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THE ASSOCIATION FOR REAL ESTATE SECURITIZATION
uary-Feb
Jan
ary
ru
2006
・
エイリス
19
不動産証券化を共に推進する情報誌
ゆるやかな坂道と、細い路地
と、石積みの階段。光と影のコ
ントラスト。教会の鐘の音が建
物に反響して微妙にふるえる。
西に聖フランチェスコ聖堂、東
に聖キアラ教会、その間わずか
千数百メートル。その密度の濃
いアッシジの街(写真)はあた
かも一つの彫刻のようだ。イタ
リア滞在中にある都市学者と街
のスケールについて話している
とき、私がタブロー(絵画ない
し額縁)という言葉をつかった
ら直ちにスカルプチャー(彫刻)
だといった。一個の建造物を彫刻的といっているのではなく、街全体を一個の彫刻の
ように考えているのである。アッシジの街を歩いていると、なるほどスカルプチャー
だと納得できる。スバッシオ山の南面する傾斜に彫られた彫刻にほかならないと。だ
が、まてよ。確かに彫刻だというためには、ときどき天上からこの街を見おろさなけ
ればならない。たとえば鳥になって鳥瞰するか、おそれ多いことだが、ときには神様
になりかわって天上から街全体を仔細に眺めなければならない。そう思いながら気づ
いたのだが、スバッシオ山の山頂にあるマッジョーレ城塞は東西にのびる街のほぼ中
心にあり、街全体を見守っている。いったん戦いとなれば住民を守る砦になるであろ
うが、平時においては、アッシジの良民を見守る守護聖人の住まうところと見ていい
のではないか。思えばフランチェスコは若いころ武人になることを夢みたのだから、
彼にとって城塞と教会はひとつながりのものだった。スタンダール流にいえば「赤と
黒」
、つまり赤は軍人、黒は僧侶の象徴であり、純粋な少年にとっては永遠にして古典
的なテーマだったのである。赤たるか、黒たるか。ところで写真左に重層的に見える
のは集合住宅群であるが、中世期に建てられたそれらの住宅に今も人々が住んでいる。
七、八百年の歴史を引き受け、次の世代に引き渡そうとしている。便不便を超越して、
永遠につながろうとしている。見上げた人生観である。 (井尻 千男:拓殖大学教授)
アッシジの街並
(イタリア/アッシジ)
提供●世界文化フォト
May-June. 2003
1
SPEC
IAL
● 理事長あいさつ ……………………………………………………………………………………………………………………………………3
5
● 金融担当大臣あいさつ
………………………………………………………………………………………………………………………
● 国土交通大臣あいさつ
………………………………………………………………………………………………………………………
● 委員長あいさつ
7
11
………………………………………………………………………………………………………………………………
● 不動産投資の基礎知識
2005年を振り返る 不動産投資市場はバブルであったか?
16
………………………………………………
川口 有一郎氏(早稲田大学大学院 ファイナンス研究科教授)
REPORT
● アメリカ不動産学教育の現地レポート
第1回 ジョージア州立大学(GSU)の不動産教育
25
…………………………………………………………………
森 政貴氏(Ph.D. Candidate,Department of Real Estate,Georgia State University)
NEWS
● 平成18年度税制改正大綱まとまる
●「平成18年度 制度改善要望」の経過報告
INFORMATION
31
……………………………………………………………………………………………
33
……………………………………………………………………………………
36
……………………………………………………………………………………………………………………………
表紙文 井尻 千男●いじり・かずお
拓殖大学教授/日本文化研究所所長/元日本経済新聞編集局文化部編集委員
1938年山梨県生まれ。立教大学卒業後、日本経済新聞社入社。編集委員として文化論を中心に広く社会論評を手
がける。97年 4 月より拓殖大学教授。『消費文化の幻想』『劇的なる精神 福田恆存』『言葉を玩んで国を喪う』
『自画像としての都市』
『保守を忘れた自民政治』など著書多数。
2
ARES SPECIAL
理事長あいさつ
社団法人不動産証券化協会
岩沙 弘道
理事長 わが国の不動産証券化市場は引き続き順
都市再生や地域再生が促進されることで、
調に推移しております。特にJ-REITは昨
ひいては日本経済の回復がより力強いもの
年も多くの新規上場があり、銘柄数は28投
になると確信しております。そのような認
資法人、時価総額は約2兆9,000億円となり、
識に基づき、現在検討中の来年度以降の中
私がかねてより申し上げておりました3兆
期3カ年計画も、実効性の高いものにした
円に迫る勢いです。また、私募ファンド市
いと思います。
場も内外の機関投資家を中心に支持を集
め、J-REITと同様に著しい成長を続けて
中期計画を検討するうえでも重要な三点
います。当協会が今年度までの中期3カ年
について具体的に申しあげたいと思いま
目標に掲げておりますように、不動産証券
す。第一に、投資家の信頼を確固たるもの
化市場は幅広い投資家の信任を得て、まさ
にするために、不動産証券化に携わるわれ
に成長軌道に乗りつつあると、実感できる
われ事業者がその使命と責任を充分に認識
ようになりました。
し、常に高い倫理観を持って行動していか
なければなりません。協会では本年も会員
私は、市場が成長軌道に乗りつつある今
各位による自主行動基準の徹底を強く求め
こそ、多様で魅力ある不動産証券化商品を
てまいります。不動産証券化協会の会員で
供給し、幅広い投資家の金融資産運用を一
あるということが、すなわち投資家に対し
層活性化していかなければならないと考え
て安心を与えるものでなければなりませ
ております。それによって、今後、さらに
ん。そのため、理事会では今後も入会審査
優良なプロジェクトへの資金供給が進み、
を厳正に行ってまいりますが、会員の皆様
January-February. 2006
3
ARES SPECIAL
も自主行動基準の遵守を社員の方々に改め
さらに、本年は不動産証券化に密接に係
て徹底していただきますよう、お願い申し
わる信託法の改正や投資サービス法の制定
上げます。
が予定されております。これらが投資家保
護と市場の発展の観点でバランスが取れた
二点目として、市場データの整備と情報
提供を通じて、機関投資家から個人まで投
ものとなるよう、引き続き協会を挙げて積
極的に対応していきたいと思います。
資家の裾野を広げる必要があります。昨年
の年金フォーラムの開催を契機として、本
当協会の正会員は81社、賛助会員は147
年も年金基金に不動産投資への理解を深め
社、合計で228社となりました。大変喜ば
ていただく活動に引き続き取り組んでまい
しく思いますと同時に、当協会が果たす役
ります。また、会員各社のご協力もいただ
割と重要性の大きさを感じ、身の引き締ま
きながら、J-REITの物件情報をデータベ
る思いでございます。本年も、私自ら先頭
ース化し、投資判断の参考となる指標の公
に立ち、不動産証券化の発展のために邁
表も予定しております。
進してまいりたいと存じますので、会員
の皆様におかれましても、一層のご指導、
さらに三点目として、投資家の信頼を得
られるプロフェッショナルな人材の育成も
重要です。今年一般公開する資格認定制度
では、高度な専門知識と高い職業倫理を有
する者を「不動産証券化協会認定マスター」
として資格認定し、その後も継続して最新
の専門知識の習得や公正かつ適切な倫理行
動を求めてまいります。4月から募集を開
始いたしますので、ぜひとも会員各社か
らも多数ご参加されるようお願いいたし
ます。
4
ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げ
ます。
ARES SPECIAL
金融担当大臣あいさつ
金融担当大臣 与謝野 馨
謹んで新年のお慶びを申し上げます。昨
ログラムに基づく取り組みを進めてきた結
年秋より金融担当大臣ならびに経済財政政
果、その成果が着実に出てきました。昨年4
策担当大臣の重責を担うこととなりました
月には、ペイオフ解禁が混乱なく予定通り実
が、新年を迎えるに当たり、昨年の金融行政
施されましたが、このことは金融システムの
を振り返るとともに、今後の金融行政の課題
安定に対する国民の信頼が回復されてきた
について所感を述べさせていただきます。
ことの何よりの証左と言えると思います。
昨年の回顧
このように不良債権問題の正常化が図ら
れる中で、将来の望ましい金融システムの
昨年は金融行政にとって、不良債権問題
構築に向けた前向きな金融システム改革の
の正常化に向けた仕上げの時期であるとと
動きも、昨年から本格化してきました。金
もに、その後の金融行政の青写真を描く重
融システム改革の大きな柱は、多様で良質
要な節目の時期であったと感じております。
な金融商品・サービスの提供を通じた健全
改めて申し上げるまでもなく、バブル経済
な競争の促進と、利用者保護であると考え
崩壊後のわが国において、不良債権問題は、
ますが、こうした観点から、金融機関の販
金融行政のみならず、日本経済全体にとって
売チャネルを多様化し、顧客の金融サービ
最大の課題でした。しかし、90年代半ば以
スへのアクセス改善と金融機関の業務の効
降にとられてきた関係者の皆様の相当な努
率化を図る制度設計として、昨年10月に銀
力によって、主要行の不良債権比率は平成
行法等の改正による銀行代理店制度の見直
17年3月期に2.9%にまで低下し、不良債権比
しが実現しました。
率を平成16年度末まで に平成14年3月期
また、郵政民営化が実現する運びとなっ
(8.4%)の半分程度に低下させて不良債権問
たことや、政策金融の規模を縮小する方向
題の正常化を図る、とした「金融再生プログ
性が示されたことは、
「官」から「民」への
ラム」の目標は達成され ました。また、中
資金の流れを促すとともに、民間金融機関
小・地域金融機関についても、地域密着型
の競争をさらに加速させ、ビジネスチャン
金融の機能強化に係る累次のアクションプ
スの拡大につながることが期待できます。
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5
ARES SPECIAL
今後の課題
資するものと考えられます。
以上のような状況を踏まえ、これからの金
この観点から本年の最大の取り組みとして
融行政における課題について申し上げたい
挙げられるのが、
「投資サービス法(仮称)
」の
と思います。
制定です。これは、幅広い金融商品について
私は、今後の金融行政の課題は一言で言
包括的・横断的な利用者保護の枠組みを整
えば、
「正常な金融の復活」
であると考えます。
備し、既存の縦割り業法の「隙間」を埋める
不良債権問題が正常化した今、金融機関は
ことで、従来の法制度では対応できない新手
いよいよ、積極的にリスクを取って日本経済
の金融商品による詐欺的被害から利用者を
の発展のための金融活動を再スタートしなけ
保護する一方、規制の簡素化・明確化や新た
ればならない時期に来ています。金融業とは
な金融商品設計の自由化をつうじ、金融イノ
そもそも、リスクテイキングを行うことによって
ベーションを促進しようとするものです。金融
金融仲介を行い、期待収益率が高い分野に
庁では現在、本年の通常国会への法案提出
積極的に資金を配分することを通じて経済全
を目指して、鋭意作業を進めています。
体の適正な資源配分を実現する役目を負って
います。わが国の金融機関は、不良債権の処
結び
理に長い時間がかかったために、今なおリス
これまで約4年半にわたる小泉政権の構造
クを取ることに慎重になっている面がありま
改革の努力もあって、現在の日本経済は、
すが、これからは、自らの責任で果敢にリス
全般的に上昇の方向にベクトルが向き始め
クテイクすることにより、日本経済発展の一翼
ております。金融システム改革は、構造改
を堂々と担っていただかなければなりませ
革における柱の1つであり、この分野でも、
ん。幸い、最近の経済情勢の回復と証券市
不良債権問題の正常化をはじめ、これまで
場の好調等により、金融機関の資産内容は改
一定の成果を挙げてきたことは既に述べた
善しており、金融仲介を通じて社会の資源配
とおりです。しかしながら、少子高齢化、
分の適正化を図っていただく土台は整ってき
経済・市場のグローバル化のさらなる進展、
ているものと考えます。
情報通信技術の革新など、金融を取り巻く
金融機関の金融仲介機能の充実と並んで、
6
スクに柔軟に対応できる経済構造の構築に
経済社会の構造は絶え間なく変化していま
金融商品・サービスの利用者保護の徹底や利
す。私は、このような大きな環境変化も踏
用者利便の向上を通じた証券市場の構造改
まえ、金融行政の分野で「構造改革の総仕
革の取り組みも引き続き重要な課題です。近
上げ」に貢献できるよう、本年も、全力を
年の証券化市場の発展にも見られるとおり、
傾注していく所存です。
間接金融から直接金融あるいは市場型間接
皆様の一層のご理解とご協力をお願いす
金融への流れの加速は、企業の資金調達手
るとともに、本年が不動産証券化協会およ
段、投資家の資産運用手段の多様化・効率化
び会員各位の皆様にとって良き一年となる
を促すとともに、銀行にリスクが過度に集中
ことを祈念申し上げて、年頭の所感とさせ
するわが国金融システムの構造を是正し、リ
ていただきます。
ARES SPECIAL
国土交通大臣あいさつ
国土交通大臣 平成18年という新しい年を迎え、謹んで
新春のごあいさつを申し上げます。
北側 一雄
国土の将来像を踏まえ、国民の立場・視
点に立った、時代の要請にふさわしい行政
の推進によって、国民の皆様の期待に応え
昨年を振り返りますと、JR福知山線脱線
事故、航空トラブル、福岡や宮城での地震
ることができるよう、以下に申し述べる課
題に重点を置いて取り組んでまいります。
災害、台風等による豪雨災害、建築物の構
造計算書偽装事件など、災害、事件・事故
災害に強い国土づくり
などが数多く発生し、「安全・安心」の大
切さを強く再認識させられる一年でした。
わが国は、全世界の0.25%の国土の上で
日本経済は、緩やかに回復しているところ
全世界の15%もの被害が発生するなど、災
であり、本年が、冬季オリンピックや
害に対して脆弱な国土条件にあります。こ
FIFAワールドカップの年にふさわしく、
のため、
「減災」の考え方に立ちつつ、目標
皆様方にとって希望に満ちた活気ある明る
期限を示して強力に取り組みを進めること
い年となりますよう祈念いたしておりま
が極めて重要であります。
す。私も、昨年の出来事を貴重な教訓とし
特に、発生の切迫性が高まっている大規
つつ、本年を「耐震元年」として諸施策を
模地震への対策として、先に改正を行った
強力に推進するなど、引き続き、安全・安
耐震改修促進法の枠組みのもと、新年早々
心社会の確立などに向けて全力で取り組ん
にも耐震化促進のための基本方針を策定す
でまいります。
るとともに、全国の地方公共団体による促
進計画の策定を推進し、
「10年間で耐震化率
国土交通行政は、国土政策、社会資本整
9割」を目指して住宅・建築物の耐震化を促
備、交通政策等幅広い任務を担っており、
進してまいります。また、密集市街地対策
そのいずれもが国民生活に密着するもので
や大規模盛土造成地の耐震補強についても
あります。
総合的に取り組んでいくとともに、橋梁耐
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7
ARES SPECIAL
震化等による被災時の緊急輸送ルート確保
に、ヒューマンエラー対策や航空機材の故
等の広域防災体制の確立や避難困難地域の
障等に関する安全情報の収集・分析を通じ
解消等に向けた一体的な津波対策に積極的
て事故の予兆段階から効果的な安全対策を
に取り組んでまいります。
講じるための予防的安全行政への転換を図
さらに、台風を始めとした豪雨災害や、
ってまいります。
米国のハリケーン被害を教訓とした高潮被
また、昨年、ロンドンの地下鉄などでテ
害への対策も喫緊の課題であります。人命
ロが発生するなど、テロの脅威が世界的に
や生活に深刻な影響を及ぼす被害等への対
高まっています。本年1月の「国際交通セキ
策の重点化とともに、土地利用状況を考慮
ュリティ大臣会合」の開催等により、交通
した治水対策の推進や、ハザードマップな
分野のテロ対策の国際連携を強化しつつ、
どの防災情報対策等により、確実に被害軽
陸・海・空の交通機関や空港、港湾、ダム
減を図ってまいります。
等の重要施設に対する警備の強化を推進し
てまいります。
事件・事故を踏まえた安全・安心な
社会づくり
さらには、昨今の海洋権益を巡る情勢を
踏まえて、海上保安庁の巡視船艇・航空機
の刷新等海洋秩序維持対策を推進してまい
昨年は、公共交通機関における重大事故
ります。
やトラブルが続いたことから、公共交通に
構造計算書偽装事件については、居住者
対する国民の信頼回復が喫緊の課題となっ
の皆様の安全と居住の安定の確保対策に努
ております。このため、公共交通の事業者
めるほか、建築確認制度のあり方について
におけるトップから現場まで一丸となった
も必要な検討を進めてまいります。
安全管理体制の構築を推進し、その確認を
また、踏切事故の発生を踏まえ、
「開かず
国が行う「安全マネジメント評価」の仕組
の踏切」等の踏切対策のスピードアップに
みを導入するとともに、事故調査体制の強
努めてまいります。
化や事故防止技術の活用にも取り組んでま
いります。
被害の拡大が懸念されるアスベスト問題
につきましては、建築物等の吹付けアスベ
鉄道分野においては、おおむね平成18年
ストの早期かつ安全な除去・封じ込め等の
度までにATS等の緊急整備を図るととも
推進、建築物の解体現場における飛散予防
に、より安全な鉄道を構築するための技術
対策の徹底などに取り組んでまいります。
基準の見直しや鉄道事業者における運転士
の資質管理に関する責任体制の確立、国に
よる監督体制の充実強化等必要な措置を講
わが国の国際競争力の強化、
観光立国の実現
じてまいります。
8
航空分野においても、航空会社に対する
発展する東アジアとの経済交流の拡大や
監視・監督体制を抜本的に強化するととも
国際的なジャストインタイムの要請の高ま
ARES SPECIAL
りなどを踏まえますと、これらの変化に対
の見直しを行い、意欲のある地区における
応したスピーディかつ効率的な国際物流シ
都市機能の導入等への支援等を通じて「賑
ステムの構築は、喫緊の課題であります。
わいの核」づくりや都心居住を促進すると
このため、昨年11月に策定した「総合物
ともに、都市計画制度の見直しにより大規
流施策大綱(2005−2009)
」に基づき、スー
模集客施設や公共公益施設等の広域的都市
パー中枢港湾プロジェクトの推進、大都市
機能の適正立地を推進し、中心市街地の活
圏拠点空港の機能向上、アクセス道路等の
性化、高齢者をはじめ多くの人が暮らしや
円滑かつ効率的な交通ネットワークの形成、
すい「コンパクトなまちづくり」を実現し
港湾ロジスティクス・ハブの整備等国際・
ます。
国内一体となった物流施策や、日ASEAN
老朽化・陳腐化等のいわゆる「オールド
交通連携のもと日ASEAN物流改善計画を
タウン」化したニュータウンにつきまして
推進します。
は、その再生・活用を図ってまいります。
また、観光については、本年は、日中観
さらに、地域間の移動を大幅に短縮し、
光交流年・日豪交流年・日星交流年であり、
経済活性化等に大きな効果をもたらす整備
これらの国々との観光相互交流を一層推進
新幹線を着実に整備します。
しつつ、2010年までに訪日外国人旅行者数
1,000万人を達成するため、観光立国の実現
を推進します。
生活者の目線による
暮らしに密着した施策
このため、青少年交流の促進や姉妹都市
交流の活性化などを図りつつ、ビジット・
本格的な少子高齢社会の到来、人口の減
ジャパン・キャンペーンの高度化を図ると
少等が見込まれる中、
「どこでも、だれでも、
ともに、観光ルネサンス事業の拡充等によ
自由に、使いやすく」というユニバーサル
り、官民一体となった取り組みをハード・
デザインの考え方を踏まえ、だれもがその
ソフトの両面から支援し、国際競争力のあ
個性と能力を十分に発揮し、自己実現を図
る観光地づくりを推進します。
っていける社会づくりに取り組むことは重
要であります。
都市再生・地域再生の推進
このため、昨年7月に策定した「ユニバー
サルデザイン政策大綱」の考え方を踏まえ、
わが国の活力は、すなわち都市や地域の
バリアフリー化に関する既存の法律を統
活力であり、その維持・強化は重要課題で
合・拡充した新たな法制度を創設し、公共
あります。特に、都市機能の拡散と中心部
交通機関、歩行空間および建築物等を通じ
の空洞化が地域の停滞に拍車をかけている
てより一体的・総合的なバリアフリー化を
一方、高齢化の急速な進展に伴い「歩いて
推進してまいります。
暮らせるまち」が求められています。
このため、いわゆる「まちづくり三法」
住生活の安定・向上につきましては、住
宅建設五箇年計画に代わる新たな計画制度
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ARES SPECIAL
の創設などを内容とする住宅政策の基本法
なる事業の重点化や事業評価の厳格な実施、
制を整備し、住宅政策を総合的・計画的に
コスト縮減の徹底などの改革に積極的に取
推進してまいります。
り組んでまいります。
昨年、国土交通省直轄の工事等において
環境対策の強化
入札談合事件が発生いたしましたが、誠に
遺憾であり公共事業への信頼を揺るがしか
わが国は、京都議定書に基づき、約束期
ねない重大な事態として厳しく受け止めて
間(2008∼2012年)において温室効果ガス
おります。直轄工事について一般競争方式
の排出を1990年比で6%削減することが求め
の対象工事の大幅な拡大、ペナルティの強
られており、温室効果ガス抑制目標の確実
化等の総合的な再発防止対策を徹底するな
な達成が喫緊の課題となっております。
ど、公共工事の入札および契約の適正化に
このため、低公害車の開発・実用化の促
努めてまいります。
進とその普及、新たな燃費基準の策定、エ
原油価格の高騰問題への対処については、
コドライブの普及・推進、環状道路の整備
運輸事業の健全な運営・発展の観点から、
による円滑な道路交通の実現、海運・鉄道
トラック、内航海運を始めとした運輸事業
の活用や物流総合効率化法の活用等のグリ
の現下の窮状に対し、最大限の努力を行っ
ーン物流の推進、公共交通機関の利用促進
てまいります。
などにより、環境にやさしい交通の実現を
図ります。また、改正省エネルギー法に基
なお、国会等の移転については、国会にお
ける検討に必要な協力を行ってまいります。
づき、運輸分野、住宅・建築物分野の省エ
ネルギー対策を推進します。
また、循環型社会の形成に向け、建設リ
サイクルなどを推進してまいります。
以上、新しい年を迎えるにあたり、国土
交通省の重要課題をいくつか申し述べまし
た。国民の皆様のご理解をいただきながら、
ご期待に応えることができるよう、諸課題
国土交通行政の新たな展開
に全力で取り組んでまいる所存です。
国民の皆様の一層のご支援、ご協力をお
国土交通行政を展開する上では、時代情
願いするとともに、新しい年が皆様方にと
勢を見据えつつ、不断に必要な見直しを行
りまして希望に満ちた、大いなる発展の年
っていくという姿勢が極めて大切であります。
になりますことを心より祈念いたします。
まず、人口減少社会の到来を始めとした
経済社会状況の変化を踏まえ、国民が安心
して生活しうる国土の将来像と、豊かでゆ
とりある国民生活のあるべき姿を示す国土
形成計画の策定を進めてまいります。
社会資本整備については、今後ともさら
10
ARES SPECIAL
委員長あいさつ
経済社会の構造変化が進む中で、本年は、不動産証券化に密接に関わる信託法の改正、
投資サービス法(仮称)の制定などが予定されています。取り組むべき課題が山積する不
動産証券化市場において、当協会が果たす役割と重要性が一層増してまいりました。
本年も連携をより強め一丸となって、積極的に活動してまいります。
■運営委員会
三菱地所株式会社
代表取締役専務執行役員
不動産活用推進部担当
宮本 照武
当協会は平成14年12月に社団化を認めら
関する情報を適切に会員各社にお伝えする
れて以降、着実に当初の中期3カ年事業計画
とともに、行政当局のご指導ご鞭撻を仰ぎ
を達成してまいりました。本年4月から新た
ながら、会員各者の知恵を結集して法制度改
な中期事業計画に取り組むわけですが、不
正に対応していくことが求められています。
動産証券化市場を取り巻く環境は想像以上
一方、海外に目を転じますと、欧米亜諸
にダイナミックかつスピーディに変貌して
国においてもREIT制度が積極的に導入さ
おります。今後の3カ年においても柔軟に時
れ、または導入が予定されており、投資家
代の動きに合わせた対応をしていかなけれ
の視点からもわが国の不動産証券化制度を
ばなりません。
グローバルな動きの中で捉えていく必要が
J-REIT市場への参画事業会社も着実に増
あります。今後の当協会活動も制度・調査
加し、また、プライベートファンドの市場
研究・教育等さまざまな分野で国際的な視野
規模もより一層の拡大を示していますが、
が求められてくることになると思われます。
不動産証券化市場の健全な発展のためには、
不動産証券化市場は日本経済発展のため
われわれ事業者自身の規律意識をより一層
の一翼を担う重要なセクターであるとの認識
高め、投資家並びに市場の信任を常に得て
の下、当協会の「投資家保護の標榜」
「あらゆ
いく必要があります。
る不動産証券化に対応」
「業界・業種の横断
また、事業基盤となる法制度改正への適
的結集」という三つの基本方針を初心として
切な対応も必要です。本年は証券化ビーク
忘れることなく、本年も不動産証券化事業の
ルの組成等に直接影響を与えるものとして、
発展に取り組んでまいりたいと思います。
会社法の施行の他、信託法の改正、投資サ
末筆になりますが、この一年がさらなる
ービス法の創設等が予定されています。当
飛躍の年となりますよう、皆様のご支援・
協会と致しましても、法制度改正の動きに
ご協力をよろしくお願い申し上げます。
January-February. 2006
11
ARES SPECIAL
■企画委員会
三井不動産株式会社
企画調査部長
三菱地所株式会社
代表取締役専務執行役員
資産開発事業本部長
市村 重治
檀野 博
今年度は、中期三カ年計画の締めくくりの
昨年の制度委員会は、例年と同様に不動産証券化
年でありました。J-REITに代表される、昨今
関連の法制度について、日本経済団体連合会と連携
の不動産証券化市場の目覚ましい発展状況を
のうえ、内閣府規制改革・民間開放推進会議に対し
見ますと、まさしく不動産証券化市場が黎明
て制度改善要望を行う等、関係当局と精力的に協議
期から成長期に移行したことを実感しており
してまいりました。
ます。また、市場の成長と歩をあわせるよう
振り返ると、平成17年も不動産証券化関連の法制度
に、会員数は順調に増えて220社を超えたとの
について目まぐるしい動きを見せた1年でした。新会社法
ことですが、当協会への期待の大きさが感じ
は通常国会において成立し、昨年7月に公布(本年5月施
られるとともに、果たすべき役割の重要性は
行予定)
されました。また、投資サービス法(仮称)
につい
今後も増していくものと思います。
ては同7月に金融審議会金融分科会第一部会の中間整
さて昨年は、第2・3回の「実務家養成モニ
理が発表され、秋口以降、同部会において白熱した議
ター講座」も行われ、不動産証券化に携わる
論が展開・同12月22日に報告書を取りまとめました。前
人材育成・資格制度の実施に向けた詳細な検
者に関しては、従来の有限会社制度が廃止となることか
討が引続き行われました。いよいよ2月の理事
ら、YK-TKに代わる、新しいスキームへの転換を検討
会審議を経て資格制度の実施、4月には一般公
する必要があります。また後者につきましては、不動産証
開講座の募集が始まります。また、法制度面
券化事業に大きなインパクトを与えることが想定されたた
では信託法改正、投資サービス法制定に向け
め、当協会制度委員長の立場で私も同審議会に専門委
て審議会での議論があり、当協会も関係省庁
員として出席させていただき積極的に発言してまいりまし
との協議、意見提出を行うなど積極的に活動
た。一方、国土交通省においても、国土審議会及び社
してまいりました。これらは不動産証券化関
会資本整備審議会にて、不動産投資市場の特性に基
連の重要な法改正であり実務への影響も大き
づく投資家保護ルールのあり方等について昨年10月より
いため、今後も法案審議等に対して的確に対
審議され、同12月に中間報告がなされております。
応していくことが必要であります。
12
■制度委員会
本年はさらに、信託法および信託業法改正の議論
本年度は平成20年度までの新中期三カ年計
も熱を帯びてくると思われます。当委員会としても、
画をスタートさせる年であり、当協会は不動
これら法制度の動向を十分注視していくとともに、
産証券化をさらなる発展のステージに乗せて
金融関係の法制度改正が不動産証券化事業に与える
いくための活動に取り組んでいかなければな
影響の大きさも踏まえて、法制度整備の過程の中で、
りません。企画委員会ではこれらの重要なテ
法案や政省令案等について、関係当局のご指導を仰
ーマに対して、各委員会との連携のもと、事
ぎながら、早い段階から積極的に意見を具申してま
務局とともに俊敏かつ積極的に対応してまい
いりたいと考えております。
りたいと思います。私も微力ながら全力を尽
本年も不動産証券化市場のさらなる発展のため
くす所存でございますので、会員の皆様にお
に、会員の皆様のご協力の下、制度委員会を談論風
かれましてはご指導・ご支援の程、何卒よろ
発の場として、よりよい制度の実現を目指してまい
しくお願い申し上げます。
りたいと思います。
ARES SPECIAL
■税務・
会計委員会
■市場整備委員会
三井不動産株式会社
不動産証券化推進部長
住友信託銀行株式会社
執行役員 不動産業務部長
尾崎 昌利
千田 正
早いもので税務会計委員長として3度目の
昨年の不動産証券化市場は累計で約30兆
新年を迎えることになりましたが、今年も委
円の資産額に到達しているものと推定され
員・会員の皆様のお力を借りながら、協会活
ます。一方J-REITは年間の新規上場が13社
動を通じ従来以上に広く社会に貢献してま
に上り、計28の上場投資法人の時価総額は
いりたいと考えておりますので、倍旧のお引
2.8兆円を突破、運用資産も3.4兆円まで市場
き立てをよろしくお願い申し上げます。
が拡大し、またJ-REITを遥かに凌ぐ市場規
また、昨年は例年になく厳しい税制改正
協議となりましたが、理事長以下トップの
模と言われる私募ファンド等による取引も
活況を呈しております。
方々と事務局のご努力ならびに関係先のご
このように良好な市場環境にあるとはい
理解・ご協力により十分な成果を得ること
え、海外投資家や年金基金にとって不動産
ができたと思います。これにより、本年の
投資市場の投資環境のさらなる整備に向け
不動産証券化市場のさらなる飛躍に向けた
た期待は強いものがあります。今後持続的
基盤は、より確固たるものとなったと大い
なマーケットの拡大にはこのようなニーズ
に心強く感じつつ、新年を迎えることがで
に積極的に応えるべきとの認識から、市場
きました。
整備委員会の活動としては、投資家のマー
さて、本年は、いよいよ本格的になった
ケットでの活動をサポートすべく、不動産
と実感できる景気回復の中、投資サービス
投資インデックスの日本における普及や年
法(仮称)の国会審議を控え、いろいろな
金フォーラムに代表される各種情報提供に
意味でこの業界にとって重要な1年となるこ
努めてまいりました。
とが予想されます。
また、不動産証券化市場を巡る各種制度
この業界の発展には、政府・関係諸官庁
については、匿名組合出資のみなし有価証
のご理解の下、民間の創意工夫と規律ある
券化、信託業法・会社法改正、今後予定さ
行動が好循環で回転することが必須であり、
れている信託法改正、投資サービス法制定
より信頼される市場創造に向けた従来以上
など新たな枠組みが目白押しです。
の努力が望まれます。
今後とも市場の活性化に向けた規制緩和
当たり前のことを当たり前にできること
を促す提言やインデックス等の評価機能の
の重要性を改めて認識し、気持ちを新たに
整備に留まらず、投資家の信頼を勝ち得る
本年の業務を誠実に勤めてまいりたいと思
べく、透明性の高い厚みのある市場の構築
う次第です。
という大きな課題に引き続き真摯に取り組
微力ではありますが、委員・会員の皆様
のお知恵・お力を結集し、さらなる進化に
んでまいりますので、本年も何卒よろしく
お願い申し上げます。
向けた力強い一歩を踏み出したいと考えて
おります。
January-February. 2006
13
ARES SPECIAL
■市場動向委員会
中央三井信託銀行株式会社
不動産業務部長
野村不動産株式会社 専務取締役
資産運用カンパニー長
中根 茂
植松 丘
市場動向委員会は、目まぐるしく変化す
教育資格制度委員会は、本年は大変重要
る不動産証券化市場の動きを把握すること
な年となります。
を目的に平成15年に設立され、以後証券化
不動産証券化協会発足前の平成14年1月か
事業にかかわるリーダーや有識者をお招き
ら検討を開始した「不動産投資商品に関わ
し、事業戦略や市場見通しなどをヒアリン
る人材育成プログラム」が、いよいよ「不
グしながら、参加者相互の意見交換を行っ
動産証券化協会認定マスター講座」として
ております。会員の皆様の関心も高く、現
スタートします。
在45社が委員に名を連ねておられます。
現在、不動産証券化を取り巻く市場環境
証券化市場の最前線で活躍する方々から
は、急速に拡大し大変な活況を呈していま
の最新情報に接するたび、不動産市場の投
す。今後も一層の発展、拡大が期待されて
資・金融市場との一体化・融合化のうねり
います。しかしながら、そうした急速な市
と、変化する市場にビジネスチャンスを求
場拡大のため、不動産証券化に携わる人材
めるプレイヤーが益々多彩な顔触れとなり
の供給が追いついていないことも事実です。
つつあることに、裾野の広がりを実感する
人材不足から市場の健全な発展が阻害され
と同時に不動産市場に身を置くものとして
ることへの危惧が一部から指摘されていま
改めて身の引き締まる思いです。
す。市場が健全に発展していくためには、
J-REITが市場に登場してから約4年が経過
投資家の信頼が得られる正確な知識と豊富
し、私募ファンドを合わせた市場規模は約6
な経験、高い倫理観をもった人々が多数輩
兆円に達しています。この拡大過程におい
出される必要があります。
て不動産は、伝統資産である株式・債券と
「不動産証券化協会認定マスター講座」
比べて異なる特徴を持つ魅力的な「投資資
は、そうした人材の育成を目指して、広範
産」として着実にその存在感を高めつつあ
囲にわたる専門知識やスキル等を体系的に
ります。今後さらにグローバルな投資資金
かつ効率よく習得してもらうための講座で
や国内機関投資家資金の流入も予想され、
す。委員の皆様、テキスト執筆と講義にあ
健全な証券化市場の発展にとって、より一
たられたワーキンググループの皆様、事務
層の市場整備の進展と透明性の確保の重要
局員の献身的な努力のお蔭で、最高水準の
性が増すことでしょう。
講座内容になっていると自負しています。
新たな潮流が加速する中で、先人のご苦
労や過去の足跡を踏まえつつ、新たなステ
ップに向けた方向性を誤ることなく、証券
化市場を安定的な成長ステージに乗せるた
めに今後とも努力していくことがわれわれ
に課された課題と考えております。
14
■教育・
資格制度委員会
今後さらに充実してまいりたいと思いま
すので、よろしくお願い申し上げます。
ARES SPECIAL
■広報委員会
東急不動産株式会社
執行役員資産活用事業本部長
小倉 敏
■規律委員会
麗澤大学 国際経済学部
教授
巖
初上場から5年目にして3兆円の時価総額
昨年末、耐震強度偽装問題が表面化したこ
が視野に入ったJ-REITや各種プライベート
とで、建設・不動産業界は、市場より疑いの
ファンドの増大など、昨今の不動産投資市
目をもって見られるようになっています。か
場は躍進著しいですが、その勢いと共に健
つてであれば、施工段階での不正が普通だっ
全な発展をどう実現するかも、また重要な
たと思いますが、今回は、設計段階で問題が
テーマとなっています。
起こってしまいました。
健全な発展には、組成する側の高い倫理
冷静に考えれば、建築士が単独で構造計算
観の維持、優良な新規プレイヤーの参入、
書を偽装するメリットは、一つの例外を除き、
実務者のレベルアップ、そして投資家層の
どこにもありません。例外とは、偽装するこ
裾野の拡大などが欠かせません。広報委員
とで仕事が増える場合です。本来、偽装があ
会は広報と実務研修を守備範囲としており
れば、仕事はなくなるはずです。しかし、こ
ますので、少しでもそうした点でお役に立
の事件では逆に仕事が増えていました。問題
てるよう、本年も一層の努力をする所存で
となった建築主や施工主は「故意に偽装をや
おります。
らせたわけでない」などと主張するでしょう
実務研修では、会員各社の社員向け基礎
が、背景にあった圧力の構図は、業界関係者
講座と、中級向けの実務研修会があります。
であれば、おおよそ推測がつくのではないで
本年も会員のニーズも踏まえ、内容の充実
しょうか。
はもとより、投資サービス法の導入や会社
それゆえ、われわれは、これを、一部の悪
法制の現代化等、時代の変化に迅速に対応
質な事業者による例外行為として受け流すこ
してまいります。また広報では、投資家層
とはできません。本協会としては、これを業
の裾野拡大を目的としたマスコミへの積極
界の持つリスクとして捉え直し、これまで以
的なリリースやARESシンポジウムの実施な
上に規律の周知徹底に努めるべき、と考えて
どと共に、会報誌の充実やホームページの
います。
強化にも努めてまいります。
ただ残念ながら、規律委員会は、これまで
末筆になりますが、昨年11月開催のシン
ほとんど積極的な活動を展開しておりません
ポジウムでは、「投資立国への挑戦Ⅱ∼投資
でした。すべてが順調に進んできた結果なの
マインドを育てる∼」と題し、田中直毅先
かもしれませんが、正直言いまして、事が起
生をはじめご出演の方々のご協力や、会員
こってから動く委員会では、本来の役割を果
各位の多数のご参加をいただき、盛大に開
たすことができないと感じています。皆様の
催することができました。あらためて御礼
理解と協力が得られれば幸いです。
を申し上げますとともに、本年も倍旧のご
支援・ご協力を賜りますようお願い申し上
げます。
January-February. 2006
15
ARES SPECIAL
不動産投資の基礎知識
2005年を振り返る
不動産投資市場はバブルであったか?
早稲田大学大学院
ファイナンス研究科教授
1.はじめに
川口 有一郎
集を競演するようになりました。現在では
誰もが都心部の不動産価格の急上昇を実感
しています。
2001年に出版した拙著注1の中で、不動産
投資市場の潮目の変化について整理しまし
不動産投資市場の潮目が変わった。
た。例えば、
「土地のキャピタルゲイン重視」
2005年はそう感じることが多い年でした。
から「土地・建物一体で生むインカムゲイ
実際には、日本の不動産投資市場の潮目が
ン重視」へ、「永続保有」から「期間保有」
変わったのは、日本不動産投資信託(J-
へ、
「売り手が主導権」から「買い手が主導
REIT)が登場した2001年です。2001年以降、
権」へ、「取引事例重視」から「収益重視」
賃貸不動産の本来的な価値(
「ファンダメン
へなど。ところが、最近になって、この変
タル価値」
)が急上昇しています。そのテン
化が逆行している。左から右へ、という流
ポは1986年から1990年の上昇に匹敵します
れが右から左へ回帰している、ということ
(詳しくは後述します)。不動産投資の現場
を耳にする機会が多くなりました。例えば、
では当時からこの変化に気づいていました。
「収益還元価値なんて関係ない。取引事例だ
しかし、2003年問題(Aクラスビルの大量
けで十分だ」、「アセットマネージャーやプ
供給)などがあり、市場参加者もメディア
ロパティマネージャーなんて関係ない。結
もこの急上昇を確信できなかったようです。
局、地価が上昇したのでうまくいっている
2004年には2003年問題に対する事前の懸念
だけだ」…。
が過剰にすぎたことが判明し、また、2005
年に入って日本の景気回復が明確になるに
つれて、メディアは「不動産バブル」の特
16
今、潮はどちらへ向かって流れているの
でしょうか?
この問いの答えは次号にしたいと思いま
ARES SPECIAL
す。本稿では、その宿題に取り掛かる前に、
を加えたものから、賃料の潜在的な成長率
不動産投資の基礎を確認しておきたいと思
(過去5年のローリング平均値)を差し引い
た値の逆数をとったものです。
います。
注1 『入門不動産金融工学』ダイヤモンド社
図1-1から次の3点を読み取ることができ
ます。①2001年∼2005年の間、収益を生む
2.2005年、不動産投資市場は
バブルであったか?
不動産の本来的な経済価値(ファンダメン
タル価値)の上昇率は、1986年から1990年
の不動産のファンダメンタル価値の上昇率
に匹敵すること、②また、ファンダメンタ
ル価値でみた2005年の不動産価格収益倍率
■不動産価格の急上昇
(YP)は1990年の水準と同じであること、
③1996年∼2000年の間の不動産の不動産価
2001年以降、賃貸不動産の価値が急上昇
しています。そのテンポは1986年∼1990年
格収益倍率は、1980年代前半よりも高い水
準であった。
のものと同じです。ただし、ここでの価値
不動産投資市場の参加者は、不動産のフ
は「本来的な価値」(「ファンダメンタル価
ァンダメンタル価値の上昇率がこれらの二
値」
)です。ファンダメンタル価値とは収益
つの期間(2001年∼2005年と1986年∼1990
還元価値です。図1-1は日本の「不動産価格
年)で同じであったので、この現象をバブ
収益倍率」(YPと略)の推移(1996年∼
ルと錯覚したものと考えられます。しかし、
2005年の10年間、および1981年∼1990年の
ファンダメンタル価値の急上昇がバブルを
10年間の2期間)を比較したものです。ここ
生むわけではありません。また、ファンダ
での不動産価格収益倍率は、賃料1円に対す
メンタル価値の急上昇がバブルということ
る不動産のファンダメンタル価値を意味し
でもありません。この2期間のファンダメン
ています。その算出方法は、10年物国債利
タル価値の急上昇は、10年物国債利回り、
回りに不動産のリスクプレミアム(一律3%)
投資家の期待リスクプレミアム、および賃
料の潜在的な成長率により、論理的に説明
することが可能です。
図1-1 日本の商業用不動産のファンダメンタル価値の推移
(1996∼2005年と1991∼1990の比較)
■80年代の不動産バブル
40
35
不
動
産
の
価
格
収
益
倍
率
30
1996∼2005
1981∼1990
1980年代の不動産バブルは、不動産の
25
20
「実勢」価格収益倍率注2と「ファンダメンタ
15
ル」価格収益倍率の格差として把握するこ
10
とができます。図1-2にこれら二つの倍率の
5
0
推移を比較しています。1986年、1987年に
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(1981)(1982)(1983)(1984)(1985)(1986)(1987)(1988)(1989)(1990)
この格差は非常に大きなものであったこと
January-February. 2006
17
ARES SPECIAL
がわかります。例えば、1987年では、ファ
を比較してください。
図1-3から次を読み取ることができます。
ンダメンタル価格収益倍率30に対して実勢
価格収益倍率は2倍の60を超えています。つ
①2001年以降、ファンダメンタル価格収益
まり、賃料1円に対して30円の価値しかない
倍 率 が 急 上 昇 し て い る 注3、 ② そ の た め 、
ビルが60円で売買されたということを意味
2001年において、実勢価格収益倍率とファ
します。これがバブルです。30円の価値し
ンダメンタル価格収益倍率との間に比較的
かないビルになぜ60円の値がついたのか?
に大きな乖離(賃料1円に対して15円の価値
合理的な説明ができません。これがバブル
のビルが25円強で売買された)があったが、
です。
2002年以降、急速に解消している。③1996年
なお、図1-2に示すように、1990年の実勢
価格収益倍率とファンダメンタル価格収益
から2001年の間、実勢価格収益倍率はファン
ダメンタル価格収益倍率も比較的高かった。
倍率の格差は極めて小さく、1981年の水準
上記①∼③から、過去10年間において不
に戻っていたことが分かります。それにも
動産バブルは存在しなかったと言えます。
かかわらず、当時の日本政府は不動産融資
また、2003年から2005年にかけて、実勢価
の総量規制や不動産課税を強化するという
格収益倍率が再びファンダメンタル価格収
愚を犯しました。
益倍率を上回るようになったが、両者の乖
注2 図1-2の実勢価格収益倍率はMTB-IKOMAオフ
離は歴史的にみても小さいものです。つま
ィス投資インデックスのインカムゲインの逆
り、2005年にバブルが存在するとは言えま
数である。
せん。なお、実勢価格収益倍率は上述の脚
注の通り、MTB-IKOMAオフィス投資イン
■今、不動産投資市場にバブルは
存在しない
デックス(都心3区)のインカムゲイン(キ
ャップレートの近似値)のデータを用いて
計算しています。2004年と2005年について
今、不動産投資市場にバブルが存在しな
は手元にこのデータがないため、2004年の
いことは、図1-3を見れば明らかです。前述
キャップレートを3%、2005年のキャップレ
の1980年代の図1-2と図1-3(1996年∼2005年)
ートを2.5%と想定しました注4。
図1-2 1980年代の不動産バブル
(不動産価格収益倍率、筆者計算)
図1-3 今、不動産価格にバブルは存在しない
70
70
60
不
動
産
の
価
格
収
益
倍
率
50
ファンダメンタル
価格収益倍率
実勢価格収益倍率
(MTB-IKOMA)
40
30
20
18
不
動
産
の
価
格
収
益
倍
率
50
ファンダメンタル価格収益倍率
実勢価格収益倍率(MTB-IKOMA)
40
30
20
10
10
0
60
0
1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
ARES SPECIAL
図1-3についてもう少し解説します。まず、
2001年にファンダメンタル価格収益倍率が
下落しています。これは2000年のITバブル
の崩壊などの影響を受けて、賃料の潜在的
な成長率がマイナスとなったことが直接の
原因です。2001年は賃料の潜在的な成長率
なお、リスクプレミアムが逆に減少している
ものと想定されるが、本稿ではリスクプレミ
アムは全期間一定と仮定している。
注4 インデックスの値よりも割高となるように想
定している。
注5 逆に、図1-2の1980年代の実勢価格はもっと
高かったと考えられる。
はマイナス2%を超える「負の成長」でした。
これに対して、実勢価格収益倍率は高止
まりしています。その一つの理由は、実勢
3.不動産投資における
財務レバレッジ効果とは何か?
価格収益倍率を計算するため用いたMTBIKOMAオフィス投資インデックスに含ま
れる不動産鑑定評価のバイアスです。この
財務レバレッジが不動産バブルを引き起
インデックスは地価公示を利用して不動産
こすという誤解もあるようです。財務レバ
価格を算定しています。地価公示は地価の
レッジは不動産投資戦略における一つの柱
上昇期には過小評価、地価の下落時には過
になりますのでその基本を整理しておきた
大評価されるといったバイアスがあるよう
いと思います。
です。図1-3に示す期間は、全国的に地価が
継続して下落しているので、公示地価は過
■財務レバレッジは梃子の原理
注5
大に評価されていた可能性があります 。
逆に、2002年、2003年ではファンダメンタ
「財務レバレッジを使って高められたエ
ル価格収益倍率が急上昇しています。その
クイティのリターンは“嘘”の収益率です
ため、公示地価は過少に評価された可能性
よね?」という質問を頂くことがあります。
があります。実際、図1-3に示すように、フ
日本では、借金は悪いこと、と考える文化
ァンダメンタル価格収益倍率が逆転上位と
があるのでこうした疑問は実は多くの方が
なっています。結果として実勢価格収益倍
抱かれているのかもしれません。財務レバ
率はファンダメンタル価格収益倍率に比べ
レッジにより高められたリターンは嘘では
て緩やかな変動となっています。繰り返し
なく本物の収益率です。
になりますが、図1-3の2004年と2005年の実
周知のように、エクイティのリターンに
勢価格収益倍率は筆者の想定であって、
対する財務レバレッジ効果は物理で習う
MTB-IKOMAオフィス投資インデックスに
“梃子(てこ)の原理”と同様です。例えば、
基づくものではありません。そのため、実
直接不動産投資では、不動産担保ローンの
勢価格収益倍率はファンダメンタル価格収
掛け目(LTV)は75%という水準が一般的
益倍率と同様の動きをしています。
です。LTV=75%をレバレッジ倍率(LR)
注3 この期間、賃料の潜在的な成長率が、マイナ
に換算すると4倍になります。つまり、
ス→ゼロ→プラスへと変化したことが不動産
LTV=75%のローンを借りて不動産投資す
のファンダメンタル価値の上昇の要因である。
る場合、全額エクイティ投資に比べて、エ
January-February. 2006
19
ARES SPECIAL
図2-1 財務レバレッジと不動産のリスクプレミアム
(不動産β=0.8、エクイティリスクプレミアム(対TB10)=350bp)
6000
5600
risk premium (bp)
5000
リターンが増大する一方で、エクイティの
の指数関数的な曲線はリターンの増幅を示
3000
2800
すばかりではなく、リスクも同時に増幅さ
2000
0
ん。財務レバレッジにより、エクイティの
リスクも同時に大きくなっています。図2-1
4000
1000
財務レバッジもフリーランチではありませ
1867
933
700 800
560 622
431 467 509
280 295 311 329 350 373 400
1120
1400
れていることも示しています。
財務レバレッジによりエクイティリター
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50% 55% 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 95%
LTV
ンが4倍になるのは、その裏側でエクイティ
のリスクが4倍になっているからです。
クイティのリターンは4倍に増幅されます。
不動産投資におけるレバレッジ戦略は、
そこでは、レバレッジ倍率が梃子の効果に
財務リスクとエクイティリターンの組み合
相当します。
わせとして、ローリスク・ローリターンを
図2-1をご覧ください。財務レバレッジ
選ぶのか? ハイリスク・ハイリターンな
(LTV)とその梃子の効果によってエクイ
のか? それともミドルリスク・ミドルリ
ティのリターン(図2-1ではリスクプレミア
ターンを選択するのか? を決定すること
ム)がどのように増幅されるかを示してい
です。換言すれば、不動産のエクイティ投
ます。LTV=0(横軸)に対応するリスク
資家にとってはいずれも無差別です注6。
プレミアムが280bspのケースでは、LTVを
注6 ただし、ローンの貸し手、つまり、デットの
75%まで引き上げると、リスクプレミアム
投資家にとっては無差別ではない。
が1,120bsp(4倍)に増幅されることが確認
できます。
財務レバレッジを利用することで梃子の
■財務レバレッジの梃子はキャピタルゲイ
ンとインカムゲインの比率も変える
原理によってエクイティの収益率を増幅す
ることができます。また、図2-1に示される
不動産投資ファンドの典型的な投資戦略
ように、財務レバレッジはリターンを指数
には、コア戦略、付加価値型戦略、および
関数的に増大します。梃子の原理は虚構で
好機捕捉型戦略の3つがあります。これらの
はありません。財務レバレッジを利用する
戦略の違いの一つに財務レバレッジの違い
ことで投資家は増幅された現金を手にする
があります。例えば、コア戦略の財務レバ
ことができます。
レッジは0% ∼30%程度 、付加価値型戦略
の財務レバレッジは40%∼60%程度 、好機
■財務レバレッジの梃子はリスクも
大きくする
捕捉型戦略はそれ以上、といった類型が一
般的です(こうした類型はアメリカから輸
入されたものです)
。
ただ飯はない。
というのが金融経済学のパラダイムです。
20
財務レバレッジに加えて、不動産投資収
益率の構成要素の組み合わせ(インカムゲ
ARES SPECIAL
インとキャピタルゲインの比率)も不動産
レバレッジをコントロールすることで不動
ファンドの投資戦略の一つになっています。
産投資収益率のリスク・プロファイルをコ
例えば、コア戦略は収益のほとんどがイン
ントロールできること、③また、ファンド
カムゲインにより、逆に、好機捕捉型戦略
の投資戦略として、財務レバレッジ以外に
は収益のほとんどはキャピタルゲインに依
は、キャピタルゲインとインカムゲインの
存しています。付加価値型戦略はインカム
構成比を合理的にコントロールする方法は
ゲインとキャピタルゲインがほぼ同じ程度
ほとんど存在しないこと。
というスタイルが一般的です。
実務では、これらは別々に説明されます
が、財務レバレッジと不動産投資収益率の
4.エクイティ投資家が買うべき
不動産のリスクとは何か?
構成はコインの裏表―一体のもの―です。
図2-2がこの関係を示しています。
図2-2は、期待IRR(総合収益率)が4.5%、
日本においても、J-REITや不動産投資フ
そのうちインカムゲインが3.5%、キャピタ
ァンドが大手機関投資家である年金基金の
ルゲインが1%の架空の不動産に対して、財
投資対象として本格的に検討されはじめま
務レバレッジを0%から95%まで変化させた
した。年金基金にとっての不動産投資の目
ときの総合収益率の構成比率(キャピタル
的は、①ポートフォリオの分散向上と、②
ゲインとインカムゲインの比率)の変化を
一定の投資収益率の獲得です。そこでは、
示したものです。この図から財務レバレッ
不動産投資収益率の源泉は何か? が厳し
ジと不動産投資収益率の構成の関係を容易
く問われることになります。
に知ることができます。
留意すべきは次の点です。①財務レバレ
ッジの水準を決めることは、不動産の収益
■よく分散された不動産ポートフォリオの
ベータリスクを買う
のキャピタルゲインとインカムゲインの構
成比を決定すること、②換言すれば、財務
すべての投資家に共通して言えることは、
現代の不動産投資の基本は「よく分散され
図2-2 財務レバレッジとインカム・キャピタルゲインの構成
income return
capital return
100%
た不動産ポートフォリオ」に投資すること
です。よく分散された不動産ポートフォリ
オとは、不動産の個別リスクが十分に分散
80%
消去された不動産のポートフォリオです注7。
60%
不動産は「リスクの塊である」と言われま
すが、そうした不動産でもよく分散された
40%
ポートフォリオにすると投資家が負うべき
20%
リスクを不動産のシステマティックリスク
(ベ
0%
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 0.95
LTV
ータリスク)だけに限定することができます。
実物不動産にフルエクイティで直接投資
January-February. 2006
21
ARES SPECIAL
する場合、よく分散された不動産ポートフ
型の不動産投資ファンドが、よく分散され
ォリオに投資するためには、少なくても数
た不動産ポートフォリオの場合、財務レバ
千億の運用資金が必要です。こうした不動
レッジはβリスク(ベータリスク)を増大
産投資が可能な投資家は、大手の機関投資
させると考えられます。つまり、レバレッ
家に限られます。フルエクイティでなくレ
ジの効いたコア型の不動産投資ファンドに
バレッジを活用すれば、分散投資の度合い
投資することは財務レバレッジにより増幅
はより高くなります。しかし、資産規模の
されたベータリスクを買うことでそれに見
小さな基金にとって、実物不動産投資への
合うリターンを獲得することになります。
直接投資での分散投資は実現が困難です。
J-REITは40%∼60%程度の財務レバレッ
そこでは、不動産投資ファンドへの集団投
ジを活用しています。そのため、J-REITの
資(合同運用ファンド)が重要な投資手段
投資家は、財務レバレッジなしの不動産フ
となります。コア型の不動産投資戦略をと
ァンドよりも大きなベータリスクを買って
るファンドへの投資により、小規模な運用
いることになります注8。
資金であっても、不動産のベータリスクを
注8 J-REITの財務レバレッジの活用による信用リ
買うことができます。
スクはデットの投資家が負う。
J-REITはコア型の不動産投資ファンドの
投資口に株式同様の流動性を与えたものと
■不動産のアクティブ・アルファ投資
みなすことができます、投資口も一口100万
円以下と小口化されています。資産規模の
不動産ポートフォリオの投資収益率も市
小さな基金のみならず個人投資家にも、よ
場ポートフォリオ注9の要素とその他の残り
く分散された不動産ポートフォリオ―不動
の構成要因に分解することができます。市
産のベータリスク―への投資機会を与えて
場ポートフォリオの要素とは、前述のベー
います。
タで測られ、市場ポートフォリオが上下す
注7 Brownのイギリスにおける実証研究によれば、
るときの不動産投資の期待収益率を表しま
数十棟集めるとかなりの個別リスクが分散消
す。市場ポートフォリオの収益率と不動産
去され、300棟のビルを集めるとほぼすべて
ポートフォリオのベータを掛け合わせたも
の個別リスクが分散消去される。
のは不動産投資の期待収益率についての性
質のよい推定値です。例えば、不動産のベ
■よく分散された不動産ポートフォリオ
ータが0.8だとします。ある日の市場ポート
の財務レバレッジはベータリスクを
フォリオが4%だとすると、その不動産ポー
増大する
トフォリオは3.2%の収益率が期待されま
す。しかし、もし不動産ポートフォリオの
22
前章において、不動産投資における財務
収益率が3.7%とすると、市場ポートフォリ
レバレッジの意味について考えました。コ
オの要素が3.2%、残りの収益率の要素が
ア型の不動産投資ファンドの財務レバレッ
0.5%となります。この残差の収益率は市場
ジは0%から30%程度と紹介しました。コア
ポートフォリオとは相関関係がありません。
ARES SPECIAL
市場ポートフォリオとは相関関係がない
ことで、年金基金全体の資産ポートフォリ
期待リターンをアルファと呼びます。これ
オのリスクをほとんど増やすことなく、リ
は市場ポートフォリオのリスク(システマ
ターンのみを高めることができます。
ティックリスク)とは無相関のリスク(
「ア
注9 例えば、TOPIX。
クティブ・リスク」と言う)によりもたら
されたものです。
不動産投資による超過収益の源泉はベー
■瑕疵は投資家が購入すべき
リスクではない
タとアルファに分解できます。通常は不動
産投資の期待アルファはゼロかそれ以下で
投資家は不動産の市場リスク(ベータ)
す。その理由は、不動産の業種リスク、フ
とアクティブ・リスク(アルファ)のみを
ァクターリスク、個別リスクは分散投資に
購入すべきです。「瑕疵(かし)」は投資家
より消去されるからです。しかし、アルフ
が購入すべきリスクではありません。不動
ァを生み出すために不動産ポートフォリオ
産投資特有の瑕疵は土地・建物の欠陥です。
に意識的にアクティブ・リスクが加えられ
例えば、偽装された構造計算により設計さ
ることがあります。こうした投資戦略をア
れた建物、検査済証のない違法建築物、筆
クティブ・アルファ戦略と呼びます。
界が確定していない土地の上に境界ぎりぎ
前述した付加価値型戦略、および好機捕
捉型戦略は典型的な不動産のアクティブ・
アルファ投資戦略です。付加価値型戦略は
既存ビルを改築・増築、建替え、用途転換
りに建っているビル、土壌汚染のある敷地
内の建物、アスベストを使った建物など。
そもそも瑕疵は欠陥であってリスクでは
ありません。
(コンバージョン)、再開発する、あるいは
日本の不動産取引において、隠れた瑕疵
新規の開発物件などを投資の対象とするス
が問題になります。原始的な隠れた瑕疵注10
タイルです。付加価値の源泉は投資オプシ
がある場合、日本の民法では瑕疵担保責任
ョンを行使することにより獲得される超過
を売主に負わせています。しかし、米国流
収益です。また、好機捕捉型戦略は、不動
の不動産投資においては、土地・建物につ
産のあるタイプについて他の不動産アセッ
いての隠れた瑕疵はデューデリジェンス
ト・マネージャーよりも価値ある情報を持
(経済的評価、法的評価、技術的評価)によ
っている不動産アセット・マネージャーが
り発見することになっています。そのため、
運用するファンドを投資対象とするもので
不動産投資には隠れた瑕疵は原理的には存
す。不動産市場のビジネスサイクルがボト
在しません。
ム周辺にあるときに多く見られるスタイル
です。
付加価値型戦略、および好機捕捉型戦略
隠れた瑕疵のある建物は投資家にとって
投資対象とならないことは言うまでもあり
ません。商業用不動産(Commercial Real
によりもたらされるアルファは市場ポート
注11
Estate)
は、
「瑕疵のデューデリジェンス」
フォリオとは無相関のリターンです。その
により、投資適格ビルと投資不適格ビルに
ため、不動産のアクティブ・リスクを買う
2分されます。そのうち、投資適格ビルに
January-February. 2006
23
ARES SPECIAL
ついて「リスクのデューデリジェンス」を
んど影響を与えないものがあります。その
行い、そのビルの適正な価値を評価するこ
一方で、運用報酬を差し引いた後の期待収
とになります。不動産投資において瑕疵の
益率がプラスになる不動産アセット・マネ
デューデリジェンスは商業用不動産を投資
ージャーを見つけることは可能です。近年、
適格ビルと投資不適格ビルに分別するとい
アメリカの年金基金の不動産投資が付加価
う機能を有しています。
値型戦略や好機捕捉型戦略にシフトしてい
注10 隠れた瑕疵とは、専門家ではない一般の人が
るのはそうした一つの証です。不動産のア
普通の注意をしても知ることができなかった
クティブ・リスクがその基金の期待収益率
欠陥である。
の向上に寄与することが理解されるように
注11 賃貸収入などを生みだすビル。日本の不動産
市場の規模は約1,800兆円(土地を含む。国
なりました。
民経済計算)。不動産はまず二つに分類され
ところで、2005年は、小幅ながらも金利
ます。一つは消費財としての不動産、もう一
上昇によりJ-REITの株価は少々調整局面に
つは投資資産としての不動産の二つです。前
差し掛かったようです。また、構造計算の
者の消費財としての不動産の代表は持家で
偽装問題に端を発した建設システムへの懸
す。また、ここには生産財としての不動産―
本社ビル、自社工場、営業所、研究所など―
念から不動産デット商品のスプレッドが若
も含まれます。後者の投資資産としての不動
干高まったようにも思います。その一方で、
産は賃貸収入を生む商業用不動産
上場不動産株の中にはPERが60∼80程度に
(commercial Real Estate)です。オフィスビ
達するものもあります。実物不動産のPER
ル、店舗、マンション、倉庫などの賃貸ビル
(前述の不動産価格収益倍率)は40程度、J-
がその中核をなしています。ホテル、病院、
駐車場、ゴルフ場などの中にも投資資産とし
REITのPERは30弱。明らかに投資家は日本
ての不動産に分類されるものがあります。日
の将来の経済成長に大きな期待を寄せてい
本の商業用不動産の市場規模は200兆円程度
ます。
であると指摘されています。商業用不動産は
2006年の不動産市場環境は市場参加者に
さらに①投資適格ビルと②投資不適格ビルの
とってかなり挑戦的なものとなりそうです。
二つに分類されます。
そこでは、地価が上昇し始めたから理論は
いらない。ということではなく、地価が上
5.おわりに
昇し始めたからこそ、ますます理論の重要
性も高まるものと期待しています。
不動産市場に比べて情報効率性が高い証
券市場においてもアルファを獲得すること
ができます。不動産市場ではミスプライス
を探すことはさらに容易だと言えます。
前述したように、アクティブ・リスクの
中には投資家のトータル・リスクにはほと
24
ARES REPORT
アメリカ不動産学教育の
現地レポート
第1回
ジョージア州立大学(GSU)の不動産教育
Ph.D. Candidate
Department of Real Estate
Georgia State University
森 政貴
年前に『風と共に去りぬ』の中でこの文章
1.まえがき
を書いたまさにそのアトランタのダウンタ
ウンにある。そのGSUに全米最大規模の不
今回より全4回にわたり「アメリカ不動産
動産学部があるというのは、何か運命的な
学教育の現地レポート」と題し、連載エッ
ものを感じさせる。
セーを書かせていただくことになった。最
注:マーガレット・ミッチェル、
『風と共に去りぬ』
、
初に、現在私が所属する米国ジョージア州
立大学(以下GSU)における不動産学教育
大久保康雄他訳(Margaret Mitchell, Gone With
the Wind, Micmilan Publishing Company,
1936)
、新潮社、1977年、第1巻、64頁。
をご紹介する。その後、
「不動産学・不動産
研究とは」というテーマについて、いくつ
かの視点からエッセーを書かせていただく
2.GSU不動産学部の規模
予定である。初回の今回は、GSUの不動産
教育の実際について、現地で3年半過ごして
きた経験を基にご紹介していきたい。
まずは全米最大と述べたGSU不動産学部
の規模について具体的にご説明したい。提
供されている主なプログラムは、不動産学
土地こそは、この世の中でいつまでも存
士課程、不動産修士課程、不動産専攻MBA、
在するただ一つのものだぞ
[中略]
なぜなら、
不動産Ph.D.課程の4種類である。授業数は、
土地こそは、この世の中で永久に残りうる
学部レベルで10個、大学院レベルで19個に
ただ一つのものだからだ。これを忘れる
上る。常にすべての授業が提供されている
な! そのために働く価値のあるただ一つ
わけではないが、この幅広い授業ラインア
のもの、そのために戦う価値のあるただ一
ップは間違いなく全米トップレベルである。
つのもの ――そのために死するにあたいす
授業内容については第5章で詳しくご紹介し
注
るただ一つのもの、それが土地なんだ!
たい。これらの授業を7人の常勤教授陣と10
人の非常勤講師が担当している。
GSUは、マーガレット・ミッチェルが70
学生数は、2005年秋学期時点で合計約340
January-February. 2006
25
人である(学士課程270人・修士課程62人・
とを想定した授業を提供している。
Ph.D.課程7人)
。修士課程の学生のうち、約
8割の学生が働きながら夜間の授業に通って
・不動産投資分析・カウンセリング
いるのも、ダウンタウンにあるGSUの特徴
・不動産市場分析
と言える。
・不動産鑑定
・不動産ローン融資
・プロパティ・マネジメント
3.GSU不動産教育の目的
・不動産アセット・マネジメント
・企業不動産管理
後に述べるPh.D.プログラムを除くと、
・不動産開発
GSU不動産学部では実学としての不動産学
を提供している。読者の方々にはまさに釈
また興味深いことに、入学希望者には不
迦に説法となるが、不動産市場の参加者に
動産に関する職種別の平均年収を集計した
は物件取得・鑑定・資金調達・物件管理・
表(表1)を配布している。こうした部分に
物件売却等にかかわる多種多様な意思決定
も「実学を提供する」という姿勢が顕著に
が要求される。GSUの教育方針は、このよ
うかがえる。
うなチャレンジングかつエキサイティング
私の所属するPh.D.プログラムの目的は、
な業界で成功するために必要な基礎を提供
他のプログラムの目的とは少々異なる。
することである。具体的には、ビジネスス
Ph.D.プログラムの目的は一言で言うと「不
クールに所属する学部として、卒業生が、
動産に関わる基礎・応用研究に必要なトレ
主に以下のようなキャリアを積んでいくこ
ーニングを行う」ことである。Ph.D.学生は
平均5年のプログラムにおいて、コースワー
表1 不動産に関わる職種別年収例
職 種
オフィスビルマネージャー
ショッピングモールマネージャー
企業不動産マネージャー
(全国)
企業不動産上級Vice President
住居用不動産ローンの融資担当者
住居用不動産を扱う銀行のVice President
商業用不動産ローンの融資担当者
商業用不動産を扱う銀行のVice President
租税査定人
年金基金不動産運用マネージャー
(公共)
年金基金不動産運用マネージャー
(民間)
不動産セールスパーソン
不動産ブローカー
不動産鑑定士
不動産金融商品開発部門長
不動産所有権調査
不動産リース管理会社マネージャー
ク・教授との共同研究・博士論文研究を通
平均年収
(ボーナス等含む)
$ 75,200
$ 67,000
$112,300
$154,000
$ 38,000
$ 93,000
$ 56,000
$100,000
$ 31,000
$ 85,000
$134,000
$ 31,500
$ 63,000
$ 49,450
$180,000
$ 31,000
$ 65,600
(1990年代の米国全国調査に基づきGSU不動産学部にて集計)
26
じて以下のような知識・スキルを身につけ
ていく。
・専門分野に関する基礎知識
・経済学・ファイナンス・心理学等の理論
に関する知識
・数理分析に必要な知識とスキル
・研究哲学・研究手法
・論文執筆・研究発表スキル
それぞれのカテゴリーにおける具体的な
授業、活動内容については第5章でご紹介し
たい。
GSU不動産学部の同窓会に何度か参加し、
4.不動産実務界との深い関係
GSUとアトランタの不動産実務界との深い
関係を垣間見てきた。実務界と不動産学部
前章でGSU不動産教育の目的は実学とし
が一緒になって、教育・実務・研究のすべ
ての不動産学を提供することだと述べたが、
ての面で不動産市場を盛り上げていこうと
ただ単に知識やスキルを教えるだけではな
いう精神が根底にあるように感じている。
く、学生と不動産実務界との距離を縮める
ための活動も数多く行われている。例えば
ア ト ラ ン タ 不 動 産 グ ル ー プ ( The Real
5.授業・プログラム紹介
Estate Group of Atlanta[R.E.G.A.]
)と呼ば
れる実務家グループとの学生指導共同プロ
表2に不動産学部で提供されている学士レ
グラム(R.E.G.A. mentoring program)が挙
ベル、大学院レベルの授業の一覧をまとめ
げられる。R.E.G.A.は約150人のアトランタ
た。概要についてはGSU不動産学部のホー
の商業不動産に関わる実務家から成る協会
ムページ上の情報を参照いただきたい
である。このプログラムに参加した学生は
(http://robinson.gsu.edu/realestate/courses
割り当てられた実務家指導者(メンター)
/index.html)
。GSUでは企業不動産等ユニー
の下、月例会議やネットワーキングイベン
クな授業を多く提供している。そのため、
トに参加することで実務界の動きをフォロ
教科書を使用しない授業も多いが、授業内
ーし、同時に人的ネットワークを広げるこ
容を想像いただくために、表3にいくつかの
とができる。卒業時にはメンターがキャリ
授業で使用されている教科書の一覧をまと
アパスに関する助言、ポジションの紹介、
めた。さらに詳細な授業内容・資料に関する
さらにはインタビューのセッティングまで
質問は連絡先まで問い合わせいただきたい。
手伝うこともある。
また、GSU不動産学部の同窓会活動も盛
GSU不動産学部では実務界での経験(鑑
定士・コンサルタント・投資家・弁護士等)
んで、すでに1,500人を超える同窓会はネッ
も積んできた教授が多く、理論を教える授
トワークが成功の鍵となる不動産実務にお
業であっても実践的な意味を重視している。
いて、卒業生間の非常に重要な組織となっ
例えば不動産開発の授業では前半に開発プ
ている。この同窓会と教授陣との合同ラン
ロセスに関する理論面の講義を行い、後半
チミーティングは少なくとも年に一度開催
はグループプロジェクトを行う。プロジェ
され、実務界・学界での活動報告等が行わ
クトではアトランタ市内の実際に開発可能
れる。中でも、実務を経験した卒業生が不
な土地を見つけ、開発案件の提案・分析の
動産学部の授業や活動についての提案を行
プレゼンテーションを行う。過去の卒業生
う機会は非常に効果的で、例えば不動産税
の中にはこのプロジェクトを基に、卒業後
法の授業は同窓会における卒業生からの提
に実際にファンドを組成し開発を実行した
案で始まった授業である。
グループもあり、極めて実践的な授業と言
私もR.E.G.A.主催のプレゼンテーションや
える。
January-February. 2006
27
学士課程と修士課程では必須科目・選択
かかるPh.D.プログラムに在籍する私は後か
科目を取得し、規定の単位数を満たすと卒
ら来た修士課程の友人が次々と卒業してい
業となる。修士課程はフルタイムの学生で1
くため、その度に寂しさと焦りを感じるこ
年∼1年半、パートタイムの学生は2年∼3年
とになる。
程度かけて卒業するケースが多い。平均5年
Ph.D.プログラムの学生には7年という
表2 不動産学部の授業一覧
学士レベル
大学院レベル
・不動産概論
・不動産概論
・企業不動産
・不動産開発
・不動産投資分析、応用不動産投資分析
・不動産鑑定、不動産鑑定セミナー
・不動産評価
・不動産ファイナンス
・不動産投資税法
・不動産ファイナンス・融資
・不動産法制度
・国際不動産
・不動産投資分析と鑑定
・不動産開発
・都市開発
・応用不動産分析
・不動産市場分析、応用不動産市場分析
・Ph.D.セミナー
・不動産市場分析
・不動産のための計量分析
(不動産における行動科学研究)
・不動産資産管理
・不動産プロジェクト計画・開発
・Ph.D.セミナー
・都市開発規制
・不動産ケーススタディ
(不動産ファイナンスと不動産経済学)
・不動産法制度
表3 使用されている教科書一覧
授業
不動産ファイナンス
教科書
Real Estate Finance and Investments, Brueggeman & Fisher(McGraw-Hill, ISBN 007365809X)
Real Estate Finance: Theory and Practice, Clauretie & Sirmans(South-Western, ISBN 0324305508)
不動産投資
応用不動産投資
Commercial Real Estate Analysis and Investments, Geltner and Miller(South-Western, ISBN
0324136765)
Land Resource Economics: The economics of real property, Barlowe(Prentice Hall, ISBN 0135225418)
不動産開発
Land Development, Kone(Home Builder Press, ISBN 0867185007)
The Modern Urban Landscape: 1880 to Present, Relph(The Johns Hopkins University Press, ISBN
0801835593)
不動産ケーススタディ
The Real Estate Challenge: Capitalizing on Change, Poorvu(South-Western, ISBN 0134521374)
The Structure of Scientific Revolutions, Kuhn(University Of Chicago Press, ISBN 0226458083)
Ph.D. セミナー
(不動産における
行動科学研究)
その他 学術論文 44本
The Death of Economics, Ormerod(Wiley, ISBN 0471180009)
Rationality and Intelligence, Baron(Cambridge University Press, ISBN 0521017238)
Bias in Human Reasoning, Evans(Lawrence Erlbaum Associates, ISBN 0863771068)
Quasi Rational Economics, Thaler(Russell Sage Foundation, ISBN 087154847X)
Advances in Behavioral Finance, Thaler(Russell Sage Foundation, ISBN 0871548445)
Ph.D. セミナー
(不動産ファイナンスと
不動産経済学)
その他 学術論文 64本
28
The Rhetoric of Economics, McCloskey(Univ of Wisconsin Press, ISBN 0299158144)
Research Method and Methodology in Finance and Accounting, Ryan, et al.(Academic Press,
ISBN 1861528817)
Methods for Land Economic Research, Gibson, et al.(Univ of Nebraska Press, ISBN 0803252250)
Philosophy and Human Geography, Johnston(Arnold, ISBN 0713164905)
Ph.D.取得に費やせる最長年数の制約内で、
い問題である。試験は1日で行われ、午前10
非常に幅広い選択権が与えられている。規
時から午後7時まで休憩なしの9時間にわた
定の48単位以上の授業を取ることも可能で、
った。この試験を終えた直後の独特の疲労
教授の許可があればどの学部からどのよう
感と満足感は、これまでの人生でも経験し
な授業を取るのも自由である。このように
たことのないものであった。
学生によって取得授業数・内容ともに千差
コンプリヘンシブ試験を通ると博士論文
万別なので、ここでは私のPh.D.コースワー
の研究計画書を作成し、プロポーザルディ
クの例を表4に挙げておく。ちなみに私は自
フェンスと呼ばれる研究実行の許可を得る
らコースワークに3年という少し長めの時間
ための会議を行う。ここで4人から成る論文
を割き、合計66単位(22授業)を取得した。
コミッティー全員を説得することができる
以下に私自身が所属するPh.D.プログラム
と、計画通り研究を実行に移せる身分とな
の内容について、もう少し詳細に述べさせ
る。最終的には実際に研究を行い、博士論
ていただく。上記のコースワーク終了後、
文を書き、最終ディフェンスにて研究内容
専門分野の知識を総合的に試すコンプリヘ
が論文コミッティーに認められると、無事
ンシブ試験がある。この試験に合格すると
にPh.D.取得となる。
Ph.D.候補生となり、基本的には博士論文研
またPh.D.プログラムの学生はリサーチ・
究に集中できる身分となる。一方、この試
アシスタントとして教授の研究の手伝いを
験に不合格になると退学となる。この試験
したり、共同研究を行ったりする機会が与
で約半数のPh.D.学生が退学となるような大
えられる。これは企業でのOJTのようなも
学・学部も少なくない。私が受けたコンプ
ので、アメリカの学術誌用論文の書き方や
リヘンシブ試験は、不動産学部の教授陣7人
学会での発表手法を実践的に身につけるこ
によって作成された合計9問から7問を選択
とができる。良いか悪いかは別にして、多
する論述形式であった。半分は不動産に関
くの学界ではアメリカンスタンダードがグ
する知識を試す問題、残りの半分は研究者
ローバルスタンダードとなっているため、
としての資質を試すようなまさに答えのな
アメリカ流の論文作成方法、学会での発表手
表4 Ph.D.コースワーク例
分野
Ph.D. セミナー
(不動産)
Ph.D. セミナー
(ファイナンス)
Ph.D. セミナー
(その他)
授業
分野
授業
不動産授業
不動産投資分析、
応用不動産投資分析
不動産ファイナンス、不動産開発、
応用不動産市場分析
不動産のための計量分析、
不動産ケーススタディ
企業不動産、不動産投資税法
資産価格と投資に関する
実証ファイナンス
計量分析系授業
確率統計論、確率過程論と
サンプリング、多変量解析
構造方程式モデリング
経済学系授業
応用ミクロ経済学、計量経済学、
実験経済学
実験デザイン
授業法セミナー
※授業でいかに効率的に教えるか
を学ぶセミナー
不動産における行動科学研究
不動産ファイナンスと
不動産経済学
資産価格評価理論
January-February. 2006
29
法を身につけることは研究者としてグローバ
ルに成功するためには必要不可欠である。
GSUのような網羅的な不動産教育プログ
次回は、
「不動産学=不動産ファイナンス
か?(仮題)
」というテーマでエッセーを書
かせていただく予定である。
ラムはアメリカでも稀で、需要は高い。例
えばアトランタ周辺のエモリー大学やジョ
Dr. Julian Diaz III
(学部長)
からのメッセージ
ージア工科大学においても、GSUの教授陣
For half a century now, we have studied
が不動産の授業を教えている。
and taught real estate at Georgia State
私は日本でも実務・学界が一体となって、
University. I can think of no better way
今後さらに不動産学教育が盛り上がってい
to celebrate this milestone than to extend
くことは間違いないと期待を寄せている。
a warm greeting to friends in Japan. In
our fifty years, we have accomplished a
lot, yet at no time have we been more
6.あとがき
excited about the future than we are
now. And that is why we are eager to
GSU不動産学部は2006年で50周年を迎え
る。現在不動産学部ではさらなる成長のた
exchange ideas and build new friendships
with colleagues in Japan. I invite your
consideration, and I look forward to
めに、日本を含む海外で教育・研究活動を
exploring with you ways in which the
展開する計画を立てている。ちなみに私の
diverse strengths of the Department of
知る限りGSU不動産学部で学んだ日本人は
Real Estate at Georgia State University
私以外には1人しかいない。その大先輩は、
may serve you.
株式会社ヒロ&リーエスネットワーク
(http://www.hiro-reas.net/)の代表である
不動産鑑定士・米国不動産カウンセラーの
磯部裕幸氏だ。先日アトランタにて磯部氏
にお会いする機会があり、たった2人のGSU
不動産学部同窓会日本支部を立ち上げた。
この同窓会日本支部の今後の発展を祈りつ
もり・まさき
●1997年慶應義塾大学総合政策学部卒業。同年、現・野
村アセットマネジメント入社。債券モデル開発業務に携わ
る。2002年よりフルブライト奨学生としてジョージア州立
大学、不動産Ph.D.課程所属。専門は、不動産市場にお
ける行動科学・ファイナンス研究。2006年後半Ph.D.課
程修了予定。日本証券アナリスト協会検定会員。
つ、連載初回のエッセーを終えたい。
GSU不動産学部連絡先
ホームページ:http://robinson.gsu.edu/realestate/index.html
森 政貴 E-mail:[email protected]
学部長:Dr. Julian Diaz III
J. Mack Robinson College of Business
P.O. Box 4020, Atlanta, GA 30302-4020
Office:1 404.651.4617
E-mail:[email protected]
30
Fax:1 404.651.3396
平成18年度税制改正大綱まとまる
平成17年12月15日、与党より「平成18年度税制改正大綱」が公表された。当協
会は、今後、不動産証券化を着実に発展させることが、資産デフレの克服と地方・市
街地の再生を促進するために欠くことのできない重要な課題であるという認識に立
ち、要望活動を行ってきた。
今回の税制改正において、当協会の要望事項の中で「投資法人および資産流動化法
上のSPC等に対する登録免許税の軽減措置の延長」
「登録免許税の軽減措置の延長」
「不動産取得税における土地の課税標準(1/2)の軽減延長および税率(3%)の軽減延
長」について、下表のとおり部分的措置、新規措置を含むものではあるが関係省庁、
関係団体、並びに当協会の会員各社の厚い支援があり、実現することができた。
(業務部・橋谷 聡一)
当協会の要望活動の経緯等
7月 7日
7月 8日
「平成18年度税制改正要望」が当協会の理事会にて承認される
関係官庁に当協会の「平成18年度税制改正要望」を提出
10月 28日
自由民主党国土交通部会にて当協会の税制改正要望を説明
11月 24日
不動産団体連合会等「土地・住宅税制改正実現総決起大会」を実施
12月 15日
「平成18年度税制改正大綱」公表
■平成18年度税制改正要望と結果
投資法人および資産流動化法上のSPC等
の不動産取得の際に設けられている登録免
要望項目と結果
1.投資法人および資産流動化法上のSPC
等に対する登録免許税の軽減措置の延長・
拡充
許税の軽減措置を延長・拡充する。
〈税制改正大綱〉
○登録免許税の軽減税率特例
(0.6%)
につい
て税率を0.8%(本則:2%)にしたうえで、
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31
その適用期限を平成20年3月31日まで2年
間延長。
(本則:4%)を平成21年3月31日まで延長。
○店舗、事務所等の住宅以外の家屋に係る
3%税率特例措置は廃止。ただし、平成18
年4月1日から平成20年3月31日までの2年
2.登録免許税の軽減措置の延長
不動産の登記に係る登録免許税の軽減措
間、税率を3.5%(本則:4%)とする経
過措置。
置を延長する。
〈税制改正大綱〉
4.商業地等固定資産税の負担水準の均衡
○不動産登記に係る登録免許税の軽減措置
の特例については、平成18年3月31日をも
って廃止。
化の推進
商業地等に係る固定資産税について、負
担水準の上限(現行:70%)を60%に引き
○土地に関する次の登記に対する登録免許
税の税率が、平成20年3月31日まで2年間
下げる。また、都市計画税についても同様
の負担軽減を行う。
軽減する。
・売買による所有権の移転登記
1%(本則:2%)
・所有権の信託の登記
0.2%(本則:0.4%)
〈税制改正大綱〉
○商業地等の固定資産税については、課税
標準額の法定上限である70%の場合に算
定される税額から、地方公共団体の条例
の定めるところにより、当該年度の評価
額の60%から70%の範囲で条例で定める
3.不動産取得税における土地の課税標準
割合により算定される税額まで、一律に
額(1/2)の軽減延長および税率(3%)
減額することができる措置を継続。
の軽減延長
不動産取得の際に設けられている不動産
○負担水準が60%未満の商業地等について
は、前年度の課税標準額に当該年度の評
取得税における土地の課税標準額1/2の軽減
価額の5%を加えた額を課税標準とする。
措置の延長、並びに不動産取得税の税率3%
ただし、当該額が、評価額の60%を上回
の軽減措置の延長をする。
る場合には60%相当額とし、評価額の
20%を下回る場合には20%相当額とする。
〈税制改正大綱〉
○宅地等の課税標準の特例(課税標準の価
格の2分の1)について、平成21年3月31日
まで延長。
○住宅及び住宅用地並びに商業地等の住宅
用地以外の土地に係る3%税率特例措置
32
*なお、下記に掲げる事項が登録免許税
の課税対象とされた。
・不動産特定共同事業に係る変更の認可
1件につき3万円
「平成18年度 制度改善要望」の
経過報告
内閣府規制改革・民間開放推進室
「全国規模の規制改革・民間開放要望」
について
● ● ● ●
要 望 項 目 ● ● ● ●
■資産流動化法関連要望
① 資産対応証券の募集取扱要件の緩和
■投資信託法関連要望
① 投資法人の規約変更手続の緩和
② 特定持分信託の信託法第58条から
適用除外を明確化
■証券取引法関連要望
① 大量保有報告制度の導入
○要望の活動経過
平成17年10月17日∼11月16日の期間(もみじ月間)に内閣府規制改革・民間開放推進室
「全国規模の規制改革・民間開放要望」へ提出いたしました要望について、同年12月12日に各
省庁より一次回答が提示されましたのでご報告いたします。
なお、6月要望(あじさい月間)の際提出いたした、投資信託法関連要望の「投資法人の資
金調達手段の多様化」については、17年度検討し18年度結論との閣議決定がなされているこ
とより、もみじ月間での要望事項としては取り上げないことといたしました。
今回提出いたしました要望および、それらに対する一次回答は以下の通りです。
(業務部・厚見 佳秀)
※詳細については、規制改革・民間開放推進会議のホームページを参照ください。
「全国規模の規制改革・民間開放要望」に対する金融庁からの回答について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kiseikaikaku/osirase/051212/051212kaitou.html
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措置の分類について
a:全国規模で対応:要望内容について、全国規模での対応を図ることとしており、遅く
とも平成18年度中に実施するものであって、対応策が明確であるもの
b:全国規模で検討:要望内容について、実施を前提に既に検討に着手しているものの、
・対応策が不明確であるもの
・実施時期が不明確、もしくは平成19年度以降のもの
現在検討は行っていないものの、
・今後検討を予定されているもの
・今後検討に値すると考えるもの
c:全国規模で対応不可:要望内容について、全国規模で対応不可能であるもの
d:現行制度下で対応可能:要望内容について、現行の規定により対応可能であるもの
e:事実誤認:要望内容について、規制自体が存在しないなど事実誤認のもの
f:税の減免等に関するもの:要望内容について、税の減免、補助金等、従来型の財政措
置に関するもの等
在金融審議会において審議を進め、関係法
資産流動化法関連
案を国会に提出するために作業を行ってい
るところである。投資サービス業者(仮称)
1.資産対応証券の募集取扱要件の緩和
(資産の流動化に関する法律第150条の2)
による資産対応証券の募集等については、
金融審議会における審議の内容を踏まえて
上記法案提出までには所要の結論を明らか
資産対応証券の発行時において、特定
にする予定である。
資産の譲渡人(オリジネーター)が自ら
資産対応証券の募集等を行うか否かに係
らず、現在検討されている投資サービス
法の勧誘・販売行為の考え方を踏まえ、
投資サービス業者が資産対応証券の募集
2.特定持分信託の信託法第58条から適用
除外を明確化
(信託法第58条、資産の流動化に関する
法律第31条の2)
等を行えるようにしてほしい。
資産流動化法の特定持分信託に関わる
〈1次回答〉措置の分類:b
法文において、信託法第58条の適用が除
(6月要望時の措置分類:b)
外されることを、現在検討されている改
投資サービス法(仮称)については、現
34
正信託法で明文化することを要望する。
〈1次回答〉措置の分類:b
〈1次回答〉措置の分類:c
(6月要望時の措置分類:b)
(6月要望時の措置分類:c)
現在、法制審議会に信託法の見直しに関
規約は、投資法人の根本規則であり投資
する専門部会(信託法部会)を設置し、具
法人の基本的事項が定められたものである
体的な調査審議を進め、平成17年度中に信
ことから、規約の変更は、投資主の意思を
託法の改正についての関係法案を国会に提
反映させる手続である投資法人の最高意思
出することを目途として作業を行っている
決定機関たる投資主総会の決議により行わ
ところであり、信託法第58条の見直しにつ
れるべきと考える。
いては、法制審議会信託法部会において、
信託法の見直しに関する検討課題に挙げら
れて、法務省において具体的な調査審議を
証券取引法関連
行っており、法制審議会信託法部会におけ
る審議の内容を踏まえて法務省においては
1.大量保有報告制度の導入
上記の関係法案提出までには所要の結論を
明らかにする予定であると承知。
一般の株式等と同様に、証券取引法に
規定する大量保有報告制度(5%ルール)
投資信託法関連
1.投資法人の規約変更手続の緩和
(投資信託及び投資法人に関する法律
第140条)
を投資法人の投資証券にも適用されるよ
う要望する。
〈1次回答〉措置の分類:a
(6月要望時の措置分類:b)
投資証券を大量保有報告制度の対象とす
ることについて、17年度中に検討し、18年
租税特別措置法等において、軽減措置
度に結論を得る。
を受ける条件として、投資法人の規約へ
の記載が求められる改正があり規約変更
が必要となった場合にでも、投資法人が
規約へ記載しなければならない租税特別
措置法等で求められている要件を既に満
たしている場合については、暫定措置と
して次期投資主総会までの間は官報等へ
その旨を掲載するか、投資主への通知を
行うことにより、本軽減措置の適用が可
能となるよう要望する。
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会員入会のお知らせ(敬称略・順不同)
第17回理事会(平成18年1月19日)において、正会員4社、賛助会員社6社の入会が承認された。これ
により1月19日現在の当協会の会員数は正会員81社、賛助会員147社、計228社となる。
<正会員>
(賛助会員から正会員への会員種別変更)
●グローバル・アライアンス・リアルティ株式会社
●三井不動産投資顧問株式会社
代表者:代表取締役社長 山内 正教
所在地:東京都千代田区
麹町4−1
代表者:代表取締役社長 阿知波 茂樹
所在地:東京都中央区
日本橋室町3−1−20
●三菱UFJ証券株式会社
●みずほ信託銀行株式会社
代表者:代表取締役社長 藤本 公亮
所在地:東京都千代田区
丸の内2−4−1
代表者:取締役社長 池田 輝彦
所在地:東京都中央区
八重洲1−2−1
<賛助会員>
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●株式会社 ASK PLANNING CENTER
●阪急インベストメント・パートナーズ株式会社
代表者:代表取締役 廣崎 利洋
所在地:東京都渋谷区
千駄ヶ谷5−21−14
代表者:代表取締役 尾 雅之
所在地:大阪府大阪市中央区安土町3−3−9
●株式会社イー・アール・エス
●株式会社ジョイント・キャピタル・パートナーズ
代表者:代表取締役社長 阪田 弘道
所在地:東京都港区
赤坂3−11−15
代表者:代表取締役 三駄 寛之
所在地:東京都目黒区
目黒2−10−11
●株式会社ケーピーエムジーエフエーエス
●ADインベストメント・マネジメント株式会社
代表者:代表取締役パートナー 大信田 博之
所在地:東京都千代田区
丸の内1−8−1
代表者:代表取締役社長 佐藤 研三
所在地:東京都千代田区
紀尾井町3−12
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協会代表者交代(敬称略)
当協会の指定代表者が交代となりました。新代表者は次のとおりです。
<正会員>
●株式会社リクルートコスモス
(平成18年1月11日付)
代表取締役社長兼COO 町田 公志
<賛助会員>
●株式会社生駒データサービスシステム
(平成18年1月1日付)
代表取締役社長 藤本 隆博
Real-Estate Securitization Handbook
「不動産証券化ハンドブック2005」英語版 発行のご案内
株式会社TPパブリッシングでは、社団法人不動産証券化協会とのライセン
ス契約を受けて、2002年より不動産証券化ビジネスへの総合案内書「不動産
証券化ハンドブック」英語版を発行してきました。業界屈指のデータ集計など
を掲載している本書は、不動産業界にとどまらず金融機関、法律事務所などか
らも好評を博し、日本の不動産証券化ビジネスの英語ガイドブックの決定版と
しての地位を確立しています。外資系企業との事業チャンネルが増す中、報告
書作成などにお役立てください。
編集・発行:株式会社TPパブリッシング
版型:A4版
発行予定日:平成18年2月下旬
定価:42,000円(税込み)
当協会会員特別価格:31,500円(税込み)
*2月より購入受付開始
※当協会で販売はいたしません。
[お問い合わせ先]株式会社TPパブリッシング
〒190-0023 東京都立川市柴崎町2-2-5 あすなろTビル3階
Tel:042-528-8283
Fax:042-529-3350
E-mail:[email protected]
URL:http://www.transpacific.jp/publishing/
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理事会 ●第17回/平成18年1月19日
当日議決された審議・承認事項は下記のとおり。
1.会員の入会について
正会員4社、賛助会員6社の入会を承認した。この結
果、平成18年1月19日現在の会員数は、正会員81社、
賛助会員147社、計228社となった。
2.不動産証券化協会認定マスター資格制度の創設につ
いて
不動産証券化協会認定マスター資格制度の創設に関し、
下記の諸項目を異議なく承認した。
(1)平成18年度のスケジュール
(2)マスター資格制度に関する規則等
(3)規律委員会規則の改正
(4)マスター資格認定候補者(モニター講座修了者対象)
の決定
(5)特例マスター資格認定候補者(グランドファーザー)
の決定
3.個人情報保護体制の整備について
(1)個人情報保護体制の整備について
当協会の個人情報保護体制に関し、プライバシー・ポ
リシーをはじめとする規則・規程並びに個人情報の管理
体制等の原案をいずれも異議なく承認した。
(2)就業規則の改正について
就業規則の改正案を異議なく承認した。
また、第二期中期事業計画(平成18年度∼平成20年
度)及び平成18年度事業計画の素案について検討を行
った。
主な報告事項は以下のとおり。
1.平成18年度税制改正要望の結果について
2.平成18年度制度改善要望の状況について
3.金融審議会並びに国土交通省所管の審議会の状況報
告について
4.会社法施行に伴うYK-TK代替スキーム案について
5.平成17年度第3四半期予算執行状況(概要)
6.スケジュール
理事会終了後、正会員代表者、運営・企画委員並びに
各専門委員会正副委員長等、約90名にご出席いただき、
懇親会を開催した。
運営委員会
●第17回/平成17年12月8日
当日の報告事項は以下のとおり。
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●第18回/平成18年1月12日
当日議決された審議・承認事項は下記のとおり。
1.平成18年度税制改正要望の状況について
2.金融審議会並びに国土交通省所管の審議会の状況報
告について
3.J-REIT各社の耐震構造に関する調査について
4.賛助会員の入会審査について
5.第二期中期事業計画(平成18年度∼平成20年度)
並びに平成18年度事業計画の検討スケジュールにつ
いて
6.その他
1.会員の入会について
2.不動産証券化協会認定マスター資格制度の創設につ
いて
3.個人情報保護体制の整備について
4.就業規則の改正について
委員会終了後、当協会が社団法人となってから新たに
参画された会員と、運営・企画委員並びに各専門委員会
正副委員長等、約80名にご出席いただき、懇親会を開
催した。
主な報告事項は以下のとおり。
1.平成18年度税制改正要望の結果について
2.平成18年度制度改善要望の状況について
3.金融審議会並びに国土交通省所管の審議会の状況報
告について
4.会社法施行に伴うYK-TK代替スキーム案について
5.平成17年度第3四半期予算執行状況(概要)
6.スケジュール
また、第二期中期事業計画(平成18年度∼平成20年
度)及び平成18年度事業計画の素案について検討を行
った。
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企画委員会 ●第15回(正副委員長会議)/平成17年12月16日
当日の検討事項は下記のとおり。
1.第二期中期事業計画(平成18年度∼平成20年度)
素案について
2.平成18年度事業計画素案について
2.金融審議会並びに国土交通省所管の審議会の状況報
告について
3.J-REIT各社の耐震構造に関する調査について
4.スケジュール
主な報告事項は以下のとおり。
1.平成18年度税制改正要望結果について
市場整備委員会
●第26回/平成17年11月16日
主な内容は以下のとおり。
<報告事項>
1.第25回委員会議事録について
2.金融審議会金融分科会第一部会(投資サービス法関
連)について
3.国土交通省「土地施策の再構築」および国土交通省
の今後の取り組みについて
4.J-REIT View拡充に伴うワーキンググループの設置に
ついて
<検討事項>
1.会員対象私募ファンド実態調査について
●第27回/平成17年12月21日
主な内容は以下のとおり。
<報告事項>
1.第26回委員会議事録について
2.
(仮称)第2次投資行動研究会について
3.第1回J-REITワーキンググループ開催報告
<検討事項>
1.会員対象私募ファンド実態調査について
市場動向委員会 ●第16回/平成17年12月20日
以下の内容を実施した。
1.委員の交代および正・副委員長の互選(敬称略)
委員の交代ならびに正・副委員長を次のとおり決定
した。
●委員長
就任:中根 茂 中央三井信託銀行(株)
不動産業務部 部長
退任:角谷 歩 中央三井信託銀行(株)
不動産営業第一部 部長
●副委員長
就任:板倉 修一 森ビル(株)
都市開発事業本部総合計画部 不動産投資顧問室 副参事
退任:楠 浩介 (元)森ビル(株)
企画開発本部用地企画部 不動産投資顧問グループ 課長
●委員
就任:平岡 俊宏 クリード不動産投資顧問(株)
不動産運用部 ファンドマネジメ
ントチームリーダー
退任:内山 眞一 (株)クリード
営業企画部 部長
2.講演
「米国REIT市場におけるM&Aの動向」
ハイトマン日本支店 駐日代表 木浦 尊之氏
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規律委員会 ●第3回/平成18年1月13日
当日の議事内容は以下のとおり。
<報告事項>
1.前回委員会の論点について
2.本年度の活動について
(1)苦情相談受付状況
(2)その他
<審議・承認事項>
1.不動産証券化協会認定マスター資格制度創設に伴う
規則等の改正・制定について
事務局より、不動産証券化協会認定マスター資格制度
について説明し、当該制度の創設に伴って必要となる規
律委員会規則の改正案と不動産証券化協会認定マスター
職業倫理規程の制定案の審議を行った。
制度委員会 ●第19回/平成17年12月2日
当日の内容は以下のとおり。
<報告事項>
1.制度改善要望の提出(もみじ月間)について
2.金融審議会金融分科会第一部会(仮称:投資サービ
ス法)の報告について
3.金融審議会金融分科会第二部会(信託業法の見直し)
の報告について
4.国土交通省 社会資本整備審議会産業分科会不動産
部会、国土審議会 土地政策分科会企画部会不動産投
資市場検討小委員会の報告について
5.J-REIT運用会社へのアンケート結果について(REIT
保有物件の耐震構造)
教育・資格制度委員会
●第7回/平成17年12月6日
内容は以下のとおり。
●臨時/平成17年12月27日
内容は以下のとおり。
<報告事項>
1.第6回委員会議事録(決定事項)について
2.教育制度今後の予定について
3.名称について
<審議事項>
1.継続教育制度について
2.フェロー制度について
3.グランドファーザーの認定基準について
4.倫理規程と誓約書について
<報告事項>
1.第6回委員会の審議結果について
2.第2・3回モニター講座修了試験について
3.第2・3回モニター講座のアンケート結果について
<審議事項>
1.第2・3回モニター講座修了者の決定について
2.モニター講座修了者の資格付与について
3.グランドファーザー対象者の決定について
4.資格制度規則・倫理規程について
5.平成18年度募集要項について
第34回実務研修会 開催のご案内
「ヴァリューアップのためのオフィスビル耐震改修の実際」(仮称)
清水建設株式会社 設計本部 首席 村井 義則氏
本実務研修会では、既存オフィスビルの耐震判断方法と耐震改修工事の実際について、実例に
基づいて解説をしていただきます。
●日 時:平成18年2月20日(月)13時30分∼15時00分 ●参加費:無料(会員限定)
●会 場:全社協・灘尾ホール
※ご参加のお申し込みは、協会ホームページ(http://www.ares.or.jp/)の会員ページから
お願いいたします(締め切り:2月14日)
。
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特別講演会
『SIIC制度(フランス版REIT制度)導入の背景と今後の展望』
当協会では、平成17年11月30日に特別講演会(於:霞が関東京會舘 エメラルドルーム)を実施した。
当日の講演者および講演テーマは以下のとおり(敬称略)
。
●司会進行・通訳:パシフィカ総合研究(PSK)主宰・研究員 広岡 裕児
●講演者および講演テーマ
テーマ1『French Property Markets: Structure and Outlook』
講演者:Jean-Paul DUMORTIER(ジャン=ポール・デュモルチエ)
Chairman, FSIF
テーマ2『THE FRENCH REITS SUCCESS』
講演者:Jean-Paul DUMORTIER(ジャン=ポール・デュモルチエ)
Chairman, FSIF
デュモルチエ氏
テーマ3『New Trends in the European Real Estate Markets:
French REITS Success Stories』
講演者:Alain CHAUSSARD(アラン・ショサールド)
Chairman and Chief Executive Officer, Affine
ショサールド氏
テーマ4『The attractiveness of the French REIT tax regime』
講演者:Marc CRETTE(マルク・クレテ)
Attorne at Law, Partner, Fidal Direction International
クレテ氏
実務研修会
以下のとおり実務研修会を開催しました。
●第32回(平成17年11月17日)
「不動産投資分析ソフトARGUSの概要とそれを用いた
REIT運用におけるポートフォリオマネジメントの実際」
講師:
REALM Business Solutions Inc.
日本支店長 藤井 和之氏
●第33回(平成17年12月14日)
「ASPを利用した不動産ファンド業務とその実例」
講師:
プロパティデータバンク株式会社
取締役 ASP事業部長 大島 保人氏
東急リアル・エステート・インベス
トメント・マネジメント株式会社 資産運用部シニアマネジャー 尾崎 賢一氏
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投資法人資産運用業の新規認可取得について
投資信託及び投資法人に関する法律第6条の規定に基づく投資法人資産運用業の認可をエコロジー・アセットマネ
ジメント株式会社(平成17年12月15日)
、三井不動産商業プロパティファンドマネジメント株式会社、株式会社シ
ンプレクス・リート・パートナーズ(平成17年12月27日)が新たに取得した。
●エコロジー・アセットマネジメント株式会社
本店所在地 東京都港区赤坂2丁目19番4号
設立年月日 平成17年3月14日
資本金
3億円
資本構成
(株)明豊エンタープライズ 35%
(株)長谷工コーポレーション 35%
楽天アセットマネジメント 20%
●三井不動産商業プロパティファンドマネジメント株式会社
本店所在地 東京都中央区
日本橋室町二丁目3番16号
設立年月日 平成17年1月4日
資本金
2億円
資本構成
三井不動産株式会社 100%
事務局人事
●退職
○(平成17年12月31日付)
(前)業務部 主任調査役
廣田 康幸
○(平成18年1月31日付)
(前)業務部 主任調査役
阿部 紀幸
42
●株式会社シンプレクス・リート・パートナーズ
本店所在地 東京都中央区丸の内一丁目4番2号
設立年月日 平成17年7月1日
資本金
1億5千万円
資本構成
株式会社シンプレクス・リート・
アドバイザーズ 100%
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書評
土地と課税
著者:佐藤和男 発行:日本評論社 定価:8,000円+税
税収を主たる財源とし、領土を基礎に成立している国家、政府にとって、
固定的で物的に確認しやすく、担税力のある土地は最も課税しやすい単位で
あり対象だったのだろう。この本を読むと改めてそう感ぜざるを得ない。明
治時代の地租改正から今日に至る土地に対するわが国税制の歴史的変遷を当
時の税調資料等に基づいて検証した上で、保有、譲渡、取得および流通の各
局面における課税を他の先進諸国の制度との比較を通じて再整理している。
その上で、わが国の土地税制の課題として固定資産税評価額の7割評価の問
題等を取り上げる。税制の背景にある納税者の救済制度の不備を指摘し、他
国の状況等を引用しながら、各局面での問題について具体的個別的に解決方
法とあるべき税制を示す。具体的には保有課税については都市計画税の廃止、土地譲渡所得税の
大幅な改革、取得税の廃止、相続税評価の宅地評価水準を平成4年以前の水準に戻す等である。
バブル対策税制以降、必要以上に重税化・複雑化した土地税制を簡素化し大胆に改革する提言で
ある。本書は、土地税制の研究書として、容易には得がたい貴重な資料を提供しているだけでな
く、筆者の長年の不動産業での実務と理論的研究の結晶が随所に散りばめられている。現行税制
の解説書や毎年出てくる改正法の趣旨をいくら見ても個々の制度の本当の意味での趣旨は専門家
でも把握しがたいほど複雑化している。本書をひも解き、土地税制の変遷等制度の背景をたどる
ことにより、初めて制度の背景の真相やその実務に与える影響に気が付くことも多いだろう。そ
の意味で土地税制研究者、税制の立法や改正に携わる実務家のみでなく、税務に携わる税理士・
公認会計士・弁護士・不動産鑑定士等の専門家はもちろん、広く土地税制について関心のある不
動産・金融業界等の実務家にぜひお奨めしたい名著である。
(さくら綜合事務所 代表 杉本 茂)
不動産投資の新潮流
編者:アルファ・トラスト・リアルティ・アドバイザーズ
(株)
発行:中央公論新社 定価:2,600円+税
本書の副題は「不動産ファンド・J-REITとポートフォリオ戦略」である。
執筆者は全員旧三井信託銀行へ入行の方々であり、各人が現在、不動産証券
化事業の最前線で活躍されている。本書は投資家サイドの視点を意識し書か
れたものであるが、不動産証券化事業の作り手側にとっても読み応えのある
ものである。不動産投資のリスク・リターン特性を体系的に整理した上で、
私募ファンド、J-REITの概要、また、不動産ポートフォリオ分散戦略やファ
ンド・オブ・ファンズ等の分析・考察を進め、投資理論をベースにした投資
対象不動産の位置付けや商品としての標準化についても言及されている。理
論的な説明に留まらず、この数年間の不動産証券化市場発展の経緯について
も実務家の立場から触れられており、今日の市場の隆盛となった背景も理解できる。不動産証券
化事業は不動産と金融の融合と言われるが、本書で指摘されている通り、金融業界と不動産業界
双方の共通言語による一層の理解と、投資事業という、「投資家」に顔を向けた関係者による一
層の努力は今後更に求められてくるものだろう。
不動産証券化事業に関係する方々は勿論、不動産仲介関係の方々にもお読みいただきたい一冊
である。
(事務局次長・業務部長 青柳宏一)
January-February. 2006
43
2006年4月いよいよスタート!
「不動産証券化協会認定マスター資格制度」のご案内
当協会では、不動産証券化に携わるプロ
フェッショナルな人材の育成と裾野の拡大
平成18年度マスター養成講座と
資格認定のスケジュール
を目的とした資格認定制度を平成18年4
月より一般向けに公開いたします。
ホームページでの資格制度の告知
平成18年2月1日(水)
この資格認定制度では、知識要件(当協
会が実施する
「マスター養成講座」の修了)
、
実務経験要件(金融業あるいは不動産業等
における実務経験2年以上)
、倫理行動要
申込み受付期間
平成18年4月3日
(月)∼5月26日
(金)
(協会ホームページで受付)
件(規則等遵守誓約書の提出他)を満たし
た方を「不動産証券化協会認定マスター
(ARES Master)」として資格認定し、認
定後も継続して専門家に相応しい公正かつ
コース1受講期間
平成18年6月1日
(木)∼9月30日
(土)
(インターネット配信による受講)
適正な倫理行動を求めてまいります。
当制度による人材の育成は、不動産証券
コース1修了試験 平成18年10月下旬
化の発展に人材育成の面から寄与するも
のであり、ARES Masterは、不動産証券
化のリーダーとして市場の発展に寄与する
ことが期待されます。
マスター養成講座の概要
コース1(知識編)
科目:101不動産証券化とファイナンスの基礎
コース2受講日程
平成18年12月下旬∼平成19年2月上旬
修了者の発表 平成19年2月下旬
(協会ホームページにて受験番号を掲示)
資格の申請期間
平成19年2月下旬∼3月下旬
102不動産の投資分析
103不動産証券化商品の組成と運用
資格認定者の発表 平成19年5月上旬
104不動産証券化商品の投資分析
コース2(演習編)
科目:201実務演習:不動産投資分析
202実務演習:不動産ファイナンス
203実務演習:不動産証券化商品分析
資格認定証の交付 平成19年5月上旬∼
※上記のスケジュールは予定です。
※資格制度の詳細は、ホームページにてご確認く
ださい。
中計の季節がやって来た。第一次中計では、
「不動産証券化市場を成長軌道
編
集
後
記
に乗せる」を目標に活動を展開してきた。お陰様で、会員社皆様のご尽力によ
り主要紙に不動産証券化の文字を見ない日がないまでに成長してきた。しか
し、不良債権処理や企業リストラが峠を越す中、これからの市場の牽引役は
何か? と次期中計の立案に頭を悩ませる事務局である。でも、答えは会員
者の皆様の情熱と体力か? 本年もよろしくお願い申し上げます。 (市井)
会報「ARES」第19号 平成18年1月31日発行
編集発行 社団法人不動産証券化協会
〒107-0052
東京都港区赤坂 1-9-20 第16興和ビル北館1階
TEL:03-3505-8001
FAX:03-3505-8007
URL:http://www.ares.or.jp