2 205 0 5 9 3 3 0 6 15 2 53 0 7 13 2 46 0 8 7 0 1 0 9 4 1 0 0 10 10 3 7 0 11 4 0 0 0 12 10 4 48 0 13 13 2 1 0 14 11 2 124 0 15 6 2 17 0 16 16 5 4 0 17 7 3 276 0 18 14 12 199 0 19 20 7 4 0 20 11 5 14 0 21 4 2 5 0 備 考 図Ⅰ-1 平成21年度湘南地域被害者 2人( 0人 ) 光化学スモッグ注意報発令時連絡体制 神奈川県環境科学センター情報交流部 (FAX) 町 環 境 課 民(防災行政無線) 関係部課等 消防署 - 13 - (3)悪臭の概要 「悪臭」とは、人が感じる「いやなにおい」、「不快なにおい」の総称である が、嗅覚感度には個人差や嗜好性、慣れによる影響がある。そのため、ある人 には悪臭として感じられるが、他の人には感じないという場合や、いい香りで あっても濃いものを嗅がされたり、長時間嗅がされると、悪臭として感じられ ることがある。 人 が感じるにおいの大部分は、「複合臭(=低濃度・多成分の臭気物質が 相 加・ 相乗・相殺した強いにおい)」といわれるもので、この複合臭が悪臭問 題 の原因となる。 悪臭は、騒音や振動とともに感覚公害と呼ばれる公害の一種であり、環境基 本法第2条で定める「公害」のひとつで、悪臭による公害は、その不快なにお いにより生活環境を損ない、感覚的・心理的な被害を与えるものである。 悪臭の大部分は、低濃度・多成分の臭気物質からなっており、これらが複合 して住民に不快感をもたらし、苦情となっていることが多い。 発生源としては、工場・事業場や店舗などさまざまで、屋外燃焼行為による 場合もある。 悪臭は風等に運ばれ、広範囲に拡散することがあるため、発生源の特定を難 しくしている場合も少なくない。 悪臭防止法では、アンモニアなど22の特定悪臭物質規制で対応してきたが、従来 の規制方式では対応が困難なため、県では人の嗅覚を用いて悪臭を判定し、すべて の臭 気物質を対象とする「臭気指数規制」を平成15年11月1日から取り入れ、本町 も規制対象地域として指定されている。 規制基準は、表Ⅰ-8のとおりであり、本町における平成21年度中に実施 した臭気調査地点とその結果は表Ⅰ-9のとおりであり、1種地域の八角広場 は規 制基準値を上回っていたが、それ以外の地点では全て規制基準値を下回っ ていた(1号基準)。 - 14 - 表Ⅰ-8 規制基準 敷地境界線上 気体排出口(2号基準) 排出水 (1号基準) 1種地域 (3号基準) 臭気指数10 悪臭防止法施行規則第6条の2に 臭気指数26 定める方法により算出した臭気指 2種地域 ※ 臭気指数15 数又は臭気排出強度 臭気指数31 1種地域:住居系地域 2種地域:商業系地域、工業系地域及びその他の地域 表Ⅰ-9 臭気調査結果(臭気指数) 採取日:平成21年8月6日(木) 試験の結果 採取時刻 天候 気温(℃) 風向 風速(m) 臭気指数 臭質 *倉見幼稚園 13:57 曇り 29.2 calm 1.0未満 10未満 無臭 倉見防災倉庫 13:35 曇り 30.2 calm 1.0未満 10未満 無臭 旭小学校 13:22 曇り 28.8 南 1.4 10未満 無臭 上合橋付近 13:08 曇り 29.4 南 2.4 10未満 無臭 小谷地域集会所 10:53 曇り 29.8 calm 1.0未満 13 埃臭・油臭 *根岸公園 11:28 曇り 31.6 calm 1.0未満 10未満 無臭 寒川神社 12:53 曇り 29.2 南南西 1.3 10未満 無臭 追出橋付近 10:41 曇り 28.0 南 1.7 10未満 無臭 *越公園 10:31 曇り 28.2 calm 1.0未満 10未満 無臭 町役場 11:10 曇り 31.2 南西 1.1 10未満 無臭 寒川東中学校 10:09 曇り 28.8 calm 1.0未満 10未満 無臭 *八角広場 9:05 曇り 27.6 calm 1.0未満 12 排ガス・食品臭 有機溶剤臭 城の下公園 9:25 曇り 27.2 calm 1.0未満 10未満 無臭 *十二神社 9:51 曇り 27.8 calm 1.0未満 10未満 無臭 田端西町集会所 9:35 曇り 27.4 calm 1.0未満 10未満 無臭 ※calm:風速1.0m/s未満 、*:1種地域 - 15 -
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