UX戦隊HTML5~気持ちいいWebアプリケーションの - Beaconユーザ会

IN01 HTML5 活用入門
要旨
UX 戦隊 HTML5 〜 気持ちいい Web アプリケーションの作り方 〜
1. HTML5 について
従来から Web アプリケーションのために利用されてきた HTML4 は、マークアップの仕様
であり、機能を拡張するためにさまざまな独自の API を利用する必要があった。
HTML5 は、それらの拡張機能をまとめ、Web アプリケーション開発用プラットフォームと
して開発されたものである。2012 年 12 月で W3C における仕様策定が完了し、2014 年中
には正式勧告される予定である。
一般ユーザが利用する HTML5 対応の Web ブラウザシェアは 80%を超えており、HTML5 を利
用する環境は整ってきている。一方、企業においては依然として 10%程度が Internet
Explorer 6 を利用し続けている。
一般の Web アプリケーションでは HTML5 の利用が広がってきているが、企業内の Web ア
プリケーションではまだそうであるとは言えない。この状況を踏まえ、HTML5 を企業内
Web アプリケーションにどのように活用できるのかを検討した。
2. 現状の企業内 Web アプリケーションが抱える問題点
現状の企業内 Web アプリケーションでは、以下のような問題がある。
・使いにくい
・手間が多い
・操作/入力ミスを起こしやすい
・操作手順が分かりづらい
・サクサク動作しない
これらは、利用者にとって“気持ちよくない”ということを表している。
3. “気持ちいい”Web アプリケーションとは
当研究グループは、以下のように考える。
・マニュアルが不要
・感覚的に使える
・どこでも使える
・進捗状況が分かる
・操作(入力)が少ない
4. “気持ちよさ”とユーザエクスペリエンス
“気持ちよさ”を包括する概念として、ユーザエクスペリエンス(以下、UX)がある。
UX について研究しているニールセンノーマングループは、以下のように定義している。
① “いらいらや面倒なし”に顧客のニーズを満足させる
②
製品に”所有する喜びや使用する喜び”をもたらす簡潔さと優雅さがある
企業内 Web アプリケーションに UX を考慮すると、以下のようなコストを削減できる。
・作業時間/労働コスト
・トレーニングコスト
・業務確実性向上によるミス対応コスト
2013 Beacon Users' Group
IN01 HTML5 活用入門
要旨
5. UX に HTML5 がどう貢献できるか
まず、HTML4 では貢献できないのかと考えた。貢献は可能だが、jQuery や Flash、ActiveX
といった仕様の異なるさまざまな技術を活用する必要があり、時間と開発コストがかか
る。これに対し、HTML5 は仕様が統一されており、容易かつ短期間で UX に貢献できる。
以下 5 つの事象について HTML4、HTML5 それぞれでの実現方法を考察し、HTML5 が容易か
つ短期間で UX に貢献できるかについて検証を行った。
① マニュアルが不要!
② 感覚的に使える!
④ どこでも使える!
⑤ 待たされない!
③入力が少ない!
a. 上記①~⑤の“気持ちのよくない”システム例を挙げる
b. 上記①~⑤の“気持ちいい”システムに変更したイメージを提示する
それぞれの事象において、以下 HTML5 の機能を利用することで、HTML5 が容易かつ短期
間で UX に貢献できることを確認した。
① Placeholder 属性
② Drag&Drop+File API
④ Application Cache
⑤ Server-Sent Events
③ WebStorage
6. HTML5 の課題
HTML5 は UX の向上に貢献できることが分かったが、以下のような課題もあり利用にあた
っては考慮が必要である。
・ブラウザによる対応状況の違い
・今までに無かったセキュリティリスクが存在する
7. まとめ
企業内 Web アプリケーションに対して“気持ちよさ”を実現する事で、利用者の生産性
を向上できる。課題はまだあるが、
“気持ちいい”企業内 Web アプリケーションをより容
易かつ短期間で実現するために、適用可能なところから HTML5 を利用してみてはいかが
であろうか。利用者だけではなく、開発者側にも期間やコスト削減等のメリットを享受
できる可能性も秘めている。
2013 Beacon Users' Group