具体的な事業等の連携 事例紹介 具体的な事業等との連携 思い切った行政への提案から 子どもの笑顔が生まれる 映画公開より2週間前の平成24年3月3 日ひな祭り。この日、開かれた映画プリキュ アとの公 開 前 告 知イベントには、映 画に プリキュア達が街のにぎわいを生み 子どもの健康を願う 「横浜でプリキュアに会おう ! !キャンペーン」 ごく普通の少女が伝説の戦士に変身し、悪と戦うアニメ 「プ リキュア」。歴代テレビシリーズのプリキュア達が登場する「映 画プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち」は、 横浜市内が舞台になりました。映画配給会社「東映株式会社」、 「2012映画プリキュアオールスターズNS製作委員会」 と市は、 登場する28人ものプリキュア達が勢ぞろい。 横浜のシンボルの一つ「帆船日本丸」を背 景にして、プリキュア達が並んでポーズ!ま さに〝プリキュアひな壇"になりました。そし て、多くの親子連れが集まるこのイベント会 と行政のタイアップ「横浜でプリキュアに会 場まで28人ものプリキュア達を乗せてきたの おう!!キャンペーン」が始まりました。 は、今まで見たこともない1台のバスでした。 キャンペーンの準備作業は、映画公開日 プリキュア達のイラストが描かれたこの桜色 から遡ること約4か月。東映株式会社の土 の乗物、実はタイアップキャンペーンの取組 屋勝さんは、当たって砕けろという気持ちで の1つで、横浜市営バスにラッピングしたもの。 「一 緒に何かできませんか」と市に相 談を 初運行で見事子ども達にたくさんの喜びを 持ち掛けました。一方市側は、 “何か” を面 運んだのでした。 白く幅広く実現すべく、2年前からプリキュ この日からキャンペーン期間を含めた2か アの映画公開の度にスタンプラリーを催して 実施しました。ラッピングバス、フォトスポット巡り、スタンプラ 月間、横浜マリンタワー、横浜赤レンガ倉庫、 いた交通局に加え、市内観光に携わる文 山下公園など、映画の舞台を毎日走り抜け 化観光局、さらには、健康福祉局など共創 リーが企画され、街中はプリキュア一色に。また、市の小児救 たこのラッピングバスは、外装だけではなく、 推進室が話を持ちかけたさまざまな区局も 車内にもキャンペーンのポスター、カードやプ 一体となり、映画コンテンツとの連携案を模 リキュアが描かれたステッカーがたくさん貼 索しました。その連携案を実現させるには、 られました。そして、多くの親子連れがこの 公開日までの時間、費用、版権によるキャ この映画コンテンツ (※) を活かしたタイアップキャンペーンを 急電話相談の短縮ダイヤルをPRするカードにはプリキュアが 描かれ、医療機関や区役所等にて配布されました。この多様な タイアップキャンペーンによって、映画に登場した観光施設を 中心に街はにぎわいを見せ、さらに、子どもの医療相談を受 2012年3月3日、日本丸を会場に開催されたキックオフイベントにはプリキュ アのキャラクターが全員集合した。 ける電話の存在が広く知られるようになりました。 東映株式会社/ 2012映画プリキュアオールスターズNS製作委員会 × 横浜市 ・文化観光局観光振興課 ・健康福祉局医療政策課 ・交通局営業企画課 バスに乗って、横浜観光を楽しんでいました。 ラクター利用や市条例の制限など多 交通局営業企画課の中村剛志さんは くの課 題 がありましたが 土 屋さん 「乗客数が増えたという効果もありましたが、 をはじめとする東映関係者と市 多くの人に愛され、親しまれるバスになった の担当者達が一つ一つクリア ということが一番の成果ではないかと思って した結果、単なる映画によ います」 と力を込めます。このイベントを皮切 る観光プロモーションに りに、全国的に見ても大規模なアニメ映画 とどまらず、大々的なタ 前列左から文化観光局観光振興課 矢 島健二・貝田泰史/政策局共創推進室 渡邊賢一/東映株式会社 土屋勝/政 策局共創推進室 大貫寛幸/健康福祉 局医療政策課 横森喜久美・ 西美香 後列左から交通局営業企画課 村川貴 紀・中村剛志 (敬称略) 〔これまでの経緯〕 2009年に公開さ れた映画プリキュアオールスターズシ リーズ1作目「映画プリキュアオール スターズDX」では横浜が舞台になっ た。シリーズ4作品目の今作で再び 横浜が舞台になったため、東映が市 に連携を打診。大規模なキャンペー ンが行われた。 文化観光局から市 内の観光スポット一覧を東映に提供 したこともあり、様々な観光名所が 映画に登場することになった。 小児救急電話相談ダイヤル 2011年11月に新設された「横浜市 小児救急電話相談」の短縮番号と プリキュアのイラストが描かれてい る。市内の医療機関、区役所、 図書館で配布され、行 政 情 報 のPRが 行われた。 イアップキャンペーンに なったのです。 企業PROFILE 東映株式会社:1951年に発足し、映画、テレ ビ、ビデオ、アニメーションなどの制作・営業 などに携わる映像の総合企業。 「プリキュア」 :毎週日曜日にABC・テレビ朝 日系列で放送されているテレビアニメシリーズ。 映画は2005年からスタートし、「プリキュアオー ルスターズ NewStage みらいのともだち」で 12作品目。これまで、80〜 100万人を動員す るヒットを記録している。 ※コンテンツ:ここでは映画やアニメ、マンガ、ゲーム、音楽などの創作物のことを指します。 ⓒ 2012 映画プリキュアオールスターズNS製作委員会 20 - - kyoso - - kyoso 21 事例紹介 具体的な事業等との連携 に実施された複数企画の相乗効果で、街 中にプリキュアが溢れました。その結果、横 浜市内での映画に対する注目度が上がり、 市の観光施設、地下鉄やバスの利用者の フォトスポット巡りマップ マップには、等身大のプリキュアパ ネルが置かれた横浜市内9か所(横 浜赤レンガ倉庫、よこはまコスモワー ルド、象の鼻テラス、横浜人形の家、 横浜マリンタワー、横浜みなと博物 館、ワーナー・マイカル・シネマズ港 北ニュータウン、ワーナー・マイカル・ シネマズみなとみらい、横浜ブルク 13)の施設や周辺の観光名所が網 羅されている。 東映により2万枚作 製された。 増加、小児救急電話相談ダイヤルの周知に もつながったのです。 市と映画の双方にメリットを 横浜市が映画コンテンツと連携する珍し い取組は、様々なメディアで取り上げられま した。林文子市長と、プリキュアシリーズの 梅澤淳稔プロデューサーによる記者会見に たと思います」 と語ります。土屋さんも「複数 市とのタイアップから生まれた さまざまな仕掛け ことでした。市を挙げて応援していただいた ラッピングバスの他にもたくさんのタイアップ からこそ実現できました」 と振り返ります。 の観光施設と連携するのは過去に例のない (左)市長定例記者会見 2012年2月16日、 「横浜でプリキュ アに会おう! !キャンペーン」について プリキュアシリーズの梅澤淳稔プロ デューサー とプリキュアの 「キュアハッ ピー」 と共に記者発表を行った。 (右)試写会 2012年3月10日、横浜ブルク13にて、 横浜市民限定の記念試写会を開催。 90組180名で募集した結果、約8倍 の709組に上る応募があった。 映画をどうPRするかを常に考えていました」 と強調します。 土屋さんは「新しいことをやるのは大変で したが、プロモーションとして大成功でした。 は、 プリキュアの「キュアハッピー」 も駆け付け、 一番うれしかったのが、多くの子ども達の笑 翌日の新聞紙面を飾りました。 顔を見ることができたことです。 横 浜 市の また映画公開前の平成24年3月10日、横 方々と同じ気持ちを持って一緒に仕事がで 浜市民向けの試写会が特別に催されました。 き、タイアップをお願いして本当に良かった 関係者が見守る中、上映が始まります。28 と思っています。この形をとっていただける 観光施設等をにぎやかした「プリキュアフォ トスポット巡り」。横浜赤レンガ倉庫を含む市 と観光施設2か所を巡ってプリキュアのスタ 公園、港の見える丘公園、中華街、元町、 内観光施設6か所と上映館3か所では歴代 ンプを集めることができ、プリキュアのイラスト クライマックスには横浜マリンタワーが登場す のプリキュアの等身大パネルと記念撮影がで が描かれた一日乗車券も発売されました。 るなど、全編に横浜の魅力が詰まっていまし きるフォトスポットがつくられました。1つのスポッ 夜間や休日に子どもの医療相談に応じる た。横浜市民は慣れ親しんだ街が登場す トごとに1シリーズのプリキュア達が迎えてくれ 「小児救急電話相談ダイヤル」のPR。プリ るのを楽しみ、市外の人にとっては横浜を て、観光施設6か所と映画館1か所(映画 キュアがデザインされたカードが市内で配布 訪れるきっかけになったようです。 館は3館共通で1シリーズ) を巡ると、プリキュ されました。子どもの急な病気・けがの相談 市の部局を超えた橋渡し役を務めた政策 ア28人全員と写真を撮ることができました。 電話を多くの人に知ってもらうために、短縮 局共創推進室の渡邊賢一さんは「市から 観光施設6か所にプリキュアの等身大パ 電話番号「#7499」とともにプリキュアのイラ お金は出せませんでしたが、さまざまな提案 ネル設置の調整をした文化観光局観光振 ストが描かれたこのカードは、12万枚作製さ をさせていただきました。 市の目指す公 民 興課の貝田泰史さんは、 「どの施設にも、 フォ れ、区役所、図書館や市内の医療機関約 連携事業は、あくまで提案いただいた民間 トスポット巡りマップを手にしたプリキュアを愛 630か所等で配布されました。健康福祉局 の企業と市側の双方にメリットがあるように考 する親子連れの姿がたくさんありました。来 医療政策課の横森喜久美さんは「身近に えて進めます。横浜市の魅力を高めること 場者は増え、施設側にとってもメリットがあっ カードがあれば、急な病気のときに活用して や市民の方々に楽しんでもらうことと同時に、 人のプリキュアは、大観覧車「横浜コスモク ロック21」のゴンドラ上に立って登場。山下 のでしたら、2度でも3度でもご一緒させて いただきたいと思います」 と笑顔で話してくれ ました。 連携モデル図 横浜観光 コンベンション ビューロー 連携事業の実施 横浜市 東映 連携 (コンテンツ 事業者) 提案 文化観光局 交通局 連携 健康福祉局 その他区局 他の民間事業者 (観光・商業施設、医療機関 等) 市営地下鉄で実施されたのは「駅スタン プラリー」と「オリジナル一日乗車券」。7駅 政策局共創推進室 (共創フロント) 企画が実現しました。 もらえます。子どもに大人気のプリキュアが描 スタンプラリー あざみ野 駅、センター北 駅、新 横 浜駅、横浜駅、桜木町駅、日吉駅、 中山駅の7駅と横浜赤レンガ倉庫、 横浜マリンタワーの観光施設2か所 の計9か所で実施された。 駅のスタ ンプを3つ以上集めると、オリジナル 紙帽子がプレゼントされた。 かれているので、 PR効果は絶大。映画公開 の4か月前にできたばかりの短縮番号でした が、利用率が増加しました」 と、 映画コンテン ツとのタイアップ効果を実感されていました。 ラッピングバス 天 然ガスで走る新 車のバスをプリ キュアのイラストでラッピングした世 界で1台だけのバス。車内もプリキュ ア一色に装飾されている。 「小児救急電話相談ダイヤル」 カードをラッ ピングバス車内で、 スタンプラリー台紙を観 光施設で、 フォトスポット巡りマップを市営地 下鉄駅構内で配布するなど、 キャンペーン中 22 - - kyoso - - kyoso 23
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