第23号(2012年12月 - 筑波大学菅平高原実験センター

町田龍一郎
生命をつなぐ動物達
べ物の在り処
を鼻で探りあ
てるのに懸命
で す。 写 真 の
くさんいます。
イノシシは食
ク マ や ヤ マ ネ・・・。 し か し、 冬 眠 な
どせずに頑張って生活し続けるものもた
多くの動
物は不活発になって冬眠します。
になるので
す。
ている動物
たちも厳し
い冬に命を
つなぐこと
季節にいよいよ
入ります。そし
て菅平に生息し
の寒い場所とし
て有名です。そ
の菅平も極寒の
今年 月に発行された菅平生き物通信
号 を 憶 え て い ら っ し ゃ い ま す か? 号
の記事﹁極寒レポート 本州一寒い場所︽菅
平高原︾
﹂にあるように、菅平は本州屈指
16
ボールになって
眠るヤマネ
写真:内舩俊樹
暖かくなりほどけてきた
ヤマネ
写真:内舩俊樹
二匹の子供の
イ ノ シ シ は、
しばらくして
姿を見なく
な り ま し た。
どうなって
冬 に 繁 殖 す る の で す。 多 く の も の は、 強
い 風 に 飛 ば さ れ な い よ う に、 体 温 を 奪 わ
れないようにと、翅を退化させています。
ガ ガ ン ボ( ハ エ の 仲 間 ) の 一 種、 ニ ッ ポ
ン ユ キ ガ ガ ン ボ は、 ま る で ク モ の よ う で
す。 翅 を ま っ た く 退 化 さ せ た カ ワ ゲ ラ の
仲 間、 ミ ヤ モ ト ク ロ カ ワ ゲ ラ は、 天 気 が
よいと川沿いの雪原にたくさん現われま
す。 厳 冬 期 の 雪 原 に 昆 虫 が 繁 殖 の た め に
しまったの
で し ょ う か。
片方の角が
短いイチイ
好きのカモ
シ カ は、 我
寒 い 冬 の 季 節 と な り ま す が、 動 物 た ち
に 負 け な い よ う、 元 気 に 過 ご し て い き ま
しまったメス
は、 オ ス と の
交 尾 の 後、 冬
期に産卵する
の で す。 雪 上
に 現 れ る﹁ 雪
虫﹂と総称さ
れる昆虫もい
ま す。 彼 ら は
木園ならではです。
冬になると園内
は一面の銀世界にな
察ができるのも樹
コの季節です。樹木とキノコの関
係 は 深 く、 そ の 観
ください。また、秋と言えばキノ
に赤い実を見つけるとつい口に入れ
てみたくなってしまいますがご注意
種子標本などを作ってみるのもお勧
め し ま す。 種 子 に は、 食 用 に な る も
の と そ う で な い も の が あ り ま す。 特
お盆を過ぎる
と菅平の短い夏
も終わり秋が
や っ て き ま す。
秋と言えば紅葉
で す。 2 0 0 種
類 の 樹 木 の 紅 葉 は す ば ら し く、 落 ち
葉 を 踏 み し め な が ら 歩 く 観 察 道 は、
ただ歩くだけで日々のストレスを忘
れ さ せ て く れ ま す。 樹 木 園 で は 色 々
な 種 子 を 観 察 す る こ と も で き ま す。
種子を集め比較してみるのも楽し
い で し ょ う。 ク リ、 ト チ、 オ ニ グ ル
ミなど大きな種子からシラカバやダ
ケ カ ン バ の よ う な 小 さ な 種 子 ま で、
樹木園の四季
げます。 よい新 年 をお迎 え下 さ
い。
来 年 も皆 さまにとって佳 い年 で
ありますように、そして、新年も
本 年 同 様、 宜 しくお願 い申 し上
今 年 1 年 も、 東 郷 堂 さんのご
協 力 で 「菅 平 生 き物 通 信 」 をお
届けさせていただきました。楽し
んでいただけたでしょうか。
しょう。
現われるとはビックリです。
が家の生垣
を 毎 朝 食 べ に や っ て き ま す。 野 鳥 は 冬 眠
することはありません。シベリアから渡っ
てくるマヒワは吹雪の
中で懸命に餌を探しま
す。 多 く の 昆 虫 は 卵 や
蛹などのステージで冬
越 し し ま す。 し か し、
冬に繁殖をする昆虫も
い ま す。 冬 に 弱 々 し く
飛ぶ蛾をご覧になった
方もいるかもしれませ
陶山舞 写真・イラスト
作 る こ と が で き ま す。 も し
よろしければ菌のことを考
えながら作ってみてくださ
い。
(文
森下奈津子)
町田家の生垣を食べるカモシカ
ん。これは冬にでるシャ
クガ科の蛾でフユシャ
ク と 呼 ば れ る 仲 間 で す。 翅 を 退 化 さ せ て
きます。
写真はコウジカビを顕微鏡でみた
様 子 で す。 頭 が 広 が っ て い る よ う に
見 え ま す。 一 番 外 側 に つ い て い る 丸
いつぶつぶが分生子とよばれるもの
で す。 こ れ が 風 な ど で 飛 ば
さ れ、 発 芽 す る こ と で 他 の
場所に広がっていきます。
甘酒を作るとなるとなか
なか面倒に思われるかもし
れ ま せ ん。 し か し、 炊 飯 器
の保温機能を使って簡単に
酸 化 炭 素、 つ ま り 炭 酸 が で
それを酵母が分解しアルコールと二
酵 素 が 麦 の デ ン プ ン を 糖 に、 さ ら に
で は、 発 芽 し た 大 麦 に 含 ま れ る 麦 芽
も 協 力 し て い ま す。 例 え ば、 ビ ー ル
甘酒はどうして甘いの?
寒い日に甘酒を飲むのはどうで
し ょ う か。 甘 酒 は 元 々 夏 バ テ 防 止 に
飲 ま れ て い た と い い ま す が、 最 近 は
お正月にふるまわれることも多いで
す ね。 ま た、 甘 酒 に は ア ル コ ー ル は
含 ま れ て い な い の で、 お 酒 の 苦 手 な
人や子どもでも飲むことができ ま
す。
甘酒は麹の力を借りるこ
と で で き ま す。 麹 と は お 米 に コ ウ ジ
)
カ ビ( Aspergillus oryzae
を 生 や し た も の で す。
コウジカビはお米に含
まれるデンプンを食べ
て 糖 に 変 え ま す。 そ の
ため甘いお酒になりま
す。 こ の 甘 酒 の 状 態 か
ら酵母によって糖がア
ルコールに変えられると日本酒
が で き ま す。 よ っ て、 甘 酒 に は
アルコールが含まれていないの
です。コウジカビは、
このようにして日本酒や
味噌、醤油を作るときに
甘さを
感じてみてね!
秋 ・冬 編
きます。 号 号と亘り簡単に樹木園の
四 季 を 紹 介 し ま し た。 ぜ ひ 一 度 足
を 運 ん で く だ さ い。 職 員 一 同、 お
跡を追う事で彼らの行動が想像で
リ ス、 ウ サ ギ、 キ ジ、
ニホンカモシカなど動物たちの足
て つ け ら れ た キ ツ ネ、
跡観察があり
ます。木々の間を縫っ
一つとし
て雪上の
動物の足
冬芽観察や葉痕観察は冬の楽しみ
で す。 冬 芽 も 葉 痕 も 樹 種 に よ っ て
異なるのでそれぞれを覚えると葉
が無い季節でも樹を見分けること
が出来るようになります。例えば、
オ ニ グ ル ミ は 羊 の 顔、
ウルシ
はハー
ト型な
ど。
樹木観
察とは異
なります
が、 冬 の
楽しみの
雪の上のミヤモトクロカワゲラ
2
も活躍しています。また
ります。冬は観察す
るものが何もないと
まるでクモのような
ニッポンユキガガンボ
16
一 方 で、 酵 母 は ワ イ ン、
/
/
吹雪の中でマツヨイグサの種をついば
むマヒワの群れ
待ちしています。(文 金井隆治
イラスト 森下奈津子)
22
こどものイノシシ
顕微鏡でみたコウジカビ
ウスバフユシャクの交尾。
翅が立派なオスと翅が退化
したメス(手前)
思われがちですが
23
/
オニグルミの葉痕
ウルシの葉痕
ホームページ http://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp 電子メール [email protected] 電話 0268-74-2002 Fax 0268-74-2016
ビール、パンを作る際に
/
第 23 号 2012 年(平成 24 年)12 月発行 発行者:筑波大学菅平高原実験センター © 筑波大学菅平高原実験センター
冬の自然観察会のお知らせ
18
シロアリ
日(水)午前9時
30 1
シロアリ、と聞いて嫌な
印象を抱く人は少なくはな
いでしょう。その通り、シ
月
分受付
筑波大学菅平高原実験センターでは、秋に続いて冬
の自然観察会を行います。お申込みお待ちいたしてお
ります。
年
分受付 30 30
時~正午
日(土)午前9時
15
⑤参加費 無料 保険料 円
⑥問合せ・受付 筑波大学菅平高原実験センター
発行予定です
次号は
月
ご協力いただいています。
本通信の印刷・配布は、東郷堂さんに
ファックスでの申込みをお願いします。
* 電 話 が 込 み 合 い ま す の で な る べ く、 電 子 メ ー ル か
す。(複数名申し込みの場合は代表者に連絡します)
込みいただいた全員に参加可能の有無をお知らせしま
番号・参加希望日時をご記入ください。 *申込多数の場合は抽選といたします。その場合お申
者全員の氏名と代表者の住所・電話番号・ファックス
担当:池田
*ファックス・電子メールでお申し込みの際は、参加
FAX 0268ー74ー2016
電 子 メ ー ル [email protected]
TEL 0268ー74ー2002
30
ロアリは一般に害虫として知られ、建築物への被害は時に
深刻になります。しかし木を食べるという事は言い換えれ
①日時 平成
月
1
受付時間 午前 時~午後 時 分
④定員 各回 名 定員を超えた場合は抽選になります
9 25
ば植物質を分解する事が出来るという事であり、彼らも生
態系においては重要な構成要素の一員です。
年
2 30
開始 両日とも 午前
平成
2 1
②コース 大明神の滝までの観察道
③申込受付 平成 年 月 日~ 月 日 10
25 25
20
シロアリは世界に2000種以上が
生息すると言われますが、日本にはそ
の内約 種のシロアリが生息していま
す。本州に広く分布するのはイエシロ
アリ、ヤマトシロアリのような建築物
を加害するシロアリですが、西表
島や八重山諸島にはキノコや枯れ
た植物を食べるシロアリが生息す
るなど、日本に生息するものだけ
でもその生態は多様です。すべて
のシロアリが害虫として扱われる
わけではないのです。
このようにシロアリは異なる種においては勿論、ひとつ
の種の中でも様々な姿を見せてくれます。昆虫の中でも爪
は外敵から巣を守る役、そして女王アリは卵を産み子孫を
残す役、という風に、その役割はそれぞれ全く異なります。
こうしたシロアリたちが独自の社会を形成し、ひとつの集
合体として自然の中に生息しています。
女王アリなどの階級が存在し、階級ごとにそれぞれの役割
を持ちます。働きアリは卵や幼虫の世話をする役、兵アリ
そしてシロアリと言えば特徴的なのはその社会性です
が、ご存知でしょうか。シロアリには働きアリ、兵アリ、
シロアリの卵(右)とシロアリの成虫
弾き者にされる事の多いシロアリですが、少しでも関心を
持って頂けたでしょうか。もしもシロアリを見つけたら、
駆除も良いですがぜひ一度じっくりと観察してみて下さ
い。 (松嶋美智代)
バラ科バラ属カラフトイバラ
C.A.Mey.
4
1
ブナ科コナラ属ミズナラ
Quercus crispula Blume
センター内ススキ草原
Rosa amblyotis
25
撮影:平成 24 年11月24日
phenology