特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク ぱちんこ依存問題

発行日 2011 年 11 月 25 日 第 55 号
ぱちんこ依存問題相談機関 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
ぱちんこ依存問題相談機関からのメッセージ
55号
さくら通信とは・・・
小さなつぼみに過ぎない私たちの活動が、桜前線のように南の島沖縄から日本中に回復支援の輪
となって広がり、これらを必要とする人たちに届くことを願って名づけました。
詳しく丁寧にお伝えしたいので今月は4ページ増
CONTENTS
P1……RSN News
P2……2011 年 10 月相談データ報告
P3-6…特集 ケーススタディ
P7……トピック&インフォメーション
P8……情報掲示板
RSN News
今月号のさくら通信は、ケーススタディを詳しく丁寧に紹介したいとい
う思いから、通常より4ページ増でお届けいたします。過去3回のケース
スタディは、相談員としての考え方を整理する上で、とても役に立つ解説
でした。今回は妻の立場ならではのポイントなどを紹介しています。この
特集が皆様にとって、ぱちんこ依存問題を理解する一助となれば幸いです。
(相談員 横山)
開設以来の相談件数が 6,000 件を超える
英語版 HP の運用始まる
RSN は、2006 年 4 月に 「ぱちんこ依存問題相談機
関」 として電話相談ラインを開設し、今年で 6 年目を
迎えます。相談件数は着実に増え続け、今年の 9 月に
は、開設以来の総件数が 6,000 件を超えました。「誰
にも相談できずに困っている本人へ援助の手を」 と、問
題を持つ本人へ援助の手が届くよう活動を続けてまい
りました。その結果、開設当初は本人より家族からの
相談を多くお受けしましたが、最近では全体の約 70%
~ 80%は問題を持つ本人からの相談をお受けするよう
になりました。今後、6,000 件を越える相談データの
内容を分析、考察し、報告書として出版する予定です。
RSN の活動紹介やイベント告知や報告、取り上げて
いただいた記事紹介や関連団体とのリンクなど充実し
たコンテンツを提供している RSN のホームページに、
英語版が新たに加わ
り運用を開始しまし
た。 現 在 は 1 ペ ー
ジのみですが、今後
ページを増やし、海
外の関係機関へも積
極的にアピールして
いく予定です。
RSN 電話相談件数の推移
(件)
1500
(実績)
(予測)
1305
1185
1187
1200
989
1100 件前後
900
846
600
2006
2007
2008
2009
2010
2011(年度)
←毎年平均して 1,000 件
前後の相談をお受けして
い ま す。2011 年 度 の 相
談件数はこのままのペー
スで相談をお受けします
と、約 1,100 件前後と予
測しています。
英語版 HP
http://rsn-sakura.
jp/rsn_english.pdf
RSN 主催「ギャンブリング問題を学びましょう」講演会開催決定 !!
2012 年 1 月 18 日 (水) 鹿児島県鹿児島市
日 時 2012 年 1 月 18 日(水)
14:00 ~ 16:30 (受付 13:30)
場 所 サンエールかごしま 中会議室 1
鹿児島県鹿児島市荒田一丁目 4 番 1 号
参加費 無料 (資料代 500 円 希望者のみ)
プログラム
対 象 ギ ャ ン ブ ル の 問 題 の 支 援 に 携 わ る ( 携 わ り た
い) 方 (ギャンブル問題を持つ本人、家族向けではありま
せん)
リカバリーサポート・ネットワーク 代表 西村 直之
○第一部 講演 「ギャンブリング問題とその支援」
○第 2 部 電話相談から見えてきた様々な事例
講師&コーディネーター
NPO 法人
主催 ギャンブルの問題の支援に携わる人たちの勉強会
NPO 法人リカバリーサポート・ネットワーク
問合せ 098-871-9671 (RSN)
1
ぱちんこ依存問題相談機関 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
2011 年 10 月の電話相談のデータ報告
10 月は 84 件の相談をお受けしました。8 月のポスター改訂後は相談件数も安定し、ホール内ポスターを経由
した本人からの相談では前年度平均を超える相談をお受けしました。ポスター改訂後、相談者からの反響として、
ポスターにあったチェック項目を見て 「当てはまる部分が多くて電話した」
「自分は依存症か?」
といった声が多数
寄せられました。自身の遊技について度を超えているかどうかを知るツールとしても、新ポスターは効果があるよ
うです。
2011 年 10 月 1 日~ 2011 年 10 月 31 日 相 談 件 数
84 件
2011 年 4 月 1 日~ 2011 年 10 月 31 日 今年度累計 600 件 開設からの総件数 (2006
年 4 月~ )
6,112 件
② 性 別
① 相談回数
③ コーラー関係性
n=84
間違い・無言・
問い合わせ
3(3%)
n=72(初回のみ)
コーラー
男性
43(60%)
対象者
複数回
9(11%)
初回
72(86%)
男性
53(74%)
④ コーラーの年齢
本人
援助職者
n=72(初回のみ)
19
12
8
10
20
30
7
3
40
2
50
保健所
1
保健所
医療機関(主治医戻し含む)
医療機関(主治医戻し含む)
4
60
70
80
(代)
17
援助職者 複数回答
8
その他
その他
紹介先無
1
1
13
1
20
4
紹介先無
①相談回数…先月から引き続き初回相談者の比率が高
家族・友人
援助者
合計
51
6
0
57
インターネット
3
3
0
6
他の相談機関
0
1
0
1
その他
2
6
0
8
合 計
56
16
0
72
Pick UP Data〈相談者の雇用・収入形態〉
n=435(初回のみ、不明除く)
扶養のみ
81(19%)
給付
34(8%)
オーナー
10(2%)
2
家族・友人
n=72 (初回のみ ) い状態が続いています。
本人
非常勤
89(20%)
本人
弁護士会
⑥ 経 路
ホール内ポスター
本人
56(78%)
ギャンブラーズ・アノニマス
ギャンブラーズ・アノニマス 4
精神保健福祉センター
精神保健福祉センター 1 3
ギャマノン
ギャマノン
ワンデーポート 2
ワンデーポート
弁護士会 1
15
1
女性
19(26%)
⑤ 紹介先
家族・友人
1
女性
29(40%)
n=72(初回のみ)
家族・友人
16(22%)
常勤
221(51%)
③コーラー関係性…家族・友人からの相談では、相談
件数の低い状況が続いています。 (今月 16 件 / 前年度
月平均 21.9 件)
④コーラーの年齢…先月と比較して、特に 20 代本人(今
月 15 件 / 先月 21 件) からの相談減少が目立ちます。
⑥経路…前年同月と比較し総相談件数は 29 件減少しま
したが、ポスター経由本人からの相談はほぼ同数でし
た (前年同月 53 件) 。
どのような収入状況にあっても問題は起こりうる
今年度 4 月より対象者 (問題を抱える本人) の「雇用 ・ 収入形態」 のデ
ータ集積を始めました。分類項目は常勤・非常勤・オーナー (自営業)
・
給付 (年金等)
・
扶養のみ (学生・生活保護等) です。データ集積により
対象者の自活可否の判断、紹介する相談機関の判断材料や問題ギャン
ブラーモデルの分類要素として活用します。グラフは 2011 年度 4 月
~ 10 月までの 435 件 (初回相談、不明は除く) の内訳です。このデー
タからのめりこみ問題はどのような収入状況でも起こりうる問題であ
ることが分かります。詳細データは次年度の報告書でお伝えします。
RSNケーススタディ
No.4 『問題を抱える夫を持つ妻からの相談』
今回取り上げるのは、問題を抱える夫を持つ妻からの相談です。一言に家族からの相談と言っても、親、配偶者、
兄弟 / 姉妹、こども、親類とその立場や関わりの深さなどによって、受ける影響も問題意識も実に様々です。パチ
ンコ依存問題は、金銭問題だけでなく、うつや暴力などとも結びつきやすいため、同じ屋根の下にいる妻やこども
たちは、程度の差はあれ問題の影響を受けます。 今回は、 パチンコで借金を繰り返し、 家族への影響も深刻化しは
じめている 40 代男性を夫に持つ妻からの相談ケースについて、 どのような支援ができるのか考えてみました。
相談者 A さん (43)
A さんの相談は…
夫がパチンコをするために借金をし続け、この先の生活に不安を感
じている。夫のパチンコをやめさせたい。
A さんは…
いわゆる専業主婦。結婚して 12 年。7 歳、10 歳のこども 2 人。
相談の内容
7年ほど前から、夫のパチンコによる借金の繰り返
しで困っている。過去に2回借金が発覚。その度に相
談者が家計から返済を続けてきた。最近、消費者金融
からの借金120万円が発覚した。夫の両親に相談した
ところ、夫は20歳の頃からパチンコを始め、両親が何
度か借金を肩代わりして返済していたことが分かっ
た。夫の両親は、パチンコ問題があることを知ってい
ながらも、時々夫に少額ながら小遣いを渡している。
本人には毎月小遣いを渡しているが、夫は足りなく
なると何かと理由をつけたり、嘘をついたりしてはお
金をくれと言う。相談者は、同じやり取りの繰り返し
対象者 ( 夫 ) のパチンコ問題
Aさんの夫(45歳) 会社員
20歳からパチンコを始める
仕事帰りにほぼ毎日遊技する
◎金銭問題
パチンコを始めて、数年で金銭問題が発生
借金発覚後は、反省し数ヶ月やめている
結婚前からの借金の繰り返し
自己返済できず家族が返済
◎飲酒や薬物、パチンコ以外での浪費の問題はない
◎パチンコのために仕事を欠勤したことはない
◎精神科の通院歴はない
◎口論はあるが、暴力はない
◎失踪や自殺をほのめかす言動は今までない
にストレスを感じながらもお金を渡している。夫は、
仕事は休まず、給料は毎月振り込まれている。しかし、
住宅ローンや子どもの養育費で金銭的な余裕はなく、
毎月生活は苦しい。
相談者は、パチンコをやめさせるために金銭管理を
したり、仕事が休みの日は用事をつくって家にいるよ
うにしたりしているが、上手くいっていない。パチン
コや借金にまつわることでしばしば口論になる。
本人は借金が見つかると反省するが、数ヶ月で以前
と同じ生活パターンに戻ってしまう。このまま同じこ
とを繰り返されると生活が破綻してしまうのではな
いかと不安になる。パチンコをやめさせるには、どう
すれば良いか知りたい。
相談者 ( 妻 ) の現状と気持ち
◎現状
専業主婦で、収入はない
家計管理は、相談者が行っている
健康上の大きな問題はない様子
こどもに不登校などの明らかな問題はない
夫の問題を、夫の両親以外には相談したことがない
依存問題について、勉強したことはない
◎相談者の気持ち
夫の問題への対応に強いストレスを感じている
金銭的不安を感じている
離婚も選択肢のひとつとして考えている
パチンコが止まれば、問題は解決すると思っている
夫の両親の対応に不満を感じている
3
ぱちんこ依存問題相談機関 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
相談員の見立て
◎夫のパチンコについて
巻き込みながら深刻化する可能性が高い。
繰り返される借金、嘘、家族内の不信、口論などがパ
チンコによって生じている。SOGSなどの問題ギャン
ブラーの評価用紙を用いれば、
『 問題ギャンブラー以
上』と評価されるレベルにある。パチンコ問題の背景に
明らかな精神医学的な問題はなさそうである。また、抑
うつや自殺念慮などのパチンコ問題に起因する二次的
な精神医学的問題も表面化するレベルにはない。
夫の行動修正は必要であるが、介入の緊急度は高く
はない。しかし、夫は問題意識と行動変化の意欲は乏し
く、このまま放置すれば、さらに問題が悪化し、家族を
◎相談者 (妻) の問題認識について
相談者 (妻) は、問題意識と危機感はあるものの、問
題への知識、 対処技術の向上、 問題対応の支援者の確
保などについて支援が必要である。問題が長年に渡り
ながらも、金銭問題以外は決定的な破綻を生じるほど
の問題が生じておらず、自身を含め、抱えている状況
を現実よりも軽く受け止めている印象がある。緊急避
難的な介入は要しないため、相談者には依存問題に関
する知識や社会資源について学び、利用してもらうこ
ととする。
電話相談員のアドバイスは
1)本人への対応についての説明と提案
【説 明】
●現段階では、本人のパチンコ問題を相談者がコント
●本人の問題を解決しようとして、本人の問題に巻き
今までの努力をねぎらいながらも、自分だけで何
相談者の抱え込みや罪悪感、無力感に配慮し、冷静
とかしようとするのは難しく、限界を超えているこ
に問題に関われる距離をとることの必要性を伝え
とを認めていただく。思うように夫や問題のコント
る。問題を抱え込んでしまうと、問題を過度に重く感
ロールはできないが、問題の見方や対応を変えれば、
じたり、深刻な問題を軽く受け止めたりと、理性的な
現在の苦しい状況から抜け出す可能性は十分にある
判断ができない状態に陥りやすい。
ロールし解決することは難しい。
込まれないよう注意する。
ことを保障する。
【提 案】
さらに以下のような具体的な提案は、効果が期待できる。ただし、相談者にいきなり多くの提案をしても、十分
に理解できず不安を強める場合もある。状況を見ながら段階的に提案とフィードバックを繰り返していくこと
が望ましい。
◉自身のストレスについて相談し、継続的な支援を受
ける必要がある。
まず確保すべきなのは、相談者の健康である。夫
であるギャマノンに参加することが有効であるこ
のパチンコの問題ではなく、夫に巻き込まれて困っ
オープンミーティングの時は、家族が参加できるこ
ている自身のストレスについて、精神保健福祉セン
ターなどに相談をすることもできる。相談者とこど
もの救済が優先されることを説明する。
◉本人からRSNに電話相談してみるように伝える。
本人が自身の問題に対して、何らかの修正に結び
つく行動を起こすことは大変大きな意味を持ってい
る。RSNは、匿名の電話相談であるため、相談しやす
いという利点がある。冷静な第三者 (相談員) の提案
は、家族からの提案よりも受け入れやすかったとい
う当事者も多い。
◉相互援助グループ (GA、ギャマノン) に足を運ぶ。
GAやギャマノンへの参加を勧める。夫にはGAの
存在を伝え、相談者自身が家族の相互援助グループ
4
とを伝える、GAでは、当事者が自主的に集まり、自
身の問題と回復に向き合う姿を見ることができる。
ともある。
◉家族教室に参加し、対応を学ぶ。
正しい知識の獲得は重要である。横浜にあるギャ
ンブリング問題の回復支援施設ワンデーポートの家
族セミナーでは、家族の対応について、司法書士や精
神保健福祉士が講師となって具体的な対応方法を教
えている。多少遠方でも、問題に対する正しい知識や
危機感を持ってもらうために参加を勧めている。
◉夫の両親にも問題対応の理解と協力を求める。
現在、夫の両親の対応には問題がある。しかし、夫
の問題を認識している数少ない関係者でもある。共
に学んで連携できれば効果的である。ギャマノンや
家族セミナーの参加、書籍が役立つ。
2)借金への対応についての説明と提案
●金銭管理の仕方について
●借金返済の対応
現在金銭管理は相談者 (妻)が行っているが、本人の
現在ある借金は今すぐ返済する必要がないことを
要求に勝てず、上手く行っていない。しかし夫まかせ
説明する。借金返済は、却って本人の問題意識を低下
では金銭問題がより大きくなる可能性があり、家族の
資産保護のためにも金銭管理は必要である。
夫の両親も加え、決まった金額以外は渡さない、週
単位で渡すなどの原則について夫と話し合い、金銭管
理について明確にする。管理はするが、そのことによ
る責任を相談者が負う必要はないことを伝える。どの
ような取り決めをしても管理困難であれば、離婚に向
けて資産保護を行うことも必要である。
借り入れ先のカードを預かる、使えないようにす
る、相談者名義での借金や財産を勝手に使われないよ
うに管理することも必要である。 させ、次の借金問題引き起こすだけである。
本人名義の借金であれば、妻に返済義務は無いの
で金融機関から返済を求められても、本人に直接伝
えるよう先方に伝えればよい。いわゆる 「おまとめ
ローン」などで借り換えをしないように説明する。
また、借金返済や本人の使い込みで、これ以上財産
が減らないような工夫が必要である。このような法
的問題に関する相談は、司法書士や法テラスが受け
ていることを伝える。前述のワンデーポートの家族
セミナーで、借金への正しい対応について講師 (司
法書士など)から学ぶことができる。
◆ TOPICS ◆ 金銭管理による新たな借金への不安には
家族は、金銭管理を続けて行くなかで、他社からの借金、ヤミ金からの借り入れ、さらには犯罪に手を出し
たらどうすべきかと言った不安を持たれることが少なくない。
2010年の貸金業法改正に伴い、総量規制が施行され、借金を返済しない限り新たな借金は難しくなって
いる。ヤミ金からの借り入が発覚した場合は、違法営業なので、警察に相談し対応してもらうよう勧める。ヤ
ミ金からの借金は支払う必要が無い。
犯罪については、実際は金銭管理が原因で起きるわけではない。ギャンブリング問題が進行したための結
果である。もし警察に拘留されることがあればNPO法人アパリ (APARI)の司法プログラムを利用すること
ができる。司法問題を契機に、回復プログラムにつながることもある。
(アパリHP http://www.apari.jp/)
3)こどもへの影響についての説明と提案
こどもへの明らかな問題行為 (虐待や育児放棄)は
いないか注意する必要がある。
生じていないものの、ギャンブリング問題の影響 (夫
学校の担任やこどもの友達、塾の先生などを通し
婦関係の悪化など) によって、親が気が付いていない
て、こどもの生活態度や行動の変化が無いか気をつ
ところで生じているかもしれない。学校での生活態度
けておくよう伝える。
や友人との関係 (友人への暴力など)に変化が生じて
補足:ギャンブリング問題に利用できる社会資源あれこれ
◎本人(問題当事者)
◎書籍
忘れられがちであるが、最も有用な社会資源は問題
セミナーや家族会に参加出来ない事情がある家族
当事者である本人である。本人の問題対処能力を有効
には、家族向けのギャンブル問題についての書籍の
に発揮してもらうためには、本人の問題意識や意欲、
紹介も役に立つ。
『ギャンブラー救出マニュアル』
(伊
精神医学的問題の併存などの評価が必要である。
波真理雄著 PHP出版)には実際起こったケースや
本人は、家族に対し嘘をついたり隠し事をしたりす
対応について書いてあり、問題を抱えた家族がどう
るため、家族であっても正確に問題を把握できていな
対応しているかなど参考なる部分が多い。ワンデー
いことも多い。ところが、電話相談では、家族に隠して
ポートの出版している書籍も役に立つ。
いる問題を相談員に聞いて欲しいという本人は少な
くない。本人からの相談は、正確な情報収集を可能に
するだけでなく、問題意識の変化や動機付けにも大変
有用である。
5
ぱちんこ依存問題相談機関 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
◎ワンデーポート家族セミナー
◎精神保健福祉センター
ギャンブリングによる借金は、直ちに返済しないこ
相談者自身のストレスや不安、不調、子どもへの影
とが前提である。しかしそれでは、利息の不安、借金を
抱えての生活への不安が拭えない。
ギャンブリング問題による借金返済には、適切な返
済の方法とタイミング (時期)が存在している。そのた
め債務問題に関しては、ギャンブリング問題への理解
る。原則無料で継続した相談が可能で、必要であれば
病院の紹介などを受けられる。本人のギャンブル問題
や精神医学的問題についての評価を受けることがで
きる。家族教室を定期的に開催しているセンターもあ
が深い専門家の力が有用である。
る。各県に一ヶ所は、必ず設置されている。
ワンデーポートの家族セミナーでは、専門家による
◎女性相談所
「借金についての対応」
「なぜすぐに返済すべきではな
いか」などのレクチャーが行われている。
金銭問題だけでなく、家族が抱えやすい疑問や問題
への対処方法なども学ぶことができる。
◎相互援助グループ
ギャンブリング問題を持つ本人には、当事者本人の
相互援助グループ(GA)への参加が有効である。
相互援助グループは、強制的に参加させても効果は
薄く、問題意識が低い時に参加しても効果は乏しい。し
ギャンブリング問題では、DVなどの家庭内におけ
る暴力問題が合併しやすい。暴力による身の危険を感
じた時は、ギャンブリング問題への対応は中断し、自
身とこどもの安全を最優先に考えるよう家族に伝え
ておく必要がある。
女性相談所は、各都道府県に必ず一ヶ所あり、安全
を確保出来る一時保護所を準備している。公的機関で
あり、費用は無料。福祉事務所でも相談は可能。緊急時
は、警察に保護を求め、女性相談所に連絡をしてもら
かし、動機付けができた時には有用な社会資源となる。
う方法もある。
参加する気が無い段階であっても、本人にGAの存在を
◎日本司法支援センター (法テラス)
伝えておくことは、大切な布石となる。家族がGAの書
籍を購入することもできる。書籍がきっかけで本人の
問題意識に変化が起こることもある。
家族の相互援助グループとしてはギャマノンがあ
る。同じような問題を抱えている他の家族とのつなが
りが持て、一人で問題を抱える不安が和らぐ効果が期
待できる。他の家族の対応が自身の問題解決に適合す
るとは限らないため、かえって混乱する家族もいるが、
家族自身の安心できるケアの場所として繋がることが
できれば、有効性は高い。
◎ワンデーポート
ワンデーポートは、ギャンブリング問題を持つ人の
回復支援を行う団体であり、支援の個別化に積極的に
取り組んでいる。
本ケースのように、本人も家族も仕事を離れてまで
施設利用をする決断はできない人であっても、今後問
題がさらに深刻化した場合にはワンデーポートでのプ
ログラムが必要となるかもしれない。
ギャンブリングを止めて、回復プログラムに集中で
きること、ギャンブリング行動だけでなく借金への対
応など専門家のサポートが受けられること、家族も相
談が受けられることなどの点で施設プログラムは効果
的である。一方で、利用に伴い休職または離職、家族へ
の経済的な負担、リハビリ後の再就職問題などが生じ
るため、問題に気が付いた時から、繋がりを作っておく
ことが大切である。
6
響についての面接相談が出来る公的な相談機関であ
家族の支援では、離婚は選択肢として保障しておか
なければならない。離れきれず共倒れしたり、こども
を巻き込んでしまうことを防ぐためにも、相談者から
希望があれば、法律的な支援を受けられる社会資源と
して法テラスを紹介している。無料で離婚や法律に関
する様々な問題についての法律相談ができる。
◎保健所
精神保健福祉センターを利用できない場合は保健
所での相談も可能である。地域によってはギャンブル
問題についての相談も実施している。飲酒などの問題
が合併している場合は、積極的に利用を勧める。
小さいこどもや高齢者がいる家族は、保健師の訪問
などを依頼し、ギャンブリング問題によって二次的に
生じている生活の負担や問題の軽減や解決に力を貸
してもらうこともできる。
◎ファイナンシャルプランナー
ギャンブル問題を抱えながら今の収入で生活をど
のように守るのか、住宅ローン返済をしながら今後ど
のように生活を維持するか、住宅ローンの借り換え等
や家計の見直しなど生活設計の修正には、ファイナン
シャルプランナーが役に立つ場合もある。
今月のトピック&インフォメーション
沖縄勉強会 開催報告と今後の予定
ワンデーポート
HP& リーフレットリニューアル
ギャンブルに問題がある人たちの回復支援施設 「認 10 月 15 日 10:00 より RSN ゲストルームに於いて
定 NPO 法人ワンデーポート」 がこの度ホームページと 「ギャンブルの問題の支援に携わる人の勉強会 in 沖縄」
リーフレットをリニューアルしました。新しいホーム が開催されました。沖縄での開催は今回が 2 回目で、
ページでは、入所案内や Q&A に加えて、利用者の体験 この日は 7 名の援助職者の方が集り、提示した事例に
談を読むことができます。またリーフレットは、提供 対しディスカッションを行いました。今後、参加者の
プログラムや寮での生活についてイラストや写真を多 ネットワーク作りも視野に入れた活動を予定していま
用し、カラーで見やすい作りとなっています。リーフ す。ギャンブリングの問題の支援に携わる(携わりたい)
レット希望者には郵送も行っています。
方であればどなたでも参加できます。
問合せ先 / ワンデーポート 045-303-2621
問合せ先 / ギャンブルの問題の支援に携わる人の勉強
URL http://www5f.biglobe.ne.jp/~onedayport/
会 in 沖縄事務局 098-871-9671 (RSN 内) まで
○沖縄勉強会の今後の予定
2011 年 12 月 17 日(土)
於:RSN ゲストルーム
10:00 ~ 12:00
2012 年 1 月 21 日(土)
於:RSN ゲストルーム
10:00 ~ 12:00
西村代表活動報告
↑新しいリーフレットでは、入所プログラムについて詳し
く書かれている。「問題をお持ちの本人やその家族の方にぜ
ひ読んでほしい」とのこと
マスメディアによる RSN
活動紹介
2011 年 9 月 20 日
レジャー情報
10 月号
2011 年 9 月 28 日
遊技ジャーナル
10 月号
2011 年 10 月 20 日
月刊遊技経済 10 月号
2011 年 10 月 21 日
ぱちかる
12 月号
東日本大震災の関連支援を行っています
①精神保健援助者向けの支援 被災され、家または
職場、採用予定の職を失った精神保健援助職の方々
に、RSN の施設 (3DK)
を緊急避難の滞在先として
○講演 2011 年 9 月 23 日 (金)
「絶望の淵から希望へ 生きていて良かった!
~薬物依存症からの回復~」
主催 / 香川ダルク設立準備会
○シンポジスト 2011 年 11 月 13 日 (日)
「福祉のトップセミナー in 雲仙 2011」 シンポジウム 「薬物と高齢・障がい者の再犯に
どう向き合うのか ―新たな課題―」
主催 / 社会福祉法人 南高愛隣会 (コロニー雲仙)
現場からこんにちは ~写真で見る RSN ~
タイトル 「年末に向け清掃進行中」
←相談をお受けする合
間、年末に向けて大掃除
が進行中。時おりバチッ
となりながらも蛍光灯を
清掃。日ごろしない所を
掃除していると、冷蔵庫
の中から賞味期限が切れ
たものが次々と…。
提供中です。宿泊者の中で相談研修プログラムを受
ける方には、少額ですが臨時スタッフとして給与を
支給いたします。
②遊技業界関係者向けのメール相談 被災された
遊技事業関係者およびそのご家族と、被災者支援、
地域支援に関わっておられる遊技事業関係者へ、
E-mail による精神的ケアにかかわる情報・実施方法
などについて助言および情報提供を行っています。
相談専用 E-mail アドレス [email protected]
• 8、9 月は総務が最も忙しい時期でしたが、総務部に新
スタッフが加わり心機一転!無事に乗り切ることが出
来ましたが、今年も残りわずか。最近 1 年が短く感じ
てきています。総務部 銘苅
• より多くの方からの相談をお受けできるよう、現在メ
ール相談のシステムを構築中です。運用が決まり次第
ご報告いたします。 研究開発部 内藤
• 季節の変わり目は誰でも体調を崩しやすい時期ですが、
問題をお持ちの方は特に敏感なようです。時節柄、皆
様もお体ご自愛下さい。相談部 横山
7
ぱちんこ依存問題相談機関 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
情報掲示板
家族教室 / 相談
情報掲示板
(沖縄県 ) オフィスサーブ 依存問題家族教室 日時 毎月第 2・第 4 火曜日 14:00 ~ 16:00 主催 オフィスサーブ ※詳細要問合せ
TEL 098-988-1168
(宮崎県 ) 依存症専門診療相談
日時 毎月第1、3 月曜日 午後
問合わせ先 宮崎県精神保健福祉センター
TEL 0985-27-5663
(佐賀県 ) ギャンブル依存症・家族教室
日時 毎月第 4 火曜日 14:00 ~ 16:00 主催 佐賀県精神保健福祉センター
TEL 0952-73-5060
(愛媛県 ) 依存症に関する相談
日時 月~金 8:30 ~ 17:15
問合せ先 愛媛県心と体の健康センター
TEL 089-911-3880
(三重県 ) 依存症問題家族教室
日時 2011 年 12 月 16 日 (金) 14:00 ~ 16:00
主催 三重県こころの健康センター
TEL 059-223-5243
(滋賀県 ) 家族交流会
日時 2011 年 12 月 5 日 (月) 13:30 ~ 16:00
主催 滋賀県立精神保健福祉センター
TEL 077-567-5010
(神奈川県 ) 23 年度家族セミナー 「ギャンブル依存の新しい考え方」
日時 2011 年 12 月 4 日 (日 ) 13:00 ~ 15:30
場所 神奈川県司法書士会館
主催 認定 NPO 法人 ワンデーポート
TEL 045-303-2621 (ワンデーポート ) (神奈川県 ) 依存症電話相談
日時 毎週月曜日 (祝日除く) 13:30 ~ 16:30
問合せ先 神奈川県精神保健福祉センター
TEL 045-821-6937 (東京都 ) 薬物 ・ アルコール・ギャンブル等でお困りの方に
日時 毎月第 2 週から第 4 週の木曜日 13:00 ~ 15:00
主催 東京都立多摩総合精神保健福祉センター
TEL 042-371-5560
(東京都 ) ギャンブル家族教室
日時 毎月第 3 金曜日 14:00 ~ 16:00
主催 雷門メンタルクリニック
TEL 03-5828-3841 (北海道 ) ギャンブル研究会
日時 毎月第 2・4 火曜日 18:30 ~ 20:00
主催 北海道立精神保健福祉センター
TEL 011-864-7000
セミナー等
(沖縄県)
ギャンブルの問題の支援に携わる人たちの勉強会 in 沖縄
日時 2011 年 12 月 17 日 (土) 10:00 ~ 12:00
場所 NPO 法人リカバリーサポート・ネットワーク
ゲストルーム(定員 10 名) 参加費 500 円 事前申し込み必要
問合せ先 NPO 法人リカバリーサポート・ネットワーク
TEL 098-871-9671
(ギャンブルに問題を持つ本人と家族は参加できません) (神奈川県 ) ギャンブルの問題の支援に携わる人たちの勉強会
日時 2011 年 12 月 4 日 (日) 16:00 ~ 17:30
場所 神奈川県司法書士会館
問合せ先 浦和まはろ相談室
TEL 048-796-7630
(ギャンブルに問題を持つ本人と家族は参加できません)
(三重県 ) シンポジウム「依存症と発達障碍」
日時 2012 年 1 月 29 日 (日) 10:00 ~ 12:30
場所 三重県人権センター 多目的ホール 参加費 無料
シンポジスト 稲村 厚 (司法書士) 中村 努 (ワンデーポート施設長)
問合せ先 NPO 法人三重ダルク TEL 059-222-7510
(三重県) 三重ダルクフォーラム
日時 2012 年 1 月 29 日 (日) 13:30 ~ 16:30
場所 三重県人権センター 多目的ホール 参加費 1,000 円 問合せ先 NPO 法人三重ダルク TEL 059-222-7510
(奈良 ) 奈良 GA&ギャマノン
合同オープンスピーカーズ・ミーティング
日時 2011 年 12 月 4 日 (日) 13:30 ~ 16:30
場所 奈良県産業会館
主催 ギャマノン (奈良G ・ 奈良わかくさG ・ のぞみG) GA (サニタスG) 問合せ先 [email protected]
さくら通信 第 55 号 月刊
特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
相談専用回線 050-3541-6420
8
2011 年 11 月 25 日発行
発行 特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワーク
〒 903-0125 沖縄県中頭郡西原町上原 103 ルボワ YARA2F
電話& FAX 098-871-9671 (事務専用回線)
お問い合わせや確認のお電話は事務用回線をお使い下さい。
Email: [email protected]
http://rsn-sakura.jp