2010年11月号(PDFファイル) - TIP正しい治療と薬の情報

昭和 61 年 7 月 4 日 第三種郵便物許可
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
149
Nov. 2010
Vol.25 No.11
ンロードした報告用紙を用いて,患
患者による副作用直接報告(後編)
― 15 カ国の調査と文献検索―
*Andrew Herxheimer, Rose Crombab & Teresa L Alves: Direct patinet reporting of
adverse drug reactions/ A fifteen country survey & leterature review
** HAI (Health Action International) Briefing Paper Series Reference 01-2010/05
者たちが地区の医薬品安全性監視セ
ンターに直に報告することが認めら
れるようになった.2009 年 6 月に
は , 患者による ADR 報告を可能と
する 新しい法律が導入された.こ
れを実際に施行する法令は 2010 年
4 月までに発布されることになって
いる.全人口の中で患者組織のメン
3) 患者からの報告を積極的には集
の連携策を開始した.AFSSAPS は
バーが占める数は小さく,その比率
めていない国々
患者組織およびそのメンバーの協力
も実態を反映していないため,これ
i) フィンランド
をえて,患者による副作用報告のパ
からの ADR 患者報告はおそらく患
これまでのところ,フィンラン
イロット研究を行った 3).配布した
者組織とは別個に運営されることに
ドには患者からの ADR 報告に対す
200 通の報告用紙のうち 130 が充
なるであろう.
る専用システムは存在しない.とき
分に完成されて戻ってきたが,12
に患者から寄せられる ADR 報告は,
通は患者が医師による確認を拒否し
k) ドイツ
これを受け付けた上で,データベー
たため除外された.確認を求めら
ドイツの薬務局(BfArM)は製薬
ス上に記録される.多くの場合,こ
れた医師のうち , これに応じたのは
会社・医師・その他の保健医療専門
れらの報告は国の薬務機関が医学的
半数未満であり,その中の 58% が
家から報告を受け取る精巧な医薬品
な視点からその確認作業を行う.
副作用であることを確認した.118
安全性監視システムをもっており,
の報告のうち 84% は,副作用のた
ドイツ医師会の薬事委員会と緊密に
j) フランス
め QOL が損なわれたことを記して
連携して,ADR データベースを共
フランスでは現在のところ,患者
いた.55% はその被害が重大であ
有 し て い る. ま た,BfArM は ド イ
からの ADR 報告を奨励してはいな
るとし,14% は治療にあたった医
ツの独立情報誌アルツナイ・テレグ
い.薬剤監視センターに ADR 報告
師により既に地区センターに報告さ
ラム誌のもつ副作用ネットワークか
を送った人々に対しては,その報告
れていた.
らも報告を受け取っている.
の医学的な妥当性の確認が求めら
予期しない副作用や新規副作用は
情報の評価には最も詳細な医学
れる.EU 法では,EUDRA(欧州医
見つからなかった.患者報告の利点
的情報が必要ということで,通常,
薬品規制局)のデータベース上に
は,従来の医薬品安全性監視シス
BfArM が受け取るのは医療専門家
ADR の疑いありとして報告する前
テムでは看過されてきた QOL に重
の観察による副作用報告だけに限っ
に,その妥当性の確認を行うことが
きをおいていることだった.当然の
ている.したがって , 患者に求めら
求められている.同法には,
「医学
ことだが,報告される副作用のタ
れているのは,患者自身が信頼して
的検証がなされていない報告は,国
イプは患者組織のタイプによって異
いる医師に依頼して ADR 報告を用
の関係機関や製薬会社内部で保管さ
なるものであった.H1N1 インフル
紙に記入してもらうことである.患
れるべきである .」と記されている.
エンザの流行と関連して,ワクチン
者や報告医師の身元・性別などはデ
2004 年 5 月 , フランスの規制当
や抗ウィルス剤による有害事象を,
ータ保護法の規制対象となってい
局 (AFSSAPS) は 多 く の 患 者 組 織 と
AFSSAPS のウェブサイトからダウ
る.従って , あらゆる追跡調査はで
150
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
(毎月 1 回 28 日発行)
きるだけ,報告を行う専門家によっ
・医療機器を管轄する省庁)では患
し,これらの報告はいずれも,患者
て手筈が整えられることになる.消
者・消費者からの ADR 報告を受け
自身が副作用の可能性を疑って行う
費者による直接の ADR 報告を認め
取っていない.その実施や方法につ
自発報告を考察したものではなかっ
るかどうかについて,公の議論は行
いて内部で議論したが,結論は得ら
た.従来の医療専門家による報告で
われていないようである.
れなかった.
は気づかれなかったような新しい副
作用が,患者による報告で特定する
l) アイルランド
n) スペイン
ことができる.著者らの結論はこう
アイルランドの薬事委員会 (IMB)
現時点では,スペインの薬務局
だった;
は患者 / 消費者からの直接報告を常
(Agencia Espanola de Medicamentos
患者による ADR 報告は専門家に
時受け取ってきたが,確認が必要と
y Productos Sanitarios) は医学的に
よるそれと比べても,質的には同等
考えられる場合は,追加情報を得る
(たとえば,退院時報告,カルテな
と思われる.患者が副作用報告を行
ために当該ケースに関わった医療専
どによる)確認がないかぎり,患者
うのは,医療者側が自分たちの心配
門家と接触する許可を,その患者に
からの直接 ADR 報告を受け取るこ
に注目していないと感じている場合
求めることになっている.このよう
とはしていない.しかし 2010 年に
であることが,いくつかのエビデン
な専門家との相互活動が行われるの
は,その実現可能性,必要な資源,
スから判明している.患者による
は,患者 / 消費者から書面による明
支援体制などを検討するパイロット
ADR 報告は,少なくとも導入初期
確な許可を得たときだけであり,し
・プロジェクトを立ち上げる予定で
においては,その処理に多くの時間
かも彼らが担当専門家を指名した上
ある.
を費やす可能性がある.
で実施される.
我々は,患者による直接自発報告
これらのケースは,さまざまな医
o) 欧州医薬品庁 (EMA)
について,以下の 4 つの重要な疑
療専門家から寄せられた多数の報告
欧州医薬品庁が受け取る情報は,
問をもとに,これらの論文の検討を
と一緒に仕分けされ,2007 年迄は
EU 内部からの ADR 報告に関しては
試みる.
患者 / 消費者からの報告だけを分け
もっぱら加盟各国の医薬品規制省庁
a) 患者報告は,専門家の報告とど
て取り扱うことはなかった.
しかし,
に,EU 外部からの ADR 報告に関し
のように匹敵するか?
2007 年以降,IMB は患者 / 消費者
ては製薬会社に依存している.
b) 患者報告は副作用の早期検出を
からの報告を分けてリストアップし
EMA は患者・消費者による直接
もたらすか?
ており,2007 ∼ 2008 年には,そ
ADR 報告に関しては何ら独自の方
c) 患者報告は,副作用に関して,よ
のような報告が 100 件あった.こ
針を持ち合わせていない.もし,患
り明確で詳細な記述がなされている
のように専門家と協同のアプローチ
者による直接報告制度が全ての EU
か?
が行われる主な理由は,症例の総合
加 盟 国 に 受 け 入 れ ら れ る な ら ば,
d) 患者報告は,副作用が患者の生
的評価を可能にするためであり,そ
Eudravigilance データベースの構造
活にどのような影響があるかを示し
れは病歴・素因・他の併用薬・病理
や取り扱いに関しても,重要な手続
ているか?
学的検討など関連する全情報の入手
き上の意味を持つことになろう.
a) 患者報告は,専門家の報告とど
を確実にするためなのである.
IMB は , また , 以下のような点を
Ⅳ . 簡単な文献レビュー
のように匹敵するか?
重視している;すなわち,直接診療
患者による ADR 報告に関しては
患者による自発報告と医療専門家
にたずさわっている医療専門家は治
2 つのレビュー論文がある.第一の
からの報告とを比較した 4 つの研
療経験から問題をよく理解してお
論 文 は, 欧 州 HAI が 2005 年 5 月
究がある.そのうち 2 つはテレビ
り,薬用量を調節したり,相互作用
に開催した「患者の副作用報告に関
番組放映後の患者報告を研究したも
を引き起こす可能性のある薬を変更
するセミナー」の結果をまとめたも
のであり,1つはパロキセチンの副
したり,
専門医への紹介を行うなど,
のであり,オランダ,デンマーク,
作用に関するイギリスでの研究であ
適切な介入が可能であると考えたの
イギリスの演者が発表を行った .
り 6),他の 1 つはスタチン系薬剤の
である.IMB には , これらの仕組み
第二の論文は Blenkinsopp らによ
利益と害に関して 2007 年にオラン
るレビュー (2006) で , 6 カ国で行
ダで放映された番組後の患者報告に
われた,患者・病院・プライマリ
関する研究である 7).
m) ポルトガル
ーケアにおけるインタビュー研究 7
第1の研究は放送局に送られてき
INFARMED( ポルトガルの医薬品
件をまとめたものであった .しか
た 1374 通の E- メールと,その前
を変える考えはない.
4)
5)
(毎月 1 回 28 日発行)
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年に MHRA に送付されたイェロー
カード副作用報告とを比較した研究
151
本論文で使用された略号一覧
である.
「医療専門家からは決して
ADR: Adverse drug reaction
得られないような情報が,薬を使用
AFSSAP: Agence Française de Sécurité Sanitaire des Produits de Santé (FR)
した患者およびその家族からは伝わ
AIFA: Agenzia Italiana del Farmaco (IT)
ってきた」と言うのが著者の結論で
BfArM:Bundesinstitut für Arzneimittel & Medizinprodukte (D) (Federal Institute
あった.患者からの報告はイェロー
for Drugs and Medical Devices)
カード報告よりも内容がはるかに豊
CBG: College voor Beoordeling van Geneesmiddelen (NL)
富で,自殺との関連性や離脱症状を
CIOMS: Council for International Organizations of Medical Sciences
より明瞭,かつ分かり易く叙述して
DMA: Danish Medicines Agency (DK)
いた.
DSPS: Danish Society for Patient Safety
第 2 の研究は Lareb( オランダ薬
IVM: Dutch Institute for Rational Use of Medicines
剤監視センター:オランダ全国の
EMA: European Medicines Agency
ADR 報告を受け取っている)から
EUDRA: European Drug Regulatory Agencies
の論文だった.患者からの報告はテ
FAMHP: Federal Agency for Medicines and Health Products (B)
レビ番組の放映で急激な増加がみら
れたが,医療専門家からの報告には
そのような急峻な増加は見られなか
った.患者と専門家,どちらの報告
も副作用の重篤度や服薬中止に関し
ては違いがなかった.患者からの報
告では,副作用からの回復が悪い例
が多かった.番組の放映で約 30 人
の患者が服薬を中止した.多くの人
FDA: Food and Drug Administration (USA)
ICRF: Individual Case safety Report Form
IMB: Irish Medicines Board (EIR)
INFARMED: National Authority of Medicines and Health Products (PT)
Lareb: Netherlands Pharmacovigilance Foundation (NL)
MAH: Marketing Authorisation Holder
MEDDRA: Medical Dictionary for Regulatory Activities
MEB :(Dutch) Medicines Evaluation Board (translation of CBG, NL)
MHRA: Medicines and Health related products Regulatory Agency (UK)
MPA: (LV) (Swedish) Medical Products Agency (Läkemedelverket)
々が,情報量が余りに少なすぎると
NIHR: National Institute of Health Research (UK)
感じ,医療専門家が患者の不安に充
NMA: Norwegian Medicines Agency (Statens legemiddelverk)
分に答えていないと感じていた.
NSAID: Non-steroidal anti-inflammatory drug
オランダの医薬品情報電話相談へ
PO: Patient Organisation
の副作用問い合わせと Lareb に送付
PSUR: Periodic Safety Update Report
した報告とを比較する別の研究も行
SOC: System/Organ/Class (in taxonomy of ADRs)
われており ,問い合わせ電話は若
SSRI :Selective serotonin reuptake inhibitor
年者に多く,向精神薬に関する問い
WHO-UMC: WHO-Uppsala Monitoring Centre
8)
合わせが多かった.その後の研究で
は,電話質問と Lareb が受け取った
した 10).彼らは,アモキシシリン
と見なすことには慎重であり,副作
副作用報告(いずれも 1994 年の同
またはスルファメトキサゾール・ト
用報告の検出感度は低かった.
一時期)とを比較する調査が行われ
リメトプリム治療中の患者を対象に
上記の研究が行われる以前にも,
たが ,両者の差は少なく,精神科
巧妙な実験を行い,片方の群には報
オランダでは電話による医薬品情報
的副作用や抗うつ剤使用に伴う副作
告用紙を配り,他の群には副作用を
提供のサービスが使われており,新
用に関しては,電話質問よりも薬剤
報告するように勧めた.その後に行
たに導入された抗うつ剤(パロキセ
師からの報告のほうが少なかった.
った電話インタビューの結果,患者
チン)の副作用がどれくらい速やか
どちらの論文も,報告の質に関して
たちによる事象報告は信頼性があり
に患者や医療専門家から報告される
は何も触れていない.
正しいことが証明された.報告され
かの調査に利用されていた 11).こ
た事象の大部分は患者の病気に関わ
の調査によると,パロキセチンによ
b) 患者報告は副作用の早期検出を
るものであり,全事象を報告するシ
るとみられる副作用の報告は,電話
もたらすか?
ステムではノイズの混入が予想され
サービスを用いたほうが,Lareb よ
ミッチェルらは,患者が副作用報
ることを示していた.しかし , 患者
りも報告の遅れが平均 229 日短か
告の情報源となりうるか否かを検討
は起きた出来事を治療のせいである
いことが分かった.患者用説明書に
9)
152
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(毎月 1 回 28 日発行)
記載されていない 9 つの副作用に
6. 患者は助言・介護の受動的な受
Ⅵ.政策提言
関しては,報告時間の遅れの平均差
け手ではなく,積極的な参加者
1) 患者・消費者からの報告を促す
が一層大きかった(273 日の差)
.
7. 報告することはヘルス・リテラ
患者報告システムの実施経験のあ
シーの表現であり,またこれに寄与
る人々は,どのようなテクニックが
c,d) 患者報告は,副作用に関して,
することである.それは学習体験で
この制度を最も有効に機能させるか
より明確で詳細な記述がなされてい
あり,内省や自己表現を促し,特に
を査定すべきであり,特に老年者や
るか?/患者報告は,副作用が患者
健康問題に関しては非公式だが重要
少数言語民族の人々による報告を促
の生活にどのような影響があるかを
な教育の一部である.
す仕組みについて注意を向けるべき
示しているか?
8. 患者・消費者の報告は,副作用
である.そのためには,患者と医療
患者に副作用報告を行うスペース
が個人にどのような負荷をおよぼし
専門家が互いに協力して ADR 報告
が与えられれば,限られたスペース
ているかを記述するが,これは健康
を準備できるよう促すにはどうすれ
の報告書に時間に追われながら記載
問題に関する主要因子であるにもか
ばよいかを探求し,しかも患者が報
している専門家より,患者のほうが
かわらず,住民全体の疾病負担を公
告の主役であることを保証し,患者
はるかに明確で詳細な副作用報告を
衆の健康という観点から査定すると
のもつ率直さを失わないようにする
行うであろうことは確かである.こ
きに見落とされている.これは患者
ことである.
のことは上記のメダワー&ヘルクス
報告の重要な利点である.政策立案
2) 患者から報告された情報と製薬
やフランスでの
者は数を基盤にした巨視的アプロー
会社の副作用データとの結合
パイロット研究 からも明らかであ
チには目をむけるが,人間的な側面
薬務当局および患者報告の分野で
る.
をとらえる微視的アプローチは無視
活動している組織は,自分たちが製
患者は また , 副作用が彼ら自身の
するからである.
薬企業とどのような相互活動(デー
ハイマーの論文
6)
3)
生活にどのような影響をおよぼし,
タの交換・分析等)を行っているか,
いまもその影響を受け続けているこ
c) 費用
最新情報を提供し,それが共同作業
とを躊躇なく話すが,専門家はその
1. 医 薬 品 安 全 性 監 視 シ ス テ ム は,
であろうが,多面的利害関係にあろ
ようなことはほとんど知らないし,
患者による直接的 ADR 報告が適切
うが,あらゆる企業との契約は,そ
また尋ねようともしない.
に取り扱われるよう,再構築する必
の結果を公表すべきである.
要がある.そのためには , より多く
3) 質の高いデータ分析とデータの
Ⅴ . 患者報告がもたらす利得と費用
のスタッフと新たなトレーニング,
互換性を確実にすること
a) 患者・消費者による直接報告が
そして時間を要することになろう.
ある種の定量的データは国を超え
医薬品安全性監視や医学にもたらす
患者からの報告を分析できるように
て横断的にプールし,データの互換
利益
なるには,医薬品安全性監視システ
性を念頭において将来のシステムを
1. 副作用に関する知識は,全人口
ムのスタッフは質的データを分析す
設計すべきである;患者・消費者組
の中の医療専門家だけの報告から得
ることを学ばなければならない.
織に対しては質的データ分析の任務
るよりも,患者・消費者からの報告
2. 医師・薬剤師・看護師・その他
を引き受けさせ,人々からの報告が
のほうが,
より速やかに蓄積される.
の医療専門家は , 患者や一般の人々
即座に応じられるようにシステム
2. 直接性:専門家のフィルターや
と共に,患者・介護者を教え,ま
への投資を図ることを促すべきであ
チェックを受けずに,副作用を体験
た彼らから学びつつ, 情報仲介者
る.欧州全体にわたる患者・消費者
した本人から直に届く.
としての自らの役割を磨き上げてゆ
組織は,各国間でメンバー同士のや
3. 報告は専門用語を用いないので,
く必要があるだろう.薬をどのよう
りとりを容易にする必要がある.
患者への情報として利用することが
に考え,どのように用いるかを人々
4) 消費者報告制度が確立していな
容易
に教えることは特に必要であり,た
い国々とのコミュニケーション
4. より詳しい情報が得られる.
とえば期待される薬の効能と起こり
この報告書ではカバーしていない
5. 患者の生活や,家族・介護者へ
得る害や不利とのバランスを考えな
国々のグループへも支援活動を整
の影響が明白
がら薬を使うこと指導する必要があ
え,次のような点に関して回答を求
る.
めるべきである.
b) 地域共同体にとっての利益 , 公衆
また彼らは , 患者・公衆と協調し,
a) 患者報告制度に代わる他のシス
の健康への利益 , 患者・専門家間の
より真剣に患者から学ぶという自ら
テムが存在するか?または計画中
関係改善
の役割を果たす必要がある.
か?
(毎月 1 回 28 日発行)
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b) 患者報告の仕事に参加する意欲,
重要な寄与をはたしたことを記す.
professionals ADR reports after media
およびどの程度に参加が可能か?
☆本論文のオリジナル(英語版)は下
attention: thebroadcast of a Dutch
5) 国および EU 当局とのコミュニ
記の URL からダウンロードできる.
ケーション
http://www.haiweb.org/14012010/
各国の提携組織に対しては,この
14Jan2010ReportDirectPatientReporti
報告書を活用してアドボカシー活動
ngofADRsFINAL.pdf
テムの意義を説き,これを試行・導
文献
入するように働きかけるよう促す必
3. Nasrallah-Irles D, Castot A, Thomas L,
全ての利害関係者に呼びかけ,患
Babai S, Delorme B, Le Louët H.
Signalement d évènements indésirables
par les patients: étude pilote réalisée
者・消費者報告について議論するた
avec lacollaboration des associations de
めの会議を招集すべきである.国
patients. Thérapie 2008; 63: 385-392
お よ び EU 当 局 と の 対 話 に お い て
は,患者・専門家のいずれにとって
も,医薬品安全性監視データの公開
(public access)が原則であることを
強調すべきである.
6) 適切な財政的・人的資源を割り
4. HAI Europe. Patients reporting of
adverse reactions:
Outcomes of a seminar organised by
Health Action International Europe, 26
May 2005.
Available at http://www.haiweb.org/
03_other_d.htm
5. Blenkinsopp A, Wilkie P, Wang M,
当てることで医薬品安全性監視活動
Routledge PA.
を支援すること
Patient reporting of suspected adverse
公衆の保健ニーズに適った積極的
な医薬品安全性監視の構造を構築す
るには,公的機関からの適切な資金
提供がなければならない.
謝辞
患者報告がそれぞれの国で今どの
ような状況にあるかを快く教えて下
さった全ての仲間に感謝するととも
に,彼らのコメントが本稿の完成に
and risks of statins as anexample. Br J
Clin Pharmacol 2009; 67 (5): 558-64
8. Egberts ACG, De Koning FHP, Meyboom
RHB, Leufkens HGM.
ADR Related Questions Received by
を展開し,自国政府に患者報告シス
要がある.欧州医薬品庁
(EMA)は
television programme about the benefits
drug reactions: a review of published
literature andinternational experience. Br
J Clin Pharmaco l 2006; 63 (2): 148‒156
6. Medawar C, Herxheimer A.
A comparison of adverse drug reaction
a Telephone Medicines Information
Service and ADRs
Received by a Spontaneous ADR
Reporting System: A Comparison
Regarding Patients andDrugs.
Pharmacoepidemiology and Drug Safety,
1997; 6: 269-276
9. van Grootheest K, van Puijenbroek EP,
de Jong-van den Berg LTW.
Do pharmacists reports of adverse drug
reactions reflect patients concerns?
Pharm World Sci 2004; 26: 155‒159
10. Mitchell AS, Henry DA, Sanson-Fisher
R, O Connell DL.
Patients as a direct source of
information on adverse drug reactions.
BMJ 1988; 297: 891-893
11. Egberts ACG, Smulders M, de Koning
FHP, Meyboom RHB, Leufkens HGM.
Can adverse drug reactions be detected
earlier? A comparison of reports by
reports from professionals and users,
patients andprofessionals. BMJ 1996;
relating to riskof dependence and
313: 530-1
suicidal behaviour with paroxetine. Int J
Risk & Safety in Medicine 2003/2004; 16:
3-17
7. Van Hunsel F, Passler A, Grootheest C.
Comparing patients and healthcare
使用後,ベタメタゾンまたはプラセ
早産の危険状態には:出産前のステロイド剤を1コースで
*Risk of preterm delivery: a single course of antenatal corticosteroids
**Prescrire International 2010;19(108):168-169
ボの注射を定期的に受けた 556 人
の小児の間でも,オウトカムに差
は認められなかった.しかしなが
ら,脳性麻痺が,出産前にステロイ
まとめ
死亡率や呼吸器障害の罹患率に統
ド剤の反復療法を受けた子からは 6
妊娠 34 週で早産の危険のある女
計学的に有意な差は認めなかった.
人(2.9%)生じたが,1コースだけ
性に,ベタメタゾンまたはデキサメ
14 日毎にステロイド療法を受けた
の場合は,1 人(0.5%)だけであった.
タゾンを 24 時間から 36 時間の1
群で,身長,体重,および頭囲が減
この結果は,出生前にステロイド
コースを使用することで,新生児の
少した.ベタメタゾンを1コース受
剤を反復使用することは,重篤な結
罹患率と死亡率を低下させる.
けた場合と,妊娠 32 週まで毎週受
果を生む可能性を示唆している.
1858 人の妊婦を対象に,ステロ
けた母親から生まれた新生児 1047
実地診療では,このような状況下
イド剤を1コースを受けるか,14
人の比較では,2 年間の結果に差は
でステロイド剤を1コースだけ使用
日毎に反復するかで比較したランダ
認められなかった.
するのが賢明であろう.
ム化比較試験で,生後 28 日以内の
同様に,ベタメタゾンを1クール
154
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(毎月 1 回 28 日発行)
出生前のステロイド剤
ランダムに割り付けされ,早産の危
される機会が増すので,この結果の
早産は新生児死亡の主要な原因で
険が持続する限り,2 週毎に,妊娠
解釈には注意が必要である.
ある.重大な合併症罹患のリスク増
33 週まで繰り返した.
加と関係している.早産の危険のあ
出生後 28 日間の重篤な罹患率と
他の試験では有益性がなく、神経系
る妊婦に対して,ベタメタゾンを
死亡率の合計発症率は,両群とも
害作用の可能性:第 2 の試験では,
24 時間間隔で 2 回,もしくは,デ
約 13% であった.しかし,反復群
米国で 556 人の子が出生後 3 年目
キサメタゾンを 12 時間間隔で 4 回
の母親から生まれた子の出生時体重
まで追跡調査された.母親全員がベ
筋肉注射する
(これを 1 コースとす
は,プラセボ群の小児より約 100 g
タ メ タ ゾ ン 12mg を(24 時 間 間 隔
る)と,新生児の死亡率や重大な合
少なかった(反復群 2216g 対プラセ
で)2 回受けた.その後早期に出産
併症罹患のリスクを減少する.ステ
ボ群 2330g;p=0.003).身長も低く
しなかった母親がプラセボまたはベ
ロイド療法の目的は,胎児の肺の成
(44.5cm 対 45.4cm)、 頭 囲 も 小 さ
熟を促進させることである.ステロ
かった
(31.1cm 対 31.7cm)( い ず
妊娠 23 週から 32 週まで毎週 1 回
イド剤を用いてから 7 日以内に分
れも p < 0.001).
の注射が続けられた 6).
娩した場合に最大の治療効果が得ら
2010 年 2 月 現 在 で は, 生 後 28
生後3年間に,出生時生存者の
日間の結果だけしか判明していな
87% が身体検査を受け,84% が精
かった.追跡調査は 2012 年まで 5
神運動系のテストを受けた.身体計
年間追跡される予定である(註 a)
.
測データや,神経学的基準(運動能,
1)
れる .
問題は、ステロイド剤使用後,早
期に
(7 日以内に)分娩しなかったが,
タメタゾン群にランダムに割付られ,
認知能の発達スコア),もしくは医
なお早産の危険のある場合に,ステ
2∼ 3 年間追跡した 2 件の結果
療サービスの利用の頻度を,母親と,
ロイド剤を反復使用することで利益
ステロイド剤の毎週療法と,1
かかりつけの医師からの情報に基づ
があるかどうかである.
クール療法とを,3 年目まで追跡し
いて判断したところ,統計学的な差
て比較した 2 件のランダム化比較
は有意でなかった.
2008 年に,反復使用の短期的利
試験がある.呼吸障害の合併が,出
しかしながら,脳性麻痺と診断
点を指摘した報告があったが,長期
生の直後の短期間だけ,反復療法が,
された子は,1コース群では1人
7,8)
のアウトカムに関するデータは不足
やや利点があった
.しかしなが
(0.5%)であったが,ステロイド剤
していたし,神経系の害作用の可能
ら,1 件の試験では,10 パーセン
反復群では 6 人(2.9%)いた。差は
タイル以下の低出生体重時の頻度が
統計的に有意でなかった(p=0.12)
性に関して懸念が示されていた
1,2)
.
8)
反復群で高かった .
2008 年以降,ステロイド剤の1
が,ステロイド剤の反復使用が有害
である可能性を示唆している.脳
コース療法と 14 日毎の反復療法を
反復注射の利点はない:2 件の試験
性麻痺の 6 人の小児のうちの 5 人
比較した大規模ランダム化比較試験
のうちの 1 件では,1047 人の子(生
は 4 コース以上受けており,5 人は,
3)
が実施された .1コース療法と毎
存児の 96%)が,平均して 2 歳まで
経大泉門超音波断層検査で 34 週目
週療法で,2 年間と 3 年間のアウト
追跡調査された.母親らは,ベタメ
までは ( 脳の状態は ) 正常との診断
カムを比較した2つのランダム化比
タゾンの単回療法か,もしくは妊娠
を得たうえで出産していた 6).
較試験の結果も報告された 4-6).
32 週まで毎週反復療法を受けてい
た(註 b)5).
実地診療では:1コースで十分
14 日毎の反復療法は利益なし
2 歳 時 に お け る 計 測 所 見, 神 経
胎児肺の成熟を加速することを目
妊娠 25 ∼ 32 週で早産の危険の
学的所見(神経系・感覚系の後遺症、
的としてステロイド剤を反復使用す
あった 1858 人の女性を対象とし,
認知能の発達スコア),医学的基準
る療法が,1コースより優れている
プラセボ対照ランダム化比較試験が
(呼吸合併症罹患率,医療サービス
との証拠はない.出生時の身体計測
実施され,反復ステロイド療法の効
の利用率)などのアウトカムに関し
値が劣ること,幼児期の神経系の状
果が比較された.ベタメタゾンの最
ては類似していた.
態にも悪影響を及ぼす懸念がある.
初の1クールは全員が受けた.その
検査による得点で評価した 注
したがって,このような状況下では,
後すぐに
(1週間以内に)分娩しな
意力欠陥 の頻度が,反復療法の子
ステロイド剤を1コースだけ使用す
かった場合には,ベタメタゾンまた
で高かった(6.0% 対 3.2%;p=0.04).
るのが賢明であるとのこれまでの考
はプラセボを 24 時間間隔で1回ず
しかしながら,多数の項目について
え方を続けてよい.
つ,合計2回筋肉注射を受ける群に
群間比較すると,偶然に関連が検出
(毎月 1 回 28 日発行)
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
註 a: 試 験 は, 様 々 な 乳 児 死 亡 率
と同じであることから,害がある点
を示す地域
(ヨーロッパ、アメリカ,
に関しては疑いない事実と言えよ
中国およびイスラエル)を含んで行
う)
.
155
courses of antenatal corticosteroids
Lancet 2008; 372: 2094-5.
5) Crowther CA et al. Outcomes at 2 years
of age after repeat doses of antenatal
われた
(文献 3)
.
corticosteroids N Engl J Med 2007; 357
代表的な参考文献
註 b:この試験の規模は大きいが,
ベタメタゾンの使用方法が有効とさ
れている用量を用いた他の試験と異
なるため本研究の影響力は小さい:
大部分のプロトコルでは 12mg を
24 時間間隔で2回
(文献 1,5)だが,
(12): 1179-89.
1) P r e s c r i r e R é d a c t i o n
Menace de
6) Wapner RJ et al. Long term outcomes
prématurité: une cure de corticoïde Rev
after repeat doses of antenatal
Prescrire 2002; 22 (227): 297-8.
corticosteroids N Engl J Med 2007; 357
2) Prescrire Rédaction Corticothérapie
précoce des prématurés: des séquelles
neurologiques Rev Prescrire 2007; 27
distress syndrome after repeat
exposure to antenatal corticosteroids:
(280): 109-10.
この試験ではベタメタゾン 11.4mg
3) Murphy KE et al. Multiple courses of
を1回だけ使用している
(訳者註:
antenatal corticosteroids for preterm
しかしながら,反復使用で単回より
害が大きい可能性が認められ,その
害の方向性は,他の同様の臨床試験
(12): 1190-8.
7) Crowther CA et al. Neonatal respiratory
birth (MACS): a randomised controlled
a randomised controlled trial Lancet
2006; 367: 1913-9.
8) Wapner RJ et al. Single versus weekly
courses of antenatal corticosteroids:
trial Lancet 2008; 372: 2143-51 .
4) Newnham JP and Simmer K Multiple
高齢認知症患者と抗精神病薬:超過死亡
evaluation of safety and efficacy Am J
Obstet Gynecol 2006; 195: 633-42.
抗精神病薬;26%)を服用していた
5,6)
.その他の患者はクロルプロマジ
* Elderly dementia patients and neuroleptics: excess mortality
ンまたはトリフロペラジン(どちら
** Prescrire International 2010; 19(109): 210-211
も従来タイプの抗精神病薬)を服用
していた 5).
抗精神病薬
(neuroleptics;神経遮
文献検索では,1 件のランダム化比
これらの患者をランダムに振り分
断薬とも呼ばれる)は攻撃性や興奮
較試験
(RCT)と 2 件のメタアナリシ
け,1 群にはそれまでと同じ抗精神
などの,痴呆と関連した高齢者の行
ス,および数件のコホート研究が見
病薬の服用をできるだけ用量も変
動障害の治療に用いられる.しかし
つかった.
えずに 12 カ月間続けさせ (83 人 ),
ながら,このような状況における神
他の群にはプラセボを服用させた
経遮断薬は有効性に乏しく,さまざ
Ⅰ.非定型抗精神病薬:超過死亡を
(82 人 )5,6).
まな副作用を引き起こし,鎮静・錐
示す明らかな証拠
抗精神病薬を継続服用させた群の
体外路障害・筋損傷・血圧低下・体
以下は RCT と 2 件のメタアナリ
12 カ月後の生存率は 70.3%,プラ
温調節の変化・痙攣・アトロピン様
シスの結果を検討したものだが,コ
セボ群のそれは 76.6% であり,24
症状・QT 延長・重大な不整脈など
ホート研究よりは信頼性の高いもの
カ 月 後 の 生 存 率 は そ れ ぞ れ 46%
が出現する 1-3).神経遮断薬はまた,
である 5-8).
vs 71%,36 カ月後は 30% vs 59%,
錯 乱 ・ 痴 呆 の 悪 化, 認 知 機 能 の 低
a) プラセボとのランダム化比較試
42 カ月後は 26% vs 53% であった.
下・転倒や失禁のリスクを増し,運
験:抗精神病薬の中止は死亡率を低
これらの差はいずれも統計学的に有
動機能を低下させる .
下させた
意であった.
2005 年, ア メ リ カ の FDA は 認
全死亡率に対する抗精神病薬の影
死因は特定されなかったが,抗精
知症を伴う高齢者への非定型抗精神
響を検討するようにデザインしたプ
神病薬の中止は明らかに全死亡率を
病薬
(オランザピン,リスペリドン,
ラセボとの RCT が英国の研究者た
減少させた.
3)
5)
クエチアピン,アリピプラゾール)
ちによって行われた .
b)15 件の臨床試験のメタアナリシ
の使用に対する警告を発した
(註 a)
最低でも 3 カ月以上抗精神病薬
ス:結果は FDA のそれと一致
4)
.約 10 週におよぶ 17 件の臨床試
による治療をうけたアルツハイマー
FDA のメタアナリシスとは異な
験を分析した結果,非定型抗精神病
病の老年患者(68 100 才;平均年
り,高齢認知症患者を対象に行わ
5,6)
.
薬投与患者では,プラセボ投与患者
齢 85 才)165 人が登録された
に比して,絶対値で 1 ∼ 2% 死亡率
ランダム振り分けを行う以前は,大
件のプラセボ対照 RCT が検討され
が高かった.
部分の患者がリスペリドン(61%)ま
た 7).これらの RCT はメドライン・
プレスクリル誌の 2005 年以降の
たはハロペリドール(従来タイプの
データベース,コクラン・ネット
れた非定型抗精神病薬に関する 15
156
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
(毎月 1 回 28 日発行)
ワーク登録治験会議および製薬会
タイプの抗精神病薬とを比較した
精神病薬以外の向精神薬を使用して
社のデータから検索したものである.
RCT を見つけることはできなかった.
いた患者では 14.5% だった.
うち 9 件は未発表の RCT であった.
しかし,コホート研究は,2005
従来タイプの抗精神病薬を使用し
その大部分は 10 ∼ 12 週の研究
年以降に 10 件あることが分かった
ていた患者と非定型抗精神病薬を使
であり,患者の平均年齢は 76.6 ∼
10-19)
.これらの研究の多くは非定型
用していた患者との間には,有意差
84 才であった.用いられた抗精神
的抗精神病薬および従来タイプの
はなかったが,前者のほうが後者よ
病薬はアリピプラゾール
(3 件)
,オ
抗精神病薬の使用に伴う死亡率を比
りも認知症の罹患歴は長かった.
ランザピン
(5 件)
,クエチアピン
(3
較するためにデザインしたものだが,
死因に関しては,各治療群間に統
件)
,リスペリドン
(5 件)
であった.
一部は抗精神病薬を使用していない
計的有意差はなかった.
全部で 3,353 人が抗精神病薬を,
患者との比較も行われている.研究
b) 高齢認知症患者を対象としたカ
1,757 人がプラセボを投与された.
の規模はいろいろで,結果もまちま
ナダのコホート研究 2 件
死者は抗精神病薬群のほうが,プ
ちである.
カナダの4つの医学データベース
ラセボ群よりも約 1.5 倍多く
(3.5%
すべての観察的研究は各グループ
をもとに,66 才以上の認知症患者
vs 2.3%),その差は統計学的に有意
間で併存疾患に違いがあるため,バ
を対象として,その死亡率を調べる
であった
(相対リスク:1.54,95%
イアスが入りやすい.研究の著者ら
レトロスペクティブ・コホート研究
信頼区間:1.06-2.23)
.
は統計的な調整を行うことでこのバ
が行われた(註 c)11).
c) リスペリドンに焦点を絞った,よ
イアスを最小にしようとしているが,
研究は 27,259 組のマッチド・ペ
り小規模なメタアナリシス
そのデータが必ずしも常に公表され
アを対象に行われた.最初に抗精神
では高齢
るわけではない.これらの研究のう
病薬を処方されてから 30 日後の死
認知症患者に対する 6 件のリスペ
ちデザインの類似した3つは対象患
亡率は,非定型抗精神病薬を使用し
別のメタアナリシス
8)
10-12)
リドン対プラセボ RCT が分析され
者数も多く,検討に値する
.
たが,これらの6試験はいずれも
a) 高齢認知症患者を対象としたア
統計学的に有意に高く,長期の介
2005 年に行われた FDA のメタアナ
メリカのコホート研究
護施設入所者でも(オッズ比:1.31,
リシスに含まれているものだった.
2001 ∼ 2005 年の間に,退役軍
95% 信 頼 区 間:1.02-1.70), あ る
リスペリドン群 1,009 人とプラ
人局のデータに基づいて認知症と
いは外来患者でも(オッズ比:1.55,
セボ群 712 人の全死亡率が比較さ
診断され,向精神薬治療を開始し
95% 信 頼 区 間:1.15-2.07), い ず
れた.
た 65 才以上の患者 10,615 人から
れにしても高かった.死亡率はまた
治療中,あるいは投薬中止後 30
なるコホートがレトロスペクティブ
60 日後,120 日後,180 日後でも
10)
ている患者のほうが他の患者よりも
日時点での全死亡率は,リスペリド
に作成された(註 b)
ン群で 4% であったのに対し,プラ
薬を処方された患者の 12 カ月後の
従来タイプの抗精神病薬と非定型
セボ群では 3.1% であった
(統計学
死亡率を,抗精神病薬以外の向精神
抗精神病薬とを比較すると,30 日
的には有意差なし)
.心血管死が特
薬を処方された患者の死亡率と比較
後の死亡率は前者のほうが後者より
に問題であり,リスペリドン群で
した.治療は,従来タイプの抗精神
も統計学的に有意に高かった(長期
17 人
(心停止または心不全,および
病薬を使用したのが 353 例,非定
介護施設ではオッズ比:1.55,95%
脳血管障害)であったのに対し,プ
型抗精神病薬を使用したのが 3,999
信頼区間:1.19-2.02,外来患者で
ラセボ群では僅か 1 人
(脳血管障害)
例,両方とも使用したのが 182 例
はオッズ比:1.26,95% 信頼区間:
だけだった
(p < 0.005)
.
である.6,081 人は抗うつ薬,抗て
1.04-1.53).この場合も,死亡率の
んかん薬,抗不安薬または睡眠薬を
増加は 30 日以降も存続した.
として認可されているのは,攻撃性
使用した患者である.
ブリティッシュ・コロンビアの
の著しいアルツハイマー病患者に対
抗精神病薬を使用していた患者で
医学データベースに基づいた別の
する短期的治療
(最大 6 週間まで)
は死亡率が統計学的に有意に増加し
コホート研究でも,1996 ∼ 2004
ていることが分かった.すなわち,
年に最初の抗精神病薬を処方され
非定型抗精神病薬を使用していた患
た 65 才以上の認知症患者 4,334 人
Ⅱ.従来タイプの抗精神病薬:コ
者の死亡率は 23%,従来タイプの
を対象に検討が行われた 12).1,247
ホート研究では超過死亡が
抗精神病薬を使用していた患者では
人 は 従 来 タ イ プ の 抗 精 神 病 薬 を,
今回の検索では,高齢認知症患者
25%,両タイプの抗精神病薬を使用
3,087 人は非定型抗精神病薬を使用
に対する非定型抗精神病薬と従来
していた患者では 29% であり,抗
した患者だった(註 d,e).従来タイ
フランスで,リスペリドンの適応
9)
だけである .
.抗精神病
高かった.
(毎月 1 回 28 日発行)
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
157
プの抗精神病薬を使用した患者では,
優れているとのがうたい文句だっ
定型抗精神病薬を服用している患
非定型抗精神病薬を使用した患者よ
た.しかし,その効果も忍容性も
者 は, 抗 精 神 病 薬 を 使 っ て い な
りも,180 日後に統計学的に有意の
期待はずれであることが分かった
い患者に比してリスクが約2倍で
死亡率増加がみられた
(オッズ比:
(文献 22).
あった.
1.26,
95% 信頼区間:1.01-1.56)( 註
註 b:この論文の著者たちは利益
f).
相反はないと宣言したが,抗精神
文献
要約すると,従来タイプの抗精神
病薬の中止に関する英国の臨床試
1)Prescrire Redaction Rev Prescrire 2009;
病薬では超過死亡が示唆されたが,
験の著者やメタアナリシスの著者
29(314 suppl. interactions medicamen-
そのリスクが非定型抗精神病薬と異
らは,抗精神病薬を市販している
なるかどうかについては不明である.
さまざまな製薬会社との関係が
あ っ た こ と を 申 告 し て い る( 文 献
teuses)
2)Prescrire Editorial Staff Prescrire Int.
2002; 11(61):146
3)Prescrire Redaction Rev Prescrire 2009;
29(314 suppl. interactions medicamen-
Ⅲ.実地臨床上:高齢の認知症患者
7,8,10).
にはできるだけ抗精神病薬の使用を
註 c:非定型抗精神病薬としては,
避けること
オランザピン,クエチアピン,リ
これらの研究は,従来タイプの抗
スペリドンが含まれる.従来タイ
精神病薬も非定型抗精神病薬も,ど
プの抗精神病薬としては,クロル
6)Ballard C et al. Plos Med 2008;5(4):587
ちらを使用しても高齢認知症患者の
プロマジン,フルペンチクソール,
7)S c h n e i d e r L S e t a l . J A M A 2 0 0 5 ;
死亡リスクが増大することを示して
ハロペリドール,ロキサピン,ピ
20)
.さらにまた,プラセボと
モジド,チオリダジン,フルフェ
の比較試験では,これらの抗精神病
ナジン,パーフェナジン,ペリシ
薬を中止することで死亡率が低下す
アジン,トリフロペラジンが含ま
いる
ることが示された.したがって,可
れる(文献 11).
能ならば,これらの薬の使用は避け
註 d:非定型抗精神病薬は,リス
て行動療法に努めることが望ましい
ペリドン(大部分の例で),クエチ
21)
. とは言え,ある種の困難な状
アピン,オランザピン,クロザピ
況下では,最小有効量を使用し,患
ンであった.従来タイプの抗精神
者への利益があるかどうかを定期的
病薬はロキサピン(大部分の例で),
にチェックしながら使えば,抗精神
ハロペリドール,クロルプロマジ
病薬による治療も許容される.
ン,チオリダジン,ピモジド,パー
フェナジン,フルフェナジン,メ
註 a:「従来タイプの抗精神病薬(神
ソ リ ダ ジ ン, ト リ フ ロ ペ ラ ジ ン,
経遮断薬)」として知られる最初の
プロマジン,チオチキセンであっ
抗精神病薬2種類(クロルプロマジ
た(文献 12).
ンとハロペリドール)が発見された
註 e:このコホート研究には 65 才
のは 1950 年代のことであった.従
以 上 の 患 者 37,241 人 が 含 ま れ て
来タイプの向精神薬は次のような
お り, そ の 中 で 12,882 人 は 従 来
特性で定義づけられる:精神運動
タイプの抗精神病薬を,24,359 人
性無関心,興奮の鎮静,急性・慢
は非定型抗精神病薬を使用してい
性の精神異常,錐体外路症状,自
た.認知症患者はネステッド・サ
律神経症状,主として皮質下性の
ブグループ分析に含まれていた(文
作用を特徴とし,随伴する副作用
献 12).
もこれで説明できる.1990 年代に
註 f:Medicaid のデータに基づくコ
入って非定型抗精神病薬(クロザピ
ホート研究では,30 ∼ 74 才の患
ン,リスペリドン,オランザピン等)
者 300,000 人(認知症は伴う者も伴
が市場に導入された.これらの薬
わない者もいた)における突然死の
は従来タイプの抗精神病薬と同等
頻度の比較が行われた(文献 23).
の効果があるけれども,忍容性が
従来タイプの抗精神病薬または非
teuses)
4)Prescrire Editorial Staff Prescrire Int.
2005; 14(80):225
5)Ballard C et al. Lancet Neurol. 2009;
8(2):151
294(15):1934
8)Haupt M et al. J Clin Psychopharmacol.
2006;26(6):566
9)Prescrire Editorial Staff Prescrire Int.
2009; 18(104):248
10)K a l e s H C e t a l . A m J P s y c h i a t r y
2007;164(10):1568
11)Gill SS et al. Ann Intern Med 2007;
146:775
12)Schneeweiss S et al. CMAJ 2007;
176(5):627 + (11):1613
13)Raivio MM et al. Am J Geriatr Psychiatry
2007;15(5):416
14)Trifiro G et al. Pharmacoepidemiol Drug
Saf 2007; 16:538
15)Suh GH and Shah A Int Psychogeriatr
2005; 17(3):429
16)Barak Y et al. Am J Geriatr Psychiatry
2007; 15:354
17)Wang PS et al. N Engl J Med 2005;
353(22):2335
18)Hollis J et al. Aust N Z J Psychiatry 2007;
41(9):751
19)Hollis J et al. Aust N Z J Psychiatry
2006:40(11-12)981
20)Benerjee S «The use of antipsychotic
medication for people with dementia:
Time for action» A report for the
Minister of State for Care Services
October 2009: 62 pages
21)Prescrire Editorial Staff Prescrire Int.
2007; 16(92):258
22)Prescrire Editorial Staff Prescrire Int.
2005; 14(79):163
23)R a y e t a l . N E n g l J M e d 2 0 0 9 ;
360(3):225
158
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
(毎月 1 回 28 日発行)
症状で入院し , 皮膚筋炎に伴う間質
よる自己免疫性肝炎
性肺炎と診断され , シクロスポリン
第 1 例 .37 才男性が , 乾癬に対し
150mg/day とプレドニゾロンの併
てインフリキシマブ 5mg/kg の治療
用療法を開始したが ,5 日後 , 肝機能
を開始 ,3 回目の注射の 6 週間後に ,
アミオダロン ( アンカロン ) による
異常が出現した .ALP 390 U/L,AST
倦怠感・腹痛・手首の関節炎を来
肺臓炎
207,ALT 239 で , シクロスポリンに
した . 抗核抗体 (ANA)・ds-DNA・抗
冠動脈疾患・高血圧症・高血圧性
よる肝障害を示唆した . シクロスポ
平滑筋抗体が陽性であった . さらに
心臓病・心房粗動などの既往を有す
リンを 25mg づつ減量し , タクロリ
AST・ALT の上昇を示したが , 胆汁
る 65 才男性がアミオダロン投与を
ムスを血中濃度のモニタリングをし
うっ滞を伴わなかった . インフリキ
受けていたが , 増強する息切れで来
つつ , 徐々に増量した . シクロスポ
シマブを中止し ,2 週間以内に肝機
院した . 軽度の白血球増多を示し ,
リンの減量につれて , 肝酵素レベル
能は正常化 , 症状も消失して , 自己
胸部 X-p 上 , 右中下肺野優位の非対
は正常化し , 状態は安定し , プレド
免疫性肝炎と診断された . 第 2 例 . 飲
称性の網状陰影が認められた . 胸部
ニゾロンとタクロリムスを処方して
酒歴を有する 51 才男性が , 乾癬に
CT スキャンでは , 気管支壁と小葉
退院した .
対してインフリキシマブによる治療
隔壁の肥厚を示し , スリガラス様陰
塗香 子 ほ か日 本 呼 吸 器 学 会 雑 誌
を開始 ,3 回目の注射の 1 カ月後に ,
影と , 末梢に硬結を認めた . 薬剤惹
48:444,2010
倦怠感を来した .AST・ALT の上昇
起性肺傷害と診断され , アミオダロ
を認め , 軽度の黄疸を伴った .ANA・
ンを中止してコルチコステロイドの
ゲムシタビン ( ジェムザール ) によ
ds-DNA 抗体・抗ミトコンドリア抗
投与を行った .6 カ月後の follow-up
る致死的溶血性尿毒症症候群 (HUS)
体・抗カルジオリピン抗体が陽性で
で , 当初見られた胸部 X-p の所見は
70 才男性が , 肉腫様変化を伴う
あった . 肝生検の所見は , 原発性胆
完全に消失していた .
尿路上皮癌の転移に対して ,4 サイ
汁性肝硬変を示し , 自己免疫性肝炎
Bley TA et al.JBR-BTR 93:118,2010
クルの , カルボプラチンとゲムシタ
と原発性胆汁性肝硬変のアルコール
ビ ン 1000mg/m2 に よ る 化 学 療 法
による増悪と診断された . アザチオ
アミオダロン ( アンカロン )/ レボフ
を開始した .2 カ月経って , 右下肢
プリン・コルチコステロイド・ウル
ロキサシン ( クラビット ) 併用時に
に深部静脈血栓症を来して ,6 カ月
ソデオキシコール酸により症状は改
見られた QT 間隔の延長
間 , 抗凝固療法を受けた .1 年後 , 肋
善し , 肝機能も改善した .
虚血性の心筋症と心室頻拍の既往
骨と腰椎に骨転移を認め , カルボプ
Goujon C et al.J.Amer.Acad.of Dermatology
を有する 73 才男性が , アミオダロ
ラチンとゲムシタビンによる化学療
63:e43,2010
ンとカルベジロールを服用していた
法を再開したところ ,2 週目の治療
が , 激しい呼吸困難と意識レベルの
が終わって 4 日後 , 発熱を来して来
アジスロマイシン ( ジスロマック )
低下で来院した . 気管挿管を行い ,IV
院 , 好中球減少を認め , ピペラシリ
による肝障害
レボフロキサシンおよびコルチコス
ン / タ ゾ バ ク タ ム お よ び G-CSF を
高血圧症・慢性閉塞性肺疾患の
テロイド投与を行った . 入院 48 時
含む支持療法を行い , 解熱して好中
既往を有する 69 才女性が救急部を
間後 , 心電図で著明な QT 間隔延長
球も増加したが ,3 日後 , 全身の紫
受診し , 気管支炎の診断で入院 , 最
と陰性 T 波を認め , 数分後 ,Torsade
斑と乏尿を来し , 進行する血小板数
初 , ア ジ ス ロ マ イ シ ン 1000mg の
de Pointes のエピソードを認めて ,
と Hb の減少・BUN・クレアチニン
内服治療を開始し , アジスロマイ
硫酸マグネシウム投与を行った . レ
の上昇を示した . 肉眼的血尿が出現
シ ン 500mg/day の 処 方 で 退 院 し
ボフロキサシン惹起性の QT 間隔延
し , 貧血・腎不全・血小板減少が増
た .4 日後 , 救急部を再受診 , 呼吸困
長と診断 , レボフロキサシンを中止
悪し , 末梢血の塗沫染色標本で , 多
難・ 食 思 不 振・ 嘔 吐・ 下 痢・尿量
し , アミオダロンを 24 時間 , 休薬
数の破砕赤血球が見られた .HUS が
減少・黄疸・掻痒感などが見られ
して抜管した .
疑われ , コルチコステロイド投与と
た .AST 2001 U/L,ALT 1065,T.Bil
Zeineh NS et al.Amer.J.Med .123:707,2010
プラスマフェレシスを開始したが ,
2mg/dl,D.Bil 0.9mg/dl であった . ア
尿毒症性脳症を来して死亡した .
ジスロマイシンを中止してレボフロ
シクロスポリン ( サンディミュン )
Moya-Horno I et al.Clinical and Translational
キサシンに変更 , ウイルス性肝炎・
による肝障害
Oncology 12:381,2010
代謝疾患・自己免疫性肝炎は否定さ
67 才女性が , ヘリオトロープ疹・
筋力低下・CPK 上昇など皮膚筋炎の
れた . 入院後に呼吸停止を来し , 蘇
インフリキシマブ ( レミケード ) に
生したが , 心筋症と診断された . 呼
(毎月 1 回 28 日発行)
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
159
吸不全の後 ,ALT が 4068 U/L に上
られた . 腎不全と代謝性アシドーシ
よる肺傷害が疑われて , 高用量のス
昇 , アジスロマイシン開始 9 日後
スも見られ , 急性進行性糸球体腎炎
テロイドを開始 , コトリモキサゾー
に ,AST・ALT は下がり始めて , 入院
を示したが , 腎生検は行なわなかっ
ル・セフェピム・ガンシクロビンも
11 日後に退院した .5 カ月後 , 肝酵
た . エルロチニブを中止して透析治
処方に加えた . 呼吸困難が消失し解
素・ビリルビンレベルは正常であっ
療を受けたが , 無尿は続き , その 1
熱して , 入院 21 日目に退院した . 症
た.
カ月後に肺炎で死亡した . 剖検では ,
状が発症して 1 カ月後の胸部 CT で ,
Lockwood AM et al.Amer.J.of Health-System
半月体形成性糸球体腎炎が認められ
肺浸潤影は完全に消失していた .
Pharmacy 67:810,2010
た.
Antolin S et al.Clinical and Translational
Kurita N et al.NDT Plus 2:512,2009
Oncology 12:450,2010
内注入による無菌性髄膜炎
エトポシド ( ラステット ) による致
スルファサラジン ( アザルフィジ
34 才 女 性 が , ペ ン タ ゾ シ ン IM
死的急性骨髄性白血病
ン ) による肺傷害
とブピバカイン 10mg の腰椎麻酔
25 才 男 性 が ,4 年 前 に 精 巣 セ ミ
第 1 例 . クローン氏病・気管支拡
下に , 帝王切開を行なった .2 時間
ノーマおよび embryonal carcinoma
張症などを有する 45 才女性が , ス
後 , 悪寒を訴え , 腹痛と頭痛を来し
と診断され ,4 コースの , エトポシ
ルファサラジンを開始した .4 週間
た . ペンタゾシンにより腹痛は改善
ド・シスプラチン・ブレオマイシ
経って , 乾性咳嗽・息切れ・低 O2
したが , 患者は嗜眠状となり ,30 分
ンを含む全身化学療法を受けた . 血
血症で来院 ,HRCT で , 急性過敏性肺
後に , 体温上昇 (39.1° C) と激しい
小 板 減 少・ 貧 血 を 来 し て 入 院 ,Hb
炎を示唆した .O2 吸入と広範囲スペ
ブピバカイン ( マーカイン ) の髄腔
頭痛を来して入院した .GCS スコア
3
8.3g/dl,WBC 17,600/mm , 血 小 板
3
クトラム抗菌剤投与を行ったが , 状
は入院時 ,E4V2M4 であった . 項部
数 1.0 万 /mm で , 骨 髄 穿 刺 で は ,
態は悪化し , スルファサラジンを中
硬直を認め , ケルニッヒ徴候陽性で ,
赤芽球系 14.4%, 顆粒球系 21% で ,
止してメチルプレドニゾロン投与を
下肢の深部腱反射は軽度亢進してい
芽球が 49.2% を占める過形成骨髄
行って , 数日後 , 臨床的に改善を認
た .LDH・ALP の 上 昇 ,WBC の 増 加
で , 制癌剤による二次性骨髄性白血
めた . 第 2 例 . 関節リウマチを有す
を認め , 髄液の蛋白量と細胞数の増
病と診断された . シタラビン・ダウ
る 35 才女性が , スルファサラジン
加が認められた . 脳 MRI の所見は正
ノマイシンによる導入療法を開始し
を開始して 10 日後に , 乾性咳嗽・
常であり , 薬剤 ( おそらくブピバカ
て完全寛解が得られたが ,2 カ月後
発熱および息切れで来院した . スル
イン ) による無菌性髄膜炎に矛盾し
に再発が見られた . ミトキサントロ
ファサラジンを中止して症状は消失
なかった . 解熱し , 頭痛も 3 日後ま
ンと高用量のシタラビンにより ,2
したが ,1 週間後 , スルファサラジ
でに消失し , 髄液異常も改善 ,10 日
回目の導入療法を行ったが効果な
ンを再開して 4 日後に同様の症状
後に退院した . その後 ,2 カ月の間 ,
く , 進行して半年後に死亡した .
を来し , 息切れが増強した .HRCT ス
異常を認めない .
Yamamoto K et al.C a n c e r G e n e t i c s &
キャンで , 急性間質性肺炎を示唆し
Tateno F et al.J. Neurology 257:1327,2010
Cytogenetics 201:122,2010
た . 直ちにスルファサラジンを中止
したが , 改善が緩徐で , 短期間のコ
エルロチニブ ( タルセバ ) による半
ゲムシタビン ( ジェムザール ) によ
ルチコステロイド投与により , 急速
月体形成性糸球体腎炎と急性腎不全
る肺傷害
に回復した .
72 才男性が , 進行性の非小細胞
58 才女性が , 進行乳癌に対して
Karmakar GC et al.New Zealand Med.
肺癌に対してエルロチニブ 150mg/
ゲムシタビン・パクリタキセル・
J.123:13 Aug.2010
day の投与を受けた . エルロチニブ
ドキソルビシンによる化学療法を 6
開始時 , 軽度の蛋白尿を認め , 血清
サイクル終了した .6 サイクル目が
ボリコナゾール ( ブイフェンド ) に
ク レ ア チ ニ ン は 1.0mg/dl で あ っ
終了して 2 週間後 , 増強する呼吸困
よる皮膚扁平上皮癌
た . 治療の途中で , 顕微鏡的血尿と
難・乾性咳嗽・発熱で入院した . 頻
4 人の免疫不全状態の患者が , ア
尿蛋白 (2+) が検出された .1 カ月後 ,
脈を認め , 左下肺にクラックルを聴
スペルギルスの集落形成に対する
尿蛋白は 6+ となり , クレアチニン
取し , 血液ガス分析では急性呼吸不
ボリコナゾール治療の途中で , 皮膚
は 1.6mg/dl に上昇した .3 カ月後に
全を示した . 感染を疑い , レボフロ
扁平上皮癌を発症した . 第 1 例 .40
は急性腎不全で入院 , 下痢・重篤な
キサシンを処方したが , 状態は改善
才男性が , ボリコナゾール治療を開
脱水症および食思不振を認め , 尿蛋
せず , 胸部 CT スキャンで両肺にス
始して 8 カ月後に , 日光過敏症に関
白 (3+)・顕微鏡的血尿・乏尿が見
リガラス様陰影を示した . 制癌剤に
連した皮膚病変を来した .2 年経っ
160
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
7.27,HCO 3 - 1.2mmol/L, 乳
(毎月 1 回 28 日発行)
酸
ペグインターフェロンα -2a によっ
に増大する皮膚腫瘤が出現し , 生検
121mg/dl, 血 小 板 数 8.4 万 /mm
3
て惹き起こされた重篤な血小板減少
で扁平上皮癌を認めた . 免疫抑制
であった .50 日間のリネゾリド治
症が疑われた . ペグインターフェロ
剤を減量して , 癌の切除を行なった
療 の 後 , 右 悸 肋 部 痛・ 上 腹 部 痛・
ンα -2a を中止し , プレドニゾロン
が , 翌月 , 新たな日射性角化症と扁
無力症・掻痒感・悪心・嘔吐で来
を開始して , 着実に血小板数は増加
平上皮癌が出現した . ボリコナゾー
院 , 黄疸と進行する脳症を認め ,ALT
し た .3 週 間 後 に は 10 万 /mm3 に
ル を 中 止 し て ,posaconazole# 投 与
113,AST 97,ALP 2486, γ GTP
まで増加して退院 , プレドニゾロン
を行ったところ , 日光過敏症と日
559,T.Bil 12.1mg/dl で ,ICU に 入 院
を漸減した .
射性角化症は殆んど消失した . 第 2
した . 急性肝不全と乳酸アシドーシ
K a t o H e t a l .I n t e r n a l M e d i c i n e
例 .41 才女性がボリコナゾールに
スと診断され , リネゾリド・メロペ
49:1741,2010
よる治療を開始し , 翌年 , 顔面・前
ネム・TPN を中止し , 乳酸アシドー
腕・手背部など露出部に色素性病変
シスに対して透析を受けた . 肝生
アミオダロン ( アンカロン ) による
と角化症が出現した .1 年後 , 皮膚
検の所見は , 中毒性肝実質障害に合
急性膵炎
生検で扁平上皮癌が認められた . 病
致した . 乳酸アシドーシスは数日で
89 才 女 性 が , 心 房 細 動 に 対
変を切除してボリコナゾールを中止
改善し ,AST・ALT は正常化 ,ALP・
してアミオダロンの内服を開始
し ,caspofungin#・posaconazole を
γ GTP も改善したが , 患者は ,4 カ
し ,200mg/day で 維 持 し た .2 週 間
開始 ,9 カ月後 , 角化症は完全に消失
月後に敗血症性ショックで死亡し
後 , 放散する腹痛で来院 , 腹部は軟
した . 第 3 例 .24 才女性が , ボリコ
た.
らかく , 圧痛が見られた . 中等度の
ナゾールを開始して 9 カ月後 , 日光
de Bus L et al.J.Med.Toxicology 6:322,2010
白血球増加を認め , 血清リパーゼ
て , 口唇部・額および頭皮に , 急速
1736 U/L で , 軽度の急性膵炎と診
に曝される部分の皮膚に日光過敏症
とホクロが出現し , 数カ月後 , 日射
ピオグリタゾン ( アクトス ) による
断された .24 時間後 , 血清リパーゼ
性角化症を認めた .2 年後にボリコ
浮腫と体重増加
は 1980 U/L にまで上昇し , アミオ
ナゾールを中止したが , 頭皮に大き
55 才女性が ,2 型糖尿病に対する
ダロンを中止して , 補液と絶食によ
な扁平上皮癌が出現し , 外科的に切
経口血糖降下剤の処方に加えて , ピ
り腹痛と血清リパーゼは徐々に改善
除した . ボリコナゾールを中止して
オグリタゾン 30mg を開始した .5
したが ,5 日後 , 不整脈により死亡
8 カ月後 , 色素性病変の退縮を認め
カ月後 , 下肢の浮腫と体重増加を訴
した .
た . 第 4 例 .53 才男性が , ボリコナ
えて薬局を訪れた . 主治医がピオグ
Elouni B et al.10th Annual Meeting of the
ゾールを開始して 1 年後に , 日光に
リタゾンを中止し , メトホルミンに
International Society of Pharmacovigilance :
曝される部分の皮膚に色素性病変を
変更した後 , 再び薬局を訪れた時は ,
abst.31,2010
来した . その翌年には , 顔面と前腕
浮腫は改善し体重も落ちていた .5
に , 日射性角化症を来して , 左こめ
カ月後 , 浮腫と体重増加は消失し ,
アミオダロン ( アンカロン ) による
かみの扁平上皮癌で受診し , 病変部
血糖も正常を維持している .
甲状腺中毒症
を外科的に切除した . ボリコナゾー
Barris Bulundell D et al.Pharmaceutical Care
冠動脈疾患で Stent を用いた冠動
ルを中止してイトラコナゾールに変
Espana 10:196,2010
脈形成術を受け , 左室機能の低下・
心房細動および高血圧症を有する
更したところ ,4 カ月後 , 日射性角
化症は消失した .
ペグインターフェロンα -2a( ペガ
68 才男性が , 非代償性の心不全と
Epaulard O et al.Clinical Microbiology and
シス ) による重篤な血小板減少症
頻脈性不整脈で緊急入院した . 不眠
Infection 16:1362,2010
54 才女性が , 慢性 C 型肝炎に対
があり神経質で ,2 カ月前から水様
してペグインターフェロンα 2b と
便が見られ ,2 カ月前から進行性の
リネゾリド ( ザイボックス ) による
リバビリンによる 48 週間の治療を
労作時呼吸困難と動悸が見られた .3
肝障害および乳酸アシドーシス
行なった . その 1 週間後に ,SC ペグ
週間で 8kg の体重減少を認め , 甲状
55 才女性が , 感染のため股関節
インターフェロンα -2a 180 μ g の
腺中毒症と心房細動の再発と診断さ
装 具 を 除 去 し , メ ロ ペ ネ ム・TPN
単回投与を行ったところ , まもなく ,
れていた . 患者は ,2 年前からアミ
に 加 え て , リ ネ ゾ リ ド 600mg 12
時間毎の治療を受けた . リネゾリ
3
血小板数が 11.3 万 /mm から ,6.5
3
万 /mm に 減 少 し , さ ら に 10 日
3
オダロン 200mg/day を内服してい
たが , 受診する前にアミオダロンは
ド 開 始 時 ,ALT 44 U/L,AST 49,ALP
後 ,1.6 万 /mm に減少した . 頚部・
中止し , カルビマゾールの内服を開
227, γ GTP 71,T.Bil 0.3mg/dl,pH
両下肢・両側前腕に紫斑が出現し ,
始していた . 入院時 , 心拍数 116 拍
(毎月 1 回 28 日発行)
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
161
/ 分 , 血 圧 120/60mm Hg で , 肝 腫
した . 約 8 カ月前から , 移動する関
側肺門リンパ節腫大・ブドウ膜炎を
大と著明な下肢の浮腫を認めた . 血
節痛と朝のこわばりも見られた . 浅
認め , すべてがサルコイドーシスに
沈 26mm/hr,CRP 2.41mg/dl,fT 4
い皮膚潰瘍が両肘に見られ , 出血性
関連するものであった . プレドニゾ
129 pmol/L,fT 3 25.1 pmol/L,TSH
痂皮・紅斑・浮腫が同じ部位に見ら
ロンを開始し , 完全房室ブロックに
<0.01mU/L で あ っ た . 心 房 細 動 を
れた . 肘部の皮膚生検で , 白血球破
対して人工ペースメーカーの装着を
認め , 中等度の左室機能低下・心室
壊性血管炎が確認され , 血清学的検
行なった . プレドニゾロンを開始し
瘤・三尖弁機能不全 , 肺動脈圧の上
査で ,MPO-ANCA の抗体価が 1024
て 2 カ月後 , 胸部 X-p と CT スキャ
昇・左心房の拡張を認めた . アミオ
倍を示し , 多クローンの高γグロブ
ンで , 肺門リンパ節腫大は縮小し ,
ダロン惹起性 GradeII 甲状腺中毒症
リン血症と抗核抗体の軽度上昇 ,RA
注射部位の皮疹およびブドウ膜炎
と診断された . 患者は , チアマゾー
因子陽性が見られた . プロピルウラ
は消退した . その後 , プレドニゾロ
ル・プレドニゾロン・プロプラノー
シルを中止して , 徐々に皮疹は改善
ンによる治療を続けているが ,1 年
ルなどの投与を受け ,fT4 および fT3
したが , まもなく来院しなくなった .
後 ,HCV-RNA は再び陽性となり , 引
レベルは徐々に下がって , プレドニ
Anic b et al.Acta Dermatoveneroologica
き続き経過観察を行なっている .
ゾロンを漸減し , 呼吸困難および末
Croatica 18:104,2010
岩下 雅秀ほか日本消化器病学会雑誌
梢の浮腫は軽減し , 全身状態も改善
107:1319,2010
して 3 週間後に退院した .
ニコランジル ( シグマート ) による
Saer-Schulz A et al.Deutsche Medizinische
肛門潰瘍と瘻孔形成
プロピルチオウラシルによる血管炎
Wochenschrift 13:1798,2010
虚血性心臓病を有する 82 才男性
15 カ月前に甲状腺機能亢進症と
が ,3 年前からニコランジル 30mg
診断され , プロピルチオウラシル
A 型肝炎ウイルスワクチンとギラン
1 日 2 回の内服治療を受けていた
50mg 1 日 3 回の内服治療を受けて
- バレー症候群
が , 肛門周囲の痛みと膿瘍形成のた
ていた 25 才女性が , 進行する倦怠
Graves' 病 の 既 往 を 有 す る 30
め来院 , 膿瘍と瘻孔形成を認めた . 膿
感・体重減少・関節痛・全身の筋
才 男 性 が ,A 型 肝 炎 ウ イ ル ス ワ ク
瘍のドレナージによる瘻孔の手術を
肉痛・両下肢の紫斑で来院した . 患
チ ン の 接 種 を 受 け ,1 年 後 に , 再
行なったが ,6 カ月後も手術創部が
者は ,4 カ月前に出産し , 鎮痛剤を
度 ,booster の ワ クチン接種を受け
治癒せず ,8 × 6cm の潰瘍が見られ
しばしば使用していた . 皮膚の所見
た .4 週間経って上下肢の知覚異常
た . ニコランジルを中止したところ ,
は , 白血球破壊性血管炎を示唆し
を来し , 近位部へ進行して ,3 日後
数週間以内に , 潰瘍は治癒した .
た . 血 沈 41mm/hr,ANCA 640 倍 陽
に入院した . 髄液検査では異常なく ,
Bains S et al.Surgeon 7:380,2009
性で , 甲状腺機能亢進症とプロピル
筋電図は , 急性多発性神経根ニュー
チオウラシルによる ANCA 陽性血
ロパシーを裏付けた .5 日間に亘っ
ペグインターフェロンα -2b( ペグ
管炎と診断された . プロピルチオウ
て免疫グロブリンの投与を受けた
イントロン )/ リバビリン ( レベトー
ラシルを中止し , βブロッカーのみ
が , 運動障害が徐々に進行し ,2 回目
ル ) による心サルコイドーシス
の治療を行なった . 関節痛および皮
の腰椎穿刺で , アルブミンの上昇を
72 才 女 性 が , 慢 性 C 型 肝 炎
疹は , 翌週には著明に改善した . そ
認め , 細胞数には著明な増加を認め
に対してペグインターフェロン
の後 , チアマゾール 10mg/day 投与
ず , ギラン - バレー症候群と診断さ
α -2b 60 μ g 週 1 回とリバビリン
を受けたが , 数日以内に皮膚症状と
れた . 入院 15 日目に神経症状が安
600mg による治療を受けた .3 週間
関節痛の再発を認めた . チアマゾー
定し ,20 日後に改善し始め , その後 ,
で ,HCV-RNA は陰性化したが , 食思
ルを中止してプレドニゾロン投与
完全に回復した .
不振と倦怠感を訴えたため , リバビ
を行い , 関節痛と皮疹は完全に消失
R o u x X e t a l .M e d e c i n e e t M a l a d i e s
リンを 400mg に減量した . ペグイ
した . その後 , 放射性ヨードによる
Infectieuses 40:490,2010
ンターフェロンα -2b の注射部位に
ablation を行い , 症状の再発は見ら
発赤と痒みを訴え , インターフェロ
れない .
プロピルチオウラシル ( チウラジー
ンα -2b を 40 μ g 週 1 回に減量し
A h m e d K e t a l .E n d o c r i n e P r a c t i c e
ル ) による ANCA 関連血管炎
た . 皮膚生検で , 非乾酪化類上皮細
16:449,2010
18 才男性が ,Graves' 病に対して
胞肉芽腫を示し , 皮膚サルコイドー
プロピルチオウラシル 100mg 1 日
シスに合致した . ペグインターフェ
イブプロフェン ( ブルフェン ) によ
3 回の治療を開始し , 約 2 年半後に ,
ロンα 2b とリバビリンを中止し ,
る DRESS 症候群
両肘と右の耳朶に皮疹を来して来院
精査の結果 , 完全房室ブロック・両
48 才 女 性 が , 腱 炎 に 対 し
162
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
(毎月 1 回 28 日発行)
てイブプロフェン治療の途中
目立ち , 著明な脱水を示唆し , 血液
し た . 数 日 前 か ら 39 ° C の 発 熱 ,
で ,drug reaction with eosinophilia
ガス分析で高度の乳酸アシドーシス
増大する皮膚発疹 , 咽頭痛が見られ
and systemic symptoms
を示した . その後 , 人工呼吸管理を
た . セチリジンとアモキシシリン
syndrome(DRESS 症候群 ) を発症し
要する肺炎を発症したが , 入院 2 週
/ クラブラン酸を処方したが ,2 日後
た . 患者は , イブプロフェンを開始
間目に , 後遺症を残すことなく退院
に , 悪心 , 食思不振 , 上腹部痛を来
して 2 週間後に , 視力低下 , 痒みを
した .
して入院 , 検査で , 肝細胞傷害を示
伴う斑状丘疹状病変 , 顔面浮腫お
Lemyze M et al.Brit.Med.J. 340:c857,2010
し た . 入 院 10 日 目 ,AST 2677,ALT
2021 で , プロトロンビン 9% を示
よび口蓋のびらんで入院した . 検査
3
で は , 好 酸 球 増 多 症 (1700 /mm )
ソラフェニブ ( ネクサバール ) によ
し , その 2 日後には典型的な肝性脳
と肝機能異常 (ALT 87 U/L, γ GTP
る乾癬様皮疹 , 手 - 足 - 皮膚反応お
症の徴候を示した . 皮膚科を受診し
219,ALP 2707) を 認 め , 視 力 障 害
よび扁平上皮癌
て , サラゾスルファピリジンによる
(2/10) と ブ ド ウ 膜 炎 が 認 め ら れ
30 年以前に基底細胞癌で治療を
DRESS 症候群と診断された . 肝移植
た . 皮膚生検で , 表皮の基底細胞の
受けたことのある 63 才男性が , 低
が予定されたが , サラゾスルファピ
空胞形成 , リンパ球の exocytosis, 皮
分化甲状腺癌の転移に対して , ソラ
リジンを中止してアルブミン透析を
膚表層の単核細胞浸潤 , 好酸球浸潤
フ ェ ニ ブ 400mg 1 日 2 回 の 内 服
開始し , 引き続き精力的な保存的治
を認めた . イブプロフェンを中止し
治療を開始した . ソラフェニブを
療で状態は著明に改善し , 肝機能も
てメチルプレドニゾロンのパルス療
開始して 9 日後 , 皮膚反応が見ら
徐々に正常化し , 肝臓移植のリスト
法を行い , 皮膚病変と検査値異常が
れた . 当初 , 痛みを伴う紅斑状丘疹
から外されて退院した . その後 , 肝
改善したが ,2 週間後に再燃し , 著
と水疱を伴う皮膚斑が手掌と足蹠
機能は良好である .
明な腎不全を来した .27 日目には急
に見られたが , 数週間後には , 手 -
Kornasiewics O et al.Experimental & Clinical
性心筋炎が出現 ,31 日目には , 血清
足 - 皮膚反応に合致する様相を呈し
Hepatology 6:67,2008
クレアチニンが 5.7mg/dl にまで上
た .9 カ月後 , 躯幹・両側上下肢に
昇し , 腎生検で , 急性間質性腎炎を
多数の紅斑状丘疹と皮膚斑が広がっ
アトルバスタチン ( リピトール )/ シ
示し , 血液透析を開始した .34 日目
て癒合し , 両側膝窩部 , 鼠径部 , 臀
ンバスタチン ( リポバス ) による運
にプレドニゾンを再開 ,51 日目に
部に , 銀色の鱗屑が散在性に見られ
動失調
は ,IV シクロフォスファミドを開始
た . パンチ生検で , 乾癬様の表皮過
第 1 例 .52 才男性が双極性障害に
して , 透析を中止した . 全身状態と
形 成 ,parakeratosis を 示 し ,PAS 染
対 し て ,8 年 前 か ら lamotrigine, ト
視力は ,3 カ月後には元に戻り , プ
色で真菌乾癬は否定され , 乾癬様薬
ピラマートによる治療を受けていた
レドニゾンとシクロフォスファミド
疹と診断された . ソラフェニブを中
が , 運動失調が出現して , ラモトリ
を漸減した . 好酸球数は , シクロフォ
止し ,1 カ月後には , トリアムシノロ
ジンを減量した . ほかに , アトルバ
スファミド開始後に正常化し , クレ
ンクリームで症状は改善した . その
スタチン 20mg を長期に亘って服
アチニンレベルは , 入院して 100 日
後 , 肺転移を認めたためソラフェニ
用していた . アトルバスタチンを中
後には正常となった .
ブを 400mg/day で再開し , 肺転移
止したところ , 半年後 , 運動失調は
Laban E et al.Amer.J.Kidney Diseases 55:
に対しては効果が見られたが ,9 週
完全に消失した . 第 2 例 .64 才女性
e11,2010
間経って , 新たな痛みを伴う 1.8cm
が , 失調歩行と書字失調を来して来
のドーム型の角質の増殖した丘疹が
院した . 患者は , ゾルピデム , カル
メトホルミン ( メルビン ) による乳
右手背部に出現し , 急速に増大して ,
バマゼピンおよび lamotrigine を服
酸アシドーシス
生検で高分化扁平上皮癌と診断され
用していたが ,2 年前 , 処方にシンバ
糖尿病を有する 83 才女性が , メ
た.
スタチンが加えられ , それ以来 , 認
ト ホ ル ミ ン 1000mg 1 日 3 回 , イ
Diamantis ML et al.J.of Drugs in Dermatology
知症の進行が見られていたため , シ
ルベサルタン / ヒドロクロロチアジ
9:167,2010
ンバスタチンを中止したところ , 運
ドおよびアスピリンを服用していた
動失調と認知症状が消失した .
が , 進行性の呼吸困難と下痢で来院
サラゾスルファピリジン ( サラゾピ
B e r n e r J E e t a l. J . C l i n . P s y c h i a t r y
した . 来院時 , 見当識障害 , 錯乱 , 乏
リン ) による DRESS 症候群
71:359,2010
尿を認めた . 血圧 76/46mm Hg, 頻
潰瘍性大腸炎を有する 19 才女性
脈 , 頻呼吸を呈し , 体温 36.8° C で
が , サラゾスルファピリジンによる
ベンズブロマロン ( ユリノーム ) に
あった . 四肢は冷たく , 皮膚の皺が
治療を開始して約 5 週間後に来院
よる好酸球性肺炎と肺胞出血
(毎月 1 回 28 日発行)
この薬は
The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
です ( テリパラチド )
説明書をよく読んで下さい
説明書に質問のある方は , 医師か薬剤師にお尋ねください .
薬は子供の手の届かないところに保管してください .
何のくすり ?( 効能・効果 )
・ この注射は , 骨密度を増加させ , 骨の再形成を促し , 強くします .
・ 骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療に用います .
使用する前に確かめて下さい
・動物実験では , 骨肉腫 ( 骨の悪性腫瘍 ) の危険性が増す場合があると報
告されています . 骨肉腫の発症の危険性が高い方には使えません .
・食べ物や薬に対するアレルギーはありませんか ?
・小児での有効性と安全性は確かめられていません .
・妊婦や妊娠の可能性がある女性、子供に授乳中の女性は使用を避けて下
さい .
・男性患者や閉経前の骨粗鬆症患者に対する有効性と安全性は確かめられ
ていません .
・次のような病気や異常がある方は , あらかじめ主治医にそのことを伝え
て下さい .
肝機能や腎機能が悪い
腎結石や尿管結石がある
放射線治療を受けたことがある
副甲状腺機能亢進症 , 骨ページェット病
163
吐き気 , 嘔吐 , 筋力低下 , 立ちくらみ , めまいなどの症状が現れることが
あります .
・自動車の運転 , 高所での作業などは要注意 .
・めまい , ふらつき , ドキドキするなどの症状があるときは , 直ぐに
座るか横になること .
・この薬は , 凍結を避け冷所に保管してください
副作用
※生じたら直ちに受診すべき症状
・腹痛 , 錯乱 , 支離滅裂な会話
・筋肉の脱力 , 異常な倦怠感
・ひどい立ちくらみ , ふらつき , うとうと
・吐き気 , 嘔吐 , 頭痛
※ひどい場合や続くときに報告してほしい症状
・食欲低下 , 金属性の異常な味 , 胸やけ , げっぷ
・便秘 , 下痢 , 排便困難 , 体動が困難
・めまい感 , 声がかすれる
・筋肉痛 , 筋肉の痙攣 , 関節痛
血液検査でアルカリホスファターゼ上昇 , 高カルシウム血症
・他に使っている薬があれば , かならず医師や薬剤師に伝えて下さい .
ご注意
どんな薬でも副作用が起こることはあり , 予期しない結果を生じるこ
とがあります . ここにはこの薬の使用方法や注意事項 , 副作用などに
正しい使用方法
通常 , 成人には 1 日 1 回 20 μ g を皮下注射 , 期間は 18 ケ月間まで .
使用中に注意すべきこと
ついて , 特に重要なものだけを選んで書きました . ですから , 他にも
何か変わったことがあれば , 必ず医師か薬剤師に報告してください .
・注射してしばらくすると一時的に血液中のカルシウム濃度が高くなり ,
341
この薬は
・ この薬を急に減量 / 中止すると悪性症候群と呼ばれる危険な状態を引き
起こすおそれがあります .
です ( プラミペキソール )
説明書をよく読んで下さい
TIP 誌 ( 医薬品・治療研究会 ) 編
説明書に質問のある方は , 医師か薬剤師にお尋ねください .
薬は子供の手の届かないところに保管してください .
・ この薬を他のパーキンソン病の薬と併用すると , 幻覚や錯乱などの症状
が出やすいことが分かっています .
・ この薬はアルコールや鎮静剤の効果を強めることがあります .
何のくすり ?( 効能・効果 )
副作用
・ この薬はパーキンソン病 ( 手足が震え , 筋肉のこわばり , 動作が遅くな
る等の症状 ) の治療に用います .
・ また、レストレスレッグ症候群 ( じっとしていると下肢に不快感を生じ ,
ひとりでに足をうごかしてしまう病気 ) の治療にも用います .
使用する前に確かめて下さい
・ 食べ物や薬に対するアレルギーはありませんか ?
・ 小児での有効性と安全性は確かめられていません .
・ 妊娠への影響 : 動物実験では妊娠中の動物に与えると有害性を示すデー
タがあります . 授乳中も , この薬の使用は避けてください .
・ 腎機能が悪いと言われていませんか ?
・ 次のような症状や病気がある場合は , この薬の使用で症状が悪化する場
合があります . 主治医にご相談ください .
* ジスキネジア ( ひとりでに身体がくねくねと動いてしまう )
※生じたら直ちに受診すべき症状
・発熱 , 異常発汗 , 意識障害 , 無動無言 , 筋肉の硬直 , 血圧の変動 , 嚥下困難 ,
頻脈〔以上は悪性症候群の特徴を示す症状です〕
・ 筋肉がぴくっと動く , 手足 / 身体をよじるような不随意運動
・ 前ぶれなしの突然の眠気 , 幻覚 , 幻聴 , 睡眠障害
・ 異常な疲れや虚弱 , 錯乱 , 気分や精神の変調
・めまい , 頭痛 , 頭のふらつき ( とくに起立時 )
・排尿時痛 , 排尿困難 , 頻尿
※ひどい場合や続くときに報告してほしい症状
・口腔乾燥 , 食欲低下 , 胸やけ , 体重減少
・ 悪夢 , 性欲減退または亢進 , ギャンブル癖の増悪
・ 発赤やかゆみ等の皮膚症状
* 低血圧 , 立ちくらみ , ふらつき
正しい使用方法
< パーキンソン病に対して >
通常 , 成人には 1 日量として 0.125mg から開始し , 徐々に量を増やして
ゆき , ふつうは 1 日量 1.5mg 4.5mg くらいを維持量とするが , 症状に
あわせて量は調節する .
< 中等症以上のレストレスレッグ症候群に対して >
通常 , 成人には 1 回 0.25mg を就寝 2 3 時間前に内服する .
使用中に注意すべきこと
・ この薬を使用すると , 前ぶれなしに突然の眠気が襲ってくることがあり
ます . 自動車の運転や危険な機械の操作 , 高所での作業などは避けた方
がよいでしょう .
ご注意
どんな薬でも副作用が起こることはあり , 予期しない結果を生じるこ
とがあります . ここにはこの薬の使用方法や注意事項 , 副作用などに
ついて , 特に重要なものだけを選んで書きました . ですから , 他にも
何か変わったことがあれば , 必ず医師か薬剤師に報告してください .
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TIP 誌 ( 医薬品・治療研究会 ) 編
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The Informed Prescriber 第 25 巻 11 号 2010(平成 22)年 11 月 28 日発行
(毎月 1 回 28 日発行)
51 才男性が , 痛風に対してベン
る 73 才女性が , 悪心・嘔吐と背中
されたものと考えられた .
ズ マ ロ ン 50mg/day を 10 日 間 服
に放散する上腹部痛で入院した . 患
Ahmad FA et al.J.Pancreas 11:61,2010
用した後 , 胸痛 , 咳嗽 , 血痰および
者は , オメプラゾール , フルオキセ
呼吸困難で入院した . ほかに痛風発
チンを服用していたが , 症状出現の
訂正とお詫び
作時に , 必要に応じてジクロフェナ
10 日前に , 肥満に対してオルリス
先月号 (Vol.25,No.10:148 ページ ,
ク を 服 用 し て い た . 体 温 38.3 ° C
タットの内服を開始していた . 上腹
中カラム上から 11 行目 ) の「フルチ
で , 下肺に微弱なクラックルを聴取
部 に 圧 痛 が あ り , 血 圧 178/86mm
カゾン点鼻薬の過剰使用による副腎
し , 血液ガスの分析で低 O2 血症を
Hg, 心拍数 68 拍 / 分 ,SpO2 97%, 体
皮質クリーゼ」の記事に誤植があり
認めた . 胸部 CT 上 , 網状陰影が全
温 35.9° C, 血清アミラーゼ 1,070
ましたので訂正します .
肺野に見られ , 胸部の高分解能 CT
IU/L, 胆嚢結石や胆道系の異常を認
( 誤 )3 日前から → ( 正 )3 日前まで
で , びまん性にスリガラス様陰影と
めず , 腹部 CT で , 膵臓の浮腫と腫
胸水貯溜を認めた . 気管支肺胞洗
大を認め , 膵炎に合致したが ,4 日
浄液では , 細胞数の増加を認め , 好
以内に血清アミラーゼは正常化して
酸 球 31.8%, 好 中 球 22.3% で あ っ
退院した . 第 2 例 . アルコール過飲
た . 血液培養 , 喀痰培養 , 血清学的
と肥満の既往を有する 45 才女性が ,
検査 , 検尿などで , 感染は否定され
悪心 , 上腹部痛で入院 , 症状は 6 時
た .D-LST は , ベ ン ズ ブ ロ マ ロ ン に
間前に出現していた .1 年前にアル
対して陽性 , ジクロフェナクに対し
コールによる膵炎のエピソードを経
ては陰性であった . ベンズブロマロ
験していたが , チアミン ,venlafaxine
ンを中止して ,3 日間のメチルプレ
およびレボメプロマジンを服用し ,
ドニゾロン治療に引き続き , プレド
症状が出現する 2 日前にオルリス
ニゾン投与を行い , 症状と胸部 CT
タットの内服を開始していた . 血圧
の所見は改善し , プレドニゾンを漸
148/63mm Hg, 心 拍 数 80 拍 / 分 ,
減した . 再発は見られない .
体温 36.8° C で , 血清アミラーゼ
Hara A et al.Internal Med .49:435,2010
371 U/L であった . 胆道系の異常を
認めず , 鎮痛剤と補液を行なって ,3
オルリスタットによる急性膵炎
日後に退院した . 飲酒が背景にあり ,
第 1 例 . 大腸直腸癌の既往を有す
オルリスタットによって膵炎が誘発
目 次
患者による副作用直接報告 ( 後編 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
早産の危険状態には : 出産前のステロイド剤を 1 コースで ・・・・・・・・・・・・・・153
高齢認知症患者と抗精神病薬 : 超過死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・155
CAPSULE・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・158
患者用くすりの説明書
(1) テリパラチド
(2) プラミペキソール・・・・・・・・・・・・・・163
アジスロマイシン
158
アトルバスタチン
162
アミオダロン
158,160
アモキシシリン
151
アリピプラゾール
155
イブプロフェン
161
インフリキシマブ
158
A 型肝炎ウイルスワクチン
161
エトポシド
159
エルロチニブ
159
オランザピン
155
オルリスタット
164
クエチアピン
155
クロルプロマジン
155
ゲムシタビン
158,159
抗ウィルス剤
149
サラゾスルファピリジン
159,162
シクロスポリン
158
神経遮断薬
155
シンバスタチン
162
スタチン系薬剤
150
ステロイド剤
153
スルファメトキサゾール・ト
リメトプリム
151
ソラフェニブ
162
チオチキセン
157
チオリダジン
157
デキサメタゾン
153
テリパラチド
163
トリフロペラジン
155
ニコランジル
161
パーフェナジン
157
パロキセチン
150
ハロペリドール
155
ピオグリタゾン
160
非定型抗精神病薬
155
ピモジド
157
ブピバカイン
159
プラセボ
153
プラミペキソール
163
フルフェナジン
157
フルペンチクソール
157
プロピルチオウラシル 161
プロマジン
157
ペグインターフェロン 160
ペグインターフェロンα -2b
161
ベタメタゾン
153
ペリシアジン
157
ベンズブロマロン
162
ボリコナゾール
159
メソリダジン
157
メトホルミン
162
リスペリドン
155
リネゾリド
160
リバビリン
161
ロキサピン
157
ワクチン
149
The Informed Prescriber
(邦文誌名:「正しい治療と薬の情報」)
編集長
別府宏圀(新横浜ソーワクリニック)
副編集長 浜 六郎(医薬ビジランス研究所)
編集委員
相沢
力(神奈川・湘南中央病院内科)
榎本
武(東京・えのもと小児科)
川合
仁(京都・川合診療所)
谷岡 賢一(京都・日本バプテスト病院小児科)
福島 雅典(兵庫・臨床研究情報センター)
松浦美喜雄(東京・府中病院整形外科)
宮田 雄祐(大阪・医真会八尾総合病院)
藤田 民夫(愛知・名古屋記念病院泌尿器科)
村井 直樹(福岡・小文字病院内科)
森 久美子(大阪・阪南中央病院薬剤科)
山田
真(東京・八王子中央診療所小児科)
柳
元和(奈良・帝塚山大学)
編集協力者・アドバイザー
青木 敏之 青木 芳郎
阿部 和史 雨森 良彦
泉
早苗 上野 文昭
大島
明 大津 史子
岡本 祐三 金森 憲明
木村
健 久保田英幹
栗田 敏子 小塚 雄民
坂上 章子 阪田久美子
清水 裕幸 庄司 紘史
徹
関
顕 高木
高須 俊明 田口 博國
塚本
泰 堂川 嘉久
西端 義広 西村 嘉郎
福井 直仁 福本真理子
藤村 正哲 細田 真司
松田 圭子 水野 正浩
宮城征四郎 村田 三郎
山本
敬 横山 正夫
編集・発行
跡部 正明
石井
明
松岡晃一郎
大西
昇
川幡 誠一
倉田 義之
酒井 天栄
清水 健一
瀬川 昌也
高木 宏子
丁
元鎮
豊島協一郎
等
泰三
藤野 武彦
増田寛次郎
溝口とく子
矢尾板英夫
他9名
医薬品・治療研究会
代表 別府宏圀
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TEL 03(3341)7453 FAX 03(3341)7473
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2010年11月28日発行第25巻11号
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