Financial Services Architect - Accenture

Financial Services Architect
[FSアーキテクト] これからの金融サービスを「創る」
アクセンチュアのニューズレター
Vol.9 2008年 春号
金融サービス本部
伝統的ビジネスモデルからの
転換を目指して
ハイパフォーマンスの実現に向けた
タレント・マネジメント
BPR 成功に向けた SOAの適用と
その実現
オフショアを活用した業務
アウトソーシング
拝啓 陽春の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
世界的な経済、市場環境の先行きが不透明な中、新年度を迎えられて今 年度の
経営施策の優先度を決定され、実行に移られる段階であると認識しております。
本年度の経営数字をどのようにつくっていくかが、短 期的には最 優 先課題だと
思いますが、同時に持 続的な“ハイパフォーマンス”
(高 業 績)を実現する経営
インフラを構築することも非常に重要です。「一顧客あたり8 つの商品販 売」、
「営業担当者あたり、6 商品/日の販売」、
「顧客維持率 96%」、
「サービス提供
コストの15% 削減」等は、私どもが実施したグローバル・リサーチの結果から導き
出されたハイパフォーマンス・プレイヤーのプロフィールです。
私どもは、不 確 実性が 高まる環 境であるがゆえに、このような持 続的な成長 の
基盤となる収益のドライバーを改善していくための、具体的なソリューションと
サービスを提供していくことを心がけていく所存です。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りたく、お願い申し上げます。
敬具
2008年 4月吉日
アクセンチュア株式会社
金融サービス本部
統括本部長 関戸 亮司
拝啓 春暖の候、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。。
昨 年 の夏 以 降 、サブ プライムローン問 題 から端を 発し、メディアには悲 観 的 な
事態/観測記事が数多く載るようになってきました。しかしながら失われた10 年
から脱し、
「攻めの経営再構築」へシフトチェンジをした今、
「内なる経営再構築」の
時代に戻ることはできません。
弊社は「攻めの経営」にお役立ちできますように、従来以上にアイデア/ソリュー
ションを金融業各社様に向けて発 信を加速していく所存でおります。何卒 変わ
らぬご愛顧を賜りたく、謹んでお願い申し上げます。
敬具
2008年 4月吉日
アクセンチュア株式会社
取締役会長 村山 徹
目次
1.伝 統的ビジネスモデルからの転換を目指して
~ 不確実性の時代に求められる「価値創造」の方向性
エグゼクティブ・パートナー 渡辺 宣彦
2.ハイパフォーマンスの実現に向けたタレント・マネジメント パートナー 堀江 章子
3.BPR成功に向けたSOAの適用とその実現 マネジャー 長谷川 誠幸
4.オフショアを活用した業務アウトソーシング ~ 3つの問いと成功の要諦 マネジャー 奥野 隆史
5.最近話題のプロジェクト
6.アライアンスおよびパッケージ・システム
7.イベント・セミナー案内/会社概要
伝統的ビジネスモデルからの転換を目指して
~ 不確実性の時代に求められる「価値創造」の方向性
新聞紙上に連日掲載されたサブプライム危機の影 響から、世界中のマーケット において、いわゆる「不 確 実性 」の高まりに対する警戒感が強まっており、保険 企業各社においても必然的に財政を引き締めにかかるなど、今後も予断を許さ ない展開が続く可能性が高い。
今後暫くは、より確実なビジネスケースに基づく即効性のある企画の実行など、 成果の見えやすいビジネスを行っていくことが、不確実性の渦巻くマーケットで 確実に結果を出していくことに繋がると考える。
本 稿では、筆者が、保険企業各社とのお付き合いを通じて関心が 高いと感じた 論点について、弊社の提供するサービスの説明も交えて紹介したい。
渡辺 宣彦
保険業界の動き-窓販解禁後さら
に加速するマーケット動向
このことからも 推 察 さ れるように、 保 険 業 界へ のサービ スに関しては、 これまでグ ローバ ル展 開に関しては このアセット・プレイを今後の軸にすえ
昨年12月の下旬に、以前から予定され 比較的保守的な立場を取ってきた伝統 ることにした。具体的なアセットは、
的 生 保 も 、グ ロ ーバ ルプレイヤ ー 、 生保向けのパッケージシステムである ま た、金 融 他 業 態 並 のアグレッシブ ALIP(Accenture Life Insurance Plat
form – 旧 NaviSys)や、CCS(Claims
Component Solution)、セールス・ ア カ デ ミー 、IDM( Insight Driven
Marketing )等 と い った 、所 謂 舶 来 て い た 保 険 商 品 の 窓 口 販 売 の 全 面 解禁が実行された。これまでは、住宅 ローン付随の火災保険や、貯蓄・投 資 性保険商品(変額・定額年金など)を 中 心 に 展 開してきたマー ケットが、 早々と変化し始めたようだ。一方、医療・ 死亡保 険 などの人保 険の 分 野に先行 して、自動 車 保 険 の 銀 行 窓 販 が 拡 大 しているという新聞記事も目にした。
また、第一生命の株式会社転換のニュー スも業界に大きな変化をもたらすもの として注 目さ れる。相 互 会 社 形 態 を 取る大手生命保険会社において、海外 展開を含めた新規事業展開に、契約者 から集められたお金を投じるのは都合 が悪いということが株式会社化推進の さを持って、国際 化、グローバル 化に 乗り出す必 要 に迫ら れて い るという 実態があると思われる。
低迷する国内伝統的商品領域の改革、
収益性確保もさることながら、国際的 展 開の面においても新しい 変 化が 始 まっていると考えられる。
このようなマーケット環境を受けて、
弊 社では引き続き保 険 業 界における 支 援を 強 力に行っていく所存 だ が、 以下、既述のような背景から今後関心
が高まるであろう3つの領域について 紹介したい。
一理由と報道されている。裏を返せば、 1.アセット・プレイ
グ ローバ ル 企 業 並の 多角 展 開、多国 既に実現され、実地のプロジェクトで
展 開を目指 すには、株 式 会 社 転 換 が 必要という意味合いになるだろう。
証明されたアセットをベースにした、
クライアントへの価値提案を、弊社で
は「アセット・プレイ」と呼んでいる。 もののソリューションをベースにした ものということになる。
自社が実施しようとする戦略の実行に
パッケージシステムを活用するという ことは 以 前 からあった 考え 方 だ が、 弊社が 提唱するアセット・プレイは、 戦略の選択自体を、マッチするアセット ( 業 務 プ ロ セ ス、IT お よび オペレ ー ショナルなケイパビリティを含めて)を 迅速かつ確実に調達できるか、という 観点から判断し、究極的なまでに合理 性を追求しようとしたものと私は理解 している。
この 伝 統 的 な 戦 略・施 策 立 案、実 施
の考え方と比べると、ある意味乱暴な
考え方を取ることによって、企業は、
のなら、保 険 の 事 務 も 普 通 にで きる たいと考えている。また、保険業 界向 実 証 済み の施 策を極めて短 期間で、 でしょうね」という感想を述べられて
けのアウトソーシングが多数並行稼働
確 実 にフィールド に 投 入し 、成 果 を いた。
することによって、それらのチーム間 上げることが で きると考えてい る。 これによって、いかに練られた、有 効 な 戦 略を立 案 することが できても、 それを 実 現 するため のプ ロジェクト 推進リスクを充分にマネージできない という、実 は よくありが ち な 状 況 を 回避することが可能になる。
実 際、弊 社 が上 海 で 行って い るこの
BPO にお いては 、日本 の 拠 点 向 け の 要 員 が 5 0 名 以 上 配 置 さ れて おり、 日本 の 会 計・経 理に関 する専 門 知 識 (減価償却等)を習得した上で業務を 行 って い る 。これ ま で に も 、単 純 な データ入 力、コールオペレーションな 2 .ビジネス・プロセス・アウトソー
シング(BPO)
どのアウトソーシングはオフショアを BPO に 関しては 、保 険 業 界 に 対 する するモデルは、さらなる高付加価値業 新規事業として、弊社金融グループに とって今期 最 大の 投 資 領 域 である。 活用して行われてきたが、弊社が提案
務 を 対 象としたも のという意 味 で、 これまでには ない 変 化をもたらすの 既に、国 内 の 保 険 業 BPO 立 ち上げの ではないかと思っている。
専 任 担 当 者を 配 置し、複 数 の 案 件・ 3.確立されたアプリケーション・
アウトソーシング( AO)モデル の
商談を同時並行的に推進している。
BPO の ケイパビリティを日 本 で 確 立 さらなる横展開
することは、上記のアセット・プレイの AO に 関 して は 、既 に 多 くの 情 報 を 推 進とも大きな 関 連 が あ る。弊 社 が 発 信 さ せて 頂 いてい るので、読 者 の
クライアントに対して提言する戦略の 皆様も熟知しておられると思う。過去 実 効 性を、弊 社自身 の サービ スを 通 3 年 の うち に 、弊 社 保 険 グ ル ープ の じて保証できる体制を持つことができ
主要サービス分野に成長し、確立され
るからだ。
た事業である。今期新たに2社を加え、
この、保険業向けのBPO は、弊社グロー バ ル の B P O 事 業 の 中 で も 、非 常 に 大 き な 規 模 を も つ 領 域 として 確 立 されており、AIS(Accenture Insurance
Service)のブランド名でグローバルに
展開している。
たと え ば 、ル ーマ ニアのブ カレスト
にあ る 弊 社 の センターで は 、拠 点と
して、某グ ローバ ル 保 険 企 業 の 欧 州 事 業におけるバック・オフィス業務を BPO の 形で 行って い る。日 本 で は 、 金融機関向けの BPO はまだ限 定的な
ものしか行われていないが、他業界に 関しては 、弊 社 上 海 センターな ど を 活 用した 大 掛かりな BPO が 行われて いる。
私も、昨 年 11月に某 生 命 保 険 会 社 の
方 々 の 現 地 視 察 に 帯 同 し 、上 海 の
BPO センターを訪問して、そこで行わ
れて い るあ るハイテクメーカー 向 け
の経理業務 BPO を視察してきた。日本 語 が 堪 能 な 現 地 の 弊 社 メンバー が 業 務 内 容 の 説 明 を す る の を 聞 い た 生保会社の方々は、
「ここまで業務の
中身を熟知しながら対応してもらえる で の人 的 交 流 、実 地 のマ ネジメント ノウハウの共有などといった、深みの
ある取り組みが可能になると思われる
ので、さらに期待が高まっている。
渡辺 宣彦
1967年生まれ 岐阜県出身 1991年 慶応義塾大学法学部卒業
同年 アクセンチュア入社 金融サービス本部所属 エグゼクティブ・パートナー 保険業界担当リード 主にアウトソーシング領域に従事
これ ま で に 5 社 の 保 険 会 社 に 対して サ ー ビ スを 提 供して お り、今 日この 事 業に携わる要員 数は総 勢 約 400 名
に上る。
1月22日に弊社で実施したグローバル・ ソーシング・セミナーで は 、130 名と いう規模で弊社のアウトソーシングを
ご活用くださっている外資系生保会社の IT部門責任者の方から、同社における AO へ の 取り 組 み に 関して プ レ ゼ ン テーションを頂いた。このプレゼンで
は、この仕事に当初から携わってきた 私自身でもクリアに認識していなかった ような AO 適 用 の 意 義 に つ いて い ろ いろとお話し頂くことができ、弊社が 提供するサービスが、これほどまでに クライアント企業の事業のあり方その も の を 変 える力を持ってい るのだと いうことを再認識することができた。
保 険 業 界に関して、AO に関する引き 合 い 、案件 は引き 続 き多 数 存 在して おり、今 後 半 年から1 年 の 間に、多く
の新しいアウトソーシングが創設され ることになるだろう。弊社としては、 それに向けた準備を確実に行っていき
ハイパフォーマンスの実現に向けた
タレント・マネジメント
昨今の中国、インド、ロシア等の新興国において急激な経済成長が続き、世界経済 が多極化する中で、日本の金融機関はグローバ ル 化のプレッシャー、労 働人口 構成の変化、または金融の法制度の変革など、仕事の性質そのものを変化させ なければならない状 況に直 面している。その中で日本の金融機関は、競 合との 競 争に勝ち抜く上で人材活用を最も重要なファクターとして考えるように変化 してきており、この新たな環境下において、ハイパフォーマンス・ビジネスを実現 する「事業運営モデル」の再構築が求められている。その結果、新たな「事業運営 モデル」の担い手となる「人材」について、
「ビジョンとマネジメントのあり方」を 整合させていく必要性が高まってきている。
弊社の調査を通して、企業戦略実現の成否は、グローバル規模でタレントをどの 堀江 章子
ように活用するかにかかっていることが分かってきた。現在の環境下で、人材活用
を梃子にして競争に勝ち抜くことを真剣に考えている企業、つまり人材を活用する ことにより業績向上を目指す企業が、
「タレント・マネジメント(人材を数倍にも 活用すること)」という、ハイパフォーマンス企業に求められる能力を手に入れる
ことにより、この競争を勝ち抜くことを志向している。
自社における「タレント」の再定義
「マルチ・ポーラー・ワールド(多極 化する世界)の到来」や、「経済の 成 熟 化 ・ サ ー ビ ス 化 に 伴 う 企 業 の 『内部成長力』向上の必要性」といった 環境変化を受けて、企業は多極的に 内部成長力をベースとした新たな事業
運営モデルへの転換を迫られている。
これらの環境変化に耐え、これからの
競争に打ち勝つために、新たな事業運
営モデルへの転換の中で、企業価値の
創出に特に感度の高い「タレント」と
いう人材セグメントを識別することの
重要性が増してきている。また、これ
に伴い、「タレント」を育成・強化
し、最大限に活かしきる「新たな人事 ビジョン」とその仕組みを構築する ことも求められ始めている。
前提として、まず自明ではあるが、 人材ビジョンを新たに定義することが 必要となる。次に、新たな事業運営 モデルにおける事業価値の源泉(バ リューチェーンにおけるコア・ケイパ ビリティ等)を明確化し、「事業価値 の創出、事業戦略の実現に特にクリ ティカルな人材セグメント」をタレント
として明確化することが必要となる。
タレント・マル チプリケーション
モデルの構築
社 内 の 人 材 を 自 社 の 価 値 創 出 へ の 貢献、戦略実現へのインパクトの観点 からセグメント化し、ターゲットと なる人材セグメント(=タレント)と して識別し、その上で、タレントを 中心に、人材ごとに要求されるスキル・
コンピテンシーを「定義」することが 求められる。たとえば、近年脚光を 浴びている人材セグメントとして、 リ テ ー ル の 営 業 人 材 、 内 部 統 制 の 人材、併せて、国際戦略を視野に入れ
たグローバル人材の再定義などがこの
対象となる。
このタレントをマルチプリケーション
既に欧米の先進企業においては、これ
らの考え方を用いて、タレント・マネ
ジメントの実現を開始している。米国 の リ テ ー ル 銀 行 A に お い て は 、 行 内 のタレントの再定義を実施し、その上
で、タレントごと(対面営業、コール
センター営業、次世代リーダーなど) に合った育成プランを弊社とともに 策定し、ラーニングの仕組みに落とし
タ レ ント・マ ネ ジ メ ント を 実 現
する、ビジネス価値 創出に向けた
体系的構造改革
込む取り組みに着手している。
(整数倍に活用する)という基本コン
セプトで鍛錬していき、これを新たな 人事ビジョンとして「定義」する。 その上で、求められるスキルを持つ 人材を「発掘」して継続的に必要な スキルを「育成」し、適時・適材・ 適所(「配置」)を実現することが 極めて重要となる。このプロセスを 「タレント・マルチプリケーション モ デ ル : 4D サ イ ク ル 」 と し て 構 築 し、明確にすることが重要である。 (図1参照)
タレント・マネジメント実現のために は、人材ビジョンと人事ビジョンを 明 確 化 し 、 「 タ レ ン ト ・ マ ネ ジ メ ント」のあり方を定義した上で、タレ ントを「エンゲージ」し、「タレント・ マネジメント 」 を は じ め と す る 人 事 図1: タレント・マルチプリケーションモデル
Define
定義・評価
Discover
• タレントとはどのような人材か、
事業戦略・事業目標を意識した
上で具体的な軸(コンピテンシーなど)
から定義
• 実際にタレントであったか?
(Discover)、
しっかりと育成できたか?
(Develop)
、効果的に活用できたか?
(Deploy)の視点から評価
発掘・採用
Discover
発掘・採用
Define
Develop
定義・評価
育成・教育
• Defineした軸を用いて社内からタレントを発掘
(人事考課・アセスメント・自己申告など)
• 同様にDefineした軸を用いて社外からタレントを採用・獲得
Develop
育成・教育
• タレント候補者をタレントたらしめるための育成・教育
(Define軸の徹底育成、
サクセッションプラン、
意図的配置など)
• タレントをさらに幅広く活用するためのタレントofタレント育成・
教育
(突出した部分だけでなく良い意味でのゼネラリスト育成など)
Deploy
Deploy
活用
活用
• 適材適所でのタレント配置
• タレントの強みを活かしたロール設定
(タレント中心での役割分担)
• マルチ・ケイパビリティ・ミックスでのチーミング
© 2008 Accenture All rights reserved.
施策の効率的・効果的な実現が可能な ナレッジは、いかに「形式知化」する
ある。たとえば、グローバル人材と 「インフラ」の改革まで行うことが か、ビジネスプロセスに組み込むかが
してのタレントの「発掘」は、「社内・ 必要である。この改革の体系的な枠 鍵となる。
社外」と「国内・国外」のマトリクス 組みを、幣社の経験より「ヒューマン・ キャピタル・デベロップメント・フレー
ムワーク」として定義している。この
仕組みを実現することで、タレント・
マネジメントが最終的にビジネス価値
の向上に繋がる。(図2参照)
ま た 、 前 述 の 事 例 の 銀 行 A で は 人 材 の 再 教 育 の 対 象 が 3 万 人 を 超 え て いるが、人材育成においては、投資対 効果の観点からも、人材のターゲティ
ングを実施し、ターゲットとするタレ ントに厚く、その他のタレントには タレント育成のための取り組み
効率的に、という投資やアプローチ タレントの「育成」はマルチ・ロール
(たとえば、 e ラーニングの活用等)
型のアプローチで実施する。タレント を次のキャリア・ステージの課題の 事前シミュレーションと位置付け、 「課題解決」「問題解決」「新しい ものの創造」「ネットワーキング」を
テーマにして育成する。
また、タレント人材への OJT ( On the
Job Training )は、「コアのビジネス を実施しており、メリハリをつけた 対応を行っている。キャリアの育成 つかない供給の限界から検討する。 現時点での社内におけるタレント発掘 だけではなく、経年的な対応(タレ ントの加齢化)を考慮に入れることが
必要となる。これまで企業を牽引して きたベビーブーマー世代の退職や、 ジェネレーションYの活用をも前提に
して、打ち手を先んじた対応が重要で
ある。
トラックは、まさに適時・適材・適所 グローバル化への対応を考慮すると、
タレント・マルチプリケーションを ローカル人材は、人材の需要に対し、
実現することにある。タレントの多能 事業の力点の変更に対する幅広い対応
化を図り、個人のスキルを醸成して 力を維持するために、ローカル内での いくために、人事配置を戦略的に行う
水平ローテーションを実施するべきで ことが重要である。
あ ろ う 。 2006 年 の 調 査 で は 、 日 本 フ ォ ー ス が 担 う 役 割 」 を 定 義 し 、 タレント・マネジメント実現のため
の人事制度上の課題
「コア・プロセスの遂行をサポート 将来的なタレントの需要・供給ギャップ するナレッジ情報」と「人材のスキル
を、どのように埋めていくかという 育成」を仕組みとして提供していく。
視点からの戦略も策定しておく必要が プロセスの標準化」の中で「各ワーク で整理した上で、日本人だけでは追い 企業の海外現地法人における取締役層・
中間管理職の大半は日本人が配置され ているが、地理的なビジネス拡大に 向け、ローカルのタレント人材登用の 仕組みを強化しておく必要性が高まっ
ていると認識している。
図2: ヒューマン・キャピタル・デベロプメント・フレームワーク
第1層
Ⅰ 業績
PER
EVA
第2層
NOPAT
収益成長率
(株価収益率)
(税引き後
営業利益)
Ⅱ キー・パフォーマンス・
ドライバー
生産性
品質
イノベー ション
顧客満足
第3層 Ⅲ 組織能力
リーダーシップ
第4層
組織の
知識・スキル
組織
パフォーマンス
帰属意識
変化への
適応力
タレント
マネジメント
組織
効率性
Ⅳ 人事プロセス
コンピテンシー
管理
キャリア
開発
人事考課・評価
報酬・報奨
社員との
リレーションシップ
人材戦略
サクセッション
プラン
(後継者育成)/
リーダーシップ
開発
学習管理
採用
ナレッジ
マネジメント
要員計画
職場環境
人事インフラ
(給与管理・福利厚生等)
© 2008 Accenture All rights reserved.
幹部人材候補をグローバルなタレント 図る。その前提としては、人事情報を 人材として活用するためには、キャリア 集約化(DB化)・可視化する仕組みが 形成のための配置(垂直型の配置)を 必要であり、統一ジョブ・グレード構築 グローバルレベルで実現するために、
やグローバル・ポジションへの現地 統一的ジョブ・グレード等の人事制度 採用人材の登用に、情報システム基盤 を整備することが必要となる。
を有効活用することで、効率的なタレ 欧州の保険会社 B においては、次世代 ント・マネジメント運営を支えている。
リーダー育成のプログラムとローカル 人材育成投資と事業収益の拡大
人材の育成プログラムとを、前述の 最後に、これからの人材育成投資は、
考え方に基づき弊社と共に策定し、 その仕組みをグローバルに展開・導入
している。
タレントの活力を維持しながら育成を
効果的に行い、かつ適材適所をも円滑
に実現するには、人事制度も抜本的な
転換が要求される。制度も画一的では
なく、構造化・メニュー化を実施し、 ライン・マネジャーによる、オプション 選択等が可能なものが求められる。
タレント・マネジメントを支える人事 基盤(人事機能と情報システム)は、 「分散・集中」と「専門性・オペレー
ション」という 2 軸で機能配置を判断 し 、 各 人 事 ( HR ) 機 能 の 最 適 化 を 事業収益の拡大(Top
Line Growth)に 繋げるタレント投資であり、そのリター ンは、第一義的には事業成果の向上 (売上げ、利益、資本効率等)である。 弊社は、タレント・マネジメントの 仕組み化が事業の成否を左右するもの と考え、その支援を極めて重要視・ 強化している。
堀江 章子
1969年生まれ 千葉県出身 1993年 慶應義塾大学法学部卒業
同年 アクセンチュア入社 金融サービス本部所属 パートナー 銀行業を中心としたサービスの展開
BPR成功に向けたSOAの適用とその実現
昨年来、大きな話題として取り上げられている郵政民政化、保険商品の銀行窓販 解禁の中、弊社がご支援させて頂いた某保険会社では、営業の対前年比 率 2 桁 成長、リスクの低減、無駄なコストの排除を目的としたペーパーレスを主軸とした BPR推進の気運が高まった。はじめに契約保全業務を中心とした現行業務分析を 実施し、今後 5 年間の BPR のロードマップを検討した。また、これを実現していく ためのプロジェクト体制、導入ミドルウェア、そしてパイロット開発としてスモール スタートすべく、第一期の BPR 実現 業務 対 象として、年間のトラン ザクション・ ボリュームは小規模ではあるものの、既存顧客への対応としては重要な、顧客宛
帳票出力に関する保全業務を実施した。
本稿は以上を前提として開始した BPR 実現プロジェクト(以下当プロジェクト)を
長谷川 誠幸
推進する上での実体験に基づき、SOA( Service Oriented Architecture)導入に
関するプロジェクト成功のための要諦を提示する。BPRを実現するにあたって、
SOA 概念を導入し、当概念を実現できる導入ミドルウェアを利用したが、弊社が 取り扱う最 初 のミドル ウェアということも あり、そ の 道 筋 は 簡 単 な も ので は なかった。また、外部システム接続を含むBPRを目指していたことも独特な難しさを もたらしていた。
当プロジェクトで発 生した問題と
対応すべきだったリスク
当初、通常のSIプロジェクトと同様、
要件定義→外部設計フェーズと問題 なく進めていたものの、開発局面に さしかかるにつれ、様々な障壁に直面
することになった。以下に、発生した
各種の問題と、対応すべきであったと
想定されるリスクについて詳説する。
(図1参照)
SOA プロジェクトでは一般的なプロ ジェクトリスクの他に、さらに重点的
に以下のリスクを事前に取り除くこと
によって、プロジェクトの見積もり、
納期を予定通りに実現する。
• 技術リスク
• 開発リスク
• コミュニケーション・リスク
技 術 検 証 ベースの 強 固 な アー キ
テクチャー 技術リスクへの対応
て技術検証を実施した。検証の観点は 検討した結果、検証観点として SOA
以下のようなものであった。
構 成 要 素 と し て の 技 術 的 な 観 点 を ユーザー業務観点
• ワークフローによるユーザーのタスク 一覧が表示できるか。
• タスクの閲覧、タスクの更新ができ
るか。
• 承認タスクの終了から自動的に書類
不備チェック機能が実行されるか
等。
外部接続性観点
• メインフレームで稼働している業務
機能が利用できるか。
• 既存RDBMS(Relational Database
Management System)を利用でき
るか。
• 社内コミュニケーションツールを 利用できるか等。
当プロジェクトでは、簡易的な業務 こうした視点は重要であるが、果た シナリオをベースとして評価軸を設け
してこれだけでよかったのかどうか再 もっと組み込むべきであったと認識 した。その理由として、下記の事項が
挙げられる。
• 現実的に技術検証に掛けられる時間
は時間・コスト的にそれほど余裕が
あるわけではない。
• 技術検証の目的は技術リスクを排除
することであり、リスクが認められ
るものについては、早急な解決案と
して次のアクションを決定したい。
アドオン開発などもその解決案の 一例である。
• ユ ー ザ ー 業 務 観 点 は 画 面 操 作 に
限定されるケースが多く、また
SOAはEAI(Enterprise Application
Integration )のような外部接続を 主としたシステム統合基盤とは異
なるため、接続性だけに着目する ことは危険である。エンド・ユー ザー、外部システムの両端ではなく、 S O A ミ ド ル ウ ェ ア の 内 部 に よ り 技術リスクが潜んでいる。
最終目標は、より強固なアーキテク チャをクライアントITに導入すること にある。 SOA 内部・外部を合わせた 技術的観点における検証項目を例示 する。(図2参照)
当プロジェクトも同様、所謂「作り
能力、運用能力も技術課題として網羅 方、動かし方」という開発手法で課題 的に把握し、開発レベルでの手法の が発生していたため、開発プロセスを 定義が重要である。結局、 SOA ミド 再定義するものとして以下を追加整備
ルウェアを導入するとしても、開発 した。
ツールを用いた詳細な開発手法を定義・
標 準 化 され た SOA 開 発 プ ロセ ス
– 開発リスクへの対応
• サービス・プログラミング規則の定義
繋がるのである。
当プロジェクトでは、要件定義と並行 してパイロット開発に対する開発標 準化の推進を行った。標準化の対象 は、設計段階で意識するべく以下の ものとした。
• ビジネスプロセス設計標準
• サービス識別標準
• ワークフロー利用画面標準等
一 般 的 に 、 S O A ミ ド ル ウ ェ ア で は コーディングレスであることが強調 されるため、 Java などのプログラム
開発を必要としない想定でいることが
多い。しかし、実際はプログラミング しなくとも、それに相当する設定が 煩雑になる場合、アドオンによるプロ
グラミングをするのが現実である。
10
→契約者存在確認、支払履歴等の 複雑な既契約チェックを、ミドル ウェア上で Java コーディングに よって解決することができた。
• プログラム・パッケージ作成単位の 切り出し方針定義
→パッケージ作成にかかった時間を 30~40分短縮することができた。
周知の上、推進していくことが成功に
S O A プ ロ ジェクト の 推 進 体 制 –
コミュニケーションリスクへの対応
SOAのサービスでは、外部接続用
の 既 存 API ( Application Program
Interface)などを利用して構成される
場合が多い。この場合、プロジェクト
の早期段階に当 API の仕様を把握する
ことが重要である。
当プロジェクトは現行メインフレーム
• サービス・マッピング実装指針の定義
上の顧客情報、既契約情報等を照会、
→極力マッピングを避けることで、 経由でセンタープリンターより出力 項目数が多い( 100+ )サービス 呼び出しの変更に柔軟に対応する ことができた。
前項でも触れたが、技術検証では実行 能 力 だ け を 見 る の で は な く 、 開 発 更新し、顧客宛帳票をメインフレーム する必要があり、現行メインフレーム の 機 能 を 既 存 API で 呼 び 出 す 必 要 が あった。しかし、外部設計期間の 2 ヵ
月 間 で 当 API の 呼 び 出 し 規 格 を 定 義 す る は ず が 、 追 加 で 4 ヵ 月 の 期 間 を 要することになった。
図1: 当プロジェクトの問題と対応するリスク
当プロジェクトで
発生した主な問題
顕在化したリスク
技術
開発
コミュニ
ケーション
1∼3日で業務が終了するワークフローを
テストしていたが、ミドルウェアを再起動
すると継続中のタスクが紛失してしまう
ワークフロー・タスクの参照・更新に5∼10
分かかってしまう
SOAレイヤー
種別
リスクに対して
想定された対応策
ビジネスプロセス
技術リスクへの対応
SOA の内外を問わない網羅的な技術的
観点による技術検証が効果的
ワークフロー
(ビジネスプロセス)
ワークフローを修正し実行環境に移行する
と旧バーションで管理されていたタスクが
継続実行できなくなってしまう
ビジネスプロセス
ビジネスプロセスを修正し、
実行環境に移行
する度に30∼40分時間がかかる
ビジネスプロセス
外部接続環境のアクセスの取り決めが遅延
し、
4ヵ月にわたる仕様変更が発生した
サービス
開発リスクへの対応
SOAミドルウェアと開発ツールを初期段階
に使い切ることにより、開発手法を確立さ
せることが必要
コミュニケーション・リスクへの対応
SOAプロジェクトを開始する時点でのプロ
セス指向の組織づくり、強力な推進体制が
必要
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図2: SOA構成要素別 技術検証項目
レイヤー
SOA構成要素としての概要
SOA技術検証項目例
・サービスを利用するユーザー・インターフェース
・Web画面、
クライアント・アプリケーション
例)申込情報確認画面、既契約情報確認画面
・画面生成、画面遷移
・セッション管理
・多重アクセス等
プロセス
・STP、承認・申請等のヒューマン・ワークフロー
・アクティビティ・モニター、統計を取得できるBAM
例)保険証券申込・発行プロセス、既契約確認プロセス
・ビジネスプロセスの永続化
・複数バージョンの並行稼働
・タスクの更新/参照、性能等
サービス連携
・画面、
プロセス、サービスを連携する基盤
・サービスの管理、閲覧を可能にするサービス・レポジトリ
例)既契約存在確認サービス呼び出し
・非同期、同期メッセージング
・配信保証
・マルチキャスト/P2P等
・既存APIを組み合わせて構成されたサービス・モジュール
・外部接続を利用して構成されたサービス・モジュール
例)既契約確認サービス、顧客確認サービス
・外部システム接続性
・サービス管理下のデータ構成
・トランザクション保証等
画面
サービス
その他、運用・保守・開発効率の観点
・プロセス/画面のカスタマイズ、修正の容易性
・開発リソースのビルド/デプロイの方法
・タスク、
プロセス情報のバックアップ/リカバリ等
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図3: SOAプロジェクトのあるべき推進体制
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SOAផㅴ਄ߩIT૕೙
CIO
アプリ
ケーション
ビジネス
領域#1
インフラ
ビジネス
領域#2
CIO
ビジネス指向組織との協調が必要
運用
ビジネス
アプリ
ケーション
プロセス
デザイン
アプリ
ケーション
ビジネス
領域#1
インフラ
運用
アプリ
ケーション
ビジネス
領域#2
プロセス
サービス
仕様化
プロセス
サービス
アプリ
開発
サービス
インフラ
プロセス
検証
インフラ
横断的チームによるITの落とし込みが必要
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『日本企業では機能が組織と一体化 最後に
しているケースが多い』と言われて パイロット開発としてリリースした いるが、 SOA に取り組むために組織 改革の推進を含め、 To-Be 像に近付 けた体制の確立が必要である。スモール スタートであるパイロット開発におい
ても、このようなコンセプトを持ち、
かつこれを支持する強力な推進体制が 必要であったのではないかと考える。 4 ヵ 月 の 遅 延 に 対 し て 現 行 メ イ ン フ レーム担当の協力体制、推進体制を システムは、現在、順調に稼動して いる。同時にBPRの目的であったペー パーレス、コスト削減についても実現 され、今後の保全業務全般の BPR に 向けて拡大していく礎ができたものと
確信している。
一般的なSIプロジェクトに対して
SOA プロジェクトでは、それ特有の 長谷川 誠幸
1973年生まれ 神奈川県出身 1999年 東京工業大学大学院理工学
研究科卒業
同年 アクセンチュア入社 システム・インテグレーション& テクノロジー 本部所属 マネジャー
早期に作るべきであった。
留 意 す べ き ポ イ ン ト が あ る と 前 述 テクニカル・アーキテクチャーの SOA では機能ベースではなく、業務 したが、それは特別なことではなく、 計画・立案およびプロジェクト推進、
疎結合の概念から派生して、アーキ SOAグループ推進を担当
プロセスベースでの体制作りが必須で あ る ( 図 3 参 照 )。 外 部 接 続 に 端 を 発したが、弊社のようなオフショア 開発を実施する SOA プロジェクトに おいては、開発センターにより安価で
品質の良いシステムを提供することが
可能である。そのためにも推進体制の
維持、外部接続の仕様を早期に固める
ことによって、SOA内部のセンター側 への発注、開発、納品を円滑に実施 することが必要となる。
12
テクチャのレイヤー化、レイヤー化 することによるガバナンス、レイヤー
化された上で設計・実装する際の標準
事項を、それぞれプロジェクトで周知
することにある。
現状分析・コスト分析・ SOA 化対象 領域の識別をした上でロードマップが
描ければ、すでに具体化されている
のも同様なので、ITの SOA化における 最初のスタートラインに立つことを 意味していると言える。
オフショアを活用した業務アウトソーシング ~ 3つの問いと成功の要諦
サブプライム問題の直接的な影響、原油価格上昇がもたらす「家計引締め」による
間接的な影響など、金融機関を取り巻く環境は“不確実性”を増している。一方、
金融商品取引法に関するより強固な態勢整備、日本版 SOX 法対応、またより高度 化 、複 雑 化する顧 客ニーズへ の対応 など、金 融 機 関が 対応 すべき取り組みは“ 待ったなし”という状 況にある。しかも、これらの取り組みは当然 投 資を伴う。 不確実な環境下においては、いかにして“限られた経営資源を効率よく活用しつつ、 高収 益 体質を構築するか”というテーマがこれまで以 上に重 要なものとなって くる。それを実現するための1つの有効な手段として位置付けられる「オフショアを 活用した業務アウトソーシング」について、よく聞かれる“ 3 つの問い”に対する 見解を述べると共に、そこから導かれる成功の要諦を考察してみたい。
奥野 隆史
何故“オフショアを活用”した業務
アウトソーシングなのか
近年よく耳にする業務アウトソーシ ング、シェアドサービス化によるコスト 低減、本社職員のコア業務への集中 な ど 、 日 本 の 金 融 機 関 に お い て も 減少する傾向にある。
一方、日本企業のオフショア先の最 有力候補である中国では、毎年多くの
多様化、高度化する顧客ニーズに対応 優秀な大学卒業生が労働市場に加わる
す べ く 、 こ れ ま で 各 社 と も あ る 種 (2006年実績は約410万人)。
「子会社への業務委託」などの形で 既にスキルを持った国内シニア層を 進められてきた。では、何故オフショア 活用するのではなく、より先の長い を活用するのであろうか。
優秀な若年層を調達し育てる方が、 日 本 の 労 働 市 場 の 状 況 を 踏 ま え 、 できると考える。また、
(地域格差等 “限られた経営資源を効率よく活用 しつつ、高収益体質を構築する”こと
を考えたとき、オフショアを活用する メリットは「さらなる要員調達」と 「さらなるコスト低減」の両方を同時
に達成できることにある。
数年前までの日本経済の不調に耐え 抜くために、多くの日本企業が正社員 の 採 用 を 抑 制 し た た め 、 ス キ ル を 持った社内若年層の数が少ない。さら
には、 2020 年には若年層人口( 25-
39 歳)が生産年齢人口( 15-64 歳)
の 28% ( 2010 年時点では約 32% )
となり、国内においては調達対象が 問①「業務が 複 雑すぎて、外部に
出すなど無理なのではないか」
長期にわたり安定的なサービスを提供 の た め 一 概 に 比 較 で き な い が ) 1 人 あたり名目 GDP が約 $34,000 である パートタイマーなどの日本人スタッフ で は な く 、 約 $2,000 で あ る 中 国 人 スタッフを活用する方がコスト低減を 達成しやすい。
“ つ ぎ は ぎ の 改 善 ” を 繰 り 返 し 、 業務、システム共に複雑化している ことは否めないのではないだろうか。
限られた経営資源を効率よく活用し つつ、高収益体質を構築するために
は、いずれは整理する必要性がある。 企業はその活動を「コア活動≒自社 対応領域」と「ノン・コア活動≒代替
策検討領域」に分類し、選択と集中を
志向すべきであり、改めて複雑なもの をシンプルに整理して、複雑なまま 外部に出すことを見直す必要があるの
“3つの問い”
ではないだろうか。
前述のメリットを踏まえ、オフショア 各企業の戦略、置かれている環境に を活用した業務アウトソーシングに ついていくつかの金融機関の方々と 意見交換をさせて頂いたところ、担当 者の方々は、主に 3 つの懸念を持たれ
ていると感じた。
より整理の仕方は異なるが、保険に おけるコア、ノン・コア整理の視点を
例示したい。
1 つ の 視 点 と し て 、 業 務 バ リ ュ ー チ ェ ー ン に お け る 各 活 動 を 「 知 的 13
図1: 保険におけるコア、ノン・コア整理の視点
企保商品見積もり
類似性の視点
・クラスベース
ケースベース
トランザクション・ボリュームは大きく、
トランザク
ション自体は類似している
企業からの
個別照会
コア活動
類似性の視点
顧客からの
一般照会
・ ケースベース
トランザクション・ボリュームは小さく、
個別の対応
が必要
事務・業務の視点
自動車保険金支払
クラスベース
システム入力
・ 事務
公に遂行の方法が定められていないもの
(スピード・正確性による顧客満足度重視)
・ 業務
ノン・コア活動
自動車ダイレクト
見積もり
事務
活動の例示
法令や指針、規定等で公に遂行の方法が定め
られているもの(品質による顧客満足度重視)
事務
事務・業務の視点
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資本」「顧客リレーションシップ」 「複雑な業務」を外部に出す際は、 よ る コ ス ト 低 減 効 果 は 、 短 期 的 な 「 業 務 実 行 力 」 と い う 3 つ の 点 か ら このような整理が必要であるため、 ものとして捉える必要がある。中国 整理し、トップダウンでコア、ノン・
オフショアを活用した業務アウトソー
の 1 人 あ た り G D P は 、 1 9 9 0 年 は 約 コアを整理することが挙げられる。 シング実施の初期段階では、トランス 「知的資本」にあたる業務は企業の フォーメーション(改革)、およびその
$ 3 4 0 で あ っ た が 、 2 0 0 5 年 に は 約 $1,700へと、過去15年間で約5倍へと 中核を担うものであるため、コアと ための投資が必要となる。
増加しており、一般事務員の給与上昇 定義されることが一般的である一方、
「業務実行力」にあたる業務は企業が 自社で対応する必然性が薄いため、 したがって、投資から見込まれる効果 を 定 量 的 に 検 証 す る こ と が 肝 要 で 率は、2007年には8.2%、2008年では
8.4%(予測)である。
ある。また、アウトソーシング対象 中国の主なオフショア先である上海や
領域については、自社のノウハウ蓄積
大連に比べて、より人件費の低い内陸
機会が低減する可能性などのリスクに
に新たなオフショア先を求めることも
性」「事務・業務」の両視点から整理
ついて、自社戦略上本当にその領域の 想定されるが、スキル醸成までに長期
し、トップダウンで定義されたコア、
ノウハウを蓄積する必要があるのか 間が必要であることに加え、いずれは ノン・コアの“フィージビリティ”を どうかを、慎重に検討する必要がある。
その地域の人件費も上昇することが ノン・コアと定義されることが多い。
もう 1 つの視点では、各活動を「類似
確認する。トップダウンでの整理の際 に「業務実行力≒ノンコア」と定義 された場合でも、法令や指針等で公に 問②「コスト低減効果はオフショア
先賃金格差のみか」
予想される。
したがって、オフショアを活用した 地理的な条件、中国政府のアウトソー
業務アウトソーシングにおいては、 シング輸出額増加計画等、依然中国は
賃金格差による短期的なコスト低減 日本企業のオフショア先として最有力 効果のみではなく、委託企業のビジ また外部に出すことが比較的容易な であることに異論はないであろう。 ネスを理解した(可能な限り)、単一 事務についても、ケースベースの事務
しかし、中国の経済成長が今後も続く
のパートナーとの「長期ディール」を はクラスベースの事務と比較してオフ と仮定した場合、「中国にオフショア 通じた複雑な業務の整理と、「継続的 シ ョ ア を 活 用 し 難 い 状 況 に あ る 。 化することだけでコスト低減効果を な生産性向上」による中長期的、かつ (図1参照)
得る」こと、すなわち、賃金格差に 安定的なコスト低減効果をも狙うべき 遂行の方法が定められている業務に ついては、外部に出すとは考えにくい。
14
図2: オフショアを活用した業務アウトソーシング成功の要諦
コスト
②長期のディール形成
①トランス
フォーメーション
トランス
フォーメーション
コスト
継続的な「生産性向上」
に
よる中長期のコスト低減
現在のコストベースライン
③品質管理の仕組み
賃金格差とトランスフォー
メーションによる投資回収&
コスト低減
インフレ
時間
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と考える。「長期ディール」は、これ
らの中長期にわたるコスト低減のため の仕組みを、予めアウトソーシング 契約に盛り込むことを可能にする。
問③「オフショアを活用することで
業務品質は低下しないか」
言語も文化も違うオフショア人員を 活用することに抵抗感があるのは当然 であるが、日本でも、特に製造業に おいてはアウトソース先として中国を 長年活用しているという実績、また 中国における日本語能力試験の受験者 数が年々増加していること等を勘案 すれば、中国へのオフショア化を検討 する際、日本語スキルは「前提」と して捉えて問題ないと考える。弊社 東京オフィスの経理、人事等の事務も 中国大連にある弊社の「シェアド・ サ ー ビ ス ・ セ ン タ ー 」 に 委 託 し て おり、 281 名の中国人員が日本語等
の複数言語を駆使しながら 22,000 名 品質を担保するための仕組みである。
奥野 隆史
日 本 を 含 む 複 数 企 業 に サ ー ビ ス を 1976年生まれ 提供している弊社オフショアセンタ
福岡県出身 ーで も 、 取 得 し て い る ISO27001 、
1999年慶應義塾大学法学部卒業
CMMI Level5等の国際規格やLean/Six
Sigmaをベースとした弊社独自の品質 同年アクセンチュア入社 向上方法論等、品質管理の仕組みを 構築し、継続的に向上していく事こそ 重要と考える。また、業務品質を担保 する上では、委託企業と受託企業の 間で取り交わす SLA は必要不可欠で ある。
金融サービス本部所属 マネジャー
国内外保険会社におけるプロジェクト 管理経験等を経て、現在は主に業務 アウトソーシングを担当
SLAは業務品質を定量的に測る指標と して、品質管理上最も重要な役割を 担う。この SLAにより両社が常にサー ビス・レベル( 1 ヵ月間の平均ミス率 0.01% 以下等)の目標値を共有し、 品質を可視化することで、迅速な改善
策を取ることが可能となる。
(本文記載の数値は弊社調べ)
以上の弊社アジア・パシフィックの 人員にサービスを提供している。これら 日本語スキルの蓄積度を鑑みると、 より重要なのは、文化の違いを超えて 15
最近話題のプロジェクト
金融市場や景気の先行きに不透明感のある中でも、特にアジア地域における M&Aを含めた事業拡大に関する支援の依頼や、それらも踏まえた、会社・部門 としての総合的な人材登用・育成モデルの検討、オペレーションモデルの構築と いった検討テーマが増えております。
業態
案件概要
CS
銀行
本部の「効率化の方向性」と「強化すべき本部機能」の定義
○
銀行の総務領域に対するERP導入支援
○
コールセンター業務のパフォーマンス向上に向けた改革支援
○
バーゼルⅡ対応商品開発支援
○
次世代契約管理業務を実現するためのシステム化要件定義
○
お客さまへのサポート力強化、企業価値向上に向けたM&A戦略策定
○
保険
システム開発力強化に向けたアプリケーションアウトソーシングの実現性検証
証券
○
リスクおよび統制に対する自己評価プログラム(RCSA)の導入・定着化支援
○
金融商品取引法対応の全体プログラム管理
○
リース
新たな営業戦略の実現に向けた改革導入支援
○
その他
M&Aに関するアドバイザリー
IT子会社のソーシング・人材戦略立案
○
運用会社におけるシステム構成適正化に向けた方針検討支援
○
16
○
TC
○
○
基幹システム刷新に向けた新業務導入支援
(略)CS:コンサルティング、OS:アウトソーシング、TC:テクノロジー
OS
アライアンスおよびパッケージ・システム
社名/ソリューション名 ソリューションタイプ
ソリューション概要
弊社/
マーケティング・ マーケティング・チャネルにおける顧客反応の最大化を支援。Webサイトのラン Memetrics
(Digital Marketing
Optimization)
チャネル最適化 ディングページ最適化にとどまらず、E-mail、DM、リスティング広告、コールセン ソリューション
ターなど複数のマーケティング手段の活用を最適化し、売上増加、口座開設率の
向上等、ROIの最大化を科学的かつ自動的に実現。2007年12月アクセンチュアが Memetrics 社を買収したことにより、コンサルティングを含めたより総合的な ソリューションとして提供可能。
弊社/
生命保険向け契約 生命保険・年金保険の契約管理(サイクル)業務をあまねく支援する基幹系 Accenture Life
Insurance Platform
(ALIP)
管理システム
パッケージシステム。コンポーネント単位の組み合わせによって、最適な機能 のみの導入が可能。 16 年以上にわたり、北米を中心に世界で 220 名以上の専門 スタッフが、 60 社以上にソリューションとプロフェッショナルサービスを 提供。 2006 年 8月アクセンチュアがNaviSys社を買収、ソリューション名を アクセンチュア生命保険プラットフォーム(Accenture
Life Insurance Platform
– ALIP)に改称。
KXEN
SAP
データベース・ 高精度なデータマイニングを自動化・システム化するKXENは、膨大な顧客への マーケティング・ 最適な商品やキャンペーンの選択を可能にすることで、内外の大手金融業界に エンジン
おいてCRM分野での採用が相次ぐ次世代分析ソフト。
BaselⅡ対応システム 高品質・高付加価値な導入コンサルテーション、豊富な成功事例に裏付けされた
銀行勘定系システム
安全・確実なシステム導入、SAP 社とのグローバルアライアンスに基づく手厚い ERP(人事・会計) サポートを提供。
“BWを中核とした情報系システムの再構築”など、個別課題への システムデータベース・
ソリューションとして提供可能
システム
Odyssey Asset
Management
Systems (OAMS)
ウェルス・マネジメント・ プライベート・バンキング/ウェルス・マネジメント・ビジネスを展開する上で必須 システム
となる顧客管理・ポートフォリオ管理・リスク管理・レポーティングを統合化した システム「Odyssey」。要件定義、開発・導入、運用・保守まで OAMS社とのアライ アンスに基づいて日本にて展開。
Teradata
データベース・システム
次世代情報系システムの企画・設計・構築を支援。テラデータ基盤でのEDW(エン タープライズ・データウェアハウス)と各種BI(ビジネスインテリジェンス-データ 分析)ツールやモデリングツール、キャンペーン管理ツールなどの組み合わせに よって、最適な情報系システムを導入。海外で導入が進むLDM(論理データモデル)
の活用なども支援。
Murex
市場系システム
株式・債券・デリバティブ、外為関連のディーリングフロントオフィス・リスク管理・ バックオフィス業務を行うための市場系システムの導入支援。欧州を中心に世界で 200 名以上のエンジニア(国内では10 名強)と20以上の導入経験によって培った 方法論を最大活用。
ORACLE
銀行勘定系システム
コア・バンキングパッケージとして、新規顧客獲得数 4 年連続世界第一位にラン キング( 2002 ~ 2005 年 、IBS 誌 )。現 在 の 顧 客 数 500 以 上、115ヵ国 以 上で サービス提供している「 Flex-Cube」。モジュール・アーキテクチャとして、機能が 部品化されており、必要な機能のみの導入が可能。また、商品をパラメータで 設定可能なため、新商品の導入が容易。
日興システム 証券・資産運用系
銀行、証券、投信投資顧問等を主要顧客として、総合証券システム、オンライン・ ソリューションズ システム&
トレーディングシステム、投信窓販システム、投信計理システム等を、ASP 型の (NKSOL)
コンサルテーション
システムサービスとして提供。また、豊富な実務・運用経験に基づく、業務・シス テム・技術コンサルティングを展開。2005年、より高度で幅広いサービスをワン ストップで提供すべく、アクセンチュアとアライアンスを締結。
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イベント・セミナー案内
アクセンチュア株式会社が開催・協賛 イベント・セミナーの開催のご案内
イベント・セミナーのご報告
するイベント・セミナーをご紹介 致し 「アウトソーシング サミット2008」/ 「アク セ ン チュ ア・グ ロ ーバ ルソー ガートナー ジャパン株式会社/2008年 シング・セミナー」を 2008 年1 月22 日 4月15日(火)・16日(水)/東京コンファ (火)に開催 致しました。弊社でアウト レンスセンター品川/エグゼクティブ・ ソーシング をご 活 用くだ さって い る パートナー 五十嵐 慎二/
外資 系 生保 会 社の IT 部門 責任者 の方 から頂 戴したプレ ゼ ンテ ーション を 日本語サイトのトップページ右側に http://www.e-gartner.jp/os2008/program.html
ある「イベント・セミナー」をクリック
「 CIO Agenda Asia Pacific 2008
ま す。ご 興 味 の あ る方 は 、主 催 団 体 までお問い合わせ下さい。
(タイトル/
主催/日時/会場/弊社講演者/サイト)
なお、幣社Webサイトでもイベント・ セミナーをご紹介しています。弊社 して下さい。( www.accenture.com/
Countries/Japan/)
(上海)
」/ The
Economist Intelligence
Unit ・アクセンチュア/ 2008 年 4 月 21 日 ( 月 ) - 23 日 ( 水 ) / JW Marriott
Shanghai
「 グ リ ー ン IT 」 / ア ク セ ン チ ュ ア / 2008 年 4 月 24 日 ( 木 ) / 青 山 ダ イ ヤ モ ン ド ホ ー ル / エ グ ゼ ク テ ィ ブ ・ パ ー ト ナ ー ス テ フ ァ ン ナ ン 、 パートナー 森 泰成
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はじめ、大 変ご好評頂きました。当日
のプレゼンテーション資料をサイトに
掲載しましたので是非ご参照下さい。
http://www.accenture.com/global
sourcingjapan
会社概要
グローバル拠点数:
アクセンチュア株式会社
お問合せ先
世界49カ国150都市以上
本社所在地:
ニューズレターの掲載内容に関する
〒107-8672 東京都港区赤坂1-11-44 お問合せ、送付先の変更・停止等に
赤坂インターシティ
関するご連絡は、下記までお願い致し
売上高:
約197億USドル (2007年8月期)
従業員数:
約17万8,000人 (2008年3月末)
会長兼最高経営責任者:
ウィリアム・D・グリーン
(William D. Green)
電話番号:
03-3588-3000(代表)
FAX:
03-3588-3001
従業員数:
ます。
FS Architect
担当パートナー 三宅 利洋
[email protected]
03-3588-3000 (代表)
3,500人以上 (2008年3月末)
(アクセンチュア・テクノロジー・
ソリューションズ株式会社を含む)
代表者:
代表取締役社長 程 近智
URL: www.accenture.com/jp
19
Copyright © 2008 Accenture
All rights reserved.
アクセンチュアについて
Accenture, its logo, and
High Performance Delivered
are trademarks of Accenture.
グ、テクノロジー・サービス、アウトソー
アクセンチュアは、経営コンサルティン
シング・サービスを提 供するグローバル
企 業 で す。豊 富 な 経 験 、あら ゆ る 業 界
や 業 務 に 対応 で きる能 力、世 界で 最 も
成功を収めている企業に関する広範囲に
及ぶリサーチなどの強みを活かし、民間
企 業や官公 庁 のお客 様 がより高いビジ
ネス・パフォーマンスを達成できるよう、
そ の 実 現に向けてお 客 様とともに 取り
組んでいます。世界49カ国に約17万8千人
以上の社員を擁するアクセンチュアは、
2007年 8月31日を期末とする2007 会計
年度の売上高が、約197億 USドルでした
(2001年7月19日NYSE上場、略号:ACN)。
アクセンチュアの詳細はaccenture.comを、
アク セ ン チュ ア 株 式 会 社 の 詳 細 は
accenture.com/jpをご覧ください。
ACC8569