2

3年次後期 専門科目群Ⅰ
(必修科目) 2単位
臨床薬理学
4回目
生物薬剤学講座
児玉庸夫
1
臨床薬理学は薬物治療学を支える
基礎として機能する
薬物治療学
臨床薬理学 臨床薬物動態学
治療薬や用量などの
薬物治療の個別化
例えば、TDMや薬物相互作用
医療薬学
例えば、調剤、製剤、
服薬指導、在宅医療における
訪問薬剤管理指導
2
臨薬
臨床薬理学は医薬品開発や
臨床薬効評価などを行う学問である
厚生労働省は、薬事法に基づき医薬品と
しての承認の可否を判断する
医薬品開発
例えば、どの種類の臨床
試験をどの時期に行うか
臨床薬効評価
例えば、臨床試験では、
どのような方法で有効性
(エンドポイント)を評価
するか
臨床試験(治験)
例えば、治験の科学性、
倫理性、信頼性をどのよ
うにして確保するか
3
臨薬
講義の内容(1)
• 第1回 臨床薬理学の役割、医薬品開発の歴史とコンセ
プト
• 第2回 医薬品市場と開発すべき医薬品(小テスト)
• 第3回 標的生体分子とリード化合物(小テスト)
• 第4回 医薬品の製造と品質管理(小テスト)
• 第5回 医薬品開発における非臨床試験 (小テスト)
• 第6回 医薬品の承認 (小テスト)
• 第7回 医薬品開発と生産のながれ、及びリード化合物
のまとめと演習(中間テスト)
4
講義の内容(2)
•
•
•
•
•
•
第8回
第9回
第10回
第11回
第12回
第13回
薬害(小テスト)
治験の意義と業務(1)(小テスト)
治験の意義と業務(2)(小テスト)
治験における薬剤師の役割(小テスト)
治験の意義と業務(3)(小テスト)
演習
5
第4回 医薬品の製造と品質管理
• 医薬品の製造工程、品質管理の意義と薬
剤師の役割、環境保全への配慮、GMP
(Good Manufacturing Practice)、及びGQP
(Good Quality Practice)について説明でき
る
• 薬剤師国家試験
医4B-b、品質管理
法3B-e、品質管理・製造管理システム
6
医薬品候補化合物(被験薬)と医薬品の製造
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
医薬品候補化合物(被験薬)の製造
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
医薬品の製造
7
医薬品の工業的規模での製造
• 医薬品の創製における有機化学は、医薬品を
創製するうえで基盤となる医薬品化学と、高
品質の医薬品(あるいは医薬品候補化合物)
を必要量供給するプロセス化学に大別できる
• 医薬品の元となる医薬品候補化合物を生み
出すのが医薬品化学、医薬品候補化合物を
医薬品に育てあげるのがプロセス化学である
• 医薬品の供給には、工業的規模での生産が
必要不可欠であり、これを可能にするプロセス
化学の役割は重要である
8
薬8
医薬品の工業的規模での製造
-医薬品化学(medicinal chemistry)の役割-
・医薬品の元となる医薬品候補化
リード化合物
合物を生み出すのが医薬品化
学である
スクリーニング
・医薬品化学の役割は、構造式の
リード化合物の 発案、その構造式を現実のも
最適化 のとするための化学合成、合
成された化合物と生物活性の
関係(構造活性相関)の検討、
この構造活性相関に基づいた
構造の最適化(オプティマイ
ゼーション)とその最適化合物
の合成である
9
薬8
医薬品の工業的規模での製造
-プロセス化学(process chemistry)の役割(1)-
• 医薬品候補化合物を
医薬品に育てあげる
のがプロセス化学であ
る
• 医薬品候補化合物が
見出されると、つぎの
段階として、安全性を
確認するための動物
実験(非臨床試験)が
行われる
10
薬8
医薬品の工業的規模での製造
-プロセス化学の役割(2)-
• 動物での安全性が確
認されればヒトでの安
全性を検討する目的
で、健康成人を対象と
した臨床第Ⅰ相試験
が行われる。この試験
で安全性上の問題点
がなければ、患者を対
象とした臨床第Ⅱ相
試験、その後の臨床
第Ⅲ相試験へと臨床
試験の相が進行する。
11
薬8
医薬品の工業的規模での製造
-プロセス化学の役割(3)-
• 動物実験(非臨床試験)
や臨床試験では大量の
化合物が必要となるため、
プロセス化学の基本的な
役割は化合物の大量合
成から始まる
• 動物実験(非臨床試験)
や臨床試験で使用する
化合物の純度が一定で
なければ、試験成績の
信頼性が低下する
12
薬8
医薬品の工業的規模での製造
-プロセス化学の役割(4)-
• プロセス化学の目的は、目的とする医薬品候補
化合物だけを、
①入手可能な原料から、
②可能な限り手数のかからない工程で、
③高収率、高純度かつ再現性よく合成することで
ある
さらに、
④資源の消費を最小限に抑えて、
⑤地球環境を汚染することなく、
⑥安全に、安価に、かつ短時間で、
⑦必要量を化学合成することである
13
薬8
医薬品候補化合物(被験薬)と
医薬品の製造における環境への配慮
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
医薬品候補化合物(被験薬)の製造
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
医薬品の製造
14
医薬品製造における環境保全への配慮
• 大量の化学物質を扱う医薬品製造では、環
境保全に配慮した化学合成である必要があ
る
• 医薬品製造においては、化学物質の使用を
最小限にする必要がある
15
薬8
医薬品製造において、廃棄物を出さない
ための対策(1)
• 化学量論量の反応基質を使い、それらが高
い収率で生成物に変換されること
• 反応基質を活性化する金属触媒などは極微
量であること(一般に、有毒である金属触媒
は多機能型で複数の反応の触媒になるもの
を利用すること)
• 反応溶媒も極めて少量であること
• 火災や爆発の危険性のない反応剤と触媒を
使用すること
16
薬8
医薬品製造において、廃棄物を出さない
ための対策(2)
• 毒性の少ない溶媒を使用すること
• 精製法として蒸留が望ましいこと
• 再結晶の場合も、再結晶溶媒が安全で、しか
も少量であること望ましいこと
• カラムクロマトグラフィーを極力使わないこと
• 廃棄物を環境中に出さずに処理すること
• 作業者が暴露されないような製造設備である
こと
17
薬8
環境保全のための
グリーンケミストリーの12箇条(1)
• 無廃棄物ー“出してから処理”でなく、出さない
• アトムエコノミーー原料を無駄にしない
• 無害反応物・生成物ー人体と環境に無害な反応物・
生成物にする
• 無毒性ー機能が同じなら、毒性のない物質をつくる
• 無補助剤ー補助物質(溶媒、分離剤)を減らし、使う
場合も無害なもの
• 省エネー環境と経費への負担の少ない省エネル
ギーを心がける
18
薬8
環境保全のための
グリーンケミストリーの12箇条(2)
• 再生可能な原料ー枯渇性資源でなく、再生可能資
源を原料にする
• 直裁合成ー官能基の保護や迂回工程などの修飾
反応は避ける
• 触媒反応ー触媒反応にする
• 無害分解物ー使用後に環境中で分解する製品を目
指す
• リアルタイム計測ー環境汚染を避けるためにプロセ
ス計測を導入する
• 無事故物質ー化学事故につながりにくい物質を使う
19
薬8
薬事法は治験薬と医薬品を規制する
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
治験薬(被験薬と対照薬)
・医薬品として承認されていない
・臨床試験で使用されるもの
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
医薬品
承認され製造
20
販売されるもの
薬事法の体系
法律 薬事法
国会の議決をへて制定
政令 薬事法施行令
内閣が、憲法及び法律の規定を実施する
ために制定する命令
省令 薬事法施行規則 大臣が、法律又は政令の施行又はそれら
各種規則・基準 の特別の委任に基づいて発する命令
告示 厚生労働省告示 省庁が、法律の規定に基づき、公示を必
要とする事項を広く一般に知らせる行為
通達 厚生労働省局
長・課長通達
通知 行政指導
担当部局長(局長・課長など)が、法令の
解釈、運用や行政執行の方針を命令又は
示達するもの。通知ともいう
21
薬事法(法律)
薬事法は、
「医薬品」だけでなく、
「医薬部外品」(コンビニ販売可能)、
「化粧品」、
「医療機器」、
の4つを所管する法律である
22
よ改
薬事法による医薬品の製造管理
及び品質管理に対する規制(GMP、GQP)
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
医薬品の製造管理及び品質管理は、GMP(対象は医薬品の
製造所)及びGQP(対象は医薬品の製造販売業者)による規
23
制を受ける
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
薬事法による治験薬(被験薬と対照薬)の製造管理及
び品質管理に対する規制(治験薬GMP)
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
医薬品の開発会社による治験薬(被験薬と対照薬)の製造管
理及び品質管理は、 GCP17条で規定された治験薬GMP
(GMP準拠、対象は治験薬の製造所)による規制を受ける 24
薬事法による治験薬と医薬品の製造管理・品質管理
に対する規制の概要
薬事法
憲法
薬事法施行令
法律 政令
省令
薬事法施行規則
厚生労働省が定める規則
薬局等構造設備規則
厚生労働省が定める省令
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び
品質管理の基準に関する省令
(GMPという)
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機
器の品質管理の基準に関する省令
(GQPという)
医薬品の臨床試験の実施の基準に関す
25
る省令(GCPという)→治験薬GMPを規定
GMPとは
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
医薬品の製造所における医薬品の製造管理及び品質管理は、
GMPによる規制対象である
26
薬事法による医薬品の製造管理及び
品質管理に対する規制(GMP)(1)
薬事法14条は、医薬品の製造所にお
ける製造管理又は品質管理の方法
に関して、基準(GMP)を規定してお
り、GMPに適合することが、製造販
売承認の取得のための条件である
GMP(Good Manufacturing Practice)
医薬品及び医薬部外品の製造管理及
び品質管理の基準に関する省令
27
よ改
薬事法施行令
薬事法
憲法
薬事法による医薬品の製造管理及び
品質管理に対する規制(GMP)(2)
省令
法律 政令
薬事法施行規則
GMP(Good Manufacturing Practice)
医薬品及び医薬部外品の製造管理及
び品質管理の基準に関する省令
薬事法14条で、医薬品の製造販売承認の
条件として、その医薬品の製造所の製造
管理・品質管理の方法が、GMPに適合し
ていなければならないと規定している
28
よ改
医薬品製造所での品質管理(GMP)(1)
• 医薬品製造所での品質管理は、「医薬品及び
医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準
に関する省令」(GMP)に従わなければならな
い
• 医薬品の製造業者は、製品の高い品質を保
証するシステムを確保しなければならない
29
薬8
医薬品製造所での品質管理(GMP)(2)
• GMPにおいて、医薬品の製造業者は、1つの製造所
でバリデーションを実施しても、同一の医薬品を他の
製造所で新たに製造する場合のバリデーションは省
略できない
• バリデーションとは、製造所の構造設備並びに手順、
工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待
させる結果を与えることを検証し、これを文書化する
ことである
• バリデーションには、実際の生産を開始する前に行う
予測的バリデーション、生産時に行う同時的バリ
デーション、中間工程および最終工程での試験結果
30
を解析して評価する回顧的バリデーションなどがある
薬8
医薬品製造所での品質管理(GMP)(3)
• GMPにのっとった医薬品製造所での品質管理
とは、最終製品の品質試験による品質の確認
に重点をおく管理方式でなく、原料の受け入
れから最終製品の出荷に至るまでの全製造
工程にわたる組織的な製造管理と、生産計画
に対応する試験実施計画書に基づいた組織
的な品質管理方式である
• GMPを遵守するためには、管理体制の整備、
文書による規定の作成、及び記録の保管が
必要とされる
31
薬8
薬事法で規定された医薬品製造所におけ
る薬剤師の役割(GMP関連)
薬剤師は、薬事法17
条の規定により、医
薬品の製造所にお
いて、品質管理責任
者と製造管理責任
者を統括する製造
管理者(管理薬剤
師)としての役割を
果たす
32
よ改
GMPに従った医薬品製造所での品質管理(1)
品質管理部門は製造管
-管理体制の整備-
理部門から独立していな
ければならない。つまり、
品質管理責任者と製造
製造管理者(管理薬剤師)
管理責任者は、別々の
人間でなければならない 統括
薬事法17条
品質管理部門
品質管理
基準書
製造管理責任者
製造工程
品質管理責任者
試験
統括
製造管理部門
指示
製造管理
基準書
薬事法17条の規定により、品質管理責任者と製造管理責
任者を統括する管理薬剤師を置かなければならない33
よ改
GMPに従った医薬品製造所での品質管理(2)
-文書による規定の作成-
• 標準操作手順書(SOP、Standard Operating
Procedure)を作成して、作業担当者が知識、技能と
して習得していた製造手順などを誰もが理解できる
ようにして、作業のルール化を行う
• 製造工程を科学的に検証(バリデーション:製造所の
構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び
品質管理の方法が期待させる結果を与えることを検
証し、これを文書化すること)し、作業の標準化をは
かる
• GMPの目的の一つは、医薬品を製造するにあたって
の人為的な誤りを最小とすることであり、そのために
製造管理等に関する手順書を作成し、これに基づい
て業務を行う
34
薬8
GMPに従った医薬品製造所での品質管理(3)
-記録の保管-
• 標準操作手順書(SOP)のとおりに製造し、品質試験
を行い、出荷の可否について検討された旨の記録を
作成し、定められた期間、保存しなければならない
• 原料の出納記録から製品記録まで、一連の製造に
関する記録を作成し、定められた期間、保存しなけ
ればならない
• 医薬品製造業者は、標準操作手順書(SOP)に従い
医薬品の品質に関する情報を評価・分析し、その結
果を定められた期間、保存しなければならない
35
薬8
GQPとは
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
医薬品の製造販売業者における医薬品の品質管理は、GQP
による規制対象である
36
薬事法による医薬品の品質管理に対する
規制(GQP)(1)
薬事法12条の2は、医薬品の製造販売業
者に対して、「製造業者がきちんとした
製造管理、品質管理の下に、医薬品を
製造しているか」をチェックするための
基準(GQP)を規定しており、GQPに適
合することが、製造販売業の許可の条
件である
GQP(Good Quality Practice)
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機
器の品質管理の基準に関する省令
37
よ改
薬事法施行令
薬事法
憲法
薬事法による医薬品の品質管理に対する
規制(GQP)(2)
省令
法律 政令
薬事法施行規則
GQP(Good Quality Practice)
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療
機器の品質管理の基準に関する省令
薬事法12条の2で、医薬品の製造販売業の
許可の条件として、その医薬品の品質管
理の方法が、GQPに適合していなければ
ならないと規定している
38
よ改
薬事法による医薬品の品質管理に対する
GMPとGQPの関係
製造販売業者
総括製造販売責任者
製造委託
委託先
製造所
自社工場
製造部門
報告
指示
薬事法第17条
の規定で薬剤師
指示、管理
品質保証
責任者
販売部門
製造所
品質保証部門
薬事法14条 GMP
製造管理・品質管理
監視!
薬事法12条の2
品質管理
GQP
39
よ改
医薬品の品質管理(GQP)
• 製造販売業者は、医薬品の品質管理について、「医
薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管
理の基準に関する省令」(GQP)に従わなければなら
ない
• 医薬品の品質管理業務には、市場への出荷管理、
製造業者(GMPによる規制の対象)に対する管理・監
督、品質等に関する情報の収集及び品質不良等の
処理、回収処理などがある
• 製造販売業者は、社内に「品質保証部門」を設け、
「品質保証責任者」を置かなければならない
40
よ改
薬事法で規定された医薬品の品質管理に
おける薬剤師の役割(GQP関連)
薬剤師は、薬事法17条の規定により、医薬品の製造販
売業者において、品質管理から製造販売後の安全管
理を統括する総括製造販売責任者としての役割を果41
よ改
たす
GQPに従った医薬品の品質管理(1)
-管理体制の整備-
製造販売業者
品質管理、製造
販売後の安全
管理を統括
製造委託
委託先
製造所
総括製造販売責任者
自社工場
製造部門
報告
指示
薬事法第17条
の規定で薬剤師
指示、管理
品質保証
責任者
販売部門
製造所
品質保証部門
薬事法14条 GMP
監視!
GQP
薬事法12条の2
42
よ改
治験薬GMPとは
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
医薬品の開発会社による治験薬(被験薬と対照薬)の製造管
理及び品質管理は、 GCP17条で規定された治験薬GMP
(GMP準拠、対象は治験薬の製造所)による規制を受ける 43
治験薬は、GMPに準拠して製造されたものである
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
薬事法による治験薬の製造管理
及び品質管理に対する規制(治験薬GMP)
薬事法
憲法
薬事法施行令
法律 政令
省令
薬事法施行規則
GCP(Good Clinical Practice)
医薬品の臨床試験の実施の基準に関
する省令
GCP17条で、治験依頼者は、治験薬GMPに
適合した製造所において製造された治験
薬を実施医療機関に交付しなければなら
ないと規定している
44
医薬品流通時の品質管理
臨床試験(治験)
第Ⅰ相
第Ⅱ相
第 Ⅲ 相
製造販売後
Investigator’s Brochure
Common
Technical
Document
承認
(薬理・
薬物動態・
毒性)
治験薬概要書
承認審査
非臨床試験
初回治験届
研究開発段階
(規格・安定性)
30日
国際共通化資料
新薬承認申請
品質試験
2~10年(平均 5年)
製薬企業が製造した医薬品は、医薬品卸業者を経て医療機関
や薬局に納品され、処方せんにより消費者(患者)に交付さ
45
れるため、各段階での品質管理が必要である
医薬品の流通と、各段階での品質管理の規定
医療機関・薬局
GDP GUP GPP
消費者
(患者)
製薬企業
GQP省令
卸業
GSP
製造所
GMP省令
自主規定(厚生労働省令ではない)
GSP(Good Supplying Practice)
医薬品の供給と品質管理に関する実施規定
GDP(Good Dispensing Practice)
調剤領域におけるGMP要件
GUP(Good Using Practice)
医療機関における医薬品の品質管理
GPP(Good Pharmacy Practice)
薬局業務基準
46
薬8
医療機関・薬局での医薬品の品質管理と
薬剤師の役割(1)
• 薬剤師は、医療機関・薬局から患者へ医薬
品が交付されるまで、医薬品の品質確保に
ついて責任を負う
• 薬剤師は、医薬品が患者の手元に渡ってか
ら処方期間内の品質の確保について、服薬
指導のなかで情報提供する必要がある
• 薬剤師は、医薬品の適正な使用のために必
要な情報を活用することが求められている
47
薬8
医療機関・薬局での医薬品の品質管理と
薬剤師の役割(2)
卸業
GSP
納品
医療機関・薬局
GDP GUP GPP
消費者
(患者)
薬剤師による検収
薬剤師による検収
①納品書が正しく記載されているか
②納入医薬品が、発注医薬品と相違ないか
③搬入までの品質保持に問題ないか(冷暗所保存、
外観から判断できる破損)
48
薬8
医療機関・薬局での医薬品の品質管理と
薬剤師の役割(3)
卸業
GSP
納品
医療機関・薬局
GDP GUP GPP
検収
情報提供
消費者
(患者)
薬剤師による品質管理
①医薬品個々の保管方法を確認し、適正な管理方法
をとる(遮光医薬品、冷所保存医薬品など)
②目に見える品質変化、錠剤などの破損、外観変化、
異物混入などに注意を払い、必要に応じて製薬企業
へ連絡する。また、発生原因に関する情報を入手する
③患者の手元に渡ってからの品質管理のため、保管
49
方法などの必要な情報を提供する
薬8
第4回講義の結論(1)
• 医薬品の元となる医薬品候補化合物を生み出すのが
医薬品化学、医薬品候補化合物を医薬品に育てあげ
るのがプロセス化学である
• 医薬品化学の役割は、構造式の発案、その構造式を
現実のものとするための化学合成、合成された化合
物と生物活性の関係(構造活性相関)の検討、この構
造活性相関に基づいた構造の最適化(オプティマイ
ゼーション)とその最適化合物の合成である
• 動物実験(非臨床試験)や臨床試験では大量の化合
物が必要となるため、プロセス化学の基本的な役割は
化合物の大量合成から始まる
50
薬8
第4回講義の結論(2)
• 大量の化学物質を扱う医薬品製造では、環境
保全に配慮した化学合成である必要がある
• 医薬品製造においては、化学物質の使用を最
小限にする必要がある
51
薬8
第4回講義の結論(3)
•
•
•
•
•
薬事法は、
「医薬品」だけでなく、
「医薬部外品」(コンビニ販売可能)、
「化粧品」、
「医療機器」、
の4つを所管する法律である
52
第4回講義の結論(4)
• GMP(Good Manufacturing Practice) とは、医
薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管
理の基準に関する省令
• GQP (Good Quality Practice) とは、医薬品、医
薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の
基準に関する省令
• GCP(Good Clinical Practice)とは、医薬品の臨
床試験の実施の基準に関する省令で、治験薬
GMP(GMP準拠)を規定している
53
第4回講義の結論(5)
• 薬事法は、医薬品の製造所における製造管理又は品
質管理の方法に関して、基準(GMP)を規定しており、
GMPに適合することが、製造販売承認の取得のため
の条件である
• 薬剤師は、薬事法17条の規定により、 GMPに従った
医薬品製造時の品質管理のため、医薬品の製造所に
おいて、品質管理責任者と製造管理責任者を統括す
る管理薬剤師としての役割を果たす
• 治験薬の製造管理及び品質管理は、GCPにおいて規
定する治験薬GMP(GMPに準拠)に適合しなければな
らない
54
よ改
第4回講義の結論(6)
• GMPを遵守するためには、管理体制の整備、標準操
作手順書の作成、及び記録の保管が必要とされる
• GMPにおいて、医薬品の製造業者は、1つの製造所
でバリデーションを実施しても、同一の医薬品を他の
製造所で新たに製造する場合のバリデーションは省
略できない
• バリデーションとは、製造所の構造設備並びに手順、
工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待
させる結果を与えることを検証し、これを文書化するこ
とである
55
よ改
第4回講義の結論(7)
• 薬事法は、医薬品の製造販売業者に対して、
「製造業者がきちんとした製造管理、品質管理
の下に、医薬品を製造しているか」をチェックす
るための基準(GQP)を規定しており、GQPに適
合することが、製造販売業の許可の条件である
• 薬剤師は、薬事法17条の規定により、 GQPに
従った医薬品の品質管理のため、医薬品の製
造販売業者において、総括製造販売責任者と
しての役割を果たす
56
よ改
第4回講義の結論(8)
• 医薬品の流通と、各段階での品質管理の自主
規定(法令ではない)に以下のものがある
GSP(Good Supplying Practice)
医薬品の供給と品質管理に関する実施規定
GDP(Good Dispensing Practice)
調剤領域におけるGMP要件
GUP(Good Using Practice)
医療機関における医薬品の品質管理
GPP(Good Pharmacy Practice)
薬局業務基準
57
薬8
第4回講義の結論(9)
• 薬剤師は、医療機関・薬局から患者へ医薬品
が交付されるまで、医薬品の品質確保につい
て責任を負う
• 薬剤師は、医薬品が患者の手元に渡ってから
処方期間内の品質の確保について、服薬指導
のなかで情報提供する必要がある
58
薬8