Title 骨格性上顎前突症患者に正中分割を加えた上顎前方歯槽 部骨切り術を施行した外科的矯正治療例 Author(s) 藤本, かな子; 幾本, 英之; 西井, 康; 野嶋, 邦彦; 末 石, 研二 Journal URL 歯科学報, 109(3): 301-309 http://hdl.handle.net/10130/988 Right Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/ 301 臨床報告 骨格性上顎前突症患者に正中分割を加えた 上顎前方歯槽部骨切り術を施行した外科的矯正治療例 藤本かな子1) 幾本英之2) 西井 康3) 野嶋邦彦3) 末石研二3) 抄録:症例は36歳11ヵ月の女性で上顎前歯の突出を の固定に細心の注意が必要であり,また前歯の移動 主訴に来院した。下顎両側第二小臼歯を欠損してお 距離があまりに大きい場合は,治療期間や歯根吸収 り,大臼歯関係は AngleⅠ級,オーバージェット+ のリスクの増加も考えられる。 14. 2mm,オーバーバイト0mm,セファロ分析で 今回われわれは,成人の骨格性上顎前突症患者に は ANB 9. 5° ,U1 to FH 134° であった。上顎前歯 対して上顎前方歯槽部骨切り術1)2)による外科的矯正 唇側傾斜を伴う骨格性上顎前突症と診断した。治療 治療を施行して,効果的に上顎前歯部を後方移動す 方針は上顎両側第一小臼歯の抜歯,下顎右側第二小 るだけでなく,上顎左右側中切歯間の分割を追加し 臼歯部のポンティックを除去し,上顎前方歯槽部骨 上顎骨を3分割にし,犬歯部を側方に拡大した。そ 切り術による外科的矯正治療を計画した。術前矯正 の結果,顎離断部となる上顎犬歯−第二小臼歯間の 治療にて上顎両側第一小臼歯を抜歯し,前歯部と臼 連続性を得ることができ,歯肉退縮を生じることも 歯部に分けたセクショナルアーチにてレベリングを なく,良好な治療結果を得ることができたので報告 行い,正中分割を加えた上顎前方歯槽部骨切り術を する。 行った。その後術後矯正治療を行い,動的矯正期間 症 例 2年2ヶ月で装置を除去した。その結果,顎離断部 の歯列の連続性と治療期間の短縮を図ることがで 1)概要(図1) き,良好な側貌,適切なオーバーバイトとオーバー ジェットを獲得することができた。 患者は初診時年齢36歳11ヵ月の女性で上顎前歯の 突出を主訴に来院した。顔貌所見として,側貌では 上下唇の著しい突出を認めるコンベックスタイプで 緒 言 あった。正貌ではやや頤部の緊張を認めた。 上顎前歯の突出を主訴とする患者の場合,上顎前 口腔内所見として,上顎は著しい叢生を認め下顎 歯を積極的に後退させ,側貌を改善することが必要 は両側第二小臼歯が欠損していた。臼歯関係は左右 となる。顎外科手術を行なわずに歯の移動のみで過 側 と も AngleⅠ級,オ ー バ ー ジ ェ ッ ト は+14. 2 大なオーバージェットを改善するには,上顎大臼歯 mm,オーバーバイトは0mm であった。 2)画像所見と分析結果(図2) キーワード:骨格性上顎前突症例,上顎前方歯槽部骨切り 術,外科的矯正治療,正中分割 1) 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座歯科矯正学分野 2) 帝京大学ちば総合医療センター歯科口腔外科 3) 東京歯科大学歯科矯正学講座 (2009年5月11日受付) (2009年5月21日受理) 別刷請求先:〒101‐0061 東京都千代田区三崎町2−9−18 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座 藤本かな子 パノラマレントゲン所見では上顎右側,下顎両側 第三大臼歯があり全体的な軽度の水平的骨吸収を認 めた。 側面頭部X規格写真分析ではSNA85° , SNB75. 5° , ANB9. 5° ,U1 to FH134° ,IMPA101° で あ り,上 下前歯の唇側傾斜を伴う骨格的な上顎前突を認め た。また Lower Lip to E-line は8. 8mm と著しい下 ― 45 ― 302 藤本, 他:正中分割を加えた上顎前方歯槽部骨切り術 図1 初診時 顔貌および口腔内写真 した。治療目標は叢生及び上顎前突の改善,特に口 唇の突出があった。 正面頭部X線規格写真分析では,顎顔面正中に対 して下顎骨の正中(Menton)が右側に2mm 偏位し 唇の突出感を減少させ,個性正常咬合を獲得するこ ととした。 治療計画として臼歯部咬合が安定しており上顎前 ており,歯列の正中は上顎前歯に対して下顎前歯が 1. 5mm 右側に偏位していた。 歯部移動量が大きいことから,上顎両側第一小臼歯 3)治療計画 の抜歯,下顎右側第二小臼歯部のブリッジのポン 上顎前歯唇側傾斜を伴う骨格性上顎前突症と診断 ティックを除去し,上顎前方歯槽部骨切り術による ― 46 ― 歯科学報 図2 Vol.109,No.3(2009) 初診時 303 レントゲン写真 外科的矯正治療を計画した。また犬歯−第二小臼歯 である抜歯部位へ傾斜しないよう配慮し,上顎犬歯 部間の骨離断部の連続性を考慮し,上顎前方歯槽部 はアンギュレーションの入っていないブラケットを 骨切り術は正中分割を加え犬歯部を扇状に拡大して 使用した。 固定することとした。下顎右側第二小臼歯部は空隙 2006年8月に術前矯正治療を終了した(図3) 。上 を閉鎖し治療後に補綴物の修正を計画した。 下顎. 018 . 025インチサイズのステンレススチール 4)治療経過 ワイヤーを装着し,上顎は正中分割のためのスペー 使用したマルチブラケット装置は. 022インチス スを約1mm 獲得し,前歯部セクショナルアーチワ ロットのプレアジャステッド エッジワイズアプラ イヤーをさらに分け,上顎を4本のセクショナル イアンスを選択した。2005年9月にイニシャルワイ アーチワイヤーにした。術直前の側面及び正面頭部 ヤーを装着し術前矯正治療を開始した。上顎前歯部 X線規格写真分析を用いたセファロメトリックプレ の叢生量が多いために,まず上顎第一小臼歯を抜歯 ディクションおよび半調節性咬合器にマウントした しレベリングを開始した。その際,側方歯の近心移 模型を用いたモデルサージェリーにより,最終的な 動と前歯の舌側傾斜による抜歯部位の空隙閉鎖を避 顎外科手術の位置決めを行った。上顎骨前歯部を6 けるため,前歯部と左右臼歯部に分けたセクショナ mm 後方移動,犬歯部を扇状に2. 5mm 側方拡大す ルアーチワイヤー3本と Nance のホールディング る計画を立案し,位置決め用口蓋プレート,固定用 アーチを使用した。上顎犬歯の歯根が骨離断予定部 コンティニュアスアーチワイヤーを作成した。 ― 47 ― 304 藤本, 他:正中分割を加えた上顎前方歯槽部骨切り術 図3 術前矯正治療終了時 口腔内写真 計画に基づいて上顎前方歯槽部骨切り術を施行 計3本のフィックスタイプリテーナーと Begg タイ し,骨離断部の連続性を維持するために正中に分割 プリテーナーを,下顎は左右犬歯間にフィックスタ を加え上顎骨を3片にし,骨片の左右犬歯部を扇状 イプリテーナーを装着した。 に拡大しながら後方に移動した。口蓋プレートにて 術後矯正治療期間は,上顎は術後半年にて終了, 位置決めを行い形成骨片が後方骨と干渉する部位の 下顎を含めると術後1年2ヶ月を要し,動的治療期 骨は削除した。術後の抜歯空隙を最小限にするた 間は2年2ヶ月であった。現在も保定観察中であ め,術中に. 018 . 025インチサイズのコンティニュ る。 アスステンレススチールワイヤーに交換しパッシブ 5)治療結果(図4,5) にタイバックした。また骨離断部である左右中切歯 顔貌所見として上下唇の後退,鼻唇角の鈍角化, 間,左右犬歯−第二小臼歯間の3箇所を直接結紮線 自然な口唇閉鎖が得られた。口腔内所見として前歯 にて結紮した。その後3片の形成骨片を口蓋中央部 部の著しい叢生の改善,適切なオーバージェット, でY字型チタン製ミニプレートにて固定した。 オーバーバイトが獲得できた。動的治療後の側面頭 手術後,上顎犬歯のブラケットをプレアジャス 部X線規格写真では ANB は6° で3. 5° の減少を認 テッドエッジワイズブラケットに付け替え,歯根を め, U1 to FH は110. 5° で23. 5° の減少, IMPA は96° 正しい位置にアップライトし,ディテーリングを で5° の 減 少,Lower Lip to E-line は2. 3mm で6. 5 行った。2007年11月に動的治療終了し保定へと移行 mm の後退,オーバーバイトは+2. 2mm で2. 2mm した。保定装置として,上顎は叢生の著しかった前 の増加,オーバージェットは+3. 6mm で10. 6mm 歯部,および骨切除を行った犬歯−第二小臼歯部に の減少が認められ,骨格的な上顎前突の改善,上下 ― 48 ― 歯科学報 図4 Vol.109,No.3(2009) 治療終了時 305 顔貌および口腔内写真 顎前歯歯軸の改善,側貌軟組織の著しい改善が認め 歯の抜歯空隙を利用して,形成骨片を目的の位置に られた(図6,7) 。正貌頭部X線規格写真では著明 三次元的に移動する方法である1)2)。適応症として須 な変化は認められなかった。 佐美ら3)は,上顎前方部の突出,上顎の空隙歯列な どにより歯列弓長径が大きいこと,臼歯部咬合関係 考 察 が比較的良好であること,移動量が抜歯空隙の範囲 上顎前方歯槽部骨切り術は骨格性上顎前突症に対 内であることを挙げている。利点としては,骨格的 して上顎前方歯槽部を骨切りし,通常上顎第一小臼 に ANB の改善が行えること4),移動時に歯軸の回 ― 49 ― 306 藤本, 他:正中分割を加えた上顎前方歯槽部骨切り術 図5 治療終了時 図6 レントゲン写真 治療前後重ね合わせ ― 50 ― 歯科学報 図7 Vol.109,No.3(2009) 307 治療前後のセファロ分析 転を加えることができるためトルクコントロールが る。そのため,上顎大臼歯の最大固定が獲得できれ できること,ガミースマイルの改善や,矯正単独で ば,矯正治療のみで対応することも可能であり,下 前歯を大きく移動した場合に生じやすいラビッティ 顎枝矢状分割法ほど多くの症例に適用されていない ングや歯根吸収を回避できること,術前矯正を比較 のが現状である。特に正中に分割を加えることは, 5) 的短時間で行えるため,総治療期間も減少し ,術 原法11)12)では「必要に応じて行う」と述べられてお 後の安定性も良く後戻りはほとんど見られない2)と り,また Epker ら2)によると,「著しい正中離開が 報告されている。特に歯根吸収に関しては,予測で ある場合や,犬歯部幅径が狭窄している場合に適応 6) 7) き な い 医 原 性 疾 患 で あ る が,Brezniak ら は圧 下,歯体移動,移動距離,治療期間をリスクファク する。 」と述べられているが,その術式を加えた症 例報告は本邦では見当たらない。 本症例は,初診時骨格的上顎骨の前突と上顎前歯 ターとして挙げており,Sameshima らは上顎前歯 8) で最も起こりやすく ,オーバージェット,根尖の 9) の唇側傾斜が認められたため,下顎骨の前方移動で 移動量,治療期間と歯根吸収の関連が高い と述べ はなく,上顎骨の後退を目的とした手術が必要で ている。このようなことから,成人の骨格性上顎前 あった。口腔内所見で臼歯部咬合はⅠ級関係を示 突症に対して,顎外科手術法として選択されること し,前歯部に問題が限局していた。また上顎前方歯 がある。 槽部骨切り術において,手術移動量が抜歯空隙の範 しかしながら,実際の臨床応用に際しては,術前 囲内であり,前方歯槽部の時計方向への回転と後方 矯正での骨切除部隣接歯の歯根排列,特に犬歯歯根 移動により適切な歯軸と被蓋が獲得できるため,本 の排列を注意すること,正確な予測模型の製作と骨 法が適応であると診断した。 片固定装置の製作が必要であること,十分な骨切除 しかし,前述の欠点があるため,本症例ではそれ 部空隙を確保すること,骨切除部前後歯列弓幅径の らを補うべく以下のように治療上の工夫,改善を 調和をとること,手術時では切除部隣接歯の損傷防 行った。 1) 犬歯ブラケットの工夫;犬歯にはアンギュ 止,血流の十分な確保が必要である,といった注意 2) 3) ,術後の後遺症としては,歯髄の失 レーションのついていないブラケットを使用し,隣 活や歯肉退縮などの歯周組織の損傷,骨分割部の空 在歯を手術時に損傷しないよう歯根をコントロール 点が挙げられ 10) 隙の再発,組織の壊死の可能性 があるとされてい した。術後にプレアジャステッドエッジワイズブラ ― 51 ― 308 藤本, 他:正中分割を加えた上顎前方歯槽部骨切り術 ケットと交換し,再レベリングをして犬歯の適正な 含めた固定式保定装置を使用している。長期の安定 アンギュレーションを確立した。 の確認には,今後の観察が必要ではあるが,患者の 2) 術前矯正治療でのセクショナルアーチワイ 負担も少なく満足いく結果が得られたと思われる。 ヤーの使用;前歯部の叢生が著しいため,抜歯を先 に行ったが,この抜歯空隙は手術時の移動距離とな るため,その確保と前歯部の不必要な舌側傾斜や挺 出を防止するために,上顎を前歯部,臼歯部に分け 本論文の要旨は,第285回東京歯科大学学会例会(2008年6 月7日,千葉) において発表し,座長から推薦された論文で ある。 たセクショナルアーチワイヤーにて叢生の改善を 文 行った。その結果6mm の移動距離を獲得できた。 3) 前方歯槽部の正中分割;歯肉退縮及び骨分割 部に空隙が再発するのは,その部分に骨レベルでの 連続性が無いことが考えられる。手術において前歯 部骨片を後方へ移動したのみでは犬歯−第二小臼歯 間に頬舌的に骨のステップが生じ,術後の矯正治療 にて歯列弓での連続性は得られても骨レベルでの連 続性は得られず,歯肉の不連続や退縮,また分割部 の空隙が生じやすいと考え,このような理由から正 中に分割を加えた。 4) 術中のコンティニュアスアーチワイヤー交 換;手術中に予定の位置にて,口蓋からはミニプ レートにて固定し,モデルサージェリーにて作成し たコンティニュアスアーチワイヤーに交換し,骨固 定の強化を行った。 5) 固定式保定装置;矯正治療終了後,骨離断部 の離開を避けるため,骨切断部である左右中切歯 間,左側犬歯−第二小臼歯間,右側犬歯−第二小臼 歯間,の計3ヵ所に固定式保定装置を装着した。 治療結果として,初診時と比較し,前歯は10mm 後方移動し,側貌軟組織の著しい改善が認められ た。骨切除部の犬歯及び第二小臼歯部の歯周ポケッ トは2mm 以内と安定しており,現在のところ歯肉 退縮も見られない。正中分割を加えたことで側方歯 部の骨及び軟組織部の連続性が保たれている。術後 献 1)Bell, W. H., Proffit, W. R.: Surgical collection of dentofacial deformities, 234∼441, W. B. Saunders Co, Philadelphia, 1980. 2)Epker, B. N., Fish, L. C.: Dentofacial deformities ― Integrated orthodontic and surgical correction ―, 208∼225, Mosby Co, St. Louis, 1986. 3)須佐美隆史,吉増秀賽,須田直人,山本 真,榎本 勉, 黒田敬之:副甲状腺機能低下症を伴う著しい上顎前突の外 科的矯正治療 ―Wassmund 法による治験例―.日矯歯会 誌,52:509∼518,1993. 4)横田 盛,緒方ゆりや,横田成三,西村剛三:上顎前突 症に対する外科的矯正(Wassmund-Wunderer 法) の矯正 的意義.西日歯矯歯会誌,43:48∼49,1998. 5)山本義茂,高橋庄二郎:顎顔面変形症の外科的矯正治 療,第1版,260∼267,三樹企画出版,東京,1994. 6)Brezniak, N., Wasserstein, A.: Root resorption after orthodontic treatment : Part1. Literature review. Am J Orthod Dentofacial Orthop, 103:62∼66,1993. 7)Brezniak, N., Wasserstein, A.: Root resorption after orthodontic treatment : Part2. Literature review. Am J Orthod Dentofacial Orthop, 103:138∼146,1993. 8)Samdshima, G. T., Sinclair, P. M.: Predicting and preventing root resorption : Part1. Diagnotic factors. Am J Orthod Dentofacial Orthop, 109:505∼510,2001. 9)Samdshima, G. T., Sinclair, P. M.: Predicting and preventing root resorption : Part2. Diagnotic factors. Am J Orthod Dentofacial Orthop, 109:511∼515,2001. 10)White, R. P., Terry, B. C.: Segmental jaw surgery. in : Surgical orthodontics treatment, ed. Proffit, W. R., White, R. P., 283∼319, Mosby Year Book, Inc, St.Louis, 1991. 11)Wassmund, M.: Lehrbuch der prakischen chirurgie des mundes und der kiefer. Verlag von Herrmann Meusser, Leipzig, 245∼307,1935. 12)Wunderer, S.: Die prognathieoperation mittels frontal gestieltem mazillafragment. Osterreiche Z Stomat, 59:98 ∼102,1962. 骨切除部に空隙が生じやすいため,現在骨切除部を ― 52 ― 歯科学報 Vol.109,No.3(2009) 309 Severe Maxillary Protrusion Treated by Anterior Maxillary Alveolar Osteotomy and Interincisal Osteotomy Kanako FUJIMOTO1),Hideyuki IKUMOTO2),Yasusi NISHII3) Kunihiko NOJIMA3),Kenji SUEISHI3) 1) Division of Orthodontics, Department of Clinical Oral Health Science, Tokyo Dental College 2) Department of Dental and Oral Surgery, Teikyo University Chiba Medical Center 3) Department of Orthodontics, Tokyo Dental College Key words : Maxillary protrusion, Anterior maxillary osteotomy, Orthognathic surgery, Interincisal osteotomy The patient was a woman aged 36 years 11 months who visited our hospital with the chief complaint of protrusion of the upper frontal teeth. The bilateral lower second premolars had been lost,and molar conditions were Angle class Ⅰ,+14. 2-mm overjet,0-mm overbite,and ANB 9. 5̊ U1 to FH 134̊ on cephalometric analysis. Maxillary protrusion accompanied by labial inclination of the upper frontal teeth was diagnosed. Extraction of the bilateral lower first premolars,removal of the pontic of the right lower second premolar, and orthognathic surgery by anterior maxillary alveolar osteotomy were planned. The bilateral upper first premolars were extracted,and leveling was performed,attaching sectional arches to the frontal tooth and molar regions during preoperative orthodontic treatment,followed by anterior maxillary alveolar osteotomy with interincisal osteotomy. Postoperative orthodontic treatment was performed,and the appliances were removed after dynamic orthodontic treatment for 2 years 2 months. Continuity of the dentition in the divided maxillary region and shortening of the treatment period were achieved,and a favorable facial profile and appropriate overbite and overjet were acquired. (The Shikwa Gakuho,109:301∼309,2009) ― 53 ―
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