小型科学衛星 一号機 (SPRINT-A/EXCEED)

SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星
一号機
(SPRINT-A/EXCEED)
上
野
宗
孝
JAXA
宇宙科学研究本部
宇宙科学技術センター
吉川一朗*2、山崎
敦*1、
寺田直樹*3
、
吉岡和夫*
2
村上
豪*
2、笠羽康正*3、
土屋史紀*3、鍵谷将人*3
三澤浩昭*3、
高橋幸弘*3
福田盛介*1、坂井真一郎*1、
上水和典*1、
中谷幸司*1
澤井秀次郎*1
(ISAS/JAXA*1、東京大学*2、東北大学*3)
SPRINT-A / EXCEED
SPRINT-A / EXCEED
SPRINT-A / EXCEED
標準バスシステムのイメージ
衛星A
惑星望遠鏡衛星
3軸姿勢制御
太陽同期軌道
多様なミッションに
適用可能
衛星B
X線天文衛星
3軸姿勢制御
LEO軌道
多様なミッション要求を支える
柔軟な標準バス (Flexible Standard Bus)
衛星C
磁気圏観測衛星
スピン姿勢制御
長楕円軌道
2
SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星シリーズの目的
• 従来の中型科学衛星の補完的な位置付けとして、小型衛星
計画を立ち上げ、特徴ある宇宙科学ミッションを迅速かつ高い
頻度で実現する。
• 宇宙科学コミュニティが提案するミッションの多様性を十分吸
収しつつ、低コストで短期に小型衛星を開発する。
• 別途プロジェクト化の準備が進められている次期固体ロケット
と対になる形で、タイムリーな小型宇宙科学観測・実験の機会
を整備する。
3
SPRINT-A / EXCEED
JAXA 科学衛星の質量の推移
質量kg
◆
SPICA
KAGUYA
ASTRO-H
SUZAKU
GEOTAIL
AKARI
VSOP
HINODE
PLANET-C
YOHKOH
GINGA
AKEBONO
HITEN
ASCA
ASTRO-G
NOZOMI
SPRINT
HAYABUSA
打上げ年
JAXA NOTE 2009のデータに基づき作成
5
SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星シリーズの目標
• 宇宙科学コミュニティの多様な要望をタイムリーに実現するため、5年間に
計3機程度の小型科学衛星を打ち上げる(小型科学衛星シリーズ)。
• シリーズ化衛星を低コストで短期間に打ち上げるため、提案されているミッ
ションの要求仕様を包含し得る柔軟な標準バスを開発する。
– 開発する標準バスのシステム仕様
»開発期間:
ミッション部仕様確定から2年(2号機以降)
»コスト: バス・ミッション込みで30億円以下(2号機以降)
»重量:
ミッション部200kg以下(衛星全体400kg以下)
»電力:
ミッション部消費電力300W以下
(衛星全体発生電力1kW以下)
»姿勢方式:
3軸、スピンの両方に対応
»軌道上寿命:
1年
4
SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星選定・実施の組織的しくみ
理工学委員会
宇宙科学コミュニティ
(大学・研究機関など)
ミッション提案
宇宙科学研究本部
評価・選定依頼
提言
タイムリーな
実現
選定
小型科学衛星
専門委員会
参加
指導
実施チーム
支援
宇宙科学技術センター・DE組織など
参加
(サブシステム専門家)
5
SPRINT-A / EXCEED
標準バスシステムの考え方
(仕様のカタログ化/メニュー化)
• 仕様をカタログ化/メニュー化し、ミッション要求の幅を吸収する。
- 太陽電池パネルの枚数 - リチウムイオン電池の容量 - パドル回転機構(SADA)
- GPS受信機
- 姿勢センサ(IRUやSTTなど)の精度 - リアクションホイールのサイズ
- 推進系
- EMC対応設計
(選択型オプション) (追加型オプション)
従来の中型科学衛星を「オーダーメイド」、古典的な標準バスを「既製
品」とすれば、「セミオーダーメイド」的な位置づけを狙う。
• 機器を容易に換装するためには、標準I/Fが必須となる。
衛星A
太陽電池パネル
= 2枚/翼
衛星B
衛星C
太陽電池パネル
= 3枚/翼
太陽電池パネル
= 1枚/翼
9
SPRINT-A / EXCEED
標準バスが想定する範囲 (1/4)
熱制御系
• 主放熱面を±Y面(太陽電池パドル取付面)、補助放熱面を±X面とし、受動型素子
で熱制御を実施する。(サーマルルーバやヒートパイプの使用は範囲外)
• バス部とミッション部は断熱し(熱交換量20W以下)、ミッション部は独立熱制御と
する。
構造系
• バス構体は1種類のみに限定する(950×950×1100mm)。
• 支持可能なミッション部重量は最大200kgとする。
• ミッション部の重心高さは質量の関数の形で提示する。
• ミッション部に対し、機軸方向50Hz・直交方向30Hzの剛性を要求する。
• [OPTION] ミッション部取り付けI/Fは3種類を提示する。
• [OPTION] バス機器配置のバリエーションはシリーズ基本設計時にfixする。
データ処理系
• 容量2GBのDRを搭載する。
• プログラムコマンドはタイムライン方式(はやぶさと同様)とし、登録数は4096程度
とする(はやぶさは512) 。
• ミッション部とのデータインターフェースはSpaceWireを採用する。
[OPTION]: 標準バス(1号機)開発段階で選択肢として考慮しており、
追加の検討・設計(コスト)を要さない
[DELTA] : 対応は可能であるが追加の検討・設計(コスト)を要する
11
SPRINT-A / EXCEED
標準バスが想定する範囲 (2/4)
通信系
• Sバンドのみで構成する。
• ダウンリンク:2Mbps(QPSK)、アップリンク:128 or 256Mbps(BPSK)を最高ビット
レートとする(@LEO)。
• [OPTION] スピン衛星用のドーナツ状のアンテナパターンに対応する。
• [DELTA] ORBCOMM社のスペースリンクに対応する 。
電源系
• SAPは2翼構成とし、1翼あたり2枚パネルの構成で940W(@EOL)以上の電力を
発生する。この場合、ミッション部へは最大150Wの電力を供給可能である。
• [OPTION] SAP1翼あたり3枚パネルの構成では1295W(@EOL)以上の電力を発
生する。この場合、ミッション部へは最大300Wの電力を供給可能である。
• [OPTION] SAP1翼あたり1枚パネルの構成では433W(@EOL)以上の電力を発
生する。この場合、ミッション部へは最大60Wの電力を供給可能である。
• 50V非安定バス方式とする。
• BATの容量は50Ah(8直列)とする。
• [OPTION] BATの容量は35Ah品を選択することもできる。
• シリーズスイッチングレギュレータ(SSR)方式を採用し、MMOレベルの低ノイズ設
計とする。
[OPTION]: 標準バス(1号機)開発段階で選択肢として考慮しており、
追加の検討・設計(コスト)を要さない
[DELTA] : 対応は可能であるが追加の検討・設計(コスト)を要する
12
SPRINT-A / EXCEED
標準バスが想定する範囲 (3/4)
姿勢制御系
• 3軸姿勢制御に対応し、ノミナルの姿勢制御精度は1分角程度である。
• [OPTION] スピン姿勢制御方式に対応する。
• [OPTION] 現状リストアップされている機器候補の組み合わせで達成できる要求
については対応する。
• 以下に挙げるようなロケット分離条件に対応する。
– 60rpm スピン分離、Z軸太陽指向( / ±30[deg ])
– 4∼ 5rpmスピン分離、-Z軸太陽指向(± 30[deg])
– [OPTION] -1.0∼1.0rpm3軸分離、太陽方向任意
• [DELTA] 姿勢制御に関する情報をミッション系とやりとりすることで、アライメント誤
差、熱歪みなど影響を緩和する。
推進系
• 標準としては搭載しない。
• [OPTION] 推力3N×4のスラスタ構成とする。ヒドラジン1液式とし、搭載推進薬量
は15.6kg以下とする。
[OPTION]: 標準バス(1号機)開発段階で選択肢として考慮しており、
追加の検討・設計(コスト)を要さない
[DELTA] : 対応は可能であるが追加の検討・設計(コスト)を要する
13
SPRINT-A / EXCEED
標準バスが想定する範囲 (4/4)
その他
• 耐放射線性能は、各々、LEOに対して3年、GTOに対して1.5年におけるバ
ス部構体内部の環境を100krad以下とする。
• [DELTA]EMC要求に対応する。
[OPTION]: 標準バス(1号機)開発段階で選択肢として考慮しており、
追加の検討・設計(コスト)を要さない
[DELTA] : 対応は可能であるが追加の検討・設計(コスト)を要する
14
SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星進
状況
✦ 小型科学衛星プロジェクトチーム発足
✦ 1号機ミッション部+標準バスSDR(08年5月7日、5月26日)
✦ ミッション部RFP
✦ 1号機ミッション部+標準バス コストヒアリング
✦ プロジェクト移行審査(08年11月18日)
✦理事会(11/18, 12/1)、経営企画審議(12/25)
✦ プロジェクトチーム発足(09年1月1日)
✦ 小型科学衛星『シリーズ』化への移行審査(09年4月を予定)
✦ MTM, TTM 製作開始前に設計確認会をサブシステム単位で実施後、全体
確認会を実施予定(09年3月∼6月)
✦ SPRINT-A / EXCEED と命名
✦ 1号機の打ち上げ時期は2012年上半期を目標とする
✦ 小型科学衛星2号機の再公募中(09年3月31日締め切り)
今年度の作業状況
SPRINT-A / EXCEED
✦ バス部
✦コンポーネント選定・配置確定
✦1号機および各提案ミッションへの柔軟性を確保
✦コンポーネントの再利用性確保のため、分散コンポーネント化を実施
✦熱構造設計の基本設計終了(成立性を確認)
✦地上系整備検討(GSTOS, SIB2 対応検討に参加)
✦信頼性とコストバランスを考慮し、小型科学衛星の信頼性ガイドラインを策定
✦バス部構体 MTM(10年01月-)/TTM(10年02月-) 試験実施予定
✦ ミッション部
✦要素試作・評価(EUV主鏡用テストピース、EUVグレーティング)
✦光学コンポーネントのサンプル品効率測定結果:目標仕様を達成
✦雑音性能評価(MCPに対する放射線 background評価を実施)
✦MCP検出器用高圧電源回路試作・評価中(2009年5月末)
✦ミッション部MTM(09年12月-)/TTM(09年11月-)
✦熱構造システムの基本設計を終了
✦ デ・オービット方法(デブリ防止対策)検討中
✦ デ・オービット用コンポーネントチームを立ち上げ、検討実施中
SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星1号機(SPRINT-A)の概要
• 小型科学衛星シリーズの1号機として、 金星、火星、木星を極端紫外光
(EUV)で観測することで、木星のイオトーラスのエネルギー収支機構の解
明や、地球型惑星の太陽風との相互作用による大気流出機構の解明を目
指す。
• 衛星の主要スペック
– 重量:320kg(含デブリ防止機構)
– 大きさ:1m×1m×4m
– 軌道:900km×1200km (i=31deg)
– 寿命:1年
– 姿勢精度:1.5分角
(ミッション部ガイドカメラからの姿勢補償情報で、姿勢安定度として
は、5arc-secを達成)
3
EXCEED Mission
EUV
Spectrometer
SPRINT-A / EXCEED
Aperture
baffle
Slit viewing
camera
EUV spectrometer�+�Slit viewing camera
Shell
structure
EUV
grating
EUV
spectrometer
electronics
component
5-stage
MCP
detector
EUV
reflector
Small satellite
bus module
TOPS/EUV Optics
概
要
TOPS
mission
structure
Launching
2012
Mission life
more than 1year
Orbit and
control
LEO
900 X 1200 Km
3-axis control
Pointing
accuracy
±1.5arcsec(course, STT)
5arcsec
(with slit camera)
stability
± 5arcsec/120sec
ミ
ッ
シ
ョ
ン
部
wavelength
EUV
((55)-65-135 nm)
instrument
EUV spectrometer
weight
∼ 80 kg
Power
200 W
telemetry
< 0.1 GB/day
FOV
10-30” X 4’ (Slit)
SPRINT-A / EXCEED
観測対象
✦金星・火星
✦木星
✦ Comets
✦ Astronomical monitor observations
SPRINT-A / EXCEED
観測対象
✦金星・火星
✦ ✦木星
✦Comets
✦Astronomical monitor observations
SPRINT-A / EXCEED
観測対象
✦金星・火星
✦SWCX、外圏・電離圏、流出大気
✦木星
✦Io Plasma Torus
✦Comets
✦SWCX
✦Astronomical monitor observations
✦Stellar (exo-solar) cycle, nova
SPRINT-A / EXCEED
小型科学衛星1号機(SPRINT-A)
ミッション部の成功基準
① 木星イオトーラスのSpectrumから背景電子温度を導出する
② 金星または火星の酸素イオンの流出率の上限値を求める
③ 木星磁気圏へのエネルギー流入ルートを明らかにする
④ 金星または火星の炭素イオンと窒素イオンの流出率の上限値を求める
ミニマムサクセス
①または②を達成する
フルサクセス
①∼③を達成する
エクストラサクセス ①∼④全てを達成する
11
SPRINT-A / EXCEED
EXCEED の目指すサイエンス1
EUV分光観測による
木星イオプラズマトーラス観測
SPRINT-A / EXCEED
EUV放射からエネルギー注入を見る
・内部磁気圏に注入されるエネルギー
大部分はEUV放射により損失
・強いEUV放射の存在
未解明のエネルギー注入過程の
存在を要請
プラズマトーラス
イオ
現在議論されている加熱機構の候補
・背景イオン密度・温度の増大
・高エネルギーイオンの注入
・超熱的電子の供給
∼40%
中性ガ
ス
電離
∼60%
未知の
加熱
硫黄・酸素イオン
数10‐100eV
イオン・電子
クーロン衝突
∼10%
輸送
∼30%
背景電子
数‐数10eV
EUV放射
EUV分光によるプラズマ診断→電子温度の導出
温度構造の時間変動・時間スケールから
回転系磁気圏のエネルギー注入過程に制約を与える
∼90%
Delamere & Bagenal (2003)
SPRINT-A / EXCEED
EUV放射からエネルギー注入を見る
・内部磁気圏に注入されるエネルギー
大部分はEUV放射により損失
・強いEUV放射の存在
未解明のエネルギー注入過程の
存在を要請
プラズマトーラス
イオ
現在議論されている加熱機構の候補
・背景イオン密度・温度の増大
・高エネルギーイオンの注入
・超熱的電子の供給
∼40%
中性ガ
ス
電離
∼60%
未知の
加熱
硫黄・酸素イオン
数10‐100eV
イオン・電子
クーロン衝突
∼10%
輸送
∼30%
背景電子
数‐数10eV
EUV放射
EUV分光によるプラズマ診断→電子温度の導出
温度構造の時間変動・時間スケールから
回転系磁気圏のエネルギー注入過程に制約を与える
∼90%
Delamere & Bagenal (2003)
SPRINT-A / EXCEED
EUV放射からエネルギー注入を見る
・内部磁気圏に注入されるエネルギー
大部分はEUV放射により損失
・強いEUV放射の存在
未解明のエネルギー注入過程の
存在を要請
プラズマトーラス
イオ
現在議論されている加熱機構の候補
・背景イオン密度・温度の増大
・高エネルギーイオンの注入
・超熱的電子の供給
∼40%
中性ガ
ス
電離
∼60%
未知の
加熱
硫黄・酸素イオン
数10‐100eV
イオン・電子
クーロン衝突
∼10%
輸送
∼30%
背景電子
数‐数10eV
EUV放射
EUV分光によるプラズマ診断→電子温度の導出
温度構造の時間変動・時間スケールから
回転系磁気圏のエネルギー注入過程に制約を与える
∼90%
Delamere & Bagenal (2003)
SPRINT-A / EXCEED
木星磁気圏:太陽系内の回転系磁気圏の代表
プラズマトーラス
閉じた回転プラズマ
中での加熱か?
高密度のイオプラズマトーラス
EUV分光:エネルギー注入の可視化
回転効果の強い領域で生じる
エネルギー注入過程を調べる
✦ 閉じた回転系の内部で発動?
✦ 外部からのエネルギー注入が発動?
✦ 外から内へのエネルギー侵入経路は?
イオ
電離圏経由?
∼1分
太陽風擾乱 or
リコネクション?
?
太陽風
MHD波伝搬?
∼3時間
6RJ
30-50RJ
23
プラズマ輸送?
∼8時間
100RJ
動径方向プラズマ輸送の重要性(1)
outward transport
•
磁気圏構造の維持
プラズマディスク(プラズマシート)
✴
�
外側へ輸送されるイオ起源の重イオンが磁気圏のプラズマ圧
を担う。
✴
•
プラズマディスクのプラズマ圧がLobeの磁気圧とバラン
ス
回転系磁気圏の発電を駆動
内部プラズマ源から外側への
プラズマ輸送
✴
�
角運動量保存→共回転遅延
�
�→�電離圏と磁気圏の角速度差
�
�→�磁場のbend-back→動径電流 jr
�
磁気圏プラズマを自転方向に加速し、
10RJ
50RJ
Radial profiles of thermal plasma pressure in the
Jovian magnetosphere observed by the Galileo
spacecraft (Mauk et al. 2004)
jr:Co-rotation enforcement current
(Hill current)
��磁気圏の広範囲で、自転方向のプラズマ対流が維持される
惑星自転エネルギーを磁気圏プラズマへ解放
✴
�
→�回転系磁気圏の形成
�
(��������地球磁気圏:太陽風駆動)
Auroral current system driven by radial transport of plasma
from the source at Io. (Cowley et al. 2002).
動径方向プラズマ輸送の重要性(2)
inward transport
• 高エネルギー粒子の内側への注入
✴放射線帯の「種」粒子の注入
✴高エネルギー粒子の加速に関わる
Whistler波動を励起するリンクカレント粒子
の注入
太陽系最強の粒子加速磁気圏
回転効果の強い磁気圏での
動径方向プラズマ輸送
Production of synchrotron radiation
from Jupiter. (Horne et al. 2008)
プラズマは磁場に凍結
内部プラズマ源からの外側輸送されると伴に、磁束の保存が必要
外側へのプラズマ輸送と同時に、内向きに磁束を戻す必要がある
Interchange(交換)不安定によるプラズマ輸送が有力候補
Inwardとoutwardのプラズマ輸送は連動
木星電磁圏観測
イオプラズマトーラスEUV発光分布(Cassini/UVIS)
木星紫外オーロラ(HST/WFPC2)
木星オーロラ(中間・外部磁気圏擾乱)
H2 Lyman & Werner bands
(EUV+FUV:60nm-160nm)
内部磁気圏イオンと電子温度動径分布
S+,S2+,S3+, O+,O2+(60nm-130nm)
SPRINT-A / EXCEED
EXCEED の目指すサイエンス2
EUV分光観測による
惑星大気流出の観測
• 惑星からの大気流失
– 金星、火星をターゲットとする
• 「O+ と C+, N+の流出率の上限値」
を求める
• 「どの上流(太陽風)条件の時に、
大気(外圏)がどう変化し、電離大気(電離圏、尾部)の流出
率がどう変化するか」を同時に捉える
SPRINT-A / EXCEED
過
去
の
惑
星
大
気
強い太陽風フラックス
強い太陽放射フラックス
高頻度CME, フレア
に対する応答が惑星大気の進化の鍵を握る
SPRINT-A / EXCEED
過
去
の
惑
星
大
気
強い太陽風フラックス
強い太陽放射フラックス
高頻度CME, フレア
に対する応答が惑星大気の進化の鍵を握る
SPRINT-A / EXCEED
過
去
の
惑
星
大
気
強い太陽風フラックス
強い太陽放射フラックス
高頻度CME, フレア
に対する応答が惑星大気の進化の鍵を握る
SPRINT-A / EXCEED
Young sun
✦総輻射量は少し小さい
✦恒星真価のStandard model を用いた場合現在の
70-80%程度
✦X/EUV 強度、太陽風強度は大きい
✦自転速度大→内部差動回転速度大(激しい対流)
✦ → 強い磁場生成 → 高い表面活動度
✦ → 激しいコロナ活動、フレア、太陽風
SPRINT-A / EXCEED
Young sun
✦総輻射量は少し小さい
✦恒星真価のStandard model を用いた場合現在の
70-80%程度
✦X/EUV 強度、太陽風強度は大きい
✦自転速度大→内部差動回転速度大(激しい対流)
✦ → 強い磁場生成 → 高い表面活動度
✦ → 激しいコロナ活動、フレア、太陽風
SPRINT-A / EXCEED
Young sun
✦総輻射量は少し小さい
✦恒星真価のStandard model を用いた場合現在の
70-80%程度
✦X/EUV 強度、太陽風強度は大きい
✦自転速度大→内部差動回転速度大(激しい対流)
✦ → 強い磁場生成 → 高い表面活動度
✦ → 激しいコロナ活動、フレア、太陽風
SPRINT-A / EXCEED
Solar wind of a young sun
✦現在の太陽風強度の100倍程度で頭打ち
✦磁場が強くなるため、閉じた磁力線が卓越しプラ
ズマの流れ出しを抑制
Wood et.al. 2005
SPRINT-A / EXCEED
Solar wind of a young sun
✦現在の太陽風強度の100倍程度で頭打ち
✦磁場が強くなるため、閉じた磁力線が卓越しプラ
ズマの流れ出しを抑制
Wood et.al. 2005
SPRINT-A / EXCEED
Young sun
✦自転速度
✦10-100 X (velocity of the present sun)
✦磁場強度
✦100-1000 X (flux of the present sun)
✦X線強度
✦1000-10000 X (flux of the present sun)
✦太陽風強度
✦∼100 X (flux of the present sun)
SPRINT-A / EXCEED
EXCEED に よ る サ イ エ ン ス
大気流出の太陽風応答に関する観測
– 「どの太陽風条件の時に、大気(外圏)がどう変化し、電離大気(電離圏、尾
部)の流出率がどう変化するか」を同時に捉える
ミクロなプロセスを捉えることが出来る惑星周回機の「その場観測」に対し
て、マクロな量を押さえる
– 惑星周回機の「その場観測」は、流出の素過程を調査出来る利点がある。その一方で、 上流
から下流までの変動を同時に捉えるのは困難
太陽系の初期(太陽風が顕著だった時代)における大気散逸問題にメスを入れる
電荷交換反応
(太陽風観測)
O+ 83nm 共鳴散乱
(電離圏大気観測)
温室化ガス(CO2)と水(H2O)
はどこに失われた?
惑星が大気を保有する条件は何か?
生命を育む惑星の成立条件は何か?
H 121nm 共鳴散乱
O 130nm 共鳴散乱
(外圏大気観測)
O+ 83nm 共鳴散乱
(流出大気観測)
SPRINT-A / EXCEED
– Simultaneous observations of a flux of the solar
wind, induced exosphere and ionosphere, and
the escaping tail
– their reactions upon the solar wind
O+ 83nm
(Ionosphere)
Charge
exchange
(Solar wind)
H 121nm
O 130nm
(exosphere)
EXCEED Mission
Slit cell
of EUV spectrometer
O+ 83nm
C+ 133nm
N+ 108nm
Movie: from ESA
Picture: from NASA
SPRINT-A / EXCEED
光量見積り(金星)
金星
領域
波長
太陽風
O+4/C+5
(電荷交換反応)
52-68 nm
50”×50”
期待されるフォトン数
(photons /sec)
4x10-3~4x10-1
以上
検出効率
0.011
Counts/hour
2x10-1~2x101
以上
~2x10-1
0.016
~1x101
2x101~6x101
0.011
8x102~2x103
7x10-2~2x10-1
0.025
6x100~2x101
7x10-1~2x100
0.010
3x101~7x101
N+ 108 nm
7x10-2~2x10-1
0.024
6x100~2x101
尾部
O+ 83 nm
3x10-3~3x10-1
0.025
3x10-1~3x101
(~11惑星半径の地
点)
C+ 133 nm
3x10-3~3x101
0.010
1x10-1~1x103
4x10-4~4x100
0.024
3x10-2~3x102
外圏(ディスク外)
H 121 nm
スリットセルサイズ
O 130 nm
10”×10”
O+ 83 nm
電離圏
C+ 133 nm
10”×10”
100”×100”
N+ 108 nm
信号とノイズが
1σの誤差で分
離できる時間
~ 1 day
~ 10 sec
~ 100 sec
~ 1 day
データはフォトンカウントの時系列で記録
34
SPRINT-A / EXCEED
火星の温室化ガス(CO2)は
どこに失われたのか
• CO2, N2の各惑星質量に対する重量比(左
図)は宇宙空間への散逸を示唆
• 火星隕石中のN, C, Arの同位体比も、90%
の大気が散逸した事を示唆
• (1気圧以上の)大量のCO2の消失?
– MEX / OMEGAの観測では、表層に大量の炭酸
塩は見つからず
– 地下に埋蔵?
– 宇宙空間に散逸?
金星 地球 火星
の組成重量比
[Chassefiere et al., 2006]
EXCEED観測によりC+, N+の流
出率の上限値を与える
火星気候変動の謎に迫る
35
SPRINT-A / EXCEED
EUVによる大気流出観測
✦EXCEED 観測の目標
✦「どの上流(太陽風)条件の時に、大気(外圏)がどう変
化し、電離大気(電離圏、尾部)の流出率がどう変化する
か」を同時に捉える
✦惑星周回機の「その場観測」は、流出の素過程を調査
出来る利点がある。その一方で、
✦上流から下流までの変動を同時に
捉えるのは困難
✦高レイノルズ数流れの中で瞬間的
(数時間 日)な大気流出率の変化
を捉えるのは困難
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SPRINT-A / EXCEED
EUVによる大気流出観測
✦EXCEED 観測の目標
✦「どの上流(太陽風)条件の時に、大気(外圏)がどう変
化し、電離大気(電離圏、尾部)の流出率がどう変化する
か」を同時に捉える
Pioneer Venus Orbiter!"#
✦惑星周回機の「その場観測」は、流出の素過程を調査
出来る利点がある。その一方で、
✦上流から下流までの変動を同時に
捉えるのは困難
✦高レイノルズ数流れの中で瞬間的
(数時間 日)な大気流出率の変化
を捉えるのは困難
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SPRINT-A / EXCEED
EXCEED
Observation opportunity
EXCEED Mission
EUV
Spectrometer
SPRINT-A / EXCEED
Aperture
baffle
Slit viewing
camera
EUV spectrometer�+�Slit viewing camera
Shell
structure
EUV
grating
EUV
spectrometer
electronics
component
5-stage
MCP
detector
EUV
reflector
Small satellite
bus module
TOPS/EUV Optics
概
要
TOPS
mission
structure
Launching
2012
Mission life
more than 1year
Orbit and
control
LEO
900 X 1200 Km
3-axis control
Pointing
accuracy
±1.5arcsec(course, STT)
5arcsec
(with slit camera)
stability
± 5arcsec/120sec
ミ
ッ
シ
ョ
ン
部
wavelength
EUV
((55)-65-135 nm)
instrument
EUV spectrometer
weight
∼ 80 kg
Power
200 W
telemetry
< 0.1 GB/day
FOV
10-30” X 4’ (Slit)
Mission部機器構成
✦EUV 分光器部(主観測装置)
✦EUV 主鏡 + スリット + EUV 分光器
✦MCP 検出器及び読み出しエレクトロニクス
✦視野ガイドカメラ(姿勢制御誤差信号用)
✦スリットガイド再結像光学系
✦CCD ヘッド + コントローラ
✦MDP 及びミッション部電源系
Mission部コンポーネント
✦EUV 分光器部
✦EUV 主鏡
✦口径 20 cm SiC + SiC-CVD(コート);新規製作
✦EUV 分光器
✦準ローランド式(過去のミッションの Heritage)
✦MCP 検出器及び読み出しエレクトロニクス
Mission部コンポーネント
✦視野ガイドカメラ
✦スリットガイド再結像光学系
✦可視光波長帯で既製品の設計を利用(構造設計のみ
新規)
✦CCD ヘッド(Planet-C IR1 カメラ系を踏襲)
✦コントローラ
✦MDP 及びミッション部電源系
✦小型シリーズで標準化
基本構成: 信号系統
Mission部
µHCU
SpW
Bus部: SpW x 2ch
CMD
HK,
TLM
(電源・熱制御部)
SpW
Hardware I/F
-対Bus部
SpW x 2
-Mission部内 SpW x 12
RS422 x 2
SpW
SpWR
Software I/F (in MDP)
-Min H/Wのみ提供
-Med OS/Driver/
Middleware
-Max Softwareごと契約
SpW
SpW
Cntrl
CCD cam. sensor
CCD cam. mechanics
SpW
Data, status, HK
Cntrl
status, HK
EUV sensor
視野
ガイド
カメラ
制御系
CMD
CMD
HK,
TLM
SMU
HK
TLM
(Busデータ処理部)
SpW
SpW
RS422
(or
SpW)
MDP
SpW x 3ch
RS422 x 2ch
NIC08
SpW
CMD
HK, TLM SpW
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V4.1 (080401)
EUV観測装置:
準ローランド式 (2回の反射で惑星の大気光は検出器に至る設計)
主鏡部との光学IF
0.05mm
1.00mm
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V4.1 (080401)
光学系
SPRINT-A / EXCEED
試作を実施中。
SPRINT-A / EXCEED
SiC-CVD
Sample
SPRINT-A / EXCEED
極端紫外線分光観測装置(1)
極端紫外線分光装置は検出器部と駆動エ
レキ部から構成される。
検出器のボックスには、
入射スリット、回折格子、ライトトラッ
プ、検出器であるMCP及び検出器用の高圧
電源、信号読み出しのプリアンプを配置
する。
入射スリットは、サイズの異なる3つのス
リットを切り替えられる。
ライドトラップ
回折格子
MCP
入射スリット
SPRINT-A / EXCEED
SPRINT-A / EXCEED
EXCEED