治山施設点検要領 1.調査の目的 山地災害等の発生を未然に防止するため、既設の治山施設状況を的確に把握するとと もに、今後の治山施設の維持管理及び機能回復強化を行うための基礎資料を得ることを 目的とする。 2.調査手法 別紙「治山事業用現地点検シート」に基づき現地での点検調査を行い、〈別紙1〉「治 山施設点検整備表」へ取りまとめることとする。 なお、施設状況の写真を必ず撮影し、〈別紙2〉「治山施設状況写真表」に整理する こととする。 (a)遠望目視 構造物の状況を遠方から目視により点検する。 (b)近接目視 構造物の状況を経路や対岸から構造物に近接して目視により点検し、必要に応じて簡 易な機械、器具等を使用し状況を把握する。なお、打音点検を行う場合は次による。 ハンマーにより対象構造物を打音して、構造物の状況(はく離(うき)、ボルトのゆ るみ等)を把握する。なお、打音にあたっては、近接目視の際に変状、損傷が認められ る周辺、補修されている周辺、コンクリートの打継目周辺について入念に行うものとす る。打音に使用する点検ハンマーは一般的なものを使用し、コンクリート構造物を打音 した結果の状態は、下記を目安とする。 ・『キンキン』など清音を発し、反発感がある。(清音)・・健全。 ・『ドスドス』など鈍い音がする。(濁音)・・・・・劣化、表面近くに空洞がある。 ・『ボコ』『ペコペコ』など薄さを感じる音がする。(濁音)・・はく離(うき)して いる。 (c)点検施設の状況写真 点検調査で治山施設等の写真を撮影する場合は、〈別紙3〉「治山施設点検整備調査 写真撮影のポイント」を参考とする。なお、デジタルカメラによる高解像度な撮影を原 則とする。 3.留意事項 (1)保全対象に影響が懸念される施設の損傷及び早急な対策が必要な施設等については、 遅滞なく監督職員等に報告すること。 (2)施設に直接影響を及ぼす木本類等については、監督職員等に報告すること。 ※写真撮影の支障となる枝、小径木、草本類等は、事前に処理してから撮影すること。 なお、民有地内に係るものについては、手を付けないこと。 (3)GPS(座標データWaypoint CSV形式 データ形式:ガーミンGPX及びカシ ミールPOT)を携行し、施設の位置を特定すること。なお、地形条件等で計測不能の 場合は除く。 (4)施設位置調査は、渓間工の場合は放水路中心部を基本とし、山腹工については施工区 域の中央部付近の任意の位置を基本とするが、流水や落石等安全上支障がある場合は適 宜位置を変更することとし、調査位置が分かるよう略図に整理すること。 (5)デジタルカメラの日付設定を正確に行い、写真データに記録させること。 (6)治山ダムにおいて、治山台帳に構造図が添付されていないものについては、ポール、 巻尺、スラントルール等を用いて施設を計測し〈別紙5〉の「治山ダム見取図」に計測 結果を記載すること。 (7)石積構造物については、〈別紙4〉の「石積調査」により行うこと。 特 記 仕 様 書 業 務 名 留萌北部森林管理署治山施設点検業務 履行場所 北海道天塩郡天塩町外(留萌北部森林管理署管内) (詳細については、別紙6「治山施設点検一覧表」による) 第1条 適用範囲 本業務の実施にあっては、契約書、本特記仕様書及び治山事業調査等業務標準仕様書に よるものとする。 第2条 調査目的 山地災害等を未然に防止するため、既存資料及び現地調査により、既設の治山施設の点 検を行うとともに、今後の治山施設の維持管理及び機能回復強化を行うものとする。 第3条 調査内容 調査区分は、次の各号によることとし、治山施設点検整備表〈別紙1〉及び治山施設状 況写真表〈別紙2〉並びに治山事業調査等業務標準仕様書に基づき行うものとし、詳細に ついては、治山施設点検要領によるものとする。 第4条 業務の区切り 業務の履行に当たって実施する打合せ協議は、業務着手前、中間(進捗率が50%程度)、 完了前の3回を行うものとする。ただし、中間打合せについては、監督職員と協議の上、 回数を変更できるものとする。なお、打合せ協議にはその都度、管理技術者が立ち会うも のとする。 第5条 打合せ簿の記録 受注者は、受託した業務の内容について、会議又は口頭等で打合せを行った場合には、 別途に定めた様式で打合せ簿を1部作成し、監督職員に提出するものとする。なお、監督 職員は、確認後その写しを受注者に手交することとする。 第6条 進行管理 (1)監督職員と受注者は、現地調査に着手する前に、業務場所、調査内容及び調査方法 について相互に確認をすること。 (2)月に1回以上は業務の進捗状況を監督職員に報告するとともに、監督職員が求めた ときは、速やかに報告すること。 第7条 工程管理 (1)受注者は、後続作業等に支障をきたすことのないよう、各作業工程の中間及び終了 時に、社内検査を行うものとする。なお、監督職員が求めたときは、速やかに検査内 容を報告するものとする。 (2)監督職員は、各作業工程において、必要に応じて受注者に対して適宜、立入検査を 行うことができる。なお、監督職員が立入検査を行う場合は、受注者の作業責任者が 立ち会うものとする。 第8条 写真撮影 治山調査業務写真管理基準等に基づき、写真の撮影及び整理を行うこととする。 第9条 成果品 報告書は、設計業務等の条件、特に考慮した事項、コントロールポイント、検討内容、 施工性、経済性、耐久性、美観、リサイクル、環境等の要件を的確に解説し取りまとめる ものとする。 報告書は、調査箇所毎に2部提出する。 なお、治山事業所等で必要とする場合は、1部加えることとする。 (1)報告書(A4版:黒表紙金文字製本) (2)電子情報(報告書、治山事業用現地点検シート、治山施設点検整備表、治山施設状 況写真表、写真データ、図面類等) (3)施設位置データ(GPSデータ)の提出 (4)治山施設点検整備表、治山施設状況写真表 (5)その他、監督職員が指示するもの 上記(2)については、デジタル媒体(CD等)で納入すること。 設計図書等の貸与または支給については、治山事業調査等業務標準仕様書によるも のとする。 第10条 電子情報 Microsoft社WindowsXP及びWindows7上で表示可能なものとする。 報告書について、図及び写真はJPEG形式、表はExcel2003以下で読み込める ファイル形式とする。 なお、ワープロ版の形式ファイルはWord2003以下とする。 第11条 成果品の瑕疵 納品の後、成果品に受注者の過失又は疎漏に起因する不良箇所が発見された場合、受注 者は発注者が必要と認める修正・補正及びその他の必要な作業を発注者の指示により受注 者の負担において行うものとする。 第12条 成果の帰属 本業務による成果は、全て北海道森林管理局に帰属するものとする。 第13条 疑義 本特記仕様書、治山施設点検要領及び治山事業調査等業務標準仕様書に明記していない 事項及び業務中、疑義が生じた場合には、監督職員と協議するものとする。 別紙 〈治山事業用現地点検シート〉 調 査 日 平成 年 月 日 施工箇所 国有林 堤名板(施工年度 写真撮影 有 無 GPS情報 工 調査者 種 T S 林小班 H 年度 沢名 施工業者 ( 発注者 (東経) 渓間工(護岸工を含む) (種別:(例)コンクリート、練石積、鋼製等 ダム構造 天端幅 調査内容 有 ) ) (北緯) (別紙5見取り図 № m 堰堤有効高(下流) m 放水路下長 ) m 無)その他 基礎部の洗掘 袖取付部の浸食 堆砂未了深さ 堤体の損傷 僅かに損傷が見られる程度である m ヘアークラックが入っているがダム機能に問題はない ダムの一部が損壊していて、将来的には対策が必要である 所見 工 種 調査内容 将来的な対策が必要 早急な対策が必要(具体的に所見欄に記入) 山腹工(落石防止施設等を含む) 施設の倒壊、洗掘、破損、沈下、腐食、はらみ出し、緩み、曲り、変形、亀裂等 法面の崩壊、堆積、亀裂、浸食 集排水施設の閉塞、湧水有 植生の浸食、滑落、生育見込み無し、裸地が多い 所見 工 種 調査内容 将来的な対策が必要 保安林管理道 施設の破損 法面の土砂流出 所見 早急な対策が必要(具体的に所見欄に記入) 将来的な対策が必要 路肩の決壊 集排水施設の閉塞 早急な対策が必要(具体的に所見欄に記入) 必要に応じて周辺状況を記載 渓流の状況 森林の状況 全く荒廃していない 渓岸又は渓床浸食が見られる 渓流荒廃が進行 山腹崩壊又は土石流の発生が確認できる 適正に維持管理されている 手入れ不足の森林が見られる 森林荒廃が進行している 非常に森林が荒廃している 総合所見(点検状況:施設及び施設周辺の状況、整備状況:施設の補修状況等について) 注1.本シートは、治山施設点検整備調査の基礎資料に用いること(監督職員に提出すること) 2.該当する にチェックマークを記入すること 3.治山工事箇所施設図の施工位置を照査すること(GPSを携行し、位置計測を行うこと) 4.写真は、全景又は近景及び変状の生じている異常箇所を撮影すること(別紙3の治山施設点検整備調査写真撮影の ポイントを参照) 5.治山台帳に構造図が添付されていないものについては、別紙5の治山ダム見取図によりダム構造を記録すること 6.石積構造物及び特異な石積構造物等については、別紙4の石積調査を行うこと 〈別紙1〉 治 山 施 設 点 検 整 備 事 業 名 索 引 番 号 施 行 地 施 工 年 度 施設名称 備 点 点検年月日 点 検 検 者 整 備 点 検 表 (台帳番号等) 考 状 状 況 況 整 備 状 況 記載注意 1.本表は、治山台帳の補助表として作成する。 2.事業名、索引番号、施行地、施工年度は、治山台帳と一致させる。 3.点検年月日は、施設の点検整備を行った年月日を記入する。 4.点検者は、会社名、役職、氏名を記入すること。 5.点検状況は、施設及び施設周辺の状況について簡明に記入する。 6.整備状況は、施設の補修状況等について簡明に記入する。 〈別紙2〉 治 山 施 設 状 況 写 真 表 事 業 名 索引番号 施 行 地 施工年度 施設名称 点 検 施 設 の 状 況 写 真 備 (台帳番号等) 考 撮影年月日 記載注意 1.本表は、治山台帳の補助表として作成する。 2.事業名、索引番号、施行地、施工年度は、治山台帳と一致させる。 3.撮影年月日は、施設状況写真(電子写真を含む)を撮影した年月日を記入する。 4.点検者は、会社名、役職、氏名を記入する。 〈別紙3〉 治山施設点検整備調査写真撮影のポイント 渓間工 ◆全景撮影(下流側から全景) ①下流側から構造物全体が見えるような位置、なるべく構造物の上流側が見える ように、やや高い位置にカメラを据えて撮る。 ②渓床状況等が判る写真を撮る。 ③構造物施工箇所の中心線上にポールを立てて撮る。 ◆袖部撮影(左岸・右岸側) ①左岸・右岸部下流側のやや高い位置から撮る。 ②袖の取付けと山腹面の傾斜等が判るように撮る。(なるべく立体感が出るように 撮る。) ③堤名板を撮る。(文字の判読ができること。) ④下流側または、上流側の間詰工等の状況をアップで撮る。 ◆間詰工、護岸工等撮影(左岸・右岸・堤底) ①下流側または、上流側の間詰工の状況をアップで撮る。 ◆渓流全体撮影 ①施設を中心として、渓流全体が立体的及び背後の林地概況(背景)が判るよう に、斜め方向の高い位置から撮る。 ◆複数施設撮影 ①下流側から構造物が一連している状況を撮る。 ◆異常箇所撮影 ①位置の特定ができる写真(全景、局所)を必ず撮る。 ②状況や規模が確認できるよう、ポール、リボンテープ、スケール等を使用して アップ写真を撮る。 ◆留意事項 ①前回撮影の写真(治山台帳の写真等)と同じ撮影地点、アングルで撮る。(目標 となる背景物(立木、岩石)を入れる。) ②原則、下流側から上流側に向けた写真とする。 ③計測機械の目盛りが判るようにアップ写真も撮る。 ④なるべく一枚の写真に収まるように撮るのが望ましいが、パソコンでパノラマ 処理する場合も考慮して撮る。 山腹工 ◆全景撮影 ①なるべく全景を1枚の写真に納めること。 ②全景が撮れない場合には、下部、中部、上部などと2~3枚のつながりのあるように 撮る。(なお、パソコンでパノラマ処理する場合も考慮して撮る。) ◆施工区内撮影 ①主要工種(山腹基礎工)については、渓間工に準じて撮る。 ②植生の生育状況を下層及び上層について撮る。 ③水路工等が施工されている場合には、流水の状況及び湧水の状況を撮る。 ●留意事項 ①山腹斜面を撮る場合には、カメラを垂直に立てないと平面的になるので、対岸の高い 位置から撮るのが望ましい。 ②全景写真は原則として、下方又は対岸から撮る。対岸から撮れない場合には、斜面の 傾斜が判るように崩壊地の端に立って斜めから撮る。 ③前回撮影の写真(治山台帳の写真等)と同じ撮影地点、アングルで撮る。(目標とな る背景物(立木、岩石)を入れる。 ) 別紙4 石積調査(該当するものに○印をすること) 施設名( 構 造 ) ①空石積 ②練石積 ③混合積 ④その他( ) ⑤不明 積み方 ①布積 ②谷積 ③乱積 ④その他( ) ⑤不明 天端処理 ①切天端 ②隅天端 ③巻天端 ④笠石 ⑤その他( )⑥不明 ④割石 ⑤その他( )⑥不明 石材の加工分類(整形か自然石か等) ①間知石 石材の大きさ ②野面石 ③丸割石 1つの石の大きさ(縦 cm×横 cm×奥行き 参考資料(石積みの基礎知識) ①布積:各段の高さを水平に揃えて積み、横目地が一直線になる積み方 ②谷積:一定の谷ができるように剣先をうえにして刻みながら積む方法 ③乱積:様々な大きさの石を組み合わせて積み上げる 〈〈天端処理〉〉 〈〈石の加工による分類〉〉 ①間知石:寸法に割ってつくる石 ②野面石:河川や山から集めた石をそのまま利用 ③丸割石:野面石の大きいものを割って利用 ④割石:型をつくらず割った石(自然の石の形を利用) cm程度) 〈別紙5〉 治山ダム見取図(治山台帳に構造図が添付されていない場合) (単位:m) 正 面 図 平 面 図 側 面 図 別紙6 治山施設点検一覧表 番号 面積( ha) 支流域名 1 雄信内川 対象林班 6943.40 19 林班~ 59 林班 天塩地区 合計 2 オタコシベツ川 6943.40 2498.00 1001 林班~ 1014 林班 1191 林班 3 遠別川下流 4767.55 1015 林班~ 1019 林班 1131 林班~ 1149 林班 1189・1190 林班 4 遠別川中流 3588.61 1020 林班~ 1024 林班 1114 林班~ 1130 林班 5 遠別川上流 6661.82 1025 林班~ 1033 林班 1097 林班~ 1113 林班 6 熊の沢 5875.19 1034 林班~ 1041 林班 1081 林班~ 1096 林班 7 ウツツ川 6446.89 1150 林班~ 1188 林班 遠別地区 合計 8 羽幌川中流 29838.06 3212.82 2001 林班~ 2023 林班 2129 林班 9 羽幌川下二股 6292.13 2024 林班~ 2038 林班 2103 林班~ 2128 林班 10 羽幌川上流 5978.51 2044 林班~ 2081 林班 11 三毛別川 4307.24 2135 林班~ 2162 林班 12 築別川 2965.56 2130 林班~ 2134 林班 2163 林班~ 2170 林班 2202 林班~ 2209 林班 13 築別川上流 6106.60 2171 林班~ 2201 林班 14 茂築別川 2025.46 2211 林班~ 2224 林班 羽幌地区 合計 30888.32 15 初山別川 4833.01 2225 林班~ 2253 林班 16 風連別川 6534.45 2254 林班~ 2296 林班 初山別地区 ※治山施設合計 104 箇所 合計 11367.46
© Copyright 2024 ExpyDoc