ビスフォナール

**2003年4月改訂(第4版)
*2002年11月改訂
日本標準商品分類番号
873999
骨吸収抑制剤
規制区分
劇薬、指定医薬品、
要指示医薬品
(注意−医師等の処方せん・
指示により使用すること)
承認番号 20900AMZ00522
薬価収載 1997 年9月
販売開始 1997 年9月
インカドロン酸二ナトリウム
貯 法 室温保存
使用期限 外箱等の表示を参照
*2.重要な基本的注意
∏本剤投与後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン、BUN
〔禁 忌(次の患者には投与しないこと)〕
本剤あるいは他のビスホスホン酸塩に対し、過敏症の既往歴のある
等)を行うこと。
患者
π本剤投与後は、カルシウム、リン、マグネシウムやカリウム等の
高カルシウム血症と関連した標準的なパラメーターの変動に注
意すること。
〔組 成・性 状〕
**
本剤投与により低カルシウム血症が出現することがあるので、
血
1管5mL 中
有効成分
添加物
色調
pH
(
∼
インカドロン酸 乳酸、等張化剤、
4.1
ビスフォナール
pH 調整剤
二ナトリウム
無色澄明
注射液 10mg
10mg
4.5
清カルシウム値については特に注意すること。
浸透圧比
生理食塩液
に対する比
)
1.3
∫臨床症状(テタニー、手指のしびれ等)を伴う低カルシウム血症
があらわれた場合にはカルシウム剤の点滴投与が有効である。
∼
販売名
3.相互作用
1.5
[併用注意](併用に注意すること)
容器:無色アンプル
薬剤名等
カルシトニン製剤
エルカトニン
サケカルシトニン
カルシトニン
〔効 能・効 果〕
悪性腫瘍による高カルシウム血症
<効能・効果に関連する使用上の注意>
悪性腫瘍以外の原因による高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進症等)治
療における本剤の有用性は確立していない。
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
血清カルシウム値が 血清カルシウム低
急速に低下するおそ 下作用の増強によ
れがある。 る。
臨床症状を伴う低カ
ルシウム血症があら
われた場合にはカル
シウム剤の点滴投与
等適切な処置を行う
こと。 *4.副作用
承認時までに実施された臨床試験において、安全性評価対象149例
〔用 法・用 量〕
中、副作用は21例(14.1%)に24件発現した。主な副作用として発
通常、成人にはインカドロン酸二ナトリウムとして10mgを2∼4時
熱が16例(10.7%)に認められた。
間かけて単回点滴静脈内投与する。
(1)
重大な副作用
なお、高カルシウム血症の再発に応じて再投与が必要な場合には、
1)血圧低下(0.1∼5%未満)
:血圧低下があらわれることがあ
少なくとも1週間の投与間隔を置くこと。また、1日量として10mg
るので、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。
2)意識障害(0.1∼5%未満)
:意識障害があらわれることがあ
を超えないこととする。
るので、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。
3)低カルシウム血症(0.1∼5%未満)
:臨床症状(テタニー、手
<用法・用量に関連する使用上の注意>
指のしびれ等)を伴う低カルシウム血症があらわれることが
∏本剤は点滴静注にのみ使用すること。
あるので、このような場合には注射用カルシウム剤の投与等
π本剤1アンプルを日局「生理食塩液」5 0 0 ∼1 , 0 0 0 m L に希釈し、
2∼4時間かけて点滴静脈内投与すること。
適切な処置を行うこと。
(2)
重大な副作用(類薬)
急性腎不全:他のビスホスホン酸塩で、まれに急性腎不全が
起こることが報告されているので、このような場合には、適
〔使用上の注意〕
切な処置を行うこと。
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
∏重篤な腎障害のある患者[血中濃度が持続するおそれがある。
]
π全身状態が極めて不良である患者[全身状態が更に悪化するお
それがある。]
∫心疾患のある患者[本剤を点滴静脈内投与する際に生理食塩液
を負荷することにより、左室不全・うっ血性心不全を起こすお
それがある。また、本剤投与後通常1∼2日にみられる発熱も
心疾患の悪化に関与するおそれがある。]
ª高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照]
(1)
(3)
その他の副作用
濃度は2相性を示して減少し、半減期(tl/2β)は約2時間であっ
5%以上
た。尿中への未変化体の排泄率は投与後24 時間までに投与量の
0.1∼5%未満
55∼70%であり、未排泄薬物の大部分は骨に移行していると推定
尿蛋白、尿糖、尿ビリルビン、
尿沈渣
白血球増多、好中球増多、好酸
球減少、リンパ球減少
総ビリルビン上昇、AST(GOT)
上昇、ALT(GPT)上昇、γ−GTP
上昇、LDH上昇
腎 臓
血 液
肝 臓
高カルシウム血症患者における血漿中濃度は健常成人と
される1)。
大きな差はなかったが、尿中排泄率は約10%と低く、骨への移行
量は患者の方が多いと推定される2)。
〔臨 床 成 績〕
低リン血症、代謝性アシドーシス
電解質代謝異常
消 化 器
嘔気、口腔内出血
過 敏 症
発疹
<臨床効果>
悪性腫瘍による高カルシウム血症患者に対する本剤10mg単回点滴
静脈内投与時の血清補正カルシウム値改善度は95.2%(40/42例)
が著効を示した。また全般改善度は中等度改善以上で97.3%(36/
37例)であった2∼4)。なお、悪性腫瘍による高カルシウム血症患
発 熱
発熱
者を対象とした比較試験により、本剤の有用性が確認されている4)。
総蛋白低下、総コレステロール低下
そ の 他
〔薬 効 薬 理〕
5.高齢者への投与
1.骨吸収抑制作用
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、低用量(例えば
インカドロン酸二ナトリウムはマウス頭蓋冠器官培養系において、
5mg)を用いるなど慎重に投与すること。なお、臨床試験におけ
各種骨吸収促進因子による骨からのカルシウム遊離を抑制する5)。
る65 歳以上の高齢者での副作用発現率は10.9%(6例/55 例)で
インカドロン酸二ナトリウムはラットにおいて、癌細胞移植によ
あった。
り誘発された尿中デオキシピリジノリン値上昇を抑制する6)。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
2.血中カルシウム低下作用
∏妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性
インカドロン酸二ナトリウムは実験的高カルシウム血症動物(マ
ウス、ラット)の血中遊離カルシウム濃度を低下させる6)。
が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠
中の投与に関する安全性は確立していない。
]
なお、動物実験(ラット)で本剤を周産期の母体に静脈内投与し
〔有効成分に関する理化学的知見〕
た場合、妊娠末期に血中カルシウム低下に起因すると考えられ
一般名:インカドロン酸二ナトリウム(incadronate disodium)
る母体の死亡が報告されている。
π投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で母乳中
化学名:disodium cycloheptylaminomethylenediphosphonate
monohydrate
へ移行することが報告されている。
]
分子式:C8H17NNa2O6P2・H2O
7.小児等への投与
分子量:349.17
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確
構造式:
立していない。
[使用経験がない。なお、動物試験の結果、成長期
O
のラットにおいて大Ÿ骨骨幹端部に一次海綿骨(骨梁)の増生が認
ONa
められたこと、及びラットにおける周産期及び授乳期静脈内投与
P
試験の出生児において切歯発育異常が認められたことから、小児
NH CH
等においては、骨成長に影響を与える可能性がある。]
P
OH
・H2O
ONa
OH
O
8.適用上の注意
∏調製時:現在までに、下記に示す注射剤との配合変化を起こす
性 状:本品は白色の結晶である。本品は水又は氷酢酸に溶け
ことが確認されているので、混合しないこと。
カルシウム及びマグネシウムを含有する注射液。
やすく、エチレングリコールに溶けにくく、メタノー
蛋白アミノ酸製剤(アミユー、12%イスポール注射液、12%イ
ルに極めて溶けにくく、エタノール、アセトニトリル
スポールS注射液、プロテアミン12Ⅹ注射液)、マンニットT20、
ソルダクトン及びラシックス注。
πアンプルカット時:本品はワンポイントカットアンプルである
が、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭し、カットす
ることが望ましい。
〔薬 物 動 態〕
<血中濃度・排泄>
健常成人に0.025∼1.6mgを2時間点滴静脈内投与した時の血漿中
未変化体濃度は投与量に比例して増加した。点滴終了後の血漿中
(2)
又はエーテルにほとんど溶けない。
〔包 装〕
ビスフォナール注射液10mg 1管
〔主要文献及び文献請求先〕
<主要文献>
1)尾形悦郎 他:薬理と治療.22:4381,1994.
2)松本俊夫 他:臨床と研究.71:3263,1994.
3)松本俊夫 他:診断と治療.82:2025,1994.
4)松本俊夫 他:臨床成人病.25:383,1994.
5)川向康生 他:基礎と臨床.28:2895,1994.
6)高橋浩一郎 他:基礎と臨床.28:2905,1994.
**<文献請求先・製品情報お問い合わせ先>
山之内製薬株式会社 製品情報センター
〒174−8612 東京都板橋区蓮根3−17−1
電話(03)5916−5195
(3)
製造発売元
(4)
R 登録商標
○
BsI−MN01
Bs097600041