吉田東伍記念博物館 友の会通信 2003 No.4(通巻28 号) 2003.3.24 発行 平成 15 年度 安田町立吉田東伍記念博物館友の会総会 《 開 催 の ご 案 内 》 早春の候、会員の皆様におかれましてはご清祥のこととお慶び申し上げます。 さて、平成 15 年度安田町立吉田東伍記念博物館友の会総会を下記のとおり 開催いたします。 時節柄何かとご多用とは存じますが、よろしくご参集下さいますようお願い 申し上げます。 安田町立吉田東伍記念博物館友の会 会 長 長谷川 明一 記 1.日 時 平成 15 年 4 月 6 日(日) 午後 1 時 30 分∼ 2.会 場 安田町立吉田東伍記念博物館 2階研修室 3.議 題 ・平成 14 年度事業報告並びに決算報告について ・平成 15 年度事業計画(案)並びに予算(案)について ・その他 4.準備の都合上、出席される方は4月3日(木) までに友の会事務局にご連絡下さい。 安田町立吉田東伍記念博物館友の会事務局(博物館内) ☎0250-68-1200 平成 15 年度 友の会会費の納入について 平成15年度も継続される方は、お早めに年会費を納入下さい。 ◎会費(年額) 一般会員:2,000円 小・中学生:1,000円 賛助会員:1口 10,000円 ◎納入方法 同封の振込用紙をご利用下さい。(博物館受付にても可) なお、新規会員も随時募集しています。(入会申込書は、博物館にあります。) 1月∼3月の博物館・友の会の活動報告 吉田東伍記念博物館友の会 第5回研究発表会 「五頭山麓・阿賀野川流域の中世を探る ∼序章∼ 」 1月19 日(日)午後1時30 分より、博物館 2階研修室にて、第5回研究発表会を開催いた しました。 発表者 田中洋史さんの柔らかい語り口と資料 を交えたわかりやすい解説に、参加された 2 0 名 の皆さんは熱心に聞き入っていました。 発表の詳細につきましては、田中さんから原 稿をいただき、下記に掲載していますのでご参 照ください。 なお、今回の発表は「序章」ということで、 継続しての調査・発表はもちろん、友の会の活 動として発展できればと考えています。 研究発表を終えて∼「序章」から「第1章」へ∼ 発表者 田中 洋史 今回の研究発表会では、私自身が水原町・安田町で過ごした3年間に考えたことを中心に、五頭山 麓・阿賀野川流域に展開した古代から中世にかけての荘園・白河荘についてお話させていただきまし た。なお、これまでの研究史の整理と基本資料の提示を主眼としたためサブタイトルを「序章」とし ました。私自身の今後の研究課題として、いわば今回の発表会は決意表明のつもりでサブタイトルを そう命名しました。 白河荘は、現在の安田町・水原町・笹神村・京ケ瀬村、および豊栄市の一部を含む広大な荘園です。 長承3年(1134)8月に初めて史料上にあらわれるこの荘園については、これまでに吉田東伍を はじめとして、たくさんの研究の蓄積があります。そうした研究史の歩みをふまえて私なりに白河荘 研究の争点として、(1)白河荘の景観復原、(2)「白河御館」、(3)応永の大乱と白河荘、 (4)「蒲原郡白河荘等段銭帳」の4つのテーマでお話をしました。 特に「白河御館」については、発表後の談論の中でその所在地をめぐっておおいに盛り上がりまし た。「白河御館」は、九条兼実の日記『玉葉』の治承5年(1181)7月1日条に唯一史料上に現 われます。源平合戦の最中、平氏から奥州藤原氏と同格に扱われたほど勢力を持った越後城氏の白河 荘内における拠点「白河御館」はいまだにどこにあったのかはわかりません。先学に導かれながら今 後も探っていきたいテーマです。 ところで、新年度に友の会のサークル活動として「白河荘を歩く会(仮)」を結成することになり ました。今年は、六野瀬館・安田城・堀越館などの平野に転々と存在する城館跡を歩いてみたいと考 えています。友の会通信で詳細をお知らせしますのでご興味のある方は気軽にご参加下さい。 県立水原高等学校常勤講師として社会人生活のスタートを切ったのが平成9年の春のことです。3 年前に長岡に移ってからも五頭山と阿賀野川を見るたびにこの地でお世話になったたくさんの方たち の顔を思い出します。私にとって水原・安田は「初心」の地です。「序章」から「第1章」へ、拙い 歩みですが今回の発表を機に一歩でも進めることができればと思っています。 研究発表会の発表者を募集しています。自薦・他薦・内容は問いません。お気軽にお申し出 ください。 友の会研修旅行後記 芸術鑑賞 能楽座公演(2 月 1 日)∼新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)∼ 時節柄何より気がかりだった天候も、当日はまぶしいほ どの雪晴れとなり、予定通り日程を終了いたしました。 参加者は10 名と少人数だったので当初計画のマイクロバ ス借用は取り止め、有志の車を運転も兼ねてご都合してい ただきました。ありがとうございました。 “りゅーとぴあ”へは 2 時到着。さっそくお願いしてあ りました施設課の係員さんに、コンサートホールと劇場を ご案内していただきました。まずは最大2000 名収容という コンサートホール。「えっ、そんなに大勢入れるの」とお どろくほどコンパクトで、ステージと客席との距離感をよ り少なくする、というアリーナ形式の利点を実感いたしま した。またステージ上では照明器具の点検作業中で、公演 りゅーとぴあ 劇場ステージ上にて を支える大切な裏方の仕事の一部を垣間見ることができ、 これは思わぬ収穫でした。 次は最大900 名収容という多目的使用の劇場です。許されてステージに上り、広さや迫(せり)の位置を確か めたり、三階の客席を見上げてちょっと主役になった気分にひたり、カメラに収まりました。 さてメインの能楽は 4 時開演。鏡の間から笛や鼓の音が聞えてくればそれが始まりの合図、場内のざわめきも さぁーと引いてゆきます。照明も落ち密度の濃いその静寂の中で、観客も舞台に集中する心の準備をして役者の 出を待つのです。 演目は狂言“伊文字”山本東次郎、能“望月”大槻文蔵、どちらも鍛えぬかれた声は力強く、腹にひびきまし た。“望月”は動きのある内容だったことと、子方の澄んでよく透る声は、初々しく健気で、始めての方も眠気 を覚えずにすんだのではないでしょうか。 能は人間の情念を抽象化したものと言われますが、第一言葉がわからない、もろもろの約束事は… と敬遠さ れてしまうようですね。しかしその源は中国の散楽という大衆芸であり、日本に入ってきたのは奈良時代、田楽、 猿楽となって共に庶民の娯楽であったと言われます。そうと知れば、かたく、難しく考える必要は少しもないよ うに思います。私も最初は装束の美しさ、地謡や後見の折目正しい挙措等に見とれ、裂帛の気合と共に打つ鼓、 鋭くかつ繊細な笛の音に聞き惚れておりました。舞台上の何かにひとつ興味がわけば、そこが入り口と考えて探っ てゆくのも方法かもしれません。 解説書をたくさん読んで“頭でっかち”にならないこと、まずは見ること、それに尽きる、と。これは古典に 精通した私の先輩の言でした。若いころは全面的に納得はできませんでしたが、今は本当にそう思っております。 各々、感応するところを大切にして入ってゆけば自ずと広く、より深くなってゆくということでしょうか。 あっという間の2時間でした。皆様本当にお疲れ様でした。次回もどうぞご参加下さい。(事務局 小野里) 友の会研修旅行に参加して 会員 山口 芳江 新年早々に「友の会研修会ご案内」を送って頂きました。平常は勉強不足で世間知らず、一読して「アッこれには参加させて頂 きたい」の一念で一杯。以前「大須戸能」を拝観させて頂いた事がありました。出演して下さった方々は目にも鮮やかな衣装を纏 い、懸命に演じて下さいました。その時は能舞台ではなく、講演で他の先生方がお立ちになっていらっしゃったステージでした。 何時か機会があったなら能舞台で観賞したいと待ち続けておりました。 当日は会の方々にお世話になりながら「りゅーとぴあ」に到着。事務局の方のご配慮で係員の方にお出で頂き、施設内の概要の 説明やコンサートホール及び劇場の見学をさせて頂き、近代的建築の中に機能性豊かな設備の多さに驚き入りました。 能楽は午後四時開演。開演と共に観客席の静けさ、自ずから緊張しました。太鼓や笛の音に耳を傾け、能特有の発声に戸惑い、 少しでも理解しようと夢中になっている中に進む。「アッ」と気付いた時にはもう遅く「勉強不足と経験不足」を何とも情けない 思いで深く身に沁みた事でもございました。子方の舞台度胸の良さと可愛らしさは、観る人を魅了させ、感動を与えて下さいまし た。 鏡の様な桧舞台にかすかにきこゆる衣擦れの音。これこそ舞台の近くで拝観させて頂いた者だけが知る最高の醍醐味であり、至 福のひとときでもございました。 企画下さいました方々に厚く御礼申し上げ、参加のご報告とさせて頂きます。 吉田東伍記念博物館 2003 年講演会 「ヒトとウシの絆を考える ∼日本人と酪農事情∼ 」 3月2日(日)午後1時30 分より、2003年講 演会を上記の演題のもと実施いたしました。 昨年は‘ふるさと安田’の地場産業の一つである 「瓦」を取り上げましたが、今回は「酪農」をテー マに、新潟大学農学部、農学博士の楠原征治氏をお 招きし、ご講演いただきました。 世界、日本における酪農業の現状からそれに通ず る歴史的変遷、その中での新潟県や安田町の酪農業 の位置づけなど、大変興味深い内容でした。 スライドを中心とした大変分かりやすい講演に、参加された25 名の皆さんも、安田の風土が生 んだ「酪農」を再認識するきっかけになったのではないでしょうか。 この講演会開催にあたり、ご多忙中にもかかわらず快く講師をお引き受け下さった楠原先生、ま た当日助手を勤められた農学部の今村さんと菊池さん、そしてご後援をいただきました下越酪農農 業協同組合様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。 博物館 春の催しのご案内 石塚三郎フォトギャラリー2003 「明治・大正のこどもたち」 博物館では、1998年11 月から 1 9 9 9 年 2 月 にかけて「活写(うつ)された 世紀開幕」と題 し、館蔵資料である石塚三郎氏旧蔵のガラス乾板 写真の一部を初公開し、多くの反響を呼びました。 そして、この度、より多くの皆さんから当資料 をご覧いただきたく、「石塚三郎フォトギャラリー」 と銘打って、テーマに沿った展示公開を計画して います。 第1回のテーマは「こどもたち」。期間中には、 安田町の未来を担う子どもたちの写真の募集・展 示も予定しています。 多くの皆さんのご来館を心よりお持ちしていま す。 期間:平成15年4月19日(日) ∼5月25日(日) 会場:吉田東伍記念博物館 2階研修室 ※会期中も友の会会員は無料で入館できます。 (会員以外の方も通常入館料。) 編 集 後 記 春とはいうものの寒暖の差のはげしい昨今、皆様お変りございませんか。 今年度最後の通信をおとどけいたします。一年間たくさんの方々から様々のご意見やご教示を賜 り、何かと至らぬ事務局を助けていただきました。本当にありがたく心からお礼を申し上げます。 来年度もどうぞ変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げ、併せて皆様のご健康をお祈りい たします。 (友の会事務局一同) 発行:〒959-2221 新潟県北蒲原郡安田町大字保田 1725-1 安田町立吉田東伍記念博物館友の会事務局 ℡ 0250-68-1200 0250-68-5016 ホームページアドレス http://www.yoshidatogo.net/
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