Title Author(s) Journal URL 前庭眼反射および固視に及ぼすアルコールの影響 秋山, 育代 東京女子医科大学雑誌, 60(8):707-708, 1990 http://hdl.handle.net/10470/7463 Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database. http://ir.twmu.ac.jp/dspace/ 105 (24) アキ 氏名(生年月日) 本 ヤマ イク ヨ 秋山育代(昭和3 籍 学位の種類 医学博士 学位援引の番号 鼻聾1023号 学位授与の日付 平成元年5月19日 学位授与の要件 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 学位論文題目 論文審査委員 前庭眼反射および固視に及ぼすアル:コールの影響 (主査)教授 石井 哲夫 (副査)教授 小山 生子,内田 幸男 論 文 内 容 の 要 旨 目的 小さい症例では増大し,大ぎい症例ではむしろ減少し 前庭眼反射(vestibulo・ocular reHex,以下VORと た. 略す)とは頭部の回転に際し眼球が頭部回転方向へ偏 2)壁上の一点固視におけるゲイン(空間的視線固定 僑する眼球運動の緩徐相を起こす反射である.その反 機能を示す)は,アルコール摂取により影響されなかっ 応の指標として用いるゲイン(利得)値は頭部回転運 た. 3)眼前の一点固視のゲインは呼気中アルコール濃 動と眼球緩徐相成分の最大速度の比をあてる.VOR ゲインは固視によるVOR抑制機能と密接に関係して 度の増加とともに増大した.即ち,固視によるVOR抑 いることが明らかにされている.今回は正常者にアル 制機能は低下した. コールを経口摂取させ,VORと固視機能に及ぼす影 4)ETTのゲイン(smooth pursuit機能を示す)は アルコール摂取により低下した. 響を調べた. 考察 対象および方法 健康成人12名(21~31歳)に振幅40.,頻度0.2~0.85 これまでに本教室の研究班では,小脳障害例や小児 Hzの振子様受動回転検査を,1)暗所開眼一暗算負 荷,2)壁上の1点固視(眼前1.5mにある固定視標を は固視によるVOR抑制が不良でVORゲイン値が大 きく,健康成人は固視によるVOR抑制が良くVOR 固視させる),3)眼前の一点固視(眼前30cmにある頭 ゲイン値も小さいことを報告してきた.アルコールが 部回転と連動する視標を固視させる)の3条件下に, smooth pursuit機能や固視抑制機能に影響を与える 視標追跡検査(eye-tracking test,以下ETTと略す) ことは報告されている.本研究より,通常の摂取量で を定方向反復刺激,視標速度30ρ~70./seCで行った.ア は,固視によるVOR抑制および視標追跡はアルコー ルコール0.43g/kg経口摂i取前後に各ゲイン値(口車云検 ルにより明らかに障害されるが,空間的視線固定は影 査では最大眼球緩徐相速度/最大頭部回転速度,ETT 響されなかった.一方,暗所のVORゲインは平均値で では最大追従速度/最大視標速度)を測定した.この状 は有意の変化はみられなかったが,ゲインの変勤の大 態は呼気中アルコール濃度制定によれぽ“ほろ酔い” きさは特徴的であることが明らかになった.これより と判定された. 考察すると,空間的視線固定および固視抑制機能は暗 結果 所のVORゲインに影響することは確実である.暗所 におけるVORの増幅機序が抑制機序よりも大きな個 1)暗所開眼一暗算負荷におけるVORゲインの平 均値はアルコール摂取による有意の変化はみられな 体はアルコール摂取前大きなVORゲイン値を示し, かった.しかし,摂取前後のゲインの変動の大きさは 摂取後値の減少を示すと考えられる. 摂取前の値と高い相関を示し,アルコール摂取前値の 一707 結語 .106 このアルコール摂取の実験により,VORゲインは 大きく影響されることが明らかとなった. 迷路機能の他に固視機能,特にsmooth pursuit機能に 論 文 審 査 の 要 旨 前庭眼反射は固視によって抑制されることは知られている,本研究は正常者にアルコールを摂取させ,その 前後の前庭眼反射と固視機能を検査し,相互に及ぼす影響を調べた,この実験により前庭眼反射利得は迷路機 能の他に固視機能,とくにsmooth pursuit機能に大きく影響されることを明らかにgた.価値ある研究であ る. Acta Otolaryngol(Stockh) 105(1-2): 主論文公表誌 前庭眼反射および固視に及ぼすアルコールの影響 7-21, 1988 日本耳鼻咽喉科学会会報 第92巻 第2号 5)Pursuit and saccadic eye movements in response to unpredictable constant velocity 239-245頁(1989年2月20日発行) 亡argets(不規則定速度視標運動による滑動性 副論文公表誌 1)Adriamycin動注による上顎洞癌治療成績 眼球運動とsaccadeの研究) 耳鼻臨床 78(5):661-667,1985 Acta Otolaryngol(Stockh) 477(Suppl): 2)難治であった前口蓋弓癌の1例 73-80, 1988 耳鼻臨床 79(12):2055-2059,1986 6)Vestibulo-ocular reflex and gaze functions in 3)高頻度頭部運動における前庭眼反射と固視 apatlent with congenital inner ear anom・ Equilibrium Res 46(2):155~159,1987 alies(先天性内耳奇形症例における前庭眼反 射と固視機能) 4)Evaluation of the vestibulo-ocular reHex by gaze function(固視機能による前庭眼反射の Arch Otorhinolaryngo1 245(4):255-258, 評価) 1988 708一
© Copyright 2024 ExpyDoc