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2012 年 3 月 15 日発行
福 祉 の閲覧室
復 刊
第 10 号
通巻 80 号
日本社会事業大学附属図書館報
Japan College of Social Work Library Report
ライブラリー
★ ライフ
計画学科2年 澁谷 一貴
図書館というとあなたはどのようなイメージを抱い
ているだろうか。静かなところ、勉強をするところ、
厳かなところ、調べ物をするところ、というのが多く
の人が抱くイメージだろう。だが、私にとって図書館
はリラックスの場所と感じている。もちろんテスト前
やレポート提出前は図書館を使い、調べ物や勉強を行
うが、多くの時間はもっぱらリラクゼーションのため
に利用している。
意外に思うかもしれない社大の図書館はリラックス
のための様々な仕掛けが用意されている。代表的な
ものとしては3階にある「リフレッシュコーナー」が
挙げられるだろう。漫画等が用意されており、図書館
の中で唯一飲み物が飲める場所となっている。「福祉の東大」たる日本社会事業大学の図書館
のリフレッシュコーナーだけあって、置いてある漫画も福祉関係が多い。中でも、くさか里樹
の「ヘルプマン!」は私のお気に入りの作品だ。福祉の勉強をしている中で自分を見失った時
にこの漫画を読むとモチベーションが回復するため、結構な頻度でお世話になっている。また、
福祉関係の漫画以外にも「もやしもん」、
「進撃の巨人」といったメジャーな作品も用意されて
いるので、疲れたときはリフレッシュコーナーで息抜きするのがいいと思う。また、ビデオを
始めとする視聴覚資料も用意されている。ジブリといったメジャーな作品から往年の名作映画
まで様々なバリエーションが用意されている。中でも「ミセス・ダウト」は、リラックスに
オススメの映画である。その他様々な映画が用意されているので時間があったら見てみるのも
良いだろうと思う。
このように図書館は勉強だけでは無く、リラックスも出来る場所なのである。皆さんも勉強
では無くリラックスのために図書館を利用してはいかがだろうか。これは余談になるのだか、
図書館の中で、私が一番リラックス出来るのは、カウンター横のソファーである。フカフカの
ソファーに身を沈めるのがなかなかに心地よい。誰にでもリラックス出来る場所が、何処かに
ある。私はそれが図書館だったようだ。
1
Library Guide
資料の探し方
日本社会事業大学附属図書館 OPAC(Online Public Access Catalog)
レポート課題で
図書館の資料をが
必要!そんな時の
探し方を教えます。
まず、便利なのが
オンライン検索!
学外からでも、アク
セス可能です。
社大 OPAC と呼ばれるオンラインカタログ(http://opac.jcsw.ac.jp/)で、
資料を探してみましょう。まず、画面上部のクイックサーチに、検索キーワード
を入力します。タイトル、著者名、その他思いつくワードを入れてみましょう。
蔵書一覧が表示されまし
たら、気になる資料を選択
します。詳細情報が、表示
されます。ここで、大事な
ことは、書名・請求番号・
所在をメモすることです。
図書館内のマップを参考に
資料を探すことができます。
請求番号の数字は、NDC(日本十進分類法)の分類番号と呼ばれ、各分野に
対照しています。請求番号「369-カ」を例にとると、3は社会科学分野を表し
ており、さらに細分化された 369 は社会福祉分野を意味しています。
「カ」は、
著者記号と呼ばれ、著者の頭文字を採っています。書架の間をブラブラ歩いてみ
ましょう。興味のある分野の書架はもちろんのこと、そうでない分野の書架でも
思わぬ出会いや発見があります!
本館は、2階に社会科学の和書・雑誌等、3階にその他の分野の和書・洋書等
1階に児童向けの子ども福祉図書館があります。是非、利用してください。
2
本棚から三冊
紹介:今井
明
教授
社大を去るに当たり、これまで図書館に寄贈したものの中から 3 冊の本をご紹介したいと思います。
学生諸氏におかれましては、多感な年代のうちに、たとえ数は少なくても、吸い込まれるようにして読ん
でしまったというような、そんな本に出会って欲しいと思います。
幻想博物誌(澁澤龍彦 河出書房新社 1983.10)請求番号:914.6-シ
読書は、夜、穏やかに眠りにつくことができるようにするための手段でもある。綺譚物(不思議物語)
は、ちょうどおあつらえむきで、澁澤龍彦の作品もそのひとつであると思う。ご紹介する幻想博物誌では、
実在する動物も取り上げられているが、サラマンドラやクラーケン、バジリスクス、セイレーンなど架空
の動物が多く登場しており、それらの話が特におもしろい。空想に満ちた異国の地誌の中に出てくる動物
たち、それが中世に受け継がれ広まったという経過だけでも心が躍る。地理上の発見がなされるはるか
以前、未だ見知らぬ世界に対する頭でっかちな想像力の所産についての話が多く、合理的な説明を受け付
けない楽しさにあふれている。
なお、本書の中で、澁澤がよく引用しているプリニウスの博物誌(全3巻 中野定雄ほか訳 雄山閣出版)
も感性の豊かな学生のうちに手にとってみて欲しい事典である。しかし残念ながらこれは少し値段が高
い。私は社会人になって何年も経ってようやく手に入れることができたが、文庫本が出ていればよいのに
と思う。
核爆発災害
そのとき何が起こるのか(高田純 中公新書 2007.4)請求番号:539.99-タ
本書は、以前、読書マラソンの推薦図書としても紹介したことがあるが、その後福島の原発事故を契機
に、著者の高田氏がときどきメディアに露出するようになったということもあり改めて取り上げる。本書
は核爆発を「大災害」として科学的に認識することを目的としている。私が最も印象に残ったのは広島や
ビキニ環礁、あるいはアトミックソルジャー(冷戦下に核実験演習に参加した兵士達)の被爆体験の証言
記録を、主に放射線医学の観点から科学的に解説した部分(第1章、第2章)である。広島の原爆におい
て、爆心地に最も近い生存者は、爆心地から約170メートル離れたところで被爆している(170メー
トル・・社大の正門当たりからC棟の教室までにも至らない距離である)。また、半径500メートル
以内には78人の生存者がいた(推定犠牲者数2万1千人。生存率0.36%)
。本書は、核分裂兵器に
よるエネルギー(爆風、熱放射、放射線)が人体や建造物にどのような影響を与えたのか、爆心地付近で
なぜ生存できたのか等について実態調査を交え、真に迫る解説をしている。原爆の開発や被害についての
著書を少しは読んでいるつもりだったが、本書によって初めて知った数字や事実もあったし、また被爆者
の生の体験を大切に綴りつつ、それを科学的にかつ平易に説明していることに感銘を受けた。
なお、原爆の開発から日本の広島、長崎に投下されるまでの経過、歴史に関心のある方には「資料
マンハッタン計画」
(山極晃ほか訳 大月書店)に目を通すことをお薦めする。政策決定から開発、実験、
目標選定、そして投下といった場面における各種委員会報告や、国家間または政府・軍内部の書簡や覚書、
現場への指令電文などの一次資料を邦訳したもので、巻末には逐一資料解説がついている。大きな図書館
(国立国会図書館、都立中央図書館など)には所蔵されている。
自閉症の人の死別経験とソーシャルワーク(佐藤繭美 明石書店 2011.9)請求番号:369.28-サ
私はソーシャルワークの専門家ではないが、この本は私に実に多くのものを与えてくれた、とても大切
な一冊である。
死別、離婚、失恋など、人は別離によって、愛する人を喪失した事実を現実のものとして認識し、断ち
切りがたい愛着と思慕を断念する内面的作業を強いられることがある。自閉症の人の場合、その障害特性
ゆえに一般的な死別経験からは想像しえない状況が考えられ、そこに支援の必要が生じる。親は歳をとり、
そのときはいずれ確実にやってくる。
言葉では表せないことも含め、本書を手にして本当に多くのことを感じ、心を動かされた。あえてここ
で一つあげるとすれば、それは福祉の実践研究を志す人への尊敬ないし親近感である。本書の中核をなす
死別を経験した自閉症の人の家族等へのインタビューとその分析は、当事者及びその家族と、真摯にかつ
温かく関わることによって培われた信頼関係なくしてはなしえないものではないだろうか。ときに挫折し
かけながらも(著者あとがき)、こつこつと時間をかけて積み上げた地道な取組みの成果をみた思いがし
た。本書は、(自閉症の人に限らず)広く死の問題に関わるソーシャルワーク、あるいは死に向き合うこ
とそのものについての考究として、潜在的な価値が感じられる。そうした意味で本書は、いや、この人の
研究は、これからさらに深く、大きく発展する途上にあるのだろう。
なお、表紙を飾る画も本書にふさわしく、センスを感じさせる(有元利夫「或る予感」)。有元の柔ら
かくてあたたかいタッチがよく似合う一冊である。
3
Interview
姫野
孝雄
教授
Q1. 簡単に自己紹介をお願いします。
2005年の4月から社大で教えています。その前
は厚生労働省等で社会保障の様々な分野の仕事をして
いました。千葉県庁にも出向し、老人福祉や障害福祉
の仕事を3年間経験しました。学生時代は経済学を勉
強していたので、公務員試験も経済職で受験しました。
社大では教養の「経済学入門」や「基礎演習」、専門
の「福祉と経営(経済)」といった主に経済関係の科目
を教えています。研究では社会保障関係の単著を3冊
出しています。
Q2. 図書館とのかかわり
学生時代は大学図書館でアルバイトをしていました。当時はセキュリティシステムが整備
されていなかったので、多くの図書は閉架に置かれていて学部生は入ることは出来ませんで
した。また、検索もカード式だったので、タイトルが分かっていないと読みたい本に出会え
なかったのですが、アルバイトをしていたお蔭で、自由に本を手に取ることができました。
今でも書庫の中の古い本から出る紙の独特の匂いをなつかしく思い出します。
Q3. 新入生の皆様にメッセージ
私が担当している基礎演習では西洋史を中心とする歴史関係の本を学生に読んでもらって
います。福祉という社会システムを深く知るためには人々がこれまでに経験した政治、経済、
社会の長い歩みを理解しておくことがその前提となると考えるからです。入学すると様々な
専門科目が用意されているので、まずは指定されたテキストを読むことが中心となりますが、
できるだけ時間を見つけてはそれ以外の本も読むことを心掛けてください。
福祉の閲覧室次号は7月
日本社会事業大学附属図書館 〒204-8555 東京都清瀬市竹丘 3-1-30
発行を予定しています。
Webにてご覧ください。
TEL:042-496-3030 FAX:042-496-3031 E-mail:[email protected]
URL:http://www.jcsw.ac.jp/library/index.html
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