『10 秒の壁を打ち破る』 日本の電子部品・半導体企業が 世界のトップランナーであり続けるために 1980 年代までは 10 秒で世界を戦うことがで きたが、1990 年代に入り 10 秒を 切ることは その舞台に立つ必須条件になった。今では 9 秒 台前半に迫る記録が出ている。 トップアスリートでありつづけるために 100m という短い距離をいかに早く走り抜け るか という、 一 見 単 純 な 競 技 に 対し、 どの ように対応し、選手及びそのチームは戦って い る の か。 ま た、 記 録 更 新 に 向 け て、 どの ように日々日々練習を積み重ねて対応してい るのだろうか。そのポイントを 3 つ 挙げると 次のようになるだろう。 まずはスタートである。 100m においてスタートダッシュに課題を持っ ている選手は多く、その克服のためだけにコー チをつけることまであるようだ。 素早いスタートを切るためには、 耳はもちろん、 あらゆる神経を極限まで研ぎ澄まし、スター ターのピストルに的確に反応することが必要だ。 次に肉体である。 アスリートにとって、推 進 力を生みだす肉体 も重要な要素であろう。 肉体を改造し、体幹を鍛えることはもちろん 大切だが、必要以上に重い筋力をつけること で俊敏性を失ってしまうと記録を伸ばすどこ ろか、逆に筋力が邪魔になってしまう場合も ある。早く走るという目的と体に合った筋肉 が必要だ。 また、地面との接地の感覚や風向きなど、神 経を研ぎ澄ませて足から、目から、耳から得 た様々な情報を瞬時に判断し、体の隅々まで 命令や血をいきわたらせることも求められる。 最後は道具である。 この 二十 年 で必 要 な 道 具 が 大 きく変 わって いる。ウェアやシューズはこれ 以 上ないくら い軽量化され、かつ以前に比べて格段に高機 男子 100m の世界記録 10.1 10 9.9 9.8 9.7 9.6 9.5 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1988 1989 1990 1991 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2006 2007 2008 2008 2009 2010 2010 2011 2012 人類最速を競うと言われている男子 100m 走。 能になった。シューズを例にすると、選 手 毎 日本における電子部品・半導体企業が、現状 の走方に応じて、蹴り出す力を出来るだけ地 をどのように打破し、トップランナーであり続 面に伝 えられるようにピンの 長さを 調 節し、 けるために何をしなければいけないか。 プレートの材質や反発性を変えるなどした上、 極限まで軽量化する工夫が施されている。 道具の専門家たちによって研究・開発された 製品を使うことは、アスリートが持つ能力を 最 大 限に発 揮 するために欠 かせ な い も のと まずはスタートである。 トップ アスリートがスターター のピストルに 的 確に反 応し、いかに早くスタートダッシュ を切るかが重要なのと同様に、電子部品・半導 なっている。 体メーカーにとってマーケットの変化をとらえ 電子部品・半導体企業が トップランナーであり続けるために 生産活動につなげていくことは非常に重要で 1980 年から 2000 年までにか けては、電 子 部 品・半 導 体 各 社 の 主 要 マー ケットで あ る エレクトロニクス製品や自動車では、日系メー カー各社が世界の最高峰に君臨し、日系メー カーにつ いて い け ば、世 界 の 表 舞 台で 戦う ことができた。 しかし、今世紀に入り、電子部品・半 導体 業 界を取り巻く環境は大きく変わったと言える。 台湾、中国など新興国が次々と台頭し、グロー バルに競合企業が多くなった。また、マーケッ トの浮き沈みも激しく、稼ぎ頭が急にお荷物 になることも少なくない。 るセンサーを研ぎ澄まし、設計・開発から、営業、 ある。 マーケット情報を、日本国内で日系メーカーと 密 な 連 携 を す る こ と で つ か んで い れ ば 良 かった時代は終わり、新興国を含めたグロー バ ル の 企 業 から情 報を 集 め ることが 必 須と なって い るため に、 情 報 を 収 集 する 手 段 が 根本的に変わってきている。 今や web サイトを持たない企業はない。多く の潜在顧客は情報を求めて web サイトまでは 辿り着くが、その 情 報アクセスをうまくビジ ネスにつなげられている企 業は現時点では、 以 外と少なく、入り口まで来ている顧客をみ すみす逃しているといえる。しかし、アクセン チュアの調査によると、BtoB 取引と web など 最後は道具である。 を活用したデジタルマーケティングは非常に 企業においても不必要な贅肉が 落とされた、 システムテンプレートである「ABSOLUTE 相性が良く、ここ数年間で多くの企業がこの 軽量かつ高機能な道具立てというのは極めて for Device」を展開している。日本企業での実績 領 域 に 取り掛かって い る。 これ は 圧 倒 的 な 重要である。資産や人員については軽量化さ はもちろん、グローバルで数多くの導入実績 企業の実力差を生むことになるだろうと予測 れ、時にはオフバランス化も検討の必要があ が存在する。 できる。 るだろう。 次に肉体である。 現在、アウトソースサービスを提供する企業の 企業にとって体の隅々まで命令や血を行き渡 サービスメニューには様々なものが存在する。 ろん、多くの事例からその企業が抱える課題 らせることは、基幹システムを整え、グループ IT や人事、経 理 業務はもちろん、設 計・開発 会社の隅々までデータを分析し、業務指示を から、調達、マーケティングやアフターサービ 与えていくことに当たるだろう。 日本 企 業 の 海 外進 出は かなり昔 から進 んで いた。海外向けの販売拠点である販社や生産 工場拠点が海外にあり、日本国内からの情報 が把握できていれば、大きな意思決定を間違 えることはなかった。そのために、しっかりし た国内のシステムが構築されていれば事業運 営は可能であった。 だけでなく、自社にはないケイパビリティを利 用するための高付加価値サービスや、共同で た だし、企 業 の 体 力に 比して 重 すぎ る 基 幹 システムは競 争力を失うことにつながりかね 世界 舞 台 の 新しいステージ で の 戦 いに 勝 利 するための有力な選択肢になるだろう。 在する。人員を含めた資産を内部で受け入れ るような場合も存在する。 アクセンチュアは上記のような電子部品・半導 欠かせない条件となっている。 に応えるサービスを提案している。 るような形態まで、様々な種類の外部化が存 グ ロ ーバ ル 化し、自 身 も 生 産 に 加 えて 開 発 めて事業の実態を把握することは意思決定に ビス提供企業であり、上記のサービスはもち 業務を行うことによって自社の社員を育成す アクセンチュアのサービス の活動の重要性が増している中で、海外を含 アクセンチュアは世界最大のアウトソースサー スに至るまで幅広い業務が対象となっている。 これらのソリューションをうまく活用すること また、その内容も、低付加価値業務の外部化 は、自社の実力を底上げすることを可能にし、 しかし、今 や、顧 客であるセットメーカーが 拠点の海外シフトが進むなど、グローバルで また、基盤作りには、デバイス業 界向け基幹 体 企 業 のニーズ に 応 える 様 々 な サービ スを 通信・メディア・ハイテク本部 マネジング・ディレクター 松嵜康誉 半導体・電子部品企業をはじめとして、エレク 用意しているが、その一例をご紹介したい。 トロニクス・ハイテク業 界の幅広い産業分野 センサー機能の整備としては、 「アクセンチュア システム構築、コスト改革、新規ビジネスの に対して、企業戦略、事業戦略から、基幹業務・ デジタルマーケティングサービス (ADMS)」だ。 立ち上げ等の策定から改革実行・定着化まで これは、web へのアクセス解析をはじめ、様々 の各種プロジェクトを数多く手掛けている。 な手法で顧客のセグメンテーションを実行し、 また、アクセンチュア(株)の関西・京都オフィス ない。基盤構築は、実績ある手法で、短期間で、 優 先 度 をつけた 上で 営 業 担 当 者による訪 問 所長も兼務し、関西に拠点を持つ企業の成長 安く基 盤 を 構 築 するという選 択 肢 が 求めら までを想定した一連のフローを実現するため 戦略にも従事する。 れる。 のソリューションを提供している。 アクセンチュアが提供するソリューション Copyright © 2013 Accenture All rights reserved. Accenture, its logo, and High Performance Delivered are trademarks of Accenture. 13-3264 / 11-7151
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