【コンクリート_03】 コンクリート構造物の初期欠陥のうちコンクリートの材料・配合に起因するものを2種 類以上挙げ,それぞれについて発生原因を含めて説明し,初期欠陥を防止するための方策 について設計および施工の両面から述べよ。 以下のようなキーワードを含めた回答が必要と思われます。 初期欠陥 背景 ジャンカ、コールドジョイント、内部欠陥、表面気泡(あばた)、砂筋 ポンプ圧送の長距離化 耐震基準の見直しに伴う配筋の高密度化 土木構造物ではスランプ 8cm 程度の硬練りコンクリート 施工条件とコンクリートの施工性能が乖離 不適切なコンクリート打設計画 具体的な例を概説します。 【ジャンカ】 原因:コンクリート打設時の材料分離・締固め不足・型枠下面からのセメントペースト の漏れ等によって生じ、コンクリートの落下高が高い場合に材料分離を起こして ジャンカの原因となる。 対策:コンクリート打設に配慮した配筋計画 ワーカビリティが良好な配合設計 材料が分離しないように打設、十分締め固め,たたきなどで念入りな充填 ポンプ圧送の長距離化を防ぐコンクリート打設計画 流動性の改善:中流動コンクリート、高流動コンクリート 【コールドジョイント】 原因:コンクリートの硬化程度が最大の要因であり、コンクリートの打継ぎ時間の間隔 が長く、前に打ち込まれたコンクリートが硬化した場合に生じる。 対策:コンクリートを連続して打ち込むことが重要→適切な打設計画 練混ぜから打ち込みまで 1.5〜2.0 時間以内 生コン工場~現場までの輸送交通時間を考慮した打設計画 先に打込まれたコンクリートと後から打込んだコンクリートが一体となるよう、 内部振動機を下層に 10cm 程度挿入して、十分に締め固める。 【表面気泡(あばた)】 原因:せき板に接するコンクリート表面にコンクリート打込み時に巻き込んだ空気ある いは、エントラップドエアがなくならずに残って露出し、硬化したもの。 対策:コンクリート表面に気泡が残らないように、打込み速度や締め固めの管理を行う。 傾斜部の型枠には、予め空気孔等を設置する。透水型枠、吸水型枠を用いる。透 水型枠を使用したものは、合板型枠に比べて中性化の進行が大幅に抑制される。 透水型枠を用いると、かぶりコンクリートの品質が改善できる。 【砂筋】 原因:ブリージングの多いコンクリートの浮き水を取り除かないで打ち足した場合や、 軟練りコンクリートを過度に締め固めた場合に発生する. 対策:ブリージングが少なくワーカビリティの良好なコンクリートを使用する. 締め固めを十分行いながらコンクリートの打設速度の管理を適切に行って、型枠 に沿ってゆっくりと打ち上げていく。せき板の種類を変更する。化粧型枠や透水 性型枠を使用する. 温度ひび割れについては、初期欠陥に含まれるかどうかは、判断に悩みます。『コンクリー ト診断技術’03、基礎編、日本コンクリート工学協会』の5ページには、【変状を大別する と、1)初期欠陥、2)経年劣化、3)構造的変状、に分類できる。初期欠陥の主なものとして、 ①ジャンカ、②コールドジョイント、③内部欠陥、④砂すじ、⑤表面気泡(あばた)、があ る 】と記述されています。今回の採点では、温度ひび割れ、乾燥ひび割れについては、初 期欠陥には含まないと判断しました。ただし、このような事項を知った上で、温度ひび割 れは含むと判断した記述となっている場合は、正解と判断されることも考えられます。 【温度ひび割れ】 原因:セメントの水和熱に伴う温度の上昇あるいは、放熱時の温度の下降に起因するコ ンクリートの体積変化が、内的あるいは外的な拘束によって妨げられると、温度 応力が発生し、この温度応力が、同時点のコンクリートの引張強度を上回ると、 温度ひび割れが発生する。 対策:適切な施工時期の選定(気温の高い時期を避けた打設計画) 材料等による適切な対策工の選定(誘発目地、コンクリートの仕様、補強材の設 置、養生方法の工夫) 確実な施工の実施 以上
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