土岐市立総合病院における RIS/PACS の運用状況

土岐市立総合病院における RIS/PACS の運用状況
土岐市立総合病院
中央放射線部
水野
求
PACS 開 始 後 1 年 半 、 ま た 電 子 カ ル テ 開 始 後 半 年 経 過 し た と こ ろ で あ る 。 当 院
に 電 子 カ ル テ シ ス テ ム 導 入 す る た め に 平 成 20 年 6 月 に 新 コ ン ピ ュ ー タ ー 委 員 会 を
開設し、病院情報システムの把握、電子カルテシステムのデモの実施、業務の流
れ に つ い て の 検 討 、 そ し て 基 本 計 画 書 を 作 成 し 、 平 成 20 年 12 月 に は 電 子 カ ル テ
ベンダの選定に入った。選定条件として、全国シェア・近隣導入実績・第三者機
関による会社信用調査を考慮して 3 社に絞込み、プレゼン後に今回はノンカスタ
マ イ ズ を 条 件 に 全 職 員 に て 評 価 を 行 っ た 。結 果 、電 子 カ ル テ・看 護 支 援 シ ス テ ム 、
放射線部門システムは富士通に決定した。また、全職員が電子カルテ運用開始ま
でにデジタル画像の取り扱いに慣れることと、臨床画像のある程度のストックを
す る た め に PACS ( J-MAC ) を 先 攻 導 入 す る こ と に し た 。 DICOM 接 続
( storage/MWM)に つ い て の 調 査 を 行 い 、今 回 は 現 時 点 で DICOM 接 続 可 能 装 置
の み を 対 象 と し た 。 PACS 導 入 に 合 わ せ て 、 一 般 撮 影 方 法 の 統 一 化 と し て 、 部 位
ご と の IP サ イ ズ・画 像 表 示 方 向・撮 影 体 位・絞 り お よ び マ ー ク を 統 一 し 、ま た 分
割撮影を禁止とした。また、個人情報保護およびセキュリティについて、電子保
存 3 基準(真正性・見読性・保存性)及び医療情報倫理(個人情報保護・プライ
バ シ ー の 権 利 )に つ い て の 勉 強 会 を 行 っ た 。さ ら に 、PACS 開 始 と 同 時 に USB メ
モ リ の 使 用 禁 止・NW 接 続 PC の 端 末 専 用 化・CDR の み に よ る デ ー タ の 取 り 出 し・
リモートメンテナンスについての取り扱い等について検討した。検像端末運用に
ついては一般撮影のみ全てを行うこととし、検像者が限定できない環境を配慮し
て、その都度に検像者が選択できるように設定をした。電子カルテを始めるにあ
たり、患者確認は受付及び各撮影室にて、外来では基本スケジュール票・病棟で
は予約票を必ず用いることによるバーコード入力による確認を行うことにした。
特 殊 検 査 の 会 計 に つ い て は ワ ー ク シ ー ト を 出 力 す る こ と に よ り 、施 行 内 容( 手 技 )
の 把 握 ・ 追 加 材 料 等 の 資 料 ・ RIS 実 施 内 容 の 確 認 を 医 事 課 に て 再 確 認 で き る よ う
に し た 。 造 影 剤 ア レ ル ギ ー 暦 の RIS へ の 反 映 も 可 能 と し た 。 高 精 細 デ ィ ス プ レ イ
設置についてはまず診療医に高精細ディスプレイ設置の希望調査を行った。設置
場所の検討をした結果、各診察室・病棟・内 視鏡室・中放・リハビリに各 1 台設
置 と し 、 2M カ ラ ー 高 輝 度 高 精 細 式 が 8 台 、 2M カ ラ ー 汎 用 が 54 台 と な っ た 。 高
精 細 デ ィ ス プ レ イ の 保 守 管 理 は 放 射 線 部 に て 行 う こ と と し て 、 JESRA
X-0093-2005 医 用 画 像 表 示 用 モ ニ タ の 品 質 管 理 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ た 受
入 試 験 ・ 不 変 性 試 験 を 行 う 。 使 用 計 器 と ソ フ ト は QA ガ イ ド ラ イ ン に 対 応 し た ソ
フ ト( QA
Medivisor)
・輝 度 計 お よ び 色 度 計 は Chroma5 を 使 用 し て 、画 面 中 央
部を測定する。不変性試験として、日時試験は放射線部設置モニタに関しては毎
週 、 定 期 試 験 は 1~ 2 回 /年 に 全 台 数 を 行 う こ と と す る 。 PACS/RIS 運 用 に な っ て
電子画像情報の院外からの入力・院外への出力という新しい業務は放射線部へ業
務委託となった。この入力・出力の指示は電子カルテからのオーダとして取り扱
うこと、またそのコピーオーダ(入力・出力)にて依頼用紙が出力され、依頼医
が 必 要 事 項 を 記 入 す る と い う シ ス テ ム と し た 。 入 力 ( PACS へ の 書 き 込 み 業 務 )
は 、オ フ ラ イ ン PC を 全 診 療 科 に 設 置 し て 、診 察 時 に は PC に て 閲 覧 、そ の 後 必 要
画像のみ取り扱う。業務順としては、まず病院(総務課、医療情報係)にてウィ
ル ス チ ェ ッ ク を 行 い 、AOC( ま た は 管 理 端 末 で も 可 )に て 取 り 込 み 、そ の 後 MWM
接 続 に よ り 属 性 を 自 動 入 力 後 、PACS へ 転 送 す る 。最 近 の 問 題 と し て 、volume デ
ー タ が 多 く な り 、大 容 量 の た め に 長 時 間 必 要 と な っ て い る 。出 力( 書 き 出 し 業 務 )
時 は 、管 理 端 末 よ り CD/DVD へ 書 き 出 し を 行 い 、総 務 課 に て ウ ィ ル ス チ ェ ッ ク を
してから提出する。学会・研究用における医用画像の取り扱い方法 は、ファイル
書 き 出 し( 医 療 情 報 係 )・PACS よ り 画 像 書 き 出 し( 放 射 線 部 )の 2 種 類 の 方 法 と
した。いずれも病院としての承諾を義務付けし、個人情報の取り扱いを再認識す
るようにした。電子カルテ運用が開始となる直前にウイルスが入ってしまい、大
変な苦労して削除した経緯があり、ウィンドウズベースの装置には必ず、ウイル
ス対策ソフトの設定が必要であることを再認識した。セキュリティに関してはハ
ー ド 対 策 と し て USB ポ ー ト の 封 鎖 、ソ フ ト 対 策 と し て は ウ イ ル ス 対 策 ソ フ ト の
導 入 ( 適 宜 一 斉 更 新 )・ ポ ー ト シ ャ ッ タ ー ソ フ ト 設 定 ・ 入 出 力 と も ウ ィ ル ス チ ェ
ックを全てに行う・保守点検等の対策ソフトもウィルスチェックを行うこととし
た。リモートメンテナンスについても考慮が必要である。接続経路の一元化とし
て ダ イ ア ル ア ッ プ 接 続 ゲ ー ト ウ ェ イ を 介 し て 接 続 が 必 要 な 間 の み 接 続 す る 。ま た 、
接続のコントロールとして接続に際しては、セキュリティ管理担当者の許可が必
要であり、システム監視センターへの連絡により接続が記録される。常時接続も
禁止とした。現在までにシステムが止まるような大きなトラブルは生じていない
が、常にシステムダウン時対応についての考慮が必要である。以上、当院におい
て 運 用 開 始 と な っ た PACS/RIS の 現 状 を 報 告 し た 。 今 後 、 他 施 設 の 情 報 を 元 に さ
らによいシステムを作り上げていきたい。