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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
熱赤外線映像装置によるコンクリート吹付のり面の変状調査事例
Author(s)
久田, 真太郎; 山中, 稔; 中川, 慶和; 後藤, 惠之輔
Citation
長崎大学工学部研究報告 Vol.32(59) p.113-118, 2002
Issue Date
2002-07
URL
http://hdl.handle.net/10069/5219
Right
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長崎大学工学部研究報告
第3
2巻
第59号
平成 1
4年 7月
11
3
熱赤外線映像装置 によるコンク リー ト吹付 の り面 の変状調査事例
久 田真太郎* ・山中
稔**
中川 慶和***・後藤恵之輔*
De
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e・
1. は じめに
されてお り4)-6
),近年では診断マニ ュアル7)も作成 され
の り面対策 としてのモル タルや コンクリー トを吹付
ているが,現地での各種制約か ら必ず しも一般化 され
けるシ ョッ トクリー ト工法 は,工法の簡便 さや経済性
た ものであるとは言い難 い.本研究では,顕著 に老朽
などか ら1
965年代 よ り多用 され1
'
,現在では開口クラ ッ
化 の進 んだ コンクリー ト吹付 の り面 を対象 として,熟
クやせ り出 しな どの 目に見 えて老朽化が進 んだの り面
赤外線映像装置 を用 いた変状調査 を実施 し,空洞部や
も多 くなって きている.また,吹付 の り面の維持管理
湿潤部等の変状箇所 を抽 出 した ものである.
お よび老朽化 の実態 に関す るア ンケー ト結果2)に よる
と,吹付 の り面老朽化 の形態 としては背後地 山側 か ら
の老朽化事例 (
地 山 とモル タルの密着不 良)が過半数
2.調査対象地の概要
図 - 1に,調査対象地位置図 を示す.調査対象地は,
を占めてお り,吹付材料 の強度低下のみでな く,地 山
長崎県平戸市 の道路沿いの切土 の り面 における, コン
との空洞部 を的確 に把握す る必要がある と言 える.維
クリー ト吹付 の り面である.調査対象地 とした平戸 島
持管理 における吹付 の り面背後の空洞調査方法 として
南部地域 の地質 は,新第三紀 中新世前期 の堆積岩 とこ
は,多 くは経験的な打昔調査 が用 い られてい るが, こ
れを覆 う新第三紀 中新世中∼後期の火山岩類 よ りなる.
の打音調査 では,崩壊 の危険性が大 きなの り面での作
堆積岩類 は,主 に凝灰 質の砂岩や泥岩,凝灰岩か ら
業 とな り災害 を引 き起 こす場合3
)
があるため,非接触 ・
な り,火山岩類は,主 に安山岩質の火山岩 とこれを覆っ
非破壊型の調査手法が望 まれる.
ている玄武岩が分布 している8'.
そ こで本研究では,吹付 の り面の老朽化 (
空洞)調
図 -2には調査対象の り面周辺の平面図 を示 し,写
査方法 として,非破壊検査技術 の一つである熱赤外線
真 - 1に吹付 の り面 の状況 を示 してい る.調査地斜面
映像法 を採用 した.本手法 は これ までい くつかの研究
は, コンクリー ト吹付 けが施 された最大高 さ12m の切
9日受理
平成1
4年 4月1
*大学院生産科学研究科 (
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社会開発工学科 (
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*総合地研 (
秩) (
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)
11
4
久 田真太郎 ・山中
稔 ・中川
慶和 ・後藤恵 之輔
図- 1 調査対 象地位置図
秦 - 1 吹付 の り面の地 山性状 と表面温度の関係
吹付背
の 性 状
後
深夜 .早朝
日 中
温度変
2時刻の
化
空洞部
低温
特 に高温
特
温度変
に大化が
きい
健全部
高温
やや低 温
小
温度変
さい化が
土砂部
低温
高温
大
温度変
きい化が
K・
冬期 において,地下水 温が相対 的 に高 い場合 は 日中,
夜 間において,湿潤部が高温 となる場 合がある.
写真 - 1 調査対 象吹付 の り面の状 況
土 の り面 と,勾配 250
の 自然斜面 か らな り,の り面延
長は約 8
0mであ る.当該斜面 におい ては,特 にの り面
部 を中心 に顕著 な変状や異常が見 られた.主 な変状 を
示す と,以下の ようになる.
・の り面のコ ンクリー トが全体 に大 きく割れてお り,
縦割れの他,連続す る水平方 向の割れ などがあ る.
割 れ 目幅 は,最 大箇所 で約 3c
mであ り,割 れ 目
か らは潅木 や草が生え出 している.
・の り面の押 し出 しによ り側溝が 閉塞 している箇所
がある.
・路肩の コンク リー ト壁 に亀裂が生 じている.
・の り面背後 のの り肩部 には引張 りによる と考 えら
れる小段 差が見 られる.
・自然斜面部 において,明瞭 なすべ り崩壊跡 地形が
見 られる.
これ らの変状 よ り,吹付 コンク リー ト背面 におい て
土砂の移動が生 じている ことが推 測 された.土砂移動
を確認す るため には,吹付 コンク リー トを剥 ぎ取 り,
地山を露出させ ることが最 も確実であるが , この作業
には土砂 崩壊 な どの危険 が伴 うため,本調査 において
は, コンク リー トを剥 ぐことな く遠隔か らの非破壊 で
の調査 が可能 な,熱赤外線映像技術 を採用 した.
3.熟赤外線映像 法の概要
3.
1 吹付の り面の熱 収支
吹付 の り面は, 日中には 日射 によ り温め られ,夜 間
には外気 によって冷や される.外的な影響 を受 けたの
り面は,地山の変状や湧水,吹付 けの厚 さな ど比熱の
違 いや熱伝導率 ・
熱容量 の違い に よってい くつかの規
則性 を もった表 面温度 分布 として現 れ る7'
と言 われて
いる.すなわ ち,熱赤外線映像装置 による吹付の り面
調査 は, この原理 を用 いて,吹付の り面の表 面温度 を
検 出 し,相対 的な表 面温度 の規則性 に したが って,吹
付 の り面背後 の地山の状態 を推測す る方法である.
表 - 1に,吹付 けの り面の地 山性状 と表面温度 の関
係 を示す.吹付 の り面の表面温度 の変化 は, 日中に 日
射 によ り温め られ,夜 間には蓄積 された熱 エ ネルギー
を放射 し冷や される といったほほ一定 のサイ クルを示
し,このサイクルは地 山性状 によって熱の吸収率,放
射率が異 な り温度変化 に違 いが表れ るのであ る.
熟赤外線映像装置 によるコンクリー ト吹付の り面の変状調査事例
3.
2 調査および解析方法
11
5
1)空洞部の抽出 (
s
t
ep① およびs
t
ep②)
本調査では, これ ら吹付 けの り面の地山性状 と表面
t
e
p① における解析結果 を示す.空洞部
図 -3に,s
温度の関係 を用いて,空洞部 と健全部, また土砂部,
の抽 出 としては ,s
t
e
p① の「早朝 における空洞部 は低
湿潤部の抽 出を行 った.そ して,その抽出 したポイン
温である」とい う条件 により,まず図- 3(
a)を用いて,
ト(
領域) による,空洞部 と健全部の熟赤外線装置 に
低温部 の範囲A 1-11を抽 出 した. さ らに, 図 - 3
よる観測温度の経時変化 を見た.
(
b)には,s
t
e
p② の条件 「日中 における空洞部 は特 に
調査 は,11月下旬の早朝 6時32分か ら,測定対象地が
高温 であ り,2時刻の温度差が特 に大 きい」を加 えて
3時27分 までの約 7時間にわた り,5分
日陰 となった1
考慮 す るため に,低温部 の範 囲A 1-11にお ける早
間隔で表面温度 を観測 した.なお,観測の前夜か ら観
朝 と日中における表面温度 を示 している.早朝 におい
測直前 まで降雨があったため,測定開始時には対象箇
てはいずれの範囲 とも,表面温度の差はほ とん どない
所が降雨 により湿潤状態 にあった.
が, 日中においては温度差が生 じ,その温度差 は,範
さらに,今回解析 を行 ってい く際 に,吹付 け背後の
性状 の各部 は,下記の 4つの場合 とした.
Ⅰ.健全部 :地山が健全 な状態で吹付 け と密着 し一
体化 している部分.
Ⅱ.空洞部 :地山の風化浸食あるいは吸い出 し等 に
よって吹付背後が空洞化 した部分.
囲Flお よびH lにおいて大 きい こ とが分 か る.す な
t
e
p① の条件 よ り,Flお よびHlとの範囲が空
わち,s
洞部である可能性が大 きい と言える.
図 - 4には,s
t
e
p
② における解析結果 を示 している.
t
e
p① の解析方法 とはは逆 に,「日中にお ける
前述 のs
t
e
p
② の条件 により,
空洞部は特 に高温である」 というs
Ⅲ.土砂部 :地山の風化が進行 し土砂化 した部分.
a
)において,特 に高温部 として範 囲A2
まず 図 - 4(
Ⅳ.渡潤部 :地山が湧水や降雨の浸透 などによって
-H2を抽 出 し, その抽 出 された範囲A2-H2にお
水 を多 く含んだ状態 にある部分.
また,解析作業 における空洞部 と健全部,土砂部,
いて ,「早朝 における空洞部 は低温 であ り,2時刻の
温度差が特 に大 きい」とい う更 なる条件 を考慮 した.
湿潤部 の抽 出 と,抽 出確認の ための経時変化 グラフ
b)に示 されるように条件 に合 うも
その結果,図- 4(
の作成 を行 うにあた り,以下のs
t
e
p
① ∼⑦ を実施 した.
のは,B2,E2,F2の範 囲において空洞部であるこ
s
t
e
p① :深夜 ・
早朝 における空洞部 は低温である と
とが示唆 される. しか し,B2の範囲は亀裂があ り,
い うことに着 目して空洞部の抽 出
空洞部 も目視で確認 で きてい る場所 であ り, また,
s
t
e
p② :日中における空洞部は特 に高温であるとい
F2は温度差があるものの,与 えた領域の範囲が広 く,
うことに着 目して空洞部の抽 出
領域内において更 なる検討 を行 っていかなければな ら
s
t
e
p③ :深夜 ・
早朝 における健全部 は高温である と
ない領域である. このため,今回の空洞部の推測箇所
い うことに着 目して健全部の抽 出
t
e
p
② においては,E2の
としては除外 した, よって,s
範囲が空洞部である可能性が大 きい と言 える.
s
t
e
p④ :日中における健全部は特 にやや低温である
とい うことに着 目して健全部の抽出
以上の ことか ら,s
t
e
p① お よびs
t
¢
p② の条件 か ら推
s
t
e
p⑤ :s
t
e
p① とs
t
e
p②の画像か ら土砂部の抽出
定で きる空洞部 としては ,H l,Flお よびE2の範囲
s
t
e
p⑥ :s
t
e
p① の画像か ら湿潤部の抽 出
であると考 えられる.
s
t
e
p⑦ :空洞部,健全部のポイン ト(
領域)による吹
付の り面の表面温度の時間変化図を作成
2)健全部の抽出 (
s
t
ep③ およびs
t
ep④)
t
e
p③ の条件 による解析結果 を示す.節
図 -5に,s
4.解析結果 と考察
述のs
t
e
p① お よびs
t
e
p② と同様 に, まず ,「
早朝 におけ
4.
1 吹付背後の性状の抽出
a
)図 には,解析 に使 用 した熱
図 - 3-図 - 6の (
a
)
る健全部 は高温であ る」 とい う条件 か ら, 図- 5(
において,高温部 と して範囲A3-E3を抽出 した.
画像 を示 して い る. ここで ,早 朝 は, 日の 出前 の
その抽出 された範囲A3-E3において,「日中におけ
A.
M 6:
32に撮影 を行 った画像 を使用 し, 日中は,気
る健全部はやや低温であ り,2時刻の温度差が小 さい」
Mll:
52に撮影
温が ほぼ最高 となった と考 え られたA.
とい う更 なる条件 を与 え,図- 5(
b)か ら判断する と,
を行 った画像 を使用 している. なお,各熱画像 内の
A3の範囲が健全部である可能性が大 きい と言える.
アル フ ァベ ッ トは,線 で囲 まれた範 囲 を表す記号 で
図 - 6には,s
t
e
p④ の解析結果 を示 してい る. 「日
中における健全部はやや低温である」 とい う条件か ら,
ある.
図- 6(
a
)において,やや低温部 として範囲Å4-G4
11
6
久田真太郎 ・山中
稔 ・中川
0t
L
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L
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L
>0
4
V2 2 1 1
(
3.
)
せ鵬
■早翻 (
6:
32)■日中(
11:
52)
AI
(
a)熟画像 (
AM石:3
2
)と選定領域
慶和 ・後藤恵之輔
L
BI
CI
DI
EI
領域
FI
GI
HI
I
l
(
b) 各領域 の表面温度 (
早朝 , 日中)
図- 3 s
t
e
p
① の場合
05 0 5 0 5 0
32 2 1 1
(
p)世鵬
日:
52)
■早鋼(
6:
32)義 日中 (
A2
(
a)熱画像 (
AMl
l:5
2
) と選定領域
82
02
」
D2
E2
境域
F
2 (
;
2 H
2
(
b) 各領域 の表面温度 (
早朝, 日中)
図- 4 s
t
e
p
② の場合
叫
0 L
h
VO 5 0 L
F
)0
-1
3 2 2 ・t
(
P) 畑
SO(
6:
3
2)I日中(
l
l.
5
2
)
B3
(
a)熱画像 (
AM石:3
2
)と選定領域
C3
儀壌
D3
E
3
(
b) 各領域 の表面温度 (
早朝 , 日中)
図- 5 s
t
e
p
③ の場合
L
E
)2
O 1
l
○ ○ L
L
)0
2
1
(
3.
)
職鯛
■早覇(
6:
32)●日中(
ll:
52)
B4
C4
D4
E
4
F
4
領域
(
a)熱画像 (
AMl
l:5
2
)と選定領域
(
b)各領域 の表面温度 (
早朝, 日中)
図- 6 s
t
e
p
④ の場合
Ql
熟赤外線映像装置 によるコンクリー ト吹付 の り面の変状調査事例
11
7
を抽 出 した. この抽 出 した範 囲A4-G4において,
4.
2 抽 出 した箇所の確認 (
s
t
ep⑦ )
「
早朝 にお ける健 全部 は高温 であ り,2時刻 の温度差
が小 さい」とい う更 なる条件 を与 え,図 - 6(
b)を見 て
t
e
p⑦ で は ,s
t
e
p
抽 出 した箇所 を確認 す るため に,s
① -⑥ の解析過程 によ り,吹付背後の性状別 に抽 出 さ
判 断す る と,E4の範 囲 において健全部 であ る可能性
れた範囲内で ,s
t
e
p⑦ において,それぞれ同条件 の領
が大 きい と推測で きる.
域 を とって,空洞,健全部か ら 2点づつ,土砂 ,湿潤
したがって,健全部 として可能性が大 きい箇所 は,
部か ら 3点づつ とり, まとめた ものが表 -2である.
A4お よびE4の範 囲であることが判明 した.
3時27分 までの,
観測開始 6時32分 か ら観測終了の 1
s
t
e
p⑦ で与 えた各領域 についての表面温度の経 時変化
3)土砂部の抽 出 (
s
t
ep⑤ )
よ り,抽 出 された各性状が正 しい結果であるか判断材
s
t
e
p① にお ける解析 過程 に使 用 した熟画像 の図 - 3
料 にす るため に行 った.
よ り,「
早朝 にお ける土砂部 は低温 であ り, 日中にお
ける土砂 部 は高温 であ る」こ とに着 目す る と, 図 - 3
図 - 7に,表 - 2で対応 させ たポイ ン ト (
領域)の
A7-J7の 1
0点の位置 を示 している.
(
a)のD l,E l,G lの範囲 において土砂部である とい
図 - 8に,各領域 の選定個所 における観測表面温度
う特色 が あ り, 吹付 背後 が土砂 部 で あ る と推 測 で き
の経時変化 を示す.なお,吹付背後の地山性状が特 に
る.
表 - 2 各領域 の対応表
次 に,s
t
e
p② にお ける解析過程 に使 用 した熱画像 の
図 - 4よ り,図 一 4(
a)の ,C2,D2,H2の範 囲 に
おいて土砂部である とい う特色があ り,吹付背後が土
空洞部 健全部
地 山性 状
土砂部
湿潤部
s
t
e
p① -㊨ H lE2A3E4E1G lC2A 1C1Ⅰ1
砂部である と推測で きる.
よって ,D lの範 囲 は亀裂部分 のため除外 し,土砂
, G lと,C2,
部 と して可能性が大 きい箇所 は,E l
D2,H2の範 囲が抽 出で きる. また, この土砂部 は,
空洞部 になる可能性が高い こ とか ら,注意す るべ き箇
所 として言 える.
4)湿潤部の抽 出 (
s
t
ep⑥ )
s
t
e
p① にお ける解析 過程 に使 用 した熟画像 の図 - 3
よ り,「
早朝 における湿潤部 は低温 であ り, 日中にお
ける湿潤部 は特 に高温 であ る」 こ とに着 目す る と,
,Ilの範 囲 において湿潤部 であ る
図 - 4のA l,C 1
とい う特色 が あ り, 吹付 背後 が湿潤部 で あ る と推 測
で きる.
図 - 7 グラフ化 における領域の選定個所
0 0 0 0 00 0
4 2 0 8 64 2
l■
l一
一
一一
1
22 21 r
(
Do
)
世相
L
IZ︰
CL
ZO︰
CL
図 - 8 熟赤外線映像装置 による観測温度の経時変化
ZC ︰N L
〓
トの︰
ZC︰
〓
ZO:〓
ZC︰
OL
ZO︰
OL
へ盲 M
ZO・'
6
5
㍍日
別
b
j
古訓
J
N品r
B
j
OI
h
N別間
時刻
11
8
久田真太郎 ・山中
稔 ・中川
慶和 ・後藤意之輔
表れていた図示 している選定箇所 について,各地山性
参考文献
状別 に表 している.各地山性状の相対的な温度 とい う
1)地盤工学会九州支部 :「
性能」 に着 目 した地盤構
のは,早朝 においては,健全部-土砂部-空洞部-湿
潤部の順 に表面温度が高 く, 日中は空洞部I
+土砂部一
一
造物 の維持管理技術,pp.
21
5-21
6,1
9
99.
2)三木博史,石橋晃睦,川崎達郎,高 田和典,松永
健全部-湿潤部の順 に表面温度が高い ことや,午前 11
微志 ,南雲政博,竹内幸雄 :まき土地帯 における
時付近 には,健全部 と空洞部 において,相対 的な温度
吹付 の り面 の熱赤外線調査事例 (
その 1),地盤
関係 の逆転現象 も起 こっていることは,建設省土木研
工学分野での リモー トセ ンシングデータの活用 シ
究所 の吹付 の り面老朽化 マニ ュアル7
)
に書 かれてい る
ンポジウム発表論文集,土質工学会,pp.
1
531
6
0,
1
993.
こととも-敦 している.
これ らの ことか ら,今 回の解析手法か ら抽出 を行 っ
3)山中
稔 ,後藤健介 ,後藤意之輔 ,波速治平 .
:
た箇所 についての吹付 の り面背後の地山性状 は,十分
2
01
年 1月長崎県時津 町が け崩 れ災害 における熱
妥当性 を有 している と考 え られる.
赤外線 リモー トセ ンシングの適用 ,第 2回最近の
地盤計測技術 に関す るシンポジウム発表論文集,
5.あわ りに
今回の調査 において, この方法の大 きな特徴 で もあ
地盤工学会関西支部,pp.
31
3
4,2㈱
.
4)後藤志之輔,-川宏也,長谷川秀人,秋本隆彦 :
る,対象物の温度 を非接触,非破壊で観測で きる熱赤
熱赤外線 リモー トセ ンシングによる法面空洞調査
外線映像装置 による吹付 の り面背後の地山の性状 を知
手法 に関する基礎実験,土木構造 ・材料論文集,
る方法のひ とつ として提案で きた.
No.
5,pp.
778
6,1
99
0.
今後,今 回の調査対象 としたコンクリー ト吹付 の り
5)-川宏也,長谷川秀人,後藤意之輔 :熟映像装置
面については,背後土砂の移動 により不安定地盤 となっ
によるモル タル吹付 け斜面の老朽化調査の実験 ,
ている可能性があることか ら,何 らかの対策工 を行 わ
セ ンサ技術 ,vol
.
ll
,No.
ll
,pp.
4753,1
991.
れることが検討 されている. よって,対策工実施時 に
6) 三木博史,小橋秀俊 :熱赤外線映像法 による吹付
は,今回の解析結果の妥当性 について追跡調査 を行 っ
の り面老朽化診断技術 の現状 と課題,土木技術 ,
てい く所存 である.
Vol
.
49,No.
2,pp.
8
91
03,1
9
94.
7)建設省土木研究所 :熟赤外線影像法 による吹付 の
り面老朽化診断マニュアル,1
996.
8)地質調査所 :日本 地質図体系
2
3,1
995.
九州地方 ,p.
22-