環境保全協定に定める環境保全活動 及び 報告書作成に関する手引き

環境保全協定に定める環境保全活動
及び
報告書作成に関する手引き
平成20年3月
大津市環境部環境保全
大津市環境部環境保全課
保全課
はじめに
今日の環境問題は、地域の環境から地球環境に至るまで広範囲に、また世代間に及ぶ問題
にまで深刻化していますが、これらの多くはあらゆる事業活動や日常生活に起因しています。
こういった背景から、最近、事業者自らが持続可能な発展の理念に基づき、循環型社会の
システムの構築に向けて取り組む手法として、環境管理システム導入の動きが活発化し、I
SO14001の認証を取得する企業が数多く見受けられるようになってきました。
大津市においても、平成7年度に大津市環境基本条例を制定し、平成10年度には大津市
環境基本計画を、平成11年度には大津市地球環境保全地域行動計画(アジェンダ21おお
つ)を策定したところですが、これらを推進するためには、行政、事業者、市民のパ-トナ
-シップ(協働)による取り組みが必要です。
環境保全協定の締結は、その一環として、事業者による自主的な環境保全活動を推進する
ため、大津市生活環境の保全と増進に関する条例に基づいて推進しているところですが、こ
の冊子は、環境保全協定第3条第2項に定める「環境保全活動に関する手引き」及び同協定
第4条第1項に定める「報告書作成の手引き」として策定したものです。
沿
革
平成 12 年 9 月 策定
平成 14 年7月 改定
平成 18 年 3 月 改定
平成 20 年 3 月 改定
Ⅰ 環境保全活動に関する手引き
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大津市の定める環境保全活動について
大津市作成の環境管理システム
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
2 環境保全活動計画
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1) 事業活動等の環境への影響調査
(2) 法令及びその他の要求事項の把握
(3) 環境保全目的、目標の設定及び具体的な行動計画の作成
4
3 環境保全活動の実施及び運用
(1) 組織と責任
(2) 教育と訓練の仕組み
(3) 情報等の連絡の仕組み *
(4) 管理規定類の整備 *
(5) 文書の管理 *
(6) 運用管理
(7) 緊急事態への準備と対応
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
確認
遵守状況の評価
是正(修正と予防) *
記録 *
自己評価
10
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14
1 環境保全活動方針の設定
4 点検
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
5 最高責任者による見直し
Ⅱ 報告書作成の手引き
* できるだけ実施するよう努める項目
環境保全活動とは
環境保全活動の目的は、事業活動に伴う環境への影響の最小化を図るため、事業活動を環境面から把握
し、組織的・体系的に環境保全に取り組むことにあります。
活動の基本は、事業者が自ら環境保全活動方針を設定し、その実現のための計画を策定し、環境保全活
動を実践し、その結果を自ら確認し評価するといういわゆるP
P(plan)・D
D(do)・C
C(check)・A
A(action)のサイ
クルを体系化されたシステムの中で組織的に実施していくものです。これにより事業活動に伴う環境負荷
を継続的に改善し、環境管理のレベルアップを図ろうとするものです。
(環境保全活動のモデル)
継続的改善
環境方針
最高責任者による見直し
計画
点検
実施及び運用
1
大津市の定める環境保全活動について
環境保全協定第3条第2項では、環境管理体制の整備を行うことを求めていますが、その方法は、
1 ISO14001に沿ったマネジメントシステムの構築
2 大津市の定める環境保全活動に関する手引き(本書)に従う整備
としています。
環境保全協定(抜粋)
第3条 事業者は、前条に規定する環境保全活動を継続して推進するため、必要な組織を
整備し、環境保全に関する方針及び目標を定め、その方針及び目標を達成するための計
画を策定し、その計画を実施し、その実施状況を点検し、その結果に基づき見直しを行
う環境管理体制(以下「環境管理体制」という。)の整備及び充実に努めるものとする。
2 事業者は、前項に規定する環境管理体制は、ISO14001に沿ったマネジメント
システムの構築又は市の定める環境保全活動に関する手引きに従う整備により行うもの
とする。
上の2に示す「大津市の定める環境保全活動」は次のとおりとします。
大津市の定める環境保全活動
内
容
①大津市作成の環境管理システム
本書P4以下に示す内容
②KES・環境マネジメントシス
テム・スタンダード
ISO14001の趣旨に沿って簡素化し、用語も平易なものに改めた環境マ
ネジメントシステムで「京のアジェンダ21フォーラム」が策定し、
「おおつ環境フォーラム」も採用しています。
③エコアクション21
中小事業者等の幅広い事業者を対象とした、「環境への取組を効
果的・効率的に行うシステムを構築・運用・維持し、環境への目
標を持ち、行動し、結果を取りまとめ、評価し、報告する」ため
の方法。環境省がガイドラインを策定し、認証・登録は、財団法
人地球環境戦略研究機関 持続性センターが実施しています。
ISO14001、大津市作成の環境管理システム、KES、エコアクション21の概要を次ページに示します。
2
2.3.6 最高責任者による評価
3
※は、出来るだけ実施するよう努める項目
5.最高責任者による見直し
4.6 マネジメントレビュー
点検
確認
順守評価
修正と予防
記録
自己評価
2.3.5
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
4.5 点検
4.点検
4.5.1 監視及び測定
(1) 確認
4.5.2 順守評価
(2) 遵守状況の評価
4.5.3 不適合並びに是正処置及び ※(3) 是正(修正と予防)
予防措置
※(4) 記録
4.5.4 記録の管理
(5) 自己評価
4.5.5 内部監査
12 代表者による全体の評価と見
直し
10 取組状況の確認及び問題の是
正
11 環境関連文書及び記録の作
成・整理
5 実施体制の構築
6 教育・訓練の実施
7 環境コミュニケーション
8 実施及び運用
9 環境上の緊急事態への準備及
び対応
3.環境保全活動の実施及び運用
(1) 組織と責任
(2) 教育と訓練の仕組み
※(3) 情報等の連絡の仕組み
※(4) 管理規定類の整備
※(5) 文書の管理
(6) 運用管理
(7) 緊急事態への準備と対応
4.4 実施及び運用
4.4.1 資源、役割、責任及び権限
4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
4.4.3 コミュニケーション
4.4.4 文書類
4.4.5 文書管理
4.4.6 運用管理
4.4.7 緊急事態への準備及び対応
2.3.4 実行
(1) 体制と責任
(2) 教育と訓練
(3) 情報の連絡
(4) 文書
(5) 文書の管理
(6) 活動
(7) 緊急事態への準備と対応
2.3.3 計画
2.環境保全活動計画
2 環境負荷と環境への取組状況
(1) 環境影響項目
(1) 事業活動等の環境への影響調査
の把握及び評価
(2) 法令およびその他の要求事項の把握
(2) 法的及びその他の要求事項 3 環境関連法規等の取りまとめ
(3) 環境保全目的、目標の設定及び具体
(3) 環境改善目標及び改善計画 4 環境目標及び環境活動計画の
的な行動計画の作成
策定
1 環境方針の作成
エコアクション21
4.3 計画
4.3.1 環境側面
4.3.2 法的及びその他の要求事項
4.3.3 目的、目標及び実施計画
2.3.2 環境宣言
KES(ステップ2)
1.環境保全活動方針の設定
大津市作成の環境管理システム
4.2 環境方針
ISO14001:2004
大津市作成の環境管理システム
以下、本システムの項目のうち太字
太字は必ず実施するもの、カッコ書きの項目は実施するよう努めるもの
太字
です。
1 環境保全活動方針の設定
最高責任者は、事業所における環境保全活動に関する全般的な方向性を示す声明で、活動の原則となる
環境保全活動方針を定めます。いつまでに何を行うのか、なぜそれを行うことが適切であるかを合理的に
説明します。
可能な限り次の事項を満足するようにします。
① 事業所における活動、製品及びサ-ビスの性質や規模、環境に及ぼす影響等を十分に考慮する。
② 継続的な環境改善の推進及び環境汚染の予防を約束する。
③ 環境に関する法令やその他必要と思われる事項を遵守することを約束する。(「大津市環境基本
計画」や「大津市環境配慮指針」、「アジェンダ21おおつ」の内容なども十分に踏まえる)
④ 環境保全活動方針をもとに環境保全目的及び目標を設定し、法規制や社会情勢の変化等によりこ
れらを見直すことを明らかにする。
⑤ 文書化し、実行し、維持する。
⑥ 事業所内で働く又は事業所のために働く全ての人に周知する。
⑦ 外部の人にも公表する。
2 環境保全活動計画
(1) 事業活動等の環境への影響調査
環境保全活動を進めるためには、まず事業所における活動、製品及びサ-ビスが環境のどの面に対して
どの程度影響を及ぼしているかを把握する必要があります。
把握にあたっては、事業所が購入し使用する物品や原材料、エネルギ-量などを含めて、環境への負荷
を、手順を定めて可能な限り定量的に求めます。
また、環境への負荷の削減のための取組を、どのように行っているかを把握します。
ここで評価した結果を参考に環境保全目的及び目標を立て、環境保全活動を進めることとなります。
事業活動
INPUT(投入)
販売・営業
製
物品購入等
部品・製品
エネルギー
原材料
OUTPUT
研究・企画
製品
サービス
造
関連事務
OUTPUT
排出(=環境負荷)
ばい煙、排水、
騒音、振動、悪臭、廃棄物
環
*
境*
環境については、大気、水質、土壌、資源利用、廃棄物管理、その他地域社会の環境問題など人及
びそれらの相互関係をもつ事業所の活動を取り巻くものについて、地域の環境から地球規模の環境
までを考慮します。
4
【環境への影響調査の方法】
① まず事業所における活動、製品及びサ-ビスを幾つかに分類して評価対象を決定します。
② その各々について、法規制の要求事項を含め、投入と排出に着目して環境に影響を及ぼすと考えら
れる項目又はその可能性のある項目を特定します。
③ それらの環境への影響の程度を特定するための手順を定めて文書化します。
④ 影響の重大性を評価し「著しい」ものを特定し、その結果を記録します。環境目的及び目標を設定
する際には、これらの著しい影響に関するものを確実に配慮します。
なお、環境に影響を及ぼす要素としては、次に示す項目を考慮し、情報が事業所の状況に応じ、常に最
新のものとなるように環境影響評価の手順を定めておきます。
① 大気への放出
② 水域への排出
③ 土壌への流出
④ 原材料及び天然資源の利用
⑤ 廃棄物の管理
⑥ その他、地域社会の環境問題
(2) 法令及びその他の要求事項の把握
環境保全目的及び目標の設定、環境保全活動計画の策定等にあたって、取り組む項目、取り組みの優先
順位、活動の内容などを決定するため、事業所における活動、製品及びサービスの環境側面の適用可能な
法令やその他必要と思われる事項の確認を行い、事業所内に周知できるように文書化します。
また、継続してそれら最新情報をどのように入手するか、改正、変更などを追跡するかなどの収集方法
や関連情報をどのように従業員に伝達するかなども明確にします。
(3) 環境保全目的、目標の設定及び具体的な行動計画の作成
環境保全活動方針を達成するため、また、環境保全活動を継続的に推進するために、事業所全体及び各
部署で環境保全目的及び目標を設定し、文書化します。
環境保全目的:環境保全活動方針から生じる全般的な環境の到達点で、2、3年先までに達成する項目。
環境保全目標:環境保全目的から導かれ、これを毎年度ごとに達成するために設定される詳細な環境保全
活動の項目。
環境保全目的及び目標は、法令基準より厳しければ設定値は任意であり、事業者の判断で定めるもので
すが、技術的に支障がない場合は、環境負荷をより低減するという観点から、これまでの実状を十分配慮
して設定します。
なお、環境保全目的及び目標は、出来るだけ具体的なものとなるよう可能な限り数値化(測定可能なも
の)し、数値化できない場合でも達成状況の確認手段がある環境保全目的及び目標を設定します。
環境保全目的及び目標の設定にあたっては、環境保全活動方針との整合をはかるとともに、次のことに
配慮します。
① 法令その他の要求事項を遵守する。
② 特に環境に著しい影響を及ぼす要素を確実に考慮する。
③ 環境に悪い影響を及ぼす事態を予防する。
④ 技術的、経済的制約等を考慮に入れる。
⑤ 利害関係者の見解や世の中の動向を考慮する。
なお、別途、環境保全目的及び目標の遵守状況を確認するための調査・測定計画の策定が望ましい。
【備考】環境保全目的及び目標として設定する項目(例)
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
環境汚染物質の排出量等(大気、水質、騒音、振動など)
二酸化炭素(CO2)の排出量
オゾン層破壊物質の排出
廃棄物の発生抑制、再利用、リサイクル率
梱包材の削減、再利用、リサイクル率
材料又はエネルギ-の量及び使用効率
製品等の単位当たりの輸送距離
製品の量当たりの発生廃棄物量
環境事故発生件数
5
(環境保全目的及び目標設定のフロ-)
環境に著しい影響を及ぼす要素
環境保全活動方針
財政・運用及び事業上の要求事項
法令その他の要求事項
経済的に可能な技術上の選択
利害関係者の見解
環境保全目的及び目標の設定
環境保全目的及び目標を達成するため、次の項目を含んだ具体的な活動内容及びスケジュール等(必要
により短期、長期等の期間別に設定する。)を作成します。
① 事業所全体及び各部署における環境保全目的及び目標を達成するための進捗を管理する実行責
任者の明示
② 環境保全目的及び目標を達成するための具体的施策と日程を示す。
③ プログラムで環境保全目的及び目標に対する実績が確認できること。
なお、新規事業又は事業変更に伴う生産及び消費活動、製品又はサービスに関するプロジェクトが発生
した場合は、その都度これらに該当するプログラムの改定が必要です。
6
3 環境保全活動の実施及び運用
環境保全活動の実施及び運用
(1) 組織と責任
環境保全活動を効果的に進めるための横断的組織を整備するとともに、それぞれの役割・責任・権限を
明確にし、一覧表にして全員に周知徹底します。
事業所における最高責任者は、環境保全活動を実行し、管理できる責任と権限を持つ環境管理統括者(複
数でも可)を選任します。
環境管理統括者は、この手引きが求めている事項を満たす仕組みを構築し、実施し、管理します。
また、環境保全活動の取組の見直しと改善のための資料として、最高責任者に実績を報告します。
環境管理統括者は、最高責任者と同一者でもかまいません。
(環境保全活動に関する組織の例)
最高責任者
(社 長)
法定管理者
環境評価統括者
環境評価組織
環境管理統括者
環境管理システム事務局
環境保全担当課
製造第 1 課
環境管理推進委員会
(各部署の環境管理推進委員)
製造第 2 課
業 課
総
務 課
○
○ 課
・・
営
・ 環境管理推進委員会は、環境管理統括者を委員長とし、各課の環境管理担当者(環境管理推進委員)
から構成され、環境管理に関する基本的事項について協議・決定する他、定期的に会合を開き環境管
理の実施状況を点検します。
・ 各部署の環境管理推進委員は、環境管理推進委員会での決定事項を各職場において推進するものとし
ます。
7
(2) 教育と訓練の仕組み
事業所に関わる全ての人々に環境保全活動のために必要な教育と訓練を実施するため、事業所全体にわ
たるものや部門固有のものなどを年間教育訓練計画として策定し、実行します。
教育には次の事項を含むようにします。
① 環境保全活動方針や環境保全活動計画など、定められた事項を守ることの重要性
② 自分の作業に関連する環境への影響及び自分が環境の観点から作業改善した場合の環境上の
効果
③ 環境保全活動方針や環境保全活動計画、緊急事態への準備対応など要求される事項を遵守する
にあたっての自らの役割と責任
④ 定められた手順に従わなかった場合等に予想される環境に及ぼす影響の結果。
なお、環境に著しい影響を及ぼす原因となるような作業を行う従業員等は、適切な教育・訓練などによ
る能力をもつようにします。
また、請負者に対しても、その従業員に必要な教育訓練を行うよう要求することが望まれます。
((3) 情報等の連絡の仕組み)【できるだけ実施するよう努める項目】
環境に関する情報や苦情を受け付け、記録し、対応する手順を、次の事項を含めて作成します。
① 内部の各組織への情報の伝達、提案の仕組み
② 外部の利害関係者との情報連絡の仕組み
環境に著しい影響を及ぼす項目については、外部に連絡する仕組みを作り、その結果を記録します。
((4) 管理規定類の整備)【できるだけ実施するよう努める項目】
環境保全活動計画の策定、その実施状況等の確認、その評価及び見直しなど、環境保全活動が確実に実
行されるよう、次の項目を記載した、環境保全活動の実施手順等に関する管理規定類を整備します。
① マニュアルで規定されている要素とそれぞれの関係を明らかに示す。
② 関連文書の所在を適切に示す。
第一次文書
マニュアル
第二次文書
環境保全活動規定類
第三次文書
環境保全活動手順書類
・ 第一次文書 マニュアル
・ 第二次文書 (環境保全活動規定類)においては、環境保全活動に関する各要素の策定と見直し手順
に関する文書及び関連する文書の所在を定める。
・ 第三次文書 (環境保全活動手順書類)においては、各部門で、より細部の手順を示す必要がある場
合に定める。
8
((5) 文書の管理)【できるだけ実施するよう努める項目】
次に示す事項を確実にするために、この手引きに従って環境保全活動を推進するためのすべての文書を
管理する手順を確立し、維持します。
また、種々のタイプの文書の作成及び改訂に関する手順と責任を確立し、維持します。
① 発行前に、所定の責任者により文書を承認する。
② 文書の定期的見直し、必要に応じた更新、所定の責任者による再承認のルールを定める。
③ 文書の変更の識別及び現在の改訂版の識別を確実にする。
④ 該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで確実に使用できるようにする。
⑤ 読みやすい文書にする。
⑥ 管理規定類以外の法律等で必要な文書を区分する。
⑦ 廃止文書が誤って使用されないようにする。
(6) 運用管理
環境保全活動方針、環境保全目的及び目標を達成するための具体的な手段が当初の予定どおりに適切に
実行されているかどうかを確認するため、運用基準を含めた手順を定めます。
更に、異常が発見された場合にどのように対応するかについて必要な運用基準なども含めた、規定等を
定めることが必要です。これらについては、事業所内常駐の社外業者にも伝達します。
(7) 緊急事態への準備と対応
事故や天災等の緊急事態が発生した場合に備えて、環境に影響を及ぼす可能性を予測して、その予防対
策及び影響の拡大防止対策を定めます。
また、その対策が効果的であることを評価し、必要に応じて改善するために定期的に可能な範囲でテス
トします。
実際の緊急事態発生やテストの後、対策が効果的であるか否かを確認し、必要があれば改善します。
【備考】対策には次の項目を考慮し、必要な事項を定めます。
項目:有害物質等の流出、漏洩による大気汚染、水や土壌の汚染、生態系への影響
事項:① 緊急事態に対する内部要員のリスト及び責任・役割分担
② 緊急時に対応する外部要因のリスト
③ 内外への情報の伝達方法
④ 有害物質に関する環境情報、漏洩時の対処法等の情報
⑤ 対応訓練計画とテスト
9
(緊急事態発生時の対応フロ-の例)
事故・災害の発生
又は発生の恐れ
状況確認
緊急事態発生
担当:各部門
担当:各部局
緊急対応措置
担当:総務部局
専門スタッフに報告・連絡
担当:緊急事態認定権限者
1. 緊急事態宣言伝達
2. 緊急事態組織体制の発動
①緊急事態対応判断基準に基づきレベル決定
②避難範囲・対象の決定と伝達(社内・近隣)
③現場対応・方法の指示
④公的機関との情報伝達の決定と伝達
⑤影響を及ぼす関連会社への連絡
⑥事後処理策と担当者の決定と指示
⑦記録
⑧必要な報告・届出
管理システム・規定・教育・訓練方法の見直し
官公庁・地域社会へ
の通報 *
担当:総務部
担当:緊急事態認定権限者
及び総務部
担当:総務部
出典:鈴木敏央(1996):よくわかる環境マネ-ジメントシステム
-1SO14001対応と構築ノウハウ、ダイヤモンド社
* 夜間、土日の連絡先も確認して下さい。
大津市役所の場合、代表番号(077-523-1234)へご連絡ください。
4 点検
(1) 確認
環境保全活動計画の進捗状況を定期的に確認(監視・測定)するための仕組みを作ります。
これにより環境に著しい影響を及ぼす作業や活動の実体を把握するとともに環境改善活動の進捗や環
境保全目的及び目標への適合性を記録します。
分析の可能な項目は分析し、その結果が良好であるのか、改善が必要であるのかを明確にします。
分析のために測定機器等を用いる場合は、その精度を維持する手順を定めて実施し、記録します。
(2) 遵守状況の評価
適用を受ける法令やその他必要な事項の遵守状況を定期的に評価するための手順を確立し、実施しま
す。
その評価の結果を記録します。
10
((3) 是正(修正と予防))【できるだけ実施するよう努める項目】
環境保全活動計画の内容に、不適合な部分が発生した場合又は発生が予想される場合は、これらの是正
を行うための責任や権限を定めた仕組みを作り、実践します。是正は、その状況に応じて適切に行います。
是正を行った場合は、必要に応じマニュアル・手順書等の変更を行い記録します。
なお、是正する際には、次の基本要素を考慮することが望ましい。
① 不適合の部分の原因を確認すること
② どのような是正措置が必要かを決めて実施すること
③ 不適合が繰り返し生じないよう改善するなど適正に管理すること
④ 是正措置の結果、手順書を変更した場合は、その変更事項を記録すること
(不適合事項是正措置フロ-の例)
不適合の発生
(是正措置)
NG
予想される不適合
[各部門担当]
[会社全体担当]
問題点の明確化
環境管理推進委員
環境管理統括者
原因究明
環境管理推進委員
環境管理統括者
行動計画(対策立案)
環境管理推進委員
環境管理統括者
対策の実施と管理
環境管理推進委員
環境管理統括者
監視・測定
環境管理推進委員
環境管理統括者
環境管理推進委員
環境管理統括者
(予防措置)
手続き変更の必要性
手続きの変更
なし
あり
環境管理統括者が最高責任者に報告
記録の保管:環境管理システム事務局
出典:鈴木敏央(1998):よくわかる環境マネ-ジメントシステム-1SO14001対
応と構築ノウハウ、ダイヤモンド社より
11
((4) 記録)【できるだけ実施するよう努める項目】
環境保全活動における記録事項を明らかにし、保存方法や処分方法等を定めて管理します。
記録には次の事項を含め、読みやすく、判別が容易で関連する活動、製品及びサ-ビスの内容について
の経緯が確認できるようにします。また、記録は保管期限を定めるとともに容易に検索でき、損傷、劣化
又は紛失しないように保管・管理します。
① 制約を受ける法律等及びその遵守状況
② 外部からの苦情の記録
③ 教育訓練の記録
④ 改善活動上の情報(改善計画書、マニュアル等の変更記録、議事録)
⑤ 製品の情報
⑥ 測定機器の精度維持の記録
⑦ 不適合の記録
⑧ 緊急事態への準備及び対応に関する情報
⑨ 環境影響項目の記録
⑩ 自己評価の記録
⑪ 最高責任者による評価の記録
⑫ 関係の請負者及び供給者に関する情報
(5) 自己評価
設定した環境保全目的及び目標ごとに達成状況を把握するため、環境保全活動全体を自己評価する仕組
みを定めて実施します。評価は、内部で評価組織を編成し、定期的に次の項目について実施します。
① 環境保全活動全体がこの手引きの要求事項及びその他環境管理のために定めた取り決めにあって
いるか。
② 環境保全活動が適切に実施され管理されているか。
自己評価は、環境保全目的及び目標を達成できなかった項目、又は環境保全活動計画のうち実施できな
かった内容についてその原因を調査し、改善策を検討します。
また、自己評価は、スケジュ-ル、当該活動が環境に影響を及ぼす重要性及び前回の自己評価の結果の
確認を含めて行います。
【備考】自己評価に当たっては、次の項目を明確にし、評価結果は最高責任者に報告します。
① 評価の範囲
② 評価の回数・頻度
③ 評価を実施する組織と責任者
④ 評価実施の担当者の資格
⑤ 評価結果の伝達
⑥ 評価の方法
自己評価を実施する者は、公平、かつ客観的な立場にあることが望ましい。
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(自己評価の手順の例)
目的(依頼者)
・範囲(依頼者・主任評価
者)
・評価基準の決定
現場の評価・文書記録のチェック
評価チ-ムと主任評価員の選任
評価・調整会議(不適合事項の確認)
終了会議(被評価者出席)
基礎情報の収集・評価
結果のまとめ
作業文書・チェックリストの作成
評価報告書の作成
評価実施計画の作成(主任評価員)
・
依頼者と評価チ-ムへの通知
評価報告書の配布
開始会議(被評価者出席)
改善策の検討
予備評価(システム・文書のチェック)
評価結果のフォロ-アップ
5 最高責任者による見直し
最高責任者は、定期的に環境保全活動全体を見直し、当該事業所の環境保全活動が手引きの要求事項に
対して、継続的な活動を行うのに適切であるか、環境保全活動方針、環境保全目的及び目標が環境に影響
を及ぼす要素の環境影響に対して妥当であるか、システムが有効に機能して効果を上げているかを評価し、
必要に応じ環境保全活動方針、環境保全目的及び目標等について見直します。
この為、最高責任者は、必要な情報を収集できる仕組みを作り、収集された情報を勘案して評価をしま
す。
評価は、環境保全活動方針、環境保全目的及び目標、環境保全活動その他の活動に関しその変更する必
要性を明確にします。
これらは全て手順を定めて文書化し、記録して保管します。
【備考】評価には次のような情報を基に行います。
① 環境改善活動の進捗状況
② 自己評価の結果
③ 法律等行政の動向、取引先や業界の動向
④ 前回評価の結果
⑤ その他、最高責任者が必要と判断した情報
⑥ 関連する利害関係者の関心事
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環境保全協定締結事業所は、環境保全協定第4条の規定に基づき、ISO14001の手法、又は、市
が定める「環境保全活動に関する手引き」に従って進めた環境保全活動の実施状況についてとりまとめ、
市に報告します。
1 報告書の内容
報告書は、「環境保全活動の手引き」の各項の要求に基づき作成する資料をベースに作成して下さい。
なお、ISO取得者やその他の手法により環境保全活動を進めている事業者は、「環境報告ガイドラ
イン(2007年度版)」(H19.6環境省作成)等*1を参考に作成して下さい。
報告書の作成にあたっては、次のことに配慮して下さい。
1 報告にあたっては、各年度ごとに重点を置いて取り組んだ環境保全活動の実施状況を、事業所の特
徴を十分に表現して記載します。なお、事業所独自で環境報告書(エコレポ-ト)等を作成されてい
る場合は、それによることができます。
2 環境保全目的及び目標達成状況と目標達成のために講じた措置・対策の内容をまとめて一覧表等に
しても構いません。
3 原則として年度ごとに実施状況を報告しますが、複数年次の環境保全目的及び目標は、活動計画終
了年度の報告の他、各年度ごとの進捗状況を報告します。
4 報告の対象は、協定締結事業所として下さい。
(ex.○○(株)大津工場が協定を締結している場合、報告書は全社のものとせず、大津工場に係る報
告書を作成して下さい。)
2 報告書の提出
(1) 協定締結事業者は、報告書を最高責任者から市長あてに提出するものとします。
(2) 報告書提出にあたっては、協定締結事業者から市長あての表紙を付けてください。
(表紙の例)
平成 年 月 日
大津市長 様
株式会社
代表取締役
環境保全協定に基づく報告書の提出について
環境保全協定第4条第1項の規定に基づき、平成 年度の環境保全
活動の取組について、別添のとおり報告します。
前年度
(3) 提出部数は1部です。
(4) 提出は毎年1回、原則として次年度当初とします。
(5) 報告書は、本市ホームページに掲載しますので、電子情報も併せて提出して下さい。
*1 ・環境配慮促進法 環境報告書の記載事項等の手引き
・エコアクション 21(環境活動評価プログラム)2004 年度版
・KES かんきょうレポートの雛形
など
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第5章
環境レポートガイドライン