5回目の演習の解答と講評

練習 5.1 の解答
2k + 1 次までの テイラー展開は
練習 5.1 習っ てすぐに テイラー展開をし ろという の は難し かっ たよう ですね。
(1)
sin x を x = 0 で テイラー展開(マクローリン展開)せ よ。剰余項が
0 に 近づ く こ とを証明せ よ。
(2)
(1)
x2k−1
x3
x2k+1
+ . . . + (−1)
+ (−1)k
cos c
3!
(2k − 1)!
(2k + 1)!
なの で、剰余項は
R2k = (−1)k
sinh x を x = 0 で テイラー展開(マクローリン展開)せ よ。剰余項
が 0 に 近づ く こ とを証明せ よ。
(3)
sin x = x −
x2k
sin c (c = θx, 0 < θ = θ(2k + 1, a, x) < 1)
(2k)!
ど ちらに し ても | sin y|, | cos y| ≤ 1 だから
(1 + x2 )1/3 を x = 0 でテイラー展開(マクローリン展開)せ よ。(こ
れは形式的な計算だけ で いい)
講義中に 例で cos x の マクローリン展開をやっ たの で、こ れと同じよう に
Rn ≤
xn
→ 0 (n → ∞)
n!
がわかり、上の 形式的な展開は正し い事がいえ ます。
こ れが一番良く でき ていまし た。例で cos x の マクローリン展開をやっ
やれば良いの ですが。とに かく 、形式的な計算を先に し まし ょう 。f (x) = sin x
講評
に 対し て f (n) (0) を求めてみまし ょう 。
ていた の で 分かりやすかっ た の だろう と思います。一番多い間違いは、せ っ
f (x) = sin x,
f (x) = cos x,
f (x) = − sin x
かく f (2n) (0) = 0, f (2n+1) (0) = (−1)n まで 出し ておき ながら、最後に テイ
ラー展開の 公式に 代入する時に
なの で、f (x) = −f (x) が成り立つ。こ の 両辺を 2(k − 1) 回微分すると、
f
(2k)
(x) = − f (x)
2(k−1)
= −f (x)
sin x = 1 −
2(k−1)
x2
x2n
x4
+
+ . . . + (−1)n
+...
2
4!
(2n)!
と、cos x と同じ式を書いてし まっ た間違いでし た。次に 多かっ たの が第 2k +1
こ れで漸化式を解く と
項で 止めてし まっ て
f (2k) (x) = (−1)k f (x) = (−1)k sin x
sin x = x −
f (x) = −f (x) を 2k − 1 回微分すると
f (2k+1) (x) = (−1)k f (x) = (−1)k cos x
0
(−1)k
とし ている間違いで し た 。後者の 間違いは後ろに + . . . と書け ば正解なの に
惜し いで すね。剰余項も | cos x|, | sin x| ≤ 1 に 気づ いた 人はちゃんとで き て
いまし た 。
となるの で 、x = 0 を代入し て
f (n) (0) =
n = 2k の とき ,
n = 2k + 1 の とき
(2)
上と同じ様に し て
こ れから形式的に は f (x) = sin x の x = 0 での テイラー展開(マクローリン
f (x) = sinh x =
展開)は
3
sin x = x −
x3
x2n+1
+ . . . + (−1)n
3!
(2n + 1)!
2k+1
x
x
+ . . . + (−1)
+...
3!
(2k + 1)!
となるはず だと目星がつき ます。剰余項を調べてみまし ょう 。2k 次までの テ
ex − e−x
,
2
f (x) =
f (x) = cosh x がわかります。し た がっ て f n) (0) は
f (n) (0) =
x3
x2k
x2k−1
+ . . . + (−1)
+ (−1)k
sin c
3!
(2k − 1)!
(2k)!
0 n = 2k の とき ,
1 n = 2k + 1 の とき
がわかるの で 、形式的な展開は
なの で、剰余項は
∞
R2k = (−1)k
f (x) =
x2k
sin c (c = θx, 0 < θ = θ(2k, a, x) < 1)
(2k)!
1
ex − e−x
= sinh x
2
こ れから f (x) = f (x) となり、f (2k) (x) = f (x) = sinh x と f (2k+1) (x) =
イラー展開は
sin x = x −
ex + e−x
= cosh x,
2
sinh x =
k=1
x2k+1
x3
x2k+1
=x+
+...+
+...
(2k + 1)!
3!
(2k + 1)!
2
となります。剰余項が 0 に 近づ く 事を確かめまし ょう 。n 次まで の テイラー
となり、
展開に より、n = 2k の とき
n−1
f (k) (a)
f (x) =
x2k−1
x2k
x3
+...+
+
sinh c
sinh x = x +
3!
(2k − 1)! (2k)!
k=0
がわかります。(こ の 剰余項をコーシーの 剰余項という 。)こ れを使います。
n = 2k + 1 の とき
f (x) = (1 + x)1/3 に 対するコーシーの 剰余項は
x3
x2k−1
x2k+1
sinh x = x = x +
+ ...+
+
cosh c
3!
(2k − 1)! (2k + 1)!
となります。 c は n に も依存し ますが、|c| ≤ |x| で はあるの で 、| sinh c| ≤
cosh |x|, cosh c ≤ cosh x で ある事に 注意すると、剰余項は
xn
cosh |x|
|Rn | ≤
n!
(1 + c)1/3−n x(x − c)n−1
まず 、
1 1
3(3
1
3
(1) より正解は大分少なく なっ てますが。数人の 人がちゃんとで き て
いまし た 。こ こ で 惜し かっ た の は | sinh x| ≤ 1 とし た 人や、もっ と惜し いの
は sinh c, cosh c は定数なの で 、xn /(n!) が 0 に 行く から 剰余項は 0 に 行く
と書いた 人で す。ほとんど あっ ていますが、 c は n とともに 変化はし ます。
c が 0 と x の 間に あるからこ れらは cosh x で 押え られ、cosh x は n に つい
て定数なの で 剰余項は 0 に 行く 訳で す。
講評
テイラー展開の 各項の 形が分かっ ている関数はそ う 多く ないの で 覚え てし
まう の も手で すよね。
1 1
1 1
( − 1) 4
( − 1) · · · ( 13 − n + 1) 2n
1
x +. . .+ 3 3
x +...
(1 + x2 )1/3 = 1 + x2 + 3 3
3
2
n!
とすれば良い訳で す。
参考まで に 、こ の 剰余項の 評価をし ておき ます。こ の た めに はこ れまで の
剰余項の 表現と違う 表し 方が必要となります。
k=0
n−1
f (k) (a)
k=0
(x − a)k
k!
x−t
x−a
とおく と、h(a) = h(x) = f (x) が成り立つの で 、ロルの 定理から h (c) = 0
となる c があります。こ れを書き 直すと、
f (n) (c)
1
(x − c)n−1
=
f (x) −
(n − 1)!
x−a
3
n−1
f (k) (a)
k=0
−n+1
こ れはさっ ぱ りでし た。教科書の 例を参考に し なさいといいまし たが、
こ こ で、 x の とこ ろに x2 を代入し て
(x − t)k
+ f (x) −
k!
1
3
聞き 取れていた 人はわず かで し た 。直接微分すると面倒で すね。
1 1
1 1
( − 1) 2
( − 1) · · · ( 13 − n + 1) n
1
x +...+ 3 3
x +...
(1 + x)1/3 = 1 + x + 3 3
3
2
n!
f (k) (t)
−2 ···
(n − 1)!
となり、|x| < 1 の とき 剰余項が 0 に 近づ く 事が分かるの で す。
まず 、形式的に テイラー展開を求めてみます。そ の まま微分すると面倒
n−1
1
3
− 1) · · · ( 13 − n)
≤1
n!
なの で、教科書 p.48 の 例 11 (5) を使います。
h(t) =
−1
x−c
|x|(1 − θ)
=
<1
1+c
1 + θx
し たがっ て、上の 形式的な展開は正し いの で す。
(3)
1
3
で 、c は 0 と x の 間なの で 、 c = θx, 0 < θ < 1 とかく と、
をみたし 、 n → ∞ の とき 右辺は 0 に 近づ き ます。(収束する)
講評
(x − a)k
(x − c)n−1 (x − a)
+ f (n) (c)
k!
(n − 1)!
(x − a)k
k!
4