生薬学研究室 - 同志社女子大学

The Dreams of DoRIS 2012
Doshisha Women's College of Liberal Arts
生薬学研究室
天然物中の生物活性物質を探索する
動物、植物そして鉱物は長年にわたって病気やその予防に使用され、人々は各地域の伝統薬として継承してきま
した。これら天然資源は医学分野ももちろん食品、農薬、化粧品関連分野においても重要な資源として利用されて
います。今日の生薬学は主に植物化学、特に生物活性天然物の研究に進んでおり、天然物から生物活性物質を単離し、
それらを医薬品、医薬品原料あるいは新薬開発のリード化合物として利用しています。
我々生薬学の研究グループは、伝統薬物のエキスを調べるために、またあらゆる分離機器を使用して生物活性物
質を生薬から単離するため、多様なバイオアッセイシステムを利用しています。これらの生物活性物質の構造は質
量分析(MS)
、核磁気共鳴スペクトル(NMR)やX線結晶解析のような分光学的技術の使用により決定しています。
最近では、中国で神経痛やリウマチの治療に用い、また血小板活性因子により活性化される血小板凝集作用に対
し抑制効果を示すコショウ科Piper futokadsura から、抗酸化作用を示すネオリグナン類を単離しました。また、東
南アジアで伝統薬物として使用しているトウダイグサ科植物Excoecaria agallocha から強い抗発ガンプロモーター
活性を示すジテルペン類を発見しています。さらに、シソ科に属するDracocephalum komarovi からTrypanosoma
cruzi に対して抗寄生虫活性を示す化合物として新規ジテルペン類を単離し、構造を決定しています。
今後さらに、現在増加傾向にある「不眠」に関連して、自然な睡眠覚醒調節作用を持つ天然素材およびその成分
を探索すること、また、天然資源枯渇に対応するため、植物の組織培養による生物活性物質の大量生産あるいは薬
用植物の作出なども検討しています。
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同志社女子大学 教員研究活動紹介集
医療薬学科
●薬学部
小西 天二 教授
薬学博士
(昭和大学)
KONISHI Tenji
現在の研究分野
生薬学、天然物化学
天然薬物、民間薬物からの新たな生物活性成分の探索研究
研究・社会活動等
●日本生薬学会 評議員
所属学会
日本薬学会、日本生薬学会、日本農芸化学会、日本植物生理学会
2012年~
●科学研究費補助金(基盤研究
(C))睡眠調節物質オキシピナタニンの
<著書>
●大観漢方生薬学(共著)京都広川 2010
作用メカニズムの解明
年
用を持つ機能性食品の開発
diterpenes, excoecarins M and N from the resinous wood of
Excoecaria agallocha(共著)Tetrahedron Letters 2010年〜
●平成22年度地域イノベーション創出研究開発事業 自然な睡眠調節作
<論文>
●
Neolignans
2006年〜
学内外研究費による主要研究活動歴
主要研究業績
●
Novel
●日本生薬学会関西支部 支部長
2010年
2000年
from Piper futokadsura and nitric oxide production
inhibitory effects(共著)Chemical and Pharmaceutical Bulletin
2005年
中村 憲夫 准教授
学術博士
(金沢大学)
NAKAMURA Norio
現在の研究分野
●
Five
天然物化学、有機化学
天然薬物を基源とする生理活性物質の探索
and Their Cytotoxic Effects on LLC Tumor
伝統薬物の有効性の科学的解明
Cell Line(共著)J. Nat. Prod. 所属学会
2004年
研究・社会活動等
日本薬学会、日本生薬学会、和漢医薬学会
●日本薬学会「ファルマシア」トピックス専門小委員
主要研究業績
1999年〜2001年
学内外研究費による主要研究活動歴
<著書>
●薬用植物・生薬開発の最前線(共著)
シーエムシー
2001年
<論文>
●抗HIV活性を有する伝統薬物の研究 薬学雑誌
小川 優子 2004年
●三島海雲記念財団 ヒト腸内細菌により植物性エストロゲン様作用物
質に代謝活性化される食品成分に関する研究 生薬学、天然物化学
天然由来、睡眠改善物質の探索
植物二次代謝産物の生理機能解明
2002年
●ウイルス肝炎研究財団 C型肝炎ウイルスレプリカーゼ及びプロテ
アーゼをターゲットとした抗HCV剤開発の試み 2004年
特別任用助教
博士
(薬学)
(武庫川女子大学)
OGAWA Yuko
現在の研究分野
N -Glycosiches of Amino Acid Amides from
●
Hemerocallis fulva var. sempervirens (共著)
Chem. Pharm. Bull. ●Involvement
2009年
of inducible nitric oxide synthase in blood flow
decrease in vein induced by hen-egg white lysozyme(共著)
Biol.
所属学会
日本薬学会、日本生薬学会、日本農芸化学会
Pharm. Bull. 2007年
学内外研究費による主要研究活動歴
主要研究業績
●平成22年度地域イノベーション創出研究開発事業
<論文>
●Allergy-Preventive
New Maleic and Succinic Acid Derivatives
from the Mycelium of Antrodia camphorata
effects of Chlorogenie Acid and Iridoid Derivatives
用を持つ機能性食品の開発
自然な睡眠調節作
2010年
from Flower Buds of Lonicera japonica (共著)Biol. Pharm. Bull. 2011年
同志社女子大学 教員研究活動紹介集
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