第3章 地区別構想 - 西宮市

第3章
地区別構想
3 本庁北地区
● 現況と課題
(1) 地区の概況
① 地区の地勢
地区の面積は1,947haで、市域面積の約19%にあたります。
本地区は南部地域のJR以北の西部に位置し、国道171号周辺
の平坦地から丘陵地を経て、北側には六甲山系が広がります。地
区内には、本市のシンボルである河川敷緑地の整備された夙川の
ほか、東川が流れています。
北山公園(都市計画公園)の南に広がる丘陵地には、住宅地を
中心とした市街地が広がり、水とみどりの自然環
境に恵まれた地区です。
② 地区の沿革
古代には西宮の平野部の大半は入海であり、入
海周辺には古代から集落が形成され、奈良 時代以
前から広田神社がまつられ、広く崇敬されていま
した。
しかし、海岸線の後退と西宮戎神社の隆盛によ
り、西宮の中心が南に移ったため、農村地帯を形
成し、明治22年(1889年)の町村制施行時、本地
区には大社村と芝村、西宮町と今津村の一部が含
まれていました。
明治7年(1874年)には国鉄が、明治38年(1905
年)には阪神電鉄が、大正9年(1920年)には阪
急神戸線、大正13年(1924年)には阪急甲陽線が
開通し、これにより、香櫨園や甲陽園、苦楽園な
どの遊園地や、温泉などのレクリエーション施設
が相次いで開発されにぎわいますが、その後衰退
し、住宅地として生まれ変わります。
■ 地区の変遷
明治 7年
22年
39年
40年
44年
45年
大正 2年
6年
7年
8年
9年
10年
13年
14年
15年
昭和 3年
5年
6年
7年
8年
10年
16年
17年
19年
21年
23年
24年
25年
34年
36年
42年
43年
45年
46年
47年
48年
昭和8年(1933年)に大社村と芝村、今津町は
西宮市に合併します。
この頃、地区内では耕地整理事業や土地区画整
理事業が相次いで行われ、戦前から既に現在の市
街地が形成されるようになり、戦後も引き続き土
50年
52年
55年
61年
63年
平成 7年
8年
10年
地区画整理事業が行われ、阪神間でも屈指の住宅
11年
13年
地として発展していきます。
3-1
国鉄東海道線開通(大阪∼神戸)
町村制実施(西宮町、大社村、芝村)
苦楽園明礬温泉開発
香櫨園開園
苦楽園別荘地分譲開始
満地谷墓園開設(5.3ha)
香櫨園閉園、苦楽園ラジュウム温泉開業
香櫨園が住宅地へ
甲陽園住宅地分譲開始
苦楽園から香櫨園間乗合馬車に変わり乗合自動車営業
阪急電鉄開通(大阪∼神戸上筒井)
甲陽園から香櫨園間乗合自動車営業
阪急電鉄甲陽線開通、西宮第2耕地整理事業完成(T10設立)
市制施行(母体西宮町)、苦楽園口駅開設
西宮市が都市計画法適用都市に指定
満地谷墓園拡張整備(∼S12)
西宮大社耕地整理事業完成(T12設立)
大社村越水耕地整理事業完成(T14設立)
西宮第4耕地整理事業完成(T14設立)
都市計画道路の当初決定
用途地域の当初決定、南郷山土地区画整理事業完成(S6設立)
西宮市東部耕地整理事業完成(S2設立)
武庫郡大社村編入
神祇官耕地整理事業完成(T14設立)
芦屋都市計画区域と分離
高座山土地区画整理事業完成(S13設立)
久出ヶ谷土地区画整理事業完成(S13設立)
既定都市計画街路を廃止し復興都市計画街路を決定
戦災復興計画に伴う用途地域決定
西宮市(大社村)上越木岩土地区画整理事業完成(S7設立)
夙川学院移転
甲陽園保勝土地区画整理事業完成(S15設立)
阪急電鉄夙川駅周辺住宅経営地3.0haを販売
阪急電鉄甲陽園駅周辺経営地(甲陽園・新甲陽)15haを販売
甲南土地区画整理事業完成(S31都市計画決定)
西国街道線(国道171号)完成
北山貯水池完成
阪神間都市計画区域、市街化区域の決定
市街化区域決定に伴う用途地域の変更
鉄北土地区画整理事業完成(S41都市計画決定)
建築基準法改正に伴う用途地域の決定
苦楽園土地区画整理事業完成(S37都市計画決定)
夙川・霞町建築協定締結
樋之池公園開設(S47都市計画決定S60変更)
夙川駅前第1市街地再開発事業完成
下水道事業開始、西宮処理区5期認可(JR以北平坦部まで拡大)
西田公園開設(S21都市計画決定)
夙川土地区画整理事業完成(S44都市計画決定)
阪神淡路大震災
都市計画法及び建築基準法の改正に伴う用途地域の決定
西宮市甲陽園第1∼3土地区画整理事業完成(S41認可)
高度地区の見直し
今津西線(国道171号∼岡田山)開通
神園、大畑公園整備(グリーンオアシス)
山手幹線(国道171号∼建石線)開通(H8∼)
用途地域の見直し
第3章
地区別構想(本庁北地区)
(現況と課題)
③ 人口と世帯
地区の人口は約96,300人(平成12年10月国勢調査)
、世帯数
約39,500世帯で、市の人口の約22%にあたります。市街化区
域内での人口密度は約89人/haとなっており、市の平均的な地
区です。
人口推移としては、昭和30年代から40年代にかけて急増し、
その後、昭和50年代後半からは微減傾向となっていました。
震災では、地区の約15%にあたる約14,000人が減少しました
が、その後順調に回復し、現在では震災前の人口を上回るま
でに回復しています。
また、年齢構成は、65歳以上の高齢者が約15.5%(平成12
年10月国勢調査)、15歳未満の年少者は約14.0%となっており、
市内で最も高齢者の割合が高く、年少者の割合は低い地区です。
(2) 土地利用
本地区は、六甲山系の豊かな自然に恵まれており、市街化調整区
域 ( 866ha ) が 地 区 面 積 の 約 44 % を 占 め て い ま す 。 市 街 化 区 域
内(1,081ha)の用途地域の指定状況は、住居系が約94%、商業系が
約4.4%、工業系が約1.4%となっており、住宅系の割合が高い地区
です。
地区の多くを占める住宅地は、夙川から苦楽園、甲陽園などの丘
陵部にかけて戸建て住宅を中心とした低層の住宅地が広がり、平坦
部では中高層住宅も多く立地しています。
商業地は、夙川駅周辺のほか各駅周辺などにあり、特に夙川、苦
楽園には行政サービス施設もあり、個性的な店舗の立地がみられる
など、地区の身近な生活の拠点としての役割を担っています。
また、国道171号沿道には自動車関連のサービス施設など沿道型店舗
が立地しています。
震災後は、被害が大きかった平坦部を中心に大規模敷地に共同住宅や
大規模小売店舗の建設が増えるなど、土地利用の転換もみられ市街地環
境が変化してきています。
一方、市街化調整区域では、資材置き場などの立地による環境の変化
がみられ、自然環境の保全や自然環境に調和した土地利用の誘導が課題
となっています。
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第3章
地区別構想(本庁北地区)
(現況と課題)
(3) 市街地整備
地区内の市街地開発事業による整備面積は約558ha、市街化区域の約52%
となっています。
地区の平坦部では、耕地整理事業や土地区画整理事業により、丘陵部で
は民間の宅地開発により、比較的早くから市街地の整備が進められてきま
した。また、夙川駅南側の土地区画整理事業区域では、本市で最初の市街
地再開発事業が実施されました。しかし、耕地整理事業で整備された地区
では、一部に狭い道路の多い地区があります。また、高度成長期に急激に
宅地化が進んだ丘陵部などでは、都市基盤施設の整備が充分でないところ
があり、こうした地区の市街地整備が課題となっています。
(4) 道路・交通
地区内には広域的な幹線道路である国道171号が通り、現在、山手幹線、
建石線、市役所前線などの都市計画道路の整備が進められています。
地区内の都市計画道路としては18路線、総延長は約30kmあり、整備延長
率(概成済み区間を含む。)は約52%と都市計画道路の整備が遅れています。
阪急神戸線以北においては、都市計画道路のネットワークが弱いため、特
定の道路に交通が集中し交通渋滞が発生しています。特に 、建石線(県道
大沢西宮線)は、本市の南北市街地を結ぶ唯一の道路であり、北部地域の
都市化に伴う交通量の増加や阪急甲陽線と平面交差となっていることなど
により渋滞が著しく、現在、兵庫県により順次整備が進められています。
また、本地区では、阪急神戸線、同甲陽線、JR東海道本線の各鉄道駅
を阪急バス、阪神電鉄バスが循環していますが、交通渋滞などにより定時
性を確保できず、利用者のバス離れが続いています。なお、JR西日本で
は建石線交差部に新駅を計画しており、公共交通の利便性の面からは望ま
しい一方、駅設置に伴う周辺への影響や関連施設整備が課題となっていま
す。
これらのことから建石線、山手幹線、山手線、市役所前線等による道路
ネットワークの確立と、鉄道との立体交差による交通渋滞の緩和が課題と
なっています。
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第3章
地区別構想(本庁北地区)
(現況と課題)
(5) 公園・緑地
地区内には北山公園、広田山公園、西宮中央運動公園など83 カ所、面
積62haの都市公園が開設されています。このうち都市計画公園は、25カ所、
面積63haが整備されていますが、本地区には地域住民が身近に利用する樋
之池公園、西田公園などの住区基幹公園が19カ所、面積13haあり、この住
区基幹公園の整備率は約98%と、市内でも都市計画住区基幹公園の整備率
は高い地区です。
地区の北には都市計画墓園である満池谷墓園、甲山墓園が開設されてお
り、地区の中央を南北に流れる夙川沿いには夙川河川敷緑地が整備され、
本市を代表する水とみどりの軸として多くの市民に親しまれています。
六甲山系の自然緑地は、自然環境の保全のため国立公園や近郊緑地保全
区域、風致地区などが指定されていますが、地区のみならず市の貴重な財
産として今後とも保全していくことが課題となっています。
また、市街地内においては、緑地の確保のため、風致地区や景観樹林保
護地区が指定されていますが、これらの地区の指定継続とともに、敷地内
の緑化推進など、緑量を増やす方策が課題となっています。
(6) 住宅・住環境
地区の住宅のうち、持ち家が約53 % 、 借 家 約37 %、給与住宅は
約6.0%で、建て方別では、戸建てが約39%、共同住宅 約59%、長屋
建ては約2.3%となっており、南部地域の中で持ち家、戸建ての割合が
最も高く、特に丘陵部に集中しています。
丘陵部を中心とした低層の住宅地では、大規模宅地の細分化や共同
住宅化がみられ、平坦部などの低層主体の住宅地では、中高層住宅の
立地による住環境の変化がみられ、周辺の住宅地と調和した住環境の
形成が課題となっています。
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第3章
地区別構想(本庁北地区)
(現況と課題)
(7) 地域のまちづくり
本地区には、民間の宅地開発事業や土地区画整理
事業などにより、都市基盤の整った低層主体の住宅
地があり、こうした地区を中心に、まち並を保全し、
さらに快適な市街地の形成を誘導するため、市民参
【建築協定締結地区】
・広田松風台住宅地(昭56∼平13)
・高塚町甲南地区(昭56∼平13)
・西山町あかしあの会(平7∼平17)
・苦楽園五番町地区(平 10∼平 20)
加により地区計画が定められています。これらの地
区以外でも、現在市民参加によるまちづくりが進め
られています。
その他の既成市街地についても、それぞれの地域
に応じた住環境などを守り育てる市民参加のまちづ
くりが課題となっています。
(8) 都市景観
本地区には、山ろく部の自然緑地や夙川、東川、
北山貯水池、大池、ニテコ池などの水辺空間の自然
景観、丘陵部を主体とした比較的大規模な敷地の住
宅地景観、主要駅前などのにぎわいのある都市景観
など、地区ごとに特色ある景観が形成されています。
住宅地においては、大規模宅地の細分化や共同住
宅化などにより、住宅地景観に変化がみられ、今後、
共同住宅と戸建て住宅とのまち並の調和など、落ち
着いた住宅地景観の形成や、六甲山系や市街地に残
【地区計画指定地区】
・剣谷地区(平5決定)
・大畑地区(平9決定)
・安井地区(平10決定)
・甲陽園若江神園地区(平11決定)
・夙川駅北東地区(平11決定)
・夙川霞松園地区(平 12 決定)
【活動助成による
地域でのまちづくり活動】
・甲陽園地域まちづくりの会(平2設立)
・鷲林寺土地区画整理事業協議会(平3設立)
・安井まちづくり協議会(平7設立)
・大畑町のまちづくりを考える会(平7設立)
・若江・神園町地区まちづくり協議会(平9設立)
・夙川駅北東地区まちづくり協議会(平11設立)
・夙川霞松園町まちづくり協議会(平11設立)
・東山町自治会開発問題対策委員会(平8設立)
・甲陽園目神山地区まちづくり協議会(平 12 設立)
・広田町まちづくり準備会(平 13 設立)
る自然緑地、夙川をはじめ東川、中新田川、ニテコ
池などの水とみどりの空間の豊かな自然景観を保全していくことが課題と
なっています。
(9) 防
災
本地区の丘陵部は、そのほとんどが宅地造成規制区域に指定されており、
地区内には危険宅地や急傾斜地崩壊危険区域、地滑り防止区域が存在して
います。
本地区では、阪神淡路大震災で苦楽園の市街地に接する山ろく部で土砂
災害が発生したことから、緑の保全をはかることにより土砂災害を防止す
る六甲山系グリーンベルト整備事業が進められています。今後とも、事業
の推進をはかるとともに一般の丘陵部などにおける宅地造成規制法による
災害の防止が課題となっています。
市街地では、大規模災害時に一時的に多くの市民が避難できる広域避難
地として満池谷墓地一帯が指定されています。また、西宮中央運動公園が
地域防災拠点として位置づけられており、今後、災害時の救援・復旧活動の
拠点となる防災拠点のネットワーク化が課題となっています。
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第3章
地区別構想(本庁北地区)
(現況と課題)
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