自閉症の環境要因 - 国立保健医療科学院

保健医療科学 2010 Vol.59 No.4 p.330 −337
特集:子どもの健康と環境に関するエビデンス
<総説>
自閉症の環境要因
藤原武男,高松育子
(独)国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部
Environmental Factors in Autism
Takeo FUJIWARA, Ikuko TAKAMATSU
Department of Social Medicine, National Research Institute for Child Health and Development
抄録
これまでにわかっている研究によれば,自閉症の環境要因と考えられたのは①妊娠初期の喫煙,②水銀,③有機リン酸系
農薬,④ビタミン等の栄養素,⑤親の高齢,⑥妊娠週数,⑦出産時の状況(帝王切開等),⑧夏の妊娠,⑨生殖補助医療に
よる妊娠,が考えられた.一方,関連がないと考えられる環境要因は①妊娠中のアルコール,② PCB,③鉛,④多環芳香族,
⑤社会経済的地位,⑥ワクチン,⑦低出生体重,であった.これらは再現性のあるものもあればないものもあり,さらなる
研究が必要である.その意味で,日本で実施される大規模な出生コホートであるエコチル調査に期待したい.
キーワード:自閉症,出生コホート,エコチル調査
Abstract
This paper reviewed the effects of environmental factors on autism based on published articles. Known risk factors include
(1) maternal smoking during early pregnancy, (2) mercury exposure, (3) organophosphate pesticide exposure, (4) nutrient
deficiencies, (5) paternal or maternal older age, (6) gestational age, (7) delivery circumstances, (8) summer pregnancy, and (9)
assisted conception. In contrast, factors not related to autism include (1) alcohol during pregnancy, (2) polychlorinated biphenyl
exposure, (3) lead exposure, (4) polycyclic aromatic hydrocarbon exposure, (5) socioeconomic status, (6) vaccinations, and (7)
low birth weight. However, because the associations between these factors and autism are not conclusive, further research by
the Japan Environment and Children’s Study is needed in order to elucidate the effects of environmental risk factors on autism.*
Keywords: autism, birth cohort, Japan Environment and Children’s Study
Ⅰ.はじめに
小児のこころの問題が増加していると感じている人は多
いであろう.たとえば,我が国における特殊学級に在籍
する児童の数を見た場合,その割合は全児童数に比して
1993 年には 0.97%であったのが,2002 年には 1.5%と約 1.5
倍になっている 1).そして,その多くは自閉症,注意欠陥
多動性障害(ADHD)
,学習障害(LD)などの発達障害
と考えられる.実際に,1992 年の厚生労働省の調査では,
小学校において 6%が高次機能自閉症,ADHD,LD のい
ずれかの軽度発達障害と推定している 1).同様の傾向は米
国においてもみられ,特殊学級のサービスをうける自閉症
児の数は近年急増している.
自閉症の有病率は,1960 年代から 1 万人あたり 4 − 5
人というのが定説であったが,近年では自閉症をより広
連絡先:藤原武男
〒 157-8535 東京都世田谷区大蔵 2-10-1
2-10-1, Okura, Setagaya-ku, Tokyo, 157-8535 Japan.
Tel:03-5494-7120(内線 7414)
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[ 平成 22 年 11 月 25 日受理 ]
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義の広汎性発達障害(pervasive developmental disability,
PDD)とその疾患概念を拡大したこともあり,欧米では 1
万人あたり約 60 人と,10 倍以上の有病率が報告されてい
る 2-4).また,カナダのモントリオール市において,自閉
症の拡大概念である PDD の有病率は,1987 年生まれの児
では 1 万人あたり 45.7 人であるが,98 年生まれの児では
1 万人あたり 107.5 人であった. さらに.Bertrand らは
1998 年にニュージャージ州において,3-5 歳児において自
閉障害が 1000 人あたり 5.5 人,PDD-NOS(特定不能の広
汎性発達障害)で 1000 人あたり 2.3 人,合計でなんらか
の自閉症スペクトラム障害を有する 3-5 歳児は 1000 人あ
たり 7.8 人と推定している 5).日本では,Honda らが横浜
市において,5 歳までの ICD-10 に基づいて診断した自閉
症の累積罹患率(cumulative incidence rate,5 歳になる
までに発症する率)は 1 万人あたり 27.2 人と報告してい
る 6).この論文で 88 年から 91 年までの 4 年間の出生年で
比較しているが,1988 年生まれでは1万人あたり 16.2 人
であり,1991 年生まれでは 27.3 人と,増加傾向が認めら
れる.
こうした問題が遺伝子の影響をうけていることは確か
であるが,近年では遺伝子と環境との相互作用の結果と
して発症すると考えるのが主流である 7).いずれにして
も,自閉症の環境要因は無視できず,精神・神経発達分野
は小児環境保健において主要なテーマということができ
る.本稿では自閉症,自閉症スペクトラム障害(Autism
Spectrum Disorder, ASD), 広汎性発達障害(Pervasive
Developmental Disorder, PDD)の環境要因(一般的嗜好
品,環境化学物質,食事,社会的要因,その他の要因)に
ついて概観してみたい.
Ⅱ.一般的嗜好品
1. タバコ
ス ウ ェ ー デ ン で 行 わ れ た 研 究 で は,Hultman ら が,
1974 年から 1993 年にかけて生まれた子どもすべてを対象
にコホート内症例対照研究を行っている 8).症例群は 1987
年から 1994 年の間に,10 歳になるまでにスウェーデンの
病院で小児自閉症(特定できない広汎性発達障害は含まれ
ない)と診断され退院した 408 人の子どもであり,対照群
は 2040 人の健康な子どもである.その結果,自閉症のリ
スクは妊娠初期の喫煙(オッズ比= 1.4 95%信頼区間:
1.1-1.8)と関係していた.妊娠中の日常的な喫煙は自閉症
のリスクとは関係がなかった.一方,
Zhang らは中国で行っ
た研究で,妊娠中の母親の受動喫煙は児が自閉症を発症す
るオッズ比が 3.47 倍(95% 信頼区間:1.31-9.18)になると
している 9).
2. アルコール
Eliasen ら は,1996 年 か ら 2002 年 に デ ン マ ー ク で 行
われた 80,552 人の母子を対象としたコホート研究にお
いて胎児期のアルコール曝露と自閉症スペクトラム障害
(ASD)や自閉症との関係について調査した 10).その結果,
妊婦のアルコール摂取量が週に 0 回,0.5 回∼ 1.5 回,2 ∼ 3.5
回,4 回以上を比較しても,子どもが ASD,自閉症とな
るリスクは変わらなかった.また,飲酒のタイミングにも
よらなかった.妊娠中にアルコールを大量摂取したことが
1度だけある妊婦を対象に行った調査では,大量飲酒を1
回も経験しなかった妊婦と比較して,子どもが ASD を有
する調整された HR は 0.72(95% 信頼区間:0.53-0.97)で
あり,小児自閉症では 0.61(95%信頼区間:0.36-1.02)であっ
たが,妊娠中に2回以上の大量飲酒の経験がある妊婦では,
1回も大量飲酒を経験しなかった妊婦との HR は有意差は
なかった.
Ⅲ.環境化学物質
1. PCB
保存された臍帯中のポリ塩化ビフェニル(polychlorinated
biphenyl , PCB)曝露について健常な日本人 20 名と自閉
症の 17 名と健常なその兄弟について調べた Otake らの
症例対照研究によると,自閉症患者とその兄弟の臍帯中
の PCB 濃度の総和に明らかな違いはなかった(Wilcoxon
signed rank test, P>0.05)
.つまり,胎児期における PCB
曝露と自閉症の関係明らかではなかった 11).
2. 重金属 水銀に関しては様々な報告がある.クウェートの自閉症
の子ども 40 人の毛髪の水銀濃度は,40 人の健康な子ども
のそれより 15 倍も高濃度であった(4.50 vs. 0.30μg/g hair,
p<0.001)との報告がある 12).反対に,シンガポールの研
究では 82 人の自閉症の子どもと 55 人の対照群の毛髪の水
銀濃度の平均値はほとんど変らないと報告している(2.26
vs. 2.07μg/g hair, p = 0.79)13).Adams らがアリゾナで
行った研究では,乳児の歯の水銀濃度は 15 人の自閉症児
と 11 人の健康な対照群を比べた場合,自閉症児の方が 2.1
倍にであったと報告している(p<0.05)14).
Palmer らがテキサスの 1184 学区で行った研究では,環
境に放出された水銀の濃度が高いほど,自閉症と特別教育
を受ける者の率も上がるとしている 15).カリフォルニア
で行われた 284 人の自閉症児と 657 人の対照群児童の症例
対照研究では,大気中の水銀,カドミウム,塩化ビニル,
トリクロロエチレンの濃度が高いほど,自閉症スペクトラ
ム障害の率が高いことが発見された 16).
また,いくつかの研究では自閉症児の尿中の金属レベル
を DMSA(meso-2,3-dimercaptosuccinic acid, キ レ ー ト
剤)を使って調べている.メリーランドで行われた研究で
は,ワクチン中のチメロサール以外に,水銀曝露のなかっ
た 7 名の自閉症児のグループについて DMSA チャレンジ
テスト(1 度に大量のキレート剤を投与して,尿と一緒に
出てくる金属を調べる検査)を用いて尿中の金属レベルを
測定した 17).これによると,尿中の水銀濃度は 7 名全員
で基準値である 3μg/g クレアチニンを超え,尿中の鉛濃
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度は 7 名中 2 名で基準値である 15μg Pb/g クレアチニン
を超えていた 17).反対に,15 名の自閉症児に DMSA チャ
レンジテストを用いた別の研究では,尿中の水銀濃度は 1
名においてのみ上昇したとされ,尿中の鉛濃度が上昇した
のは 15 名中 0 名であったと報告している 18).
Ip らの研究では,自閉症スペクトラム障害のある子供
に水銀曝露が多いかどうかを調査している 13).この横断
コホート研究は 2000 年に 5 ヶ月に渡り行われ,自閉症ス
ペクトラム障害のある平均年齢 7.2 歳の子供 82 人とその
対照群児童 55 人(平均年齢 7.8 歳)の毛髪中と血中の水
銀濃度について比較している.その結果,水銀濃度の平
均値に違いは見られなかった.血中の水銀濃度は自閉症
スペクトラム障害のある子供で 19.53 nmol / L であり,対
照群児童で 17.68 nmol / L(p=0.15)であった.また毛髪
中の水銀濃度は自閉症スペクトラム障害のある子供で 2.26
ppm で,対照群児童では 2.07 ppm(p=0.79)であった.
この結果から,一般の環境レベルでの水銀曝露では水銀と
自閉症の間に因果関係はないとしている.
鉛に関しては,Adams らは自閉症児群と対照児群で鉛濃
度を比較したところ,
自閉症児群は平均 0.38 ± 0.32μg /gで,
対照群は 0.29 ± 0.14μg /gであり,統計的な有意差はなかっ
たとしている 14).しかしながら,平均値自体は自閉症群
の方が高値であり,サンプル数の少なさにより統計的有意
差が検出されなかったことが考えられる.さらに同じ研究
で歯の亜鉛濃度を比較したところ,自閉症児群は平均 100
± 20μg /gで,対照群は 98 ± 16μg /gであり,ほとんど
差はなかったとしている 14).
により調べている 20).その結果,妊娠中に有機塩素系の
農薬が散布された農場から 500 メートル以内に住んでいた
母親から生まれた児は,農薬曝露がないと考えられる地域
に住んでいる場合に比べ,6.1 倍(95%信頼区間 2.4-15.3)
自閉症スペクトラム障害を発症しやすいことがわかった.
農場からの距離が遠くなるほどこのリスクは下がることも
示され,用量反応関係にあった.
Rauh らは,ニューヨーク市において,有機リン酸系農
薬の一つであるクロルピリホスの出産前の曝露と産まれた
児が3歳時の PDD との関連を調べた(N=254)21).その
結果,出産食後の血清中クロルピリホスが高い(血清で
6.17pg/g 以上)母親から生まれた児のうち,PDD がある
と評価された児の割合は 8.5%で,クロルピリホスが低い
群では 3.8%であり,調整したオッズ比は 5.39(95%信頼
区間:1.21-24.11)であった.
4. 多環芳香族
中国における石炭動力の発電所がある四川省・重慶にお
いて,ベンゾピレンをはじめとする多環芳香族(polycyclic
aromatic hydrocarbons, PAH) の 曝 露 が 2 歳 児 の 社 会
性の発達に関連があるかどうかを Tang らが調べている
22)
.20 歳以上の非喫煙者で,発電所から 2.5km 以内に住
んでいる妊婦 149 名を集めた.その結果,臍帯血で評価
し た PAH 曝 露 と 社 会 性 の 発 達(Gesell Developmental
Schedule の developmental quotients(DQ)スコアで評価)
に有意な関係はみられなかった.
Ⅳ . 食事
3. 農薬・殺虫剤
Eskenazi らはカリフォルニアにおけるラテン系農家に
おける出生コホートを用いて,個人レベルでの出生前の有
機リン酸系農薬の曝露と 24 か月時における広汎性発達障
害(PDD)との関連について調べている 19).農薬曝露は,
非特異的な有機リン酸の代謝物であるジアルキルリン酸
(dialkylphosphate, DAP)の尿中排泄量(母親と児)およ
び特異的な農薬(マラチオン(malathion, MDA)および
クロルピリホス(chlorpyrifos)
)の母親における尿中排泄
量で評価した.その結果,母親においても,子どもにおい
ても,DAP が高い場合(つまり出生前でも出生後でも有
機リン酸系農薬曝露が高い場合)に PDD を発症するオッ
ズ比は有意に高くなっていた(母親の曝露評価の場合で
オッズ比 2.25(95%信頼区間:0.99-5.16),子どもの曝露
評価の場合でオッズ比 1.71(95%信頼区間:1.02-2.8 7)).
有機リン酸系の農薬曝露が 10 倍になると,PDD を発症す
るリスクは約 2 倍となるといえる.しかし,マラチオン
(malathion, MDA)およびクロルピリホス(chlorpyrifos)
の曝露に限ってみると,PDD との関連はなかった.
Roberts らは,大気中に浮遊するレベルの農薬の妊娠中
の曝露(自宅と農場との距離から推定)が自閉症スペクト
ラム障害と関連があるかをカリフォルニアにおいて症例
対照研究(465 名の症例と 6,975 名のマッチさせた対照群)
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栄養の不足も自閉症に大きな役割を果たしうる 23).血
液中,毛髪中,もしくは他の組織中のマグネシウム 24),
亜鉛 25),セレン 25),ビタミン A25),ビタミン B 群 25),ビ
タミン D25),ビタミン E25),オメガ− 3 脂肪酸 26, 27),カル
ニチン 28)などを含む栄養素が自閉症児では明らかに低値
であることが,しばしば見られる.861 人の自閉症児と
123 人の対照群児童を対象とした研究では,ドコサヘキサ
エン酸(DHA)とアラキドン酸の加えられていない育児
用粉乳を与えられた子どもは,母乳栄養児よりも自閉症ス
ペクトラム障害を発達させる率が 4.41 倍であった(オッ
ズ比= 4.41 95%信頼区間:1.24-15.7)29).
いくつかの研究では,栄養的介入によって自閉症と
ADHD もしくは自閉症か ADHA の患者に改善傾向がみ
られると報告している.20 人の自閉症児を対象にした二
重 盲 検 試 験 に よ る と, 包 括 的 な(broad-based) マ ル チ
ビタミンとミネラルサプリメントの摂取は睡眠と消化器
症状の改善に著しく有益で,行動や受容言語(receptive
language)の改善にもあまり顕著ではなかったが有益で
あったと報告している 30).またほかの二重盲検試験によ
ると,自閉児に L- カルノシン(L-carnosine)を投与すると,
ジリアム自閉症評価尺度(Gilliam Autism Scale)に顕著
な改善が見られたと報告している 31).またほかにも,ビ
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自閉症の環境要因
タミン B 6[32],葉酸 32),オメガ− 3 脂肪酸 33),ビタミン C
34)
などを自閉症児に投与すると,何らかの改善が見られ
たと報告する研究もある.マグネシウムとビタミン B 6の
経口補給により,自閉症スペクトラムのある子供の社会的
交流,コミュニケーション,知的機能が著しく改善された
との報告もある 35).また,症例報告によると,肝油 36),カ
ルニチン 37),
コエンザイム Q1037)のような様々な栄養素は個々
の自閉症患者に役立つようであることが報告されている.
Ⅴ . 社会的要因
Fombonne が 1999 年に発表したレビューでは,1966 年
から 1998 年に発表された 23 の研究についての考察がされ
ているが,この中で,社会階級と移民状況は自閉症とは関
係がないようであると述べている 38).
Yeargin-Allsopp らがアメリカ・アトランタで行った研
究では,アメリカの大都市圏における子どもの自閉症の有
病率と研究対象の子どもたちの特徴について調査を行って
いる 39).この研究では 1996 年にアトランタ市の 5 つの郡
(county)で 3 ‐ 10 歳までの子どもを対象に自閉症の有
病率を調べた.その結果,合計 987 人の子どもが,DSMIV の評価での自閉症障害,特定不能の広汎性発達障害,
アスペルガー症候群と一致した行動を見せていた.自閉症
の有病率は 3.4 / 1000(95%信頼区間:3.2-3.6)
(男女比 4:1)
で,有病率は黒人と白人の子どもで同程度であった(黒人:
3.4 / 1000[95%信頼区間:3.0-3.7];白人:3.4 / 1000[95%
信頼区間:3.2-3.7])
.
Bhasin ら の 大 規 模 コ ホ ー ト で の 症 例 対 照 研 究 で は,
自閉症の社会的要因について調査を行っている 40).こ
の研究は,1996 年にアトランタ大都市圏の 5 つの郡で
the Metropolitan Atlanta Developmental Disabilities
Surveillance というプログラムをもとに 1986 年から 1993
年までに生まれた子供を対象に行われた.この研究では自
閉症の子供全体と,自閉症で精神遅滞のある子供,自閉症
で精神遅滞のない子供のサブグループに分けて分析を行っ
た.その結果,高い社会階級の指標の一つである家庭の平
均収入の高さと自閉症の子供全体には明らかに関連があっ
た.つまり,平均収入が高い場合,低い群に比べて自閉症
の調整オッズ比は 1.6 であった(95% 信頼区間:1.2 − 2.3)
.
また母親の教育レベルの高さ,家庭の平均収入の高さとい
う二つの指標は自閉症で精神遅滞のない子供と明らかに関
連があるが,自閉症で精神遅滞のある子供とは関連がない
ことが分かった.人種では,黒人であることと自閉症の有
無が関連していた.サブグループ別の分析では,自閉症で
精神遅滞のある子供でのみ人種との関連が認められた.ま
た,黒人の子供は学校で自閉症と確認されている場合が多
い.母親の年齢では,より高齢の母親(35 歳以上)から
生まれた場合,精神遅滞のない自閉症の発症リスクが 2 倍
以上であることが認められた.子供の性別では,男児のほ
うが自閉症全体と,精神遅滞のある自閉症,精神遅滞のな
い自閉症すべてのグループでリスクが高かった.
一方,Mandell らは,ASD の認識において人種差があ
ることを報告している 41).つまり,白人に比べて,黒人
やヒスパニック系は有意に ASD を報告していないことが
わかった.つまり,ASD の社会的要因を検討する際に,
どのグループに属しているかでその認識がことなり,当然
報告する割合も異なってくることを押さえておく必要性が
あるということであろう.今後の研究において参考になる
視点と思われる.
Wing が ロ ン ド ン の キ ャ ン バ ー ウ ェ ル(Camberwell)
で行った研究では,自閉症のある子どもたち,他の早期の
小児精神病のある子どもたち,自閉症行動のない重症精神
遅滞のある子どもたちの間で,父親の社会階級の分布に明
らかな違いはなく,このことは研究対象地域の一般人口
との比較でも同様であったと報告している 42).自閉症や,
それに関連する症状のある子どもの父親で自閉症に特別な
関心のある外来のクリニックに,殆どは自らの依頼によっ
て紹介をされた人,そして National Society for Autistic
Children に入っている父親はイングランドやウェールズの
平均,または研究対象の子どもたちの父親よりも,社会階
級が高かった 42).National Society for Autistic Children
に初期から入り,会員資格を保っていることも,社会的階
級の高さと関連していた 42).
Ⅵ . その他の要因
1. ワクチン
いくつかの研究で水銀を含んだ保存剤チメロサールの
入ったワクチンの曝露が自閉症の確率を高めることと関連
があるとしている 43)が,一方チメロサール含有のワクチン
と自閉症とはなんら関係がないとしている研究もある 44-46).
イギリスにおける前向き研究では,13,647 人の単胎児にお
いて,生後 93 日から 124 日までの間にチメロサール含有の
ワクチンを受けたかどうか記録している 46).この研究では
子どもたちが自閉症スペクトラムに関連する 23 の行動,微
細運動,言語,その他の問題のいずれかを発症したかどう
かについても調査している 46).46 の分析のうち,
チメロサー
ル含有のワクチンを受けることは明らかに 1 つの変化(生
後 93 日以前にワクチンを受けた子どもの向社会的行動の減
少)が起こる確率を上げていた.41 の比較では統計的に明
らかな効果は見られなかった.また,4 つの比較において
は行動の問題と微細運動技能,チック等に関してよい影響
もみられた 46).U.S. Food and Drug Administration(FDA)
による 2001 年のレビューによると,局所過敏性反応は別
として,チメロサール含有のワクチンのリスクの証拠はな
いと結論している 47).Thompson らの 7-10 歳までの子ども
1047 人を対象にした研究では,出産前,もしくは生後 7 ヶ
月までのチメロサール含有のワクチン曝露は 42 の神経心理
検査との関連はないとしている [48].出産前におけるチメロ
サール暴露の程度が高い場合,曝露されていない子どもと
比較して,42 の神経心理検査において有意な関係を示した
のは 2 つだけであった.この研究では自閉症スペクトラム
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障害の発生については検討されなかった.さらに Price ら
は 1008 名の子どもを対象に,出産前,生後 1 カ月まで,
生後 7 カ月まで,生後 20 カ月までのそれぞれの期間の,
ワクチンと免疫グロブリン製剤に含まれるチメロサール
暴露と ASD との関係について調べた.その結果,チメロ
サール暴露が ASD のリスクを高めるという関係は見られ
なかったとしている 49).
イギリスで Smeeth らは,MMR ワクチンが自閉症もし
くはその他の広汎性発達障害の危険性を高めるかどうかに
ついての症例対照研究を行っている 50).症例群は 1973 年
以降に生まれ 1987 年から 2001 年の間に初めて広汎性発達
障害と診断され,一般診療に登録されている人々である.
症例群は 1294 人,対照群は 4469 人であった.症例群の
うち 1010 人(78.1%)は広汎性発達障害と診断される以
前に MMR ワクチンを投与されていた.対照群では症例
群が広汎性発達障害と診断されたのと同時点で MMR ワ
クチンが投与されていたのは 3671 人(82.1%)であった.
年齢を調整した結果,MMR ワクチンと広汎性発達障害の
関係におけるオッズ比= 0.86(95%信頼区間:0.68 − 1.09)
であり有意な関係は見いだされなかった.これを 3 歳まで
に MMR ワクチンが投与されていて自閉症と診断されて
いる子供のみに限定しても,結果はほぼ同様であった.こ
れによりこの研究では MMR ワクチンが自閉症もしくは
その他の広汎性発達障害の危険性を高めるという関連はな
いと結論している.
2. 抗生物質
Adams らがアリゾナで行った研究では,出産後 1 年以
内の乳児の抗生物質の使用は 15 人の自閉症児で 3.6(投与
回数 1 回当たりの投与期間は 10 日程度)
,11 人の健康な
対照群で 1.5 であった
(p<0.001)14).抗生物質の使用は,ラッ
トでは腸内細菌叢の変化により水銀の排出を抑制すること
が知られている.このため,経口抗生物質の自閉症の子ど
もへ高頻度の使用は,彼らの水銀の排出能力を低下させた
かもしれず,このことが乳児の水銀濃度を高め,自閉症の
リスクとなっていることを部分的に説明することになるか
もしれない,としている.
3. 父親の年齢
父親の年齢が高い場合,交絡変数で調整した後でも,そ
れが自閉症や自閉症スペクトラム障害の明らかなリスク
ファクターになると報告されている 51-53).Reichenberg ら
の研究では,父親の年齢が 10 歳上がるごとに,自閉症ス
ペクトラム障害になるリスクが 2 倍以上となることが示さ
れた 52).
4. 母親の年齢
母親の年齢は自閉症のリスクファクターとして最もよく
研究されているもののうちのひとつであり,交絡変数で調
整する前では,多くの研究で自閉症のリスクと関連がある
とされている 51-56).年齢が進んだ母親には子宮筋の機能障
334
害や年齢による血液供給の減少などから産科合併症のリス
クが高い 57).Croen,Eaton,Glasson らの研究では,母
親の年齢は他の交絡変数で調整した後でも独立した危険因
子であった 54-56).母親が 35 歳以上の場合の相対リスクは,
アメリカのコホート研究で相対危険度 =3.4 55),デンマー
クの研究で相対危険度 =2.3 54),オーストラリアの研究で
相対危険度 =1.5 56)であったと報告されている.これらの
研究の中では,オーストラリアでの研究にのみ,父親の年
齢も考慮されている.
5. 低出生体重児
出生時の体重が 2500 グラム未満である低出生体重と
自 閉 症 の リ ス ク の 増 加 に つ い て,Eaton ら,Croen ら,
Hultman ら,Glasson ら,Larsson らが研究をしているが,
これらのうちのどの研究でも,低出生体重と自閉症のリス
クの増加に関連は認められなかった 8, 53-56).
6. 妊娠週数
Eaton ら,Hultman ら,Glasson ら,Larsson ら が 在 胎
期間に関するデータを報告している 8, 53,54,56).Larsson らの
研究では,35 週未満での出産は,自閉症のリスクの増加
と関連があった(調整された RR=2.6)53).Eaton らの研
究 54)と,Hultman らの研究 8)では,在胎期間に比して小
さい子ども,低出生体重,成長遅滞は自閉症リスクが 2 倍
になることと関連があるとしている(調整された RR の
CI=1.6-2.1)
.Larsson らの研究では,低出生体重は自閉症
リスクとは関係なく,妊娠週数のみが関係していると報告
している(調整された RR=1.3)53).
7. 出産時の状況
Eaton ら,Hultman ら,Glasson ら,Larsson ら の 研 究
では,Apgar スコアが 7 未満だと,自閉症の予測因子に
な る と し て い る 8, 53, 54, 56). こ の う ち,Eaton,Hultman,
Larsson の研究では,Apgar スコアが低い場合,交絡因
子を調整した分析においても明らかなリスクファクター
となった(調整された RR の範囲 =1.7-3.2)8, 53, 54).また,
Hultman,Glasson らの研究では,帝王切開での出産は,
自閉症の独立危険因子であると確認している(調整された
RR の範囲 =1.6-1.8)8, 56).さらに,流産歴 54) や切迫流産
56)
は同様に自閉症リスクを増大させると報告されている.
8. 季節
Heber らは英国でコホート研究を行い,妊娠した季節と自
閉症スペクトラム障害の発生率に関係があるとしている 58).
彼らは季節を春(3 月から 5 月)
,夏(6 月から 8 月)
,秋(9
月から 11 月)
,冬(12 月から 2 月)とに区切り,それぞれ
の季節における自閉症スペクトラム発生率の違いを調べた.
その結果,秋に比べて夏に妊娠した場合に自閉症スペクト
ラム障害の発現率が高いことが分かった(オッズ比= 2.08,
95%信頼区間:1.18,3.70)
.
J.Natl.Inst.Public Health,59(4)
:2010
自閉症の環境要因
9. 生殖補助医療による妊娠
Hvidtjorn らは,1995 年 1 月から 2003 年 12 月までの期
間にデンマークで生まれた新生児 588,967 人を調査し,そ
のうち生殖補助医療(体外受精(IVF)または排卵誘発(OI))
による妊娠で生まれた子ども 33,139 人における自閉症ス
ペクトラム障害(ASD)の発症率を生殖補助医療を用い
ずに妊娠し生まれた子どもにおける発症率と比較した 59).
その結果,母体の年齢,教育レベル,出産回数,喫煙の有
無など他の交絡因子を調整しても,生殖補助医療による妊
娠で出産した場合に ASD と診断を受けるリスクが高まる
ことが分かった(オッズ比 1.13,
95% 信頼区間:0.97 − 1.31)
.
ただ,この結果については卵胞刺激ホルモンの投与との関
連性も指摘されており,更なる研究が必要と考えられる.
Ⅶ.結論
これまでにわかっている研究によれば,自閉症の環境要
因としては①妊娠初期の喫煙,②水銀,③有機リン酸系農
薬,④ビタミン等の栄養素,⑤親の高齢,⑥妊娠週数,⑦
出産時の状況(帝王切開等),⑧夏の妊娠,⑨生殖補助医
療による妊娠,が考えられた.一方,関連がないと考え
られる環境要因は①妊娠中のアルコール,② PCB,③鉛,
④多環芳香族,⑤社会経済的地位,⑥ワクチン,⑦低出生
体重,であった.これらは再現性のあるものもあればない
ものもあり,さらなる研究が必要である.その意味で,日
本で実施される大規模な出生コホートであるエコチル調査
に期待したい.
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