青少年体験活動全国フォーラム シンポジウム 「長期集団宿泊体験活動を推進するためには」 学校と社会教育施設を「つなぐ」視点から 福岡教育大学 鈴木 邦治 2009.2.8 「人」をつなぐ 「学び」をつなぐ ◇連携型から協働型へ ◇教育理念と課題の共有に基づく コンセプトづくりとミッション ◇子どもの活動と思考でつながるプログラム ◇学びのエンパワーメントと サービス・ラーニングの視点 1 1.宗像市セカンドスクール事業 ;大学・学生ボランティアとの協働モデル H14~実施(吉武小、東郷・南郷小スタート) A.全校ワクワクWeek(吉武小);5泊6日→3泊4日 ※H18より、3~5年生中心型(異年齢) B.交流ワクワクWeek(日の里西・東小5年);2泊3日 ※小中一貫教育プロジェクトの入口 学校・大学・社教施設・教委による学社融合型の実行委員会方式 ◎学生スタッフとの協働 ◇ステージⅠ(学校教育のコンセプト8:15~17:30) ・漁村体験(大島バイキング、釣り、干物づくり、地引き網、漁船体験等) ・タグラグビー体験、乗馬・育成体験、博物館・資料館見学等 ◇ステージⅡ(家庭教育のコンセプト17:30~8:15) ・福岡教育大学学生ボランティアによる生活サポート ・学生企画による選択活動「この指止まれ!」 (アカペラ、ストリートダンス、アート、理科実験教室、読み聞かせ、 ナイトハイク、ネイチャーゲーム、プロジェクト・アドベンチャー等) → ①3年間の再チャレンジと成長の実感 ②継続的な学生スタッフによる子どもの成長に対するまなざしの共有 ③プレスクール等による特別支援教育・健康管理に対する協働体制 2.「なかしま子ども自然体験」(柳川市立中島小学校) ;社会教育施設との協働モデル 国立夜須高原青少年自然の家「小学校自然体験活動プログラム開発事業」 【協働化のポイント】 ステップ1 子どもの課題の析出と共有・・・自尊感情調査、Q-U調査等の分析 ・固定化された人間関係、表面的な関係、葛藤が少ないなど =上位目標レベルの共有(どんな力を身につけさせたいか) ステップ2 学校経営方針・重点課題をベースに相互のミッション探索 ・教職員の思い・願い、指導方針、ミッションに対する理解・尊重 ・社会教育施設・ボランティアの思い・願い、指導方針、ミッションに対する 理解・尊重 =下位目標レベルにおける専門性の尊重(評価を含む) ステップ3 どんな体験によって、どんな価値に出会わせたいか =コンセプトの共有化およびテーマ設定 ステップ4 プログラムのデザイン 2 3.子どものエンパワーメントを育む 協働型プログラムのデザインの7つのポイント (1)子どもの活動主体のシンプルでゆったりとしたプログラム ◎プログラム達成型 ← ▲タイムスケジュール消化型 →プログラムごとの目標達成状況による進行 =活動と評価の融合型のカリキュラム =子どもの思考に基づくフローチャート方式 →「立ち止まる」時間&「考える」時間の保障 (2)学校教育的な価値の枠組みの見直し ◇評価モード(失敗からの学び)=安心して失敗できる空間 ←きき合い・学び合いをベースにした 「学びの共同体」研究とのシンクロ ◇時間管理モード(時間厳守、さぼり、自由時間など) ◇集団活動モード(集合スタート、整列など) ◇呼称モード(▲班長・係 → ◎リーダー・チーフ) (3)集団活動と個別選択活動のバランス ◇1~3日目 グループ活動(竹製スタードームづくり、野外炊飯) 4日目 個別選択活動(静・創作活動、動・冒険活動) 5日目 登山(グループの支援&個の歩みの融合) 「祝い」のセレモニー(キャンプファイアー、バーベキュー) ◇集団から離れて一人になれる時間と空間の保障 ・生活リズムとしてのON-OFFの切り替え ・集団ストレスおよびリーダー・ストレスからの解放 (4)プログラムの中での成長の実感とわかちあいの交流活動 ◇集団において個が尊重される場面 ・蝋燭の灯りの下での道徳の時間「学校と変わったNo.1は」 ◇多様な価値観を持つスタッフ(大人=ホンモノ)の評価 →「みんなから認めてもらえた」=自尊感情→積極性 3 (5)子どもの自己決定と自己責任 ◇6日間すべて野外炊飯システム=熟練をめざす ・失敗すれば食べられない、足りなくなればおなかが空く ◇竹製スターづくり&スタードームでの宿泊 ・設置場所の自己決定(寒さ、雨水) ・できなければ屋根なしでの宿泊(自己責任) ◇失敗からの学び ・スタッフの支援=「見まもる」=安心して失敗できる支持的雰囲気づくり ・成功しているグループから学ぶことの積極的評価 ◇“Being”の視点(PAの理論) ①自分たちのために自分たち創るルール(自己統制) ②チャレンジ(自己決定) ③安心できる環境の創造(環境統制) (6)協働型学習援助モデル 協働型学習援助モデル( (コーチングの手法) コーチングの手法) ・子どもの「気づき」を導く支援 ・子ども自身が行動理由を「発見」する支援 ←従来型指導モデル(正しさを教える、行動理由を与える) ◇ヘルス・プロモーションの視点(自ら気づき,自ら改善・回復する力) ヘルス・プロモーションの視点(自ら気づき,自ら改善・回復する力) (7)「サービス・ラーニング」による体験のエンパワーメント ◇自分たちが学んだ体験の価値をサービスとして提供する ・・・サービスの提供竹製スタードームを学校に持って帰って校庭につくって 児童・保護者・地域の人に遊んでもらおう =体験の強化・共有・評価 → 家庭生活への体験の継続 ◇ひと・もの・ことを「つなげる」「動かす」ネットワーキング型学習 ◇共生する力=市民としての自己有用感と自己プレゼンス サービス・ラーニングのコンセプト サービス・ラーニング ①コミュニティ・ニーズ コミュニティ・ニーズに応じたサービス活動の実践 ②教科学習との関連 教科学習との関連があり、教育的効果が期待できる内容 ③活動場面ごとの「ふりかえり ふりかえり」の設定 ④市民性 市民性(道徳性・倫理観)を涵養するプログラム ⑤社会の中での学習成果の評価 評価と「祝い 祝いのセレモニー」 4 【資料2】ふくおか学び舎創生事業「学び舎スクール」事業 地域・ボランティア協働モデル (モデル8地区各3校) (2008年) 【特徴】①異学年での長期集団宿泊体験活動(4泊5日) ②夢・目標、学ぶ意欲と家庭における学習習慣の形成 ③地域交流体験による学校教育支援体制の構築 ④ボランティアによるモデル化と将来への夢・目標づくり ⑤地域学び舎運営委員会の設置(協働モデル) 【内容】①異年齢宿泊体験(生活体験・自活体験) ②キャリア等体験(キャリア講座、ものづくり、職場体験、職業調査体験等) ③学習体験(コース別学習体験、家庭学習体験) ④地域ふれあい体験(文化・自然等の地域講座、自然・文化施設での体験) ⑤集団遊び体験(集団遊び、道具づくり) ◇ 黒木町立笠原小学校「学び舎スクール」(夏季休業期間中) ・校区の廃校を利用しての4泊5日の4~6年生 ・郷土芸能の人形浄瑠璃のトレーニング ・福岡教育大学の学生との交流・山村留学体験入学Week 【資料1】 資料1】「エンパワーメント」(Empowerment) 「エンパワーメント」 とは? 「本来的にもっている力を信じて・引き出す」教育作用 ◇組織や社会において自らのコントロールしていく力を 取り戻す「自立」のプロセス ◇コミュニティにおいて自らの生活の掌握やコミュニティ参画を 促進するソーシャル・アクションのプロセス ①「心理的エンパワーメント」(自己効力感,動機づけ) ②「コミュニティ・エンパワーメント」 (ネットワーク能力,コミュニティ能力) 5
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